JP2004189806A - ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

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Michihiro Kawai
道弘 河合
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Abstract

【課題】ポリカーボネートが本来有する優れた機械的特性(衝撃強度や耐熱変形温度等)が損なわれること無く、成型品の層剥離を引き起こさずにその成形加工性(流動性等)が改良され、バランスに優れたポリカーボネート系の熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】重量平均分子量Mwが1500〜15000であり、(メタ)アクリロニトリル(a−1)単位5〜35質量%および芳香族ビニル単量体(a−2)単位65〜95質量%を構成単位として含有する重合体(A)およびポリカーボネート(B)を含み、成分(A)と(B)の割合が(A)と(B)の合計100質量部を基準として、(A)0.1〜15質量部、(B)99.9〜85質量部である熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流動性および衝撃強度に優れるポリカーボネート系の熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネートは、透明性、機械的強度、耐熱性に優れ、エンジニアプラスチックとして家電製品、OA機器、自動車部品、電子関係部品など、様々な分野で用いられている。 しかしながら、ポリカーボネートは流動性が低く、成形加工性が劣り、大型成型品や薄肉・微細成型品を得ることが困難という欠点がある。また、流動性を向上する為に成型加工温度を高くすると黄変、酸化、劣化等の種々の熱劣化による問題が起こり、ポリカーボネート自体を低分子量化して流動性を改善しようとすると、衝撃強度、耐薬品性や耐久性等が低下してしまう。さらに、流動性を向上する為にスチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体やスチレン系プラスチック等を配合することがよく行われているが、有効な流動性を得るには配合量が多くなり、衝撃強度が低下したり、層剥離を引き起こしたりするのが現状である。
【0003】
そこで従来より、ポリカーボネートの流動性と諸物性のバランスを改良する目的で、各種のビニル重合体の添加が試みられている。
【0004】
特開昭50−19851号公報には、数平均分子量1500以下の低分子量ポリスチレンを1から15%添加することが提案されている(特許文献1参照)。しかし、低分子量ポリスチレンを添加しても、流動性の改善効果は少なく、また射出成型を行うと成型品の表面層の剥離を引き起こし諸物性を低下させる。
【0005】
特開昭62−138514号公報には、芳香族ビニル単量体およびメチルメタクリレートからなる重合体の添加によりポリカーボネートの流動性が向上すると記載されている(特許文献2参照)。しかし、この重合体は分子量が高く流動性の改善効果が少ない。また得られた樹脂組成物は成型品が層剥離を引き越し機械的強度も低い。
【0006】
特開平5−140435号公報には、芳香族ビニル単量体およびアルキルアクリレートからなる重量平均分子量20000〜25000の低分子量重合体の添加により、ポリカーボネートの流動性が向上すると記載されている(特許文献3参照)。しかし、それらを添加しても流動性改善効果はさほど高くなく、また得られた樹脂組成物は成型品が層剥離を引き越すため機械的強度が低い。
【0007】
特開平6−306230号公報には、重量平均分子量10万以上のスチレン、アクリロニトリル、無水マレイン酸あるいはグリシジルメタクリレートの共重合体をポリカーボネート樹脂に添加することにより、ポリカーボネートの耐熱性、衝撃性、成形性を向上させると記載されている(特許文献4参照)。しかし、それらを添加しても流動性改善効果は高くなく、むしろ流動性をさげており薄肉・大型成型には適さない。
【0008】
特開平11−181197号公報には、溶解度パラメーターの値が9.3を超えて11.5未満の重量平均分子量5000〜100000低分子量芳香族ビニル重合体を添加したポリカーボネートは、流動性、耐熱性、透明性、臭気・発煙が優れると記載されている(特許文献5参照)。しかし、実施例に記載された重量平均分子量20000〜25000の低分子量芳香族ビニル重合体を添加しても流動性改善効果はさほど高くなく、また得られた樹脂組成物は成型品が層剥離を引き越すため機械的強度が低い。
【0009】
以上の通り、従来技術においては各種のビニル重合体の添加が試みられたが、その何れも、ポリカーボネートの流動性と機械的強度のバランスを改良する点では未だ不十分であった。
【0010】
【特許文献1】
特開昭50−19851号公報
【特許文献2】
特開昭62−138514号公報
【特許文献3】
