JP2696729B2 - 加工密着性に優れた有機樹脂被覆用表面処理鋼板の製造方法 - Google Patents

加工密着性に優れた有機樹脂被覆用表面処理鋼板の製造方法

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JP2696729B2
JP2696729B2 JP3133721A JP13372191A JP2696729B2 JP 2696729 B2 JP2696729 B2 JP 2696729B2 JP 3133721 A JP3133721 A JP 3133721A JP 13372191 A JP13372191 A JP 13372191A JP 2696729 B2 JP2696729 B2 JP 2696729B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加工密着性に優れた有
機樹脂被覆用表面処理鋼板の製造方法に関する。より詳
細には、絞り再絞り缶、絞り加工後、ストレッチ加工を
施す薄肉化深絞り缶など厳しい加工密着性が要求される
缶用材料に適した有機樹脂被覆用表面処理鋼板の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】食缶あるいは飲料缶に用いられる金属缶
は缶胴、缶蓋、底蓋の三つの部分からなる3ピース缶と
缶胴と底蓋が一体となった缶体、缶蓋の二つの部分から
なる2ピース缶に大別される。さらに、3ピース缶は缶
胴の接合方法によりはんだ缶、接着缶および溶接缶に分
けられる。また、2ピース缶は成形加工方法により絞り
缶、絞り再絞り缶(DRD缶)、絞りしごき缶(DI
缶)および最近開発された絞り加工後、ストレッチ加工
を施す薄肉化深絞り缶などに分けられる。これらの金属
缶用材料には加工後塗装されるDI缶を除き、一回ある
いは数回の塗装が施されたぶりきおよび電解クロム酸処
理鋼板(Tin Free Steel、以下TFSと
略す)が主に用いられている。製缶方法およびその用途
などにより用いられる缶用材料も異なるが、それぞれの
缶用材料のもつ特性を生かして用いられている。本発明
の目的である厳しい加工後の有機樹脂被覆層の密着性が
要求される用途には、優れた有機樹脂被覆層の加工密着
性をもつTFSが用いられている。比較的絞り比の小さ
い浅絞り缶用には錫めっき後、重クロム酸ソーダ溶液中
で電解処理を施し、錫層の表面にクロム水和酸化物層を
形成させた通常のぶりきが用いられている。この通常の
ぶりきはさらに加工度を上げると、塗膜が剥離すること
があり、この塗膜の加工密着性を向上させるため、めっ
きされた錫層上に下層が金属クロム、上層がクロム水和
酸化物の二層皮膜、いわゆるTFS処理皮膜を形成させ
る方法が昭60−34637号、特公昭60−3544
0号および特公昭60−39159号に開示されてい
る。これらの方法で得られたぶりきは確かに通常のぶり
きより塗膜の加工密着性は優れているが、めっきされた
錫層上に適量の金属クロム量およびクロム水和酸化物量
の二層皮膜を形成させるため、クロム酸浴中の助剤の
量、電解条件など厳密なコントロールが要求される。ま
た、得られたぶりきも黒味を帯び、缶外面に施される印
刷に用いられる印刷インクの調色にも厳密な管理が要求
される。さらに、このぶりきを本発明の目的である優れ
た有機樹脂被覆層の加工密着性が要求されるDRD缶、
薄肉化深絞り缶用などに用いると、有機樹脂被覆層が剥
離することがある。このTFS処理皮膜を形成させたぶ
りきは塗料をキュアーさせるための加熱時に、鉄錫合金
の成長が著しく早く、特に錫めっき量が少ない場合に、
厳しい加工で塗膜が容易に剥離する。したがって、これ
らの缶を連続的に安定した状態で生産することはできな
い。このようにTFS処理皮膜を形成させたぶりきは上
記のような欠点をもっている。
【0003】最近、塗装に代わりポリエステル樹脂フィ
ルムなどの熱可塑性樹脂フィルムをTFS、ぶりきなど
