JP2706159B2 - 溶接性の良好な低降伏比高張力鋼の製造方法 - Google Patents

溶接性の良好な低降伏比高張力鋼の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、建築、橋梁、タンクなどの鋼構造物に利用
される溶融割れ感受性が低く、降伏比が80%以下、引張
強さが60kgf/mm2以上の低降伏比高張力鋼の製造方法に
関するものである。
〈従来の技術〉 建築、橋梁、タンクなどの鉄骨構造物の大型化に伴い
使用される鋼材には高強度化、厚肉化が求められてい
る。一方、構造物の安全性、すなわち脆性破壊防止の観
点から降伏比の低いこと並びに溶接性の良いことが求め
られている。
しかしながら、一般に高強度化にともない降伏比は上
昇し、溶接性は低下する傾向にあり、引張強さが60kgf/
mm2以上の高張力鋼では80%以下の低降伏比と良好な溶
接性を兼備させることは容易ではない。すなわち従来の
低降伏比60キロ鋼は溶接割れ感受性(PCM=0.24%程
度)が高いため、溶接施工時には100℃程度の予熱を必
要とする。
従来の低降伏比高張力鋼の製造方法としては、フェラ
イトとオーステナイトの2相域温度に再加熱してから焼
入れる方法が知られている。この方法は低降伏比化には
有効であるが、炭素当量が0.35〜0.50%と高いため溶接
性があまり良くない。この方法で製造した低降伏比鋼の
一例が日本鋼管技報No.122(1988)の第9頁に示されて
いるが、Ceq.0.45%(PCM0.24%)からなる組成で、
引張強さ60kgf/mm2以上、降伏比で80%以下得られてい
るものの、溶接性はY割れ防止予熱温度で100℃と高
い。このように従来法では溶接施工で予熱を必要としな
い低降伏比60キロ級高張力鋼が得られなかった。
〈発明が解決しようとする課題〉 このような現状に鑑みて本発明はなされたもので、溶
接施工において予熱を必要としない良好な溶接性を有
し、かつ降伏比で80%以下、引張強さで60kgf/mm2以上
の低降伏比高張力鋼の製造方法を提案することを目的と
するものである。
〈課題を解決するための手段〉 本発明者らは、溶接割れ感受性が低く、かつ低降伏比
で高張力の得られる成分系について研究を重ねた結果、
C含有量を低減しMoなどの合金元素で置き換えることで
CMは0.21%以下に低減でき、溶接割れ感受性を低減で
きると同時に高強度も確保できることを見出した。
一方、C含有量を低減し合金元素を高めた鋼は、降伏
比が高くなる傾向にあり、低降伏比が得難くなる。降伏
比は最終的に得られる2相混合組織(フェライト相と硬
化相)の分布状況で決定づけられるが、2相組織の分布
状況は2相焼入れ前の前組織の影響される。微細マルテ
ンサイトの前組織からは微細な2相組織が得られ、粗大
フェライトとベイナイトの前組織からは粗大な2相組織
が得られる。前処理の焼入能を下げ前組織を幾分粗くし
ておくことにより、その後に得られる2相組織も粗くで
き、降伏比(降伏点)を下げることができる。
すなわち、前処理の焼入冷却速度を30℃/sec以下に制
限することにより、その後に施される2相域焼入れ・焼
もどし処理で低降伏比が確保できることを見出した。
本発明は、これらの知見を活用することによって達成
したものである。
すなわち、本発明は、重量比にて、C:0.03〜0.10%、
Si:0.05〜0.60%、Mn:0.60〜2.00%、Mo:0.10〜0.50
%、P:0.030%以下、S:0.020%以下を含み、さらにNi:
1.00%以下、Cr:0.70%以下、Cu:0.70%以下、V:0.06%
以下、Nb:0.05%以下及びB:0.0050%以下のいずれか1
種以上を含み、残部が実質的にFeからなり、かつP
CM(%)=C+Si/30+Mn/20+Ni/60+Cr/20+Cu/20+M
o/15+V/10+5Bが0.16〜0.21%である鋼を熱間圧延後、
Ac3点以上の温度に再加熱した後、30℃/sec以下の冷却
