JP2647689B2 - 新規アセチルポリアミンアミドヒドロラーゼ - Google Patents

新規アセチルポリアミンアミドヒドロラーゼ

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JP2647689B2 JP63159751A JP15975188A JP2647689B2 JP 2647689 B2 JP2647689 B2 JP 2647689B2 JP 63159751 A JP63159751 A JP 63159751A JP 15975188 A JP15975188 A JP 15975188A JP 2647689 B2 JP2647689 B2 JP 2647689B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は新規な酵素であるアセチルポリアミンアミド
ヒドロラーゼおよびその製造法ならびにアセチルポリア
ミンの定量法に関する。
ポリアミンはプトレシン,カダベリン,スペルミジ
ン,スペルミンから成る塩基性物質で生体内に広く存在
する。1971年にラッセルが癌患者の尿中にポリアミンが
異常に多いことを報告(Cancer Res.,31,1555,1971
年)して以来ポリアミンの検出は癌の診断のための手段
として注目されている。ポリアミンの定量は癌の補助診
断や抗癌剤などの治療の効果のモニタリングとして有用
である。
従来技術 従来、ポリアミンの定量法としては電気泳動法、ダン
シル化薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィ
ー、高速液体クロマトグラフィー、アミノ酸分析計によ
る方法などがあるが、尿中のポリアミンを定量する際に
は大部分がアセチル体で存在するのでアセチルポリアミ
ンを塩酸加水分解して全ポリアミンとして測定しなけれ
ばならない。このような前処理は操作が繁雑である上、
迅速性に欠ける。近年、アセチルポリアミンを加水分解
する酵素、アセチルポリアミンアミドヒドロラーゼがス
トレプトミセス・アベラニウス(Streptomyces avellan
ius)(特開昭56−144088)、アースロバクター種(Art
hrobacter sp.)(特開昭60−43380)、ミクロコッカス
・ルテウス(Micrococcus luteus)(特開昭60−9898
2)より見い出されている。
発明が解決しようとする課題 酵素を用いる方法は塩酸加水分解法に比べ操作が容易
である。従来知られている酵素はアセチルプトレシンに
特異的で他のアセチルポリアミンには微弱にしか作用し
ない。尿中のポリアミンはアセチルプトレシン以外にア
セチルペルミジン、アセチルカダベリン等も多く含まれ
ているので、これらの基質をもよく加水分解する酵素が
求められている。
課題を解決するための手段 多くのアセチルポリアミンに作用するアセチルポリア
ミンアミドヒドロラーゼを探索した結果、ミコプラナ属
に属する微生物が目的とする酵素を生産することが見い
出された。該酵素は、公知のポリアミンアミドヒドロラ
ーゼとは多くの異なった性質を有し、特に基質特異性に
おいて明確に区別される新規な酵素であると認められ
た。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の新規アセチルポリアミンアミドヒドロラーゼ
(以下、本酵素ともいう)はアセチルプトレシン,アセ
チルカダベリン,アセチルスペルミジン,アセチルスペ
ルミンに特異的に作用して、これらのアセチルポリアミ
ンのアミド結合の加水分解を触媒する。アセチルスペル
ミジンにはN1−アセチルスペルミジンとN8−アセチルス
ペルミジンがあり、本酵素は両者に作用する。
本酵素は上記の特徴を有する酵素の部分精製品と精製
品の両方を含む。
後述の実施例2で得られた部分精製品の理化学的性質
を以下に示す。
活性測定法 本酵素の部分精製品の活性測定は以下のように行う。
すなわち、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)1.5ml、50mM各ア
セチルポリアミン0.05ml、プトレシンオキシダーゼ(ア
セチルプトレシン、アセチルカダベリンまたはアセチル
スペルミジンが基質の場合)またはポリアミンオキシダ
ーゼ(アセチルスペルミジンまたはアセチルスペルミン
が基質の場合)0.4U、2.4mM 4−アミノアンチピリン
0.5ml、42mMフェノール0.5ml、パーオキシダーゼ20Uを
含む試薬液に酵素溶液0.1mlを加え、37℃で反応後、生
成するキノンイミン色素の500nmでの吸光度を測定する
ことによって行われる。
酵素活性は1分間に1μmoleの基質を加水分解する酵
素量を1単位(1U)とする。ただし、基質がアセチルス
ペルミンの場合、基質1モルからポリアミンオキシダー
