JP2710578B2 - 指向性合成処理方式 - Google Patents

指向性合成処理方式

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JP2710578B2
JP2710578B2 JP7070124A JP7012495A JP2710578B2 JP 2710578 B2 JP2710578 B2 JP 2710578B2 JP 7070124 A JP7070124 A JP 7070124A JP 7012495 A JP7012495 A JP 7012495A JP 2710578 B2 JP2710578 B2 JP 2710578B2
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和典 江花
博之 杉山
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  • Measurement Of Velocity Or Position Using Acoustic Or Ultrasonic Waves (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は指向性合成処理方式に関
し、特に海上に浮遊するブイから吊下され、海中の目標
の発する音源の方位を標定する垂直ラインアレイの目標
捕捉に必要な指向性合成を行なう指向性合成処理方式に
関する。
【0002】
【従来の技術】複数のハイドロホンを等間隔でライン配
列して成る垂直ラインアレイで水中の目標の発する音を
捕捉し、これら垂直ラインアレイを複数展開して目標の
方位や位置を求める場合には、垂直ラインアレイを構成
する個個のハイドロホンに、最も到来時間の遅いハイド
ロホンとの到来時間差に対応する時間遅延を与えたのち
加算合成する整相処理を施して指向性合成を行ってい
た。
【0003】元来、この種の指向性合成は、音源と垂直
ラインアレイとが互いに十分に遠方にあり、従って到来
音波が平面波であるとして各マイクロホン間の遅延時間
を計算し、この遅延時間を見掛上零として到来時間差に
伴なう位相差を零とする遅延整相処理を行っていた。
【0004】図6は従来の遠距離音場の指向性合成の説
明図である。垂直ラインアレイが5個のハイドロホンR
0,R1,…,R4を有するものとし、目標Tからの到
来波Wが垂直線となす角θで入射したとするとハイドロ
ホン間の音波行程差はdsinθ〜4dsinθとな
る。最も遅いハイドロホンR4を遅延0としハイドロホ
ンR0に最大の遅延を与えるように位相整合することに
よって、これらハイドロホンによる位相整合ラインは到
来波の波面(wave front)に平行したものと
なり目標Tを指向する指向性ビームB1が形成される。
このような指向性ビームを運用目的を勘案して複数形成
しこれら複数の指向性を切り替えつつ目標を探知する。
【0005】ところが、水中の目標の静粛化が進むにつ
れて受信系の最小検知レベルに対する目標の検知距離が
短縮し、到来波を球面音波として取り扱う必要がある近
距離音場領域に接近し入り込む状況が発生している。近
距離音場では、遠距離音場で設定した合成指向性では指
向性利得も低下してしまう。このため、近距離音場では
海中空間に複数の音源位置を仮想設定し、これら音源位
置を指向する複数の指向性合成を行ない、この複数の合
成指向性を近距離音場内で所定のタイミングで順次形成
することを繰返して、受波信号の時系列データの含む目
標のアノマリ(anomaly)を検出することで目標
検知を行なっている。
【0006】ここで言う近距離音場とは、各ハイドロホ
ンに対する到来音波が平面波として扱えなくなる領域
で、距離的にはa2 /λ(a:開口長、λ:波長)より
も近い音場であり、例えばλが5m(300Hz),a
が60mであるとすると、720mとなる。
【0007】この仮想音源は、例えば対象とする海洋空
間を50m×50mのメッシュに切り、その交点に指向
中心を合わせるように指向性を合成し、対象とする交点
