JP2761638B2 - 蓄積性蛍光体シート用カセツテ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は放射線画像情報を蓄積記録する蓄積性蛍光体
シートを収納するカセッテ、特に詳細には蓄積性蛍光体
シート上の一部の領域のみについて放射線画像情報読取
りを行なう場合に、この読取領域と記録領域とを正確に
一致させられるようにした蓄積性蛍光体シート用カセッ
テに関するものである。 （従来の技術） ある種の蛍光体に放射線（Ｘ線、α線、β線、γ線、
紫外線、電子線等）を照射すると、この放射線のエネル
ギーの一部がその蛍光体中に蓄積され、その後の蛍光体
に可視光等の励起光を照射すると、蓄積されたエネルギ
ーに応じて蛍光体が輝尽発光を示す。このような性質を
示す蛍光体を蓄積性蛍光体（輝尽性蛍光体）と言う。 この蓄積性蛍光体を利用して、人体等の被写体の放射
線画像情報を一旦蓄積性蛍光体のシート（以下、蓄積性
蛍光体シートと称する）に記録し、これを励起光で走査
して輝尽発光させ、この輝尽発光光を光電的に読み取っ
て画像信号を得、この画像信号を処理して診断適性の良
い被写体の放射線画像を得る方法が提案されている（例
えば特開昭55−12429号、同55−116340号、同55−16347
2号、同56−11395号、同56−104645号など）。 このシステムは、従来の銀塩写真を用いる放射線写真
システムと比較して極めて広い放射線露出域にわたって
画像を記録しうるという実用的な利点を有している。す
なわち、蓄積性蛍光体においては、放射線露光量に対し
て蓄積後に励起によって輝尽発光する発光光の光量が極
めて広い範囲にわたって比例することが認められてお
り、従って種々の撮影条件により放射線露光量がかなり
大幅に変動しても、蓄積性蛍光体シートより放射される
輝尽発光光の光量を読取ゲインを適当な値に設定して光
電変換手段により読み取って電気信号に変換し、この電
気信号を用いて写真感光材料等の記録材料、CRT等の表
示装置に放射線画像を可視像として出力させることによ
って、放射線露光量の変動に影響されない放射線画像を
得ることができる。 ところで、以上述べた蓄積性蛍光体シートに放射線画
像情報を蓄積記録（撮影）する場合、使用シートのサイ
ズが増えて取扱いが煩雑化することを回避するため、比
較的大きなサイズの蓄積性蛍光体シートを大きな被写体
に対しても、また小さな被写体に対しても共通使用する
ことがある。比較的大きなサイズに小さな被写体を記録
（撮影）した場合、その読取りに際しては、蓄積性蛍光
体シート全面に亘って読取処理つまり励起光照射と輝尽
発光光検出を行なうのではなく、被写体記録部分を含む
小さな部分領域についてのみ読取処理を行なうのが好ま
しい。すなわちそのようにすれば、被写体記録部分以外
の領域に対して無意味な読取処理を行なうことがなくな
り、読取りに要する時間が短縮される。このように被写
体の記録領域のみに対して読取処理を行なうためには、
放射線照射野が被写体の大きさに合わせて絞られている
場合には、各シートの照射野を検出し、その検出結果に
基づいて読取領域を設定するようにしてもよいが、記録
サイズを例えば四切、六切等のいくつかの所定サイズか
ら選択するものとし、各サイズの記録範囲のシート上位
置も所定位置に決めておけば、読取処理が簡単になる。
つまりそのようにすれば、放射線画像情報読取りに際し
ては、困難な照射野認識を行なうことなく、励起光走査
範囲を予め定められたいくつかの所定範囲の中から各記
録サイズ毎に選択して設定するだけの簡単な操作で、被
写体記録領域のみを読み取れるようになる。またこのよ
うにすれば、放射線照射野が絞られていなくても、被写
体が記録されている部分領域のみを読み取れるようにな
る。 一方上記の蓄積性蛍光体シートは、例えば特開昭59−
13350号に示されるように、カセッテに収納した状態で
取り扱われることが多い。勿論、このカセッテに収納さ
れた蓄積性蛍光体シートに対しても、前述のように小さ
な被写体を記録することがあり、そしてこの場合も当然
前述のように、読取処理高速化のために読取範囲をシー
ト上の部分領域のみに限定しなければならないことがあ
る。 （発明が解決しようとする問題点） ところが従来の蓄積性蛍光体シート用カセッテを用い