ゼにより2モルのH2O2が生成し、基質がアセチルスペル
ミジンの場合、基質1モルからプトレシンオキシダーゼ
により2モルのH2O2が生成するので酵素活性を求める場
合基質1モルを加水分解する量に換算する必要がある。
(1) 基質特異性 pH7.0の条件下におけるアセチルプトレシンに対する
活性を100とするとき、それぞれのアセチルポリアミン
に対する活性割合は第1表に示される。
(2) 至適pH pH6から10までビストリスプロパン緩衝液を用いて活
性を求め、至適pHを調べたところ、第1図に示すように
アセチルプトレシンとアセチルカダベリンは9,N1−アセ
チルスペルミジン、N8−アセチルスペルミジン、アセチ
ルスペルミンは8であった。
(3) 安定性 pH安定性 本酵素を各pH(pH3〜6はクエン酸緩衝液、pH6〜8は
リン酸緩衝液、pH8〜10はビストリスプロパン緩衝液、p
H10〜12はホウ酸・塩化カリ緩衝液)にて37℃、30分処
理した後、基質としてアセチルプトレシンを用いて残存
活性を測定した。その結果は第2図に示す通りでpH6〜1
2の範囲で安定であった。
熱安定性 本酵素の熱安定性を調べるため、pH7.0のリン酸緩衝
液で各温度に30分間保った後、基質としてアセチルプト
レシンを用いて残存活性を測定した。その結果は第3図
に示す通りであり、45℃まで安定であった。
第2表から、本酵素は公知の酵素と比べてpHおよび熱
の両方において安定性が良い。
(4) 至適温度 アセチルプトレシンを基質として用いて測定した本酵
素の作用至適温度は第4図に示され、50℃付近である。
なお、他のアセチルポリアミンアミドヒドロラーゼの至
適温度は30〜40℃で本酵素は公知の酵素と区別される。
(5) 阻害剤および金属イオンの影響 アセチルプトレシンを基質として用い本酵素および従
来知られている酵素の阻害剤、金属イオンの影響を調べ
た結果を第3表に示す。
第3表からもわかるように従来公知の酵素は亜鉛、ニ
ッケルで強く阻害されるが、本酵素はほとんど阻害され
ない。
(6) Km値 pH7.0の条件下、本酵素のアセチルポリアミンに対す
るKm値をラインウィーバーバーク・プロット(Lineweav
er−Burk plot)〔ジャーナル・オブ・アメリカン・ケ
ミカル・ソサイヤティー(J.Am.Chem.Soc.),56,658
(1934)〕により求めた。その結果は第4表に示す通り
である。
第4表から本酵素のKm値は公知の酵素に比べ小さく、
エンドポイント法〔酵素分析法−その原理と応用−清水
祥−ら著、p.44,1977年出版講談社サイエンティフィ
ク〕によるアセチルポリアミンの定量用酵素として適し
ていることがわかる。
(7) 分子量 HPLC Superose 12(ファルマシア・ファイン・ケミカ
ル社製)を用いたゲル過により求めた本酵素の分子量
は44,000であった。
次に、後述の実施例6で得られた本酵素精製品の理化
学的性質を以下に示す。
本酵素精製品の活性測定は以下の方法に準じて行っ
た。
〔方法の1〕 アセチルポリアミンアミドヒドロラーゼの標準的な酵
素活性の測定は、アセチルプトレシンを基質とし、酵素
により生成するプトレシンを、プトレシン・オキシダー
ゼによって酸化せしめ、その際生成する過酸化水素を西
洋ワサビペルオキシダーゼの存在下、フェノール及び4
−アミノアンチピリンを酸化的に縮合させることにより
生ずるキノンイミン色素の500nmにおける吸光度の増加
速度を、分光光度計で測定することにより行う。
反応式は次式(1),(2),(3)で示される。
イ)試 薬 基 質:50mM アセチルプトレシン水溶液 0.05ml 緩衝液:100mMホウ酸緩衝液(pH10.0) (100mM KClを含む) 0.5 ml 4−アミノアンチピリン:2.4mM水溶液 0.5 ml フェノール:42mM水溶液 0.5 ml 西洋ワサビペルオキシダーゼ:200U/ml50mMリン酸緩衝
液溶液(pH7.5) 0.1 ml プトレシン・オキシダーゼ:20U/ml50mMリン酸緩衝液
溶液(pH7.5) 0.05ml 蒸留水 1.2 ml 本酵素溶液 0.1 ml ロ)操 作 上記試薬〜をキュベット(d=1.0cm)にとり37
℃,2分間予備加温する。ついで基質溶液を加えて37℃
で500nmの吸光度を3〜5分間記録し、直線部分から1
分間当りの吸光度の変化を求める(ΔOD sample)。こ
のとき対照側のキュベットにはの酵素溶液の代わりに
蒸留水を入れたものを置き同様の操作を行う。
ハ)力価の計算法 アセチルポリアミンアミドヒドロラーゼの1単位は37
℃で1分間に1μmoleのアセチルプトレシンを加水分解
する(又は上記の酵素活性の測定法において0.5μmole
のキノンイミン色素を生成する)酵素量と定義する。
一方、0.5mMのキノンイミンの吸光係数は5.33と報告
されている〔クリニカル・ケミストリー(Clin.Chem.)
