JP2611799B2 - マニュプレータ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は、ワーク供給装置、ワーク搬出装置或いは
成型品取出装置等の各種産業ロボット装置においてワー
クを所定の位置から所定の位置へ移動させるマニュプレ
ータに関する。

［従来技術］ 例えば成型品取出装置のような従来のマニュプレータ
は、本体フレーム上におけるワークの取出位置と解放位
置との間にて電動モータ或いはシリンダの作動に伴って
移動可能に支持された走行部材と、該走行部材に設けら
れた前後シリンダにより前後動されるホルダと、該ホル
ダに取付けられた上下シリンダにより上下動してワーク
をチャッキングするチャック部材とから構成されてい
る。そして前記電動モータ、前後シリンダ及び上下シリ
ンダの作動に伴って前記チャック部材を三次元移動させ
ることによりワークを成形機から自動的に取出してい
る。

［発明が解決しようとする問題点］ 上記した構造のマニュプレータにあっては、ワークを
チャッキングするチャック部材の移動速度が電動モータ
の回転速度或いはシリンダの移動速度に大きく依存して
いるが、回転速度或いは移動速度を高速化するのに限界
があるとともに、例えば上記した走行部材或いはホルダ
を高速移動させた場合にはその停止時に作用する大きな
慣性力によりチャック部材を大きく振動し、この振動が
収束するまでに時間がかかっている。このため、チャッ
ク部材によるワークの取出し動作、供給動作へ直ちに移
ることが出来ず、全体としてのワーク移動時間が長くな
る問題を有している。

［発明の目的］ 本発明の目的は、上記した従来の欠点に鑑み、チャッ
ク部材の振動を抑制しながらワークを高速移動させ、全
体としての作業時間を短縮することが可能なマニュプレ
ータを提供することにある。

［問題点を解決するための手段］ このため本発明は、ワークを所定の位置へ移動するマ
ニュプレータにおいて、フレームに対し、ワーク移動方
向へ移動可能に支持された可動部材と、前記可動部材を
往復動する駆動部材と、前記可動部材に対して所定の間
隔をおいて回転可能に支持された一対の第１プーリに連
結されるとともに一部が前記フレームに固定された第１
移動部材と、前記可動部材に対して所定の間隔をおいて
回転可能に支持された一対の第２プーリに連結された第
２移動部材と、少なくとも一方の第１プーリと第２プー
リとの間にて連結され、前記第１移動部材の移動に伴っ
て回転する第１プーリに対して前記第２プーリを所定の
回転数にて回転させて前記第２移動部材を移動させる変
速機構と、前記第２移動部材に取付けられ、前記ワーク
をチャッキングするチャック部材とからマニュプレータ
を構成している。

［発明の作用］ 本発明は上記のように構成されるため、駆動部材の駆
動に伴って可動部材が所要の方向へ移動されるとともに
該可動部材の移動に伴って第１プーリが第１移動部材に
より所定の回転数にて回転される。そして前記第１プー
リが回転されると、該第１プーリに対して変速機構を介
して連結された第２プーリが所定の変速比にて回転さ
れ、第２移動部材を該第２プーリの回転数に応じた所定
の速度にて移動させる。これにより前記第２移動部材に
取付けられたチャック部材にチャッキングされたワーク
が、前記可動部材及び第２移動部材の移動速度に応じた
速度にて移動される。

［実施例］ 以下、本発明のマニュプレータを成型品自動取出装置
に実施した一実施例を示す図面に従って説明する。

第１図は本発明のマニュプレータを実施した成型品自
動取出装置の概略を示す斜視図、第２図は第１図に示す
矢印II線方向の背面図、第３図はチャック部材の移動機
構の概略を示す背面斜視図であり、マニュプレータを構
成する成形品自動取出装置１は射出成形機（図示せず）
の成形部上方に取付けられ、該成型品自動取出装置１の
本体フレーム３はワークとしての成型品の取出位置と解
放位置とにわたる水平方向長さからなる。そして前記フ
レーム３の一方端には前方へ傾斜しながら垂下する支持
フレーム3aが設けられ、該支持フレーム3aの底面には本
体フレーム３の長手方向と直交する方向へ延びる一対の
レール3bが取付けられている。そして該レール3bには可
動フレーム５が前後方向へ移動可能に支持されている。
即ち、前記前記支持フレーム3aの垂下部には一方軸端に
ハンドル7aが設けられた送りねじ７が回転可能に支持さ
れ、該送りねじ７が前記可動フレーム５に噛合わされて
いる。そして前記送りねじ７が回動操作されると、前記
可動フレーム５がレール3bに沿って前後動される。

