JP2606790B2 - 折り曲げ加工用罫線入りポリオレフィン系樹脂多層シート及び折り箱 - Google Patents

折り曲げ加工用罫線入りポリオレフィン系樹脂多層シート及び折り箱

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JP2606790B2
JP2606790B2 JP6064390A JP6439094A JP2606790B2 JP 2606790 B2 JP2606790 B2 JP 2606790B2 JP 6064390 A JP6064390 A JP 6064390A JP 6439094 A JP6439094 A JP 6439094A JP 2606790 B2 JP2606790 B2 JP 2606790B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、罫線加工時や折り曲げ
時に破断がなく、しかも折り曲げ加工後の耐衝撃性に優
れており、かつ、デッドホールド性や内容物密封性に優
れた、折り曲げ加工用罫線入りポリオレフィン系樹脂多
層シートと、このシートより成形された折り箱に関する
ものであって、各種の食品,飲料等の充填密封に好適に
用いることができる。
【0002】
【従来の技術】従来、食品,飲料等の充填容器として紙
カートンが用いられていたが、近時、合成樹脂シートを
折り曲げ加工した折り箱も提案されている。このような
折り箱を成形するにあたり、合成樹脂シートに、押圧に
より罫線を入れ、屈曲により折り箱を成形した場合に
は、弾性回復により所望の角度で折ることができなかっ
た。このため、合成樹脂シートに充填剤を入れると、所
望の折れ角度は改善される(デッドホールド性が改善さ
れる)ものの、厚みを厚くした場合、罫線部が破断した
り、非常に弱くなり、折り箱としての内容物密封強度が
著しく低下してしまうという問題があった。
【0003】このように押圧による罫線加工時に、罫線
部の破断や強度低下が起こるため、デッドホールド性の
改善と内容物密封強度の改善が望まれていた。そこでポ
リオレフィン系樹脂を含有する中心層の両側に、無機充
填剤を配合した樹脂層を形成し、更にそれら両層の外側
にポリオレフィン系樹脂よりなる層を配置することによ
り、耐衝撃性を改善することが提案されている。
【0004】しかしながら、樹脂の種類によっては、罫
線加工時に表面のポリオレフィン系樹脂層が押し切られ
たり、折り曲げ加工時に表面のポリオレフィン系樹脂層
が引っ張られて破断したり、さらに外側のポリオレフィ
ン系樹脂層が厚いとデッドホールド性を損なったりする
という問題があった。また、シートの全厚みが厚いと折
り曲げ加工時に全層が破断したりするなどの問題があっ
た。
【0005】また、通常使用されている紙カートンは、
中層にアルミニウムを入れてガスバリヤー性を付与して
いるため、焼却炉で燃焼させることができなかったり、
リサイクルすることができないなどの問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のこの
ような問題を解消し、罫線加工時や折り曲げ時に破断が
なく、しかも折り曲げ加工後の耐衝撃性に優れており、
かつ、デッドホールド性や内容物密封性に優れた、折り
曲げ加工用罫線入りポリオレフィン系樹脂多層シート
と、このシートより成形された折り箱を提供することを
目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は第1
に、折り箱用に罫線加工が施された、全厚みが50μm
以上、かつ、2000μm以下である少なくとも3層構
造の多層シートであって、容器外側面となる最外層より
内側へ向かって数えて2番目の第2層が無機質充填剤を
20〜70重量%含むポリオレフィン系樹脂よりなると
共に、最外層となる第1層と、第3層目以降の少なくと
も1層とが、破断点伸度500%以上、かつ、1200
%以下のポリオレフィン系樹脂からなるものであること
を特徴とする折り曲げ加工用罫線入りポリオレフィン系
樹脂多層シートを提供するものである。
【0008】さらに本発明は第2に、前記本発明の第1
のシートより成形された折り箱を提供するものである。
【0009】本発明の折り曲げ加工用罫線入りポリオレ
フィン系樹脂多層シートは、少なくとも3層構造のもの
である。以下、本発明の多層シートを図面に基づいて説
明する。図1は本発明の多層シートの1態様(4層構造
のもの)を示す説明図である。また、図2は、この本発
明の多層シートの1態様(4層構造のもの)について、
90度折り曲げ加工したときの状態を示す説明図であ
る。
【0010】まず本発明の多層シートでは、容器外側面
