JP2720384B2 - ダイヤモンド類薄膜による被覆方法 - Google Patents

ダイヤモンド類薄膜による被覆方法

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    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C16/00Chemical coating by decomposition of gaseous compounds, without leaving reaction products of surface material in the coating, i.e. chemical vapour deposition [CVD] processes
    • C23C16/02Pretreatment of the material to be coated
    • C23C16/0227Pretreatment of the material to be coated by cleaning or etching

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はダイヤモンド類薄膜による被覆方法に関し、
さらに詳しく言うと、ダイヤモンド薄膜および/または
ダイヤモンド状炭素薄膜(この両者をダイヤモンド類薄
膜と総称することがある。)からなる被膜を薄膜被形成
部材の表面に形成するにあたり、薄膜被形成部材の材質
にかかわらずに薄膜形成部材とダイヤモンド類薄膜との
充分な密着性を達成することのできるダイヤモンド類薄
膜による被覆方法に関する。
[従来技術および発明が解決しようとする課題] ダイヤモンド薄膜および/またはダイヤモンド状炭素
薄膜は、硬度、耐摩耗性、電気絶縁性、熱伝導性および
固体潤滑性などに優れていることから、たとえば切削工
具類、耐摩耗性機械部品等の各種部材のハードコート材
や電子部品のヒートシンク形成材などに利用されつつあ
る。
ところで、ダイヤモンド類薄膜の有する前記の優れた
性質を充分に活用して所期の目的を達成するためには、
ダイヤモンド類薄膜とこの膜により被覆される薄膜被形
成部材との密着性が充分でなければならない。
そこで、ダイヤモンド類薄膜と薄膜被形成部材との密
着性の向上を図るために、薄膜被形成部材の前処理を行
なってから、薄膜被形成部材の表面にダイヤモンド類薄
膜を成膜する方法が試みられ、また提案されている。
たとえば薄膜被形成部材について、酸によるエッチン
グ処理を行なってから、この薄膜被形成部材上にダイヤ
モンド類薄膜の被膜を形成する方法が知られている(例
えば、特開昭62−67174号公報、同63−100182号公報等
参照)。
しかしながら、この方法によると、たとえば薄膜被形
成部材の材質がWC−Co系の超硬合金である場合に、薄膜
被形成部材とダイヤモンド類薄膜との密着性を低下させ
るCoを溶出させることはできても、WCを溶出させること
はできない。したがって、薄膜被形成部材の表面に微細
な傷を一様に形成することができないので、薄膜被形成
部材とダイヤモンド類薄膜との充分な密着性を達成する
ことはできない。
すなわち、酸によるエッチング処理においては、薄膜
被形成部材の材質によってはダイヤモンド類薄膜と薄膜
被形成部材との密着性を充分に向上させることができな
いという問題がある。
また、たとえば特開昭62−108798号公報および同62−
108799号公報においては、薄膜被形成部材の表面を、特
定の平均粒径の研磨粉で研磨してから、この薄膜被形成
部材の表面にダイヤモンド類薄膜の被膜を形成する方法
が提案されている。
しかしながら、この方法においては、研磨粉の平均粒
径の制御が煩雑であるという欠点がある。
さらに、特開昭61−121859号公報、同62−226889号公
報においては、薄膜被形成部材を、研磨材粒子を分散し
た液中に浸し、この分散液に超音波を作用させる方法が