前記可動フレーム５には本体フレーム３の長手方向へ
向う直線ガイド部９が設けられ、該直線ガイド部０には
アルミニウム等の軽量材からなる可動部材11が移動可能
に支持されている。また、前記可動フレーム５には駆動
手段の一部を構成する電動モータ15が取付けられ、該電
動モータ15の回転軸には駆動手段の一部を構成する送り
ねじ13が連結されている。そして前記送りねじ13には前
記可動部材11の一端に設けられたナット部17が噛合わさ
れ、前記送りねじ13の回転に伴って前記可動部材11が軸
線方向へ移動される。

前記可動部材11の一側両端には所要の外径からなる一
対の第１プーリ19a・19bが回転可能に支持され、該第１
プーリ19a・19bには第１移動部材を構成するタイミング
ベルト21が張設されている。そして前記タイミングベル
ト21の一部は前記可動フレーム５に固定されている。こ
れにより回転する前記送りねじ13により可動部材11が軸
線方向へ移動されると、前記第１プーリ19a・19bが回転
される。

前記可動部材11の他側一方端には前記第１プーリ19a
のほぼ２倍の外径からなり、第２プーリの一方を構成す
る駆動プーリ23が前記第１プーリ19aが取付けられた軸2
2に固定されている。そして一方の第１プーリ19aに対し
て駆動プーリ23の外径比をほぼ２倍とすることにより変
速機構を構成している。また、前記可動部材11の他側他
方端にはステー25が固定され、該ステー25には第２プー
リの他方を構成する従動プーリ27が回転可能に支持され
ている。そして前記駆動プーリ23と従動プーリ27との間
には第２移動部材を構成するタイミングベルト29が張設
されている。尚、前記可動部材11には前記タイミングベ
ルト29の外周面を押圧してその緊張状態を保持するテン
ションロール30が回転可能に支持されている。

前記可動部材11の下端面には長手方向へ延びるレール
部11aが形成され、該レール部11aにはチャック部材の一
部を構成するチャック取付板31が摺動可能に支持される
とともに前記タイミングベルト29に固定されている。前
記チャック取付板31にはチャック部材の一部を構成する
チャック板33が反転機構、揺動機構等から構成される姿
勢制御部材35を介して取付けられている。このチャック
板33には成型品を吸着保持するチャック部材の一部を構
成する吸着部材37が取付けられている。

次に、上記のように構成された成型品自動取出装置１
の作用を第２図及び第４図に従って説明する。

第２図及びチャック部材の移動状態を示す第４図にお
いて、第２図に示す左方にて吸着部材37により成型品を
チャッキングしたのちに射出成形機からの成形終了信号
に基づいて駆動される電動モータ15により送りねじ13が
所要の方向へ回転されると、該送りねじ13に噛合わされ
たナット部17を介して可動部材11が第２図に示す右方に
向って移動される。このとき、前記可動部材11の両端側
に取付けられた第１プーリ19a・19bに張設されたタイミ
ングベルト21が可動フレーム５に固定されているため、
前記可動部材11の移動に伴って第１プーリ19a・19bが第
２図に示す実線矢印のＡ方向へ回転される。

一方、可動部材11の移動に伴って第１プーリ19a・19b
が回転されると、一方のプーリ19aに同軸に連結された
駆動プーリ23が前記第１プーリ19a・19bのほぼ２倍の速
度にて第２図に示す実線矢印Ｂ方向へ回転される。これ
により前記駆動プーリ23及び従動プーリ27に張設された
タイミングベルト29が第２図に示す実線矢印Ｃ方向へ移
動されるため、チャック板33が可動部材11の移動速度及
び第１プーリ19aのほぼ２倍の回転速度に応じた駆動プ
ーリ23の回転転速度にて第２図に示す実線矢印Ｄ方向へ
移動される。これにより吸着部材37により保持された成
型品は可動部材11及びタイミングベルト29の移動速度に
て第４図に示す右方へ移動される。

上記動作後にて作動される姿勢制御部材35によりチャ
ック板33が所要の向きに姿勢制御されたのちに吸着部材
37による吸着が解除されると、成型品が解放位置に取出
される。