特開平5−140435号公報
【特許文献4】
特開平6−306230号公報
【特許文献5】
特開平11−181197号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち本発明は、ポリカーボネートが本来有する優れた機械的特性(衝撃強度や耐熱変形温度等)が損なわれること無く、成型品の層剥離を引き起こさずにその成形加工性(流動性等)が改良され、バランスに優れたポリカーボネート系の熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、ある特定の分子量を有し、(メタ)アクリロニトリル単位を含むビニル共重合体をポリカーボネートに添加することが流動性向上に非常に有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち本発明は、重量平均分子量Mwが1500〜15000であり、(メタ)アクリロニトリル(a−1)単位5〜35質量%および芳香族ビニル単量体(a−2)単位65〜95質量%を構成単位として含有する重合体(A)およびポリカーボネート(B)を含み、成分(A)と(B)の割合が(A)と(B)の合計100質量部を基準として、(A)0.1〜15質量部、(B)99.9〜85質量部である熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。本明細書において、アクリルおよびメタクリルを合わせて(メタ)アクリルともいう。
本発明で用いる(メタ)アクリロニトリル(a−1)は、メタクリロニトリルまたはアクリロニトリルである。これらは、一種または二種を用いることができる。
【0015】
本発明で用いる芳香族ビニル単量体(a−2)の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン,o−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。これらは一種または二種以上を併用できる。樹脂組成物の流動性および相溶性を考慮すると、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
【0016】
本発明で必要に応じて使用できるその他のビニル単量体(a−3)は、(メタ)アクリロニトリル(a−1)および芳香族ビニル単量体(a−2)以外のラジカル共重合可能なビニル単量体である。その他のビニル単量体(a−3)の具体例としては、(メタ)アクリル酸エステル類がある。例えば炭素数が1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アルキル基は直鎖、分岐鎖でもよい)、(メタ)アクリル酸ポリアルキレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、(メタ)アクリル酸フェノキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸イソボルニルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシシリルアルキルエステル等があげられる。これらは、一種または二種以上を用いることができる。他に(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、無水フマル酸、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルジアルキルアミド、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、(メタ)アリルエーテル類も用いることができる。
【0017】
本発明で用いる重合体(A)の構成単量体である(メタ)アクリロニトリル(a−1)、芳香族ビニル単量体(a−2)およびその他のビニル単量体(a−3)の割合は、(a−1)、(a−2)および(a−3)の合計量を基準としてそれぞれ(a−1)5〜35質量%、(a−2)65〜95質量%、(a−3)0〜30質量%である。(a−2)が95%より大きいと相溶性が悪く、機械的物性が低下し、また相剥離を引き起こす。65%未満でもポリカーボネートとの相溶性を悪くし機械的物性の低下、相剥離を引き起こす。(a−1)が5%未満の場合は流動性向上効果が低くなる。35%以上では熱劣化しやすくなり着色がひどく、相溶性や機械的物性の低下、相剥離を引き起こす。(a−3)は必須成分ではないが、目的に応じて重合体(A)の物性を制御するためなどに30質量%以下使用できる。
【0018】
より好ましい(メタ)アクリロニトリル(a−1)、芳香族ビニル単量体(a−2)およびその他のビニル単量体(a−3)の割合は、それぞれ(a−1)15〜30質量%、(a−2)70〜85質量%および(a−3)0〜15質量%である。
【0019】