提案されている。
しかしながら、この方法においては、充分に微細な傷
を薄膜被形成部材の表面に形成することができないの
で、この方法による処理を行なった薄膜被形成部材とダ
イヤモンド類薄膜との密着性には未だ改善の余地があ
る。
また、一般に、研磨材による処理によっては、薄膜被
形成部材の材質が例えばWC−Co系等の超硬合金である場
合に、薄膜被形成部材とダイヤモンド類薄膜との密着性
を低下させるCoを充分に除去することはできないので、
薄膜被形成部材が特にCoを含有する超硬合金であると、
薄膜被形成部材とダイヤモンド類薄膜との充分な密着性
を達成することはできないという問題がある。
本発明は、前記の事情に基いてなされたものである。
本発明の目的は、薄膜被形成部材がたとえばCoを含有
する超硬合金であっても、薄膜被形成部材の材質にかか
わらずに薄膜被形成部材との充分な密着性を達成するこ
とのできるダイヤモンド類薄膜による被覆方法を提供す
ることにある。
[課題を解決するための手段] 前記課題を解決するために本発明者が鋭意検討を重ね
た結果、薄膜被形成部材の表面に、ダイヤモンド薄膜お
よび/またはダイヤモンド状炭素薄膜からなる被膜を形
成する方法においては、薄膜被形成部材に特定の前処理
を行なうと、薄膜被形成部材が、例えば、ダイヤモンド
類薄膜との密着性に悪影響を及ぼすCoを含有する超硬合
金であっても、Coを効率的にかつ選択的に除去すること
が可能であるとともに、薄膜被形成部材の表面モホロジ
ー改質が行なわれて、薄膜被形成部材の材質にかかわら
ずに薄膜被形成部材とダイヤモンド薄膜および/または
ダイヤモンド状炭素薄膜との充分な密着性を達成するこ
とができることを見出して、本発明に到達した。
本発明の構成は、薄膜被形成部材の表面にダイヤモン
ド薄膜および/またはダイヤモンド状炭素薄膜の被膜を
形成する方法において、予め電解研磨による前記薄膜被
形成部材の表面処理を行なうことを特徴とするダイヤモ
ンド類薄膜による被覆方法である。
本発明の方法においては、予め電解研磨による前記薄
膜被形成部材の表面処理を行なった後に、前記薄膜被形
成部材の表面にダイヤモンド薄膜および/またはダイヤ
モンド状炭素薄膜からなる被膜を形成する。
使用に供される前記薄膜被形成部材の形成材料は、後
に詳述する電解研磨法による表面処理を好適に行なうこ
とのできる導電性を有するものであればよく、たとえば
鉄、銅、アルミニウム、チタン、タングステン、モリブ
デン、コバルト、クロムなどの金属、これらの合金、WC
−Co系、WC−TiC−Co系、Wc−TiC−TaC−Co系などの超
硬合金などの中から選ばれた任意のものを用いることが
できる。
これらの中でも、Coを含有する超硬合金であると、特
に効果的である。
前記薄膜被形成部材がWC−Co系、WC−TiC−Co系など
の超硬合金からなるとき、前記電解研磨により、たとえ
ば次のような電解反応が進行して、前記薄膜被形成部材
の表面が溶解する。
WC+6OH- →WO3+C+3H2O+6e- 6e-+6H+→3H2↑ WO3+2NaOH=Na2(WO4)+H2O TiC+40H-→TiO2+C+2H2O+4e- 4e-+4H+→2H2↑ TiO2+2H2O=Ti(OH) Co+20H- →Co(OH2)+2e- 2e-+2H+→H2↑ 前記薄膜被形成部材の形状については、特に制限はな
く、たとえば板状、棒状、パイプ状、錐状等、さらにた
とえばドリル、バイト、エンドミル等の各種工具類の形
状、歯科用ドリル、スケラーチップ等の歯科用工具類の
形状などの任意の形状のものを用いることができる。
本発明の方法においては、前記薄膜被形成部材の表面
処理を、電解研磨により行なう。
前記電解研磨において、使用に供される電解液として
は、たとえば硝酸ナトリウム溶液、亜硝酸ナトリウム溶
液、リン酸溶液、無水酢酸溶液、炭酸ナトリウム溶液、
硝酸カリ溶液、食塩水などが挙げられる。また、これら
