JPH0730430B2 - 絞り成形加工向けAl合金板およびその製造方法 - Google Patents

絞り成形加工向けAl合金板およびその製造方法

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JPH0730430B2
JPH0730430B2 JP63233319A JP23331988A JPH0730430B2 JP H0730430 B2 JPH0730430 B2 JP H0730430B2 JP 63233319 A JP63233319 A JP 63233319A JP 23331988 A JP23331988 A JP 23331988A JP H0730430 B2 JPH0730430 B2 JP H0730430B2
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伸二 照田
和博 深田
政文 溝内
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、ビンのキャップやクロージャー等の包装容
器あるいは螢光灯の口金、その他各種器物等に使用され
る絞り加工向けのアルミニウム合金軟質板およびその製
造方法に関するものである。
従来の技術 ビンのキャップやクロージャー、あるいは螢光灯の口金
等として絞り成形加工が施されて使用される用途には一
般アルミニウム金属の軟質材(O材)が用いられてい
る。そして従来このようなアルミニウム合金としては、
主としてJIS 1100合金やJIS 3003合金あるいはAA8011合
金が用いられている。これらのアルミニウム合金を前述
のような用途に供するにあたっては、一般にDC鋳造法
(半連続鋳造法)によって鋳塊を得、その鋳塊に均質化
処理を施した後、熱間圧延し、さらに冷間圧延および焼
鈍を施すのが通常である。このようにして製造された従
来の絞り成形加工用アルミニウム合金軟質板は絞り成形
性が良好でまたある程度の強度も得られていた。
発明が解決すべき課題 前述のように従来の絞り成形加工用アルミニウム合金軟
質板の製造にはDC鋳造法を適用していたが、近年は、コ
ストダウンや薄肉化の要請から、連続鋳造法(薄板連続
鋳造圧延法)を適用して、合金溶湯から板厚3〜15mm程
度の鋳造板を直接に得、熱間圧延を省略する手法が検討
されている。ところが連続鋳造法を適用した場合、鋳造
時の冷却速度が高いため、アルミニウムマトリックス中
への合金元素の固溶量が多くなり、そのため冷間圧延後
に焼鈍した際の昇温速度が遅い場合、再結晶粒が異常に
成長した組織となって、絞り成形性が悪くなるととも
に、絞り成形時に肌荒れやフローラインが生じ易くなる
問題が生じ、またこの場合成形歩留りに関係する絞り成
形時の耳率も高くなってしまう問題が生じる。
この発明は以上の事情を背景としてなされたもので、連
続鋳造を適用しながらも、絞り成形性が良好でかつ絞り
成形加工時の耳率の低いアルミニウム合金板を提供する
ことを目的とするものである。
課題を解決するための手段 本発明者等は前述の目的を達成するべく鋭意実験・検討
を重ねた結果、連続鋳造を適用する場合における合金の
成分成織を適切に調整するとともに、最終冷間圧延前の
状態におけるアルミニウムマトリックス中のFeの固溶量
を適切に調整することによって絞り成形性が良好で耳率
が低い絞り成形加工用Al合金板が得られることを見出
し、この発明をなすに至った。また合金の製造過程にお
いて、連続鋳造法を適用して鋳造時の冷却速度を高めた
場合に、冷間圧延の間の中間熱処理を急速昇温、急速冷
却とし、しかも冷間圧延と中間熱処理とを2回以上繰返
すことによって、絞り成形性に優れかつ耳率の低い絞り
成形加工用Al合金板が得られることを見出し、この発明
をなすに至った。
したがって請求項1および請求項2の発明は、最終冷間
圧延およびそれに引続く最終焼鈍が施される前の状態の
Al合金板における成分組成とFe固溶量を規定したもので
あり、また請求項3および請求項4の発明は、連続鋳造
法を適用して絞り成形加工用Al合金板を製造する方法の
プロセスを規定したものである。
具体的には、請求項1の発明は、50℃/sec以上の冷却速
度で連続鋳造した連続鋳造板を用いて作成したAl合金板
であって、しかも圧延率30%以上の最終冷間圧延および
それに引続いて350℃以上の温度での最終焼鈍を施して
絞り成形加工の用途に供されるAl合金板において、Mg0.