を順次変えつつ指向性合成し、平面波によるものとして
扱う場合の指向性利得の低下を回避している。
【0008】図7は従来の近距離音場の指向性合成の説
明図である。図7は垂直ラインアレイのハイドロホンR
0〜R4を含む垂直面を例とし、仮想音源T00〜TM
Nが等メッシュで設定された状態を示す。垂直ラインア
レイによる合成指向性は、垂直方向は尖鋭なパターンで
あるが、水平方向は無指向性であり、これに対応して仮
想音源は垂直ラインアレイを中心として360度範囲に
設定される。これら仮想音源と基準とするハイドロホン
を結ぶ線を仮想音源から仮想到来する球面波方向とし、
これを指向するように位相合成によってたとえば指向性
ビームB2を形成する。この指向性ビームB2は、垂直
ラインアレイの水平方向の無指向特性に対応して360
度方向のすべての相対的に同じ仮想音源に対して形成さ
れ、この指向性ビームを次次に切り替えて入力する信号
の時間経過から有意なアノマリを検出する。
【0009】図2は、従来の指向性合成処理方式の構成
図である。図2の指向性合成処理方式は、遠距離音場お
よび近距離音場における平面波扱いと球面波扱いに対す
る指向性合成のための遅延整相に必要な遅延時間を計算
する遅延時間計算部1と、遅延時間計算部1の計算した
遅延時間にもとづいて垂直ラインアレイの受波入力に対
する遅延整相を施す遅延整相部2と、遅延整相部2の出
力から目標を検出する検出部3と、垂直ラインアレイ5
とを有する。これら構成要素中、垂直ラインアレイ5
は、等間隔配置したn個のハイドロホンS1〜Snを有
し、また遅延整相部2はn個のハイドロホンS1〜Sn
に対応するn個の遅延部21−1〜21−nと、これら
n個の遅延部の出力を加算し合成する加算部22とを有
する。
【0010】遅延時間計算部1では、遠距離音場から到
来する平面波のみを対象とする場合は、各ハイドロホン
S1〜Snの到来タイミング差を零とする遅延時間を計
算する。この遅延時間は、図4に示す如く、例えばハイ
ドロホンS1を基準とする場合、(γi−γo)/c
(cは音速)をハイドロホンS1に与える形式で求めら
れる。従って複数のハイドロホンがある場合には、基準
ハイドロホンから最も遠いハイドロホンとの距離差に対
応する時間差が最大遅延時間となり、逆に言えば最も遠
いハイドロホンを遅延時間零とし、基準ハイドロホンが
最大の遅延量を受けるように遅延時間を設定して到来時
間を実効的に同一とすることによって行なわれる。
【0011】音源が近距離音場のみを対象とする場合
は、複数の仮想音源の位置を指向するように合成指向性
を形成する。
【0012】この場合は、垂直ラインアレイ5を中心と
する360度方位にわたって図に示す如く仮想音源を
設定し、これら仮想音源を指向するように形成する複数
の合成指向性を次次に切り替えて受信する。遅延時間計
算部1は、この複数の合成指向性を形成するための各ハ
イドロホンに与えるべき遅延時間を計算し遅延整相部2
に送出する。
【0013】遅延整相部2は、遅延時間計算部1で計算
された遅延時間に対応した遅延を各ハイドロホンに与え
て加算することにより整相する。遅延整相部2は、n個
の遅延部21−1,21−2,…,21−nと加算部2
2とからなる。受波信号について到達時間をそろえた各
ハイドロホンの出力を加算すれば、信号成分は時間関係
が整合して同位相となり、加算する信号の数だけ加算後
の振幅が増加する(等電力の信号をN個とすると加算後
の振幅はN倍となる)。一方、雑音のほうは全周から等
しく到来するとみなせるので特定の位置から到達時間を
合わせて加算しても電力の加算となる(等電力の雑音を
n個加算すると加算後の振幅はn1/2 倍)だけである。
これによって雑音成分を相対的に低下させることができ
る。これを行うため、遅延部21−1〜21−nでは遅
延時間計算部1で計算された遅延時間だけ受波信号に遅
延を与え、その出力を加算部22において加算してい
る。
【0014】検出部3においては、遅延整相部2におい
て整相した出力から信号成分の有無を検波積分等の方法
で検出するものであり、遠距離の場合は検出しきい値を
