JP2543132B2 - ダイヤモンド薄膜付き超硬合金およびその製造方法 - Google Patents

ダイヤモンド薄膜付き超硬合金およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はダイヤモンド薄膜付き超硬合金に関し、さら
に詳しく言うと、超硬合金とダイヤモンド薄膜との密着
性に優れたダイヤモンド薄膜付き超硬合金に関する。
[従来の技術および発明が解決しようとする課題] 従来、超硬合金の表面にダイヤモンド薄膜を形成して
なるダイヤモンド薄膜付き超硬合金がある。
ダイヤモンドは最も固い物質であるので、切削工具、
研磨工具等の工具に使用される超硬合金の表面にダイヤ
モンド薄膜を形成させると、さらに優れた前記工具が得
られるはずである。しかしながら、超硬合金の表面とダ
イヤモンドとは、通常その密着性が悪い。そこで、前記
超硬合金の表面とダイヤモンドとの密着性の向上を図る
ために、超硬合金とダイヤモンド薄膜との間に中間層を
形成する技術が開発されている。
たとえば、特開昭58−126972号公報には、超硬合金の
表面に先ずIV a,V a,VI aの族金属の炭化物、窒化物、
ホウ化物および酸化物から選ばれた一種以上よりなる中
間層を形成し、その後に前記中間等の上にダイヤモンド
薄膜を形成することが記載されている。
また、特開昭59−159981号公報には、CVD法等によ
り、W,Nb,Ta,V,Cr,Hfなどの金属上にダイヤモンド薄膜
を形成してなる工具が記載されている。
しかしながら、前記いずれの公報においても、中間層
を形成した後にダイヤモンド薄膜を形成すると言う段階
的な薄膜形成方法を採用しているので、密着性の向上を
図ると言いながら、超硬合金とダイヤモンド薄膜との密
着性が実用的なレベルにまで充分に改善されているとは
言い難い。
本発明の目的は、超硬合金とダイヤモンド薄膜との密
着性に優れたダイヤモンド薄膜付き超硬合金を提供する
ことを目的とするものである。
本発明の他の目的は、前記のように優れた密着性を有
するダイヤモンド薄膜付き超硬合金を利用した工具を提
供することである。
さらにまた、本発明の目的は、前記のように優れた密
着性を有するダイヤモンド薄膜付き超硬合金を簡単な操
作で製造することのできる方法を提供することである。
[前記課題を解決するための手段] 前記課題を解決するために本発明者が鋭意研究した結
果、従来のように、超硬合金の表面に、IV a,V a,VI a
族金属あるいはSiの炭化物、窒化物、ホウ化物および酸
化物から選ばれた一種以上よりなる中間層を形成し、そ
の後にその中間層の上にダイヤモンド薄膜を形成すると
言う操作によらずとも、驚くべきことに、超硬合金の表
面に、特定の金属の層を形成しておいてから、その金属
層に、前記原料ガスを励起して得られるガスを接触させ
ると、前記目的を達成することができることを見出して
本発明に到達した。
すなわち、前記目的を達成するための請求項1に記載
の発明は、超硬合金と、原料ガス中の濃度が2モル%以
上である炭素源ガスを含有する原料ガスを励起して得ら
れたガスを、前記超硬合金上のIV a,V aおよびVI a族金
属ならびにSiよりなる群から選択される少なくとも一種
の金属で形成され、かつ、その厚みが0.05〜1μmの範
囲内にある層に、接触させることにより形成されてなる
中間層と、前記中間層上形成され、かつ、その厚みが0.