る場合、シート上の被写体記録（撮影）領域を、所定の
部分読取領域と一致するように設定することが難しかっ
た。 そこで本発明は、比較的大サイズの蓄積性蛍光体シー
トに小さな被写体を記録する場合に、この被写体の記録
領域を所定の部分読取領域と正確かつ簡単に一致させる
ことができる蓄積性蛍光体シート用カセッテを提供する
ことを目的とするものである。 （問題点を解決するための手段） 本発明の蓄積性蛍光体シート用カセッテは、蓄積性蛍
光体シートに対して平行なカセッテ表板に、該シートか
らの放射線画像情報読取り時に放射線画像情報読取装置
により予め設定される、シートサイズよりも小さくて該
シート上の所定位置にある部分読取領域を示す表示がな
されたことを特徴とするものである。 （作用） 上記のカセッテを用いる際、被写体を上記表示の部分
に対向するように配置して放射線撮影を行なえば、後に
読取りがなされる部分領域に被写体を正しく収めて記録
できるようになる。 （実 施 例） 以下、図面に示す実施例に基づいて本発明を詳細に説
明する。 第１図は本発明の一実施例による蓄積性蛍光体シート
用カセッテを示すものである。カセッテ１は平たい函状
の表板２と、この表板２に蝶番３によって蝶着され開閉
自在に該表板２を覆う蓋体４とからなる。なお図示され
てはいないが、上記蝶番３が取り付けられている側面の
反対側の側面には、表板２と蓋体４とを結合するラッチ
手段が設けられている。蓄積性蛍光体シート10はこのカ
セッテ１内に、表板２および蓋体４と平行となる状態で
収納される。一例として上記蓄積性蛍光体シート10は半
切サイズのものであり、カセッテ１はこのサイズのシー
ト10を緊密に収納する大きさに形成されている。 そして上記表板２には、半切サイズよりも小さい大角
サイズ、四切サイズ、六切サイズの領域をそれぞれ示す
線５、６、７が表示されている。本例においては線５に
より大角サイズが半切サイズの下側の部分に、同様に線
６、７により四切サイズ、六切サイズは半切サイズの右
下側の部分に規定されている。そして各線５、６、７に
沿った位置には、それぞれの線が規定するサイズを示す
文字表示5a、6a、7aが記入されている。 上記構成のカセッテ１は、第２図図示のように撮影台
８の上にセットされて、放射線撮影に使用される。この
とき、被写体９が半切サイズの蓄積性蛍光体シート10の
全面を使わなくても撮影できる程度の小さいものである
場合は、線５、６あるいは７で規定されるサイズ内に被
写体９が入りきるようにカセッテ１が配置される。第２
図は一例として、線７で規定される六切サイズ内に被写
体９が入りきるようにカセッテ１を配置した状態を示し
ている。このようにカセッテ１を配置した後、例えばＸ
線管球等の放射線源からカセッテ１に向けて放射線が照
射され、カセッテ１内の蓄積性蛍光体シート10に被写体
９の透過放射線画像が蓄積記録される。なおこの撮影の
際、放射線照射野は被写体９の大きさに合わせて絞られ
てもよいし、また絞られなくても構わない。 上述のようにして被写体９の放射線画像を蓄積記録し
た蓄積性蛍光体シート10は、カセッテ１から取り出さ
れ、例えば第３図に示すような放射線画像情報読取装置
にかけられる。この装置において蓄積性蛍光体シート10
は、エンドレスベルト等のシート搬送手段11により、励
起光副走査のために矢印Ｙ方向に搬送される。またレー
ザ光源12から射出された励起光としてのレーザビーム13
は、ガルバノメータミラー等の光偏向器14によって偏向
され、蓄積性蛍光体シート10を上記副走査方向Ｙと略直
角な矢印Ｘ方向に主走査する。こうしてレーザビーム13
が照射されたシート10の箇所からは、蓄積記録されてい
る放射線画像情報に応じた光量の輝尽発光光15が発散さ
れ、この輝尽発光光15は集光体16によって集光され、光
検出器としてのフォトマルチプライヤー（光電子増倍
管）17によって光電的に検出される。 上記集光体16はアクリル板等の導光性材料を成形して
作られたものであり、直線状をなす入射端面16aが蓄積
性蛍光体シート10上のビーム走査線に沿って延びるよう
に配され、円環状に形成された出射端面16bに上記フォ
トマルチプライヤー17の受光面が結合されている。上記