超えるもの、また近距離の場合は全ての仮想音源うちで
最も高い出力レベルをもたらし、かつ検出しきい値を超
えるものをもって音源の位置としている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】この従来の指向性合成
処理方式における近距離音場での指向性合成処理は、仮
想音源ごとに遅延時間を計算して位相を整合する整相処
理を近距離音場に設定したすべての仮想音源について総
当り的に行うため、処理量が膨大になるという問題点が
あった。
【0016】本発明の目的は上述した問題点を解決し、
近距離音場に対する処理量を著しく圧縮した指向性合成
処理方式を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の方式は、海上に
浮遊するブイから無指向性の複数のハイドロホンによる
垂直ラインアレイを吊下し海中の目標を捕捉するための
指向性を合成して受波信号を処理する指向性合成処理方
式であって、a2 /λ(a:アレイ開口長、λ:波長)
で定義される近距離音場を越える遠距離音場から到来す
る平面波を対象として整相処理による第1の指向性合成
を行なう第1の指向性合成手段と、前記近距離音場の海
中にあらかじめ設定する複数の仮想音源から仮想到来す
る球面波を対象として整相処理による複数の指向性合成
を行ないかつ前記複数の指向性合成を所定のタイミング
で順次繰り返す第2の指向性合成を行なう第2の指向性
合成手段と、前記近距離音場からの到来波に対してこれ
を平面波として整相処理しても検出可能な信号対雑音比
を有する領域では前記第1の指向性合成手段による指向
性合成を行なう第3の指向性合成手段とを備える。
【0018】また本発明の方式は、海上に浮遊するブイ
から無指向性の複数のハイドロホンによる垂直ラインア
レイを吊下し海中の目標を捕捉するための指向性を合成
して受波信号を処理する指向性合成処理方式であって、
2 /λで定義される近距離音場における到来音波を球
面波の代りに平面波とした場合の指向性利得の低下と到
来音波の距離に依存した受波レベルの低下との関係にも
とづいてあらかじめ設定した近距離音場判定スレッショ
ルドを超えない低受波レベルの近距離音場を計算しこれ
を前記近距離音場における球面波を対象とする指向性合
成のエリアとして出力するエリア計算部と、前記垂直ラ
インアレイに遠距離音場から到来する平面波ならびに前
記エリアを除く近距離音場からの球面波を対象として整
相処理による指向性合成に必要な前記複数のハイドロホ
ンに付与すべき遅延時間と前記エリアにあらかじめ設定
する複数の仮想音源から仮想到来する球面波を対象とし
た整相による複数の指向性の所定のタイミングによる順
次合成に必要な前記複数のハイドロホンに付与すべき遅
延時間とを計算する遅延時間計算部と、前記垂直ライン
アレイの各ハイドロホンで捕捉した受波信号に前記遅延
時間計算部で計算した遅延時間による遅延を与えて加算
して指向性合成による受波信号の処理を行なう遅延整相
部と、前記遅延整相部の遅延整相出力から目標信号の有
無を判定する検出部とを備える。
【0019】
【実施例】次に、本発明について図面を参照して説明す
る。
【0020】図1は本発明の一実施例の構成図である。
本実施例は、近距離音場での複数の仮想音源設定領域と
してのエリアを計算するエリア計算部4と、遠距離音場
および近距離音場に対する第1,第2および第3の指向
性合成に必要な遅延時間を計算する遅延時間計算部1a
と、遅延整相処理を行なう遅延整相部2と、検出部3お
よび垂直ラインアレイ5とを有する。
【0021】エリア計算部4は、遠距離音場から到来す
る平面波に対する第1の指向性合成と、近距離音場に設
定した複数の仮想音源のそれぞれに対する第2および第
3の指向性合成とを順次所定の繰返しサイクルで計算し
遅延整相部2のハイドロホンS1〜Sn対応の遅延部2
1−1,21−2,…,21−nに供給する。この場
合、遠距離音場に対する合成指向性と近距離音場に対す
る合成指向性それぞれに必要な遅延時間の演算切替のタ