1〜2.0wt%、Mn0.1〜2.5wt%、Fe0.1〜2.5wt%を含有
し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなり、かつアル
ミニウムマトリックス中のFe固溶量が200ppm以下である
ことを特徴とするものである。
また請求項2の発明は、50℃/sec以上の冷却速度で連続
鋳造した連続鋳造板を用いて作成したAl合金板であっ
て、しかも圧延率30%以上の最終冷間圧延およびそれに
引続いて350℃以上の温度での最終焼鈍を施して絞り成
形加工の用途に供されるAl合金板において、Mg0.1〜2.0
wt%、Mn0.1〜2.5wt%、Fe0.1〜2.5wt%を含有し、かつ
Cu0.05〜1.0wt%、Zn0.1〜1.0wt%の1種または2種を
含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなり、かつ
アルミニウムマトリックス中のFe固溶量が200ppm以下で
あることを特徴とするものである。
さらに請求項3の発明の絞り成形加工向けAl合金板の製
造方法は、Mg0.1〜2.0wt%、Mn0.1〜2.5wt%、Fe0.1〜
2.5wt%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物から
なるアルミニウム合金を、50℃/sec以上の冷却速度で連
続鋳造して板厚3〜15mmの連続鋳造板とし、次いで冷間
圧延と、それに続いて500〜620℃の範囲内の温度に10℃
/sec以上の加熱速度で昇温させ直ちにもしくはその温度
で120sec以下の保持を行なった後10℃/sec以上の冷却速
度で冷却する熱処理とを、2回以上繰返して行なうこと
によって、最終の冷間圧延の直前におけるアルミニウム
マトリックス中のFe固溶量が200ppm以下となるように調
整し、しかも前記繰返し工程中における最終の冷間圧延
の圧延率を30%以上とすることを特徴とするものであ
る。
そしてまた請求項4の発明の絞り成形加工向けAl合金板
の製造方法は、Mg0.1〜2.0wt%、Mn0.1〜2.5wt%、Fe0.
1〜2.5wt%を含有し、かつCu0.05〜1.0wt%、Zn0.1〜1.
0wt%の1種または2種を含有し、残部がAlおよび不可
避的不純物からなるアルミニウム合金を、50℃/sec以上
の冷却速度で連続鋳造して板厚3〜15mmの連続鋳造板と
し、次いで冷間圧延と、それに続いて500〜620℃の範囲
内の温度に10℃/sec以上の加熱速度で昇温させ直ちにも
しくはその温度で120sec以下の保持を行なった後10℃/s
ec以上の冷却速度で冷却する熱処理とを、2回以上繰返
して行なうことによって、最終の冷間圧延の直前におけ
るアルミニウムマトリックス中のFe固溶量が200ppm以下
となるように調整し、しかも前記繰返し工程中における
最終の冷間圧延の圧延率を30%以上とすることを特徴と
するものである。
作 用 本願各発明の絞り成形加工向けAl合金板における合金成
分は、主として材料の強度を高めるとともに、方向性の
安定化やキャップ等に使用された際のピルファーすなわ
ちひきちぎり性を高めるために添加するものであり、先
ず請求項1の発明の絞り成形加工向けAl合金板における
成分限定理由を説明する。
Mg: Mgはアルミニウムマトリックスに固溶し、O材強度を高
めるに有効な元素である。但し、この発明の方法の場
合、鋳造時の冷却速度を高めて強制的に他の成分も固溶
させておりしかも焼鈍時の加熱冷却も速めている。した
がってMgのみならず他の合金元素もそれぞれ強度向上に
有効に作用するから、DC鋳造の場合のように4wt%も添
加する必要はない。ここで、Mg添加量が0.1%未満では
急速加熱焼鈍時にかえって異常粒成長が生じて絞り成形
性を害するおそれがある。一方Mg添加量が2.0wt%を越
