JP2712956B2 - 耐食性、潤滑性および溶接性に優れた表面処理鋼板 - Google Patents

耐食性、潤滑性および溶接性に優れた表面処理鋼板

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JP2712956B2
JP2712956B2 JP3306897A JP30689791A JP2712956B2 JP 2712956 B2 JP2712956 B2 JP 2712956B2 JP 3306897 A JP3306897 A JP 3306897A JP 30689791 A JP30689791 A JP 30689791A JP 2712956 B2 JP2712956 B2 JP 2712956B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車用鋼板として
好適な、耐食性、潤滑性および溶接性に優れた表面処理
鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車用鋼板としては、例えば、寒冷地
において、冬季に氷雪の凍結防止のために道路上に散布
される岩塩や塩化カルシウム等による厳しい腐食環境下
においても、所定時間、赤錆や穴あきに耐え得る優れた
耐食性が要求されている。また、省エネルギー対策のた
めに、自動車車体の軽量化が積極的に進められており、
これに伴って、自動車用鋼板の板厚を薄くすることが要
望されている。鋼板の板厚を薄くすると、錆び代が減少
するために、鋼板の耐食性を一段と向上させることが必
要になる。そこで、めっき量を多くすれば耐食性は向上
するが、その反面、溶接性および加工性が劣化する。こ
のような観点から、少ないめっき量で優れた耐食性を有
する表面処理鋼板の開発が強く望まれている。
【0003】亜鉛めっき鋼板は、亜鉛の犠牲防食作用に
よる優れた耐食性を有していることから、従来より自動
車用鋼板として広く使用されている。しかしながら、鋼
板の表面上に形成された亜鉛めっき層の活性が高いため
に、亜鉛めっき鋼板の腐食速度は比較的早い。従って、
亜鉛めっき鋼板の耐食性を長時間保つためには、そのめ
っき量を多くせざるを得ない。
【0004】そこで、上述した亜鉛めっき層の活性を抑
制するために、鋼板の表面上に、亜鉛−鉄合金めっき層
または亜鉛−ニッケル合金めっき層が形成された、亜鉛
−鉄合金めっき鋼板または亜鉛−ニッケル合金めっき鋼
板が実用化されており、このような合金めっき鋼板は、
近時、自動車車体に多く使用され、その使用比率は高ま
りつつある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、
亜鉛−鉄合金めっき鋼板や亜鉛−ニッケル合金めっき鋼
板に対しても、更に一段と高い耐食性が要求されてい
る。このような要求に応えるためには、亜鉛−鉄合金め
っき層または亜鉛−ニッケル合金めっき層のめっき量を
多くすることが必要である。しかしながら、めっき量を
多くすると、プレス成形時における潤滑性が悪くなり且
つ溶接性が劣化する問題が生ずる。このようなことか
ら、耐食性と共に、潤滑性および溶接性の優れた表面処
理鋼板の開発が強く望まれている。
【0006】上述した問題を解決する表面処理鋼板とし
て、例えば、特公平2−10236 号には、下記からなる高
耐食性表面処理鋼板(以下、先行技術という)が開示さ
れている。鋼板の少なくとも1つの表面上に形成され
た、下層としての亜鉛または亜鉛系合金めっき層と、下
層としての前記亜鉛または亜鉛系合金めっき層の上に形
成された、上層としてのコバルト−タングステン合金め
っき層またはコバルト−クロム合金めっき層とからな
り、上層めっき層中のタングステンまたはコバルトの含
有量は0.01〜10wt.%であり、そして、上層めっき層のめ
っき量は、鋼板の片面当り0.003 〜3 g/m2である。
【0007】上記先行技術には、次のような問題があ
る。即ち、上層としてのコバルト−タングステン合金め
っき層またはコバルト−クロム合金めっき層による耐食
性向上作用は、上層のポーラスなめっき層中に、Znの腐