速度で焼入れ、さらに(Ac1+90℃)〜(Ac1+140℃)
間の2相域温度に加熱保持した後、室温まで急冷して焼
入れ、その後450〜600℃の温度で焼もどしを行うことを
特徴とする溶接性の良好な低降伏比高張力鋼の製造方法
である。
〈作用〉 以下、本発明について詳細に説明する。
まず鋼の組成の限定理由について述べる。
C:0.03〜0.10% Cは高強度かつ低降伏比(YR)を得るために0.03%
(重量%以下同じ)以上必要であるが、0.10%を超える
と溶接割れ感受性が高くなるため0.03〜0.10%とした。
Si:0.05〜0.60% Siは脱酸剤として0.05%以上必要であるが、0.60%を
超えると溶接熱影響部の低温靱性を低下させるため0.05
〜0.60%とした。
Mn:0.60〜2.00% Mnは焼入性の確保、強度確保のため0.60%以上必要で
あるが、2.00%を超える過剰の添加は溶接性を低下させ
るため0.60〜2.00%とした。
P:0.03%以下、S:0.020%以下 P、Sは鋼中に混入する不純物として不可避である
が、ともに溶接性、靱性、延性を阻害するため、それぞ
れ0.030%以下、0.020%以下に限定した。
Mo:0.10〜0.50% Moはオーステナイト中に固溶してオーステナイトの焼
入性を高めるとともに、焼もどし時に析出し、焼もどし
軟化抵抗を高め、強度上昇を寄与する元素であり、0.10
%以上を必要とするが、0.50%を超えての添加は溶接
性、延靱性を低下するので、0.10〜0.50%とした。
さらに以上の成分系に加えて、所定の強度を得るため
の下記の成分のいずれかを一種以上添加する。
Ni:1.00%以下、Cr:0.70%以下、Cu:0.70%以下、V:
0.06%以下、Nb:0.05%以下及びB:0.0050%以下であ
る。
いずれの元素も強度上昇に有効であるが、過剰添加は
溶接性、延靱性を低下するので、それぞれの上限を上記
のとおりとした。なおNi、Cuは溶接性、延靱性をあまり
低下しないが、Niは高価な元素であり1%超では経済性
に問題があり、Cuは0.7%超では熱間加工性を劣化させ
る。
さらに、本発明鋼は良好な焼入性を確保するために、
CM(%)=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Cr/20+Ni/60
+V/10+5Bを0.16〜0.21%の範囲に限定した。PCMは小
さいほど溶接割れ感受性が小さいが、予熱フリーのため
には0.21%以下が必要であるが、0.16%未満では強度の
確保ができなくなるため、PCMを0.16〜0.21%の範囲と
した。
以上の成分系からなる鋼を常法により溶製し、造塊ま
たは連鋳により鋼塊またはスラブとした後、熱間圧延に
より所定の板厚まで熱間圧延を行い、圧延後一旦空冷し
さらにAc3点以上の温度まで再加熱した後30℃/sec以下
の冷却速度で焼入れる前処理を施す。前処理で焼入冷却
速度を30℃/sec以下に抑えるのは低降伏比を得るためで
ある。C含有量を低減し合金元素を高めた低PCM鋼は低
降伏比を得難い傾向にあるが、第1図に示すように前処
理焼入冷却速度を30℃/sec以下にすることにより、降伏
比を80%以下に低下することができる。従って、前処理
の焼入冷却速度は30℃/sec以下に限定される。
なお、第1図は第1表に示す組成からなる鋼を、圧延
後空冷しさらにAc3点以上に再加熱し冷却した前処理に
ついて、その冷却速度を広範囲に変化させて焼入れた
後、Ac1〜Ac3点範囲内の810℃に再加熱した後水冷し、5
50℃で焼もどし処理した場合の引張特性と前処理の冷却
速度の関係を示したものである。
なお、圧延仕上温度が低くなり、未再結晶域での圧下
が大きくなると2相焼入れ+焼もどし処理後においても
超音波の音響異方性が生じるので、仕上温度は900℃以
上が望ましい。
次にAc1〜Ac3変態点間の特定2相域温度に加熱するの
は、低降伏比に有効な軟質のフェライトと後の冷却によ
り高強度に必要な硬質の硬化相となるオーステナイトを
