JP2682131B2 - 高タフネスポリエステル繊維およびその製造方法 - Google Patents

高タフネスポリエステル繊維およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はベルト用補強材,タイヤコード,ロープ等の
産業資材用途に適するポリエステル繊維およびその製造
方法に関し、特に強度および切断伸度がいずれも高い値
を示す高タフネスポリエステル繊維およびその様な繊維
を製造する為の方法に関するものである。
[従来の技術] ポリエステル繊維は、ナイロンと同程度の強度および
レーヨンと同程度の初期弾性率を併有し、他の繊維素材
に比べて物性のバランスが優れていることから、産業資
材用として広く利用されている。特に産業資材用として
は、高強度のポリエステル繊維が好ましいとされてお
り、近年ベルト用補強材,タイヤコード,ロープ等の用
途で広く使用される様になっている。
[発明が解決しようとする課題] 高強度ポリエステル繊維の製造方法としては、例えば
特公昭41−7891号には高分子量のポリエチレンテレフタ
レートを用いる技術が提案されている。しかしながらこ
の技術は、高分子量のポリエチレンテレフタレートを単
に高倍率で延伸するだけのものであることから、延伸倍
率を高くして強度を高くすればするほど、産業用資材と
して要求されるもう1つの要件である切断伸度が低くな
るという欠点を有している。
一方切断伸度の高い(即ち高タフネスな)ポリエステ
ル繊維を製造する技術としては例えば特公昭58−51524
号や特開昭62−69842号等の技術が提案されている。し
かしながら特公昭58−51524に開示された技術では、切
断伸度において24.6%という高い値を示すポリエステル
繊維が得られているものの、強度の点では7.8g/d以下の
ものしか得られておらず、この程度の強度では産業資材
用として必要とされる特性を満足しているとは言えな
い。また特開昭62−69842号に開示された技術は、弛緩
熱処理によって高伸度を得ようとするものであり、2次
降伏点を適切にコントロールする技術であるが、この技
術においても2次降伏点における伸度から切断伸度に至
るまでの応力増大が見込めず、実質的に高強度のものが
得られていない。
この様にポリエステル繊維の強度と切断伸度は相反す
る特性であり、その両者の特性を同時に満足するポリエ
ステル繊維の開発が望まれている。
本発明はこうした技術的課題を解決する為になされた
ものであって、その目的は、高い強度を有し且つ高タフ
ネスな、産業資材用として最適なポリエステル繊維およ
びその製造方法を提供する点にある。
[課題を解決するための手段] 上記目的を達成し得た本願発明の高タフネスポリエス
テル繊維とは、エチレンテレフタレートを主成分とし、
下記(a)〜(e)の要件を満足するものである。
(a)強度≧10.0g/d (b)切断伸度≧15% (c)初期モジュラス(M0)≦140g/d (d)8g/d応力点でのモジュラス(M8)と初期モジュラ
ス(M0)の比(M8/M0)≧0.4 (e)(繊維表面の複屈折率)−(繊維中心の複屈折
率)≦0 また、上記の様な高タフネスポリエステル繊維は、ポ
リエチレンテレフタレートを溶融紡糸して極限粘度数:
0.9以上,複屈折率:0.001〜0.006の低配向未延伸フィラ
メントを得、該フィラメントを加熱下に3.8倍以上に延
伸した後、280〜450℃の温度で1.07〜1.35倍に延伸し、
引続き215〜280℃の加熱ロールを通して1〜15%の弛緩
率で捲取ることによって製造することができる。
[作用] 本発明は上述の如く構成されるが、要するにポリエチ
レンテレフタレートを溶融紡糸して所定の極限粘度指数
および複屈折率を示す低配向未延伸フィラメントを得、
このフィラメントに対して2回の延伸処理を施した後第
1回の弛緩処理を施せば希望する特性を有する高タフネ
スポリエステル繊維が製造できることを見出し、本発明
を完成した。
本発明で用いる重合体は、エチレンテレフタレートを
