JP2654078B2 - 帯電防止樹脂組成物 - Google Patents

帯電防止樹脂組成物

Info

Publication number
JP2654078B2
JP2654078B2 JP9615788A JP9615788A JP2654078B2 JP 2654078 B2 JP2654078 B2 JP 2654078B2 JP 9615788 A JP9615788 A JP 9615788A JP 9615788 A JP9615788 A JP 9615788A JP 2654078 B2 JP2654078 B2 JP 2654078B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
present
carbon atoms
vinylidene fluoride
predetermined
resin composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP9615788A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH01266153A (ja
Inventor
博義 浜中
哲司 柿崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Boron International KK
Original Assignee
Boron International KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Boron International KK filed Critical Boron International KK
Priority to JP9615788A priority Critical patent/JP2654078B2/ja
Publication of JPH01266153A publication Critical patent/JPH01266153A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2654078B2 publication Critical patent/JP2654078B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の背景〕 (産業上の利用分野) 本発明は半導体関係の梱包・包装、電子回路基板の包
装、電子部品の包装、エレクトロニクス機器、医療機
器、精密機器などの包装及びカバー、更には医薬品、化
粧品、食用品の防塵包装、危険物の包装等を目的とした
静電気障害対策用樹脂組成物に関する。
〔従来の技術および発明が解決しようとする課題〕
プラスチックは透明性、耐久性、軽量性等の優れた性
質を有することから幅広い分野にわたって使用されてい
るが、これは電気絶縁性の素材である為、使用法ないし
用途によっては静電気による各種障害が発生して問題と
なる。とりわけ、エレクトロニクス分野においては、静
電気によるIC、LSIの破壊、損傷が問題化しており、静
電気対策は重要かつ緊急なテーマである。
それには、周囲にある帯電荷を発生させ易い絶縁体材
料自体の電気特性を改善する必要があり、今までに、金
属繊維、金属メッキ繊維等を練り込んだプラスチック
や、カーボンブラック、グラファイト、酸化スズ、酸化
亜鉛、酸化インジウムなどを配合したフィルム、シート
等がつくられてきた。しかしながら、それらの無機の導
電化剤は、マトリックス樹脂中に互いに接する程多量に
混入させなければ全体を帯電させない材料へと転換させ
ることができず、コストアップになると共に基体材料の
もつ物性を著しく変化させてしまうという欠点があっ
た。また、これらの無機物質では透明な帯電防止成型物
をつくることができないということも難点であった。
そのような意味では、界面活性剤を応用した内部練り
込み型帯電防止剤が少量の添加量でよいこと、それ程極
端に基体材料の物性を変化させないこと及び透明成型品
をつくり得ること等から、簡便かつ低コストで加工でき
るので従来より主として塵埃の付着防止を意図した静電
気対策用に広く使われてきた。