20/4,470−475(1974)〕から求める酵素溶液1ml当りの
力価(A)は (A)=ΔOD sample×3÷(5.33×0.1) =ΔOD samp1e×5.63(unit/ml) より求められる。
〔方法の2〕 アセチルプトレシン,アセチルカダベリン,N1−アセ
チルスペルミジン,N8−アセチルスペルミジンが基質で
ある場合: 〔方法の1〕において記したようにアセチルポリアミ
ンがアセチルポリアミンアミドヒドロラーゼによって加
水分解されることにより生ずる遊離のポリアミンは、プ
トレシンオキシダーゼによって酸化することができる。
ミクロコッカス・ルーベンス(Micrococcus rubens)由
来のプトレシンオキシダーゼは、プトレシン,カダベリ
ン,スペルミジンに対して広汎な活性を有する〔足立
ら、アグリカルチュラル・バイオロジカル・ケミストリ
ー(Agric.Biol.Chem.)30巻,1202頁(1966)〕ことが
知られている。このプトレシンオキシダーゼは、遊離の
ポリアミンに対し特異的に作用し、1分子の過酸化水素
を生成することが知られているのでアセチルポリアミン
アミドヒドロラーゼにより生成した遊離のポリアミンを
選択的に定量することが可能である。具体的には以下の
ようにして行う。
イ)試 薬 基 質:50,25,12.5,6.25,3.125mM アセチルプトレシ
ン水溶液 0.1ml 又は同濃度のアセチルカダベリン,N1−アセチルスペ
ルミジン,N8−アセチルスペルミジン水溶液 緩衝液:100mMリン酸緩衝液(pH9.0) 1.5ml 4−アミノアンチピリン:2.4mM水溶液 0.5ml フェノール:42mM水溶液 0.5ml 西洋ワサビペルオキシダーゼ:200U/ml50mMリン酸緩衝
液溶液(pH7.5) 0.1ml プトレシン・オキシダーゼ:27U/ml50mMリン酸緩衝液
溶液(pH7.5) 0.1ml 蒸留水 0.1ml 本酵素溶液 0.1ml ロ)操 作 上記試薬〜をキュベット(d=1.0cm)にとり37
℃,2分間予備加温する。ついで基質溶液を加えて37℃
で500nmの吸光度を3〜5分間記録し、直線部分から1
分間当りの吸光度の変化を求める(ΔOD sample)。こ
のとき対照側のキュベットにはの酵素溶液の代わりに
蒸留水を入れたものを置き同様の操作を行う。
ハ)力価の計算法 アセチルポリアミンアミドヒドロラーゼの1単位は37
℃で1分間に1μmoleのアセチルポリアミンを加水分解
する(又は上記の酵素活性の測定法において0.5μmole
のキノンイミン色素を生成する)酵素量と定義する。
一方、0.5mMのキノンイミンの吸光係数は5.33と報告
されているから求める酵素溶液1ml当りの力価(A)は (A)=ΔOD sample×3÷(5.33×0.1) =ΔOD sample×5.63(unit/ml) より求められる。
〔方法の3〕 アセチルスペルミンが基質である場合: アセチルスペルミンがアセチルポリアミンアミドヒド
ロラーゼにより加水分解されることにより生ずる遊離の
スペルミンは、アスペルギルス・テレウス(Aspergillu
s terreus)由来のポリアミンオキシダーゼによって酸
化され、スペルミン1モルから2モルの過酸化水素を生
成する。従って前述の方法により、生成した過酸化水素
を定量することより酵素活性を測定することができる。
しかしながら本ポリアミンオキシダーゼはアセチルスペ
ルミンに対しても作用性を有するために、標準的な酵素
活性の測定法では正確なアセチルポリアミンアミドヒド
ロラーゼの活性を定量することが不可能である。それゆ
え、アセチルポリアミンアミドヒドロラーゼのアセチル
スペルミンに対する酵素活性の定量は反応液中のアセチ
ルスペルミンと遊離のスペルミンを高速液体クロマトグ
ラフィーによって分離し、後者のみを含む画分にポリア
ミンオキシダーゼを作用させ、生成する過酸化水素を前
述の方法によって定量することで行うことができる。
具体的には以下のようにして行う。
イ)試 薬(酵素反応用) 基 質:50,25,12.5,6.25,3.125mM アセチルスペルミ
ン水溶液 5μ 緩衝液:100mMリン酸緩衝液(pH9.0) 75μ 本酵素溶液: 10μ 蒸留水: 60μ 反応停止液:20%(W/V)トリクロロ酢酸水溶液30μ ロ)試 薬(酵素活性定量用) 緩衝液:0.5M リン酸緩衝液(pH6.0) 0.3 ml 0.5%(W/V)トリトンX−100水溶液 2.31ml 42mM フェノール水溶液 80μ 0.5%(W/V)ビス−〔3−ビス(4−クロロフェニ
ル)メチル−4−ジメチル−アミノフェニル〕アミン水
溶液 6μ ポリアミンオキシダーゼ:250U/ml 4μ 西洋ワサビペルオキシダーゼ:200U/ml 0.1 ml ハ)試 薬(高速液体クロマトグラフィー用) 溶出液A:1の蒸留水に0.1Mの酢酸ナトリウムを溶か
し氷酢酸によってpHを4.5に調整後10mMの濃度になるよ
うに1−オクタンスルホン酸ナトリウムを加える。
溶出液B:1の蒸留水に0.2Mの酢酸ナトリウムを溶か
し氷酢酸によってpH4.5に調整後、1.0mMの濃度になるよ
うに1−オクタンスルホン酸ナトリウムを加える。この
ものに300mlのアセトニトリルを加え混合する。
ニ)使用機器 高速液体クロマトグラフィー用カラム:マイクロボン
ダパック〔ウォーターズ(Waters)社製〕C18,φ3.9mm
×300mm 同プレカラム:ガードパックマイクロボンダパック
〔ウォーターズ(Waters)社製〕C18 ポンプ:880−PU型2台による高圧ミキシングシステム
(日本分光社製) 恒温槽:860−30型(日本分光社製) サンプルインジェクター:ループインジェクター(容
量100μ) フラクションコレクター:FC−203型〔ギルソン(Gils
on)社製〕 ホ)高速液体クロマトグラフィーによるアセチル体スペ
ルミンと遊離体スペルミンの分離方法: 溶出温度を35℃とし流量を90ml/hrとして、まず6分
間溶出液Aでカラム及びプレカラムを平衡化する。サン