の電解液には、必要に応じて、たとえば過塩素酸、クロ
ム酸などの酸化力のある酸を添加してもよい。
これらの中でも、好ましいのは硝酸ナトリウム溶液、
クロム酸を添加したりリン酸溶液である。
前記電解研磨における陰極材には、たとえば鉛、金、
白金、炭素(グラフィト)などを好適に使用することが
できる。
前記電解研磨法における電圧は、通常、0.1〜100V、
好ましくは1〜50Vである。この電圧が0.1Vよりも低い
と、前記薄膜被形成部材の表面が充分に溶解せず、本発
明の目的が達成されないことがある。一方、100Vを超え
てもそれに相当する効果は奏されないことがある。
電流は、通常、1〜1,000A/cm2である。この電流が1A
/cm2よりも低いと、前記薄膜被形成部材の表面処理に要
する時間が長くなるので効率的でないことがある。一
方、1,000A/cm2を超えると、前記薄膜被形成部材の溶解
速度が速くなるので処理時間の制御が困難になることが
ある。
また、処理時間は前記薄膜被形成部材の形状、前記電
流の大きさ等により一概に決定することはできないの
で、これらの条件に応じて最適な時間を選定すればよ
い。
本発明においては、前記電解研磨による前処理を行な
った前記薄膜被形成部材の表面に、ダイヤモンド薄膜お
よび/またはダイヤモンド状炭素薄膜からなる被膜を形
成する。
前記ダイヤモンド薄膜および/またはダイヤモンド状
炭素薄膜の成膜法には、気相合成法を好適に採用するこ
とができる。
前記気相合成法は、炭素源ガスを含有する原料ガスを
励起して得られるガスを、前記の表面処理を行なった前
記薄膜被形成部材に接触させる方法である。
使用に供される前記原料ガスは、少なくとも炭素源ガ
スを含有するものであればよいが、少なくとも炭素原子
と水素原子とを含むガスが好ましく、炭素原子と水素原
子と酸素原子とを含むガスは特に好ましい。
具体的には、前記原料ガスとして、たとえば炭素源ガ
スと水素ガスとの混合ガス、含酸素炭化水素化合物ガス
を挙げることができる。
また、所望により、前記原料ガスとともに、不活性ガ
ス等のキャリヤーガスを用いることもできる。
前記炭素源ガスとしては、各種炭化水素、含酸素化合
物、含窒素化合物等のガスを使用することができる。
炭化水素化合物としては、例えばメタン、エタン、プ
ロパン、ブタン等のパラフィン系炭化水素;エチレン、
プロピレン、ブチレン等のオレフィン系炭化水素;アセ
チレン、アリレン等のアセチレン系炭化水素;ブタジエ
ン等のジオレフィン系炭化水素;シクロプロパン、シク
ロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式
炭化水素;シクロブタジエン、ベンゼン、トルエン、キ
シレン、ナフタレン等の芳香族炭化水素;塩化メチル、
臭化メチル、塩化メチル、四塩化炭素等のハロゲン化炭
化水素などを挙げることができる。
含酸素化合物としては、例えばアセトン、ジエチルケ
トン、ベンゾフェノン等のケトン類;メタノール、エタ
ノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;
メチルエーテル、エチルエーテル、エチルメチルエーテ
ル、メチルプロピルエーテル、エチルプロピルエーテ
ル、フェノールエーテル、アセタール、環式エーテル
(ジオキサン、エチレンオキシド等)のエーテル類;ア
セトン、ピナコリン、メチルオキシド、芳香族ケトン
(アセトフェノン、ベンゾフェノン等)、ジケトン、環
式ケトン等のケトン類;ホルムアルデヒド、アセトアル
デヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド等のアル
デヒド類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、酪
酸、シュウ酸、酒石酸、ステアリン酸等の有機酸類;酢
酸メチル、酢酸エチル等の酸エステル類;エチレングリ
コール、ジエチレングリコール等の二価アルコール類;
