JP2613522B2 - ステイオンタブ用アルミニウム合金板 - Google Patents

ステイオンタブ用アルミニウム合金板

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JP2613522B2
JP2613522B2 JP4090034A JP9003492A JP2613522B2 JP 2613522 B2 JP2613522 B2 JP 2613522B2 JP 4090034 A JP4090034 A JP 4090034A JP 9003492 A JP9003492 A JP 9003492A JP 2613522 B2 JP2613522 B2 JP 2613522B2
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伸二 照田
政文 溝内
富次夫 田中
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スカイアルミニウム 株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はビール缶、炭酸飲料缶等
のタブ材に係り、更に詳しくは、強度および曲げ性にお
いては現行材と同等であり、かつ経時変化による軟化の
少ないステイオンタブ付エンド用のタブ材に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】現在、ビール缶、炭酸飲料缶等の飲料缶
の開口方法には、缶切りなどの器具を使わずに手で容易
に開缶できるイージーオープンエンドが主流となってい
る。このイージーオープンエンドとしては開口時に缶体
からタブが離れるパーシャルオープンエンド及びフルオ
ープンエンドと、開口時に缶体からタブが離れないステ
イオンタブ付エンド及びプッシュオンタブエンドとがあ
り、後者のステイオンタブ付エンドはタブが分離しない
という環境問題、資源リサイクル等の観点から特に欧米
にて広く用いられている。このステイオンタブ付エンド
に適するタブ材にはAA5082、AA5042等のM
g4.0前後を含有するアルミニウム合金が用いられて
おり、該アルミニウム合金鋳塊を均熱化処理及び熱間圧
延した後、高圧下率で冷間圧延し、その後、最終熱処理
にて強度を調整する製造方法にて製造されている。例え
ば、米国特許第3502448号明細書に開示されてい
るように、仕上冷延率を85%以上と高くする方法であ
る。タブ材はこの工程後に強度調整および安定化ために
最終熱処理が施される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のステイオンタブ
材に用いられているアルミニウム合金は、比較的Mgの
添加量が多く高冷間圧延されるため、最終熱処理により
強度調整および安定化が施されている。しかし、最終熱
処理は比較的高温(280℃程度)で行われるため、前
処理として圧延油の焼付を防止する目的で脱脂処理が必
要となる。また、仕上焼鈍温度の範囲が狭いため、焼鈍
温度の精度が重要となり焼鈍設備も温度管理等の精度の
良いものが必要となる。さらに、タブに成形された後の
状態では、安定化処理後、加工を受けて硬化しているこ
とから、加工部に新たに発生した転位が経時変化により
ベータ相等の析出を起こし、このため固溶Mg量が少な
くなり強度が軟化するという現象が発生する。この結
果、ステイオンタブのように挺の原理でスコアー部を抉
じ開けるようなメカニズムでは、タブ強度が不足して開
口不良という問題が起る。この対策としては、タブ材の
厚みを増したり、または初期強度を不必要なまで高める
必要があるが、このためパーシャルオープンエンド用タ
ブ材に比べて製造コスト・素材コストが高くなったり、
不具合が起りやすくなるという問題が生じており、缶公
害の点ではステイオンタブ付エンドの方が有利なことは
確かであるにもかかわらず、日本国内ではそれほど採用
されず普及しない要因の1つとなっている。経時軟化を
防ぐ別の方法として、Mg添加量を少なくするという方