プル100μを添加し、溶出液Bによりリニアグラジエ
ント溶出(1分間あたり2%の溶出液Bの増加率で30
分、ついで4%の増加率で15分)を行うことによりアセ
チル体及び遊離体のスペルミンを分離する。溶出液を各
0.75mlずつ試験管に分取する。
ヘ)操 作 イ)に述べた試薬〜を試験管にとり、37℃で2分
間予備加温する。ついで基質溶液を加えて37℃で10分
間反応を行った後、反応停止溶液を加えて反応を停止
させる。このものより100μをとり、先に述べた方法
に従い高速液体クロマトグラフィーによってアセチル体
と遊離体スペルミンの分離を行う。一般にアセチル体は
溶出開始後38分の位置に、遊離体は41分の位置に溶出さ
れる。遊離体を含む分取液より200μをとり、ロ)に
述べた試薬〜とキュベット中で混合し、37℃,10分
間反応させた後、755nmにおける吸光度を測定する。こ
のとき、対照側のキュベット中に200μの溶出液Aを
サンプルの代わりに入れたものにつき同様な操作を行
う。
ト)力価の計算法 反応液中に存在する遊離体スペルミンの濃度は予め、
種々の濃度の遊離体スペルミンの水溶液を用いて作成し
ておいたスペルミンの検量曲線から知ることができる。
反応液150μ中の遊離体スペルミン濃度をP(mM)と
すると、酵素溶液1ml当りの力価(A)は、 (A)=P×0.15×(1÷0.01)÷10 =P×1.5(unit/1ml) より求められる。上記ロ),ハ),ニ)についてはセイ
ラーらの方法〔N.Seiler,et al.,ジャーナル・オブ・
クロマトグラフィー(J.Chromatogr.),221,227(198
0)〕に従った。
1. 基質特異性 リン酸緩衝液(pH9.0)中、基質濃度0.833mMの条件下
におけるアセチルプトレシン,アセチルカダベリン,N1
−アセチルスペルミジンおよびN8−アセチルペルミジン
に対する活性を〔方法の2〕により、またアセチルスペ
ルミンに対する活性を〔方法の3〕により測定した。ア
セチルプトレシンに対する活性を100とするとき、それ
ぞれのアセチルポリアミンに対する相対活性を第5表に
示した。さらにKm値をラインウィーバーバーグ・プロッ
トにより求めた。
対照として、ストレプトマイセス・アベラニウス由来
のアセチルポリアミンアミドヒドロラーゼについて報告
されている数値をのせた。
第5表に見るように、本酵素は広汎な基質に対して作
用し、Km値も10-4〜10-5Mのオーダーである。一方、ス
トレプトマイセス・アベラニウス由来のアセチルポリア
ミンアミドヒドロラーゼは、アセチルプトレシンに対し
て作用するが、他の基質、特にアセチルスペルミンに対
しての作用が弱く、Km値も約10倍大きい。
2. 至適pHと至適温度 アセチルプトレシン,アセチルカダベリンおよびアセチ
ルスペルミジンを基質とした場合: 反応pHの活性に及ぼす影響については、pH7から9ま
ではリン酸緩衝液を、pH8から12まではホウ酸緩衝液を
用い、各pHの緩衝液中、37℃で反応させることによって
行った。活性の検出は、〔方法の2〕に記した手順に準
じて行った。各基質濃度は0.833mMにて、またプトレシ
ンオキシダーゼの添加量をpH、基質に応じ1U〜8Uの間で
変化させた。
反応温度の活性に及ぼす影響の検討のために、50mMホ
ウ酸緩衝液(pH8.5)中にて10,20,30,40,50,60および70
℃の各温度にて反応開始後5分間における活性を定量し
た。活性の検出については前出の方法に準じ、添加プト
レシンオキシダーゼは1U〜48Uの間で変化させた。
アセチルスペルミンを基質とした場合: 反応pHおよび反応温度についての条件は前出と同じに
し、活性の検出については〔方法の3〕に記した手順に
準じた。
至適pH アセチルプトレシン,N1−アセチルスペルミジンおよ
びN8−アセチルスペルミジンに対しては、pH9であり、
アセチルカダベリンに対してはpH8付近にあった。アセ
チルスペルミンの至適pHは10であった。
至適温度 いずれのアセチルポリアミンに対しても、60℃が最適
温度であった。
3. pH,温度による安定性の影響 アセチルプトレシンを基質として、0℃におけるリン
酸緩衝液およびトリス−塩酸緩衝液の各pH中でインキュ
ベートし、一定日数後、酵素液の一部分を取り〔方法の
1〕によって残存活性を測定することにより、pHが酵素
の安定性に及ぼす影響について検討した。
アセチルプトレシンを基質として、50または60℃にお
けるトリス−塩酸緩衝液(pH9.0)でインキュベート
し、一定時間後、酵素液の一部を取り〔方法の1〕によ
って残存活性を測定することにより、温度が酵素の安定
性に及ぼす影響について検討した。
pH安定性 第9図に示すように本酵素はpH6−9の範囲で安定で
あり、特にトリス−塩酸緩衝液中ではpH7以上で2週間
保存しても失活しなかった。しかしながらリン酸緩衝液
中においては比較的不安定であり、特にpH5以下で急速
に失活した。
温度安定性 第10図に示すとおり、50℃では2時間以上安定であ
り、また60℃では1時間のインキュベーション後でも55
%の活性が残存していた。これらのことより本酵素が熱
に安定な酵素であることがわかった。
4. 分子量 以下の条件の高速液体クロマトグラフィーによるゲル
過により、本酵素の未変性状態における分子量を求め
たところ、67,000であった。これは後述の実施例6で求
めた沈降係数S20,W=5.27Sにほぼ見合う値と考えられ
た。一方、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動によ
り求めた分子量の値は、36,000であり、このことより本
酵素が分子量36,000のサブユニット2個からなるダイマ
ー構造をとっていることが示唆された。
使用カラム TSK G2000SM(東洋曹達社製) ポ ン プ 880−PU(日本分光社製) 検 知 器 875−UV(280nm)(日本分光社製) ループインジェクター 20μ容量 流 量 0.25ml/min 温 度 室温 溶出液組成 0.05M トリス−塩酸緩衝液(pH7.0)に0.
