JP2653721B2 - 光学顕微鏡用プラスチックスライド - Google Patents

光学顕微鏡用プラスチックスライド

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JP2653721B2 JP33736390A JP33736390A JP2653721B2 JP 2653721 B2 JP2653721 B2 JP 2653721B2 JP 33736390 A JP33736390 A JP 33736390A JP 33736390 A JP33736390 A JP 33736390A JP 2653721 B2 JP2653721 B2 JP 2653721B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は光学顕微鏡で試料を観察するとき試料の保持
用に使用するスライド及びカバーに関するもので、更に
詳しくはスライド及びカバーがプラスチックで一体に作
られたもので、主として液体試料の観察に使用するもの
である。
〔従来の技術〕
光学顕微鏡を使用するとき試料を保持するためのスラ
イド及びカバーは、従来はガラスが使用されていた。ガ
ラスの表面を加工して平面以外の形状にすることは相当
困難であるから、スライド及びカバーの表面は殆ど平面
状であった。従って、試料を一滴スライドの上に落とし
その上にカバーガラスを乗せて顕微鏡で観察するが、試
料の液相の厚さはその都度多少変わるため、これを一定
にするには煩雑な操作が必要であった。また、試料がカ
バーガラスの周囲に付着しているため、試料が指先に付
着することは避け難かった。
近年プラスチックの発達により、プラスチック製スラ
イドやカバーが作られるようになった。スライドとカバ
ーが一体成型されたものも市販されている。一体成型の
ため液相の厚さは一定となるが、厚さは80〜100μmで
非常に厚く、高倍率の観察には不適当であり、また液は
外部に漏れ易く、検鏡者の手に付着するような構造であ
る。また、カバーの外面に目盛線が入っているが、後述
の焦点深度との関係より明かなように、目盛線は試料と
共に観察することが出来ない。現在プラスチックのスラ
イドやカバーが医療機関等の検査に使用されているが、
主として予備的な検査に使用され、精密検査に使用出来
るようなものは見当たらない。また、実開平2-2711号公
報にはプラスチック製スライドの上に正方形に幅が狭い
溝が切ってあり、溝で囲まれた部分が試料を乗せて観察
する部分になっているスライドが開示されている。プラ
スチックのカバーは正方形の溝で囲まれた部分と周囲の
溝を全部カバー出来る大きさで、スライド面上に設けら
れたガイドによってスライド面に平行に移動出来るよう
になっている。
カバーを移動させてスライドの正方形の部分に滴下さ
れた試料を覆うと、カバーとスライドの間に液相部分が
形成され、余った試料は正方形の周囲の溝に落ちる。
この方式で一定の厚さの液相を形成させることは出来
るが、そのためカバーを指先で移動させる必要があるこ
と、またその際指先に試料が付着し易い欠点があった。
〔発明が解決しようとする課題〕
光学顕微鏡で液体試料を観察する場合、通常はスライ
ドガラス上に滴下した液滴を、カバーガラスで覆って観
察するが、この方法では液相の厚さを一定とすることが
困難である。カバーガラスを押さえ過ぎたため試料中の
細胞が破壊されることもある。また試料中の特定の対象
をカウントする場合は液相の厚さは一定とする必要があ
る。
しかし、液相の厚さを一定とすることはかなり煩雑
で、また、そのような操作をすれば指先に試料が付着す
ることは避け難かった。従って、簡単な操作で液相の厚
さが一定となり、指先に試料が全く付着しないような方
法の要望が大きい。
特に最近の医学検査等では、試料に肝炎その他有害な
ウィルス等が混入するおそれがあるため、スライドガラ
スより漏れた試料が検鏡者その他の人体に付着すること
がないようにすることが重要な課題となっている。
本発明はこれらの点を考慮して、極めて簡単な方法で
試料の液相の厚さを一定にすることが出来、且つ試料を
スライドガラスにセットするときも、その後の取扱時に
も外に漏れたり、直接人体に付着するおそれがない、光
学顕微鏡用のスライド及びカバーを提供しようとするも
のである。要すれば更に、特定対象物のカウントを容易
