JP2716598B2 - マレイミド系共重合体の製造方法 - Google Patents

マレイミド系共重合体の製造方法

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JP2716598B2
JP2716598B2 JP3082682A JP8268291A JP2716598B2 JP 2716598 B2 JP2716598 B2 JP 2716598B2 JP 3082682 A JP3082682 A JP 3082682A JP 8268291 A JP8268291 A JP 8268291A JP 2716598 B2 JP2716598 B2 JP 2716598B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、耐熱性と耐衝撃性が
高く、熱安定性に優れ、加工性に富んだマレイミド系共
重合体の製造方法に関する。さらに詳しくは、共重合体
組成が均質であり、成形材料としてまたは熱可塑性樹脂
に配合して耐熱性等の諸性質を改良するための材料など
として有効なマレイミド系共重合体の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】マレイミド系単量体と芳香族ビニル系単
量体を共重合して得られるマレイミド系共重合体は、高
い熱変形温度と熱分解温度を有する熱可塑性樹脂である
ことが知られている。マレイミド系単量体と芳香族ビニ
ル系単量体とのラジカル重合を行う場合、交互共重合性
が高いため先ずマレイミド系単量体単位と芳香族ビニル
系単量体単位のモル比が1:1である交互共重合体が優
先的に得られ、その後、過剰な単量体の単独重合体が得
られることになる。1:1交互共重合体は、高い熱変形
温度を有しているため溶融成形に極めて高い温度を必要
とする上、もろいという欠点がある。また、1:1交互
共重合体と単独重合体が混在している不均質な共重合体
は強靭性に劣るという欠点がある。
【0003】これまで、均質な組成を有する共重合体を
得るために種々の努力がなされている。たとえば、米国
特許第2971939号では、ビニル系単量体を反応系
に仕込んで重合を開始した後、マレイミド系単量体をビ
ニル系単量体の重合速度より遅い速度で均一に重合系に
添加する方法が提案されている。また、特開昭58−1
62616号公報によれば、芳香族ビニル系単量体を主
体とするビニル系単量体を仕込んだ重合系へマレイミド
系単量体をビニル系単量体の消費速度よりも遅い速度で
供給し、共重合する方法が提案されている。さらに、特
開平2−51514号公報によると、特定のマレイミド
系共重合体を得るために、重合系への仕込み比率、溶媒
の使用比率、重合転化率等を特定範囲内でコントロール
するとともに、マレイミド系単量体の滴下終了後に熟成
工程を設ける方法が示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これらの方法によれ
ば、マレイミド系単量体単位と芳香族ビニル系単量体単
位を1対1のモル比で含む共重合体は得られにくくなる
ものの、共重合体中のマレイミド系単量体単位の含有率
が反応の進行とともに変化し、最終的には、芳香族ビニ
ル系単量体単位に富んでいる分子からマレイミド系単量
体単位に富んでいる分子まで広い分布を持つ共重合体と
なり、マレイミド系単量体単位の含有率が平均値とほぼ
等しくなる分子の割合が非常に低くなる。このような共
重合体は、耐熱性、成形性、耐衝撃性をすべて満足する
ものではない。
【0005】そこで、この発明は、耐熱性と耐衝撃性に
優れ、かつ、溶融成形性の良いマレイミド系共重合体の
製造方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、この発明は、あらかじめ芳香族ビニル系単量体の全
量のうち10〜80wt%を反応系に仕込んでおき、重合
開始後の反応系内の芳香族ビニル系単量体/マレイミド
系単量体のモル比が2〜200の範囲内であってかつ所
期値の上下20%以内となるように、反応系に対してマ
レイミド系単量体の全量と芳香族ビニル系単量体の残量
を徐々に供給しながら重合させるマレイミド系共重合体
の製造方法を提供する。
【0007】上記製造方法により、芳香族ビニル系単量
体単位(A)80.0〜40.0wt%、マレイミド系単
量体単位(B)20.0〜60.0wt%、および、これ
らと共重合可能な単量体単位(C)0〜30.0wt%
(ただし、(A)、(B)および(C)の合計量10
0.0wt%)からなり、マレイミド系単量体単位(B)
の含有率が平均値の上下10%以内である分子を95wt
%以上含むマレイミド系共重合体を得ることができる。
【0008】マレイミド系共重合体中の、芳香族ビニル
系単量体単位(A)は芳香族ビニル系単量体(a)か
ら、マレイミド系単量体単位(B)はマレイミド系単量
体(b)から、単量体単位(C)は単量体(a)および
(b)と共重合可能な単量体(c)から、それぞれ導か
れる。単量体単位(A)、(B)および(C)の比率
は、単量体単位(A)80.0〜40.0wt%、単量体
単位(B)20.0〜60.0wt%、単量体単位(C)
0〜30.0wt%(ただし、単量体単位(A)〜(C)
の合計量100.0wt%)となっていることが好まし
。単量体単位(A)の比率が前記範囲を上回ると耐熱
性が低下するとともに熱可塑性樹脂と配合する際の相溶
性が低下するという問題があり、下回ると加工性、耐衝
撃性が低下するという問題がある。単量体単位(B)の
比率が前記範囲を上回ると成形加工性が悪くなるととも
に耐衝撃性が低下するという問題があり、下回るとマレ
イミド系共重合体が樹脂組成物に充分な耐熱性を付与す
ることができないという問題がある。単量体単位(C)
の比率が30.0wt%を上回ると加工性、耐衝撃性等に
おける物性のバランスが得られにくくなるという問題が
ある。
【0009】なお、この発明の製造方法によって、マレ
イミド系単量体単位(B)の含有率が45.0〜60.
