JP2696757B2 - 永久磁石 - Google Patents

永久磁石

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JP2696757B2
JP2696757B2 JP556389A JP556389A JP2696757B2 JP 2696757 B2 JP2696757 B2 JP 2696757B2 JP 556389 A JP556389 A JP 556389A JP 556389 A JP556389 A JP 556389A JP 2696757 B2 JP2696757 B2 JP 2696757B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、R(ただし、RはYを含む希土類元素の1
種以上)、FeおよびBを含有する永久磁石に関する。
<従来の技術> 高性能を有する永久磁石としては、粉末冶金法による
Sm−Co系磁石でエネルギー積として、32MGOeのものが量
産されている。
しかし、このものは、Sm、Coの原料価格が高いという
欠点を有する。希土類の中では原子量の小さい希土類元
素、たとえばセリウムやプラセオジム、ネオジムは、サ
マリウムよりも豊富にあり価格が安い。また、Feは安価
である。
そこで、近年Nd−Fe−B系磁石が開発され、特開昭59
−46008号公報では、焼結磁石が、また特開昭60−9852
号公報では、高速急冷法によるものが開示されている。
このものは、25MGOe以上の高エネルギー積を示す高性
能磁石であるが、主成分として酸化され易い希土類元素
と鉄とを含有するため、耐食性が低く、性能の劣化、バ
ラつき等が問題となっている。
このようなR−Fe−B系磁石の耐食性の低さを改善す
ることを目的として、耐食性を有する種々の保護層を表
面に有する永久磁石あるいはその製造方法が提案されて
いる(特開昭60−54406号公報、同60−63901号公報、同
60−63902号公報、同61−130453号公報、同61−150201
号公報、同61−166115号公報、同61−166116号公報、同
61−166117号公報、同61−185910号公報、同61−270308
号公報、同62−120004号公報等)。
このような保護層は、金属、金属酸化物や金属窒化物
等の化合物、ガラス、樹脂等の有機物、あるいはこれら
の混合物を材質として構成されるものである。
また、その設層方法としては、電気めっき等の液相め
っき、スパッタ、イオンプレーティング、真空蒸着等の
気相めっき、浸漬塗布、刷毛塗布、注入、溶融めっき、
電着塗布等の塗布法などが適用されている。なかでも、
電気めっき等の液相めっきが量産性、コストの点で優れ
ており、多用されている。
<発明が解決しようとする課題> しかしながら、従来の液相めっきを適用した保護層で
は、永久磁石体の表面の凹部の底部にめっき層が形成さ
れなかったり、凸部の頂部が破損しやすかったりして、
十分なカバー性がなかった。このため、耐食性に劣ると
いう問題があった。
本発明は、十分なカバー性を有し、耐食性に優れた永
久磁石を提供することを目的とする。
<課題を解決するための手段> 上記目的を達成するために、本発明は下記(1)〜
(7)の構成を有する。
(1)R(ただし、RはYを含む希土類元素の1種以
上)、FeおよびBを含有し、実質的に正方晶系の主相を
有する永久磁石体の表面に保護層を設層した永久磁石で
あって、この保護層が、表面粗さRmaxが3〜50μmであ
る凹凸を有する上記永久磁石体の表面に設層されてお
り、電気めっきにより形成された電気めっき層と無電解
めっきにより形成された無電解めっき層とを有すること
を特徴とする永久磁石。
(2)前記永久磁石体の表面に電気めっき層が設層され
ており、この電気めっき層上に無電解めっき層が設層さ
れている上記(1)に記載の永久磁石。
(3)前記永久磁石体の表面に無電解めっき層が設層さ
れており、この無電解めっき層上に電気めっき層が設層
されている上記(1)に記載の永久磁石。
(4)前記無電解めっき層がpH5以上のめっき浴を使用
して設層されたものである上記(3)に記載の永久磁
石。
(5)前記無電解めっき層の設層に際し、初期触媒とし