主成分とするものであるが、これはポリエチレンテレフ
タレートが少なくとも90%以上、好ましくは95%を含ん
だ重合体の意味である。即ち本発明に係る高タフネスポ
リエステル繊維は、タイヤコード用としての特性を具備
することを想定してものであるが、その特性を満足する
為には後述する様な高温での熱処理工程を必要とするも
のであり、この工程における共重合による融点降下を防
ぐ為には共重合単位は少なくとも10%未満、好ましくは
5%未満に抑える必要がある。尚ポリエステルの共重合
単位は、酸成分として例えばイソフタル酸,ナフタレン
ジカルボン酸,アジピン酸,オキシ安息香酸等が挙げら
れ、グリコール成分として例えばジエチレングリコー
ル,プロピレングリコール,トリメリット酸,ペンタエ
リスリトール等が挙げられるが、これらの例に限定され
るものではない。また本発明に係るポリエステル繊維に
は、安定剤や着色剤等の添加剤を含み得ることは勿論で
ある。
本発明に係るポリエステル繊維の前記各要件(a)〜
(d)を満足するものであるが、その設定値の限定理由
は次の通りである。
(a)強度≧10.0g/d 近年ハイテクノロジー化の流れの中にあって、構造材
として要求される品質水準を考慮すれば、強度は少なく
とも10.0g/dは必要である。
(b)切断伸度≧15% ポリエステル繊維を構造材として利用するには、その
切断伸度は15%以上である必要がある。即ちポリエステ
ル繊維の強度が10.0g/d以上であっても切断伸度が15%
未満の場合には、負荷のエネルギー吸収量が充分とは言
えない。
(c)初期モジュラス(M0)≦140g/d 構造材の変形が小さいときに大きな変形抵抗を生じる
繊維では、繊維に対して大きな仕事負荷を与えてしまう
ことになるので、微小変形であっても繊維が受けるダメ
ージが大きくなり、容易に疲労してしまう。従ってこの
様な繊維では、本来その効果を発揮すべき高変形領域に
おいて、十分なエネルギー吸収量を確保できない。こう
したことから、かかる用途に適した繊維には、応力−歪
特性における初期モジュラス(M0:第1図中のラインA
の勾配で示される)が140g/d以下である必要がある。尚
初期モジュラスM0の好ましい範囲は、130g/d以下であ
る。
(d)8g/d応力点でのモジュラス(M0)と初期モジュラ
ス(M0)の比(M8/M0)≧0.4 高荷重下で利用する繊維としては、高い応力下におい
ても引張抵抗が大きいものが優れている。本発明のポリ
エステル繊維は、引張試験(変形速度:100%min-1)の
応力が歪曲線において、8g/d応力点でのモジュラス
(M8:第1図中のラインBの勾配)が十分に高いという
特徴を有する。即ち、本発明のポリエステル繊維では、
8g/d応力点でのモジュラスM8と初期モジュラスM0の比
(M8/M0)が0.4以上のものが得られる。尚上記の比(M8
/M0)について、より好ましい値は0.6以上であり、更に
好ましくは0.7以上である。
また8g/d応力点でのモジュラスM8の絶対値としては、
40g/d以上であれば実質的に強度を十分高く設定するこ
とができるが、より好ましくは50g/d以上、特に好まし
いのは60g/d以上である。
一方高応力下で大変形を受け際のエネルギー吸収を確
実に達成するという観点からしても、上記モジュラスM8
は50g/d以上であることが好ましい。モジュラスM8が50g
/d未満では、中間的な伸度例えば破断伸度の1/2におけ
るモジュラス(第1図のラインCの勾配)と差がなくな
ってしまい、変形をくい止める作用が十分発揮されな
い。
ところで高応力下でのモジュラスが高い繊維では、歪
が小さい低伸度域で応力を受持つ分子鎖の割合と、歪が
大きい高進度域で応力を受持つ分子鎖の割合等を考慮す
ると、低進度域で応力を受持つ分子鎖が少ない構造のも
のが適している。こうした観点からすれば(M8/M0)比
が高い繊維を得る為には、繊維表面の配向度を繊維中心
の配向度に比べて低くすればよいと思われる。また配向
度は複屈折率を基準として表わされることから上記考案