しかし、帯電防止剤は分子が基体材料の表面に移行す
ることによりはじめて効果が発現するものであり、しか
も表面に出たものは不安定で温度、湿度あるいは接触、
摩擦等の外部条件、因子によって乱されたり、取り除か
れてしまい、また、内部にある分子もある時間を経ると
ほとんどのものが表面に移行して抜け出してしまうため
に、効果の安定性も持続性も与えることができなかっ
た。さらに、その帯電防止機構自身が表面に存在する帯
電防止剤分子の親水基の部分がもたらすキャリア効果
(イオン伝導機構)によっているために、表面での帯電
防止剤分子の配向吸着状態に少しでも乱れが生じると、
帯電荷を100%減衰させることが不可能となってしまう
ものであった。
したがって、帯電防止剤はIC、LSI関連機能製品の輸
送時、使用時等において、周囲の静電気による影響を排
除できる手段であるとは厳密な意味で言えなかった。
〔発明の概要〕
(課題を解決するための手段) 本発明は、この問題点の解決を与えるものであって、
フッ化ビニリデン樹脂と、半極性結合構造を保持しつ
つ、ホウ素原子が分子内に規則正しく組み込まれている
有機ホウ素高分子化合物とヒドロキシアルキルアミンと
を反応させることによってつくられる高分子電荷移動型
結合体を組合せることにより、該フッ化ビニリデン樹脂
の帯電性が取り除かれ、接触、摩擦、外部電圧の印加等
によって瞬間的に生じる帯電荷が素早く、かつ、完全に
漏洩され、上述の帯電防止剤と異なり、永久的でしかも
安定した無帯電製品をつくり得ることを見いだし、本発
明を完成した。
要 旨 すなわち、本発明による帯電防止樹脂組成物は、下記
の成分(1)および成分(2)を含んでなるものであ
る。
成分(1):フッ化ビニリデン樹脂 成分(2):下記の一般式Iにて表わされる半極性有機
ホウ素高分子化合物の1種若しくは2種以上と、ヒドロ
キシル基を少なくとも1個有する合計炭素数5〜82の三
級アミンの1種若しくは2種以上との、ホウ素原子1個
対塩基性窒素原子1個の割合の反応生成物である高分子
電荷移動型結合体(以下、所定の高分子電荷移動型結合
体と称する。)。
〔式中、qは0または1で、q=1の時、Aは−(X)
a−(Y)b−(Z)c−基{但し、XおよびZは1個
の末端エーテル残基をもつ炭素数合計100以下の含酸素
炭化水素基、Yは (但し、Rは炭素数1〜82の炭化水素基)もしくは (但し、R′は炭素数2〜13の炭化水素基)であり、
a、b、およびcは0または1である。}であり、pは
10〜1000である。〕 効 果 本発明による帯電防止樹脂組成物は、永久帯電防止樹
脂組成物と呼びうるほどに永続的な帯電防止効果を有す
る。
すなわち、フッ化ビニリデン樹脂に使用される本発明
の所定の高分子電荷移動型結合体は、配位結合型のイオ
ン構造物質であり、極性の大きい高分子物質であるのに
もかかわらず、極性の小さい該フッ化ビニリデン樹脂と
良く融解混和するため、基体樹脂からはじき出されるこ
となく、しかも、フェルミ準位をなすかたちで異種物質
として作用するので、表面の帯電荷だけを中和する帯電
防止剤の場合と違い、通常の条件において基体樹脂を内
部から永久的に非帯電性の材料とするだけでなく、高電
圧下で強制帯電させることを繰返しても常に100%電荷
を漏洩させことができる。また、本発明の所定の高分子
電荷移動型結合体は、電子の運動性を呈する導電性高分
子である。したがって、電子伝導性を示すのでイオン伝
導機構に基く帯電防止剤と異なり、基体材料の表面に存
在しなくても、十分に帯電防止効果を発揮する。
なお、本発明の所定の高分子電荷移動型結合体は熱安
定性が極めて良好であるため、これを含有する樹脂組成
物は高い成形加工温度での取扱いにおいても熱劣化によ
る物性の低下が殆んどみられない。
〔本発明の具体的説明〕
定 義 本発明による帯電防止樹脂組成物は、成分(1)およ
び成分(2)を含んでなるものである。
ここで、「含んでなる」ということは、これらの必須
二成分の外に、本発明の趣旨を損なわない限り、補助的
資材(詳細後記)を含んでよいことを意味する。
成分(1) 本発明で成分(1)として用いるフッ化ビニリデン樹
脂とは、フッ化ビニリデンの単独重合体(以下、PVDFと
称す)、及びフッ化ビニリデンの50モル%以上とこれと