法も考えられる。しかし、近年ステイオンタブの薄肉化
に伴い、比較的強度が高いことがステイオンタブ材とし
て重要な特性の1つとなってきているにもかかわらず、
単に従来合金のMg添加量を少なくするだけでは従来の
製造方法では強度が充分ではなく、必要強度を得るため
には高冷間圧延を要するが、その結果成形性、特に曲げ
加工性に問題が生じる。本発明は、かかる状況のもとで
なされたものであって、特に成形性および強度は従来レ
ベルを維持して、経時による軟化の少ないことが要求さ
れる成形加工用途の特にステイオンタブ用アルミニウム
合金板を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明者らは経時軟化が起らない組成で曲げ加工性
および強度については従来材並の特性を得られるように
化学成分調整、組織並びに製造条件等について総合的に
研究を重ねた。その結果、Mgを含めた成分調整、組
織、製造条件を規制するならば、所期の材料特性が得ら
れることが判明した。
【0005】すなわち、合金成分面では従来のステイオ
ンタブ用アルミニウム合金5082,5182ではMg
の添加量が4〜5%,5042は3〜4%であるのに対
して、本発明においてはMgの添加量を3%以下と少な
くすることにより経時軟化を少なくし、かつ強度を補う
ためにFe,Mn、Si、Cu、ZnおよびCrの添加
量を調節するとともに、FeおよびMnの総量を規制し
晶出化合物の分散およびサイズをコントロールして曲
げ性の劣化を防ぎ、また、添加元素の組成に応じて鋳造
方法、均質化処理温度、冷間圧延率および仕上の熱処理
方法を選択することにより、必要強度が得られ、かつ曲
げ性の点で劣ることのない材料が得られることを見出し
た。
【0006】すなわち本発明は、請求項1記載のごと
く、重量%で(以下、同じ)Mg:1〜3%、および組
織微細化・安定化のためTi:0.005〜0.20%
を単独であるいはB:0.0005〜0.04%ととも
に含有し、さらにFe:0.01〜0.6%、0.2<
Mn≦1.2%のうち の1種又は2種を含み、かつFe
のみの場合は0.4<Fe≦0.6%、両方含む場合は
Fe+Mn≦1.6%とし、さらにSi:0.05〜
0.5%、Cu:0.05〜0.5%、Cr:0.05
〜0.3%、Zn:0.1〜0.5%のうちの1種又は
2種以上を含み、残部がAl及び不可避不純物からな
り、耐力が250N/mm2以上で経時軟化しにくいス
テイオンタブ用アルミニウム合金板である。
【0007】
【作用】以下に本発明を更に詳細に説明する。まず、本
発明における化学成分の限定理由を説明する。 Mg: Mgは強度を付与する重要な元素であり、所定量の添加
により、ステイオンタブ材として使用し得る強度を確保
する必要がある。しかし、3%をこえる添加では加工部
の転位が経時変化によりベータ相等の析出を起こし、こ
のため固溶Mg量が少なくなり強度が軟化するという経
時軟化が起りやすくなる。また1%より少ないと、他の
添加元素では不足する強度を補えない。したがって、M
g量は1〜3%の範囲とする。 Ti,B: Ti,Bは組織を微細化・安定化させるための有効な元
素である。しかし添加量が少ないと効果がなく、多いと
巨大化合物を生成し曲げ加工性を低下させるので、Ti
0.005〜0.20%を単独であるいはB0.000
5〜0.04%とともに添加する。 Mn: Mnの添加は強度向上に大きな効果を示す。しかし、M
nが0.2%以下ではその効果も少なく、1.2%を越
えると晶出物のサイズを大きく、しかも数を多くして曲
げ性の低下を招くので好ましくない。したがって、Mn
量は0.2%<Mn≦1.2%の範囲とする。 Fe: Feの添加は強度向上に効果を示す。しかし、Feが
0.01%未満ではその効果はなく、0.6%を超える
と晶出物のサイズを大きく、しかも数を多くして曲げ性
の低下を招くので好ましくない。したがって、Fe量は
0.01〜0.6%の範囲とする。またMnとFeとは
共に曲げ性の低下を招く作用があるため、FeとMnの