イミングは、あらかじめ設定する近距離音場までの距離
と運用上最大距離とにもとづいてあらかじめ設定され
る。
【0022】さらに、近距離音場には球面波に対する指
向性合成の対象領域としてのエリアを設定し、近距離音
場に対する総当り的仮想音源設定を排除して大幅な演算
量の圧縮を図っている。
【0023】エリア設定は、ハイドロホンS1〜Snに
よる受波レベルが後述する近距離音場判定スレッショル
ドを超えるか否かにもとづいて行なう。このことは、垂
直ラインアレイ5の運用開始に先立つ予備調査によって
設定される。近距離音場判定スレッショルドは、近距離
音場に設定した複数の仮想音源を対象として捕捉した受
波入力の検出部3における出力信号レベルがノイズレベ
ルをどれだけ超えるか、すなわち信号対雑音比にもとづ
いて次の(1)式により設定される。
【0024】 SLTL+DI+PG−NL>DT …… (1) (1)式において、SLは仮想音源の音源レベル、TL
は伝搬損失、DIは指向性利得、PGは処理利得、NL
は雑音レベルかつDTは検出部3の検出レベルである。
(1)式において、SL+TL+DIが指向性合成後の
受波レベルであり、TLは20logγ(γ:距離)で
表され、かつDIは球面波領域(近距離音場)では平面
波領域(遠距離音場)よりも低下する。
【0025】図3は指向性利得および受波レベルの距離
依存性の一例を示す特性図(a)および指向性合成後の
受波レベルの距離依存性の一例を示す特性図(b)であ
る。
【0026】図3(a)に示す指向性利得DIの低下D
と、TLによる受波レベル低下Lとの影響を合成したS
TL+DIが図3(b)の指向性合成後の受波レベ
ルと距離との関係を示し、近距離領域では指向性合成後
の受波レベルには大きな変動を示し、遠距離領域に準じ
て平面波の合成指向性による受信処理を可能とする比較
的高レベルの高レベル近距離音場101と斜線を施した
低レベルのエリアa102およびエリアb103が存在
する。本発明の基本的特徴は、高レベル近距離音場10
1を球面波の近距離音場処理から除去して仮想音源の設
定を不要とし遅延時間計算量と遅延整相処理量とを大幅
に圧縮することにある。
【0027】近距離音場における図3(a)に示す指向
性利得の低下Dの距離依存性は、次のように考えること
ができる。
【0028】いま、垂直ラインアレイ5を構成するn個
のハイドロホンS1,S2,…,Snが順次上方から下
方に等間隔で吊下されているものとし、それぞれの受波
信号の位相を順次0(基準),φ1,φ2,…,φn−
1とする。n個の受波信号を加算した加算出力Vは次の
(2)式で表現できる。
【0029】 V=cosωt+cos(ωt+φ1)+cos(ωt+φ2)+…… ……+cos(ωt+φn−1) ……(2) (2)式を複素表現すると次の(3)式で示される。
【0030】
【0031】(3)式の時間項ej ωt を除いてカッコ
内の振幅の項を取り出し、次の(4)式の振幅Aを得
る。
【0032】
【0033】振幅Aの絶対値┃A┃は次の(5)式で示
される。
【0034】
【0035】(5)式で、φiは基準とするハイドロホ
ンと他のハイドロホンとの位相差を示し、またこの位相
差は音源とハイドロホンとの距離差に対応する。従って
φi=2π/λ(γi−γo)として示すことができ
る。ここでγoは基準とするハイドロホンと音源との距
離,γiはi番目のハイドロホンと音源との距離であ
り、これらの相対位置関係を図4に示す。
【0036】上述したφiは2π:φi=λ:(γi−
γo)から導かれる。従って、垂直ラインアレイ5の各
ハイドロホンの加算出力による振幅の絶対値┃A┃は次
の(6)式で示される。
【0037】
【0038】(6)式で示す振幅の絶対値は遠距離音場
と近距離音場とのいずれにも共通するものである。
(6)式で表現される振幅は球面波を対象とする近距離
音場で到来音波を平面波としたときの指向性利得の低下
によって減少するが、この減少は垂直受波アレイと仮想
音源位置とが与えられると次のようにして計算できる。
【0039】例えば、n個のハイドロホンを有する垂直
