JP2683078B2 - 装飾図柄をもった熱可塑性材料製物品の製造方法 - Google Patents

装飾図柄をもった熱可塑性材料製物品の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、装飾図柄をもった熱可塑性材料製物品を製
造するためのものであって、支持体の表面に、加熱に応
答してその支持体から分離することが可能な転写性イン
クを使用して、前記図柄を印刷すること；前記印刷後、
前記物品の形状及び寸法を有する型に前記支持体を加入
すること、及び、前記加入後、前記型に前記熱可塑性材
料を射出成形すること、を含んでなり、また、その際、
前記支持体の加入を、少くとも前記射出成形の間、前記
支持体が前記型の壁体に当っておりかつその支持体の裏
面が前記型の内面に面しているように実施し、かつ前記
熱可塑性材料がその融点に等しいかもしくはそれよりも
高い温度にある時に前記射出成形を実施するような方法
に関する。
熱可塑性材料からできていて装飾図柄を有するような
物品は非常に多数存在しており、今ここでそれらの物品
のすべてを列挙することは不可能である。
これらの物品は、非常に屡々見うけられるけれども、
適当な熱可塑性材料を型に射出成形することによって製
造されており、また、その物品の外面の選ばれた場所に
例えばシルクスクリーン印刷法又はフレキソ印刷法のよ
うな公知印刷法のいずれかを用いて印刷を行うことによ
って装飾図柄が施されている。
この方法で製造された物品は、しかし、もしも使用中
に擦られたりするとそれらの物品に付与された装飾図柄
に容易にひっかき傷がついたり剥れたりするという欠点
を有している。
米国特許第2,811,744号には、上記のような欠点を避
ける方法が記載されている。この米国特許に記載の方法
によると、転写性インク、すなわち、加熱に応答して紙
から分離することができるようなインクで印刷した装飾
図柄をもっている紙片上に直接に熱可塑性材料を射出成
形する。なお、この射出成形の時、射出成形用の型の所
望の個所に上述の紙片を予めおいておくこととする。
転写性インクは、射出成形の間に紙から分離し、そし
て熱可塑性材料に付着し、そして、その熱可塑性材料が
冷却した後、物品の表面上に図柄が付与されることとな
る。
しかし、この方法を用いた場合には１つの実質的な危
険がある。すなわち、溶融せしめられた熱可塑性材料は
射出成形の間に紙の方に移動するという事実があるの
で、装飾図柄が変形せしめられるかもしくは完全に損傷
せしめられる。
さらに、この方法は、通常の使用温度の時にフレキシ
ブルであるような熱可塑性材料製物品の製造に適してい
ない。なぜなら、装飾図柄を形成するために用いられる
インクが、非常に容易にこのような材料に拡散可能であ
るからである。したがって、装飾図柄は非常に急激にそ
のシャープさを失い、また、このことは明らかな如く望
ましくない。
また、もしもこの方法を通常の使用温度で硬質である
熱可塑性材料製物品の製造に使用するとすると、装飾図
柄を形成すべきインクがこの材料内に拡散しないであろ
うし、あるいは、たとえそのような拡散によって変形せ
しめられるような傾向は不存在であるとしても、装飾図
柄はやはり、物品が被ることが可能である何らかの摩擦
によって、損傷をうけるかもしくは完全に消されがちで
あろう。そのために、この場合には、すでに米国特許第
2,811,744号に記載されているように、物品を射出成形
の型から取り出した後、その物品をラッカー又はプラス
チック材料の透明な層で被覆することによって装飾図柄
を保護することが必要である。この保護層の適用のため
には追加の作業を続けなければならず、したがって、方
法が複雑にかつより不経済となる。
本発明の１つの目的は、射出成形した熱可塑性材料の
物品であって、この物品に付与された装飾図柄が射出成
形型内における前記熱可塑性材料の移動によって変形せ
しめられないようなものの製造方法を提供することにあ
る。
本発明のもう１つの目的は、上記のような製造方法で
あって、物品を構成する熱可塑性材料がフレキシブルで
ある場合にその材料中に装飾図柄を形成するインクが拡
散することの結果としてある時間の経過後に図柄の鮮鋭
さが損なわれる危険性、そして物品の熱可塑性材料が硬
質である場合にその物品が被り得る摩擦によって装飾図
柄が損傷を受けるかもしくは破壊される危険性を必要に