総量でも規制する必要があり、両方含む場合はFe+M
n≦1.6%とする。1.6%までであれば、凝固速度
の速い鋳造方法(例えば50℃/s以上の連続鋳造圧延
法等)を選ぶことにより、曲げ性に悪影響を及ぼさな
い。Feのみ添加の場合には強度向上のために0.4%
を超える必要がある。 Si: Siの添加は、Mg2Siの生成による時効硬化によ
り、強度向上に寄与する。0.05%未満ではその効果
もなく、0.5%を越えると強度向上には寄与するもの
の、硬化しすぎて成形性を悪くする。したがって、Si
量は0.05〜0.5%の範囲とする。 Cu: Cu添加はAl−Cu−Mgの時効析出による時効硬化
により、強度向上に寄与する。しかし、0.05%未満
ではその効果も少なく、0.5%を超えて過多に添加さ
れると強度が高すぎることによる成形加工性の低下を招
く。したがって、Cu量は0.05〜0.5%の範囲と
する。 Zn: Znの添加はMg2Zn3Al2の時効析出により強度向
上を望めるが、0.1%未満ではその効果はなく0.5
%を超えると強度の寄与に対しては問題無いが、耐食性
を劣化させるのでこれ以下に規制する必要がある。した
がって、Zn量は0.1〜0.5%の範囲とする。以上
のSi、CuおよびZnの添加で強度を補う場合には、
中間焼鈍はCALのように高温での急速加熱及び冷却に
よる溶体化効果をもたせる方法を用いることが好まし
い。 Cr: Crの添加は強度向上に大きな効果を示す。Crが0.
05%未満ではその効果もなく、0.3%を超えて過多
に添加されると巨大晶出物生成により、曲げ性の低下を
招くため、好ましくない。したがって、Cr量は0.0
5〜0.3%の範囲とする。なお、本発明においては、
Mgと、組織を微細化・安定化させるTiおよび/また
はBは必須であるが、強度を得るのに必要な元素のうち
Fe,Mnについてはいずれか一方を必ず添加し、また
Si,Cu,Zn,およびCrは選択添加元素とし、少
なくとも1種を必要に応じて添加する。Al合金に含ま
れる上記以外の元素も各々0.05%未満であるなら本
発明の効果を損なうことはない。特にZr,Vは0.3
%未満までは組織安定化に有効である。
【0008】上記、本発明のアルミニウム合金板に適す
る製造方法について説明する。上記の化学成分を有する
Al合金は、製造方法が強化機構や晶出物のサイズに影
響を与えるため、各合金の成分(特にFe+Mn量)に
より製法を適宜選択することが望ましい。本発明で採り
得る主な製造方法を以下にリストアップする。 DC鋳造 冷却速度10℃/s程度 (1)DC鋳造→加熱→熱延→中間焼鈍(CAL) →冷延→熱処理 (2)DC鋳造→加熱→熱延→冷延→中間焼鈍(CAL)→冷延→熱処理 (3)DC鋳造→加熱→熱延→冷延→中間焼鈍(バッチ)→冷延→熱処理 連続鋳造圧延(以下CCと略す) 冷却速度50℃/s以上 (4)CC →冷延→中間焼鈍(CAL)→冷延→熱処理 (5)CC→加熱→冷延 →中間焼鈍(CAL)→冷延→熱処理 (6)CC→加熱→冷延 →中間焼鈍(バッチ)→冷延→熱処理 (7)CC→冷延→加熱→冷延 →中間焼鈍(CAL)→冷延→熱処理 (8)CC→冷延→加熱→冷延 →中間焼鈍(バッチ)→冷延→熱処理 上記各製造方法のうち、Fe+Mn量に応じた最適な製
法について以下説明する。 a.Fe+Mn<0.7% この範囲では、いずれの鋳造方法を選択しても、晶出物
による曲げ性の劣化は少ないので、最終冷間圧延率によ
る強度アップは90%程度まで許容できる。ただし最終
冷間圧延率が30%以上無いと必要強度が得られない。
しかし、Mnによる強化は期待できないので、中間焼鈍
時に溶体化効果のあるCALを採用することが強度向上
のため必須である。従って、製造方法2,4,5,7が
望ましい。また冷却速度が速く鋳造時の固溶が期待でき
るCCを組み合わせた製造方法4,5,7が更に好まし
い。 b.0.5%<Fe+Mn<1.2% 晶出化合物が曲げ性に影響を与えるために、均質化の加
熱処理が必須と成る。従って製造方法1,2,3,5,
6,7,8が望ましい。またMnによる強度向上が期待