となる最外層(第1層)1は、破断点伸度が500%以
上、かつ、1200%以下のポリオレフィン系樹脂から
なるものである。ここで破断点伸度は、JIS K67
60による。
【0011】上記のように、本発明の多層シートにおけ
る最外層(第1層)1は、破断点伸度が500%以上、
かつ、1200%以下、好ましくは700%以上、10
00%以下のポリオレフィン系樹脂からなるものであ
る。ここで最外層(第1層)1の破断点伸度が500%
未満であると、罫線入れ押圧時に層が切れて、折り曲げ
たときに第3層も破断してしまう。一方、最外層(第1
層)1の破断点伸度が1200%を超えると、ブランク
の作成時に、伸び過ぎてしまい、刃での裁断が不可能と
なる。
【0012】本発明の多層シートにおいて、最外層(第
1層)1を構成するポリオレフィン系樹脂としては、上
記の如き条件を具備するものであれば特に制限はない
が、例えば、アイオノマー、エチレン−アクリル酸エチ
ル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、高密度,
中密度又は低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチ
レン、ポリブタジエン、ランダム,ブロック又はホモポ
リプロピレン、超低密度ポリエチレン、不飽和カルボン
酸変性ポリプロピレン(特に無水マレイン酸変性ポリプ
ロピレン)、エチレン−プロピレンエラストマー、スチ
レン−エチレン−プロピレンエラストマー或いはこれら
の混合物が好適に用いられ、特にランダムポリプロピレ
ン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンを
用いることがより好ましい。これらポリオレフィン系樹
脂のメルトインデックス(MI)は特に限定はないが、
通常、0.5〜10g/10分のものが用いられる。
【0013】なお、本発明の多層シートにおいて、容器
外側面となる最外層(第1層)1の層比率は、シート全
厚みの3〜30%、好ましくは10〜20%とする。最
外層(第1層)1の層比率が、シート全厚みの3%未満
であると破断しやすくなり、一方、最外層(第1層)1
の層比率が、シート全厚みの30%を超えると、折り曲
げ時に「戻り」が生じるため、いずれも好ましくない。
【0014】次に、本発明の多層シートにおいては、容
器外側面となる最外層より内側へ向かって数えて2番目
の第2層(符号2)は、無機質充填剤を20〜70重量
%含むポリオレフィン系樹脂(無機質含有樹脂組成物)
よりなるものであることが必要である。
【0015】ここで第2層において用いるポリオレフィ
ン系樹脂としては、前記第1層において示したものが挙
げられ、前記第1層において用いたものと同じものを用
いてもよいし、或いは異なるものを用いてもよい。第2
層において用いるポリオレフィン系樹脂としては、特に
ポリプロピレンとポリエチレン(特に高密度ポリエチレ
ン)との混合物を用いることが好ましい。この場合、ポ
リプロピレンとポリエチレンとの混合割合は、前者:後
者=30〜70:70〜30(重量比)である。
【0016】この第2層において用いる無機質充填剤と
しては、シリカ,珪藻土,バリウムフェライト,酸化バ
リウム,軽石,軽石バルーン等の酸化物、水酸化アルミ
ニウム,水酸化マグネシウム,塩基性炭酸マグネシウム
等の水酸化物、炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,ド
ロマイト,ドーソナイト等の炭酸塩、硫酸カルシウム,
硫酸バリウム,硫酸アンモニウム,亜硫酸カルシウム等
の硫酸塩または亜硫酸塩、タルク,クレー,雲母(マイ
カ),アスベスト,ガラスバルーン,ガラスビーズ,ケ
イ酸カルシウム,モンモリロナイト,ベントナイト等の
ケイ酸塩、カーボンブラック,グラファイト,炭素中空
球等の炭素類が挙げられ、硫化モリブデン,ホウ酸亜
鉛,メタホウ酸バリウム,ホウ酸カルシウム,ホウ酸ナ
トリウム等の粉末状,粒状,板状のものも用いることが
できる。これらの無機質充填剤は、単独で用いてもよい
が、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中
でもタルク,炭酸カルシウム,酸化チタン,雲母,水酸
化マグネシウム繊維等が好ましく、特にタルクを主成分
として用いることが最も好ましい。無機質充填剤として
タルクを主成分として用いると、デッドホールド性と剛
性が向上し、折り箱としての適性に合致したものが得ら
れる。また、焼却性も良好である。なお、折り曲げ加工
後の容器が食品や医薬品に用いられる場合には、安全衛
生上問題のないものを用いることが必要である。
【0017】これら無機質充填剤の配合量は、通常、第