0wt%の範囲内であって平均値の上下10%以内である
分子を95wt%以上含むマレイミド系共重合体を得るこ
も可能である。前記単量体単位(A)、(B)および
(C)の配列は、ランダムであっても、ブロック部分を
含有していてもかまわない。
【0010】この発明によって得られるマレイミド系共
重合体は、マレイミド系単量体単位(B)の含有率が平
均値の上下10%以内である分子を95wt%以上含むこ
とが好ましい。95wt%未満だと耐熱性、成形性および
耐衝撃性をすべて満足することはできない。このような
特定の分子の含有率は直接測定して求めてもよいが、つ
ぎのようにして間接的に求めてもよい。たとえば、共重
合体の重合開始後定常状態になってから終了までの間、
微小時間ごとに、反応系内の芳香族ビニル系単量体とマ
レイミド系単量体のモル比を測定し、各時間間隔ごとの
芳香族ビニル系単量体/マレイミド系単量体のモル比が
2〜200の範囲内であって所期値の上下20%以内と
なるように、あるいは、生成した共重合体中のマレイミ
ド系単量体単位(B)の含有率を測定し、各時間間隔ご
とのマレイミド系単量体単位(B)含有率が20.0〜
60.0wt%の範囲内であって平均値の上下10%以内
となるように、反応系に対してマレイミド系単量体の全
量と芳香族ビニル系単量体の残量を徐々に供給すること
により得られたマレイミド系共重合体は、マレイミド系
単量体単位(B)の含有率が平均値の上下10%以内で
ある分子を95wt%以上含んでいるとみなせる。マレイ
ミド系単量体単位(B)の含有率が20.0〜55.0
wt%であるマレイミド系共重合体を作る場合には、芳香
族ビニル単量体/マレイミド系単量体のモル比は、2〜
200の範囲内であって、かつ、所期値の上下10%以
下となるように操作することがより好ましい。ここで微
小時間間隔とは、たとえば、マレイミド系共重合体の1
%が生成するための時間は反応条件により異なるが、
0.5〜5分であり、この間隔で組成の変動を確認すれ
ば十分であるが、この発明では、単量体濃度比、重合温
度が重合開始から終了までの間ほぼ一定となるように保
持されるよう反応条件を決定することができるので、
0.5〜1時間間隔で代替することができる。そして、
このような時間間隔で反応条件を一旦設定すれば後はい
ちいち含有率の測定を行わなくても、設定された反応条
件を維持するようにして反応を行えばよいのである。共
重合体のうちの5wt%未満を占める分子は、マレイミド
系単量体単位(B)の含有率が平均値の上下10%を越
えるものであってもよい。ここで徐々に供給するとは、
たとえば、供給物の全量をいちどに供給するのではな
く、連続的または断続的に供給することを指し、通常、
滴下することである。
【0011】この発明によって得られるマレイミド系共
重合体は、一般に、重量平均分子量5万〜100万、数
平均分子量2万〜30万、温度240℃における粘度2
0,000〜1,000,000cps、ガラス転移温
度130〜210℃、ガラス転移温度幅5〜15℃とい
う物性を有する。ガラス転移温度幅とは、たとえば次の
ように定義される。DSC(示差走査熱量測定)によっ
て共重合体のガラス転移温度(Tg)の測定を行い、図
3にみるように、Tgの前後での示差熱曲線のベースラ
インD,Eの移動により求まる2つのベースライン(平
行でも平行でなくてもよい)とその中間点での曲線の接
線Fが交差する温度をTg1、Tg2(℃)とした時(た
だし、Tg1>Tg2とする)、ガラス転移温度幅はTg
1−Tg2(℃)として求めることができる。これらの物
性の中でも、ガラス転移温度幅が上記のように狭い範囲
になるのは、この発明によって得られるマレイミド系共
重合体が従来のものに比べて非常に狭い組成分布を有す
ることを示している。
【0012】この発明に用いるマレイミド系単量体
(b)は、
【0013】
【化1】
【0014】で表される化合物であり、たとえばマレイ
ミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、
N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミ
ド、N−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミ
ド、N−ターシャリブチルマレイミド、N−シクロヘキ
シルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−クロル
フェニルマレイミド、N−メチルフェニルマレイミド、
N−ブロモフェニルマレイミド、N−ナフチルマレイミ
ド、N−ラウリルマレイミド、2−ヒドロキシエチルマ
レイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−メ
トキシフェニルマレイミド、N−カルボキシフェニルマ
レイミド、N−ニトロフェニルマレイミド等を挙げるこ
とができ、これらのうちの1種または2種以上を使用す
ることができる。
【0015】この発明に用いる芳香族ビニル系単量体
(a)は、