一酸化炭素、二酸化炭素等を挙げることができる。
含窒素化合物としては、例えばトリメチルアミン、ト
リエチルアミンなどのアミン類等を挙げることができ
る。
また、前記炭素源ガスとして、単体ではないが、消防
法に規定される第4類危険物;ガソリンなどの第1石油
類、ケロシン、テレピン油、しょう脳油、松根油などの
第2石油類、重油などの第3石油類、ギヤー油、シリン
ダー油などの第4石油類などのガスをも使用することが
できる。また前記各種の炭素化合物を混合して使用する
こともできる。
これらの炭素源ガスの中でも、常温で気体または蒸気
圧の高いメタン、エタン、プロパン等のパラフィン系炭
化水素;あるいはアセトン、ベンゾフェノン等のケトン
類、メタノール、エタノール等のアルコール類、一酸化
炭素、二酸化炭素ガス等の含酸素化合物が好ましい。
前記水素ガスには、特に制限がなく、たとえば石油類
のガス化、天然ガス、水性ガスなどの変成、水の電解、
鉄と水蒸気との反応、石炭の完全ガス化などにより得ら
れるものを充分に精製したものを用いることができる。
前記水素ガスを構成する水素は励起されることにより
原子状水素を形成する。
この原子状水素は、ダイヤモンドまたはダイヤモンド
状炭素の析出と同時に析出する黒鉛構造の炭素等の非晶
質炭素を除去する作用を有する。
前記原料ガス中の前記炭素源ガスの濃度は、使用に供
される前記原料ガスにより相違するので一概に決定する
ことはできないが、一例を挙げれば、前記原料ガスにメ
タンガスと水素ガスとの混合ガスを用いる場合、メタン
ガスの濃度は、通常、5体積%以下、好ましくは3体積
%以下、さらに好ましくは1体積%以下であり、前記原
料ガスに一酸化炭素ガスと水素ガスとの混合ガスを用い
る場合、一般化炭素ガスの濃度は、通常、80体積%以
下、好ましくは60体積%以下である。
前記原料ガスを励起して前記薄膜被形成部材の表面に
ダイヤモンド薄膜および/またはダイヤモンド薄膜を形
成する手段としては、たとえば熱CVD法;光CVD法;直流
プラズマCVD法、交流プラズマCVD法、高周波プラズマCV
D法、マイクロ波プラズマCVD法(ECR−CVD法を含む。)
等の各種プラズマCVD法;熱蒸着法、イオン・プレーテ
ィング法、スパッタ法等の各種PVD法などの気相合成法
をいずれも好適に採用することができる。
本発明の方法において、たとえば前記気相合成法を採
用して、前記薄膜被形成部材の表面にダイヤモンド膜お
よび/またはダイヤモンド状炭素膜からなる被膜を形成
する場合、以下の条件下に反応が進行して、前記薄膜被
形成部材との密着性に優れたダイヤモンド類薄膜が析出
する。
すなわち、前記薄膜被形成部材の温度は、ダイヤモン
ド類薄膜の成膜法により相違するので、一概に決定する
ことはできないが、通常、室温〜1,200℃、好ましくは6
00〜1,100℃に設定する。
この温度が室温より低いと、ダイヤモンド類薄膜の析
出速度が遅くなったり、非晶質炭素を多量に含んだ膜が
形成されることがある。一方、1,200℃より高くする
と、エッチング反応が優先して、ダイヤモンド類薄膜が
析出しなくなることがある。
反応圧力は、通常、10-6〜103torr、好ましくは10-5t
orr〜103torrである。
なお、反応圧力を1torrよりも低く設定する場合に
は、反応室内に磁場を加えた状態で、前記原料ガスを励
起するのが好ましい。したがって、この場合には、前記
原料ガスの励起手段にECR(電子サイクロトロン)−CVD
法を好適に採用することができる。
反応圧力が10-6torrよりも低いと、ダイヤモンド類薄
膜の析出速度が遅くなったり、ダイヤモンド類薄膜が析
出しなくなったりすることがある。
一方、103torrより高くしてもそれに見合った効果は
奏されないことがある。
反応時間は、前記薄膜被形成部材の温度、反応圧力、
必要とする膜厚などにより相違するので一概に決定する
ことはできない。したがって、最適時間を適宜に選定す
ればよい。