2〜100μmであるダイヤモンド薄膜とからなることを特
徴とするダイヤモンド薄膜付き超硬合金である。
また、前記目的を達成するための請求項6に記載の発
明は、前記請求項1に記載のダイヤモンド薄膜付き超硬
合金を備えてなることを特徴とする工具である。
さらにまた、前記目的を達成するための請求項7に記
載の発明は、超硬合金上にIV a,V a,およびVI a族金属
ならびにSiよりなる群から選択される少なくとも一種の
金属で形成されると共にその厚みが0.05〜1μmの範囲
内にある中間層に、原料ガス中の濃度が2モル%以上で
ある炭素源ガスを含有する原料ガスを励起して得られた
ガスを接触させることにより、その厚みが0.2〜100μm
であるダイヤモンド薄膜を形成することを特徴とするダ
イヤモンド薄膜付き超硬合金の製造方法である。
本発明にかかるダイヤモンド薄膜付き超硬合金におい
ては、超硬合金の表面に、たとえば金属の炭化物からな
る中間層を形成し、その後にその中間層の上にダイヤモ
ンド薄膜を形成してなる従来のダイヤモンド薄膜付き超
硬合金におけるよりも、超硬合金とダイヤモンド薄膜と
の密着性が大きい。
従来のダイヤモンド薄膜付き超硬合金においては何故
に密着性が小さいのか、今のところ不明である。案ずる
に、従来のダイヤモンド薄膜付き超硬合金においては、
粒径の大きなダイヤモンド結晶が前記中間層中に形成さ
れ、中間層上に接するダイヤモンド粒子と中間層表面と
の間に微少な空隙が生じていて、この空隙により密着性
が低下しているものとも考えられる。
本発明においてダイヤモンド薄膜付き超硬合金が大き
な密着性を有するのは、本発明における特定の金属層に
特定の励起ガスを接触させて反応を開始すると、接触開
始直後においては前記金属の炭化物が形成されるのであ
ろうが、反応開始後に極めて微細なダイヤモンド粒子の
形成反応も生じて金属の炭化反応とダイヤモンドの合成
反応とが同時に進行し、前記金属の炭化反応が終了して
からは微少な結晶のダイヤモンドが生成するから、金属
の炭化物である中間層とダイヤモンド薄膜層との界面に
は空隙が無く、しかも形成されるダイヤモンドは微結晶
状態であるのでこのダイヤモンドと金属炭化物の表面と
の接触面積が非常に大きくなっているからであると推定
される。
この微結晶のダイヤモンドが形成されていると言うこ
とは重要であり、微結晶のダイヤモンドであるが故に、
ダイヤモンド薄膜の形成が可能になり、しかも、超硬合
金との熱膨張差により発生する応力の軽減を図ることが
でき、これによってもダイヤモンド薄膜の密着性の向上
が達成されているのであろう。
また未確認ではあるが、励起ガスを接触させて形成さ
れる金属の炭化物層の表面近くでは一部ダイヤモンド微
結晶が食込んで形成されている可能性も考えられる。
以下に本発明についてさらに詳細に説明する。
請求項1に記載の発明において、超硬合金はダイヤモ
ンド薄膜を形成させる基材として用いる。
使用に共される超硬合金には特に制限はなく、IV a,V
a,およびVI a族金属よりなる群から選択される少なく
とも一種の炭化物を含有するものを使用することができ
るし、また、たとえばWC−Co系合金、WC−TiC−Co系合
金、WC−TiC−TaC−Co系合金などの中から適宜に選択し
て用いることもできる。
本発明において好ましいのは、少なくとも80重量%以
上のWC成分を含有する超硬合金である。
請求項1に記載の発明において、中間層は、超硬合金
上に、IV a,V a,およびVI a族金属ならびにSiよりなる
群から選択される少なくとも一種の金属により形成され
ると共にその厚みが0.05〜1μmの範囲内にある層(以
下、単に金属層と称することがある。)に、特定の原料
ガスを励起して得られたガスを接触させることにより形
成された炭化物を有する。
前記金属層を形成するIV a,V a,VI a族金属として
は、たとえばTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Wなど
を挙げることができる。