共重合可能なモノマーの残存量との共重合体を言うもの
とする。フッ化ビニリデンと共重合可能なモノマーと
は、文字どおりフッ化ビニリデンと共重合可能なもので
あれば限定されないが、例えば、エチレン、プロピレン
等のオレフィン、塩化ビニル、塩化ビニルデン等の塩素
置換ビニル化合物、フッ素置換オレフィン等が好まし
く、特にフッ素置換オレフィン、例えばテトラフルオロ
エチレン、フッ化ビニル、トリフルオロチレン、6フッ
化プロピレンなど、が好ましい。
これらのフッ化ビニリデン樹脂は、乳化重合や懸濁重
合等公知のフッ化ビニリデン重合法のいずれかにより製
造することができる。
また、これらのフッ化ビニリデン樹脂の固有粘度ηi
は、0.4〜1.5、好ましくは、0.7〜1.2、の範囲にあるこ
とが適当である。固有粘度ηiが0.4未満のものは得ら
れる成形品の強度が小さく、1.5超過のものは他に溶剤
や可塑剤等を使用しないと成形性に難点がある。
ここで、固有粘度ηiとは次式で表される値をいう。
η:0.4g/dlの濃度を有するフッ化ビニリデン樹脂のジメ
チルホルムアミド溶液の粘度(30℃) ηo:ジメチルホルムアミド単独の粘度 c:0.4 また混合する熱可塑性樹脂はこれらの混合物であって
もよい。
成分(2) 本発明で帯電防止材として用いる所定の高分子電荷移
動型結合体は、前記の式(I)の半極性有機ホウ素高分
子化合物の1種若しくは2種以上とヒドロキシル基含有
三級アミンの1種または2種以上との反応生成物(ただ
し、ホウ素原子1個対塩基性窒素原子1個の割合の反応
生成物である)である。
前者の式(I)のホウ素化合物は、たとえば下記の
(a)または(b)の方法によって製造することができ
る。
(a)法:一般式II 〔式中、qは0または1で、q=1の時、Aは−(X)
a−(Y)b−(Z)c−基{但し、XおよびZは1個
の末端エーテル残基をもつ炭素数合計100以下の含酸素
炭化水素基、Yは (但し、Rは炭素数1〜82、好ましくは6〜82、の炭化
水素基)もしくは (但し、R′は炭素数2〜13、好ましくは6〜13、の炭
化水素基)であり、a、bおよびcはそれぞれ0または
1である。}である〕にて表わされる化合物の1種若し
くは2種以上を合計1モルに対して、ホウ酸若しくは炭
素数4以下の低級アルコールのホウ酸トリエステルを1
モルか、または無水ホウ酸を0.5モル反応させてトリエ
ステル化反応を行う。
(b)法:ジ(グリセリン)ボラート若しくは中間にジ
(グリセリン)ボラート残基を含む炭素数合計206以
下、好ましくは10〜100、のジオールの1種若しくは2
種以上についてポリエーテル化反応を行うか、または、
それらの1種若しくは2種以上を合計1モルに対して、
炭素数3〜84、好ましくは8〜84、のジカルボン酸(以
下、所定のジカルボン酸と称する。)若しくは炭素数4
以下の低級アルコールと所定のジカルボン酸とのエステ
ル若しくは所定のジカルボン酸のハライド若しくは炭素
数4〜15、好ましくは8〜15、のジイソシアナート(以
下、所定のジイソシアナートと称する。)の1種若しく
は2種以上を合計1モル反応させる。
このようにしてつくられる半極性有機ホウ素高分子化
合物(以下、所定の半極性有機ホウ素高分子化合物と称
する。)の1種若しくは2種以上と、ヒドロキシル基を
少なくとも1個有する合計炭素数5〜82、好ましくは5
〜30、の三級アミン(以下、所定の三級アミンと称す
る。)の1種若しくは2種以上とを、ホウ素原子1個対
塩基性窒素原子1個になるように仕組まれた割合で、密
閉若しくは開口型の反応器に仕込み、電圧下、20〜200
℃、好ましくは、50〜150℃、において反応させれば、
本発明の帯電防止剤(以下、所定の高分子電荷移動型結
合体という)が製造される。その際、アルコール、エー
テル、ケトン等の極性溶媒を共存させると、より容易に
反応を行なうことができる。
本発明の所定の高分子電荷移動型結合体とその中間体
である所定の半極性有機ホウ素高分子化合物を導くため
の原料は、下記の通りである。
まず、所定の半極性有機ホウ素高分子化合物を導く
(a)法の原料である一般式IIで表される化合物として
は、例えば、ジグリセリン、ジ(グリセリン)マロナー
ト、ジ(グリセリン)マレアート、ジ(グリセリン)ア