3MのNaClを含む。
標準蛋白質 チトクロームC(12.4K),アデニレート
キナーゼ(32K),エノラーゼ(67K),ラクテート
デヒドロゲナーゼ(142K),グルタメイト デヒドロゲ
ナーゼ(290K)(いずれもオリエンタル酵母工業社製) 5. 本酵素中の金属含量 日立偏光ゼーマン原子吸光分光光度計 Z−8000型
(日製産業社から購入)を用いて、本酵素精製品中の金
属含量を測定した(原子吸光法)。Znについてはフレー
ム法(最新原子吸光分析,不破敬一郎ら編、p.17〜282
およびp.607〜609,1980年出版,廣川書店)により、Mn
およびCuについてはグラファイトアトマイザー法(ibi
d.,p.283〜326,585〜590および720〜741)にて測定を行
った。結果を第6表にまとめた。本酵素はこれに見るよ
うにサブユニット1個あたり1個のZn原子を含んでい
る。
6. 酵素活性に及ぼす各種化合物の影響 本酵素を含む50mM,pH7.0のトリス−塩酸緩衝液中に各
種化合物を0.1mMまたは1.0mMの濃度で添加し、37℃,10
分間インキュベート後、一部分を取って〔方法の1〕に
よって残存活性を測定した。結果を第7表に示す。
第7表からわかるように、本酵素はPMSF,CMBによっ
て軽微に阻害される。また8−オキシキノリンにより強
力に阻害される。このことは8−オキシキノリンが強い
金属キレーターであることより本酵素に含まれるZnがキ
レートされることが阻害の原因と思われる。一方、EDT
A,−フェナンスロリンによっては阻害されないことか
ら、本酵素のZnは強く蛋白部分と結合していることが示
唆される。またAg,MgおよびZnにより阻害される。特にZ
nによる阻害が最も強力である。
7. 等電点 ベスターバーグらの方法〔オー・ベスターバーグ(O.
Vesterberg)とエイチ・スベンソン(H.Svensson),ア
クタ・ケミカ・スカンディナビカ(Acta Chem.Scan
d.),20,820(1966)〕に従い、焦点電気泳動をさせた
ところ、本酵素の等電点はpH4.56にあった。
8. 吸収スペクトル 日立分光光度計228型(日製産業社から購入)によ
り、精製蛋白を分析した。本酵素は、280nmに単一の極
大吸収を持つことから、有色の補欠分子族を有するとは
考えられない。
9. N末アミノ酸配列 470A型気相シークエンサー〔アプライド・バイオシス
テムズ(Applied Biosystems)社製〕により、蛋白試料
をエドマン分解後、PTH(フェニール チオ ヒダント
イン)アミノ酸をPTHアナライザー120A〔アプライド
バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製〕で自動
分析を行った。カラムは、C18〔φ2.1×220mm,ブラウン
リー(Brownlee)社製〕を使用した。N末端から48番目
までのアミノ酸配列を決定した。
10. アミノ酸組成 アミノ酸アナライザーJLC200−A(日本電子製)によ
り、加水分解(12N塩酸にて110℃、24時間)した蛋白を
分析した。結果を第8表に示す。
本発明の新規アセチルポリアミンアミドヒドロラーゼ
は、ミコプラナ属に属し、それを生産する能力を有する
微生物を培地に培養し、培養物より菌体を分離し、菌体
中より該アセチルポリアミンアミドヒドロラーゼを採取
することにより製造することができる。
本発明で用いられる生産菌株としては、ミコプラナ続
に属し本発明の新規アセチルポリアミンアミドヒドロラ
ーゼ生産能を有するものであれば、いずれも用いること
ができる。具体例としては、ミコプラナ・ブラタ(Myco
plana bullata)NCIB 9440やミコプラナ・ブラタ FERM
BP−1845〔昭和63年4月9日付で工業技術院微生物工
業技術研究所(微工研)に寄託〕が例示される。ミコプ
ラナ・ブラタの菌学的性質については、バージーズ・マ
ニュアル・オブ・システマティックディターミネーショ
ン(Bergy's Manual of Systematic Determination)
,1458(1986)に記載されている。
本発明の新規アセチルポリアミンアミドヒドロラーゼ
生産菌の培養の際使用する培地としては、炭素源、窒素
源、無機塩その他の栄養源を加えた合成培地または天然
培地のいずれも使用可能である。必要によりポリアミン
やアセチルポリアミンなどの本発明の新規アセチルポリ
アミンアミドヒドロラーゼの生産量を上昇せしめる化合
物を添加する。培養開始のpHは通常5〜11の範囲、好適