超硬合金を形成する金属種とこの前記金属層を形成す
る金属種との組合わせは重要である。できるだけ、超硬
合金を形成する金属種と前記金属層を形成する金属種と
は同種であるのが好ましい(請求項2)。同種金属であ
ることにより、中間層と超硬合金との密着性が大きくな
る。
超硬合金を形成する金属種とこの超硬合金の上の金属
種とを同種にする場合のその金属としてはタングステン
(W)が好ましい(請求項3)。
超硬合金上のIV a,V aもしくはVI aの族金属またはSi
の層はコーティング法により形成することができる。
前記コーティング法としては、たとえば、真空蒸着
法、イオンプレーティング法、MOCVD法、スパッタリン
グ法等を採用することができる。
超硬合金上のIV a,V aもしくはVI aの族金属またはSi
の層の厚みは、0.05〜1μmであり、好ましくは0.1〜
0.5μmである。
前記金属層の厚みが0.05μm未満であると超硬合金と
ダイヤモンド薄膜との密着性を充分なものとすることが
できないし、また、厚みが1μmを越えると金属層が完
全に炭化されないことによって、前記密着性を充分に高
めることができない。これは、W2C等の不完全な炭化物
が生成し、このW2CはWC等に比べて脆いものであるから
と推定される。
さらにまた、前記金属層が炭化された中間層は、その
粒径が0.5μm以下であり(請求項5)、特に0.1〜0.05
μm程度であるのが好ましい。
前記中間層の粒径が0.5μm以下であると中間層の表
面が平滑になり、形成されるダイヤモンド薄膜の粒径も
小さくなって、密着性が向上する。
請求項1に記載の発明においては、中間層が、特定の
原料ガスを励起して得たガスを、超硬合金上のIV a,V a
およびVI a族金属ならびにSiによりなる群から選択され
る少なくとも一種の金属の層に、接触させることにより
形成されてなる炭化物であり、請求項7の方法により炭
化物である前記中間層が形成され、中間層の形成と同時
にダイヤモンド薄膜の一部も形成される。
なお、本発明においては、ダイヤモンドと言うとき、
ダイヤモンド状炭素を一部において含有するダイヤモン
ドを含めている。
本発明における炭素源ガスとしては、たとえばメタ
ン、エタン、プロパン、ブタン等のパラフィン系炭化水
素;エチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィン系
炭化水素;アセチレン、アリレン等のアセチレン系炭化
水素;ブタジエン等のジオフィレン系炭化水素;シクロ
プロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキ
サン等の脂環式炭火水素;シクロブタジエン、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、ナフタレン等の芳香族炭化水
素;アセトン、ジエチルケトン、ベンゾフェノン等のケ
トン類;メタノール、エタノール等のアルコール類;ト
リメチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;炭酸
ガス、一酸化炭素、過酸化炭素;さらに、単体ではない
が、ガソリン等の消防法危険物第4類、第1類、ケロシ
ン、テレピン油、しょうのう油等の第2石油類、重油等
の第3石油類、ギヤー類、シリンダー油等の第4石油類
も使用することができる。また前記各種の炭素化合物を
混合して使用することもできる。
これらの中でも、好ましいのは、メタン、エタン、プ
ロパン等のパラフィン系炭化水素、アセトン、ベンゾフ
ェノン等のケトン類、トリメチルアミン、トリエチルア
ミン等のアミン類、炭酸ガス、一酸化炭素であり、特に
一酸化炭素が好ましい。
特に一酸化炭素が好ましいのは、一酸化炭素を2〜50
モル%という高い濃度で有する原料ガスを使用してダイ
ヤモンドを製造することができるので、金属層の完全炭
化を促進することができるからである。
また、好適な炭素源ガスとして一酸化炭素を使用する
場合、一酸化炭素と水素ガスとを組合わせるのが好まし