でき、その他の添加元素と組合わせることによりバッチ
タイプの中間焼鈍を用いても、曲げ性が許容される最終
冷間圧延率以内で必要強度が得られる。しかしこの組成
範囲の場合、最終冷間圧延率が多くなると、晶出化合物
の周辺に転位が優先的に蓄積して、曲げ加工時の割れの
基点となりやすい。また、これは晶出物のサイズにも影
響を受け、大きい方がより転位の偏析が大きくなり曲げ
性を悪くするので次の冷延率が好ましい。DC材の場
合:晶出物サイズはその平均径が3μm以上あるので最
終冷延率は80%以下とするのが好ましい。CC材の場
合:晶出物サイズはその平均径が2μm以下であるので
最終冷延率は90%まで許容できる。なお、最終冷延率
は、30%以上でないと必要強度は得られない。 c.1<Fe+Mn≦1.6% この組成範囲の場合、DC鋳造では粗大な晶出物が多く
なる。具体的には5μm以上のサイズの晶出物が板表面
で100個/0.2mm2以上生成する。このような晶
出物の分散では、圧下率を少なくしても、曲げ加工時に
加わる転位とあわさって、曲げ加工時に割れが生じてし
まう。従って、鋳造方法はCCの採用が必須となる。ま
た、晶出物を球状化・分散させるために加熱処理が必須
となる。CC材を加熱(加熱温度はb.の場合と同じ条
件)することによりデンドライト樹枝間の晶出物を球状
化・分散させ、5μm以上の粒子を10個/0.2mm
2より少なく微細晶出物をランダムに分散させることが
できる。しかし、この場合1μm以上の晶出物が200
0個/0.2mm2以上となるため、最終冷延率は80
%以下が望ましい。ただし最終冷延率は、30%以上で
ないと必要強度は得られない。この場合、強度への寄与
の大きなMnも充分に添加されているので、中間焼鈍は
CALでもバッチでもよい。したがって、製造方法5,
6,7,8が望ましい。Fe+Mnが上記の各区分にま
たがっている、0.5〜0.7%,1.0〜1.2%の
範囲は、Fe+Mnだけで一元的に製法が決まらずMn
以外の強化成分量・冷間圧延率・中間焼鈍方法によりど
ちらの製造方法でも可能である。Fe+Mn>1.6%
では鋳造方法としてCCを採用することにより晶出物の
3μm未満への微細化は達成できるが、1μm以上の個
数が4000個/mm2より多くなり晶出物個々での転
位の蓄積は少ないが、晶出物粒子間の距離が短くなるの
で複数個の晶出物のまわりに転位が集積してあたかも一
つの粗大な晶出物粒子があるような作用をしてしまう。
したがって、Fe+Mn≦1.6%とする。
【0009】上記製造方法のうち、共通するプロセスの
条件を以下に記す。 加熱: 500℃以上の温度が必要で高温である方がよいが、最
高温度はMg添加量により決まり、 (−25Mg重量
%+655)℃より低くする必要があり、これ以上では
共晶融解が起る。 中間焼鈍 CAL:加熱速度・冷却速度は1℃/s以上、到達温度
は380〜600℃、保持時間0〜10分とする。 バッチ:加熱速度・冷却速度は10〜100℃/Hr、
到達温度は300〜500℃、保持時間は30分以上と
する。 最終熱処理 バッチ:到達温度が100℃以上にならないと、転位の
回復が進まず材料が脆く曲げ性が劣る。しかし250℃
を超えると強度制御が難しい。よって温度範囲は100
〜250℃とする。保持時間は5分以上必要であるが、
あまり長時間熱処理しても効果が変わらないことから1
0時間以内がよい。なお最終熱処理は、無塗装の場合の
圧延板製造工程でのバッチ炉による処理だけでなく、塗
装有りの場合のバッチタイプの塗装ラインでの塗装焼付
け処理もここで言う最終熱処理に含まれる。 CAL:保持は短時間なので、到達温度は200℃以上
無いと転位の回復が進まず材料が脆く曲げ性が劣る。た
だし350℃を超えると再結晶温度近傍で、強度制御が
難しい。よって到達温度は200〜350℃とする。ま
た連続処理装置という設備上の特徴から保持時間は0〜
5分が好ましい。なお、無塗装の場合の圧延板製造工程
でのCALによる処理だけでなく、塗装有りの場合の連
続塗装ラインでの塗装焼付け等の連続加熱処理もここで