には6〜8付近で行われる。培養温度は20〜45℃、好適
には25〜35℃付近で行われる。このような条件下で10〜
100時間振とうもしくは深部撹拌培養すれば菌体内に、
本発明の新規アセチルポリアミンアミドヒドロラーゼが
著量生成するから培養物から遠心分離によって菌体を分
離する。
このようにして得られた菌体より本酵素を抽出するに
は、ダイノミル破砕、超音波粉砕、溶菌酵素処理、自己
消化など通常酵素抽出に用いられる方法によって行うこ
とができ、抽出した酵素液より通常の酵素の精製手段を
適宜組み合わせることにより、本酵素の部分精製品や精
製品を得ることができる。
本酵素は、それが基質特異性を有するアセチルポリア
ミンの定量に有用である。特に基質に対するKm値も小さ
いので少量で短時間に基質を分解して対応するポリアミ
ンを遊離する。生成したポリアミンは高速液体クロマト
グラフィーあるいはこれを分解して過酸化水素を生成す
る酸化酵素を作用させて生成物もしくは酸素消費量を定
量することによって定量できる。スペルミジンはプトレ
シン・オキシダーゼによっても、ポリアミン・オキシダ
ーゼによっても酸化されるから、該酸化酵素としてはポ
リアミンがプトレシン、カダベリンまたはスペルミジン
の場合プトレシン・オキシダーゼが、スペルミンまたは
スペルミジンについてはポリアミン・オキシダーゼによ
ってプトレシンを生成させ、プトレシンを更に分解する
プトレシン・オキシダーゼが用いられる。これらの酸化
酵素の作用によって定量的に過酸化水素が生成するので
これを公知の手法により定量する方法は便利である。
生成した過酸化水素は酸化されて発色する色源体の存
在下パーオキシダーゼの作用によって色素を生成させ、
色素によって着色した反応液の吸光度を色素の吸収極大
値において測定することによりアセチルポリアミンを定
量できる。
試料中に複数のアセチルポリアミンが存在し、2種の
酸化酵素を利用してアセチルポリアミンを定量する際は
最初の酸化酵素によって生成した過酸化水素を無色物質
に変換した後(例えば特公昭62−21517号の方法)2番
目の酸化酵素を加えて存在する基質を分解して生成する
過酸化水素を定量する。
過酸化水素の定量は4−アミノアンチピリンとフェノ
ール等の色源体とパーオキシダーゼを加えて着色した反
応液の吸光度を測定すればよい。
以下に本発明の態様を実施例によって説明する。
実施例1 トリプトン0.5g/dl、酵母エキス0.5g/dl、塩化ナトリ
ウム0.05g/dl、リン酸2カリウム0.1g/dl、硫酸マンガ
ン0.01g/dl、アセチルプトレシン0〜1.0g/dl、pH7.0の
組成を有する培地300mlを2三角フラスコに入れ、120
℃、20分間殺菌した後、ミコプラナ・ブラタNCIB9440を
接種し、28℃、2日間培養した。培養物から遠心分離に
より得た菌体を、ホモゲナイザーで破砕後、遠心分離
し、菌体抽出液を得た。培地中のアセチルプトレシン濃
度を変えたときの力価を第5図に示した。
実施例2 トリプトン0.5g/dl、酵母エキス0.5g/dl、塩化ナトリ
ウム0.05g/dl、リン酸2カリウム0.1g/dl、硫酸マンガ
ン0.01g/dl、アセチルプトレシン0.5g/dl,pH7.0の組成
を有する培地300mlを2三角フラスコに入れ120℃、15
分間殺菌した後、ミコプラナ・ブラタNCIB9440を植菌し
た。30℃、3日間振とう培養後、15の上記組成と同じ
培地を含む30ジャーファーメンターに植菌し、30℃、
2日間培養した。こうして得られた培養物を遠心分離に
より菌体と培養液に分けた。菌体を生理食塩水で洗浄
後、20mMリン酸緩衝液(pH7.0)に懸濁し、ガラスビー
ズを加え、ダイノミルKDL〔ダブル・エイ・バッコーヘ
ン(W.A.Bachofen)社製〕で破砕した。菌体破砕液は遠
心分離し、上清に粗酵素液を得た。この粗酵素液を80%
飽和硫安沈殿後、20mMリン酸緩衝液〔pH7.0〕で透析
後、膜濃縮し、同緩衝液で平衡化したDEAE−セルロース
カラムに吸着させた。同緩衝液で十分洗浄後、食塩濃度
を0から1Mまで直線的に濃度勾配溶出し、酵素を溶出し
た。この酵素液を80%飽和硫安沈殿後、沈殿を少量の50
mMリン酸緩衝液(pH7.0)にとかし、この緩衝液で平衡
化したセファデックスG−100(ファルマシア・ファイ
ン・ケミカル社製)のカラムに通し、同緩衝液で溶出し
た。活性画分を集め10mMリン酸緩衝液(pH6.8)で平衡
化したヒドロキシアパタイトカラムにかけ溶出し活性画
分を凍結乾燥し、部分精製酵素10mgを得た(純度:約0.