い。一酸化炭素と水素ガスとを組合わせた原料ガスによ
ると、ダイヤモンド薄膜の成長速度が速いからである
(たとえば、同一条件では、メタンと水素ガスとを組合
わせた原料ガスの場合の2〜10倍のダイヤモンド薄膜の
成長速度が得られることがある。)。
前記一酸化炭素としては特に制限がなく、たとえば石
炭、コークス等と空気または水蒸気を熱時反応させて得
られる発生炉ガスや水性ガスを十分に精製したものを用
いることができる。
前記水素ガスとしては、特に制限がなく、たとえば石
油類のガス化、天然ガス、水性ガス等の変成、水の電
解、鉄と水蒸気との反応、石炭の完全ガス化等により得
られるものを十分に精製したものを用いることができ
る。
水素ガスと一酸化炭素との混合ガスを原料ガスとして
使用する場合、一酸化炭素ガスの含有量が2〜50モル
%、好ましくは5〜30モル%、さらに好ましくは10〜20
モル%となる割合で原料ガスを調整するのが好ましい。
前記混合ガス中の一酸化炭素ガスの含有量が2モル%
よりも少ないと、前記金属層が十分に炭化されず、また
炭化されたとしても、たとえばW2Cが生成して脆いもの
となることがある。一酸化炭素ガスの含有量が50モル%
を越えると堆積するダイヤモンド薄膜の純度が低下する
ことがある。
なお、炭素源ガスには、不活性ガスを混入させても良
い。不活性ガスは炭素源ガスのキャリヤーガスとして用
いることができる。
この不活性ガスとしては、たとえば窒素ガス、アルゴ
ンガス、ネオンガス、キセノンガスなどが挙げられる。
前記炭素源ガス励起手段としては、ダイヤモンドの合
成に従来より慣用されている各種の方法の中から任意の
方法を用いることができる。
具体的には、たとえば直流を印加してプラズマ分解す
る方法、高周波を印加してプラズマ分解する方法、マイ
クロ波無極放電によりプラズマ分解する方法、あるいは
プラズマ分解をイオン室またはイオン銃で行なわせ、電
界によりイオンを引出すイオンビーム法などの各種プラ
ズマ分解法、熱フィラメントによる加熱により熱分解す
る熱分解法などが挙げられる。これらの中でも、好まし
いのは各種プラズマ分解法であり、中でもマイクロ波プ
ラズマによる分解が最も好ましい。
なお、前記炭素源ガスをプラズマ分解する場合のプラ
ズマ出力は、通常、0.1kw以上である。プラズマ出力が
0.1kw未満であると、プラズマが充分に発生しないこと
がある。
請求項7の方法においては、通常、以下の条件下に反
応が進行して、超硬合金上の前記金属層が炭化物の中間
層に変化すると共にダイヤモンド薄膜が形成されると考
えられる。
すなわち、前記超硬合金からなる基板表面の温度は、
前記原料ガスの活性化手段により異なるので、一概に決
めることはできないが、たとえばプラズマ分解による場
合には、通常、400〜1,200℃で、好ましく450〜1,100℃
である。この温度が400℃よりも低いと、ダイヤモンド
薄膜の形成が不充分になることがある。一方、1,200℃
を超えると、中間層の形成と共に堆積したダイヤモンド
薄膜がエッチングにより削り取られてしまい結果的にダ
イヤモンド薄膜が形成されないことがある。
反応圧力は10-5〜103torr、好ましくは10-3〜103torr
である。反応圧力が10-5torrよるも低いと、ダイヤモン
ド薄膜の形成速度が遅くなることがある。一方、103tor
rより高くしてもそれに相当する効果は奏されず、場合
によってはダイヤモンド膜の形成速度あるいは密着性の
低下を招くことがある。
反応応力時間は所望のダイヤモンド膜の厚みが0.2〜1
00μmとなるようにダイヤモンド膜の形成速度応じて適
宜に設定することができる。
請求項7の方法によって、超硬合金上に前記請求項1
に記載の中間層が形成されると共にダイヤモンド薄膜が
形成される。
そして、中間層とダイヤモンド薄膜との境界面がSEM
像により僅かに観察される程度に形成される。
したがって、中間層の厚みを超硬合金から厳密に規定
することができないのであるが、請求項1における中間