【0016】
【化2】
【0017】で表される化合物であり、たとえば、スチ
レン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−
メチルスチレン(o−,m−,p−メチルスチレンをビ
ニルトルエンとも言う)、1,3−ジメチルスチレン、
2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、p−第3
級ブチルスチレンなどのアルキルスチレン;α−メチル
スチレン、α−エチルスチレン、α−メチル−p−メチ
ルスチレン;ビニルナフタレン;o−クロロスチレン、
m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、2,4−ジ
ブロモスチレンなどのハロゲン化スチレン;2−メチル
−4−クロロスチレンなどのハロゲン化アルキルスチレ
ン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を
使用することができる。生産性および物性のバランスの
点からは、特に、スチレン、ビニルトルエンおよびα−
メチルスチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種
を用いるのが望ましい。なお、芳香族ビニル系単量体を
用いずに、脂肪族ビニル系単量体を用いると、単量体の
反応性が低く、また得られた共重合体の耐熱性が低く、
かつ吸湿性が大きいという問題がある。
【0018】前記単量体(c)は、芳香族ビニル系単量
体(a)およびマレイミド系単量体(b)以外の、エチ
レン性不飽和結合を持つ化合物であり、たとえば、耐衝
撃性、耐溶剤性、相溶性を向上させるという目的で使用
される。単量体(c)としては、たとえば、アクリロニ
トリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フ
ェニルアクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;シクロ
アルキル基およびベンジル基を含む、炭素数1〜18の
アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル(たと
えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸
エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル
酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ターシャリブチル、
(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸イソア
ミル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル
酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、
(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シク
ロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル等);エチレ
ン、プロピレン、イソブチレン、ジイソブチレン等のオ
レフィン類;ブタジエン、イソプレン等のジエン類;塩
化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル
等のハロゲン化ビニル類;メチルビニルエーテル、ブチ
ルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、
プロピオン酸ビニル等の飽和モノカルボン酸のビニルエ
ステル類;酢酸アリル、プロピオン酸アリル等の飽和脂
肪族モノカルボン酸のアリルエステル類またはメタリル
エステル類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ
ビニルベンゼン、ジアリルフタレート、トリメチロール
プロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリト
ールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリト
ールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAの
エチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物
のジ(メタ)アクリレート、ハロゲン化ビスフェノール
Aのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付
加物のジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートのト
リ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートのエチレン
オキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物のジまた
はトリ(メタ)アクリレート等の多価(メタ)アクリレ
ート類;トリアリルイソシアヌレート等の多価アリレー
ト類;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシ
ジルエーテル、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレ
イン酸、フマル酸あるいはこれらの半エステル化物等が
挙げられ、目的に応じて1種または2種以上が用いられ
るが、それらの種類および使用量はこの発明の目的を逸
脱しない範囲で選択すればよい。単量体(c)の使用量
は、全単量体使用量に対する重量比率で0〜30wt%が
好ましく、0〜20wt%がより好ましい。単量体(c)
の使用量が前記範囲よりも多いと未反応成分として残存
する量が増大するおそれがある。
【0019】この発明では、重合は次のように行う。反
応容器などの反応系に使用する芳香族ビニル系単量体
(a)の全量のうち10〜80wt%を仕込む。この反応
系に対してマレイミド系単量体(b)の全量と芳香族ビ
ニル系単量体(a)の残量を徐々に供給する。このと
き、反応系内の芳香族ビニル系単量体(a)/マレイミ
ド系単量体(b)のモル比が2〜200の範囲内であっ
て常に所期値の上下20%以内となるように供給を行う
のである。これにより目的とするマレイミド系共重合体
を得ることができる。反応条件における芳香族ビニル系
単量体(a)とマレイミド系単量体(b)との共重合性
によってモル比(a)/(b)と得られる共重合体の組
成とは異なっているが、モル比(a)/(b)が2より
小さい場合には、交互共重合体が得られやすくなり、2
00を越えると共重合体中のマレイミド系単量体単位
(B)の含有率が低くなりすぎて目的とする共重合体が
得られない。重合開始前に反応系に仕込んでおく芳香族
ビニル系単量体(a)の仕込み量が全量の10wt%未満
の場合には未反応芳香族ビニル系単量体の比率が低すぎ
るためモル比(a)/(b)が2よりも小さくなりやす
い。芳香族ビニル系単量体(a)の初期仕込み量を増大
させていくにつれて反応系中の未反応芳香族ビニル系単
量体濃度が高くなるため、マレイミド系単量体(b)の
供給速度を速くすることによって、モル比(a)/
(b)の値を200以下に維持するよう操作することが
できるが、芳香族ビニル系単量体(a)の初期仕込み量
が全量の80wt%を越えて多くなった場合、滴下液中の
マレイミド系単量体(b)の割合が大きくなりマレイミ
ド系単量体(b)の供給速度が速くなりすぎるので、初
期重合における発熱量が大きくなる。このため、工業的
生産においては過大な冷却能力が必要となるとともに、
重合開始時点での内部の温度の調整が複雑になる。
【0020】この発明の製造方法の重合工程において、
重合開始後、すなわち、定常状態になってから終了まで
の間ずっと、上述のように各微小時間間隔ごとにモル比
(a)/(b)の値は2〜200の範囲内であって所期
値の上下20%以内となるように制御される。20%を
越えると、得られる共重合体の組成が経時的に変動し、
組成分布、分子量分布が広くなり、耐熱性、成形性、耐
衝撃性が低下するため好ましくない。
【0021】前記定常状態とは、たとえば、重合開始後
反応系内のマレイミド系単量体の濃度が徐々に上昇し、
その濃度の変動がほぼ一定の傾向を示すようになった時
点、好ましくはほぼ一定の値を維持するようになった時
点を言う。したがって、この発明においては前述のよう
に微小時間ごとのサンプリングにより、生成する共重合
体組成を分析し、平均値の±10%となった時間で示
す。このような時点は、反応条件によって異なるが、た
とえば、滴下など単量体供給開始後、重合転化率2〜5
%である。
【0022】この発明では、重合は、反応系に有機溶媒
を存在させ、沸騰状態で重合を行わせ、その状態におけ
る反応系の温度が所期値の上下2℃以内となるように制
御するのがよい。たとえば、反応系の温度をモニタリン
グしながら、芳香族ビニル系単量体、有機溶剤およびマ
レイミド系単量体のうちの少なくとも1つの滴下速度を
よりコントロールすることができる。反応系の圧力を変
動させることにより、沸点状態を維持することもでき
る。また、除熱が容易になり、暴走反応が防がれる。こ
こで、沸点とは、反応系内の混合物の沸点であるが、芳
香族ビニル系単量体および必要に応じて使用される有機
溶媒が圧倒的に多く存在するので、芳香族ビニル系単量
体と有機溶媒の共沸点とみなせる。
【0023】この発明でいうモル比(a)/(b)の所
期値は、マレイミド系共重合体および各単量体の共重合
性比から予測することはできるが、各重合条件において
好ましくは確認することになる。反応系には、芳香族ビ
ニル系単量体(a)だけを仕込んでおいてもよいし、必
要に応じて単量体(a)と有機溶媒を仕込んでおいても
よい。この場合、有機溶媒の量は、芳香族ビニル系単量