にするためスライドに目盛を設けて対象物と目盛を同時
に観察出来るようにしようとするものである。以下の説
明において、光学顕微鏡用プラスチックスライド及びカ
バーを便宜上プラスチックスライドと総称する。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者等は、スライド及びカバーを従来のガラスか
らプラスチックに変更することによって、ガラスでは困
難であった細かい形状をスライドに付与しうることに着
目し、スライドまたはカバーに付与しうる形態と機能の
関係について鋭意研究した結果、本発明に到達した。
すなわち、(1)光学顕微鏡の試料保持用セルがスラ
イド、カバー及び隔壁により形成されている構造におい
て、スライド及びカバーは透明なプラスチック板からな
り、隔壁はセルの左右を密封すると共にスライドとカバ
ーの間隔を一定に保持する機能を有し、セルの前部に試
料注入用の開口部、セルの後部に気体は流通するが液体
は通過し得ない微小な気体流通口を有することを特徴と
する光学顕微鏡用プラスチックスライド及び、(2)光
学顕微鏡の試料保持用スライド、カバー及び隔壁がプラ
スチックで1体に作られ、それらの内部に試料を保持す
るセルが形成されている構造において、カバーの前後方
向の長さはスライドより短く、セルの左右はスライドと
カバーの間が隔壁で閉塞され、カバーの前部及び後部の
縁に沿ってスライド上に溝が設けられ、スライドの前部
の溝とカバーの間隙が試料注入口となり、スライドの後
部の溝とカバーの間隙が気体流通口となり、上記左右の
隔壁と前後の溝により、区画された所定の間隔をもつ試
料保持用セルを有することを特徴とする光学顕微鏡用プ
ラスチックスライド及び(3)上記の構造において、カ
バーの前後方向の長さはスライドより狭く、セルの左右
はスライドとカバーの間が隔壁で閉塞され、スライドの
前部及び後部にはスライドとカバーの間隙が外部に向か
って次第に広くなるテーパーを有する部分が設けられ、
テーパー部分の外側にカバーの前部及び後部の縁に沿っ
てスライド上に溝が設けられ、スライドとカバーの先端
の間隙が気体流通口となり、上記左右の隔壁と前後のテ
ーパー部分により、区画された所定の間隔をもつ試料保
持用セルが形成され、更に前部の溝に通じる試料注入口
があり、スライドの前部及び後部の縁が堰となっている
ことを特徴とする光学顕微鏡用プラスチックスライドで
ある。
更に、カバーの少なくとも後部の縁に沿ってカバー側
に畝状凸部を設けてセルを形成し、カバーの前部に試料
注入口、後部に畝状凸部に気体流通口を備えたプラスチ
ックスライドである。或いはまた、スライドのセルの内
面側に凸状の目盛線を設けることも出来る。
以下本発明について詳しく説明する。
本発明において、光学顕微鏡の試料保持用のスライド
及びカバーはプラスチックとする必要がある。更に、特
許請求の範囲第2項以下の発明ではセルの隔壁もプラス
チックとする必要がある。プラスチックの種類は特に限
定しない。広範囲な素材が使用可能である。例えば熱可
塑性プラスチックとしては、ポリメチルメタアクリレー
ト樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポ
リスルホン樹脂、ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂、エ
チレンアクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレ
ン樹脂、ポリ4−メチルペンテン−1樹脂、ポリ塩化ビ
ニル樹脂等であり、熱硬化性プラスチックは、フェノー
ル樹脂、フラン樹脂等で、またこれらを適宜混合使用し
てもよい。
これらのプラスチックは、可塑剤を含むものもあるか
ら試料の性質を考慮して選択する必要があり、更に加熱
滅菌処理をする場合は耐熱性も考慮しなくてはならな
い。例えば、滅菌処理をする必要があるときはポリカー
ボネート、ポリスルホン、ポリ4−メチルペンテン−1
等の耐熱性が高いプラスチックが適当である。
スライド及びカバーに使用するプラスチックは透明性
が高い他、光学的等方性も高いものが好ましく、特に10
00倍またはそれ以上の高倍率で観察をする場合には重要
である。一般に、熱可塑性プラスチックは結晶性を有す
るものが多く、延伸により複屈折性を示すため、成型時