てPdまたはAgを用いた触媒化処理を行ったものである上
記(3)または(4)に記載の永久磁石。
(6)保護層の全厚が1〜100μmである上記(1)〜
(5)のいずれかに記載の永久磁石。
(7)永久磁石体のR、FeおよびBの含有量が、 5.5at%≦R≦30at% 42at%≦Fe≦90at% 2at%≦B≦28at% である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の永久磁
石。
<作用> 本発明では、表面に凹凸を有する永久磁石体を用い、
その表面に電気めっき層および無電解めっき層を有する
保護層が設層される。
上記において、永久磁石の表面に、第1層として、電
気めっき層が設層される場合と無電解めっき層が設層さ
れる場合があるが、無電解めっき層の場合はpH5以上の
めっき浴を用いて設層される。そして、第2層以上に
は、第1層とは種類の異なるめっき層が少なくとも1層
が設層される。
このように保護層が設層されることによって、カバー
性が十分となり、耐食性に優れた永久磁石が得られる。
<具体的構成> 以下、本発明の具体的構成について、詳細に説明す
る。
本発明の永久磁石は、凹凸を有する永久磁石体表面に
金属めっきにより形成された金属めっき層と無電解めっ
きにより形成された無電解めっき層とを有する保護層を
設層したものである。
上記において、永久磁石体の表面の凹凸とはJIS規格B
0610に定義された表面粗さの指標であるRmaxに従えば、
基準長さ(L)1mmでRmaxが3μm以上であることをい
い、本発明においては、Rmaxが3〜50μmであり、好ま
しくは5〜20μmの範囲の場合に、特に効果が大きい。
また、このようにRmaxの値を規制することによって、
永久磁石体とこの表面に直接設層されるめっき層との密
着性が良好となる。
本発明では、永久磁石体として用いる焼結磁石やバル
ク体磁石があらかじめ上記凹凸を有している場合には、
それらを加工なしで用いてよいが、上記凹凸を有してい
ない場合には、凹凸形成加工を施す。永久磁石体表面に
凹凸を形成する方法には、特に制限はなく、化学エッチ
ング、機械的加工等により形成することができるが、工
程が単純であること、コストが低いことなどから、化学
エッチングを用いることが好ましい。
化学エッチングには各種の酸性溶液、例えば、硫酸、
硝酸、リン酸等を用いることが好ましいが、これらのう
ち特に硝酸、あるいは硝酸を含む酸性溶液を用いること
が好ましい。硝酸の酸化作用により、金属めっき層との
密着性は一層向上する。
用いる酸性溶液の濃度に特に制限はなく、エッチング
時間にもよるが0.01〜1N程度であることが好ましい。
なお、塩酸を用いた場合、Cl-イオンが磁石表面に残
留し易く、耐食性が低下する可能性があるため、塩酸の
使用は避けることが好ましい。また、同様な理由から、
保護膜の形成もCl-フリーの系にて行なうことが好まし
い。
通常、このような化学エッチングは室温で0.5〜20分
程度行えばよい。
なお、化学エッチングを効果的に行うために、前処理
として強アルカリ系等の脱脂剤を用い、磁石の表面ぬれ
性を改善することが好ましい。
本発明において、永久磁石体には第1層として電気め
っき層あるいは無電解めっき層が形成される。
第1層(最下層)に用いる電気めっきとしては、Ni、
Zn、Cu等を材質とするものが挙げらる。
また、電気めっき層の厚さは0.5〜50μm、好ましく
は1〜20μm程度とすればよい。
このような電気めっき後の表面粗さは、前記したRmax
で示すと、基準長さ1mmでRmaxを1〜5μmとする必要
がある。このようにすることによって凸部のカケの発生
を防止することができる。
ここで、電気めっき層の厚さとは、蛍光X線にて測定
した3mm2径の部分の厚さとする。以下同様の意味で用い
る。
このように第1層として電気めっきを施すことによっ
て、メッキ前に比べて1/4〜1/10のRmaxとなり、十分な
レベリング効果が得られ、磁石取扱い時に凸部が欠ける
ことがない。そして、永久磁石体に直接無電解めっきを
施す場合に比べて、均一で平面性に優れた無電解めっき
層が得られる。
上記においてNiめっきを施す場合に用いるめっき浴と
しては、ワット浴、スルファミン酸浴、ホウフッ化浴等
のいずれであってもよい。