このように本実施例は、チャック板33を送りねじ13の
回転に伴って移動する可動部材11と可動部材11の移動に
伴って回転する第１プーリ19a・19bのほぼ２倍の回転速
度で回転する駆動プーリ23により移動するタイミングベ
ルト29との移動速度にて成型品を取出すことが出来、成
型品の取出時間を短縮することが可能である。また、可
動部材11が比較的定速度で移動されるため、チャック板
33の振動を低減することが出来、次の動作へ短時間に移
ることが出来る。

上記説明は、射出成型された成型品自動取出装置に実
施した実施例に基づいて説明したが、例えば加工装置等
に対してワークを供給するワーク供給装置或いは前記加
工装備により加工されたワークを搬出するワーク搬出装
置に実施してもよい。そしてワークの移動態様として
は、水平方向へワークを移動させる構成、上下方向へワ
ークを移動させる構成或いは傾斜状態でワークを移動さ
せる何れのワーク移動態様であってもよい。

上記説明は、駆動部材を電動モータ15と送りねじ13と
により構成したが、エアーシリンダーで構成してもよ
い。また、第１及び第２移動部材をタイミングベルト21
・29により構成したが、何れか一方或いは両方をチェー
ンにより構成しても、また第１移動部材を第１プーリに
噛合うラックギャにより構成してもよい。

上記説明は、駆動プーリ23の外径を第１プーリ19a・1
9bのほぼ２倍とすることにより変速機構を構成したが、
第１プーリと第２プーリとの間に所定の変速比に応じた
歯数のギャを複数設けて変速機構を構成し、第１プーリ
の回転数に対して第２プーリを所定の変速比が回転させ
るものであってもよい。

［発明の効果］ これにより本発明は、チャック部材の振動を抑制しな
がらワークを高速移動させ、全体としての作業時間を短
縮することが可能なマニュプレータを提供することが可
能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のマニュプレータを実施した成型品自動
取出装置の概略を示す斜視図、第２図は第１図に示す矢
印II線方向の背面図、第３図はチャック部材の移動機構
の概略を示す背面斜視図、第４図は作用を示す正面図で
ある。 図中１はマニュプレータとしての成型品自動取出装置、
３は本体フレーム、５は可動フレーム、11は可動部材、
13は駆動手段の一部を構成する送りねじ、15は駆動手段
の一部を構成する電動モータ、19a・19bは第１プーリ、
21は第１移動部材を構成するタイミングベルト、23は第
２プーリの一方を構成する駆動プーリ、27は第２プーリ
の他方を構成する従動プーリ、29は第２移動部材を構成
するタイミングベルト、31はチャック部材の一部を構成
するチャック取付板、33はチャック部材の一部を構成す
るチャック板、37はチャック部材の一部を構成する吸着
部材である。

Claims (8)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ワークを所定の位置へ移動するマニュプレ
   ータにおいて、 フレームに対し、ワーク移動方向へ移動可能に支持され
   た可動部材と、 前記可動部材を往復動する駆動部材と、 前記可動部材に対して所定の間隔をおいて回転可能に支
   持された一対の第１プーリに連結されるとともに一部が
   前記フレームに固定された第１移動部材と、 前記可動部材に対して所定の間隔をおいて回転可能に支
   持された一対の第２プーリに連結された第２移動部材
   と、 少なくとも一方の第１プーリと第２プーリとの間にて連
   結され、前記第１移動部材の移動に伴って回転する第１
   プーリに対して前記第２プーリを所定の回転数にて回転
   させて前記第２移動部材を移動させる変速機構と、 前記第２移動部材に取付けられ、前記ワークをチャッキ
   ングするチャック部材と、 からなるマニュプレータ。
2. 【請求項２】前記第１移動部材は、チェーンからなる請
   求項１記載のマニュプレータ。
3. 【請求項３】前記第１移動部材は、ラックギャからなる
   請求項１記載のマニュプレータ。
4. 【請求項４】前記第１移動部材は、タイミングベルトか
   らなる請求項１記載のマニュプレータ。
5. 【請求項５】前記第２移動部材はチェーンからなる請求
   項2,3又は４記載のマニュプレータ。
6. 【請求項６】前記変速機構は、前記第１プーリと第２プ
   ーリとを所定の変速比に応じた外径比とした請求項１記
   載のマニュプレータ。
7. 【請求項７】前記駆動部材は、電動モータと前記可動部
   材に噛合う送りねじとからなる請求項１記載のマニュプ
   レータ。
8. 【請求項８】前記駆動部材は、シリンダーからなる請求
   項１記載のマニュプレータ。