は複屈折性が生成せぬように注意する必要がある。
近年プラスチックレンズが発達し、透明性及び光学的
等方性が高いプラスチックが開発され、更に表面のコー
ティング処理により光の透過性を更に高めたものが使用
されている。
これらの光学用プラスチックの素材には、最近主とし
てアクリル系樹脂が使用されている。これらは本発明の
プラスチック原料としても極めて優れている。
また、スライドとカバーは同じプラスチック素材でも
よいし或いは異なった素材でもよい。
隔壁の材質は特に限定しないが、プラスチックを使用
して、スライドまたはカバーと一体成型すればスライド
とカバーの間隔を一定に保持することも容易となり好ま
しい。また接着性のストリップまたは接着剤を隔壁とす
ることも出来る。セルの上部の試料注入口の形状及び構
造は特に限定しない。試料は主として液体であるが、セ
ルに充填できるものならば広い範囲のものが使用でき
る。
セルの下部には、気体は流通するが液体は通過出来な
い微小な気体流通口が設けられている。本発明のプラス
チックスライド等は主として液体の検鏡用に使用され、
最も用途が多いのは医療機関の血液、細胞、尿等の検査
で、水、生理食塩水、エチレングリコール、ジメチルス
ルホシキド等の医療分野でもちいられる媒質で希釈して
使用される。流通口の孔径が5μmでは空気は流通する
が、それらの溶液は通過出来ず、孔径が10数μmになっ
ても溶液は殆ど通過しない。溶液とスライドの親水性、
疎水性の度合いによる付着力および凝集力の関係、その
他溶液の粘度等の物性によっては、約1mmになっても殆
ど漏れない場合もある。しかし、好ましくは500μm以
下、より好ましくは100μm以下である。従って、試料
をセルに注入するときセルの内部の空気は気体流通口を
通って外部に放出されセルの内部は試料に置換される
が、試料が外部へ漏れることを防止される。また流通口
はスリットその他溝または微孔構造等の形状でもよい。
最近の医療機関の検査で肝炎等の有害なウィルスの感
染を防ぐことが重要な課題となっている。
次に、本発明のプラスチックスライドの構造を図面に
よって説明する。
第1図は特許請求の範囲第2項に記載したプラスチッ
クスライド等の一態様の平面図であり、第2図はA−A
の断面図を、第3図はB−Bの断面図を拡大して示した
ものである。カバー2の幅はスライド1の前後の幅より
狭く(第3図)、スライドとカバーの間に形成されたセ
ル5(第2図)があり、ここに試料が注入される。セル
の左右は隔壁3によって閉塞されている。隔壁の間の帯
状の部分5はスライドとカバーの間隔が一定に保持さ
れ、この部分の透過光が顕微鏡で観察される。この部分
の厚さ、すなわちセルの液相の厚さは、数100倍以上の
高倍率で観察するときは焦点深度及び透過光の減衰を考
慮して10〜20μmが適当であるが、近年医療機関で多用
されている血液、尿、細胞等を200〜400倍で観察する場
合は40〜50μm程度の厚さが適当である。また観察部分
の面積は使用目的によって適宜選択されるが、10×10〜
18×18mm程度が多い。
またスライド及びカバーの厚さは顕微鏡のコンデンサ
ー及び対物レンズの性能とも密接な関連があるためJIS
規定され、その範囲はスライドは0.5〜1.5mm、カバーは
0.06〜0.25mmである。これらは使用条件に従って選択さ
れるが、最も多く使用されるカバーの厚さはJIS No.1−
Sで0.15〜0.18mmとされている。
カバー2の前後の縁に沿ってスライド上にそれぞれ溝
4及び6が設けられている。試料が溝4に注入されると
毛細管現象により、瞬間的にセル5に充満し、余剰分は
溝4及び6にたまって、試料は第3図の多数の点の集合
で示した状態となる。溝に試料がたまっているときは、
試料が少し蒸発しても毛細管現象により溝からセル5に
補給され、セルの内部で気泡が発生することは無い。従
って本発明のプラスチックスライド等を使用すれば極め
て容易に試料を調製することが出来る。尚7は狭いスリ
ットになっており、前述の微小な通気口の機能を有し、
試料を注入したとき内部の空気はここから放出される
が、液が溝に充満してもまたはスライドを傾けても試料
は殆ど外部に漏れ出さない。試験結果によれば、水系試
料の場合はその間隔は10〜20μm程度が適当である。試
料をセルに注入したとき、試料は第3図の多数の点の集
合で示した状態になっている。尚セル5の液相の厚さは