05%)。
実施例3 実施例2で得られた酵素とプトレシンオキシダーゼを
使用してアセチルプトレシンの定量を行った。下記の試
薬液に各濃度のアセチルプトレシン溶液50μ加え、37
℃、10分間反応後、500nmにおける反応液の吸光度を測
定した。
結果を第6図に示すが、アセチルプトレシン濃度と50
0nmの吸光度に直線関係が認められ、本発明の新規アセ
チルポリアミンアミドヒドロラーゼを利用してアセチル
プトレシンの定量を行うことができる。
試薬液 0.1Mリン酸緩衝液 1.5ml 2.4mM4−アミノアンチピリン 0.5ml 42mMフェノール 0.5ml パーオキシダーゼ 20U 実施例2で得られた酵素 5U プトレシンオキシダーゼ 1U 実施例4 実施例2で得られた酵素とポリアミンオキシダーゼ、
プトレシンオキシダーゼを用いてN1−アセチルスペルミ
ジンの定量を行った。
0.1Mリン酸緩衝液1.5mlに実施例2で得られた酵素5U
とポリアミンオキシダーゼ1U、42mMフェノール0.5ml、
パーオキシダーゼ20U加え、各濃度のN1−アセチルスペ
ルミジン溶液と混合する。37℃、5分間反応させ、生成
するH2O2を前記の方法により無色物質に変換し、生成し
たプトレシンにプトレシンオキシダーゼ1Uと2.4mM 4
−アミノアンチピリン0.5mlを加え、37℃、10分間反応
させ、反応液の500nmにおける吸光度を測定した。その
結果を第7図に示す。N1−アセチルスペルミジン濃度と
500nmの吸光度に直線関係が認められ、本発明の新規ア
セチルポリアミンアミドヒドロラーゼを利用してN1−ア
セチルスペルミジンの定量を行うことができる。
実施例5 実施例2で得られた酵素とポリアミンオキシダーゼ、
プトレシンオキシダーゼを用いて、アセチルプトレシ
ン、アセチルカダベリン、N1−アセチルスペルミジン、
N8−アセチルスペルミジン、アセチルスペルミンを含む
検体の総アセチルポリアミンの定量を行った。
0.1Mリン酸緩衝液、pH7.0、1.5mlに実施例2で得られ
た酵素5Uとポリアミンオキシダーゼ1U、42mMフェノール
0.5ml、パーオキシダーゼ20Uを加え、検体0.1ml、0.2m
l、0.3ml、0.4ml、0.5mlとそれぞれ混合する。37℃、5
分間反応させ、生成するH2O2を前記の方法により無色物
質に変換する。
次にプトレシンオキシダーゼ1Uと2.4mM 4−アミノ
アンチピリン0.5mlを加え、37℃、10分間反応させ、キ
ノンイミン色素の500nmの吸光度を測定した。その結果
を第8図に示す。検体量と500nmの吸光度に直線関係が
認められた。本法で得られた総アセチルポリアミンの含
量はHPLC(高速液体クロマトグラフィー)で求められた
含量0.6μmoleと一致した。従って本発明の新規アセチ
ルポリアミンアミドヒドロラーゼを利用して、総アセチ
ルポリアミンの定量を行うことができる。
実施例6 マンニトール2.0g/dl,ポリペプトン2.0g/dl,エールリ
ッヒ肉エキス1.4g/dl,酵母エキス1.0g/dl,塩化ナトリウ
ム0.3g/dl,硫酸マンガン0.05g/dl,pH7.0の組成を有する
培地300mlを2三角フラスコに入れ120℃,15分間殺菌
した後、ミコプラナ・ブラタFERM BP−1845を植菌し
た。30℃,3日間振盪培養後、15の上記組成と同じ培地
を含む30ジャーファーメンターに植菌し、30℃、2日
間培養した。こうして得られた培養物を遠心分離により
菌体と培養液に分けた。菌体を100mMホウ酸緩衝液(p
H8.5)に懸濁し、マントンガウリンホモジナイザー〔ジ
ェネラル・エレクトリック(General Electric)社製〕
を用いて破砕した。菌体破砕液は遠心分離し、上清に粗
酵素液を得た。この粗酵素液を100mMホウ酸緩衝液で平
衡化したHPA−75(三菱化成社製)カラムに吸着させ
た。同緩衝液で十分洗浄後、硫安を400mMの濃度で含む
同緩衝液で酵素を溶出した。活性画分を膜濃縮後、食塩
を50mM含む100mMホウ酸緩衝液(pH8.5)で平衡化したDE
AE−セファロースFast Flow(ファルマシア・ファイン
・ケミカル社製)のカラムに吸着させた。同緩衝液で十
分洗浄後、食塩を75mMの濃度にまで高め酵素を溶出し
た。活性画分を膜濃縮後、硫安を1M含む100mMホウ酸緩
衝液(pH8.5)で平衡化させたブチルトヨパール650M
(東洋曹達工業社製)に吸着させた。同緩衝液で十分洗
浄後、硫安濃度を1から0Mまで直線的に濃度勾配溶出
し、酵素を溶出した。この溶出画分を限外過により濃
縮したものを、PD−10カラム(ファルマシア・ファイン
・ケミカル社製)によりバッファー交換を行い、次に、
10mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.0)にて平衡化したDEAE
−セファロースFast Flow(ファルマシア・ファイン・
ケミカル社製,φ4.2×38.5cm)に充填し、流速293ml/h
rにて10mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.0)により洗浄し、
非吸着蛋白を洗い出した。次に、0.1M塩化ナトリウムを
含む10mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.0)により酵素を溶
出した。比活性8U/mg以上の画分を集めて酵素の活性画
分とした。溶出パターンを第11図に示す。この画分をYM
−10〔アミコン(Amicon)社製〕、続いてセントリコン
10(Centricon10)(アミコン社製)によって37倍に限
外過濃縮した。この濃縮物をポリアクリルアミドゲル
電気泳動にかけたところ、メインバンドの他に若干のサ
ブバンドが観察されたので、続いてゲル過を行った。
300mMの塩化ナトリウムを含む50mMトリス−塩酸緩衝液
(pH7.0)によって平衡化したスーパーロース(Superos
e)prep12 HR16/50(ファルマシア・ファイン・ケミカ
ル社製)カラム(φ1.6×50cm)に活性画分を充填し、
トリーロターII(日本分光社製)ポンプに接続し、30mg
/hrの流速にて溶出を行った。溶出された活性画分は第1
2図に示すように左右対称であり比活性の分布もほぼ一
様であった。この活性画分を集めて本酵素の精製品とし
た。