層の厚みは0.05〜1μmである。
また、ダイヤモンド薄膜層の厚みについても、前述の
理由により明確に規定することができないのであるが、
ダイヤモンド薄膜の厚みは、0.2〜100μmである。好ま
しい厚みとしては、0.3〜30μmであり、特に0.5〜5μ
mである。
ダイヤモンド薄膜が0.2μmよりも薄いと超硬合金の
表面を充分に被覆することができないし、また、ダイヤ
モンド薄膜の厚みが100μmよりも大きいと超硬合金と
中間層とダイヤモンド薄膜との熱膨張の相違によりダイ
ヤモンド薄膜が剥離する。
本発明におけるダイヤモンド薄膜は、超硬合金の表面
にダイヤモンドの一部混在する中間層上に形成されてい
ると考えられ、従来のものよりもはるかに大きな密着性
を有しているので、このダイヤモンド薄膜付き超硬合金
は、たとえばバイト、カッター、エンドミルなどの各種
工具として特に好適に利用することができる。
[実施例] (実施例1〜7、比較例1〜4) 超硬合金からなる切削チップ(JIS K 10 SPGN 422)
を、ランゲルE(10倍稀釈液、液温50℃、日化精工
(株))で3回、純水で3回そしてイソプロピルアルコ
ールで3回の洗浄処理に付して表面の汚れ、油成分およ
び錆等を除去した。なお、各回の洗浄操作は60秒であ
り、3回の内の2回目の洗浄においては超音波処理を併
用した。
次いで、前記切削チップの表面に真空蒸着法によりタ
ングステンをコーティングした。
真空蒸着の条件は以下の通りである。
真空度;10-5Torr 切削チップの温度;300℃ 堆積速度;10Å/sec 次いで、この切削チップを基板として反応室内に設置
し、基板温度900℃、反応室内の圧力50torrの条件下
に、周波数2.45GHzのマイクロ波電源の出力を350Wに設
定するとともに、反応室内への原料ガス流量として一酸
化炭素ガスと水素ガスとの全量を100sccmに設定し、ま
た一酸化炭素ガスの濃度を第1表に示す値にして、第1
表に示す時間をかけて反応を行なって、前記温度に制御
した基板上に堆積物を得た。
XRDにより、原料ガスの接触後の切削チップ表面の金
属層の分析、前記堆積層の中間層の分析を行って、その
成分を決定した。
得られた堆積物の表面について、ラマン分光分析を行
なったところ、ラマンスペクトルの1333cm-1付近にダイ
ヤモンドに起因するピークが見られ、不純物のないダイ
ヤモンド薄膜であることを確認した。
切削チップの表面に形成された中間層およびダイヤモ
ンド薄膜の厚みおよび粒径(単位;μm)についてはSE
M像により測定した。
さらに、中間層を介してダイヤモンド薄膜を形成して
なる切削チップについて、以下の条件下に切削試験を行
なった。
被削材;Al−8重量%Si合金. 切削速度;800m/sec. 送り;0.1mm/rev. 切込み;0.25mm. 切削時間;10min.100min.1,000min. 試験後、被切削材溶着物を稀塩酸で除去し、切削チッ
プの切刃の状態を走査型電子顕微鏡(日本電子(株)
製、JSM840)で観察した。
以上の試験結果および観察結果を第1表に示す。
(実施例8〜10) 切削チップの表面に、タングステンの代りにシリコン
をコーティングし(実施例8)、チタンをコーティング
し(実施例9)、ハフニウムをコーティングして(実施
例10)、中間層の厚みおよび粒径を実施例4におけるの
と同様になるようにしたほかは、前記実施例2と同様に
実施した。
結果を第1表に示す。
(実施例11) 切削チップにおける超硬合金をJIS K20とした他は前
記実施例2と同様に実施した。
結果を第1表に示す。
(比較例5) 前記実施例で使用した洗浄剤の切削チップに、中間層
を形成することなく、前記実施例2と同様の条件でプラ
ズマCVD法によりダイヤモンド薄膜を形成した。
結果を第1表に示す。
(比較例6) 洗浄処理を施したところの実施例1におけるのと同じ
切削チップの表面に、900℃に加熱しながら、WF6、CH4
およびH2の混合気流を50torrにて30分間流すことによ
り、0.5μm厚のWC皮膜を形成した。