2層を構成する成分中の20〜70重量%、好ましくは
30〜60重量%とする。ここで無機質充填剤の配合量
が20重量%未満であると、デッドホールド性が得られ
ず、一方、70重量%を超えると、折り曲げ時に破断し
やすくなるため、いずれも好ましくない。
【0018】なお、この第2層には、必要に応じて、滑
剤や酸化防止剤として、ステアリン酸亜鉛やステアリン
酸カルシウムなどの添加剤を配合することもできる。こ
のような酸化防止剤として具体的には例えば、チバガイ
ギー社製のイルガノックス1010を挙げることができ
る。
【0019】本発明の多層シートにおいては、第3層目
以降の少なくとも1層は、前記第1層と同じく、破断点
伸度500%以上、かつ、1200%以下のポリオレフ
ィン系樹脂からなるものであることが必要である。本発
明において、このように第3層目以降の少なくとも1層
を、前記第1層と同じく、破断点伸度500%以上、か
つ、1200%以下のポリオレフィン系樹脂からなるも
のとするのは、罫線加工時や折り曲げ加工時に無機質充
填剤含有層である第2層が破断しても、この第3層目以
降の層でクラックの伝播を防止するためである。
【0020】第1図では、第3層(符号3)に、このよ
うな破断点伸度が500%以上、かつ、1200%以下
のポリオレフィン系樹脂からなる層を配置した例を示し
ているが、これに限定されるものではなく、第3層目以
降の少なくとも1層をこのような破断点伸度が500%
以上、かつ、1200%以下のポリオレフィン系樹脂か
らなる層で構成すれば、上記した目的を充分に達成する
ことが可能である。
【0021】本発明の多層シートは、基本的に上記した
3層を含む、少なくとも3層構造の多層シートであれば
よく、必要に応じて他の層を配置してもよい。例えば、
前記第1層と第2層との間に、ポリオレフィン系樹脂か
らなる層を配置してもよいし、第2層と第3層(ここで
第3層は、上記した如き破断点伸度が500%以上、か
つ、1200%以下のポリオレフィン系樹脂からなる層
となる。)との間にポリオレフィン系樹脂からなる層を
配置してもよい。
【0022】ここで用いられるポリオレフィン系樹脂と
しては、前記第1層において示したものが挙げられる
が、第1層とは別異の層であるから、前記第1層におい
て用いたものとは異なるポリオレフィン系樹脂が用いら
れる。このような層には、必要に応じて通常用いられる
滑剤,着色剤,酸化防止剤,紫外線吸収剤,界面活性
剤,難燃剤,可塑剤,帯電防止剤等の添加剤を加えても
よい。折り曲げ加工後の容器が食品や医薬品に用いられ
る場合には、安全衛生上問題のないものを用いること
は、無機質充填剤の場合と同様である。これらの添加剤
の添加量は、通常、これらの層を構成する成分中の、
0.1〜5重量%程度である。
【0023】本発明の多層シートにおいては、さらに必
要に応じて、第3層目以降の位置にエチレン−ビニルア
ルコール共重合体などからなるガスバリヤー性層や、前
記第2層と同様の無機質充填剤含有樹脂組成物層を配置
することもできる。ここでガスバリヤー性を有する樹脂
としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体の他
に、ポリアミド、例えばナイロン−6,ナイロン−1
1,ナイロン−12,ナイロン−66などやポリ塩化ビ
ニリデン等を挙げることができる。図1では、第3層
(符号3)に、このような破断点伸度が500%以上、
かつ、1200%以下のポリオレフィン系樹脂からなる
層を配置し、第4層(符号4)に、ガスバリヤー性樹脂
などよりなる任意のポリオレフィン系樹脂からなる層を
配置した例を示している。
【0024】上記したように、本発明においては、基本
的に上記した3層を含む、少なくとも3層構造の多層シ
ートであればよく、図1に示した如き4層構造の多層シ
ートであってもよいし、これ以外のものであってもよ
い。例えば次の如き7層構造の多層シートにすることに
より、内容物品質保持性や耐衝撃破袋性に優れたものと
することができる。
【0025】すなわち、前記した如き第1層と第2層を
有すると共に、容器外側面となる最外層より内側へ向か
って数えて3番目の第3層と、同じく5番目の第5層
が、破断点伸度500%以上、1200%以下の不飽和
カルボン酸変性ポリプロピレン又はエチレン−酢酸ビニ
ル共重合体である接着剤層からなり、同じく4番目の第
4層がエチレン−ビニルアルコール共重合体よりなり、
同じく6番目と7番目の第6層と第7層とが、それぞれ
無機質充填剤を20〜70重量%含むポリオレフィン系
樹脂と破断点伸度500%以上、1200%以下のポリ
オレフィン系樹脂よりなる多層シートとすることによ