このようにして得られるダイヤモンド類薄膜の膜厚
は、通常、0.1〜100μm、好ましくは0.2〜30μmであ
る。この膜厚が0.1μm未満であると、前記薄膜被形成
部材の全体を覆うことができないことがある。一方、10
0μmを超えると、剥離を生じ易くなることがある。
本発明の方法を採用して得られるダイヤモンド薄膜お
よび/またはダイヤモンド状炭素薄膜は、たとえば、ド
リル、エンドミル、バイト等の切削工具類;耐摩耗性機
械部品等の各種部材;電子部品のヒートシンク;歯科用
ドリル、スケラーチップ等の歯科用工具類などの被膜に
好適に利用することができる。
[実施例] 次いで、本発明の実施例および比較例を示し、本発明
についてさらに具体的に説明する。
(実施例1) 超硬合金(JIS K10相当品)からなる切削チップ(形
状:SNGN 432)につき、下記の条件の電解研磨を行なっ
た。
電解研磨の条件 電解液:10%硝酸ナトリウム溶液 電 圧:10V 電 流:5A/cm2 時 間:10分間 陰極材:鉛 次いで、下記の条件でダイヤモンド類薄膜の合成を行
なって前記の電解研磨を行なった切削チップの表面を薄
膜で被覆した。
ダイヤモンド類薄膜の合成条件 原料ガス:CO+H2 合成方法:マイクロ波プラズマCVD法(2.45GHz) 圧力:40torr 温度:900℃ CO濃度:20体積% 放電電力:350W ガス流量:100SCCM 時間:2時間 反応終了後、得られた薄膜付き切削チップを反応室か
ら取り出して、成膜についてラマン分光分析を行なった
ところ、1333cm-1の位置にダイヤモンドに起因するシャ
ープなピークが、また、1550cm-1付近にダイヤモンド状
炭素に起因するブロードなピークが認められた。
さらに、走査型電子顕微鏡によるSEM像から膜厚は約
3μmであり、自形面が認められた。
次いで、この薄膜付き切削チップにつき、下記の条件
の切削試験を行なって、薄膜と切削チップとの密着性を
評価した。
結果を第1表に示す。
切削試験の条件 加工方法:旋盤加工 被切削材:アルミ−8重量%シリコン合金 切削条件 切削速度:800m/分 送 り:0.1mm/rev 切りこみ:0.25mm (実施例2) 前記実施例1において、電解研磨における電解液の10
%硝酸ナトリウム溶液に代えて、リン酸724ml、クロム
酸(CrO3)115gおよび水232mlからなる電解液を使用し
たほかは、前記実施例1と同様にして実施した。
得られた薄膜付き切削チップの薄膜についてラマン分
光分析を行なったところ、1333cm-1の位置にダイヤモン
ドに起因するシャープなピークが、また、1550cm-1付近
にダイヤモンド状炭素に起因するブロードなピークが認
められた。
さらに、走査型電子顕微鏡によるSEM像から膜厚は約
3μmであり、自形面が認められた。
次いで、この薄膜付き切削チップにつき、前記実施例
1と同様にして切削試験を行なって、薄膜と切削チップ
との密着性を評価した。
結果を第1表に示す。
(実施例3) 前記実施例1において、前記の条件の電解研磨を行な
った後、下記の条件の高周波マグネトロンスパッタリン
グ法により、膜厚5,000Åのタングステン層を切削チッ
プに蒸着した。
高周波マグネトロンスパッタリングの条件 スパッタガス:Ar スパッタ圧力:4×10-3torr スパッタ温度:300℃ Rf電力 :5w/cm2 以後、前記実施例1と同様にして実施した。
得られた薄膜付き切削チップの薄膜についてラマン分
光分析を行なったところ、1333cm-1の位置にダイヤモン
ドに起因するシャープなピークが、また、1550cm-1付近
にダイヤモンド状炭素に起因するブロードなピークが認
められた。
さらに、走査型電子顕微鏡によるSEM像から膜厚は約
3μmであり、自形面が認められた。
次いで、この薄膜付き切削チップにつき、前記実施例
1と同様にして切削試験を行なって、薄膜と切削チップ
との密着性を評価した。
結果を第1表に示す。
