JP2647231B2 - 放射線画像情報読取装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、放射線画像情報を両面に記録可能な蓄積性
蛍光体シートに、読取作業と消去作業とを同時に遂行す
ることを可能とする放射線画像情報読取装置に関する。

［従来の技術］ 被写体の放射線透過像を得る放射線画像情報読取装置
では、従来のＸ線フイルムに代えて、取扱いの至便な蓄
積性蛍光体シート（輝尽性蛍光体シート）が広汎に普及
している。

ここで、蓄積性蛍光体とは、放射線（Ｘ線、α線、β
線、γ線、電子線、紫外線等）を照射すると、この放射
線エネルギーの一部を蓄積し、後に可視光等の励起光を
照射することで蓄積されたエネルギに応じた輝尽発光を
示す蛍光体をいう。

前記放射線画像情報読取装置では、人体等の被写体を
介して放射線が照射された蓄積性蛍光体シートを、レー
ザ光等の励起光で走査して輝尽発光光を生じさせ、得ら
れた輝尽発光光を光電的に読み取って画像信号を得、こ
の画像信号に基づき、フイルム等の記録材料、CRT等に
可視像として出力している。

この場合、蓄積性蛍光体シートは、前記励起光で走査
されるまで画像情報を担持していればよく、走査終了後
にこの画像情報を消去して再度画像情報の記録作業に使
用することが望まれる。このため、例えば、走査位置か
ら副走査方向下流側に消去部が配設され、カセッテから
取り出された蓄積性蛍光体シートを副走査方向に搬送し
ながら、この蓄積性蛍光体シートに励起光を照射して走
査読み取りを行った後、消去部の作用下に消去作業を施
す装置が提案されている（特願昭60−264482号公報参
照）。

［発明が解決しようとする課題］ しかしながら、前記の装置では、蓄積性蛍光体シート
の読取作業と消去作業とが、それぞれ別々に行われるた
め、この蓄積性蛍光体シートの処理作業全体の効率化が
達成されない。

しかも、実質的に走査部と消去部とが、副走査方向に
並設されるため、収容スペースが拡大して装置全体が大
型化するという問題がある。

本発明は、この種の問題を解決するものであり、両面
に画像情報を記録可能な蓄積性蛍光体シートを用い、こ
の蓄積性蛍光体シートの読取作業と消去作業とを同時に
行うことができ、しかも装置全体を容易に小型化するこ
とを可能にする放射線画像情報読取装置を提供すること
を目的とする。

［課題を解決するための手段］ 前記の課題を解決するために、本発明は、両面に放射
線画像情報が蓄積記録可能な蓄積性蛍光体シートの一面
側に配設され、この蓄積性蛍光体シートの一面側に励起
光を照射して前記蓄積性蛍光体シートから発せられる光
情報を光電的に読み取るための読取部と、 前記蓄積性蛍光体シートの他面側に配設され、この蓄
積性蛍光体シートの他面側に残存する放射線画像情報を
消去するための消去部と、 を備え、 前記読取部と前記消去部は、前記蓄積性蛍光体シート
を挟んで対向して配置され、該読取部による読み取り処
理と該消去部による消去処理とを同時に遂行可能に構成
されることを特徴とする。

［作用］ 上記のように構成される放射線画像情報読取装置で
は、両面に放射線画像情報が蓄積記録された蓄積性蛍光
体シートが、副走査方向に搬送される。この間、読取部
の駆動作用下にその一面側に担持されている放射線画像
情報が光電的に読み取られる一方、消去部の作用下にこ
の蓄積性蛍光体シートの他面側に残存する放射線画像情
報が消去される。このため、蓄積性蛍光体シートに対す
る読取作業と消去作業とが、同時に遂行されて処理作業
全体の効率化が達成されるとともに、読取部と消去部を
収容するスペースが可及的に縮小される。

［実施例］ 本発明に係る放射線画像情報読取装置について実施例
を挙げ、添付の図面に基づき詳細に説明する。

第１図および第２図において、参照符号10は、本実施
例に係る放射線画像情報読取装置を示す。この放射線画
像情報読取装置10は、両面に放射線画像情報が蓄積記録
された蓄積性蛍光体シート12を収容するカセッテ14が、
着脱自在に保持される保持部16と、この蓄積性蛍光体シ
ート12を矢印ＡおよびＢ方向に搬送する搬送手段18と、
蓄積性蛍光体シート12の一面側（上方）に配設され、こ
の蓄積性蛍光体シート12の一面側に励起光を照射してこ
れから発せられる光情報を光電的に読み取るための読取
部20と、前記蓄積性蛍光体シート12の他面側（下方）に
配設され、この蓄積性蛍光体シート12の他面側に残存す
る放射線画像情報を消去するための消去部22とを備え
る。