に積層した金属板を、厳しい加工密着性、加工耐食性が
要求される薄肉化深絞り缶用に用いる方法(特開平2−
269647号、特開平2−263523号)が提案さ
れている。ポリエステル樹脂フィルムを積層したTFS
を薄肉化絞り缶用に用いる場合、厳しい加工によって積
層されたポリエステル樹脂フィルムが剥離したり、この
フィルムにクラックがはいることを防止するため、ポリ
エステル樹脂フィルム自体の加工性を改良することが必
要であり、特開昭64−22530号、特開平1−24
9331号、特開平2−57339号に示される方法が
提案されている。しかしながら、TFSにこれらのポリ
エステル樹脂フィルムを積層する工程、あるいは絞り、
再絞り加工を施す工程などで、ごみなどの異物が混入す
ることがあり、その異物が混入した部分を起点として、
絞り再絞り加工時に積層されたポリエステル樹脂フィル
ムに微小のクラックがはいることがある。例えば、この
薄肉化深絞り缶に炭酸飲料あるいはスポーツ飲料などを
充填し、室温で約1ヶ月貯蔵すると、この微小クラック
から孔食を起こすことがある。したがって、これらの工
程を厳重に管理しなければならないという欠点をもって
いる。
【0004】また、ぶりきにポリエステル樹脂フィルム
を積層する方法として、ポリエステル樹脂フィルムを錫
の融点以下の温度で仮接着、錫の融点以上の温度に加熱
し、本接着させる方法(特公昭61−3676号)、ポ
リエステル樹脂の融点以上の温度に加熱したTFS、ぶ
りきなどの金属板にポリエステル樹脂フィルムを積層
し、急冷する方法(特公昭60−47103号)、共重
合ポリエステル樹脂の融点±50℃に加熱されたTF
S、ぶりきなどの金属板に特定の接着剤を塗布した共重
合ポリエステル樹脂フィルムを積層する方法(特開平1
−249331号)などが開示されている。これらの開
示された方法で得られたポリエステル樹脂フィルム積層
錫めっき鋼板は、同様な方法で得られたポリエステル樹
脂フィルム積層TFSに比較し、ポリエステル樹脂フィ
ルムの加工密着性が劣り、厳しい加工密着性、加工耐食
性が要求される薄肉化深絞り缶用などに用いることは不
可能である。このTFSのもつ優れた有機樹脂層に対す
る加工密着性、ぶりきのもつ優れた加工耐食性を兼ね備
えた缶用材料を開発するため、種々の方法が検討されて
いる。一例として、ポリエステル樹脂フィルムを特定組
成の錫めっき液を用い、鋼板表面に鋼板露出部が多く、
かつ電着した錫が散在した錫めっきを施し、ついで上層
がクロム水和酸化物、下層が金属クロムからなる二層皮
膜を形成させた表面処理鋼板、いわゆる、ぶりきとTF
Sの複合的な表面処理鋼板に積層する方法(特願平2−
33811号)が提案されている。この方法で得られた
ポリエステル樹詣フィルム積層鋼板を薄肉化深絞り缶用
に用いた場合、積層されたポリエステル樹脂フィルムは
剥離することはなく、かつポリエステル樹脂積層TFS
に比較し加工耐食性は優れている。しかしながら、この
表面処理鋼板の製造工程は複雑であり、かつ鋼板露出部
を特定範囲にコントロールする錫めっき条件の管理がむ
ずかしく、さらに薄肉化深絞り缶に加工した時、TFS
と同様に缶胴部の外観がやや黒味をおび、商品価値を低
下させるという欠点をもっている。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】このように厳しい加
工密着性、加工耐食性が要求される有機樹脂被覆に適し
た缶用材料を単純な工程で、かつ高速で製造する方法は
得られていない。本発明は優れた加工密着性および加工
耐食性を兼ね備え、有機樹脂被覆に適した表面処理鋼板
を単純な工程で製造可能な方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、種々検討の結
果、錫めっきを施した鋼板、あるいは錫めっき後、さら
にその上層に少量のニッケルめっきを施した鋼板(以