は繊維表面の複屈折率よりも繊維中心の複屈折率が大き
いことが好ましいことを示している。即ち(繊維表面の
複屈折率)−(繊維中心の複屈折率)で示される複屈折
率の差Δn0が0以下であることが必要である。尚好まし
い値は、差Δn0≦−1×10-3である。
この様に繊維断面における外層部の分子鎖配向を、中
心部の分子鎖配向に対して低く抑えてやることによっ
て、体積分率の大きい外層部の分子鎖が高伸度域で応力
を受持つことができるのである。
この様に高い切断伸度を有し且つ高応力下における高
い弾性率を示す繊維は、構造材として利用した場合にエ
ネルギー吸収の増加率が緩やかであり、また全エネルギ
ー吸収量が大きい特徴を有し、高い安全性が得られる。
この様な繊維は、例えばシートベルト等に用いた場合、
人体への安全性の確保に極めて有効である。
次に上記の様な特性を有するポリエステル繊維の製造
方法について説明する。
本発明では、まずポリエチレンテレフタレートを溶融
紡糸して極限粘度数:0.9以上,複屈折率:0.001〜0.006
の低配向未延伸フィラメントとする必要がある。
ここで上記極限粘度数を0.9以上としたのは、産業用
資材として最少低限要求される強度を考慮した為であ
る。尚極限粘度指数の好ましい値は0.95以上である。ま
た本発明における極限粘度数は、p−クロロフェノール
/テトラクロロエチン(3:1)の混合溶媒を用いて30℃
で測定したときの値である。
本発明では後述する様に、高強度を得る為には第1回
目の延伸は高温下で高倍率で行なう必要がある。この様
に第1回目の延伸における延伸倍率を上げる為には紡糸
工程での分子鎖配向をできるだけ抑える必要がある。こ
うした観点からして未延伸フィラメントの複屈折率は0.
006以下とする必要がある。但し、未延伸フィラメント
の複屈折率が0.001未満では、安定した紡糸が難しく、
長手方向に班の少ない未延伸糸を得ることができず、延
伸工程での単糸切れ等のトラブルにつながる。
本発明の繊維を得るには、まず第1回目の延伸を高温
下に高倍率で行なう必要がある。このときの温度は例え
ば250〜370℃程度である。この様な温度範囲での延伸に
おいて延伸倍率を低く押えると10.0g/d以上の高強度糸
を得ることができないから、例えば加熱蒸気雰囲気中で
3.8倍以上に延伸する必要がある。尚このときの延伸倍
率の好ましい範囲は、5.0倍以上である。
一方2回目の延伸は高タフネスの繊維を得る為に必須
の工程である。この延伸では、糸断面の外層部の温度が
ポリマー融点近傍の温度に達してから(中心部の温度が
十分に上った状態で)変形を生じる様に延伸を行なう必
要がある。即ち、糸断面内の温度分布において、糸外層
部の温度が融点近傍に達する時点で延伸を行なう様に、
ヒーターの加熱能力および延伸倍率を制御する必要があ
る。高すぎる延伸倍率では、糸中心部の温度が十分に上
がる前に延伸されてしまい強度は高くできるものの、初
期弾性率が上がりすぎ、高タフネスのポリエステル繊維
を得ることができない。また延伸倍率が低すぎると、糸
内部の配向が進まず、高強度糸を得ることができない。
この様な観点から本発明では、2回目の延伸倍率を1.07
〜1.35倍に設定した。またこの様なところから、延伸温
度は比較的高く設定する必要があり、その範囲は280〜4
50℃である。
上述の様な2回目の延伸工程を行なうのは、高タフネ
スの繊維を得る為にフィラメントの表層部の分子鎖の配
向を低下させても本来の強度を確保できることを見出し
たことによるものである。尚延伸を2段階に分けて行な
くこと自体は、これまでも行なわれてきたが、従来の2
回目の延伸では延伸張力をできるだけ高くして高温下で
最大限に延伸するものであり、加熱条件は糸全体の温時
上昇をできるだけ早くすることができるものが望ましい
とされていた。従って、従来法で延伸倍率を低下させる
だけでは、糸全体の配向を低下させることになり、その
分強度が低下するだけである。
本発明に係る製造方法では、最終的に弛緩熱処理を施
すものであるが、これは具体的には前記特開昭62−6984
