JP2745784B2 - エンボス像読取装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （ａ）産業上の利用分野 この発明は、カード等の記録媒体に形成されているエ
ンボス像を読み取るエンボス像読取装置に関する。

（ｂ）従来の技術 従来より、ATMやCD等において、取引処理時に、その
取引に用いられたカードに形成されているエンボスを処
理伝票にプリントするインプリント装置が用いられてい
る。

従来のインプリント装置としては、カード上に複写式
の伝票を重ねるとともに、ローラ等によって、その複写
伝票をカードに対し一定圧力で押圧することによって、
エンボス像を伝票に写しとる方式と、カード表面を画像
として撮像し、イメージプリンタにプリントアウトする
方式とがあった。

前者の方式では、複写式伝票の搬送不良等によってカ
ードのエンボス上にインクが付着したりして、エンボス
が汚損する場合があった。後者の方式では、装置全体が
小型化され、機械的な搬送系が簡略化されるため信頼性
が向上し、また読取データの電子情報化が可能である。

（ｃ）発明が解決しようとする課題 ところが、従来の光学読取方式の装置では、ただ単に
カードを正面から撮像して信号化するだけであるため、
カードの地色と同色のエンボスは画像信号として現れ
ず、したがってこれを伝票等にプリントアウトすること
もできなかった。

また、エンボスがカードの地色と同色でなくともカー
ド地の絵柄によっては絵柄とエンボス像との区別が不明
瞭となって、エンボス像を鮮明に読み取ることができな
かった。

この発明の目的は、エンボスの形成されたカードなど
の記録媒体の両面を照明光の正反射光により読み取ると
ともに、エンボス像を確実に抽出できるようにしたエン
ボス像読取装置を提供することにある。

（ｄ）課題を解決するための手段 この発明のエンボス像読取装置は、エンボスの形成さ
れた記録媒体に対し斜め方向から一定入射角で照明光を
照射する第１照明光学系と、第１照明光学系の照明光に
よる記録媒体表面での正反射光を撮像する第１のイメー
ジセンサと、 上記記録媒体の裏面に対し斜め方向から一定入射角で
照明光を照射する第２照明光学系と、第２照明光学系の
照明光による記録媒体裏面での正反射光を撮像する第２
のイメージセンサと、 第１・第２のイメージセンサによる撮像パターンの一
致箇所をエンボス像として抽出するエンボス像抽出手
段、 とからなる。

（ｅ）作用 この発明のエンボス像読取装置では、第１の照明光学
系は記録媒体の表面を斜め方向から一定入射角で照明光
を照射し、第１のイメージセンサは記録媒体表面での正
反射光を撮像し、第２の照明光学系は記録媒体の裏面に
対し斜め方向から一定入射角で照明光を照射し、第２の
イメージセンサはその正反射光を撮像する。記録媒体に
照明光が照射されると、記録媒体に形成されているエン
ボスの部分において照明光が乱反射するため、エンボス
の部分で反射した光は殆どイメージセンサへ入射しな
い。従って地色が均一であればイメージセンサの出力信
号レベル等によってエンボスを検出することができる。
地色が均一でない場合には印刷パターンの反射率に応じ
てイメージセンサの出力信号レベルが変化するが、一般
に記録媒体の表裏において絵柄に一致性は無く、第１の
イメージセンサと第２のイメージセンサの出力信号レベ
ルの変化は記録媒体の表裏で一致するエンボス像に対応
して生じる。従ってエンボス像抽出手段は、第１・第２
のイメージセンサによる撮像パターンの一致箇所をエン
ボス像として抽出することができる。

上記作用の例を第１図（Ａ）〜（Ｄ）に示す。第１図
（Ａ）は記録媒体の断面とその表裏における光の入反射
の例を示している。同図（Ｂ）および（Ｃ）は第１イメ
ージセンサの出力信号および第２イメージセンサの出力
信号の変化を示し、（Ｄ）は両者の一致箇所を示してい
る。第１のイメージセンサは第１の照明光学系の照明光
による正反射光を撮像するため、エンボスの両肩部およ
び黒文字部分で出力レベルが低下し、同様に第２のイメ
ージセンサは第２の照明光学系の照明光の正反射光を撮
像するため、エンボスの内面傾斜部および黒文字部分に
おいてその出力レベルが低下する。記録媒体に形成され
ている黒文字の位置関係には相関関係がないため、結局
エンボスの両肩部および内面傾斜部に相当するパターン
が一致して同図（Ｄ）に示すようにエンボス像を抽出す
ることができる。

（ｆ）実施例 この発明の実施例であるエンボス像読取装置の光学系
の構成を第２図に示す。第２図において７はエンボスの
形成されたカード、１はこのカード７に対し入射角θ１
で照明光を照射するLEDアレイ、２はカード７に対しそ
の裏面から入射角θ２で照明を照射するLEDアレイであ
る。LEDアレイ１および２は共に紙面に垂直方向に複数
の発光部が１列に配置されている。また、３は第１のイ
メージセンサであるCCDラインセンサ、４は第２のイメ
ージセンサであるCCDラインセンサである。5,6はそれぞ
れ断面方向に屈折率分布を有する光ファイバを集積して
なるレンズ作用を備えた光伝送体である。ラインセンサ
３と光伝送体５とは、LEDアレイ１の照明光のカード７
表面での正反射光を受像する位置関係に配置している。
また、ラインセンサ４と光伝送体６とは、LEDアレイ２
の照明光のカード７の裏面での正反射光を受像する位置
関係に配置している。さらに、CCDラインセンサ3,4はカ
ード７の同一箇所における１直線上をその表裏から同時
に撮像するように配置している。なお、カード７は図示
しない搬送ローラによって挟持されるとともに図におけ
る左右方向に搬送され、その搬送中に上記２つのライン
センサによって撮像される。