受波アレイ5は、到来音波が平面波である遠距離音場で
は各ハイドロホンに到来音波に対する位相整合が施され
てそれぞれsinωtの受波信号をうけることによりN
sinωt(これをS1とする)の合成出力が得られ
る。次に、到来音波が球面波として扱う必要のある近距
離場で各ハイドロホンでの到達時間差が生じた場合に
は、基準とするハイドロホンの位置を基準点として次の
(7)式が成立する。
【0040】 音源と基準点距離R0 ={(x−x0 2 +(y−y0 2 1/2 =K(x,y) ……(7) (7)式においてx0 およびy0 はそれぞれ基準点の距
離および深度方向座標,xおよびyはそれぞれ音源の距
離および深度方向座標である。
【0041】音源と他のハイドロホンSiとの距離Ri
は、次の(8)式で示される。
【0042】 Ri={(x−xi)2 +(y−yi)2 1/2 =J(x,y,i) ……(8) 従って、距離R0 とRiとの差に対応する時間差Δtは
次の(9)式で示される。
【0043】 Δt(x,y,i)=(J(x,y,i)−K(x,y))/c ……(9) c:音速 (9)式で示す時間差を位相で表現すると次の(10)
式で示すΔθが得られる。
【0044】 Δθ=ωΔt(x,y,i)=ω(J(x,y,i)−K(x,y)/c) ……(10) 従って、遅延整相後の出力S2は次の(11)式のとお
りとなる。
【0045】 S2=sinωt+sinω(t+J(x,y,1)−K(x,y)/c) +sinω(t+J(x,y,2)−K(x,y)/c) ………………………………………………………… +sinω(t+J(x,y,n)−K(x,y)/c) ……(11) これにより、指向性利得の低下DはS1−S2をパラメ
ータとして表現できる。図3(a)の指向性利得の低下
Dは、このような観点にもとづいて求めた一例である。
なお、図3(a)中の指向性利得の低下Dに点線矢印で
示す指向性利得低下の特に大きい部分は、主としてハイ
ドロホンと音源との位置関係によってもたらされる波形
干渉による。
【0046】このように、近距離音場においては、遠距
離音場を対象とした合成指向性による指向性利得が低下
するが、近距離音場内での仮想音源の設定は、信号対雑
音比を考慮に含む受波レベルの大小にもとづいて行なわ
れることが正しい。従って、近距離音場にあっても指向
性利得の低下Dがさほど大きくなく、遠距離音場と同じ
合成指向性による受信処理が可能な空間は処理量の大き
い仮想音源処理の対象外とすることができる。図3
(b)の近距離音場判定スレッショルドは、かかる観点
にもとづいて設定されたスレッショルドであり、この場
合は高レベル近距離音場101を仮想音源処理の対象外
とすることは前述したとおりである。
【0047】図5は、近距離音場における指向性利得の
低下の数値例を示す図である。図5の数値例は、周波数
λ=75m、垂直アレイによる開口長375m、ハイド
ロホンはλ/2間隔で11個の場合を例としている。従
って、数値上の近距離音場は約1,800mで図5はす
べて近距離音場に含まれ、これに対して近距離音場判定
スレッショルドを設定し、大幅な演算量の圧縮を図るこ
とができる。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、近距離音
場における到来音波を平面波とした場合の指向性利得の
低下と受波点での受波レベルとの関係にもとづいて近距
離音場の球面波を対象とする指向性合成を行うエリアを
限定することにより、近距離音場での指向性合成におけ
る演算量を著しく圧縮することができる効果を有する。
【0049】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の指向性合成処理方式の構成
図である。
【図2】従来の指向性合成処理方式の構成図である。
【図3】指向性利得および受波レベルの距離依存性の一
例を示す特性図(a)および指向性合成後の受波レベル
の距離依存性の一例を示す特性図(b)である。
【図4】垂直ラインアレイと音源との関係を示す説明図
である。