下、一括して錫めっき鋼板と略す)にハロゲン基あるい
はカルボキシル基を含む酸性水溶液を塗布、乾燥するだ
けで、加工密着性に優れた有機樹脂被覆に適した表面処
理鋼板が得られることを見出した。
【0007】以下、本発明の内容について詳細に説明す
る。まず、本発明における鋼板上への錫めっきにはぶり
きの製造に用いられる公知の錫めっき浴、例えばフェロ
スタン浴、ハロゲン浴を用い、公知の錫めっき条件で行
えばよい。錫めっき量は1.0g/m以上であればよ
い。一般に、錫めっき量が少ないと、塗装した塗料をキ
ュアーさせる時、あるいは熱可塑性樹脂フィルムを積層
する時の加熱によって、めっきされた錫の大部分が鉄錫
合金となり、厳しい深絞り加工を施した時、この鉄錫合
金層が破壊され、結果的に塗膜あるいは積層された熱可
塑性樹脂フィルムは剥離する。しかしながら、錫めっき
鋼板を本発明の酸性水溶液中で浸漬処理すると、原因は
よくわからないが、この加熱による鉄錫合金の成長が抑
制され、金属錫の残存量が増加する。この現象が本発明
における有機樹脂被覆層の加工密着性が向上する一因と
考えられる。また、本発明の酸性水溶液による処理は錫
あるいはニッケルが存在しなければ効果はないので、塗
膜あるいは樹脂フィルムの加工密着性に悪影響を与える
これらの酸化物の加熱時の成長を抑制することも加工密
着性が向上する一因と考えられる。錫めっき量の上限は
あえて限定する必要はないが、経済性の観点より7.4
g/m程度に限定される。また、本発明の処理は錫め
っき後、あるいは錫めっき、さらにその上層にニッケル
めっきを施した後、通常のぶりきで行われている錫の溶
融処理後に施しても、特に本発明の目的とする効果に支
障をきたすことはない。
【0008】図1は本発明の処理、すなわち、1g/1
塩酸水溶液に室温で1秒浸漬後、ロールで絞り乾燥させ
た錫めっき鋼板を220℃で30分加熱した後、グロー
放電分光分析装置(以下、GDSという)を用いて、表
層から内層にいたる断面方向における錫および鉄の強度
を測定した結果を示す。図2は錫めっき鋼板を220℃
で30分加熱した後、図1の場合と同様に錫および鉄の
強度を測定した結果である。両者ともに錫の強度には金
属錫による第1のピークと鉄錫合金を主体とした第2の
ピークの二つのピークが観察されるが、鉄は錫の第2の
ピーク附近より検出される。しかし、本発明の処理を施
した場合(図1)の鉄の強度は本発明の処理を施さない
の場合(図2)に比較し小さいことがわかる。グロー放
電によって測定試料が加熱され、鉄錫合金が多少成長す
ることも考慮しなければならないが、本発明の処理を施
した場合、加熱によって鉄錫合金が成長しにくいことが
理解される。
【0009】錫めっき後、ニッケルめっきを施す場合、
ニッケルめっきには公知のニッケルめっき浴、すなわ
ち、ワット浴、スルファミン酸浴を用い、公知のめっき
条件で行えばよい。錫上にめっきされたニッケルは室温
で放置しても、あるいは塗装された塗料をキュアーさせ
る時、あるいは熱可塑性樹脂フィルムを積層する時の加
熱によっても容易に錫と合金化するので、塗膜あるいは
積層される熱可塑性樹脂フィルムなどの有機樹脂被覆層
の加工密着性を改良する効果がある。ニッケルめっき量
0.005g/m以下では、その効果はほとんどな
い。また、ニッケルめっき量の増加は、錫めっき量に関
係なく有機樹脂被覆層の加工密着性に支障をきたさない
が、錫めっき量が少ない場合には、錫−ニッケル合金の
生成により、金属錫量が減少し、有機樹脂層で被覆した
表面処理鋼板の加工耐食性が低下する危険性があり好ま
しくない。金属錫は加工によって有機樹脂被覆層に微細
なクラックが入った時、露出した鋼板を電気化学的に防
食する効果があるので、本発明においては、加工後の耐
食性の観点から、塗装された塗料のキュアーあるいは熱
可塑性樹脂フィルム積層時の加熱後においても、金属錫
が残存することが不可欠である。本発明における錫めっ
き量の適性範囲を考慮すると、ニッケルめっき量は0.