2号と同様の趣旨で高伸度を得る為に行なうものであ
る。但し、本発明では上述の2回の延伸処理によって希
望する強度を確保しているのである。
この弛緩熱処理では、ヤーンの寸法安定性という点を
考慮すれば、215〜280℃の加熱ロールを通す必要があ
る。また弛緩率は1〜15%の範囲とする必要がある。弛
緩率が1%未満であると、ボビンの捲締め等のトラブル
が発生し易く、15%を超えると弛緩が進み強度の低下が
生じるからである。
次に、本発明に係るポリエステル繊維の繊維断面内に
おける複屈折率Δnの分布の測定法について説明する。
<繊維断面内における複屈折率Δnの分布の測定法> 透過定量型干渉顕微鏡を使用して得られる中心屈折率
(n⊥,0,n,0)及び外周屈折率(n⊥,0.9,n,0.9)
の値によって、本発明の繊維の特異な分子配向が明らか
となり、本発明の繊維の優れた強度との関連を示すこと
ができる。透過定量型干渉顕微鏡(例えば東独カールツ
ァイスイエナ社製干渉顕微鏡インターフアコ)を使用し
て得られる干渉縞法によって、繊維の側面から観察した
平均屈折率の分布を測定することができる。この方法は
円形断面を有する繊維に適用することができる。繊維の
屈折率は、繊維の平行方向に振動している偏光に対する
屈折率(n)と繊維軸の垂直軸の垂直方向に振動して
いる偏向に対する屈折率(n⊥)によって特徴づけられ
る。
ここに説明する測定は全て光源としてキセノンランプ
を用い、偏向下、干渉フイルター波長544nmの緑色光線
を使用して得られる屈折率(n及びn⊥)を用いて実
施される。以下nの測定及びn⊥より求められるn
,0とn,0.9について詳細に説明するが、n⊥(n
⊥,0、n⊥,0,0.9)に試験される繊維は光学的にフラッ
トなスライドグラス及びカバーグラスを使用し、0.2〜
1波長の範囲内の干渉縞のいずれを与える屈折率(nE
をもつ繊維に対して不活性の封入剤中に浸漬する。封入
剤の屈折率(nE)は緑色光線(波長λ=544nm)を光源
としてアツベの屈折計を用いて測定した20℃における値
である。この封入剤はたとえば流動パラフインとα−ブ
ロムナフタリンの混合液より1.48〜1.65の屈折率を有す
るものが調製できる。この封入剤中に1本の繊維を浸漬
する。この干渉縞のパターンを写真撮影し、1000倍〜20
00倍に拡大して解析する。
繊維の封入剤の屈折率をnE,繊維のS′−S″間の平
均屈折率をn,S′−S″間の厚みをt,使用光線の波長
λを、バックグランドの平行干渉縞の間隔(1λに相
当)をDn、繊維による干渉縞のずれをdnとすると、光路
差Lは で表わされる。
試料の屈折率をnsとすると、封入液の屈折率は、nS
nE=n1,nS>nE=n2の2種のものを用いて干渉縞のパタ
ーンを評価する。
従って[I]式にもとづいて繊維の中心から外周まで
の各位置での光路差から、各位置の繊維の平均屈折率
(n)の分布を求めることができる。
厚みtは得られる繊維が円型断面と仮定して計算によ
って求めることができる。しかしながら製造条件の変動
や製造後のアクシデントによって、円形断面になってい
ない場合も考えられる。このような不都合を除くため、
測定する個所は繊維軸を対称軸として干渉縞のずれが左
右対称になっている部分を使用することが適当である。
測定は繊維の半径をRとすると0〜0.9Rの間を0.1Rの間
隔で行ない、各位置の平均の屈折率を求めることができ
る。同様にしてn⊥の分布も求められるので複屈折率分
布は Δn(r/R)=n(r/R)−n⊥(r/R) …[II] より求められる。尚Δn(r/R)は少なくとも3本のフ
ィラメント、好適には5〜10本のフィラメントについて
測定したものを平均して用いるのが良い。
以下本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、
下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前
・後記の趣旨に微して設計変更することはいずれも本発