体の重量に対して、たとえば0.5〜20倍の量とされ
る。
【0024】芳香族ビニル系単量体およびマレイミド系
単量体の滴下方法には特に制限はなく、たとえば、マレ
イミド系単量体および芳香族ビニル系単量体を別々にま
たは混合して滴下したり、マレイミド系単量体を芳香族
ビニル系単量体または有機溶媒に溶解もしくは分散させ
て滴下したりする方法を用いればよい。滴下する、芳香
族ビニル系単量体とマレイミド系単量体との比率は、た
とえば芳香族ビニル系単量体80〜20wt%、マレイミ
ド系単量体80〜20wt%とされる。また、有機溶媒を
使用するときには、滴下液中の全単量体の重量に対し
て、たとえば有機溶媒0〜50wt%とされる。
【0025】なお、マレイミド系単量体単位(B)の含
有率が45.0〜60.0wt%であるマレイミド系共重
合体を得るには、反応系における有機溶媒/(有機溶媒
+芳香族ビニル系単量体)の重量比が0.40〜0.9
8となるように有機溶媒を添加するのが好ましい。重量
比が0.40を下回ると反応系の溶液粘度が上昇した
り、攪拌不良が生じることにより組成分布が広くなった
りするおそれがあり、0.98を上回ると芳香族ビニル
系単量体の比率が低くなるため反応速度が低下するおそ
れがある。
【0026】有機溶媒としては、たとえば、トルエン、
キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族溶媒;メチルエ
チルケトン(MEKと略す)、メチルイソブチルケト
ン、シクロヘキサノンなどのケトン;ジメチルフォルム
アミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルフォキシ
ドなどの極性溶媒等が使用される。有機溶媒の使用は、
たとえば、マレイミド系共重合体の溶解性を高め、反応
液の粘度低下および重合中のゲル効果を防ぐことを目的
として行われる。
【0027】この発明では、マレイミド系単量体と芳香
族ビニル系単量体の反応系での濃度比を一定にすること
を満たしていれば、共重合可能な単量体(c)の添加方
法は特に制限はない。使用する単量体(c)の共重合性
を考慮して初期仕込みと滴下との割り振りを設定すれば
共重合体中に均質に存在させることができる。なお、こ
の発明では、反応系に重合開始剤、連鎖移動剤などを存
在させてもよい。重合開始剤としては、たとえば、1,
1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリ
メチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイ
ド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサ
イド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパ
ーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレ
ート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエー
ト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパー
オキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピ
ルカーボネートなどの過酸化物;アゾビスイソブチロニ
トリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビス−
1−シクロヘキサンカルボニトリルなどのアゾ化合物な
ど、マレイミド系単量体と芳香族ビニル系単量体の重合
に通常用いられる化合物が、通常の使用量で使用され
る。重合開始剤は、その全量を反応系に予め仕込んでお
いてもよいし、反応時に供給するようにしてもよい。
【0028】この発明は、たとえば、溶液重合、バルク
重合、乳化重合等の重合方法を採用することができる
が、特に溶液重合において有効である。重合は、たとえ
ば、温度60〜200℃で1〜20時間行う。反応系に
入れた全単量体の重合転化率は、たとえば50〜100
wt%となるようにするのが好ましい。滴下終了後、すな
わち重合終了後、直ちに冷却し、反応液をメタノール等
の溶媒中に添加して重合体を析出させ、濾過分離後、真
空乾燥等によって溶媒等を除去し、マレイミド系共重合
体を得ることができる。
【0029】この発明によって得られるマレイミド系共
重合体は、成形性が良いとともに耐熱性と耐衝撃性に優
れており、さらに、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブ
タジエン−スチレン樹脂)、MBS樹脂(メチルメタク
リレート−ブタジエン−スチレン樹脂)などに代表され
るゴム変性樹脂との混和性にも優れている。このため、
この発明によって得られるマレイミド系共重合体は、ゴ
ム変性樹脂とブレンドすることによって熱変形温度が高
く、さらに高い耐衝撃性を有する耐熱耐衝撃性樹脂を製