食生成物であるZn(0H)2 を沈着させることによるもので
あるとされている。この場合、耐食性は、Zn(0H)2 の安
定性に大きく依存する。しかしながら、腐食過程におい
ては、Znの腐食生成物としてZn(0H)2 以外にも、半導体
特性を有するZnO が生成する可能性があるために、上述
した腐食生成物の沈着のみでは、必ずしも、十分な絶縁
性を付与することができない。
【0008】従って、このような被膜では、腐食環境に
よっては、腐食生成物による耐食性向上効果が期待でき
ない場合がある。この場合には、耐食性を向上させるた
めに、やはり、下層としての亜鉛または亜鉛系合金めっ
き層のめっき量に依存せざるを得ず、めっき量が少ない
場合には、耐食性を向上させることはできない。
【0009】従って、この発明の目的は、上述した問題
を解決し、いかなる腐食環境においても優れた耐食性を
発揮し、しかも、プレス成形時における潤滑性が良好
で、且つ、溶接性に優れた表面処理鋼板を提供すること
にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述した
問題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、鋼板の
少なくとも1つの表面上に形成された、下層としての亜
鉛または亜鉛系合金めっき層の上に、5から90wt.%の範
囲内のクロムと、10から95wt.%の範囲内のマンガンとか
らなる上層としてのマンガン−クロム合金めっき層を形
成すれば、耐食性、潤滑性および溶接性が共に優れた表
面処理鋼板が得られることを知見した。
【0011】この発明は、上述した知見に基いてなされ
たものであって、この発明の表面処理鋼板は、鋼板の少
なくとも1つの表面上に形成された、下層としての亜鉛
めっき層または亜鉛系合金めっき層と、下層としての前
記亜鉛めっき層または亜鉛系合金めっき層の上に形成さ
れた、上層としてのマンガン−クロム合金めっき層とか
らなり、下層としての前記亜鉛めっき層または亜鉛系合
金めっき層のめっき量は、前記鋼板の片面当り5から10
0g/m2 の範囲内であり、上層としての前記マンガン−ク
ロム合金めっき層は、5から90wt.%の範囲内のクロム
と、10から95wt.%の範囲内のマンガンとからなってお
り、そして、上層としての前記マンガン−クロム合金め
っき層のめっき量は、前記鋼板の片面当り0.01から5g/
m2の範囲内であることに特徴を有するものである。
【0012】
【作用】鋼板の少なくとも1つの表面上に形成された、
下層としての亜鉛または亜鉛系合金めっき層の耐食性
は、亜鉛または亜鉛系合金めっき層の、鋼板に対する犠
牲防食作用によるものである。従って、耐食性を向上さ
せるためには、亜鉛または亜鉛系合金めっき層の、鋼板
に対する犠牲防食作用を長時間持続させることが必要で
ある。
【0013】マンガンは、比較的pHが高く且つ酸素供給
の十分な腐食環境下においては、酸素と反応して極めて
安定なMn2O3 からなる酸化物を形成する。
【0014】亜鉛めっき層または亜鉛系合金めっき層を
腐食環境にさらすと、その表層では、Znの腐食生成物で
あるZn0 またはZn(0H)2 が生成する。このうち、Zn0
は、n型の半導体特性を持っているので、特に導電性を
有している。従って、腐食環境において、溶存酸素の還
元反応に寄与する電子が、腐食生成物中を容易に電導す
る結果、Znの腐食反応が進行する。
【0015】そこで、上述したZn0 の、n型半導体特性
を軽減するために、腐食生成物中にCr3+を導入すると、
腐食生成物中の電子の電導をCr3+が阻止する結果、Zn0
に絶縁性が付与される。従って、Znの腐食反応を抑制す
ることができる。更に、Crは安定な酸化物を形成するた
め、表層に生成する上記Znの腐食生成物を固定すること
ができる。
【0016】下層としての亜鉛または亜鉛系合金めっき
層の上に、上層としてのマンガン−クロム合金めっき層
を形成すると、マンガンの酸化物が安定に存在し得る腐
食環境下においては、マンガンと酸素とが反応して、上
述したように、Mn2O3 からなる安定な保護皮膜が形成さ
れる。一方、マンガンの酸化物が安定に存在し得ない腐