ジパート、ジ(グリセリン)テレフタラート、ジ(グリ
セリン)ドデカナート、ポリ(9モル)オキシエチレン
ジ(グリセリンエーテル)、ジ(グリセリン)トリレン
ジカルバマート、ジ(グリセリン)メチレンビス(4、
フェニルカルバマート)などを挙げることができ、一
方、(b)法における所定のジカルボン酸としては、例
えば、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、アジピン酸、
セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、ドデカン・二
酸、リノール酸から誘導されたダイマー酸、ドデシルマ
レイン酸、ドデセニルマレイン酸、オクタデシルマレイ
ン酸、オクタデセニルマレイン酸、平均重合度20のポリ
ブテニル基を連結させているマレイン酸等が挙げられ、
また、所定のジイソシアナートとしては、例えば、エチ
レンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナー
ト、トリレンジイソシアナートおよびメチレンビス(4
−フェニルイソシアナート)等が挙げられる。
次に、所定の半極性有機ホウ素高分子化合物と反応さ
せる所定の三級アミンとしては、例えば、ジエチルヒド
ロキシメチルアミン、ジメチル2−ヒドロキシプロピル
アミン、メチルジ(2−ヒドロキシエチルアミン、トリ
(2−ヒドロキシエチル)アミン、ヒドロキシメチルジ
(2−ヒドロキシエチル)アミン、ジベンジル2−ヒド
ロキシプロピルアミン、シクロヘキシルジ(2−ヒドロ
キシエチル)アミン、ジ(ヘキサデシル)アミンのエチ
レンオキシド(1〜25モル)付加体、およびモノブチル
アミンのプロピレンオキシド(1〜26モル)付加体等が
挙げられる。
なお、本発明に関連して、所定の半極性有機ホウ素高
分子化合物と反応させるアミン原料を所定の三級アミン
以外の種類、すなわち、一級若しくは二級アミンとした
ものは、電荷移動型結合体が首尾良くつくられず、ま
た、できたものも不安定な化合物となるので、導電性の
発現並びに保持に難があり、したがって、フッ化ビニリ
デン樹脂に対して永久帯電防止性を付与し得ない。
また、ヒドロキシシル基をもたない三級アミンを使用
した場合には、生成した高分子電荷移動型結合体間を多
重的水素結合によってつなぐことを行い得ず、したがっ
て個々の鎖の運動性を大きくさせてしまうために、基体
材料中の集合状態に変化を起こさせてしまい、電荷漏洩
性が不十分となるので好ましくない。
本発明組成物 本発明の所定の高分子電荷移動型結合体のフッ化ビニ
リデン樹脂への配合量は、目的に応じて種々異なるが、
一般にはフッ化ビニリデン樹脂100重量部に対して0.01
〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部、特に好ましく
は0.1〜3重量部である。少なすぎると、本発明の目的
である高性能の帯電防止が得られない。他方、多すぎる
と着色やブリード等の問題を生じて好ましくない。
本発明においては、このような本発明の樹脂組成物の
過半重量に、他の熱可塑性樹脂を残存量混合して用いる
こともできる。混合できる熱可塑性樹脂は、本発明の効
果を損なわないものならば、その種類は限定されない。
混合できる熱可塑性樹脂としては、アクリル系樹脂、ポ
リオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、
ポリアミド、ポリエステル、ポリフッ化ビニル、スチレ
ン系樹脂、ポリフェニレンオキシド等が好ましく用いら
れる。
更に本発明の樹脂組成物には、必要に応じて無機フィ
ラー、有機フィラー、エラストマー等のポリマー材料を
本発明の効果を著しく損なわない範囲において配合して
加工性、剛性、柔軟性などを改善することもできる。
また、上記成分以外に当然のことながらその他の配合
剤、例えば安定剤、酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキ
ング剤等の加工助剤、難燃剤、各種の顔料、染料、紫外
線吸収剤等を適宜使用可能である。
本発明の樹脂組成物は、従来公知のあらゆる配合方法
によって製造することができる。
例えば、混練法としてはオープンロール、インテンシ