造することができる。この発明によって得られるマレイ
ミド系共重合体をゴム変性樹脂とブレンドする場合、2
軸押出機などの装置を用い、通常の作動条件で、ゴム変
性樹脂100重量部に対してマレイミド系共重合体10
〜100重量部の割合でブレンドする。また、この発明
によって得られるマレイミド系共重合体は、高い耐熱性
を持つとともに優れた成形性(流動性)も持っているこ
とから、改質剤として用いることもできる。たとえば、
メチルメタクリレート樹脂、メチルメタクリレート−ス
チレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレ
フタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポ
リフェニレンオキサイド樹脂、塩化ビニル樹脂、塩素化
塩化ビニル樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、ア
クリロニトリル−メチルメタクリレート樹脂、スチレン
−メタクリル酸樹脂、スチレン−メタクリル酸−アクリ
ロニトリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの改質剤
として用いると、耐熱性が向上する。特に、ポリアミド
樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレン
テレフタレート樹脂等の結晶性樹脂との混和性に優れて
おり、これらの樹脂の特徴を損なうことなく耐熱性が向
上し、しかも成形加工性も改良できるので好ましい。上
述のように改質剤として用いる場合には、2軸押出成形
機などの装置を用い、通常の作動条件で、上述の改質さ
れる樹脂100重量部に対してマレイミド系共重合体1
0〜100重量部の割合で混合される。
【0030】
【作用】芳香族ビニル系単量体とマレイミド系単量体と
の共重合は、非常に速く進行し、また、交互共重合性が
強いため、任意の組成のマレイミド系共重合体を得るた
めには、芳香族ビニル系単量体を大過剰に存在させるこ
とが必要となる。しかし、このようなやり方ではマレイ
ミド系単量体の滴下とともに芳香族ビニル系単量体の濃
度変化が大きく生じ、組成、分子量分布が広いものにな
りやすい。従って、芳香族ビニル系単量体が特定の比率
(または濃度)で存在する反応系にマレイミド系単量体
と残りの芳香族ビニル系単量体を徐々に供給することに
よって、供給されたマレイミド系単量体の大半は芳香族
ビニル系単量体との共重合に消費され、定常的にマレイ
ミド系単量体が低濃度で存在することになるとともに、
消費された芳香族ビニル系単量体が補充される。これに
より、芳香族ビニル系単量体とマレイミド系単量体との
反応系での比率を上記特定の範囲内に設定することがで
きる。
【0031】このようにしてマレイミド系単量体単位
(B)の含有率が平均値の上下10%以内である分子を
95wt%以上含むマレイミド系共重合体を得ることがで
き、かかるマレイミド系共重合体は、耐熱性の指標であ
るガラス転移温度(Tg)および加工性の指標であるメ
ルト・フロー・レイト(MFR)ともに向上する。
【0032】
【実施例】以下に、この発明の具体的な実施例および比
較例を示すが、この発明は下記実施例に限定されない。
なお、以下では「部」は「重量部」、「%」は「wt%」
をそれぞれ表す。実施例1〜8および比較例1〜4の原
料組成、スチレンの仕込み比率、重合温度、重合時間を
表1および2にまとめて示した。スチレンの仕込み比率
は、スチレン全量に対して反応系に仕込んだ量の重量百
分率である。
【0033】−実施例1− コンデンサー、攪拌機および滴下ロートを備えた重合釜
に表1に示した組成の初期仕込み原料混合物を仕込み、
十分溶解し、内部を窒素で置換した。重合釜内部の温度
を80℃に昇温し、表1に示した組成の滴下原料混合物
を4時間にわたって均一に滴下した。重合開始剤はt−
ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートを0.4
9重量部用いた。滴下途中、5分間ごとに反応液をサン
プリングし、ガスクロマトグラフィーにより反応液中の
未反応スチレンと未反応マレイミドの量を分析し、未反
応スチレン/未反応マレイミドのモル比(a)/(b)
を求めた。このモル比(a)/(b)が所期値(18
5)の上下20%以内(148〜222)となるよう
に、滴下速度または滴下量を調節した。すなわち、モル
比がこの範囲の下限に近づくと単量体の滴下速度を遅ら
せ、上限に近づくと逆に滴下速度を速めた他は、同じ滴
下量および滴下速度を継続した。滴下終了後、直ちに冷
却して淡黄色の粘稠な最終反応溶液を得た。この最終反
応液を多量のメタノール中に滴下し、析出した固形分を
濾別して洗浄した後、乾燥して白色の共重合体を得た。
【0034】スチレンとフェニルマレイミドの重合率
は、各々全量に対して51.2%、94.7%であり、
元素分析により求めた共重合体中のスチレン単位とフェ
ニルマレイミド単位の平均含有量は、それぞれ、75.