次に、上記エンボス像読取装置を用いたATMにおける
カードリーダ／伝票発行機のブロック図を第３図に示
す。同図においてCPU10はATMを構成する制御部における
１つのスレーブCPUであり、カードの読込、そのカード
に設けられているエンボス像の読取および取引内容とと
もにインプリントを表した伝票の発行処理などを行う。
ROM11はCPU10の実行すべきプログラムが予め書き込まれ
たメモリ、RAM12はカードデータの一時記憶、伝票にプ
リントすべき処理内容の一時記憶およびエンボス像の一
時記憶など各種ワーキングエリアとして用いられるメモ
リである。CPU10のバスには以下に述べるその他の各種
回路が接続されている。

モータ14はカードの受け入れ／排出および搬送を行う
パルスモータであり、モータ制御回路13がこれをパルス
制御するとともにそのタイミング信号をイメージインプ
リント制御回路15へ与える。イメージインプリント制御
回路15は主にカードに設けられているエンボス像の読取
制御を行うもので、モータ制御回路13からタイミング信
号を入力するとともに、LEDアレイ1,2、ラインセンサ3,
4、A/Dコンバータ18,19、メモリ20,21、掛算回路22およ
びデータ処理回路23などに対し、それぞれタイミング信
号を与える。LEDアレイ1,2はそれぞれイメージインプリ
ント制御回路15からの制御信号に応じて、点灯または消
灯する。ラインセンサ3,4はイメージインプリント制御
回路15から与えられるタイミング信号に応じて受光（電
荷の蓄積）および撮像信号の出力を行う。増幅回路16,1
7はラインセンサ3,4の出力信号をそれぞれ増幅し、A/D
コンバータ18,19は増幅回路16,17の出力を順次サンプル
ホールドするとともに数ビットのディジタルデータに変
換する。メモリ20,21はA/Dコンバータ18,19から出力さ
れる１ライン分のデータをそれぞれ一時記憶する。掛算
回路22はメモリ20,21に一時記憶された１ライン分のデ
ータを１画素づつ掛算するとともに、これをデータ処理
回路23へ出力する。データ処理回路23は１画素または１
ライン分の掛算された結果のデータを一時記憶するとと
もに、CPU10に対しその一時記憶したデータの読取要求
を出力する。CPU10はこの読取要求を受けたなら、デー
タ処理回路23内のデータを読み取るとともに、RAM12の
所定エリアに格納する。

上記構成においてイメージインプリント制御回路15は
LEDアレイ１および２をオンし、ラインセンサ3,4による
１ライン分の撮像データをメモリ20,21にそれぞれ格納
させる。その後データ処理回路23がイメージインプリン
ト制御回路15のタイミング信号によって１ライン分の掛
算データを記憶するともに、CPU10に対しそのデータの
読み取り要求を出力する。その後、イメージインプリン
ト制御回路15は、モータ14が１ステップ分駆動されてカ
ードが１ステップ分搬送された後、同様の処理を行うこ
とによって次の１ライン分の読み取り制御を行う。上記
動作を繰り返すことによってカードに形成されている全
てのエンボス像を抽出する。

また、プリンタ25は取引の内容とともにエンボス像を
伝票にプリントするもので、インタフェース回路24がプ
リンタ25を制御する。カードリーダ27は搬送中のカード
の磁気ストライプに記憶されている内容を読み取るもの
で、インタフェース回路26がその読み込み制御を行う。

（ｇ）発明の効果 この発明によれば、イメージセンサに記録媒体表裏面
の正反射光を撮像するため、記録媒体地に形成されてい
る絵柄とは無関係にエンボスを抽出することができる。
また、第１・第２のイメージセンサによる記録媒体表裏
の撮像パターンの一致箇所をエンボス像として抽出する
ようにしたため、記録媒体表裏に相関のない印刷文字な
どを除いてエンボス像のみを正しく抽出することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の作用説明図であり、（Ａ）は記録媒
体断面とそれに対する光の入反射の状態を示す図、
（Ｂ）および（Ｃ）は第１および第２のイメージセンサ
の出力信号波形図、（Ｄ）は両信号の一致検出結果を示
す図である。第２図はこの発明の実施例であるエンボス
像読取装置の光学系の構成図である。第３図は同エンボ
ス像読取装置を用いたカードリーダ／伝票発行機の制御
部のブロック図である。 1,2……LEDアレイ、3,4……CCDラインセンサ（イメージ
センサ）、5,6……光伝送体、７……カード（記録媒
体）。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】エンボスの形成された記録媒体に対し斜め
   方向から一定入射角で照明光を照射する第１照明光学系
   と、第１照明光学系の照明光による記録媒体表面での正
   反射光を撮像する第１のイメージセンサと、 上記記録媒体の裏面に対し斜め方向から一定入射角で照
   明光を照射する第２照明光学系と、第２照明光学系の照
   明光による記録媒体裏面での正反射光を撮像する第２の
   イメージセンサと、 第１・第２のイメージセンサによる撮像パターンの一致
   箇所をエンボス像として抽出するエンボス像抽出手段、 とからなるエンボス像読取装置。