えれば、冷間圧延性が低下して、冷間圧延中に耳割れが
発生し易くなり、歩留りが低下するとともに操業上問題
が生じる。したがってMg添加量は0.1〜2.0wt%の範囲内
とした。
Mn: Mnは強度向上に寄与するとともに、ひきちぎり性の向上
に有効な元素である。特にこの発明で用途としているビ
ンのキャップやクロージャー等に使用される絞り成形加
工用材料においては、ある程度の強度を有しながらひき
ちぎり性が優れた素材が要求されており、したがってMn
の添加は必要である。Mn0.1wt%未満では上記の効果が
得られず、一方2.5wt%を越えた場合上記の効果は得ら
れるものの、冷間圧延性が極端に低下するとともに鋳造
性も極めて悪くなる。したがってMn添加量は0.1〜2.5wt
%の範囲内とした。
Fe: FeはMnと同様に鋳造時には強制的に固溶させられるが、
鋳造以降のプロセスと関連してその固溶性を制限するこ
とによって方向性の制御、ひきちぎり性の向上に極めて
有効に作用する元素である。なおFeの添加はMnの固溶量
を著しく減少させはするが、Mnの固溶量の減少は逆に微
細な析出物を生ぜしめることになるから、その微細析出
物の分散によるO材強度の向上にも有用である。Fe添加
量が0.1wt%未満ではこれらの効果が得られず、一方2.5
wt%を越えてFeを添加すれば析出物が粗大化してO材強
度を制御しにくくなる。したがってFeの添加量は0.1〜
2.5wt%の範囲内とした。なおFe添加効果が最も有効に
作用する範囲は0.8〜1.3wt%の範囲内であり、したがっ
てFe添加量は特に0.8〜1.3wt%の範囲内とすることが望
ましい。
以上のように請求項1の発明のAl合金板においては、必
須合金成分としてMg,Mn,Feを添加し、Mgの固溶による強
化と、遷移元素であるMn,Feの分散強化効果による強度
向上を図るとともに、方向性の安定化や絞り成形加工用
素材として必要なひきちぎり性の向上、さらには冷間圧
延性の向上を考慮している。
さらに請求項2の絞り成形加工向けAl合金板では、上述
のMg,Mn,Feのほか、Cuおよび/またはZnを添加して、M
g,Mn,Feによる前述の効果のほか、さらに塗装焼付け時
における時効硬化を利用して焼付け塗装後の強度向上を
図っている。次に請求項2の発明の絞り成形加工向けAl
合金板におけるCu,Znの添加量限定理由を説明する。
Cu: Cuは前述のように塗装焼付け処理時において時効硬化を
図り、これにより塗装焼付け後の板の強度向上を図るに
有効である。この効果は、Al−Cu−Mg系析出物の析出過
程で生じる。この効果を得るためには、少なくとも0.05
wt%以上のCuの添加が必要である。一方Cuを1.0wt%以
上添加した場合、時効硬化は容易に得られるものの、冷
間圧延中に加工硬化しやすくなり、絞り成形加工性を損
なう。したがってCuの添加量は0.05〜1.0wt%の範囲内
とした。
Zn: ZnもMg,Cuとの相互作用によて時効硬化が期待できるこ
とは良く知られており、この発明においてもZnの添加は
塗装焼付け処理時における時効硬化による塗装焼付け後
の板の強度向上を図っている。Znの添加量が0.1wt%未
満ではその結果が得られず、一方、1.0wt%を越えてZn
を添加すれば、強度は向上するものの、加工硬化性が強
くなって絞り成形加工性が極端に損なわれる。したがっ
てZnの添加量は0.1〜1.0wt%の範囲内とした。
以上の各成分の残部は、本願のいずれの発明においても
Alおよび不可避的不純物とすれば良い。
なお通常のアルミニウム合金においては、鋳塊の結晶粒
微細化のためにTi、あるいはTiおよびBを微量添加する
ことがあり、この発明の成形用アルミニウム合金硬質板
においても、微量のTi、もしくはTiおよびBを含有して
いても良い。但し、Tiを添加する場合、その添加量が0.