言う最終熱処理に含まれる。
【0010】元板の耐力は250N/mm2未満では、
タブ成形後1年経過した段階で経時軟化によりタブの強
度が不足してしまい、開缶した時にタブが折れ曲がり開
缶不良を起こす。これを防止するには板厚を厚くしたタ
ブ材を使用しなければならずコスト増となってしまう。
したがって、元板の耐力が250N/mm2以上である
ことが必要である。
【0011】また成形直後の耐力が高いだけでなく、経
時軟化しにくいことがステイオンタブ用アルミニウム合
金に要求される。経時軟化量は、本発明ではタブ成形後
の耐力と常温に放置して1年経過後の耐力との差(以
下、耐力差と略す)が50N/mm2未満であることが
望ましい。50N/mm2以上の耐力差が生ずると、成
形直後の強度が強くても経時軟化によりしだいに強度不
足となり、ステイオンタブのように梃子の原理でスコア
ー部をこじ開けるメカニズムでは開缶時にタブが屈曲し
て開缶不良を起こす。
【0012】
【実施例】次に本発明の実施例を示す。表1は実施例に
用いたアルミニウム合金の合金成分組成である。ここで
A,Bは各々製造方法において上述した各組成範囲に入
るものであり、は0.5%<Fe+Mn<1.2%、
は1<Fe+Mn≦1.6%の条件を満たすものであ
る。または、従来合金の5182に相当するものであ
る。または、本発明の条件であるFe+Mn≦1.6
%から外れたものである。
【0013】
【表1】
【0014】表2に各実施例の製造方法を示す。鋳造は
DC鋳造で厚さ500mm、CCで厚さ7mmの2通り
行なった。中間焼鈍はCALで行ったものでは加熱速度
・冷却速度とも約20℃/s、保持無しの条件で、バッ
チ炉(BAFと略す)で行ったものは加熱速度・冷却速
度約35℃/h、保持2時間の条件で行った。最終熱処
理は、160℃または190℃x2hrのものはバッチ
タイプの焼鈍炉で行い、200℃x20minのものは
バッチタイプの塗装焼付炉相当の炉で行い、270℃x
20sのものは連続タイプの塗装焼付炉相当の炉で行っ
た。表2に示す各試料番号について説明すると、 ・No1〜4は、0.5%<Fe+Mn<1.2%を満
たす合金に対して、Noは前述した製造方法(2)
を、Noは製造方法(3)を、Noは製造方法
(5)を、Noは製造方法(6)を適用したものであ
る。 ・NoはNoに対して元板の耐力を250N/mm
2未満となるような製造条件としたものである。 ・No、Noは1<Fe+Mn≦1.6%を満たす
合金に対して、前述した製造方法(7)を適用したも
のである。Noは最終熱処理をバッチで行ったもので
あり、NoはCALで行ったものである。 ・Noは従来合金を用いて従来法で製造したもので
ある。 ・Noは成分組成が本発明を外れる合金に前述した
製造方法(5)を用いて製造したものである。
【0015】
【表2】
【0016】各試料について強度、成形性、組織の評価
を行なった。その結果を表3に示す。ここで「15%圧
延後」とは、タブに成形することに相当する圧延率15
%の冷間圧延を施したものであり、「150℃x1h加
熱後」とは、タブに成形し常温下で1年経過した後の状
態に相当する促進加熱を施したものである。TSは引張
強度をあらわし、YSは0.2%耐力をあらわし、とも
に単位はN/mm2である。またElは伸びをあらわし
単位は%である。耐力差は、「15%圧延後」と「15
0℃x1h加熱後」との耐力の差、すなち1年間にお
ける経時軟化量に相当する経時軟化量を示している。曲
げ性の評価は繰り返し曲げ試験及び曲げ試験で行った。
繰り返し曲げ試験は図1に示すように、試験片をつかみ
両側で90°の角度に曲げる行程を1回とし破断するま
での回数を示してある。また曲げ試験は図2に示すよう
な形状に曲げ半径1/2×(板厚)で曲げ、曲げ面2を
観察し、従来材を○とした比較を示してある。なお図で
RDは試験片の圧延方向を示す。組織の観察は、晶出物
として板表面を観察し1μm以上の粒子の個数を個/
0.2mm2単位で示してある。また晶出物として板
表面を観察し5μm以上の粗大な粒子の個数を個/0.