食環境下においては、活性なマンガンが溶出する結果、
上層にクロムが濃化した層が形成される。その結果、上
層は、非常に緻密なクロムの不働態被膜、または、亜鉛
とクロムとの酸化物被膜によって形成される。
【0017】従って、下層としての亜鉛または亜鉛系合
金めっき層の上に、上層としてのマンガン−クロム合金
めっき層を形成すれば、いかなる腐食環境下において
も、極めて優れた耐食性を、鋼板に付与することができ
る。
【0018】鋼板の表面上に、亜鉛の量が比較的多い、
亜鉛または亜鉛合金めっき層が形成された亜鉛または亜
鉛合金めっき鋼板の、上記亜鉛または亜鉛合金めっき層
は、支配的に、硬度の低いη層からなっている。従っ
て、このような亜鉛または亜鉛合金めっき鋼板をプレス
成形すると、めっき層が容易に変形し、実質的にプレス
金具に接触するめっき層の面積が大きくなる。更に、比
較的融点の低い亜鉛または亜鉛合金めっき層の一部が、
摩擦熱により、プレス金具と溶着する。これらの結果、
プレス成形時におけるめっき層の摩擦係数が増加して、
めっき鋼板の潤滑性が低下する。
【0019】そこで、亜鉛または亜鉛合金めっき層の上
に、上層としての、比較的融点および硬度の高いマンガ
ン−クロム合金めっき層を形成すれば、プレス成形時
に、プレス金具との接触によるめっき層の変形が小さ
く、更に、摩擦熱によるめっき層とプレス金具との溶着
も生じない。その結果、プレス成形時におけるめっき層
の摩擦係数は低くなり、めっき鋼板の潤滑性が向上す
る。
【0020】また、亜鉛または亜鉛合金めっき鋼板に
は、その溶接時に、銅製の電極チップと、亜鉛または亜
鉛合金めっき層の一部とが合金化し、そして、電極チッ
プの先端に付着して、先端を変形させる結果、溶接性が
劣化する問題がある。しかしながら、亜鉛または亜鉛合
金めっき層の上に、上層としてのマンガン−クロム合金
めっき層を形成すれば、その溶接時に、上述したような
電極チップとめっき層とが合金化し、そして、電極チッ
プの先端に付着することは生じない。従って、溶接性特
に連続溶接性が著しく向上する。更に、上層としてのマ
ンガン−クロム合金めっき層による耐食性の向上効果に
より、従来よりもめっき量を低減することが可能にな
り、この点からも、結果的に溶接性向上に有効である。
【0021】上層としてのマンガン−クロム合金めっき
層のクロム含有量は、5から90wt.%の範囲内とし、そし
て、そのマンガン含有量は、10から95wt.%の範囲内とす
べきである。マンガン−クロム合金めっき層のクロム含
有量が5wt.%未満であり、そして、マンガン含有量が95
wt.%超では、クロムによる耐食性向上効果が得られな
い。一方、マンガン−クロム合金めっき層のクロム含有
量が90wt.%超であり、そして、マンガン含有量が10wt.%
未満では、マンガンと酸素との反応による、上述した安
定なMn2O3 からなる保護皮膜の形成効果が得られない。
【0022】上層としてのマンガン−クロム合金めっき
層のめっき量は、鋼板の片面当り0.01から5g/m2の範囲
内とすべきである。マンガン−クロム合金めっき層のめ
っき量が、鋼板の片面当り0.01g/m2未満では、耐食性、
潤滑性および溶接性の向上効果が得られない。一方、上
記めっき量が、鋼板の片面当り5g/m2を超えても、耐食
性、潤滑性および溶接性の、より以上の向上効果が得ら
れず、不経済となる。
【0023】下層としての亜鉛または亜鉛合金めっき層
のめっき量は、鋼板の片面当り5から100 g/m2の範囲内
とすべきである。亜鉛または亜鉛合金めっき層のめっき
量が、鋼板の片面当り5g/m2未満では、所望の耐食性が
得られない。一方、亜鉛または亜鉛合金めっき層のめっ
き量が、鋼板の片面当り100 g/m2を超えると、プレス成
形性が劣化する。
【0024】耐食性、潤滑性および溶接性に優れたこの
発明の表面処理鋼板は、次のようにして製造される。鋼
板の少なくとも1つの表面上に、下層としての亜鉛また
は亜鉛系合金めっき層を形成する。なお、亜鉛または亜
鉛系合金めっき層の形成手段は、特に規定されるもので
はない。次いで、10〜200 g/l のマンガン、および、0.