ブミキサー、コニーダー、単軸あるいは2軸スクリュー
押出機などが用いられる。
具体例としては、粉状またはペレット状の本発明のフ
ッ化ビニリデン樹脂に所定の高分子電荷移動型結合体お
よび所望の付加的成分を配合し、ヘンシェルミキサー等
で混合したのち、一軸ないし二軸の押出機で溶融混合し
てペレット状組成物となす。配合成分は樹脂に混練途中
で添加されてもよく、また、マスターバッチ方式で添加
されてもよい。
得られたペレットを射出成形、押出し成形、中空成
形、圧空成形、フィルム成形、熱圧成形、紡糸等の各種
成形に供し、更には必要に応じて二次加工を加えて成形
体製品を得る。
フィルム、シートの押出成形、中空成形等の場合に
は、他樹脂との多層化も可能であり、目的に応じて片面
表層に、あるいは両面表層に本発明の樹脂組成物を用い
ることができる。また、金属、金属酸化物あるいは炭素
系導電性フィラー含有樹脂からなる成形体表面に本発明
の樹脂組成物層を形成させて用いることもできる。
これらの成形体は、帯電防止、静電気除去を目的とし
た多くの分野で利用される。例えば帯電防止の場合、IC
の運搬保管用包装資材(キャリア、トレイ、袋、ラッ
ク、コンテナ等)、電子部品用パーツボックス、磁気テ
ープ、オーディオテープのケース、スリップシート、火
薬類等危険物の包装資材などに適用される。また、静電
気除去としては除電ロール、シート等に、あるいは半導
体材料として情報記録紙、各種抵抗体等に適用される。
また、本発明の樹脂組成物は、フィルムにした場合、
水濡れ性が良いので、建築土木資材、農業用ハウス材料
や冷凍食品の包装材料としても適する。
なお、本発明の樹脂組成物に対して、銀、銅、黄銅、
鉄等の粉体若しくは繊維状にしたもの、または、カーボ
ンブラック若しくは錫コート酸化チタン、錫コートシリ
カ等の導電性フィラーを共存させた成形体は、より精度
の高い電磁波シールド材料となる。
〔実施例等〕
以下に実施例を挙げて、さらに詳述する。これらの例
において記載された「部」は重量部を意味し、「%」は
重量%を意味する。
また、各実施例において使用した所定の高分子電荷移
動型結合体は、下記の表1に記載の構造式を有する所定
の高分子電荷移動型結合体からなる。
実施例1 フッ化ビニリデンの単独重合体(比重:1.77、見掛け
溶媒粘度9,000ポイズ)パウダー100部に対して、本発明
の所定の高分子電荷移動型結合体をそれぞれ適量添加
し、単軸押出機にて220℃で溶融混練してペレットを得
た。該ペレットを用いて230℃でシート成形を行い、厚
さ200μmのシートを得た。しかる後、該シートを23
℃、50%RHの恒温恒湿条件にて3日間、30日間静置さ
せ、表面固有抵抗と帯電減衰率(ただし、試料表面に10
KVの電圧を印加して強制帯電させた後、印加を除き、2
分後の残留電荷の有無を調べて換算したもの。)を測定
した。また、比較物質として、公知の帯電防止剤のN,N
−ジ(2−ヒドロキシエチル)ステアリルアミンを選
び、同様の試験を供した。
ここで、本実施例において使用された所定の高分子電
荷移動型結合体の具体的製造方法を、例えば、所定の高
分子電荷移動型結合体(1)及び(2)について示す
と、次の通りである。
すなわち、所定の高分子電荷移動型結合体(1)は、
攪拌棒、温度計、N2ガス流入管及び検水管を備えた四ツ
口フラスコに、ジ(グリセリン)ボラート1モルとアジ
ピン酸1モルを仕込み、N2ガスの流入下、220〜230℃で
4時間を要して、2モル分の脱水を得るまで反応させ、
溶融粘度の上昇を確認した後、70℃まで冷却させる。そ
の後生成物とほぼ同量のメチルエチルケトンを注入し
て、均一溶液としたところで、ポリ(25モル)オキシエ
チレン−ジヘキサデシルアミン1モルを投入して、1時
間70〜75℃で反応させ、つづいて、150mmHgの減圧下、1
20〜130℃で2時間を要して、希釈溶媒のメチルエチル
ケトンを系外に留出させることにより、得られるもので
ある。
また、所定の高分子電荷移動型結合体(5)は、ポリ
(9モル)オキシエチレン−ジ(グリセリンエーテル)
1モルとホウ酸1モルを仕込み、N2気流下150〜230℃に
て5時間を要して、3モル分の脱水を得るまで反応さ
せ、溶融粘度の上昇を確認した後、70℃まで冷却させ