保持部16は、カセッテ14の蓋体24を開閉するための図
示しない開閉機構と、このカセッテ14内の蓄積性蛍光体
シート12を装置10内に取り出すべく、第２図中、実線で
示す位置と二点鎖線で示す位置とに変位自在で且つ回転
可能なローラ26とを備える。

搬送手段18は、所定間隔離間して配設されるそれぞれ
対をなす搬送ローラ28、30を備え、この搬送ローラ28、
30が回転駆動源（図示せず）により、同期して回転駆動
される。搬送ローラ30に近接して、ガイド板31が配設さ
れる。

読取部20は、レーザ光源32を備え、このレーザ光源32
から導出される励起光（レーザビーム）34の光路上に、
ミラー36、38とガルバノメータミラー等の光偏向器40と
ｆθレンズ等の走査レンズ42とミラー44とが配設され
る。励起光34の走査によって、蓄積性蛍光体シート12か
ら発せられる輝尽発光光は、光電読取手段であるフォト
マルチプライヤ46により、光電的に読み取られる。

消去部22は、ケーシング48内に収容される消去用光源
50と、前記消去用光源50から発せられる消去光が、前記
読取部20に進入することを阻止すべく、蓄積性蛍光体シ
ート12の搬送方向に進退自在な遮光部材52とを備える。
この遮光部材52に、ラック54が取着されるとともに、こ
のラック54に噛合するピニオン56が、モータ58に連結さ
れる。

なお、前記のようなラック・ピニオン機構に代替して
遮光部材52に、リニアソレノイド等のアクチュエータを
設けることもできる。

蓄積性蛍光体シート12は、第４図に示すように、遮光
性部材からなる平板状の支持体60と、前記支持体60の両
面に塗設される蓄積性蛍光体からなる蛍光体層62、64
と、各蛍光体層62、64を被覆する保護膜66、68とを備え
る。

支持体60は、記録時において放射線が一方の面から他
方の面へと透過しないように、カーボン等を混入したPE
T等からなる遮光性部材で構成される。一方、蛍光体層6
2、64は、蓄積性蛍光体（輝尽性蛍光体）の粒子を分散
状態で含有支持する結合物からなる層である。

本実施例に係る放射線画像情報読取装置は以上のよう
に構成されるものであり、次にその動作について説明す
る。

蓄積性蛍光体シート12において、蛍光体層62に記録さ
れた放射線画像情報の読取作業と、読み取り終了後の蛍
光体層64に残存する放射線画像情報の消去作業とを、以
下に説明する。

前記蓄積性蛍光体シート12は、カセッテ14に収納され
た状態で放射線画像情報読取装置10の保持部16に装填さ
れる。この保持部16では、図示しない開閉機構の付勢作
用下に蓋体24が開蓋された後、ローラ26が、カセッテ14
内に進入して回転され、蓄積性蛍光体シート12を装置10
内に搬入する。この蓄積性蛍光体シート12は、搬送手段
18の作用下に、搬送ローラ28に狭持されて矢印Ａ方向に
搬送され、走査位置に至る。

第３図ａに示すように、蓄積性蛍光体シート12の先端
が、遮光部材52に係合する位置に至る際、読取部20が付
勢されレーザ光源32から導出される励起光34が、矢印Ａ
方向に副走査搬送されている蓄積性蛍光体シート12に主
走査方向に照射され、蛍光体層62から放射線画像情報に
対応した輝尽発光光が発せられる。この輝尽発光光は、
フォトマルチプライヤ46に導かれた後、電気信号に変換
される。なお、前記電気信号としての放射線画像情報は
フイルム等の記録材料、CRT等に可視像として出力され
る。

一方、前記のように、蓄積性蛍光体シート12の先端
が、遮光部材52に係合する位置に至る際、この蓄積性蛍
光体シートシート12が一定時間停止されるとともに、消
去用光源50が付勢され、放射線画像情報の読み取られた
蛍光体層64の先端部に消去光が照射され、この先端部に
残存する放射線画像情報の消去が遂行される。

次に、モータ58の駆動作用下にピニオン56、ラック54
を介して遮光部材52が、蓄積性蛍光体シート12と同期し
て矢印Ａ方向に移動され（第３図ｂ参照）、この蓄積性
蛍光体シート12によりケーシング48の上部開口部位全体
が覆われる際、遮光部材52が矢印Ｂ方向に移動される
（第３図ｃ参照）。