1 〜50g/l のクロムを含有する電気めっき液を使用し、
電気めっきによって、下層としての亜鉛または亜鉛系合
金めっき層の上に、上層としてのマンガン−クロム合金
めっき層を形成する。
【0025】上層としてのマンガン−クロム合金めっき
層の形成のための電気めっき液中には、めっき液に電導
度を付与するための、Na+ ,K+ ,NH4 + 等のカチオンを添
加してもよく、または、Cr析出促進剤としてのポリマー
類を添加してもよい。めっき液のpH値は、1.0 から3.0
の範囲内とすることが好ましい。めっき電流密度は、そ
れによって被膜の組成を変化させることができるので、
特に規定するものではないが、10〜200A/dm2が好まし
い。めっき液の流速は、液中を通る鋼板との相対速度と
して、0.5 〜5m/sが好ましく、そして、めっき液の温度
は、30〜70℃が好ましい。
【0026】次に、この発明を、実施例により、比較例
と対比しながら更に詳述する。
【実施例】板厚0.7mm の冷延鋼板(アルミキルド鋼)に
対し、下記A〜Gの7種類のめっき条件のうちの何れか
でめっきを施して、冷延鋼板の一方の表面上に、下層と
しての亜鉛または亜鉛合金めっき層を形成した。次い
で、このような、下層としての亜鉛または亜鉛合金めっ
き層がその表面上に形成された冷延鋼板に対し、下記H
のめっき条件で電気めっきを施して、亜鉛または亜鉛合
金めっき層の上に、上層としてのマンガン−クロム合金
めっき層を形成した。このようにして、この発明の範囲
内の2つのめっき層を有する、表1〜4に示す、この発
明の供試体(以下、本発明供試体という)No.1〜6 、N
o.13 〜18、No.25 〜30、No.37 〜42、No.49 〜54、No.
61 〜66およびNo.73 〜78を調製した。
【0027】比較のために、亜鉛めっき層または亜鉛合
金めっき層の上に、上層としての、この発明の範囲外の
マンガン−クロム合金めっき層、または、先行技術に基
づく、下記IまたはJのめっき条件による合金めっき層
を形成した。このようにして、この発明の範囲外の2つ
のめっき層を有する、表1〜4に併せて示す比較用供試
体No.7〜12、No.19 〜24、No.31 〜36、No.43 〜48、N
o.55 〜60、No.67 〜72およびNo.79 〜84を調製した。
【0028】A.Zn電気めっき(下層) めっき液の組成: ZnSO4 ・7H2O : 500g/l, Na2SO4 : 60g/l , めっき液の温度: 50℃, めっき液のpH値: 1.7 , めっき電流密度: 50〜80A/dm2 , めっき量 : 40g/m2
【0029】B.Zn−Ni合金電気めっき(下層) めっき液の組成: ZnSO4 ・7H2O : 150g/l, Na2SO4 : 60g/l , NiSO4 ・6H2O : 350g/l , めっき液の温度: 50℃, めっき液のpH値: 1.3 , めっき電流密度: 50〜100A/dm2, めっき量 : 30g/m2
【0030】C.Zn−Fe合金電気めっき(下層) めっき液の組成: ZnSO4 ・7H2O : 200g/l, Na2SO4 : 30g/l , FeSO4 ・7H2O : 300g/l , CH3CONa : 20g/l , めっき液の温度: 50℃, めっき液のpH値: 1.2 , めっき電流密度: 50〜 70A/dm2, めっき量 : 40g/m2
【0031】D.Zn−Mn合金電気めっき(下層) めっき液の組成: Zn(BF4)2 : 15g/l , Mn(BF4)2 : 270g/l , H3BO3 : 20g/l , HO(CH2CH2O)n H: 2.5g/l , めっき液の温度: 60℃, めっき液のpH値: 2.5 , めっき電流密度: 50〜 80A/dm2, めっき量 : 30g/m2
【0032】E.Zn−Cr合金電気めっき(下層) めっき液の組成: ZnSO4 : 200g/l , Cr2(SO4)3 : 120g/l , HO(CH2CH2O)n H: 2.5g/l , めっき液の温度: 50℃, めっき液のpH値: 1.2 , めっき電流密度: 50〜120A/dm2, めっき量 : 20g/m2