る。その後生成物とほぼ同量のイソプロピルアルコール
を注入して、均一溶液としたところで、ベヘニル−ジ
(2−ヒドロキシフェネチル)アミン1モルを投入し
て、1時間75〜80℃で反応させ、つづいて、常圧下、15
0〜160℃で3時間を要して、希釈溶媒のイソプロピルア
ルコールを系外に留出させることにより、得られるもの
である。なお、他の所定の高分子電荷移動型結合体の製
造方法もほぼ上述の方法と同様である。
試験結果は表2に示した通りであるが、本発明の、所
定の高分子電荷移動型結合体が均質分散されたフッ化ビ
ニリデン樹脂シートは表面抵抗が比較的大きいにもかか
わらず、全く帯電荷を残さず、しかも経時的に性能が低
下するという現象も殆ど見られないということがわかっ
た。
なお、本実施例に用いたフッ化ビニリデン樹脂の見掛
け溶媒粘度は、モンサイト社キャピラリーレオメーター
を使用し、オリフィス径は0.041φ、L/D=15のものを用
いて、230℃、100sec-1で求めた値である。
実施例2 フッ化ビニリデンと6フッ化プロピレン共重合体(比
重1.78、見掛け溶媒粘度25,000ポイズ)パウダー100部
に対して、本発明の所定の高分子電荷移動型結合体とア
ンチブロッキング剤およびスリップ剤をそれぞれ適量添
加し、単軸押出機にて230℃で溶融混練してペレットを
得た。該ペレットを用いてTダイ押出機にて230℃でフ
ィルム成形を行い、厚さ50μmのフィルムを得た。これ
らのフィルムの電気特性について、実施例1と同様の方
法で測定を行なった。
試験結果は表3に示す通りであるが、本発明の組成物
によるフィルムは、全く帯電荷を残さず、しかも経済的
に性能が低下するという現象も殆ど見られない。また、
本発明の所定の高分子電荷移動型結合体の添加による該
共重合体のフィルム成形加工性の悪化等の問題も全く見
られなかった。
実施例3 実施例1のフッ化ビニリデン樹脂75%とアクリル樹脂
25%と本発明の所定の高分子電荷移動型結合体を適量添
加し、2軸押出機にて220℃で溶融混練してペレットを
得た。該ペレットを用い、射出成形機にてシリンダ温度
240℃、金型温度60℃の条件にて2mmt×100mm×100mmの
シートを成形した、該シートの電気特性を実施例1と同
様の方法で測定した。
試験結果は表4に示す通りであるが、本発明の組成物
によるシートは、全く帯電荷を残さず、かつ経時的な性
能低下も見られなかった。
なお、比較物質として公知の帯電防止剤のN,N−ジ
(2−ヒドロキシエチル)ステアリルアミンを用いた
が、この場合成形シート表面へのブリードアウトが顕著
であり、実用的にも問題があることが把握された。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の成分(1)および成分(2)を含ん
    でなる帯電防止樹脂組成物。 成分(1):フッ化ビニリデン樹脂 成分(2):下記の一般式Iにて表わされる半極性有機
    ホウ素高分子化合物の1種若しくは2種以上と、ヒドロ
    キシル基を少なくとも1個有する合計炭素数5〜82の三
    級アミンの1種若しくは2種以上との、ホウ素原子1個
    対塩基性窒素原子1個の割合の反応生成物である高分子
    電荷移動型結合体。 〔式中、qは0または1で、q=1の時、Aは−(X)
    a−(Y)b−(Z)c−基{但し、XおよびZは1個
    の末端エーテル残基をもつ炭素数合計100以下の含酸素
    炭化水素基、Yは (但し、Rは炭素数1〜82の炭化水素基)もしくは (但し、R′は炭素数2〜13の炭化水素基)であり、
    a、b、およびcはそれぞれ0または1である。}であ
    り、pは10〜1000である。〕
JP9615788A 1988-04-19 1988-04-19 帯電防止樹脂組成物 Expired - Lifetime JP2654078B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9615788A JP2654078B2 (ja) 1988-04-19 1988-04-19 帯電防止樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9615788A JP2654078B2 (ja) 1988-04-19 1988-04-19 帯電防止樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH01266153A JPH01266153A (ja) 1989-10-24