5%と24.5%であった。滴下開始から滴下終了まで
の間の5分間ごとの未反応スチレン/未反応フェニルマ
レイミドのモル比の変動を図1に示した。図1におい
て、M1はモル比の所期値、M2は所期値の下20%の
値、M3は所期値の上20%の値である。各サンプリン
グの際に得られた共重合体中のマレイミド系単量体単位
(B)の含有率の変動を図2に示した。微小時間間隔
(ここでは5分間)中に生成した共重合体中のマレイミ
ド系単量体単位(B)の比率は、サンプリング時までの
各単量体の供給量とサンプリング時における各単量体の
存在量との差から各単量体の消費量Y(a)、Y(b)
を求めるとともに、同様にして得られた5分後の各単量
体の消費量をY'(a)、Y'(b)とすると、
【0035】
【数1】
【0036】で表される。定常反応までの時間は10
分、定常反応に達するまでに生成した共重合体は全体の
3.4%であった。 −実施例2,3− 実施例1において、原料組成、重合温度と重合時間を表
1に示すように変えたこと、モル比(a)/(b)の所
期値を表3に示すように変えたこと、および、滴下途中
に5分ごとではなく1時間ごとに反応液をサンプリング
したこと以外は、実施例1と同様にして重合を行い、共
重合体を得た。
【0037】−実施例4− 実施例1において、原料組成、重合温度、重合時間を表
1に示すように変えたこと、モル比(a)/(b)の所
期値を表3に示すように変えたこと、および、重合温度
が反応系内の混合物の沸点(90℃)となるように滴下
速度および滴下量を調節したこと以外は、実施例1と同
様にして重合を行い、共重合体を得た。滴下中連続的に
反応液の温度を白金抵抗体を用いて測定したところ、温
度変化は±0.5℃以下であった。
【0038】−実施例5〜7− 実施例4において、原料組成、重合温度、重合時間を表
1および2に示すように変えたこと、および、モル比
(a)/(b)の所期値を表3および4に示すように変
えたこと以外は、実施例4と同様にして重合を行い、共
重合体を得た。ただし、実施例6においては重合開始剤
をt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート0.
04重量部に変更して重合を行った。
【0039】−比較例1− 実施例1において、原料組成、重合温度、重合時間を表
2に示すように変えたこと、および、モル比(a)/
(b)の所期値を表4に示すように変えたこと以外は、
実施例1と同様にして重合を行い、共重合体を得た。滴
下開始から滴下終了までの間の5分間ごとの未反応スチ
レン/未反応フェニルマレイミドのモル比(a)/
(b)の変動を図1に示した。図1において、N1はモ
ル比の所期値、N2は所期値の下20%の値、N3は所期
値の上20%の値である。また、各サンプリングの際に
得られた共重合体中のマレイミド系単量体単位の変動を
図2に示した。図2から明らかなように反応系内の各単
量体の濃度は変化しつづけ定常状態とみなせる時間は存
在しなかった。
【0040】−比較例2,3− 実施例1において、原料組成、重合温度、重合時間を表
2に示すように変えたこと、モル比(a)/(b)の所
期値を表4に示すように変えたこと、滴下途中に5分ご
とではなく1時間ごとに反応液をサンプリングしたこ
と、および、滴下速度および滴下量の調節を行わなかっ
たこと以外は、実施例1と同様にして重合を行い、共重
合体を得た。
【0041】−比較例4− 実施例4において、滴下終了後さらに浴温を95℃に保
って、さらに1時間重合を行ったこと以外は、実施例4
と同様にして重合を行い、共重合体を得た。上記実施例
および比較例において、滴下開始から1時間ごとの未反
応スチレン/未反応フェニルマレイミドのモル比(a)
/(b)、そのモル比の所期値およびこの値の上下20
%の値を表3および4に、各単位時間あたりに生成した
共重合体中のマレイミド系単量体単位(B)の含有率と
1時間ごとの重合転化率を表5および6に示した。
【0042】上記実施例および比較例における各最終反
応溶液中の未反応スチレン、未反応フェニルマレイミ
ド、未反応アクリロニトリル、溶剤をガスクロマトグラ
フィーにより調べ、また、共重合体の組成は元素分析に
より求めた。結果を表7および8に示した。上記実施例
および比較例で得られた各マレイミド系共重合体の各単
量体単位の平均含有率、および、マレイミド系単量体単
位の含有率が平均値の上下10%以内である分子の含有
率を表7および8に示した。定常状態に達するまでの時
間およびその間に生成した共重合体の全生成共重合体に
占める割合を表9に示した。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
【表5】
【0048】
【表6】
【0049】
【表7】
【0050】
【表8】
【0051】
【表9】