蓄積性蛍光体シート12が、さらに矢印Ａ方向に搬送さ
れてその後端が遮光部材52上に至る際、この蓄積性蛍光
体シート12が一定時間停止されて蛍光体層64の後端部の
消去作業が行われ、さらに、搬送ローラ28、30が逆方向
に駆動されて蓄積性蛍光体シート12が、矢印Ｂ方向に移
動される。

この場合、本実施例では、蓄積性蛍光体シート12の両
面に読取作業と消去作業とが、同時に行われるため、こ
の蓄積性蛍光体シート12を極めて短時間で処理可能にな
る。

しかも、消去用光源50が、ケーシング48に収容される
とともに、このケーシング48の上部開口部位に遮光部材
52が、進退自在に配置されている。このため、実質的に
ケーシング48と遮光部材52と蓄積性蛍光体シート12と
で、このケーシング48内を光密に遮光することができ、
消去用光源50からの消去光が、読取部20に進入すること
を阻止することが可能になる（第３図ａ乃至ｃ参照）。

さらに、読取部20と消去部22とが、上下に配置されて
いるため、装置10全体が幅方向に長尺化することがな
く、この装置10の小型化が図られる。

なお、消去部22に、可動の遮光部材52を設けている
が、固定の遮光部材と可動のケーシングとによりこの消
去部22を構成することもできる。

次いで、第５図に、他の実施例に係る放射線画像情報
読取装置100が示されており、前述した放射線画像情報
読取装置10と同一の構成要素には同一の参照符号を付し
てその詳細な説明は省略する。

この場合、放射線画像情報読取装置100は、カセッテ1
4から取り出され読取部20と消去部22の間を通過した蓄
積性蛍光体シート12を、その取出姿勢に対し反転させた
姿勢で前記カセッテ14に送り込む搬送系102を備える。
なお、搬送系102は、ローラおよび／またはベルトで構
成されている。

従って、蓄積性蛍光体シート12の放射線画像情報の消
去された面が、常に、カセッテ14の一方の側面側に対向
しており、この側面側から新たな放射線画像情報の記録
作業を行うことができる。

［発明の効果］ 以上のように構成される本発明に係る放射線画像情報
読取装置では、次のような効果乃至利点を有する。

蓄積性蛍光体シートの一面側に励起光を照射してこれ
から発せられる光情報を光電的に読み取る作業と、この
蓄積性蛍光体シートの他面側に残存する放射線画像情報
を消去する作業とを、同時に遂行することができる。こ
のため、前記蓄積性蛍光体シートの処理作業全体の効率
化が、容易に図られる。

しかも、読取部と消去部とを、狭小なスペース内に収
容でき、装置全体の小型化が可能になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例に係る放射線画像情報読取装
置の概略斜視説明図、 第２図は前記放射線画像情報読取装置の縦断説明図、 第３図は前記放射線画像情報読取装置の動作説明図、 第４図は蓄積性蛍光体シートの斜視説明図、 第５図は他の実施例に係る放射線画像情報読取装置の概
略斜視説明図である。 10……放射線画像情報読取装置 12……蓄積性蛍光体シート 16……保持部 18……搬送手段 20……読取部 22……消去部 50……消去用光源 52……遮光部材 100……放射線画像情報読取装置

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】両面に放射線画像情報が蓄積記録可能な蓄
   積性蛍光体シートの一面側に配設され、この蓄積性蛍光
   体シートの一面側に励起光を照射して前記蓄積性蛍光体
   シートから発せられる光情報を光電的に読み取るための
   読取部と、 前記蓄積性蛍光体シートの他面側に配設され、この蓄積
   性蛍光体シートの他面側に残存する放射線画像情報を消
   去するための消去部と、 を備え、 前記読取部と前記消去部は、前記蓄積性蛍光体シートを
   挟んで対向して配置され、該読取部による読み取り処理
   と該消去部による消去処理とを同時に遂行可能に構成さ
   れることを特徴とする放射線画像情報読取装置。
2. 【請求項２】請求項１記載の装置において、前記消去部
   は、消去用光源と、 前記消去用光源から発せられる消去光が、前記読取部に
   進入することを阻止すべく、蓄積性蛍光体シートの搬送
   方向に進退自在な遮光部材と、 を備えることを特徴とする放射線画像情報読取装置。
3. 【請求項３】請求項１記載の装置において、カセッテか
   ら取り出された蓄積性蛍光体シートに読取作業および／
   または消去作業を施した後、この蓄積性蛍光体シートを
   前記取出姿勢に対し反転させた姿勢で前記カセッテに送
   り込む搬送系を備えることを特徴とする放射線画像情報
   読取装置。