2mm2単位で示してある。また開缶性の評価はタブに
成形して缶蓋に取り付けた後、1年経過に相当する15
0℃x1hの促進加熱処理を行い開缶して開缶できたも
のを○、開缶時に強度不足のためタブが屈曲して開缶で
きなかったものを×とした。
【0017】
【表3】
【0018】上記表3に示す通り、いずれの条件におい
ても従来例・比較例に対して発明例は強度、曲げ性は従
来材と同等もしくは良好であり、しかも耐力の減少すな
わち経時軟化は従来材より少なく、1年経過後相当の促
進加熱後の耐力は発明例の方が従来例より高い値を示し
ている。以下、個々について説明する。 [No] 0.5%<Fe+Mn<1.2%を満たす合金を用い
て前述した製造方法(2)により製造したものである。
強度は従来例Noよりやや低いもののほぼ同等であ
り、しかも耐力の減少が少ない。 また繰り返し曲げ性
は微細な晶出物、粗大な晶出物ともに従来例No
と同等に晶出しているため同程度の性能となっている。 [No] 0.5%<Fe+Mn<1.2%を満たす合金を用い
て前述した製造方法(3)により製造してものである。
Noと同様の性能であるが、中間焼鈍をバッチにより
行っているため強度がNoよりは低めになっている。 [No] 0.5%<Fe+Mn<1.2%を満たす合金を用い
て前述した製造方法(5)により製造したものである。
強度は元板、15%圧延後ともに従来例Noと同じ強
さとなっており、しかも経時軟化が少なく1年間経過相
当の状態でも従来例Noでは耐力が294N/mm2
まで落ちているのに対して発明例Noは345N/m
2であり、充分な強度を維持している。また微細な晶
出物は多くなっているものの曲げ性、繰り返し曲げ性
でも従来例Noと同等である。 [No] 0.5%<Fe+Mn<1.2%を満たす合金を用い
て前述した製造方法(6)により製造したものである。
中間焼鈍をバッチで行ったため、Noと比較して強度
はやや下がったものの繰り返し曲げ性が向上している。 [No] Noに対して元板の耐力を250N/mm2未満とし
た比較例である。経時軟化は少ないものの、1年経過後
の耐力が245N/mm2と他の材料に比較して低く、
このため開缶性が悪い。 [No] 1<Fe+Mn≦1.6%を満たす合金を用いて前述
した製造方法(7)により製造したものである。No1
〜Noまでの合金に対してMg量がさらに少ない組成
だが、Mn量を多くしてあることにより従来例No
ほぼ同等の強度となっている。また耐力差も小さい。晶
出物が他の発明例よりも多いが曲げ性、繰り返し曲げ性
とも同等の性能となっている。 [NoNo6に対して最終熱処理をCALにより行ったもので
ある。 15%圧延後における強度はNoよりやや低い
が、耐力差は20N/mm2と最も経時軟化量が少な
く、また引張強さの減少も少ない。また成形性、開缶性
ともNoと同等の性能を示す。 [No] 従来合金を用いて従来法で製造したものである。元板
および15%圧延後すなわちタブ成形後相当時には高い
強度を示すものの1年間経過相当の150℃x1hの促
進加熱後には耐力は76N/mm2も低下しており、大
きな経時軟化を示している。また引張強さも29N/m
2低下している。また粗大な晶出物が多くなってい
るため、繰り返し曲げ性もそれほど良くはない。 [No] 成分組成が本発明の請求の範囲から外れる合金を用い
た比較例である。Mn+Fe量が多いためMg量が少な
くても従来例と同等の強度を示す。しかし、微細な晶出
物が非常に多く晶出しているため、曲げ性、繰り返し