応じて回避できるような方法を提供することにある。
これらの目的は、本発明によると、装飾図柄をもった
熱可塑性材料製物品を製造するためのものであって、下
記の工程： 支持体の表面に、加熱に応答して前記支持体から分離
することが可能な転写性インクを使用して前記図柄を印
刷し、 前記支持体を、前記印刷の後、前記物品の形状及び寸
法を有する型に組み込み、 別のフィルムを前記型に、前記支持体の印刷面に対し
てそのフィルムが施される位置で組み込み、そして 前記支持体及び前記フィルムの組み込みの後、前記熱
可塑性材料を前記型にその熱可塑性材料の融点に等しい
かもしくはそれよりも高い温度で射出成形することを含
み、また、その際、 前記支持体の組み込みを、少なくとも前記射出成形の
間に前記支持体が前記型の壁体に対向せしめられかつそ
の支持体の印刷面が前記型の内面とは逆の向きとなるよ
うに実施し、 前記フィルムの組み込みを、少なくとも前記射出成形
の間に前記フィルムの１つの面が前記支持体の印刷面に
対向せしめられかつそのフィルムのもう１つの面が自
体、前記熱可塑性材料が前記射出成形の際の所定の温度
にある間に、その熱可塑性材料に結合するように実施
し、そして 前記射出成形の熱可塑性材料によって前記フィルムを
介して行なわれる前記転写性インクの加熱に応答して、
その転写性インクを前記支持体から分離させ、そして前
記フィルム上に付着させかつこのフィルムで保持するこ
とを特徴とする、装飾図柄をもった熱可塑性材料製物品
の製造方法によって達成することができる。
本発明方法は、上記した米国特許第2,811,744号に記
載の方法におけるように、物品を装飾しようとする図柄
を転写性インクを使用して、紙又はプラスチック材料の
シートからなる適当な支持体の片面上に印刷することを
包含する。この印刷、ならびに印刷を実施するために使
用することのできる支持体及びインクは、よく知られて
いるものであるので、本願明細書ではそれらの詳細な説
明を省略する。
好ましくは、この支持体シートの寸法は、物品のうち
の被装飾部の寸法よりも実質的に大であり、また、この
シート上では、数種類の装飾図柄が並べて印刷されてい
る。次いで、このシートを切断して、それぞれ単一の装
飾図柄を保有しておりかつそれぞれ物品の被装飾部の寸
法に適合した寸法を有しているシート片を得る。
次いで、支持体シートのシート片のあるものを常用の
射出成形型に組み込む。ここで使用する型の壁体は、そ
の型を閉じた時、製造されるべき物品の形状及び寸法を
もったキャビティを規定する。
支持体シートのシート片の型の内部への組み込みは、
もちろん、その型が開いている間に実施する。シート片
を型内に配置するに当っては、本発明方法の後ほどの工
程で、製造されるべき物品の熱可塑性材料の射出成形を
行う間、その材料の圧力によって型の壁体に対してシー
ト片が押し付けられるようにして、そして仕上げ後の物
品上のあるべき場所に装飾図柄が位置するようにして、
行う。また、この支持体シートのシート片を型に組み込
むに当っては、物品の熱可塑性材料の射出成形を行う
間、そのシート片の装飾図柄保持面がその型の内面に面
しているようにして行う。
次いで、型がまだ開いている間に、以下に記載する種
類の材料のフィルムをその型に組み込む。この組み込み
は、後の工程で実施されるところの物品の熱可塑性材料
の射出成形の間、前記フィルムが装飾図柄を保持してい
る支持体シートのシート片の表面に対して、前記熱可塑
性材料の圧力によって、押し付けられるようにして行
う。
次いで、射出成形型を閉じ、そして、本願明細書にお
いては詳細に記載しないけれども、常用の手法を用い
て、物品の熱可塑性材料を射出成形する。
この射出成形の間、物品の熱可塑性材料（この材料が
その融点に等しいかもしくはそれを上廻る温度にあるこ
とは明らかである）が前記フィルムを加熱し、また、こ
のフィルムを介して、支持体シートのシート片によって
担持されている装飾図柄のインクを加熱する。
装飾図柄のインクは、上記の加熱に応答する形でイン
クの支持体から分離し、そしてフィルム上に付着するか
もしくは、場合によって、以下に記載するようにしてフ
ィルム中に浸透する。
本発明方法では、上記した米国特許第2,811,744号に
記載の方法で行われるものとは異なって、装飾図柄を形
成するインクが、射出成形を行う間に型内を移動する熱
可塑性材料の溶融物と直接に接触することがないという