005〜0.20g/mの範囲が好ましい。錫めっき
後に施されるニッケルめっきは上記のように有機樹脂被
覆層の加工密着性をさらに改良する効果があり、製造工
程の増加にもかかわらず、加工密着性、加工耐食性とも
に優れた有機樹脂被覆用鋼板を連続的に、かつ安定した
状態で製造することが可能である。
【0009】本発明の方法は錫めっき後、あるいは錫め
っき後、さらにニッケルめっきを施し、通常のぶりきの
後処理として施されている電解クロム酸処理などに代わ
り、特定の酸性水溶液を塗布、乾燥することを特徴とし
ている。種々検討した結果、ハロゲン基あるいはカルボ
キシル基を含む化合物の水溶液を錫めっきを施した表
面、あるいは錫めっき後、その上層に少量のニッケルめ
っきを施した表面に塗布することによって、その表面に
形成される有機樹脂被覆層の加工密着性が著しく改良さ
れることを見出した。本発明の方法で用いられるハロゲ
ン基を含む化合物として、フッ化水素酸、ケイフッ化水
素酸、ホウフッ化水素酸、塩酸、次亜塩素酸、これらの
アンモニウム塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属
塩、錫、ニッケル、亜鉛などの金属塩があげられる。カ
ルボキシル基を含む化合物として、蟻酸、酢酸、プロピ
オン酸、しゅう酸、くえん酸、酒石酸、リンゴ酸、安息
香酸、サリチル酸などの脂肪族、芳香族カルボン酸およ
びこれらのアンモニウム塩、アルカリ金属塩、アルカリ
土類金属塩、錫、ニッケル、亜鉛などの金属塩があげら
れる。これらのハロゲン基あるいはカルボキシル基を含
む化合物を1種、あるいは2種以上混合して用いること
は可能であるが、その水溶液がアルカリ性を示す場合、
上記の酸を添加することによって酸性にすることが本発
明において不可欠である。もし、用いられる水溶液がア
ルカリ性であると、錫めっき鋼板の表面に残るアルカリ
性物質が塗膜あるいは熱可塑性樹脂フィルムの加工密着
性、特に温水などに浸漬された状態で経時された時の有
機樹脂被覆層の密着性の劣化が著しく、好ましくない。
【0010】本発明の方法において、用いる酸性水溶液
中のハロゲン基あるいはカルボキシル基を含む化合物の
濃度は0.01〜20g/lの範囲が好ましく、より好
ましくは0.1〜10g/lである。その濃度が0.0
1g/l以下であると、錫めっき鋼板に塗布しても塗膜
あるいは熱可塑性樹脂フィルムの加工密着性にほとんど
効果がない。また、その濃度が20g/l以上である
と、めっきされた錫面に残存する化合物の量も増加し、
塗膜あるいは熱可塑性樹脂フィルムの加工密着性を悪く
する危険性がある。特に、この酸性水溶液のpHが著し
く低い場合、めっきされた錫が溶解する危険性も大であ
り、好ましくない。すなわち、本発明の方法において
は、上記の化合物を適性範囲の濃度に維持し、かつpH
1〜5程度にコントロールした酸性水溶液を用いること
がより好ましい。この酸性水溶液を錫めっき鋼板に塗布
する方法として、錫めっき鋼板にこの水溶液をスプレー
する方法、錫めっき鋼板をこの水溶液に浸漬し、ロール
で絞る方法、塗料のようにロールで塗布する方法など種
々の方法があるが、特に限定するものでない。浸漬し、
ロールで絞る方法においても本発明の酸性溶液中に長時
間浸潰する必要はない。特に用いる酸性水溶液のpHが
著しく低い場合、すでに記したようにめっきされた錫が
溶解するので、好ましくない。また、この酸性水溶液の
温度も室温で十分で、特に加熱する必要もない。
【0011】本発明の方法で得られた錫めっき鋼板に塗
布される塗料には缶用塗料として広く用いられている公
知の種々の塗料があるが、本発明の方法で得られた錫め
っき鋼板はこれらの塗料に対して優れた加工密着性をも
っている。特にエポキシ・フェノール系、エポキシ・ユ
リア系、塩化ビニルオルガノゾル系塗料に対して優れた
効果を発揮する。また、本発明の方法で得られた錫めっ