明の技術的範囲に含まれるものである。
[実施例] 分子量の異なるポリエチレンテレフタレートを溶融紡
糸し、過熱蒸気ヒーターで2回の延伸処理を引続いて行
なった後、8%の弛緩を与えて巻取った。このときの製
造条件および得られた繊維の物性は第1表に示す。
第1表から次の様に考察できる。
まず重合度の影響につき検討すると、極限粘度数0.88
の条件(No.1〜3)では延伸倍率がかえても、強度10.0
g/d以上で且つ破断伸度15%である繊維が得られなかっ
た。これに対し、極限粘度数0.94,1.01,1.17の繊維(N
o.4,5,8,9)では、強度10.0g/d以上でかつ伸度15%以上
のものが得られた(第1図参照)。
次に未延伸の複屈折値の影響につき検討すると、未延
伸糸の配向が高い条件(No.6,7)では、10.0g/d以上の
強度を得ることができなかった(第1図参照)。
更に、延伸倍率の効果について検討すると、1回目の
延伸倍率が低い条件(No.10,11)では、強度10.0g/d以
上で且つ伸度15%以上である繊維は得られなかった。ま
た、1回目の延伸倍率をやや抑えて2回目の延伸倍率を
高く設定した条件(No.12)では、(M8/M0)が0.40以上
である繊維は得られなかった。
尚No.8(実施例3)およびNo.12(比較例)の繊維断
面内複屈折分布は、第2図の様になり、第1表と対比す
ると、(繊維表面の複屈折率)−(繊維中心の複屈折
率)≦0の繊維は、比(M8/M0)が高くなっているのが
分かる。
次に、極限粘度数1.3のポリエチレンテレフタレート
を、No.8(実施例3)と同じ紡糸条件で溶融紡糸し直ち
に、過熱蒸気ヒーターを用い1回目の温度150℃、2回
目の温度270℃で2回の延伸を行った。このときの延伸
倍率および得られた繊維の物性は第2表に示す。
上記各繊維における応力・歪曲線を第1図上に併記す
る。
この結果から明らかな様に、本発明の代表的な応力−
歪曲線(ラインD)は、(No.13〜17)に比べて高伸度
域でのモジュラスが高い。またNo.13〜17の繊維の破断
点は第1図中の一点鎖線上にあり、強度10.0g/d以上で
あり且つ伸度15%を表す領域(第1図中斜線部で示す)
には、到達していない。
[発明の効果] 本発明は以上様に構成されており、本発明に係るポリ
エステル繊維は高タフネスでありながら従来にない高強
度のものが得られており、且つエネルギー吸収が高応力
下で急増するという特徴を有していることから、耐衝撃
に極めて優れた繊維である。この様な繊維は、大変形が
起こりやすい構造材の補強材として特に有用である。
【図面の簡単な説明】
第1図は伸度と強度の関係(応力・歪の関係)を示すグ
ラフ、第2図は実施例3および比較例(No.12)の糸断
面内配向度分布を示すグラフである。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エチレンテレフタレートを主成分とし、下
    記(a)〜(e)の要件を満足することを特徴とする高
    タフネスポリエステル繊維。 (a)強度≧10.0g/d (b)切断伸度≧15% (c)初期モジュラス(M0)≦140g/d (d)8g/d応力点でのモジュラス(M8)と初期モジュラ
    ス(M0)の比(M8/M0)≧0.4 (e)(繊維表面の複屈折率)−(繊維中心の複屈折
    率)≦0
  2. 【請求項2】ポリエチレンテレフタレートを溶融紡糸し
    て極限粘度数:0.9以上,複屈折率:0.001〜0.006の低配
    向未延伸フィラメントを得、該フィラメントを加熱下に
    3.8倍以上に延伸した後、280〜450℃の温度で1.07〜1.3
    5倍に延伸し、引続き215〜280℃の加熱ロールを通して
    1〜15%の弛緩率で捲取ることによって請求項(1)に
    記載のポリエステル繊維を得ることを特徴とする高タフ
    ネスポリエステル繊維の製造方法。
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