【0033】F.溶融Znめっき(下層) めっき液の組成: Al:0.12wt.% を含有するZn, めっき液の温度: 465 ℃, 鋼板の進入温度: 470 ℃, めっき量 : 60g/m2
【0034】G.溶融Zn−Fe合金めっき(下層) めっき液の組成: Al:0.12wt.% を含有するZn, めっき液の温度: 465 ℃, 鋼板の進入温度: 470 ℃, 合金化温度 : 495 ℃, めっき量 : 40g/m2
【0035】 H.Mn−Cr合金めっき(上層) めっき浴の組成:Mn(BF:50〜450g/l, Cr(BF:10〜200g/l, PEG(ポリエチレングリコール):2.5g/l, めっき浴の温度:50℃, めっき浴のpH値:2.0, めっき電流密度:10〜200A/dm, めっき量 :めっき電流密度およびめっき液の組成によって変化。
【0036】I.Co−W合金めっき(上層) めっき液の組成: タンク゛ステン酸ナトリウム : 10g/l , NH4Cl : 60g/l , CoSO4 :200g/l , H3BO3 : 30g/l , めっき液の温度: 40 ℃, めっき液のpH値: 6.0 , めっき電流密度: 1 〜 10 A/dm2 , めっき量 : 2g/m2
【0037】J.Co−Cr合金めっき(上層) めっき液の組成: CoSO4 :200g/l , H3BO3 : 30g/l , NH4Cl : 60g/l , CrCl3 : 20g/l , めっき液の温度: 40 ℃, めっき液のpH値: 3.0 , めっき電流密度: 1 〜 10 A/dm2 , めっき量 : 2g/m2
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】このようにして調製した本発明供試体およ
び比較用供試体の各々について、耐食性、潤滑性および
溶接性を、以下に述べる性能試験によって調査した。
【0043】(1) 耐食性試験: a.裸耐食性試験:各供試体に対し、JIS Z 2371に規定
された塩水噴霧試験を施し、赤錆発生までの時間によっ
て評価した。
【0044】b.塗装後の耐食性試験:各供試体に対
し、燐酸塩処理液中において、浸漬タイプのリン酸塩処
理を施して、各供試体の表面上に燐酸塩被膜を形成し、
次いで、カチオンタイプの電着塗装処理を施して、燐酸
塩被膜の上に厚さ20μm の塗膜を形成し、次いで、塗膜
の上に中塗りおよび上塗り塗装した後、クロスカットを
施した。
【0045】このようにしてクロスカットが施された供
試体に対し、塩水噴霧、乾燥および湿潤を1日1サイク
ルとする、湿潤時間および乾燥時間の異なる下記Aおよ
びBの2種類の腐食促進試験を120 サイクル施した。 A.乾燥時間:1時間、 湿潤時間:5時間、 B.乾燥時間:5時間、 湿潤時間:1時間。
【0046】上記により腐食促進試験を施した供試体
の、クロスカット部における膨れ幅を測定し、下記によ
り評価した。 ◎ : 膨れ幅0から1mm未満、 ○ : 膨れ幅1mm以上、3mm未満、 △ : 膨れ幅3mm以上、5mm未満、 × : 膨れ幅5mm以上。
【0047】(2) 潤滑性試験:図1に概略正面図で示し
た摩擦係数測定装置を使用して、各供試体の潤滑性を調
べた。図1に示すように、摩擦係数測定装置は、その上
面に試験片1が載置される水平移動可能なスライドテー
ブル2と、スライドテーブル2上の試験片1をその上方
から押さえる押さえ具3と、スライドテーブル2の下方
における、押さえ具3と対称位置に設けられた、スライ
ドテーブル2の下面に接触するローラ4を有する上下動
可能なスライドテーブル支持台5と、スライドテーブル
支持台5に取り付けられた、スライドテーブル支持台5
による垂直加圧力Nを測定するための第1ロードセル6
と、スライドテーブル2の水平移動方向の端部に取り付
けられたスライドテーブル2による引っ張り力Fを測定
するための第2ロードセル7とからなっている。
【0048】図示しない駆動機構により、スライドテー
ブル支持台5を上方に押し上げて、スライドテーブル2
上に載置された試験片1を、押さえ具3に矢印で示すよ
うに垂直加圧力Nで接触させるとともに、図示しない別