ことを理解することができる。そのために、このインク
は、熱可塑性材料の移動中に取り上げられることがな
い。
さらに、フィルムとインクの支持体とは相互に固定的
に配置されているので、装飾図柄のフィルム上への転写
を何らの変形をも伴なわずに行うことができる。
上記した射出成形の後、もちろんのことではあるが、
型を開放し、仕上げ後の物品をその型から取り出す。
型への射出成形に供すべき熱可塑性材料は、もちろ
ん、物品が有しなければならない物理的及び化学的性質
に依存して選ばれ、また、この材料の選択は、もちろ
ん、型への射出成形を行う時の温度を決定する。
この選択はまた、フィルムの材料の選択をある程度ま
で決定する。
フィルムの材料は、その材料が型内に射出成形される
熱可塑性材料に対して強固に結合することができ、した
がって、物品の製造後に長時間を経過したとしても、装
飾図柄を保持したフィルムが物品から剥れないようにし
て、選択しなければならない。
上記した結合は、有利には、フィルム材料の分子が、
射出成形せしめられた材料がその射出成形温度にある間
に、その材料の分子と化学的に結合可能であるように、
フィルム材料を選択することによって得ることができ
る。
また、上記した結合は、このフィルム材料と型内に射
出成形せしめられた材料との間に高分子相互拡散現象が
おこり得るようにフィルム材料を選択することによって
も、得ることができる。この高分子相互拡散現象は、当
業者に公知なことであるので、ここでの説明を省略す
る。
型内に射出成形することのできる熱可塑性材料の全
部、ならびにこれらの材料のそれぞれと結合できかつし
たがってフィルム用に選択することのできる材料の全部
を本願明細書において列挙することはもちろん不可能で
ある。この種の列挙はまた、かかる材料の全部及びそれ
らの性質は当業者に公知であるので、不必要である。
簡単に説明すると、本願出願人は、約50％のポリエー
テル及び50％のアミドを含むポリエーテルブロックアミ
ドを射出成形材料として使用し、かつ約30％のポリエー
テル及び70％のアミドを含むもう１種のポリエーテルブ
ロックアミドあるいはポリアミドをフィルムに使用した
ところ、すぐれた結果を得ることができた。
また、フィルムの材料を選択するに当っては、装飾図
柄を形成するインクがこのフィルムに対して自体強固に
結合することができるように、但し、図柄が通常印刷さ
れるべき支持体はこのフィルムに粘着せずかつ射出成形
作業の後に物品を型から取り外す場合に容易に取り外し
ができるように選択しなければならないということも特
記することができる。
いま一度記すと、本願明細書では、それぞれのタイプ
のインク及び／又は支持体、上記の条件を満たしかつし
たがってフィルム用に選ぶことのできる材料の全部を列
挙することは、可能でもなければ必要でもないことであ
る。
ここでは、装飾図柄を形成するインクが昇華性インク
でありかつフィルムの材料が熱可塑性材料である場合に
良好な結果が得られた、と記すだけで十分であろう。
このような場合に、熱可塑性材料の射出成形中にその
材料によって、フィルムを介して、インクを加熱する
と、そのインクが気化せしめられる。
この気化せしめられたインクは、フィルム自体も加熱
されているので、このフィルムの材料中に非常に迅速に
拡散する。
しかし、射出成形作業が終了するや否や、フィルムの
温度は低下し、そして上記したようなインクの拡散は停
止するかもしくは、少くとも、非常に顕著に低下する。
実際に、この迅速な拡散はほんの数秒間にわたって行
われる。この短い期間の間、拡散は、フィルムの表面に
対して垂直な方向においてのみ行われ、また、この表面
からの拡散の深さは数10μｍを上廻ることがない。
上記の拡散後に前記インクによって形成される装飾図
柄は、そのために、紙に印刷された図柄に実質的に同じ
であり、但し、180゜だけ回転している。また、この装
飾図柄は、もしもフィルムの材料が完全に透明ではなく
ても、十分に可視である。
また、図柄を形成するインクの拡散の深さが僅かであ
るにもかかわらず、その図柄は、完成した物品に対して
及ぼされる可能性のある摩擦によってひきおこされる損
傷から完全に保護されている。
昇華性インクの熱可塑性材料中への拡散は、決して完
全には停止しないというものの、熱可塑性材料の性質や
その温度に応じて非常に遅い速度で継続すると、認める
ことができる。
もしも装飾図柄が意識的にむしろ不鮮明であるなら