JP2654078B2 true JP2654078B2 (ja) 1997-09-17

Family

ID=14157523

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9615788A Expired - Lifetime JP2654078B2 (ja) 1988-04-19 1988-04-19 帯電防止樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2654078B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3978862B2 (ja) * 1998-04-14 2007-09-19 日本ゼオン株式会社 シート及びその製造方法
WO2006117982A1 (ja) * 2005-04-28 2006-11-09 National University Corporation NARA Institute of Science and Technology 蛍光色変換性組成物、該組成物を使用した蛍光色変換方法およびデバイス

Also Published As

Publication number Publication date
JPH01266153A (ja) 1989-10-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0257592B1 (en) Antistatic thermoplastic resin composition
KR101400694B1 (ko) 전기전도성이 우수한 열가소성 수지 조성물 및 성형품
JP2011079918A (ja) 安定して帯電防止性能を発現するドナー・アクセプターハイブリッド系内部練り込み型帯電防止剤
JP2573986B2 (ja) 永久帯電防止樹脂組成物
JP2654078B2 (ja) 帯電防止樹脂組成物
CN110054883A (zh) 一种长效耐水洗耐低温无色透明橡塑用液态抗静电剂及其制备方法
JPH048769A (ja) 帯電防止性及びイオン導伝性樹脂組成物
JPH03296565A (ja) 帯電防止性樹脂組成物
JP2588576B2 (ja) 帯電防止樹脂組成物
JP2599173B2 (ja) 帯電防止樹脂組成物
CN116023695A (zh) 一种离型膜及其制备方法
US10227426B2 (en) Antistatic polymers and methods of making the same
JPS60221442A (ja) 帯電防止剤
KR100716701B1 (ko) 전하 제어 부재
US5002991A (en) Permanent antistatic resin composition
US6169133B1 (en) Glycerol monostearate blends as antistats in polyolefins
CN115627060B (zh) 一种低湿度抗静电聚合物及其生产工艺
JPH10217379A (ja) 導電性積層フィルム
JPS642621B2 (ja)
EP2530115B1 (en) Antistatic compositions comprising a thermoplastic polyester and a mixture of antistatic additives
JPH06263949A (ja) フッ素樹脂フィルム
JP2003128806A (ja) 帯電防止能に優れたフィルム
JPH02229862A (ja) 帯電防止性熱可塑性樹脂組成物
JPH01185329A (ja) 永久型電荷漏洩剤
JPH1095081A (ja) 導電性積層フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term