01%未満ではTi添加の効果が得られず、0.50%を越えれ
ば初晶TiAl3が晶出して成形性を害するから、Tiは0.01
〜0.50%の範囲内とすることが好ましい。またTiととも
にBを添加する場合、Bの添加量が1ppm未満ではB添加
の結果がなく、一方1000ppmを越えれば、TiB2の粗大粒
子が混入して成形性を害するから、Bは1ppm〜1000ppm
の範囲内とすることが好ましい。
さらに請求項1および2の絞り成形加工向けAl合金板に
おいては、最終冷間圧延前の状態においてアルミニウム
マトリックス中に固溶しているFeの固溶量が200ppm以下
でなければならない。すなわち請求項1および2のAl合
金板は、その後30%以上の最終冷間圧延を施しさらにそ
れに続いて350℃以上の温度での最終焼鈍を施して所定
の板厚を軟質板として絞り成形加工に供されるものであ
るが、その最終冷間圧延前の状態の板として、アルミニ
ウムマトリックス中のFe固溶量が200ppm以下である必要
がある。このFeの固溶量は絞り成形加工における方向性
と密接に関係し、Fe固溶量が200ppmを越えれば絞り成形
加工時に45゜耳が強くなってしまい、絞り成形加工向け
のAl合金板として不適当となる。なおこの段階でのFe固
溶量は特に80〜160ppmの範囲内とすることが望ましく、
この場合には最終処理後の絞り成形加工時に耳の発生の
全くない所謂ノンイヤー材を得ることができる。
次に請求項3、請求項4の発明、すなわち製造方法の発
明について説明する。
先ず前述のような成分組成を有する合金の溶湯を常法に
したがって溶製し、薄板連続鋳造法(連続鋳造圧延法)
等の連続鋳造法によって板厚3〜15mmの板に連続鋳造
し、コイル状に巻取る。この連続鋳造時における冷却速
度は50℃/sec以上の速い冷却速度とする必要がある。本
来、遷移金属であるFe,Mnは、アルミニウムに対し固溶
しにくく、鋳造時の冷却速度が低い場合には大半が晶出
してしまうから、既に述べたようなFe,Mnの強制固溶に
よる効果を図るためには、50℃/sec以上の冷却速度が必
要となるのである。なおFeは50℃/sec以上の冷却速度と
してもある程度は晶出あるいは析出してしまう。しかし
ながら、この発明の成分組成範囲内であれば、50℃/sec
以上の速い冷却速度では晶出物や析出物は極めて微細な
ものとなり、強度向上の点からはむしろ有利に作用す
る。
上述のようにして得られた連続鋳造板に対しては、引続
いて冷間圧延と熱処理(焼鈍)とを2回以上繰返して行
なう。すなわち、連続鋳造板に対して一次冷間圧延を施
して中間板厚とした後、第1次の熱処理(中間熱処理)
を行ない、さらに最終冷間圧延を施して製品板厚とした
後、最終の熱処理を施しても良く、あるいは一次冷間圧
延および第1次の熱処理を施した後、さらに冷間圧延と
熱処理とを2回以上繰返して行なっても良い。この過程
における熱処理は、固溶したCu,Zn,Mgによる時効硬化や
遷移金属Fe,Mnによる分散強化効果を損なうことなく圧
延性を改善し、かつまた方向性および絞り成形性の改善
を図るためになされるものである。この熱処理において
は、加熱中(昇温中)および冷却中に析出が生じないよ
うに、加熱速度および冷却速度はいずれも10℃/sec以上
が必要であり、また完全に再結晶した均一な組織を得る
ためには500℃/sec以上の到達温度が必要となるが、620
℃をを越えれば共晶溶融が発生して操業中に板切れが発
生するおそれがあるから、到達温度は500〜620℃の範囲
内とした。この500〜620℃の範囲内の温度での保持は、
極力短かい方が析出の制御が容易となるが、120秒以下
であれば許容される。なおこのような10℃/sec以上の急
速加熱、急速冷却でしかも保持なしもしくは120sec以下
の短時間保持の熱処理は、連続焼鈍炉を用いることによ
って達成できる。
また上記の過程における冷間圧延のうち、最終の冷間圧