曲げ性ともに極めて悪い。以上述べたように、本発明に
かかるアルミニウム合金板は元板およびタブ成形直後で
の引張強さ、耐力は従来材と同等であるか多少低い程度
であり、しかも経時軟化しにくいものである。また曲げ
性、繰り返し曲げ性等の成形性においても従来材と同等
ないしは従来材以上の性能となっている。
【0019】
【効果】以上詳述したように、本発明によれば、ビール
缶、炭酸飲料缶等のステイオンタブ材において要求され
る強度ならびに曲げ加工性を満し、かつタブ成形後の経
時軟化が少ないという優れたステイオンタブ用アルミニ
ウム合金板を提供することができる。すなわち、元板お
よびタブ成形後の強度は従来材と同等の充分な強さを示
すとともに、経時軟化による強度低下が少ないことから
タブ材成形後ないしは製品製造後から長期間経過した後
でもタブ材として必要な強度を維持することができる。
従って、缶を開けるときにタブが強度不足で屈曲してし
まい開けられないという問題がない。更には充分な強度
を長期間維持することができるため、近年タブ材に要求
されている高強度薄肉化に対しても充分対応できる。ま
た、詳述したように本発明に係るアルミニウム合金板の
製造では特殊な設備・厳しい製造条件を必要とせず、各
工程そのものは実施可能な方法を最適となるような組合
せで行なうことにより優れたステイオンタブ用アルミニ
ウム合金板を得ることができる。従ってコスト等の製造
面においても優れたものである。さらに、合金成分組成
に応じて製造方法を適宜選択することにより元板強度、
成形性、経時軟化量のいずれかにおいて特に優れた性能
を示すアルミニウム合金板を得ることができる。従っ
て、必要度の高い性能に着目して製造条件を選択するこ
とにより、よりコストを下げることができる。このよう
に、本発明に係るステイオンタブ用アルミニウム合金板
は強度、成形性等の性能の安定性でもコスト等の製造面
でも優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における繰り返し曲げ試験を示
す断面図である。
【図2】本発明の実施例における曲げ試験を示す斜視図
である。
【符号の説明】
1 曲げライン 2 曲げ観察面 RD 圧延方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭51−4010(JP,A) 特開 平1−312053(JP,A) 特開 平3−47939(JP,A) 実開 平2−270930(JP,U)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で(以下、同じ)Mg:1〜3
    %、および組織微細化・安定化のためTi:0.005
    〜0.20%を単独であるいはB:0.0005〜0.
    04%とともに含有し、さらにFe:0.01〜0.6
    %、0.2<Mn≦1.2%のうちの1種又は2種を含
    み、かつFeのみの場合は0.4<Fe≦0.6%、両
    方含む場合はFe+Mn≦1.6%とし、さらにSi:
    0.05〜0.5%、Cu:0.05〜0.5%、C
    r:0.05〜0.3%、Zn:0.1〜0.5%のう
    ちの1種又は2種以上を含み、残部がAl及び不可避不
    純物からなり、耐力が250N/mm2以上で経時軟化
    しにくいステイオンタブ用アルミニウム合金板。
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