得るためである。本発明のように前組織が粗い場合、2
相域加熱温度が低すぎると粗大フェライトが多量に残存
して、衝撃靱性が悪くなるので2相域加熱温度は(Ac1
+90℃)〜(Ac1+140℃)の範囲に限定される。
2相域温度からの焼入れ冷却速度は、高強度、高靱性
を得るためには急冷ほど望ましい。空冷以下の徐冷却で
はオーステナイト相が硬化相に変態しないため、空冷以
上の冷却とする必要がある。
次に焼入れ硬化した脆い硬化相は、靱性を向上させる
ため450℃以上の焼もどしを行う必要がある。一方、600
℃超の高温で焼もどしすると硬化相の軟化が大きくな
り、引張強さの低下、降伏比の上昇を招くので、焼もど
し温度の上限は600℃とした。
〈実施例〉 第2表に供試材の化学成分を示す。供試材A,D,Eは本
発明の成分範囲内にある鋼で、J〜L鋼は比較鋼であ
る。D,Eの鋼について前処理B:圧延後空冷し、さらにAc3
点以上に再加熱して冷却した後、Ac1〜Ac3点範囲の2相
域温度に加熱保持した後、空冷以上の冷却速度で焼入れ
し、500〜560℃で焼もどし処理を行った。なお、比較例
として、A,J,K,L鋼については前処理A:圧延後直ちに冷
却を施した。これらの機械的性質を第3表に示す。
本発明法では引張強さ(TS)60kgf/mm2以上で、78%
以下の低降伏比(YR)が得られている。またY型溶接割
れ試験による割れ防止予熱温度はいずれも25℃以下で予
熱を必要としない。
これに対し比較例では、TS≧60kgf/mm2、YR≧80%、
Y割れ防止予熱温度≦25℃のいずれかが満足できない。
例えば、A2、A3鋼は、成分的には発明範囲内にあり良好
な溶接性を有するが、熱処理条件が適切でないためYR≦
80%を満足できない。J、K、L鋼はいずれもPCMが高
く、Y割れ防止予熱温度が75℃以上と高い。
〈発明の効果〉 C含有量を低減しMo等の合金元素含有量を高め、PCM
を0.16〜0.21%に調節した鋼に、予めオーステナイト化
温度から30℃/sec以下の冷却速度で焼入れる前処理を施
した後、(Ac1+90℃)〜(Ac1+140℃)間の2相域温
度に再加熱保持してから焼入れ、焼もどし処理すること
により、溶接割れ感受性の小さい低降伏比高張力鋼が製
造できるようになった。
【図面の簡単な説明】
第1図は引張特性に及ぼす前処理時の焼入れ冷却速度の
影響を示すグラフである。
フロントページの続き (72)発明者 腰塚 典明 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株 式会社技術研究本部内 (56)参考文献 特開 平3−219012(JP,A) 特開 昭64−68422(JP,A) 特開 平1−230713(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量比にて、C:0.03〜0.10%、Si:0.05〜
    0.60%、Mn:0.60〜2.00%、Mo:0.10〜0.50%、P:0.030
    %以下、S:0.020%以下を含み、さらにNi:1.00%以下、
    Cr:0.70%以下、Cu:0.70%以下、V:0.06%以下、Nb:0.0
    5%以下及びB:0.0050%以下のいずれか1種以上を含
    み、残部が実質的にFeからなり、かつPCM(%)=C+
    Si/30+Mn/20+Ni/60+Cr/20+Cu/20+Mo/15+V/10+5B
    が0.16〜0.21%である鋼を熱間圧延後、Ac3点以上の温
    度に再加熱した後、30℃/sec以下の冷却速度で焼入れ、
    さらに(Ac1+90℃)〜(Ac1+140℃)間の2相域温度
    に加熱保持した後、室温まで急冷して焼入れ、その後45
    0〜600℃の温度で焼もどしを行うことを特徴とする溶接
    性の良好な低降伏比高張力鋼の製造方法。
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