【0052】表1〜9にみるように、実施例の共重合体
は、重合反応中の各サンプリングにおけるマレイミド系
単量体単位の変化が小さく均質であった。これに対し、
比較例の共重合体は、重合反応中、単量体モル比(a)
/(b)が大きく変化し、共重合体組成も不均一なもの
であった。上記実施例および比較例で得られた共重合体
の重量平均分子量・数平均分子量、ガラス転移温度、M
FRを調べ、結果を表10に示した。
【0053】重量平均分子量・数平均分子量は、テトラ
ヒドロフラン(THF)を溶媒にしたゲル浸透クロマト
グラフィー(GPC)の溶出曲線からポリスチレンの標
準重合体を基準として算出した。ガラス転移温度は、理
学電気株式会社製のDSC−8230を用い、窒素気流
下、α−アルミナをリファレンスとして昇温速度5℃/
分で測定したDSC曲線から接線法で求めた変曲点であ
る。
【0054】MFRはJIS−K7210に準じ、島津
フローテスターCFT−500を用い、表10に示す温
度で測定した。
【0055】
【表10】
【0056】表10にみるように、実施例の共重合体
は、ガラス転移温度が高く、MFRが大きかった。これ
に対し、比較例の共重合体は、マレイミド系単量体の構
成比率の割にはガラス転移温度が低く、また、MFRの
小さいものであった。 −参考例1〜12− 実施例1〜7および比較例1〜4で得られたマレイミド
系共重合体およびポリアミド樹脂(東レ株式会社製の商
品名アミラン1071)を表10に示す配合で十分に混
練した後、この混練物で成形板を作製し、熱変形温度、
耐衝撃性、成形加工性を調べ、結果を表11に併せて示
した。
【0057】熱変形温度は、JIS−K7207に基づ
き、荷重18.5kgf/cm2で測定した。耐衝撃性は、J
IS−K7110に基づき40kgf・cmのハンマを用い
て測定したアイゾット衝撃強度で示した。成形加工性
は、得られた組成物の流動性および成形体の外観を目視
によって評価した。評価基準は次のとおりであり、△〜
×は不合格である。
【0058】 ◎…表面光沢あり。 ○…わずかにヒケ(円形のくぼみ。シンクマークとも言
う)を有する。 △…ヒケが多い。 ×…成形体ができない。
【0059】
【表11】
【0060】表11にみるように、実施例の共重合体を
用いた場合には、熱変形温度、耐衝撃性および成形加工
性のバランスが優れたものであった。これに対し、比較
例の共重合体を用いた場合には、耐熱性と耐衝撃性との
バランスが悪く、また、成形加工性も低下したものであ
った。
【0061】
【発明の効果】この発明のマレイミド系共重合体の製造
方法によれば、耐熱性と耐衝撃性に優れ、しかも、溶融
成形性の良いマレイミド系共重合体を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1および比較例1において、重合時間の
経過による反応溶液中の単量体モル比(a)/(b)の
変動を示すグラフである。
【図2】実施例1および比較例1において、5分間ごと
に生成するマレイミド系共重合体中のマレイミド系単量
体単位の含有率の、重合時間の経過による変動を示すグ
ラフである。
【図3】共重合体のDSCによる示差熱曲線である。
【符号の説明】
1 モル比の所期値 M2 所期値の下20%の値 M3 所期値の上20%の値
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 稔 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地 の1日本触媒化学工業株式会社姫路研究 所内 (56)参考文献 特開 昭58−162616(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ビニル系単量体とマレイミド系単
    量体を重合させるマレイミド系共重合体の製造方法にお
    いて、あらかじめ芳香族ビニル系単量体の全量のうち1
    0〜80wt%を反応系に仕込んでおき、重合開始後の反
    応系内の芳香族ビニル系単量体/マレイミド系単量体の
    モル比が2〜200の範囲内であってかつ所期値の上下
    20%以内となるように、反応系に対してマレイミド系
    単量体の全量と芳香族ビニル系単量体の残量を徐々に供
    給しながら重合させることを特徴とするマレイミド系共
    重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 有機溶媒の存在下、沸騰状態で重合を行
    わせ、その状態における反応系の温度が所期値の上下2
    ℃以内となるように制御する請求項記載のマレイミド
    系共重合体の製造方法。
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