き鋼板に積層される熱可塑性樹脂フィルムにはポリオレ
フィン樹脂フィルム、ポリエステル樹脂フィルム、ポリ
アミド樹脂フィルムなどがあるが、これらの種々の樹脂
フィルムに対しても優れた加工密着性をもっている。特
に、本発明の目的である厳しい加工密着性、加工耐食性
が要求される用途には、本発明の方法で得られた錫めっ
き鋼板を熱硬化性塗料で被覆するより、有機樹脂層自体
の加工性の優れた熱可塑性樹脂フィルムで被覆すること
がより好ましい。例えば、特開平1−249331号な
どで開示されている加工性の優れた共重合ポリエステル
樹脂フィルムの使用が本発明の用途に適している。
【0012】本発明の方法で得られた錫めっき鋼板に上
記塗料を塗装する方法、キュアー方法も特に限定するも
のでなく、公知の方法で十分である。また、熱可塑性樹
脂フィルムを積層する方法も公知の方法で十分である。
例えば、熱可塑性樹脂フィルムの融解温度以下の温度に
加熱した鋼板に仮接着させ、その後、該樹脂の融解温度
以上に加熱し、本接着させる方法、熱可塑性樹脂フィル
ムをその融解温度以上に加熱した鋼板に積層し、鋼板表
面と接触する該フィルムの一部あるいは全部を溶融させ
る方法、予め公知の接着剤を塗布した熱可塑性樹脂フィ
ルムをその融解温度前後に加熱した鋼板に積層する方
法、鋼板の表面に公知の接着剤を塗布した後、加熱し、
熱可塑性樹脂フィルムを積層する方法など種々の方法が
あるが、いずれの方法も本発明の方法で得られた錫めっ
き鋼板に適用できる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例および比較例について
説明する。
【0014】実施例1 板厚0.18mm、テンパー度DR−10の冷延鋼板の
両面に公知の方法で脱脂、酸洗を施し、水洗後、(1)
に示す条件で錫めっきを施し、水洗後、20℃の2g/
l塩酸水溶液に1秒浸漬し、ロールで絞り、そのまま乾
燥した。得られた錫めっき鋼板の両面に(2)に示す条
件でポリエステル樹脂フィルムを積層した。積層後、2
10℃で1分加熱した。 (1)錫めっき条件 浴組成 硫酸錫: 80g/l フェノールスルフォン酸(酸度を硫酸に換算): 15
g/l エトキシ化αナフトール: 10g/l 浴温: 45℃ 陰極電流密度: 20A/dm 錫めっき量: 1.8g/m (2)ポリエステル樹脂フィルムの積層条件 A.フィルムの特性 組成: テレフタル酸88モル%、イソフタル酸12モ
ル%、エチレングリコール100モル%の重合で得られ
た二軸延伸共重合ポリエステル樹脂フィルム 厚さ : 25μm 融点 : 230℃ B.フィルムへの接着剤の塗布 接着剤組成: エポキシ樹脂 80部 パラクレゾール系レゾール 20部 塗布量 : 0.25g/m(乾燥重量) 乾燥温度 : 100℃ C.フィルム積層条件 フィルム積層直前の錫めっき鋼板の温度: 245℃ 積層速度: 30m/分
【0015】実施例2 実施例1に用いた冷延鋼板の両面に実施例1の(1)に
示した錫めっき条件で錫めっき量5.6g/mの錫め
っきを施し、水洗後、35℃のフッ化アンモニウム15
g/l、フッ化水素酸3g/lの水溶液に3秒浸漬し、
ロールで絞り、そのまま乾燥した。ついで、得られた錫
めっき鋼板の両面に、実施例1で用いた同じ組成のフィ
ルムを接着剤を塗布せずに、実施例1の(1)に示す条
件で積層した。
【0016】実施例3 実施例1に用いた冷延鋼板の両面に実施例1の(1)に
示した錫めっき条件で錫めっき量2.8g/mの錫め
っきを施し、水洗後、(1)に示す条件でニッケルめっ
きを施した。水洗後、さらに40℃の0.5g/lくえ
ん酸水溶液を2秒スプレー塗布し、ロールで絞り、その
まま乾燥した。ついで、得られた錫めっき鋼板の両面
に、塩化ビニルオルガノゾル系塗料を120mg/dm