本発明で用いる重合体(A)は、通常のラジカル重合によって得ることができるが、より好ましくは180〜300℃の高温連続重合方法により得られるものである。この方法によれば、高温重合のために高分子鎖からの水素引き抜き反応に始まるラジカル分岐反応が起こりにくく、切断反応が優先するために分岐成分の少ない、直鎖成分の多い高分子を得ることができる。また、切断反応が優先することにより多量の開始剤や連鎖移動剤を用いることなく低分子量化が容易にできる。さらに、反応機に攪拌槽型反応機を用いれば組成分布や分子量分布の狭いビニル系共重合体を得ることができる。高温連続ラジカル重合法としては、特表昭57−502171号、特開昭59−6207号、特開昭60−215007号等に開示された公知の方法に従えば良い。例えば、加圧可能な反応器を加圧下で所定温度に設定した後、各ビニル系単量体、及び必要に応じて重合溶媒とからなるビニル系単量体混合物を一定の供給速度で反応機へ供給し、ビニル系単量体混合物の供給量に見合う量の重合液を抜き出す方法があげられる。又、ビニル系単量体混合物には、必要に応じて重合開始剤を配合することもできる。その配合する場合の配合量としては、ビニル系単量体混合物100重量部に対して0.001〜3重量部であることが好ましい。圧力は、反応温度と使用するビニル系単量体混合物及び溶媒の沸点に依存するもので、反応に影響を及ぼさないが、前記反応温度を維持できる圧力であればよい。反応温度は180〜300℃が好ましい。300℃以上では着色や熱劣化の問題が生じる場合があり、180℃以下では分岐反応が起こり分子量分布を広くし、分子量を下げるのに多量の開始剤や連鎖移動剤を必要とするため耐候性、耐熱性、耐久性に悪影響を与える。また除熱などの生産上の問題がおこることもある。さらに好ましくは200℃〜270℃がよい。また、単量体混合物の滞留時間は、1〜60分であることが好ましく、5〜30分がさらにより好ましい。滞留時間が1分に満たない場合は単量体が充分に反応しない恐れがあり、滞留時間が60分を越える場合は、生産性が悪く、着色や熱劣化が起こってしまうことがある。また、管状型反応機よりも連続攪拌槽型反応器を用いるプロセスが組成分布、分子量分布を狭くするのでより好ましい。
【0020】
本発明で用いる重合体(A)の重量平均分子量Mwは、1500〜15000である。1500より小さいとポリカーボネート樹脂組成物の耐熱変形温度や耐薬品性、耐溶剤性を悪くする。15000より大きいと流動性の改良効果が極端に低く、また成形品表面で相剥離を引き起こしたりする。流動性向上効果、機械的物性、耐熱変形温度、耐薬品、耐溶剤性を考慮すると2000〜10000が好ましく、2500 ̄7000がより好ましい。
【0021】
また重合体(A)は、一種類を単独で用いてもよいし、二種以上の混合物として用いてもよい。
【0022】
本発明で用いるポリカーボネート(B)としては、代表的には、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパン(すなわちビスフェノールA)系ポリカーボネート等の4,4’−ジオキシジアリールアルカン系ポリカーボネートが挙げられる。このポリカーボネートの分子量は、所望に応じて適宜決定すればよく、本発明において特に制限は無い。
【0023】
ポリカーボネート(B)は従来より知られる各種の方法で製造すればよい。例えば、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパン系ポリカーボネートを製造する場合は、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパンを原料として用い、アルカリ水溶液および溶剤の存在下、ホスゲンを吹き込んで反応させる製造方法や、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパンと、炭酸ジエステルとを、触媒の存在下にエステル交換させる製造方法が挙げられる。
【0024】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述した重合体(A)およびポリカーボネート(B)を主成分として含有する組成物である。ポリカーボネート樹脂組成物として、ポリカーボネート本来の性能を低下させること無く有効な流動性改良効果を得る為に、両者の割合は、成分(A)および成分(B)の合計100質量部を基準として、(A)0.1〜15質量部および(B)99.9〜85質量部である。好ましくは(A)1〜10質量部、(B)99〜90質量部である。
【0025】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、従来から知られる各種の添加剤、例えばヒンダードフェノールやヒンダードアミン等の安定剤、強化剤、無機フィラー、りん酸エステル等の難燃剤、耐衝撃性改質剤等およびABS、HIPS等のゴム変性スチレン系樹脂やポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル等の熱可塑性樹脂を配合してもよい。
【0026】
特に、ポリカーボネ−ト(B)にABS等のゴム変性スチレン系樹脂を含有する系は高い耐衝撃強度を維持できるために好ましい。ポリカーボネート中のゴム変性スチレン系樹脂の含有比率は10質量%〜60質量%が好ましい。さらに好ましくは20−50質量%である。