狭いため、この領域では試料は毛細管現象によって強い
力で保持されている。高倍率で観察するときは一般に試
料(液相)を薄くするため毛細管現象(スライド及びカ
バーへの液の付着力)によって液を保持する力は一層強
くなり、スライド1とカバー2の間隔を狭めるような力
が働く。更に高倍率で精密な観察をするときは、顕微鏡
の光学系の設計上薄いカバーが要求されている。カバー
の具体的な厚さは、顕微鏡及びメーカーによって多少異
なるが、1000倍では0.17mmと指定されている場合が多
い。この厚さではガラスのカバーでもある程度スライド
側に歪み、セルの中央部では液相が薄くなるが、プラス
チックの場合は尚更である。これについてはスライドの
目盛線のところで後述する。
セルに試料を注入したプラスチックスライドを、プレ
パラートとして保存する場合には、溝4及び6に溶融パ
ラフィンを流し込めば、容易にプレパラートを作成でき
る。
顕微鏡を使用する時は、セルの内部の試料とスライド
及びカバーの透過光が顕微鏡の光学系で拡大されて観察
される。従って、スライド及びカバーのこの部分は高い
光学的等方性及び平面性が要求される。しかし、現在は
金型の製作技術及びプラスチック成型技術が進歩してい
るためガラスに匹敵する成型物が得られるようになって
いる。
本発明のプラスチックスライドは一体として作成され
ているが、第2図及び第3図で示した断面より明らかな
ように、いわゆる一体成型をすることは出来ない。従っ
て、スライド部分及びカバー部分は別個に成型した後、
例えば、隔壁3とカバー2の間或いは隔壁3とスライド
1の間を超音波等で融着させるかまたはプラスチック接
着剤で接着する等の方法で一体に作成する必要がある。
本発明において、「一体として作られている」とはこの
ような構造を意味する。
実際にプラスチックスライドを作成する場合は、カバ
ーは広いシートを矩形に切断し、それ以外の部分(スラ
イド及び隔壁)は金型で一体成型して、カバー2と隔壁
3の間で融着または接着するのが最も効率的である。
第4図は特許請求の範囲第3項に記載したプラスチッ
クスライドの一態様の平面図であり、第5図はC−Cの
断面図を、第6図及び第7図はそれぞれD−D及びE−
Eの断面図を拡大して示したものである。これらの図中
に示したスライド1、カバー2、隔壁3、セル5及び溝
6の構造は上記の第1〜3図の説明と同じであり、また
セルの厚さと顕微鏡の観察倍率の関係、セルの観察部分
の面積、スライド及びカバーの厚さに関する説明、試料
が毛細管現象により、瞬間的にセルに充満する機能、ス
リット7の作用及びプラスチックスライドの作成方法に
関する記載も第1〜3図に関する説明と全く同じであ
る。
しかし、第4図のプラスチックスライドではセル5と
溝4及び6の間に外部に向かってスライドとカバーの間
隔が次第に広くなるテーパー部分8が設けられている。
ここで、テーパー部分の形は毛細管現象によって液をセ
ルの中心部へ吸引出来るような形状であれば、例えば、
ラッパのような形でもあるいはその他の形状でもよい。
また、スライドとカバーの前後の縁との間はそれぞれス
リット9及び7となっている。これは空気は流通する
が、液は通過させないためである。また、溝4に通じて
いる試料注入口10が設けられている。更にスライド1の
前後の縁は堰13となっている。
試料が試料注入口10に注入されると、溝4に入り、毛
細管現象により、瞬間的にセルの5の部分に充満され
る。その際セルの内部の空気はスリット7から外部に放
出される。試料14の注入量が適当であれば第6図の多数
の点の集合で示した状態でセル5の内部に保持されてい
る。この図より明らかなように液はセルの中心部へ吸引
されるように保持されているので、少量の試料が蒸発し
たときは毛細管現象によりテーパー8の部分からセル5
に試料が供給されるため、セルの内部に気泡の発生する
ことが無い。また試料の注入量が多少多くても少なくて
もセル5とテーパー8の部分に毛細管現象により保持さ
れているため漏れることがなく、スライドを傾けたとき
も外部に漏れ出すことがない。これは本発明の最も重要
な部分の一つである。
更に、何らかの理由で試料が外部に漏れ、スリット7
及び9と堰13の間に付着したときも、堰13のために外に
はこぼれない。従って、試料を取り扱う人が、堰13の外
側を持つようにすれば直接試料が身体に接触することが