めっき浴組成の一例を、下記に示す。
NiSO4・7H2O 200〜500g/ NiCl2・6H2O 10〜100g/ H3BO4 10〜100g/ この場合のめっき浴の温度は30〜60℃程度、電流密度
は1〜8A/dm2、pHは永久磁石体のpH安定性等によるが、
通常4.0〜5.0程度とすればよい。
また、Cuめっきを施す場合に用いるめっき浴として
は、ロッセル塩浴、ナトリウム浴、カリウム浴、混合浴
等のいずれであってもよい。
めっき浴組成の一例を、下記に示す。
シアン化第1銅 60〜80g/ シアン化ナトリウム 75〜100g/ 炭酸ナトリウム <60g/ この場合のめっき浴の温度は50〜60℃程度、電流密度
は2〜4A/dm2、pHは12〜13程度とすればよい。
本発明において、電気めっきは、光沢めっきであるこ
とが好ましい。レベリング効果が高くなるからである。
場合によっては、電気めっきはピンホールへのつきま
わりが悪く、凹部の深い穴の底までは電気めっきがつか
ないことが多いので、このような場合は、前記永久磁石
体の表面に第1層としてまず無電解めっき層を設層する
のがよい。
上記のような径が小さい穴はRmaxの測定では検知不可
能なものである。
第1層として用いる無電解めっきとしては、Ni、Cu、
Co、Ni−Co−P、Ni−Co−BのNi合金やCu等を材質とす
るものが有効である。
また、無電解めっき層の厚さは1〜30μm、好ましく
は5〜20μm程度とすればよい。
このような無電解めっき層の表面粗さは、前記したR
maxで示すと、基準長さ1mmでRmaxは3〜20μm程度とな
る。すなわち、めっき前とほとんど変化しない。
ここで、無電解めっき層の厚さは、電気めっき層と同
様の定義であり、以下同様である。
このように、無電解めっき層単独では、第1層として
のレベリング効果は小さく、凹凸のある面のみしか得ら
れないが、つきまわりが良くピンホール等の中まで均一
なめっき層が形成されるという点では有意義である。
第1層として無電解めっきを施す場合に用いるめっき
浴としては、中性浴、アルカリ浴が好ましい。これは永
久磁石体が酸性では不安定なためである。
Ni用のアルカリ浴のめっき浴組成の一例を以下に示
す。
NiSO4・7H2O 5〜40g/ NaH2PO2 5〜30g/ クエン酸ナトリウム 5〜10g/ 硫酸アンモニウム 20〜60g/ この場合のめっき浴の温度は50〜65℃程度、pHは8〜
9程度とすればよい。
上記においては、還元剤として次亜リン酸塩である次
亜リン酸ナトリウムを用いているが、ホウ化水素ナトリ
ウム、ヒドラジン等の誘導体であってもよい。
また、Cu用のめっき浴組成の一例としては以下に示す
ものが挙げられる。
(めっき浴組成) 硫酸銅 8〜12g/ ロッセル塩 30〜40g/ NaOH 8〜10g/ ホルマリン 20〜30ml/ この場合のめっき浴の温度は20±2℃、pHは12.5〜13
程度とすればよい。
無電解めっきの場合、一般的なパラジウム触媒化処理
を施すこともあるし、処理なしで活性化されることもあ
る。例えば、本発明におけるNd−Fe−B系磁石では磁石
本体が無電解めっきの初期触媒として働くため高価なPd
を使用せずともめっきが可能である。ただし、この場合
にも表面欠陥があったりして無電解めっきの触媒となら
ない部分がある時にはPd処理を行った方がよりピンホー
ルレスなめっき層とすることができる。
Pd処理の例としては、以下に示す組成の溶液を用いて
の感受性化、活性化の2工程のものがある。
(A)感受性化:SnCl2 20〜40g/(室温 HCl 10〜20ml/ 2分) (B)活性化:PdCl2 0.1〜0.3g/(室温 HCl 3〜5ml 2分) この他、銀塩を触媒としたり、一液性活性法も使用可
能である。
また、アルカリ活性化パラジウム(シェーリング社
製;ノビカント)も磁石の安定性を考えると使用しての
効果は大きい。
また、第1層の設層に使用するめっき浴のpHは、浴の
長期使用等の安定性の実用面を考慮すれば5以上、好ま
しくは7以上とするのがよい。これは、本発明における
R−Fe−B系磁石がpH5未満では不安定で成分が溶出し
てしまうおそれがあるからである。
ただし、短期使用の場合はpH5未満の使用も可能であ