【図5】近距離音場における指向性利得低下の数値例を
示す図である。
【図6】垂直ハイドロホンアレイによる従来の遠距離音
場の指向性合成の説明図である。
【図7】垂直ハイドロホンアレイによる従来の近距離音
場の指向性合成の説明図である。
【符号の説明】
1,19 遅延時間計算部 2 遅延整相部 3 検出部 4 エリア計算部 5 受波アレイ 21−1〜21−n 遅延部 22 加算部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 琢 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気 株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−126939(JP,A) 特開 昭54−94788(JP,A) 特開 昭54−100178(JP,A) 特公 平1−23749(JP,B2)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 海上に浮遊するブイから無指向性の複数
    のハイドロホンによる垂直ラインアレイを吊下し海中の
    目標を捕捉するための指向性を合成して受波信号を処理
    する指向性合成処理方式であって、a2 /λ(a:アレ
    イ開口長、λ:波長)で定義される近距離音場を越える
    遠距離音場から到来する平面波を対象として整相処理に
    よる第1の指向性合成を行なう第1の指向性合成手段
    と、前記近距離音場の海中にあらかじめ設定する複数の
    仮想音源から仮想到来する球面波を対象として整相処理
    による複数の指向性合成を行ないかつ前記複数の指向性
    合成を所定のタイミングで順次繰り返す第2の指向性合
    成を行なう第2の指向性合成手段と、前記近距離音場か
    らの到来波に対してこれを平面波として整相処理しても
    検出可能な信号対雑音比を有する領域では前記第1の指
    向性合成手段による指向性合成を行なう第3の指向性合
    成手段とを備えることを特徴とする指向性合成処理方
    式。
  2. 【請求項2】 海上に浮遊するブイから無指向性の複数
    のハイドロホンによる垂直ラインアレイを吊下し海中の
    目標を捕捉するための指向性を合成して受波信号を処理
    する指向性合成処理方式であって、a2 /λで定義され
    る近距離音場における到来音波を球面波の代りに平面波
    とした場合の指向性利得の低下と到来音波の距離に依存
    した受波レベルの低下との関係にもとづいてあらかじめ
    設定した近距離音場判定スレッショルドを超えない低受
    波レベルの近距離音場を計算しこれを前記近距離音場に
    おける球面波を対象とする指向性合成のエリアとして出
    力するエリア計算部と、前記垂直ラインアレイに遠距離
    音場から到来する平面波ならびに前記エリアを除く近距
    離音場からの球面波を対象とした整相処理による指向性
    合成に必要な前記複数のハイドロホンに付与すべき遅延
    時間と前記エリアにあらかじめ設定する複数の仮想音源
    から仮想到来する球面波を対象として整相による複数の
    指向性の所定のタイミングによる順次合成に必要な前記
    複数のハイドロホンに付与すべき遅延時間とを計算する
    遅延時間計算部と、前記垂直ラインアレイの各ハイドロ
    ホンで捕捉した受波信号に前記遅延時間計算部で計算し
    た遅延時間による遅延を与えて加算して指向性合成によ
    る受波信号の処理を行なう遅延整相部と、前記遅延整相
    部の遅延整相出力から目標信号の有無を判定する検出部
    とを備えることを特徴とする指向性合成処理方式。
JP7070124A 1995-03-28 1995-03-28 指向性合成処理方式 Expired - Lifetime JP2710578B2 (ja)

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