ない。最近の医療機関の検査で肝炎等の有害なウィルス
の感染を防ぐことが重要な課題となっている。本発明の
プラスチックスライドを使用すれば、このような検査に
おいても、極めて簡単な方法でウィルスの感染を防ぐこ
とが出来る。これが本発明の利点の1つである。
更に、試料注入量が多く溝4及び6にもたまっている
ときは、試料注入口のみを塞げば外気に通じている部分
はスリット7及び9のみとなり、スリットは狭く空気は
流通しても液体は漏れ出さない。
本発明のスライドには、スライド1のセル側の面に凸
状の目盛線を設けることが出来る。目盛線の凸状の断面
及び稜線の形状はどのような形でもよい。目盛線の像が
シャープに観察出来るためには頂部の断面が鋭角で高さ
が一定になっている形状すなわち3角錐の形状が最も好
ましい。また目盛線はセルの一部だけでもまた全面に施
してもよい。また目盛線の配置は第8図に示した格子状
或いは、第9図に示した平行線が好ましいがその他の形
状でもよい。尚、頂部の断面が鋭角となった凸部で試料
の細胞膜等を損傷するおそれがあるときは頂部をカシメ
ておく必要がある。
更に顕微鏡の焦点深度は非常に浅いことも考慮する必
要がある。具体的には300倍で約5〜8μm、700倍で約
1.5〜2.5μm、1000倍では約0.9〜1μmと1μmまた
はそれ以下に低下している。換言すれば極く狭い範囲し
か見えないから、目盛線がシャープな一直線として観察
されるのは焦点が目盛線の頂部に合ったときのみであ
る。
目盛線の形状が上記のような3角錐であっても焦点が
その中腹に合ったときは2本の平行線になり、焦点が頂
部より上に合っているときは目盛線は観察できない。目
盛線の高さは通常の使用条件ではセルの厚さの3分の1
程度迄と考えられるから、半分以上は目盛線が観察出来
ない領域になる。そこで、第10図に示すように目盛線の
一部に円錐形の突起を設けその高さをスライドとカバー
の間隔に一致させれば、セルのどの部分に焦点を合わせ
ても目盛が観察出来る。例えば、スライド面の近くに焦
点が合ったときは顕微鏡の視野では第11図(a)のよう
に観察され、カバーの近くに焦点が合ったときは第11図
(b)のように観察される。従って、焦点を上下に移動
させてどの部分の試料を観察しても試料と鮮明な目盛を
同時に観察することが出来る。
従来品で、一体成型したプラスチックスライドにはセ
ルの外側に目盛を設けたものがあるが、目盛は顕微鏡の
視野では全く観察出来ない。これは上記の焦点深度と目
盛の位置との関係を考慮すれば自明である。本発明では
目盛線をセルの内面に設けたため、試料と共に鮮明に観
察できるのみでなく、目盛線を第10図のような形状にす
ることによって、焦点をセルのどの部分に合わせても目
盛と試料を同時に観察することが出来る。
先に第3図の説明において、セルに試料を注入すると
毛細管現象により、スライドとカバーの間隔を狭めるよ
うな力が働くため、カバーがセル側に湾曲し、プラスチ
ックカバーはガラスよりその度合いが一層大きいと述べ
た。第10図の目盛線の円錐状の突起の高さをセルの厚さ
と同一にし、頂部をカシメてカバーの湾曲を防止すれば
スライドとカバーを常に平行に保持することができる。
尚、セルの内面に畝状に突出した部分を設けること
は、ガラスでは非常に困難で、また高価になるため実用
的でない。またガラスに溝形の目盛線を刻むことは比較
的容易であるが、焦点深度の関係で目盛が有効に利用出
来ないことは上記の通りである。しかし、プラスチック
は一度金型をそのように加工すれば、多量に成型品を複
製することが容易である。従って、第10図のような複雑
な形状の目盛線を設けたスライドは、プラスチックの特
性を最も良く利用した構造と言うことが出来る。
第13図及び第14図は凸形で断面が三角形、線の間隔が
0.3mm、幅が19μm、高さ11μmの直交した目盛線を有
するスライドを使用し、血液を生理食塩水で希釈して赤
血球を顕微鏡で撮影し、2倍に引き延ばして、200及び3
20倍にした写真のモデル図であり、11は目盛線、17は赤
血球を示す。これより、赤血球と目盛線が共に鮮明に観
察することが出来、赤血球の計数等が容易となることが
認められる。更に、目盛線の高さが11μmあるため、焦
点を移動して観察したときも目盛線を鮮明に観察するこ
とが出来る。
更に、本発明では着色したプラスチックを使用するこ