延(最終の熱処理前のもの)は、圧延率を30%以上とす
る必要がある。最終の冷間圧延率が30%未満では最終焼
鈍時の結晶方位回転が起こりづらく、焼鈍後の絞り成形
加工時の45゜耳が高くなってしまう。
なおまた上記の過程においては、最終の冷間圧延直前の
板におけるアルミニウムマトリックス中のFe固溶量が20
0ppm以下、好ましくは80〜160ppmとなるように調整す
る。このようにすることによって絞り成形加工時におけ
る耳率の低い方向性の優れた素材を得ることができる。
以上のように連続鋳造板に対して冷間圧延と急熱・急冷
の熱処理とを2回以上繰返し行ない、かつ最終の冷間圧
延前のアルミニウムマトリックス中のFe固溶量を調整す
ることによって、絞り成形用素材としての必要条件であ
る耳率が低く、結晶粒が細かくし、しかもO材強度が高
く、絞り成形加工性に優れたAl合金板を得ることができ
る。
なお、上述の急熱・急冷による熱処理(焼鈍)では溶体
化効果が得られるから、最終の焼鈍後、さらに安定化処
理として、100〜250℃の熱処理(人工時効処理)を施し
ても良く、斯くすればより強度の高い材料を得ることが
できる。
実 施 例 [実施例1] 第1表に示すような本願の請求項1の発明で規定してい
る成分組成範囲内の符号A〜Dの合金と、従来合金であ
るJIS 1100合金の成分組成の符号Eの合金とについて、
第2表に示すようなプロセスを適用して、最終板厚1.0m
mの圧延板を得た。ここで、第2表において合金A,Cに対
するプロセス条件は本願の請求項3の発明のプロセス条
件範囲内、合金B,D,Eに対するプロセス条件はそのプロ
セス条件範囲外である。この製造過程中における最終冷
間圧延直前の各板におけるアルミマトリックス中のFe固
溶量を第3表中に示し、また最終的に得られた各圧延板
について機械的性質、およびフローラインを含めた再絞
り成形性を調べた結果を第3表中に示す。
第3表に示すように、この発明のプロセス条件に従って
製造した絞り成形加工向けAl合金板(合金符号A,C:本発
明例)では、従来例(1100合金)もしくは比較例による
圧延板と比較して、O材強度が格段に優れ、しかも絞り
成形加工時の耳率が低いとともにフローラインを含めた
絞り成形性にも優れた素材であることが明らかである。
[実施例2] 第4表に示すような本願発明の請求項2の発明で規定し
ている成分組成範囲内の符号F〜Hの合金と、従来合金
であるAA8011合金の成分組成の符号Iの合金およびJIS
1100合金の成分組成の符号Eの合金とについて、第5表
に示すようなプロセスを適用して、最終板厚0.22mmの圧
延板を得た。ここで、第5表における合金F,Hに対する
プロセス条件は本願の請求項4の発明のプロセス条件範
囲内、合金G,I,Eに対するプロセス条件はそのプロセス
条件範囲外である。製造過程中における最終冷間圧延直
前の各板のアルミニウムマトリックス中のFe固溶量を第
6表中に示し、また最終的に得られた各圧延板につい
て、塗装焼付け処理(ベーキング)に相当する200℃×2
0minの安定化熱処理後の機械的性質、およびフローライ
ンを含めた絞り成形性を調べた結果を第6表に示す。
第6表に示すように、この発明のプロセス条件に従って
製造した絞り成形加工向けAl合金板(合金符号F,H:本発
明例)では、従来例もしくは比較例による圧延板と比較
して、塗装焼付け処理後に強度が向上し、しかもフロー
ライン発生状況も含めた絞り成形性が格段に優れている
ことが明らかである。
発明の効果 以上の説明で明らかなようにこの発明によれば、従来材
よりも成形後の強度に優れ、しかも連続鋳造を適用した
にもかかわらず絞り成形性も優れていて、耳率、フロー
ラインの点においても優れた絞り成形加工向けのAl合金
板を得ることができる。したがってこの発明によればビ
ンのキャップやクロージャー等の包装容器あるいは螢光
灯の口金、その他各種器物などの薄肉化、高強度化を図
ることができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】50℃/sec以上の冷却速度で連続鋳造した連
    続鋳造板を用いて作成したAl合金板であって、しかも圧
    延率30%以上の最終冷間圧延およびそれに引続いて350
    ℃以上の温度での最終焼鈍を施して絞り成形加工の用途
    に供されるAl合金板において、 Mg0.1〜2.0wt%、Mn0.1〜2.5wt%、Fe0.1〜2.5wt%を含
    有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなり、かつア
    ルミニウムマトリックス中のFe固溶量が200ppm以下であ
    ることを特徴とする絞り成形加工向けAl合金板。
  2. 【請求項2】50℃/sec以上の冷却速度で連続鋳造した連
    続鋳造板を用いて作成したAl合金板であって、しかも圧
    延率30%以上の最終冷間圧延およびそれに引続いて350
    ℃以上の温度での最終焼鈍を施して絞り成形加工の用途
    に供されるAl合金板において、 Mg0.1〜2.0wt%、Mn0.1〜2.5wt%、Fe0.1〜2.5wt%を含
    有し、かつCu0.05〜1.0wt%、Zn0.1〜1.0wt%の1種ま
    たは2種を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物より
    なり、かつアルミニウムマトリックス中のFe固溶量が20
    0ppm以下であることを特徴とする絞り成形加工向けAl合
    金板。
  3. 【請求項3】Mg0.1〜2.0wt%、Mn0.1〜2.5wt%、Fe0.1
    〜2.5wt%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物か
    らなるアルミニウム合金を、50℃/sec以上の冷却速度で
    連続鋳造して板厚3〜15mmの連続鋳造板とし、次いで冷
    間圧延と、それに続いて500〜620℃の範囲内の温度に10
    ℃/sec以上の加熱速度で昇温させ直ちにもしくはその温
    度で120sec以下の保持を行なった後10℃/sec以上の冷却
    速度で冷却する熱処理とを、2回以上繰返して行なうこ
    とによって、最終の冷間圧延の直前におけるアルミニウ
    ムマトリックス中のFe固溶量が200ppm以下となるように
    調整し、しかも前記繰返し工程中における最終の冷間圧
    延の圧延率を30%以上とすることを特徴とする絞り成形
    加工向けAl合金板の製造方法。
  4. 【請求項4】Mg0.1〜2.0wt%、Mn0.1〜2.5wt%、Fe0.1
    〜2.5wt%を含有し、かつCu0.05〜1.0wt%、Zn0.1〜1.0
    wt%の1種または2種を含有し、残部がAlおよび不可避
    的不純物からなるアルミニウム合金を、50℃/sec以上の
    冷却速度で連続鋳造して板厚3〜15mmの連続鋳造板と
    し、次いで冷間圧延と、それに続いて500〜620℃の範囲
    内の温度に10℃/sec以上の加熱速度で昇温させ直ちにも
    しくはその温度で120sec以下の保持を行なった後10℃/s
    ec以上の冷却速度で冷却する熱処理とを、2回以上繰返
    して行なうことによって、最終の冷間圧延の直前におけ
    るアルミニウムマトリックス中のFe固溶量が200ppm以下
    となるように調整し、しかも前記繰返し工程中における
    最終の冷間圧延の圧延率を30%以上とすることを特徴と
    する絞り成形加工向けAl合金板の製造方法。
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