の駆動機構により、スライドテーブル2を、試験片1と
共に、矢印で示すように引っ張り力Fで1m/min の速度
により水平移動させる。この水平移動時における垂直加
圧力Nと引っ張り力Fとの比即ちF/N によって摩擦係数
を測定し、潤滑性を評価した。
【0049】(3) 溶接性試験:そのめっき面を外側にし
て重ね合わせた2枚の供試体に対し、スポット溶接を施
し、その連続溶接が可能な打点数を調べ、下記により評
価した。 ◎ : 連続打点数6000以上、 ○ : 連続打点数4000以上、6000未満、 △ : 連続打点数2000以上、4000未満、 × : 連続打点数2000未満。
【0050】上述した各供試体の試験結果を、表5〜8
に示す。
【0051】
【表5】
【0052】
【表6】
【0053】
【表7】
【0054】
【表8】
【0055】表1〜4および表5〜8から明らかなよう
に、本発明供試体は、何れも、裸耐食性、塗装後の耐食
性、潤滑性および溶接性のすべてにおいて優れていた。
これに対して、鋼板の表面上に亜鉛または亜鉛合金めっ
き層しか形成されていない比較用供試体No.7,19,31,43,
55,67,79は、本発明供試体に比べて、裸耐食性、塗装後
の耐食性、潤滑性および溶接性のすべてにおいて劣って
いた。
【0056】下層の上に、上層としてのMn−Cr合金めっ
き層が形成されていても、Crの含有量が本発明の範囲を
超えて多い比較用供試体No.8,20,32,44,56,68,80、およ
び、Crの含有量が本発明の範囲を外れて少ない比較用供
試体No.9,21,33,45,57,69,81は、本発明供試体に比べて
塗装後の耐食性に劣っていた。また、上層としてのMn−
Cr合金めっき層のめっき量がこの発明の範囲を超えて多
い比較用供試体No.10,22,34,46,58,70,82 は、耐食性、
潤滑性および溶接性の向上が飽和し、不経済であった。
【0057】上層として、先行技術のCo−Cr合金めっき
層が形成された比較用供試体No.11,23,35,47,59,71,83
、および、先行技術のCo−W 合金めっき層が形成され
た比較用供試体No.12,24,36,48,60,72,84 は、本発明供
試体に比べて、裸耐食性および塗装後の耐食性に劣って
いた。
【0058】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
いかなる腐食環境においても優れた耐食性を発揮し、し
かも、プレス成形時における潤滑性が良好で、且つ、溶
接性に優れた、自動車用鋼板として好適な表面処理鋼板
が得られる、工業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】表面処理鋼板の潤滑性を試験するための摩擦係
数測定装置の概略正面図である。
【符号の説明】
1 試験片、 2 スライドテーブル、 3 押さえ具、 4 ローラ、 5 スライドテーブル支持台、 6 第1ロードセル、 7 第2ロードセル。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板の少なくとも1つの表面上に形成さ
    れた、下層としての亜鉛めっき層または亜鉛系合金めっ
    き層と、下層としての前記亜鉛めっき層または亜鉛系合
    金めっき層の上に形成された、上層としてのマンガン−
    クロム合金めっき層とからなり、下層としての前記亜鉛
    めっき層または亜鉛系合金めっき層のめっき量は、前記
    鋼板の片面当り5から100g/m2 の範囲内であり、上層と
    しての前記マンガン−クロム合金めっき層は、5から90
    wt.%の範囲内のクロムと、10から95wt.%の範囲内のマン
    ガンとからなっており、そして、上層としての前記マン
    ガン−クロム合金めっき層のめっき量は、前記鋼板の片
    面当り0.01から5g/m2の範囲内であることを特徴とす
    る、耐食性、潤滑性および溶接性に優れた表面処理鋼
    板。
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