り、浴組成によってはこのような低pHが有効な場合もあ
る。
また、アルカリ性無電解ニッケルめっき浴を使用する
場合には10μm以上の厚さとすると内部応力のためわれ
てしまうことが多い。この場合上記アルカリ性めっき浴
を使用して3μm程度の層を形成し、さらに酸もしくは
中性のめっき浴を使用して厚味づけをするという手法を
採ってもよい。
本発明においては、上記のようにして第1層が形成さ
れた後にその上層である第2層が形成される。この場
合、第1層と第2層とから保護層が構成されるときは、
第1層が電気めっき層であれば、第2層を無電解めっき
層とし、また第1層が無電解めっき層であれば、第2層
を電気めっき層とするものである。このように、第1層
と第2層のめっきの析出原理が異なるところに本発明の
特徴がある。
また、第3層をさらに形成する場合は第1層、第2
層、第3層のうちいずれか1つをめっきの析出原理が異
なる層とすればよい。それ以上の層数とする場合も同様
とするが、実用的には3層までとするのがよい。
3層構成の好ましい態様は以下のものである。
電気めっき層(第1層)→電気めっき層(第2層)→
無電解めっき層(第3層) 無電解めっき層(第1層)→電気めっき層(第2層)
→電気めっき層(第3層) また、材質としては、2層構成の場合、Ni/Ni、Ni/C
u、Ni/Crの組合せ等が好ましい。
3層構成の場合は、Ni/Ni/Ni、Ni/Ni/Cr、Cu/Ni/Ni、
Cu/Zn/Niの組合せ等が好ましい。
高耐食となるように、一般のダブルニッケル、トリニ
ッケル、同様に耐食性の異なる膜をうまく順に設層する
と良い結果を得る。
本発明において、第2層以上のめっき層に電気めっき
層を適用する場合の材質、用いるめっき浴等は第1層の
場合と同様とすればよい。
このような場合の電気めっき層の1層あたりの厚さ
は、1〜30μm、好ましくは5〜20μmとすればよい。
また、表面粗さはRmaxで示して、基準長さ1mmで0.5〜
5μmとするのがよい。
このようにすることによって、平坦性に優れた保護層
が得られる。
第2層以上のめっき層に無電解めっき層を適用する場
合の材質等は第1層の場合と同様とすればよい。まため
っき浴は中性浴、アルカリ性浴の他に酸性浴を用いても
よい。
このような場合の無電解めっき層の1層あたりの厚さ
は、1〜30μm、好ましくは5〜20μmとすればよい。
また、表面粗さはRmaxで示して、基準長さ1mmで0.5〜
5μmとするのがよい。
このようにすることによって、平坦性に優れた保護層
が得られる。
一般に、無電解めっき層上に電気めっき層を設けるこ
とはプラスチック上において広く行われている(「めっ
き数本」日刊工業新聞社発行、233ページ)。しかし、
この2層化の目的は、主に、プラスチックが非導電性で
あるため、電気めっきができないからである。プラスチ
ックのめっき工程では、まず、プラスチック表面に、無
電解めっきの最初の析出に必要な触媒核(Pd、Ag、Au
等)を形成する必要があり、次いで、無電解めっきによ
り電導性皮膜層を形成した後、電気めっきを行う。この
ため、工数が多く、また、必ず無電解めっき→電気めっ
きの順に行う必要がある。
これに対し、本発明において、被めっき物としての永
久磁石体は全く違う観点より2種類のめっき方式を採用
している。すなわち、例えば保護層を2層化する場合、
前記のように析出原理の異なるめっき方式を適用すると
いう制約のもとに、第1層にも第2層にも電気めっきな
いし無電解めっきが適用でき、いずれの場合でも、保護
層を貫通するピンホールがなくなり、また、保護層の表
面性が良好となる。また、無電解めっきの前に触媒核を
形成する必要もない。
そして、本発明におけるめっき層から構成される保護
層全体の厚さは、1〜100μm、好ましくは5〜30μm
とすればよい。
本発明において、電気めっき層上に無電解めっきを施
すにあたっては、被めっき物が好ましい態様におけるNi
の電気めっき層であるときには、めっき反応をスタート
させるために被めっき物にAlやFe等のNiより卑な金属を
接触させたり、被めっき物を塩化パラジウム水溶液(活
性化液)に浸漬させたりする前処理は必ずしも必要では
ないが、このような前処理を施してもよい。特に、均一
な無電解めっき層を得るにはこのような前処理を施すこ