【0027】
ゴム変性スチレン系樹脂は、スチレン共重合体が実質的に連続相に存在し、ブタジエンゴムあるいはブタジエンゴム共重合体が実質的に分散相に存在する樹脂組成物で、アクロニトリル−スチレン−ブタジエン樹脂(ABS)、メチルメタクリレート−スチレン−ブタジエン樹脂(MBS)、スチレン−ブタジエン樹脂(HIPS)などが例としてあげられる。好ましくはABS樹脂がよい。
【0028】
また、予め重合体(A)の比率を大きくして重合体(A)とポリカーボネート(B)を混合したマスターバッチを調製し、その後、このマスターバッチとポリカーボネート(B)とを再度混合し、所望の組成物を得ることもできる。
【0029】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、例えば、上述した各成分を混合することにより得られる。混合の方法としては、従来より知られる各種の配合方法および混練方法を用いることができる。例えば、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、2本ロール、ニーダー、ブラベンダー等を使用する方法が挙げられる。
【0030】
このようにして得た本発明の熱可塑性樹脂組成物を原料として用い、例えば、射出成形、中空成形、押出成形、圧縮成形、カレンダー成形など、従来より知られる各種の成形法により成形を行えば、流動性と耐熱性や衝撃強度のバランスに優れた各種の成形品が得られる。
【0031】
【実施例】
(重合体A−1の製造)
オイルジャケットを備えた容量1リットルの加圧式攪拌槽型反応器のオイルジャケット温度を、240℃に保った。次いで、スチレン(以下Stともいう。)80質量部、アクリロニトリル(以下ANともいう。)20質量部、芳香族系溶剤10質量部および重合開始剤であるジターシャリーヘキシルパーオキサイド(以下DTHPともいう。)1.0質量部からなる単量体混合物を原料タンクに仕込んだ。一定の供給速度(48g/分、滞留時間:12分)で原料タンクから反応器に連続供給し、反応器内の反応液質量が約580gで一定になるように重合物を反応器出口から連続的に抜き出した。その時の反応器内温は、所望の250℃に保たれた。さらに抜き出した反応物を減圧度30kPa、温度250℃に保った薄膜蒸発器で連続的に揮発成分を分離し、揮発成分をほとんど含まない共重合体を回収した。
単量体混合物の供給開始後、反応器内部の温度が安定してからさらに36分後をほぼ平衡状態に達したと判断し、薄膜蒸発後の重合体の回収開始点とし、それから180分反応を継続した結果、約7.2kgの重合体A−1を回収した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下、GPCともいう。)より求めたポリスチレン換算による重合体A−1の重量平均分子量Mwは5700、数平均分子量Mnは2100、分子量分布Mw/Mnは2.7であった。またガスクロマトグラフ(以下、GCともいう。)による重合体中の揮発成分量は1%以下であった。
【0032】
(重合体A−2〜5およびC−1〜5の製造)
重合体A−2〜5およびC−1〜5は、表1に示すビニル系単量体組成、溶剤、重合開始剤量、重合温度条件の他は重合体A−1の製造方法と同様の操作で得られた。このようにして得られた重合体A−1〜5、C−1〜5のMw、Mn、Mw/Mn、ガラス転移温度(以下、Tgともいう。)は、表1に示されるものであった。
【0033】
【表1】
Figure 2004189806
【0034】
重合体製造例、実施例、比較例における諸物性は次の方法により測定した。
(1)重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)はGPCを用いて、溶離液にテトラフドロフランを用い、標準ポリスチレンによるポリスチレン換算で測定した。
【0035】
(2)メルトフローレート(MFR)についてはJIS K−7210の方法で、300℃、1.2kg荷重で測定された。PC/ABSが使用された実施例、比較例では250℃、5kg荷重で測定された。
【0036】
(3)シャルピー(Charpy)衝撃強度:ISO−179の方法でVノッチ付き(2mm, R=0.25mm)、温度23℃の条件で測定した。
【0037】
(4)外観評価:直径100mm、厚み2mmの円盤状試験片を目視で評価。
【0038】
(5)層剥離評価:直径100mm、厚み2mmの円盤状試験片にデュポン衝撃試験機を用いて500gの重りを50cmの高さから落として、円盤にひびが入らないものを○、細かなひびが入るものを△、表面が剥離するものを×と評価した。
【0039】
(6)ビカット(Vicat)軟化温度:JIS K−7206の方法で測定。
【0040】
(7)試験片作成:全ての試験片は射出成形機(名機製作所M−50A−II−DM)、シリンダー温度280℃、金型温度80℃の条件で成形された。PC/ABSの実施例,比較例では240℃、金型温度60℃の条件で成型された。