塗布し、205℃で10分間キュアーさせた。 (1)ニッケルめっき条件 浴組成 硫酸ニッケル: 250g/l 塩化ニッケル: 30g/l ホウ酸: 30g/l pH: 3〜4 浴温度: 50℃ 陰極電流密度: 5A/dm ニッケルめっき量: 0.02g/m
【0017】実施例4 実施例1に用いた冷延鋼板の両面に実施例1の(1)に
示した錫めっき条件で錫めっき量3.6g/mの錫め
っきを施し、水洗後、25℃の5g/l塩酸、5g/1
塩化錫の水溶液に1秒浸漬し、ロールで絞り、そのまま
乾燥した。得られた錫めっき鋼板の両面に、(1)に示
す条件でポリアミド樹脂フィルムを積層し、その後、2
10℃で1分間加熱した。 (1)ポリアミド樹脂フィルムの積層条件 A.フィルムの特性 組成: ナイロン6 厚さ: 25μm 融点: 225℃ B.フィルムへの接着剤の塗布 接着剤組成: 実施例1で用いられた接着剤組成と同一 塗 布 量: 0.25g/m(乾燥重量) 乾燥温度 : 100℃ C.フィルム積層条件 フィルム積層直前の錫めっき鋼板の温度; 258℃ 積層速度: 10m/分
【0018】比較例1 実施例1に用いた冷延鋼板の両面に実施例1の(1)に
示した錫めっき条件で錫めっき量1.8g/mの錫め
っきを施した後、水洗し、50℃の無水クロム酸30g
/l、硫酸0.3g/lの水溶液中で、陰極電流密度5
0A/dmの条件で電解し、めっきされた錫上に上層
がクロム量として14mg/mのクロム水和酸化物、
下層が40mg/mの金属クロムからなる二層皮膜を
形成させ、水洗乾燥した。さらに、実施例1の(2)に
示す条件でポリエステル樹脂フィルムを積層した。
【0019】比較例2 実施例1の(1)に示した条件で錫めっき量2.8g/
の錫めっきを施した後、水洗し、比較例1に示した
条件で電解クロム酸処理を施し、同様な二層皮膜を形成
させ、水洗乾燥した。さらに、実施例3で用いた塩化ビ
ニルオルガノゾル系塗料を120mg/m塗布し、2
05℃で10分間キュアーさせた。
【0020】比較例3 実施例1に用いた冷延鋼板の両面に実施例1の(1)に
示した錫めっき条件で錫めっき量2.8g/mの錫め
っきを施し、水洗後、45℃の30g/l重クロム酸ソ
ーダ水溶液中で陰極電流密度20A/dmの条件で電
解し、めっきされた錫上にクロム量として5mg/m
のクロム水和酸化物皮膜を形成させ、水洗乾燥した。得
られた錫めっき鋼板の両面に、実施例1で用いた同じ組
成のポリエステル樹脂フィルムを接着剤を塗布せずに、
実施例1の(1)に示す条件で積層した。
【0021】比較例4 実施例1に用いた冷延鋼板の両面に(1)に示す条件で
電解クロム酸処理を施し、下層が金属クロム、上層がク
ロム水和酸化物からなる二層皮膜、いわゆるTFS皮膜
を形成させ、湯洗乾燥後、実施例2の(1)の条件でポ
リエステル樹脂フィルムを積層した。 (1)電解クロム酸処理条件 浴組成 無水クロム酸: 30g/l フッ化ナトリウム: 1.2g/l 浴温度: 45℃ 陰極電流密度: 40A/dm 金属クロム量: 104mg/m クロム水和酸化物量: 16mg/m(クロムとし
て)
【0022】実施例1〜4および比較例1〜4で得られ
た有機樹脂被覆鋼板を下記に示す条件で薄肉化深絞り缶
へ加工した。各加工工程における有機樹脂被覆層の剥離
状況を肉眼で観察した。さらに、得られた薄肉化深絞り
缶50個に1.5%クエン酸水溶液を充填し、37.5
℃の恒温室に3ヶ月貯蔵し、溶出鉄量を原子吸光法で測
定するとともに、孔食による漏れ缶の発生率を求め、そ
の結果を表1に示した。なお、溶出鉄量は50缶の平均
値で示した。なお、比較例1、および比較例3で得られ
た有機樹脂被覆鋼板は薄肉化深絞り缶へ加工する工程
で、表1に示すように積層したポリエステル樹脂フィル
ムが剥離したので、クエン酸溶液を充填しなかった。 〔薄肉化深絞り缶への加工条件〕 A.絞り工程 ブランク径:187mm 絞り比:1.50 B.再絞り工程 第1次再絞り比:1.29 第2次再絞り比:1.24 第3次再絞り比:1.20 再絞り工程におけるダイスのコーナーブ部の曲率半径:
0.4mm 再絞り工程におけるしわ押え荷重:6000kg C.缶胴部の平均薄肉化率:成形前の鋼板厚さに対し−
20%
【0023】
【表1】
【0024】
【発明の効果】本発明の方法で得られた有機樹脂被覆用
表面処理鋼板は、その上に被覆される有機樹脂層の加工
密着性に優れ、かつ加工耐食性に優れ、厳しい加工密着
性、加工耐食性が要求されるDRD缶用、薄肉化深絞り
缶用だけでなく、缶蓋、王冠、スクリュウキャップなど
容器用材料として広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の処理を施した錫めっき鋼板を220℃
で30分間加熱後、表層より内層方向に錫および鉄の強
度をGDSで測定した結果を示す図である。
【図2】本発明の処理を施さない錫めっき鋼板を220
℃で30分間加熱後、表層より内層方向に錫および鉄の
強度をGDSで測定した結果を示す図である。
【符号の説明】
1 錫の強度変化 2 鉄の強度変化
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−83775(JP,A) 特開 昭57−16175(JP,A) 特開 昭61−210184(JP,A) 特開 昭54−68734(JP,A) 特開 昭49−123941(JP,A) 特開 昭48−8317(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼板の両面に錫めっきをし、水洗し、次の
    (a)〜(f)の一種以上の水溶液で処理し、乾燥する
    ことを特徴とする加工密着性に優れた有機樹脂被覆用表
    面処理鋼板の製造方法。 (a)フッ化水素酸、ケイフッ化水素酸、ホウフッ化水
    素酸、塩酸又は次亜塩素酸の一種以上、 (b)上記(a)のアンモニウム塩、アルカリ金属塩又
    はアルカリ土類金属塩の一種以上、 (c)上記(a)の錫塩、ニッケル塩又は亜鉛塩の一種
    以上、 (d)蟻酸、酢酸、プロピオン酸、しゅう酸、くえん
    酸、酒石酸、リンゴ酸、安息香酸又はサリチル酸の一種
    以上、 (e)上記(d)のアンモニウム塩、アルカリ金属塩又
    はアルカリ土類金属塩の一種以上、 (f)上記(d)の錫塩、ニッケル塩又は亜鉛塩の一種
    以上
  2. 【請求項2】鋼板の両面に錫めっきをした後ニッケルめ
    っきを施し、水洗し、次の(a)〜(f)の一種以上の
    水溶液で処理し、乾燥することを特徴とする加工密着性
    に優れた有機樹脂被覆用表面処理鋼板の製造方法。 (a)フッ化水素酸、ケイフッ化水素酸、ホウフッ化水
    素酸、塩酸又は次亜塩素酸の一種以上、 (b)上記(a)のアンモニウム塩、アルカリ金属塩又
    はアルカリ土類金属塩の一種以上、 (c)上記(a)の錫塩、ニッケル塩又は亜鉛塩の一種
    以上、 (d)蟻酸、酢酸、プロピオン酸、しゅう酸、くえん
    酸、酒石酸、リンゴ酸、安息香酸又はサリチル酸の一種
    以上、 (e)上記(d)のアンモニウム塩、アルカリ金属塩又
    はアルカリ土類金属塩の一種以上、 (f)上記(d)の錫塩、ニッケル塩又は亜鉛塩の一種
    以上
  3. 【請求項3】上記水溶液の濃度が0.01〜20g/l
    である請求項1又は2記載の表面処理鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】請求項2又は3において、錫めっきを施す
    めっき量が1.0〜7.4g/mであり、ニッケルめ
    っきを施すめっき量が、0.005g/mを越えて且
    つ錫−ニッケル合金を形成する際に金属錫が全て合金化
    するのに要する量未満である表面処理鋼板の製造方法。
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