とが好ましい。
一方、無電解めっき層上に電気めっきを施すに際して
は、無電解めっき層表面を清浄するための脱脂や酸浸漬
の前処理を施すことは好ましいが、無電解めっきを行っ
た直後であれば、このような前処理は必ずしも必要では
ない。
酸浸漬処理は、前記した化学エッチングに用いた酸性
溶液を適用すればよく、この場合の酸濃度は0.1〜5Nと
し、1〜10分程度行えばよい。
本発明で使用する永久磁石体は、R(ただし、RはY
を含む希土類元素の1種以上)、FeおよびBを含有する
ものである。
R、FeおよびBの含有量は、 5.5at%≦R≦30at% 42at%≦Fe≦90at% 2at%≦B≦28at% であることが好ましい。
特に、永久磁石体を焼結法により製造する場合、下記
の組成であることが好ましい。
希土類元素Rとしては、Nd、Pr、Ho、Tbのうち少なく
とも1種、あるいはさらに、La、Sm、Ce、Gd、Er、Eu、
Pm、Tm、Yb、Yのうち1種以上を含むものが好ましい。
なお、Rとして2種以上の元素を用いる場合、原料と
してミッシュメタル等の混合物を用いることもできる。
Rの含有量は、8〜30at%であることが好ましい。
8at%未満では、結晶構造がα−鉄と同一構造の立方
晶組織となるため、高い保磁力(iHc)が得られず、30a
t%を超えると、Rリッチな非磁性相が多くなり、残留
磁束密度(Br)が低下する。
Feの含有量は42〜90at%であることが好ましい。
Feが42at%未満であるとBrが低下し、90at%を超える
とiHcが低下する。
Bの含有量は、2〜28at%であることが好ましい。
Bが2at%未満であると菱面体組織となるためiHcが不
十分であり、28at%を超えるとBリッチな非磁性相が多
くなるため、Brが低下する。
なお、Feの一部をCoで置換することにより、磁気特性
を損うことなく温度特性を改善することができる。この
場合、Co置換量がFeの50%を超えると磁気特性が劣化す
るため、Co置換量は50%以下とすることが好ましい。
また、R、FeおよびBの他、不可避的不純物としてN
i、Si、Al、Cu、Ca等が全体の3at%以下含有されていて
もよい。
さらに、Bの一部を、C、P、S、Cuのうちの1種以
上で置換することにより、生産性の向上および低コスト
化が実現できる。この場合、置換量は全体の4at%以下
であることが好ましい。
また、保磁力の向上、生産性の向上、低コスト化のた
めに、Al、Ti、V、Cr、Mn、Bi、Nb、Ta、Mo、W、Sb、
Ge、Sn、Zr、Ni、Si、Hf等の1種以上を添加してもよ
い。この場合、添加量は総計で10at%以下とすることが
好ましい。
本発明における永久磁石体は、実質的に正方晶系の結
晶構造の主相を有する。
この主相の粒径は、1〜100μm程度であることが好
ましい。
そして、通常、体積比で1〜50%の非磁性相を含むも
のである。
このような永久磁石体は、前述した特開昭61−185910
号公報等に開示されている。
上記のような永久磁石体は、以下に述べるような焼結
法により製造されることが好ましい。
まず、所望の組成の合金を鋳造し、インゴットを得
る。
得られたインゴットを、スタンプミル等により粒径10
〜100μm程度に粗粉砕し、次いで、ボールミル等によ
り0.5〜5μm程度の粒径に微粉砕する。
得られた粉末を、好ましくは磁場中にて成形する。こ
の場合、磁場強度は10kOe以上、成形圧力は1〜5t/cm2
程度であることが好ましい。
得られた成形体を、1000〜1200℃で0.5〜5時間焼結
し、急冷する。なお、焼結雰囲気は、Arガス等の不活性
ガス雰囲気であることが好ましい。
この後、好ましくは不活性ガス雰囲気中で、500〜900
℃にて1〜5時間時効処理を行なう。
なお、本発明は、上記の焼結法により製造される永久
磁石体に限らず、いわゆる急冷法により製造されるバル
ク体磁石にも好適に適用することができる。
急冷法により製造されるバルク体磁石であって、特に
磁気特性に優れ、本発明に好適に用いられる永久磁石体
は、特願昭62−90709号、同62−191380号、同62−25937
3号等に開示されている。
<実施例> 以下、本発明を実施例によって、具体的に説明する。