このWC皮膜を形成した切削チップを実施例1と同様に
処理してその表面にダイヤモンド薄膜を形成した。
結果を第1表に示す。
[発明の効果] この発明によると、 (1) 従来のダイヤモンド薄膜付き超硬合金における
よりも超硬合金とダイヤモンド薄膜との密着性の大きな
ダイヤモンド薄膜付き超硬合金を提供することができ、 (2) 密着性に優れたダイヤモンド膜を超硬合金上に
形成したダイヤモンド薄膜付き超硬合金を利用したとこ
ろの、耐摩耗性に優れるとともに剥離をない工具を提供
することができ、 (3) 超硬合金の表面が粗面であっても金属層をコー
ティングするのでダイヤモンド薄膜を形成する表面を均
一なものとすることができ、これによって、緩密なダイ
ヤモンド薄膜を形成することができ、前記のように優れ
た密着性を有するダイヤモンド薄膜付き超硬合金を簡単
な操作で容易に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 正一 愛知県名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊陶業株式会社内 (72)発明者 飯尾 聡 愛知県名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊陶業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−106494(JP,A) 特開 昭62−133068(JP,A) 特開 昭62−86161(JP,A) 特開 昭61−15972(JP,A)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】超硬合金と、原料ガス中の濃度が2モル%
    以上である炭素源ガスを含有する原料ガスを励起して得
    られたガスを、前記超硬合金上のIV a,V aおよびVI a族
    金属ならびにSiよりなる群から選択される少なくとも一
    種の金属で形成され、かつ、その厚みが0.05〜1μmの
    範囲内にある層に、接触させることにより形成されてな
    る中間層と、前記中間層上に形成され、かつ、その厚み
    が0.2〜100μmであるダイヤモンド薄膜とからなること
    を特徴とするダイヤモンド薄膜付き超硬合金。
  2. 【請求項2】前記超硬合金における金属種と、前記中間
    層における金属種とが同種である前記請求項1に記載の
    ダイヤモンド薄膜付き超硬合金。
  3. 【請求項3】前記超硬合金における金属種の主成分がタ
    ングステンであり、前記中間層中における金属種の主成
    分がタングステンである前記請求項1または前記請求項
    2に記載のダイヤモンド薄膜付き超硬合金。
  4. 【請求項4】前記原料ガスが、水素ガスと一酸化炭素と
    を含んでなる前記請求項1に記載のダイヤモンド薄膜付
    き超硬合金
  5. 【請求項5】前記中間層はその粒径が0.5μm以下の炭
    化物である前記請求項1から前記請求項4までのいずれ
    かに記載のダイヤモンド薄膜付き超硬合金。
  6. 【請求項6】前記請求項1から前記請求項5までのいず
    れかに記載のダイヤモンド薄膜付き超硬合金を備えてな
    ることを特徴とする工具。
  7. 【請求項7】超硬合金上にIV a,V a,およびVI a族金属
    ならびにSiよりなる群から選択される少なくとも一種の
    金属で形成されると共にその厚みが0.05〜1μmの範囲
    内にある中間層に、原料ガス中の濃度が2モル%以上で
    ある炭素源ガスを含有する原料ガスを励起して得られた
    ガスを接触させることにより、その厚みが0.2〜100μm
    であるダイヤモンド薄膜を形成することを特徴とするダ
    イヤモンド薄膜付き超硬合金の製造方法。
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