(実施例4) 前記実施例2において、前記の条件の電解研磨を行な
った後、前記実施例3におけるのと同じ条件の高周波マ
グネトロンスパッタリング法により、膜厚5,000Åのタ
ングステン層を切削チップに蒸着した。
以後、前記実施例2と同様にして実施した。
得られた薄膜付き切削チップの薄膜についてラマン分
光分析を行なったところ、1333cm-1の位置にダイヤモン
ドに起因するシャープなピークが、また、1550cm-1付近
にダイヤモンド状炭素に起因するブロードなピークが認
められた。
さらに、走査型電子顕微鏡によるSEM像から膜厚は約
3μmであり、自形面が認められた。
次いで、この薄膜付き切削チップにつき、前記実施例
2と同様にして切削試験を行なって、薄膜と切削チップ
との密着性を評価した。
結果を第1表に示す。
(比較例1) 前記実施例1において、電解研磨を行なわなかったほ
かは、前記実施例1と同様にして薄膜付き切削チップを
作成した。
得られた薄膜付き切削チップの薄膜についてラマン分
光分析を行なったところ、1333cm-1の位置にダイヤモン
ドに起因するシャープなピークが、また、1550cm-1付近
にダイヤモンド状炭素に起因するブロードなピークが認
められた。
さらに、走査型電子顕微鏡によるSEM像から膜厚は約
3μmであり、自形面が認められた。
次いで、この薄膜付き切削チップにつき、前記実施例
1と同様にして切削試験を行なって、薄膜と切削チップ
との密着性を評価した。
結果を第1表に示す。
(比較例2) 前記実施例3において、電解研磨を行なわなかったほ
かは、前記実施例3と同様にして薄膜付き切削チップを
作成した。
得られた薄膜付き切削チップの薄膜についてラマン分
光分析を行なったところ、1333cm-1の位置にダイヤモン
ドに起因するシャープなピークが、また、1550cm-1付近
にダイヤモンド状炭素に起因するブロードなピークが認
められた。
さらに、走査型電子顕微鏡によるSEM像から膜厚は約
3μmであり、自形面が認められた。
次いで、この薄膜付き切削チップにつき、前記実施例
1と同様にして切削試験を行なって、薄膜と切削チップ
との密着性を評価した。
結果を第1表に示す。
(評価) 第1表から明らかなように、本発明の方法によりダイ
ヤモンド類薄膜を被覆してなる切削チップは、比較例1
および比較例2の切削チップに比較して、ダイヤモンド
類薄膜に剥離が生じにくくて切削チップとダイヤモンド
類薄膜との密着性が向上していることを確認した。
[発明の効果] 本発明によると、 (1) 予め電解研磨による表面処理を行なった薄膜被
形成部材に、ダイヤモンド薄膜および/またはダイヤモ
ンド状炭素薄膜からなる被膜を形成するので、たとえ
ば、ダイヤモンド類薄膜との密着性に悪影響を及ぼすこ
とが知られているCoを含有する超硬合金からなる薄膜被
形成部材についても、効率的かつ選択的にCoを除去する
ことが可能であって、表面ホモロジーの改質が達成可能
であり、 (2) したがって、薄膜被形成部材の材質にかかわら
ず、薄膜被形成部材の表面に均一に微細な傷を形成する
ことができるので、薄膜被形成部材とダイヤモンド類薄
膜との充分な密着性を達成することができる、 という利点を有するダイヤモンド類薄膜による被覆方法
を提供することができる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】薄膜被形成部材の表面にダイヤモンド膜お
    よび/またはダイヤモンド状炭素膜の被膜を形成する方
    法において、予め電解研磨による前記薄膜被形成部材の
    表面処理を行なうことを特徴とするダイヤモンド類薄膜
    による被覆方法。
JP1037883A 1989-02-17 1989-02-17 ダイヤモンド類薄膜による被覆方法 Expired - Lifetime JP2720384B2 (ja)

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