入射端面16aから集光体16内に入射した輝尽発光光15
は、該集光体16の内部を全反射を繰り返して進み、出射
端面16bから出射してフォトマルチプライヤー17に受光
され、前記放射線画像情報を担持する輝尽発光光15の光
量がこのフォトマルチプライヤー17によって検出され
る。 フォトマルチプライヤー17のアナログ出力信号はログ
アンプ20において対数変換増幅され、前記輝尽発光光15
の光量すなわち放射線画像情報を担う読取画像信号Ｓと
して、A/D変換器21に入力される。読取画像信号Ｓは、
このA/D変換器21によりデジタル化される。こうして得
られたデジタルの読取画像信号Sdは次に画像処理装置23
において例えば階調処理等の画像処理を受けた上で例え
ばCRT、光走査記録装置等の画像再生装置24に入力さ
れ、該画像再生装置24において、蓄積性蛍光体シート10
が蓄積記録していた放射線画像を再生させる。 ここで、光偏向器14の駆動制御回路30とシート搬送手
段11の駆動制御回路31には、読取制御装置32からそれぞ
れ駆動制御信号S1が入力され、該駆動制御信号S1に応じ
て蓄積性蛍光体シート10上のビーム走査範囲が変更され
るようになっている。すなわち、シート搬送手段11は最
初に蓄積性蛍光体シート10を比較的高速で搬送して、該
シート10が所定位置に到達したところで所定の副走査速
度でビーム副走査のためのシート搬送を開始するが、こ
の副走査開始のタイミング、換言すれば上記のようにシ
ート10を比較的高速で搬送する間の時間が駆動制御信号
S1に応じて変えられる。また上記副走査開始のタイミン
グと同期した光偏向器14のビーム走査開始のタイミング
と、ビーム偏向範囲とが、上記駆動制御信号S1に応じて
変えられる。以上のようにして蓄積性蛍光体シート10上
のビーム走査範囲を変更する駆動制御信号S1は、例えば
撮影情報入力ターミナル33を用いて読取制御装置32に入
力される撮影サイズ情報S2に応じて変えられる。すなわ
ちこの撮影サイズ情報S2が示す撮影サイズがそれぞれ半
切、大角、四切、六切サイズであるとき、駆動制御信号
S1によって指定されるビーム走査範囲は、第４図に示す
点P1、P2、P3、P4を走査開始点とし、この走査開始点よ
りも図中右下側の領域となるように設定される。なお第
４図中、一例として六切サイズのビーム走査範囲を斜線
を付して示してある。このようにビーム走査範囲が制御
されることにより、放射線画像撮影時に小さな被写体を
収めた記録領域（照射野絞りを行なった場合には照射野
領域）のみが読取処理を受けるようになり、それ以外の
部分が無意味に読取処理を受けて読取処理時間がいたず
らに長くなってしまうことがなくなる。 （発明の効果） 以上詳細に説明した通り本発明の蓄積性蛍光体シート
用カセッテにおいては、カセッテ表板に、放射線画像情
報読取装置により予め設定される部分読取領域を示す表
示がなされているので、このカセッテによれば蓄積性蛍
光体シート上の読取処理を受ける部分領域に正確に被写
体が収まるように放射線画像記録を行なうことが容易に
可能となり、読取処理時間短縮の上で有利な部分記録、
部分読取りを失敗することなく実行できるようになる。

【図面の簡単な説明】 第１図は本発明の一実施例による蓄積性蛍光体シート用
カセッテを示す斜視図、 第２図は上記カセッテの撮影時のセット状態を示す平面
図、 第３図は上記のカセッテを用いて放射線画像撮影がなさ
れた蓄積性蛍光体シートから放射線画像情報を読み取る
装置の一例を示す概略図、 第４図は上記蓄積性蛍光体シートに対して設定される読
取領域を示す概略図である。 １……カセッテ、２……カセッテ表板 ５、６、７……読取サイズの表示線 10……蓄積性蛍光体シート

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 １．放射線画像情報を蓄積記録する蓄積性蛍光体シート
   を収納する蓄積性蛍光体シート用カセッテにおいて、前
   記シートと平行なカセッテ表板に、該シートからの放射
   線画像情報読取り時に放射線画像情報読取装置により予
   め設定される、シートサイズよりも小さくて該シート上
   の所定位置にある読取領域を示す表示がなされているこ
   とを特徴とする蓄積性蛍光体シート用カセッテ。