実施例1 永久磁石体の作製 鋳造により14Nd−1Dy−7B−78Fe(数字は原子比)の
組成のインゴットを得た。
このインゴットをスタンプミルにより粗粉砕後、ボー
ルミルにより微粉砕し、平均粒径3.5μmの合金粉末を
得た。
この合金粉末を12kOeの磁場中にて1.5t/cm2の圧力で
成形し、成形体を得た。
この成形体を、Ar雰囲気中で1100℃、1時間加熱後、
急冷し、焼結体を得た。
得られた焼結体を、Ar雰囲気中で600℃にて2時間時
効処理を施し、永久磁石を得た。
次いで、この永久磁石から磁石片を切り出し永久磁石
体を得た。
永久磁石体の脱脂・脱錆 ジャパンメタルフィニッシングカンパニー社製エンド
ックス114溶液(120g/、60℃)に、上記永久磁石体を
10分間浸漬した。
酸浸漬処理 0.1NHNO3水溶液を用いて20分間酸浸漬処理を行った。
このような酸浸漬処理後の永久磁石体の表面粗さ(R
max)をJIS B0601に従って調べたところ、基準長さ1mm
でRmax15μmであった。
電気めっき層の設層 上記の処理を施した永久磁石体を水洗後、下記組成の
めっき浴を用い、浴温55℃、pH5.6、電流密度4A/dm2
て電気めっき層を設層した。
(めっき浴組成) NiSO4・7H2O 280g/ NiCl2・6H2O 50g/ ホウ酸 40g/ ナイスター88L(上村工業(株)製添加剤) 10g/ ナイスター90A(上村工業(株)製添加剤) 2g/ なお、このめっきは光沢めっきであり、厚さは10μm
とした。このときの厚さは3mm2径の部分を蛍光X線で測
定して得られたものであり、以下同様である。また、前
記と同様にして表面粗さ(Rmax)を調べたところ、3μ
mであった。
無電解めっき層の設層 上記の電気めっき層を設層した永久磁石体を電気めっ
きを施す場合と同様に前処理した。ただし、酸浸漬は0.
1NH2SO4溶液にて1分間行った。下記組成のめっき浴を
用い、浴温90℃、pH9.0にて無電解めっき層を設層し
た。
(めっき浴組成) NiSO4・7H2O 20g/ NaH2PO4 25g/ クエン酸ナトリウム 10g/ なお、この無電解めっき層の厚さは、3μmとした。
また、前記と同様にして表面粗さ(Rmax)を調べたと
ころ3μmであった。
このようにして得られた保護層を有する永久磁石をサ
ンプルNo.1とする。
サンプルNo.1において、永久磁石体の表面に酸浸漬を
施さない他は同様にして作製したものをサンプルNo.2と
する。
また、酸浸漬を0.01NHNO3水溶液で0.5分間施す他は同
様にして作製したものをサンプルNo.3とする。
サンプルNo.1において、電気めっき層を設層しない他
は同様にして作製を試したものをサンプルNo.4とする。
ただし、実際には、無電解めっき中にめっき浴が磁石体
の作用により自己分解を起こしてしまい、サンプルを作
製することができなかった。
サンプルNo.1において、電気めっき層のみを設層して
無電解めっき層を設層しないで同様に作製したものをサ
ンプルNo.5とする。
ただし、電気めっき層の厚さは15μmとした。
0.1NHNO3水溶液を用いて、前記永久磁石体に5分間酸
浸漬処理を行い(Rmax5μm)、下記組成のめっき浴を
用い、浴温20℃、pH12.5にて無電解めっき層を10μm厚
に設層した。
(めっき浴組成) CuSO4・5H2O 10g/ ロッセル塩 30g/ NaOH 10g/ 37%ホルマリン溶液 20ml/ この無電解めっき層上に、サンプルNo.1と同じ電気め
っき層を10μm厚に設層した。
このようにして作製したものをサンプルNo.6とする。
サンプルNo.6において、0.01NHNO3水溶液を用いて30
秒間酸浸漬処理を行って同様に作製したものをサンプル
No.7とする。
サンプルNo.6において、第1層である無電解めっき層
のみを第1層として20μm厚に設層して作製したものを
サンプルNo.8とする。
サンプルNo.6において、第2層である電気めっき層の
みを第1層として20μm厚とする他は同様に作製したも
のをサンプルNo.9とする。
0.1NHNO3水溶液を用いて、前記永久磁石体に5分間酸
浸漬を行い(Rmax5μm)、下記組成のめっき浴を用
い、浴温55℃、pH4.2、電流密度4A/dm2にて、10μm厚
に電気めっき層を設層した。