とも出来る。試料の性質及び観察目的によってはしばし
ばフィルターを通して観察することが必要となる。例え
ば、細胞の観察では緑色フィルターがよく使用される。
予め着色したプラスチックスライドを使用すればフィル
ターを使用する必要がない。
ガラスのスライドにフィルターと同様な機能を持たせ
るため着色することは可能であるが、非常に高価となる
ため着色されたスライドが使用されることは殆ど無い。
しかし、プラスチックの着色は極めて容易であり、また
安価である。
本発明のプラスチックスライドは1個のスライドの上
に1個のセルを設けることも出来るし、また2個以上多
数のセルを設けることも出来る。最近医療機関等では多
数の顕微鏡検査がなされているので、1個のスライド上
に多数のセルを設ければ、検査の能率を大幅に向上させ
ることが出来る。
特許請求の範囲第4項に記載した態様においては、少
なくとも後部には、スライドとカバーの間隙を封止する
ため、畝状凸部を設ける必要がある。この凸部はカバー
側に設けてもよく、スライド側に設けてもよい。本態様
においては、特許請求の範囲第2項及び第3項に記載し
た態様とは逆にスライド側の構造付与を極小とし、カバ
ー側に多くの構造を付与するものである。隔壁と畝状凸
部は密着して、試料が漏れない構造となっている。ま
た、この畝状凸部は後部の他前部にも設けることが出来
る。
第15図は畝状凸部をスライドの後部の他前部にも設け
た態様の平面図であり、第16図はA−Aの断面図を示し
たものであり、第17図及び第18図はB−B及びC−Cを
拡大した断面図である。隔壁3及び畝状凸部15の交点は
何れか一方に切欠を作ってはめ合わせるか、または畝状
凸部が隔壁の間隔に合わせた長さとするか、或いは、一
方に可塑性材料を使用してスライドとカバーを組み合わ
せたとき変形して密封するように作られたもので、この
目的に適合する材料ならば広範囲に使用できる。また試
料注入口10とセル5の間の畝状凸部には切欠がもうけら
れ、試料はセルに注入される。また後部の畝状凸部には
微小な気体流通口16が設けられ、試料をセルに注入した
とき内部の空気は放出されるが、試料は外部に漏れ出さ
ない。流通口の間隙の具体的な大きさと機能については
既に述べた通りである。
〔発明の効果〕
本発明のプラスチックスライドを使用すれば極めて簡
単な操作で、観察する試料(液相)の厚さを一定にする
ことが出来る。且つ試料は表面張力によってスライドと
カバーの間に保持されるために外部に漏れるおそれが無
い。
最近医療機関では日常多数の顕微鏡検査がなされ、そ
の際、肝炎のウィルス等の感染防止が重要な課題となっ
ている。本発明のスライドは漏れた試料が検鏡者その他
の人体に直接付着するおそれがなく、またプラスチック
製であるから危険物を含んだ試料は使用後スライドと共
に焼却することが出来る。従って、このような用途には
特に適している。従来、顕微鏡使用中にカバーガラスで
しばしば指先を損傷したことを考慮すれば尚更である。
またスライドのセル側の面に凸状で断面が鋭角三角形
であり、稜線に第10図のような円錐状の突起を有する目
盛線を設けることにより、焦点をどこに合わせたときも
試料と目盛を同時に観察することが出来る。
更に、プラスチックスライドに着色することにより、
フィルターを使用する必要がなく、また一枚のスライド
上に多数のセルを設けることにより、検査能率を大幅に
向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のプラスチックスライドの一態様の平面
図であり、第2図はA−Aの断面図を、第3図はB−B
の断面図を拡大して示したものである。 第4図は本発明のプラスチックスライドの一態様の平面
図であり、第5図はC−Cの断面図を、第6図及び第7
図は、それぞれ、D−D及びE−Eにおける断面図を拡
大して示したものである。 第8図及び第9図はスライド上のセル側の面に設けられ
た目盛線の平面図を示す。第10図は一本の目盛線の一部
の正面図及び平面図を示した。第11図(a)は第8図の
目盛線が第10図のような形状を有するときに、セルのス
ライド面に近い部分(目盛線の凸部の陵線に焦点を合わ
せる)を顕微鏡で観察した視野の像を示したものであ
り、第11図(b)はカバーの近くの部分の視野の像を示
したものである。 第12図は一枚のスライド上に多数のセルを設けた場合の