【0041】
<実施例1〜12および比較例1〜13>
使用されたポリカーボネート(以下PCともいう。)は、下記のPCを使用した。
PC−1:GE プラスチック社製 Lexan141R
PC−2:住友ダウ製 カリバー301−10
PC/ABS:住友ダウ製 SDポリカ IM−6100
上記PCに重合体Aあるいは重合体Cを表2にしめす割合で配合し、40mmφ二軸押出機を用いて、バレル温度260℃、スクリュー回転数100rpmの条件で押し出して、熱可塑性樹脂組成物を製造した。その後、射出成型機で試験片を作成し、メルトフローレート、衝撃強度,Vicat軟化点、層剥離等を評価した。結果を表2に示す。
【0042】
本明細書中の略号の意味を以下に示す。
BA:ブチルアクリレート
HA:2−エチルヘキシルアクリレート
St:スチレン
MMA:メチルメタクリレート
GMA:グリシジルメタクリレート
AN:アクリロニトリル
IPA:イソプロピルアルコール
DTBP:ジターシャリブチルパーオキサイド
DTHP:ジターシャリヘキシルパーオキサイド
【0043】
【表2】
Figure 2004189806
【0044】
<評価結果>
表2に示す結果から明らかな通り、実施例1〜8では、無添加の場合を基準とした流動性向上効果は添加量に対し驚くべき高い効果を示した。例えば、実施例2の重合体A−1を3部添加した場合、メルトフローレートが無添加のPCと比較して116%以上、実施例3の6部添加の場合は286%向上している。一方、比較例4、7、10では3部添加で40%以下の流動性の向上にしかならなかった。比較例5、8、12、13では6部添加で70%以下の流動性の向上にしかならなかった。
また、ビカット軟化点の低下温度をMFR増加率とプロットし、実施例と比較例を比較すると、明らかに実施例ではビカット軟化点の低下を抑えつつ流動性の向上が図れることが分かる(図1参照)。
層剥離評価でも実施例では全ての場合で剥離が見られず、一方、比較例4から6、9、11、12では剥離あるいはその前兆が見られた。つまり、重合体C−1〜4では9部添加するまでに層剥離が認められた。重合体C−5は剥離こそ見られなかったが、分子量が高いために流動性改良効果が低かった。
また、重合体Aの中でも、特に重量平均分子量Mw7000以下の重合体は流動性の改良効果が著しく、重合体A−1とA−3では共に6部添加で200%以上のMFR増加率となった。
実施例12、13ではPCとABSの混合物に重合体A−1を添加した。高い流動性と高い衝撃強度が得られた。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリカーボネートが本来有する優れた透明性、機械的性質(衝撃強度、耐熱変形性等)を損なうこと無く、かつ層剥離を引き起こさずにその成形加工性(流動性等)を飛躍的に向上でき、バランスに優れたポリカーボネート系の熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、機械的特性と成形加工性のバランスに優れているので、特に家電製品、OA機器のハウジング等の各種分野において成形品の大型化および薄肉化を可能にするものであり、その工業的価値は大きい。
【0046】
【図面の簡単な説明】
【図1】ビカット軟化点の低下とMFR増加率の関係を示すグラフ

Claims (5)

  1. 重量平均分子量Mwが1500〜15000であり、(メタ)アクリロニトリル(a−1)単位5〜35質量%および芳香族ビニル単量体(a−2)単位65〜95質量%を構成単位として含有する重合体(A)およびポリカーボネート(B)を含み、成分(A)と(B)の割合が(A)と(B)の合計100質量部を基準として、(A)0.1〜15質量部、(B)99.9〜85質量部である熱可塑性樹脂組成物。
  2. 重量平均分子量Mwが1500〜15000であり、(メタ)アクリロニトリル(a−1)単位5〜35質量%、芳香族ビニル単量体(a−2)単位65〜95質量%およびその他のビニル単量体(a−3)単位30質量%以下を構成単位として含有する重合体(A)およびポリカーボネート(B)を含み、成分(A)と(B)の割合が(A)と(B)の合計100質量部を基準として、(A)0.1〜15質量部、(B)99.9〜85質量部である熱可塑性樹脂組成物。
  3. 重合体(A)が、重量平均分子量Mw2500〜7000のものであることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 重合体(A)が、原料ビニル単量体を180〜300℃の温度において連続重合させて得られるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. ポリカーボネート(B)がゴム変性スチレン系樹脂を10〜60質量%含むものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
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