ば、及び／又はもしも物品の耐用年数が比較的に短いな
らば、フィルムの材料中にインクがこのようにゆっくり
と拡散することは無視することができる。
しかし、もしも装飾図柄が十分に明瞭な表面あるいは
線を有するならば、及び／又はもしも物品の耐用年数が
非常に長期間でなければならないならば、このようなゆ
っくりとした拡散はでき得る限りに回避されなければな
らない。
本願出願人は、このことに関して、この拡散の速度が
遅くなければならない場合にはより大きな硬度を有する
熱可塑性材料をフィルム用として選択しなければならな
いということを見い出した。実際、もしも50よりも大き
なショアーＤ硬度を有する熱可塑性材料をフィルム用と
して選択するならば、この拡散の速度は非常に遅くな
り、したがって、もしも本発明方法によって製造された
物品が時々50〜60℃の温度にさらされるとしても、この
拡散の装飾図柄に対する影響は、物品の製造後２〜３年
を経過した後でもなお、僅かしかないであろう。
もしも本発明方法によって製造された物品を変形させ
ないつもりであるならば、すなわち、もしも射出成形し
た熱可塑性材料が通常の物品使用温度で硬質であるなら
ば、装飾図柄を保持するフィルムの厚さを非常に自由に
選択することができることを特に記すことができる。
しかし、もしもこの物品が容易に変形可能でなければ
ならないならば、すなわち、もしも射出成形した熱可塑
性材料が通常の物品使用温度でフレキシブルであるなら
ば、フィルムの厚さは、物品の変形を妨害しないため、
できる限り薄くなるように選択すべきである。この条件
は、しかし、一般的に非常に容易に満たすことができ
る。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】装飾図柄をもった熱可塑性材料製物品を製
    造するためのものであって、下記の工程： 支持体の表面に、加熱に応答して前記支持体から分離す
    ることが可能な転写性インクを使用して前記図柄を印刷
    し、 前記支持体を、前記印刷の後、前記物品の形状及び寸法
    を有する型に組み込み、 別のフィルムを前記型に、前記支持体の印刷面に対して
    そのフィルムが施される位置で組み込み、そして 前記支持体及び前記フィルムの組み込みの後、前記熱可
    塑性材料を前記型にその熱可塑性材料の融点に等しいか
    もしくはそれよりも高い温度で射出成形することを含
    み、また、その際、 前記支持体の組み込みを、少なくとも前記射出成形の間
    に前記支持体が前記型の壁体に対向せしめられかつその
    支持体の印刷面が前記型の内面とは逆の向きとなるよう
    に実施し、 前記フィルムの組み込みを、少なくとも前記射出成形の
    間に前記フィルムの１つの面が前記支持体の印刷面に対
    向せしめられかつそのフィルムのもう１つの面が自体、
    前記熱可塑性材料が前記射出成形の際の所定の温度にあ
    る間に、その熱可塑性材料に結合するように実施し、そ
    して 前記射出成形の熱可塑性材料によって前記フィルムを介
    して行なわれる前記転写性インクの加熱に応答して、そ
    の転写性インクを前記支持体から分離させ、そして前記
    フィルム上に付着させかつこのフィルムで保持すること
    を特徴とする、装飾図柄をもった熱可塑性材料製物品の
    製造方法。
  2. 【請求項２】前記インクが、前記加熱に応答して揮発す
    ることのできる昇華性インクであり、そして前記フィル
    ムが熱可塑性材料からなることを特徴とする、請求の範
    囲第１項に記載の方法。
  3. 【請求項３】前記フィルムの熱可塑性材料が50よりも大
    であるかもしくはそれに等しいショアーＤ硬度を有する
    ことを特徴とする、請求の範囲第２項に記載の方法。
  4. 【請求項４】前記射出成形の後、前記物品を前記型から
    取り外し、そして前記インクの支持体をその物品から除
    去することを特徴とする、請求の範囲第１項に記載の方
    法。
JP63504425A 1987-06-12 1988-06-07 装飾図柄をもった熱可塑性材料製物品の製造方法 Expired - Fee Related JP2683078B2 (ja)

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