と仮定して分光光学的に測定し蛋白濃度を求めたとこ
ろ、4.5mg/mlであった。
ブチルトヨパールを用いた精製工程以降の精製経過を
第9表にまとめた。
さらに、本酵素の精製品の均一性を調べるために、本
実施例で得られた未変性状態のサンプルを、ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動にかけた。方法は、デービスらの
方法〔ビー・ジェイ・デービスら(B.J.Davis,et a
l.),アナルス・オブ・ニューヨーク・アカデミイ・オ
ブ・サイエンス(Ann.N.Y.Acad.Sci.),121,404(196
4)〕に従った。その結果本標品は均一であった。また
同様に、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動をファ
ースト・システム(Phast system,ファルマシア・ファ
イン・ケミカル社製)を用いて、その使用説明書に従い
行った。ゲルにファーストゲル10/15(ファルマシア・
ファイン・ケミカル社製)を、および分子量マーカーに
低分子量の蛋白標準キット(LMW Calibration Kit,ファ
ルマシア・ファイン・ケミカル社製)を用いた。その結
果本標品はワンバンドであり均一であった。
さらに、超遠心沈降分析機UCA−1A(日立工機社製)
を用い、スヴェドバーグらの方法〔ティー・スヴェドバ
ーグ アンド ケィ・オー・ペダーセン(T.Svedberg a
nd K.O.Pedersen),ジ ウルトラセントリフュージ(T
he Ultracentrifuge),オクスフォード ユニバーシテ
ィ プレス(Oxfard Univ.Press),1946〕に従って、2
0℃、バーアングル65度,55,430r.p.m.にて60分、超遠心
沈降分析を行った結果、沈降パターンは時間を追っても
左右対称であり、本標品は均一であった。常法により沈
降係数を求めたところ、S20,W=5.27Sと算出された。
次に、本酵素の結晶化を行った。上記で得られた本酵
素の精製品を、4.5mg/mlの濃度で、50mMトリス−塩酸緩
衝液(pH7.0)中に溶解した。この溶液に、固型硫安を
徐々に添加していき、飽和濃度直前で添加を止めた。こ
のとき溶液はわずかに白濁した。そのまま4℃で一昼夜
放置した。結晶は溶液の底に光沢を帯びた状態で観察さ
れた。本結晶は基本的に同形の無色針状結晶であった。
大きさは0.1mmから0.5mm、直径が0.005mmから0.1mm程度
であった。
発明の効果 本発明によれば、アセチルプトレシン、アセチルカダ
ベリン、アセチルスペルミジンおよびアセチルスペルミ
ンのいずれをも加水分解する能力を有する新規アセチル
ポリアミンアミドヒドロラーゼが提供される。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本酵素の部分精製品の至適pHを示す。 図中 はアセチルプトレシン、×はアセチルカダベリン、 はN1−アセチルスペルミジン、 はN8−アセチルスペルミジン、●はアセチルスペルミン
をそれぞれ基質としたときを示す。 第2図は、本酵素の部分精製品のpH安定性を示す。 第3図は、本酵素の部分精製品の熱安定性を示す。 第4図は、本酵素の部分精製品の至適温度を示す。 第5図は、培地中のアセチルプトレシン濃度と菌体抽出
液の力価を示す。 第6図は、アセチルプトレシンの定量線を示す。 第7図は、N1−アセチルスペルミジンの定量線を示す。 第8図は、検体中総ポリアミンの定量線を示す。 第9図は、本酵素の精製品の安定性に及ぼす緩衝液のpH
の影響を示す。 第10図は、本酵素の精製品の安定性に及ぼす温度の影響
を示す。 第11図は、DEAE−セファロースFast Flowによる本酵素
の精製品のイオン交換クロマトグラフィーにおける溶出
パターンを示す。 第12図は、スーパーロース prep12 HR16/50による本酵
素の精製品のゲル過における溶出パターンを示す。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アセチルポリアミンのアミド結合を加水分
    解してポリアミンを生成する作用を有する酵素であっ
    て、アセチルプトレシン、アセチルカダベリン、アセチ
    ルスペルミジン及びアセチルスペルミンに特異的に作用
    し、アセチルポリアミンに対するKm値が0.31mM以下であ
    って、下記の性質を有する精製アセチルポリアミンアミ
    ドヒドロラーゼ。 a)分子量:高速液体クロマトグラフィーによるゲル濾
    過により未変性状態における分子量が67,000であり、SD
    S−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分子量が36,
    000であり、分子量が36,000のサブユニット2個からな
    るダイマー構造をとっている。 b)等電点:焦点電気泳動により4.56である。 c)至適pH:アセチルプトレシンとアセチルスペルミジ
    ンに対してはpH9、アセチルカダベリンに対しては約pH
    8、アセチルスペルミンに対してはpH10である。 d)至適温度:アセチルプトレシン、アセチルカダベリ
    ン、アセチルスペルミジン及びアセチルスペルミンいず
    れの基質を用いても60℃である。 e)阻害剤:Zn2+、8−オキシキノリン及びAg+で阻害さ
    れる。
  2. 【請求項2】ミコプラナ属に属し、アセチルポリアミン
    のアミド結合を加水分解してポリアミンを生成する作用
    を有する酵素であって、アセチルプトレシン、アセチル
    カダベリン、アセチルスペルミジン及びアセチルスペル
    ミンに特異的に作用するアセチルポリアミンアミドヒド
    ロラーゼを生産する能力を有する微生物を培地中に培養
    し、その微生物から菌体を分離し、菌体中から該酵素を
    採取することを特徴とするアセチルポリアミンアミドヒ
    ドロラーゼの製造法。
  3. 【請求項3】アセチルポリアミンに、請求項1記載のア
    セチルポリアミンアミドヒドロラーゼを作用させて、生
    成する反応物を定量することを特徴とするアセチルポリ
    アミンの定量法。
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