(めっき浴組成) NiSO4 280g/ NiCl 45g/ ホウ酸 40g/ アサヒベース SB−M 1.5ml/ アサヒベース D−2 1ml/ この電気めっき層上に、サンプルNo.1と同じ電気めっ
き層を5μm厚に設層した。この上に、さらに、サンプ
ルNo.1と同じ無電解めっき層を5μm厚に設層した。こ
のようにして作製したものをサンプルNo.10とする。
サンプルNo.10において、無電解めっき層を設層しな
いで電気めっき層を2層設層したものをサンプルNo.11
とする。
0.1NHNO3水溶液を用いて、前記永久磁石体に10分間酸
浸漬処理を行い(Rmax10μm)、下記組成のめっき浴を
用い、浴温50℃、pH9(NH4OHで調整)いて無電解めっき
層を5μm厚に設層した。
(めっき浴組成) NiSO4 20g/ クエン酸ナトリウム 10g/ 硫安 40g/ 次亜リン酸ナトリウム 10g/ この無電解めっき層上に、サンプルNo.1と同じ電気め
っき層を15μm厚に設層した。
このようにして作製したものをサンプルNo.12とす
る。
サンプルNo.12において、第1層である無電解めっき
層を20μm厚に設層することを試みた。これをサンプル
No.13とする。この場合、無電解めっき層の内部応力の
ためめっき層が剥離してしまい、サンプルを作製するこ
とができなかった。
上記のようにして保護層を設層したサンプルに対し、
下記の試験を行った。結果を表1に示す。
(密着性試験) サーマルショック 250℃のシリコンオイル中から常温水中に投入した
後、保護層表面を肉眼で観察した。
表中では、○、×で示す。
○…異常なし ×…全面にワレ ピーリングテスト サンプルを3mm幅の短冊状にカット後、インストロン
型引張り試験機を用い、25℃、50mm/minにて90゜剥離強
度を測定した。
(耐食性試験) 塩水噴霧試験(35℃、5%NaCl、240時間)後の外観
変化を観察した。
また着磁して、10cmの高さから鉄板に落下させること
を10回繰り返した後、上記と同様の塩水噴霧試験を行っ
た。
表中では、○、△、×で示す。
○…異常なし △…一部錆発生 ×…全面錆発生 なお、表1には、併せて、酸浸漬後の磁石体表面のR
maxと、設層後の第1層、第2層および第3層のそれぞ
れの表面のRmaxとを示している。
<発明の効果> 本発明によれば、十分なカバー性を有し、耐食性に優
れた永久磁石が得られる。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】R(ただし、RはYを含む希土類元素の1
    種以上)、FeおよびBを含有し、実質的に正方晶系の主
    相を有する永久磁石体の表面に保護層を設層した永久磁
    石であって、この保護層が、表面粗さRmaxが3〜50μm
    である凹凸を有する上記永久磁石体の表面に設層されて
    おり、電気めっきにより形成された電気めっき層と無電
    解めっきにより形成された無電解めっき層とを有するこ
    とを特徴とする永久磁石。
  2. 【請求項2】前記永久磁石体の表面に電気めっき層が設
    層されており、この電気めっき層上に無電解めっき層が
    設層されている請求項1に記載の永久磁石。
  3. 【請求項3】前記永久磁石体の表面に無電解めっき層が
    設層されており、この無電解めっき層上に電気めっき層
    が設層されている請求項1に記載の永久磁石。
  4. 【請求項4】前記無電解めっき層がpH5以上のめっき浴
    を使用して設層されたものである請求項3に記載の永久
    磁石。
  5. 【請求項5】前記無電解めっき層の設層に際し、初期触
    媒としてPdまたはAgを用いた触媒化処理を行ったもので
    ある請求項3または4に記載の永久磁石。
  6. 【請求項6】保護層の全厚が1〜100μmである請求項
    1〜5のいずれかに記載の永久磁石。
  7. 【請求項7】永久磁石体のR、FeおよびBの含有量が、 5.5at%≦R≦30at% 42at%≦Fe≦90at% 2at%≦B≦28at% である請求項1〜6のいずれかに記載の永久磁石。
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