スライド等の平面図を示す。 第13図及び第14図は凸形で断面が三角形の目盛線を有す
るスライドを使用し、生理食塩水で希釈した血液の赤血
球を顕微鏡で撮影して2倍に引き延ばし、それぞれ200
及び320倍になっている赤血球及び目盛線の写真のモデ
ル図である。 第15図は特許請求の範囲第4項に記載したプラスチック
スライド等の一態様の平面図であり、第16図はA−Aの
断面図を、第17図及び第18図はB−B及びC−Cの拡大
した断面図を示す。 1……プラスチックスライド 2……プラスチックカバー 3……セルの隔壁 4、6……セルの溝 5……セル 7、9……スライドとカバーの間のスリット 8……スライドとカバーの間のテーパー部分 10……試料注入口 11……目盛線 12……顕微鏡で見える目盛線の像 13……堰 14……試料 15……畝状凸部 16……気体流通口 17……赤血球

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光学顕微鏡の試料保持用セルがスライド、
    カバー及び隔壁により形成されている構造において、ス
    ライド及びカバーは透明なプラスチック板からなり、隔
    壁はセルの左右を密封すると共にスライドとカバーの間
    隔を一定に保持する機能を有し、セルの前部に試料注入
    用の開口部、セルの後部に気体は流通するが液体は通過
    し得ない微小な気体流通口を有することを特徴とする光
    学顕微鏡用プラスチックスライド。
  2. 【請求項2】光学顕微鏡の試料保持用スライド、カバー
    及び隔壁がプラスチックで1体に作られ、それらの内部
    に試料を保持するセルが形成されている構造において、
    カバーの前後方向の長さはスライドより短く、セルの左
    右はスライドとカバーの間が隔壁で閉塞され、カバーの
    前部及び後部の縁に沿ってスライド上に溝が設けられ、
    スライドの前部の溝とカバーの間隙が試料注入口とな
    り、スライドの後部の溝とカバーの間隙が気体流通口と
    なり、上記左右の隔壁と前後の溝により、区画された所
    定の間隔をもつ試料保持用セルを有することを特徴とす
    る光学顕微鏡用プラスチックスライド。
  3. 【請求項3】光学顕微鏡の試料保持用スライド、カバー
    及び隔壁がプラスチックで1体に作られ、それらの内部
    に試料を保持するセルが形成されている構造において、
    カバーの前後方向の長さはスライドより短く、セルの左
    右はスライドとカバーの間が隔壁で閉塞され、スライド
    の前部及び後部にはスライドとカバーの間隙が外部に向
    かって次第に広くなるテーパーを有する部分が設けら
    れ、テーパー部分の外側にカバーの前部及び後部の縁に
    沿ってスライド上に溝が設けられ、スライドとカバーの
    先端の間隙が気体流通口となり、上記左右の隔壁と前後
    のテーパー部分により、区画された所定の間隔をもつ試
    料保持用セルが形成され、更に前部の溝に通じる試料注
    入口があり、スライドの前部及び後部の縁が堰となって
    いることを特徴とする光学顕微鏡用プラスチックスライ
    ド。
  4. 【請求項4】光学顕微鏡の試料保持用スライド、カバー
    及び隔壁がプラスチックで1体に作られ、それらの内部
    に試料を保持するセルが形成されている構造において、
    カバーの前後方向の長さはスライドより短く、セルの左
    右はスライドとカバーの間が隔壁で閉塞され、カバーの
    少なくとも後部にはスライドとの間隙を封止する畝状凸
    部が設けられ、左右の隔壁と畝状凸部の間は密封され、
    上記左右の隔壁と畝状凸部により、区画された所定の間
    隔をもつ試料保持用セルが形成され、更にカバーの前部
    に試料注入口を設け、後部の畝状凸部には気体は流通す
    るが液体は通過し得ない微小な気体流通口を設けること
    を特徴とする光学顕微鏡用プラスチックスライド。
  5. 【請求項5】スライドのセル側の面に凸状の目盛線が設
    けられている、特許請求の範囲第1項、第2項及び第3
    項記載の光学顕微鏡用プラスチックスライド。
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