り、酸素ガスバリヤー性(内容物品質保持性)と耐衝撃
破袋性という性状に優れたものとすることができる。
【0026】さらに、本発明においては、容器内側面と
なる最内層に、エチレン−ビニルアルコール共重合体,
ポリアクリロニトリル,ポリ塩化ビニリデン及びポリエ
チレンテレフタレート又はその変性体よりなる群から選
ばれた少なくとも1種の樹脂をコーティング処理或いは
押出ラミネートすることもできる。したがって、容易に
耐薬品容器や香り成分の低吸着容器とすることが可能で
ある。
【0027】本発明の多層シートは、上記の如き構造を
有するものであり、さらに折り箱用に罫線加工が施され
た、全厚みが50μm以上、かつ、2000μm以下、
好ましくは全厚みが150μm以上、かつ、1500μ
m以下、さらに好ましくは全厚みが200以上、かつ、
1000μm以下のものである。図1中、符号5は罫線
加工部を示す。ここで全厚みが50μm未満のものであ
ると、罫線加工し折り曲げて収納容器とした場合に、重
量物を充填すると形状を維持することができない。一
方、全厚みが2000μmを超えるものであると、折り
曲げ当初からクラックが入る危険性があるため、使用す
ることが困難である。
【0028】本発明における罫線加工は、公知の方法に
より行なったものであればよい。例えば罫線加工は、上
下動によるバッチプレス法、ロータリーダイの回転によ
る連続プレス法などにより行なえばよい。また、罫線加
工の刃の形状としては、先端部が円状,楕円状,水平
状,多角形状(V字状など)等であるものを用いればよ
い。なお、罫線加工部5における罫線溝の形状は、通
常、図1に示した如き、略V字状のものである。
【0029】このような折り曲げ加工用罫線の深さA
は、シート全厚みの5〜50%、好ましくは20〜30
%である。ここで折り曲げ加工用罫線の深さAが、シー
ト全厚みの5%未満であると、デッドホールド性が不足
する。一方、折り曲げ加工用罫線の深さAが、シート全
厚みの50%を超えると、罫線部の強度が低下する。
【0030】また、折り曲げ加工用罫線の幅B(幅B
は、折り曲げ加工用罫線の最大幅を意味する。)は、シ
ート全厚みの2〜400%、好ましくは100〜200
%である。ここで折り曲げ加工用罫線の幅Bが、シート
全厚みの2%未満であると、罫線通りに折り曲げにく
く、また表面層が切断される。一方、折り曲げ加工用罫
線の幅Bがシート全厚みの400%を超えると、折り曲
げ部が鋭利に折れない。
【0031】本発明の多層シートを得るにあたっては、
通常は各層の構成成分を、予め公知のバンバリーミキサ
ー、単軸・二軸混練機等を用いて溶融混練し、得られた
ペレットを、各層それぞれの押出機を用い、共通のダイ
を用いて共押出する方法が好ましい。このような共押出
法は、熱圧着による貼り合わせ法に比べて、成形の際に
亀裂が生じたり、シートが破断することが少なく、ま
た、接着剤を用いないので効率的で食品衛生上も極めて
好ましいが、各層を別々にシート状に成形し、融着,接
着剤等により積層した積層シートを用いてもよい。
【0032】本発明の多層シートにおいては、前記した
ように、全厚みが50μm以上、かつ、2000μm以
下であると共に、容器外側面となる最外層(第1層)1
の層比率が、シート全厚みの3〜30%であればよく、
他の層の厚さについては特に制限はないが、例えば図1
に示した如き4層構造のシートの場合には、通常、第2
層の厚みを20%〜70%とし、第3層の厚みを3%〜
30%とし、第4層の厚みを20%〜70%とする。
【0033】本発明では、上記のようにして得られた多
層シートを成形して折り箱(容器)を得る。具体的に
は、上記のようにして得られた多層シートを所望の形状
に裁断又は打抜きして、カートンブランクを得、このカ
ートンブランクに上記の如くして罫線加工した後に、罫
線に沿って折り曲げ加工して、折り箱(容器)を成形す
る。このようにして成形された折り箱を提供するのが、
本発明の第2である。このようにして得られた折り箱
(容器)の形状は、特に限定はなく、角筒状、角錐台
状、平箱状等が挙げられる。
【0034】このようにして、罫線加工時に破断がな
く、しかも折り曲げ加工後の耐衝撃性に優れており、か
つ、デッドホールド性や内容物密封性に優れた、折り曲
げ加工用罫線入りポリオレフィン系樹脂多層シートを得
ることができる。
【0035】
【実施例】次に本発明を、実施例により詳しく説明す
る。
【0036】実施例1 次のようにして、図1に示す如きシート全厚みが500
μmの4層共押出シートを作製した。まず第1層(符号
1)は、容器外側面となる最外層をなし、樹脂として直
鎖状低密度ポリエチレン(商品名:出光ポリエチレン−
L0234、出光石油化学株式会社製、JIS K67
60による破断点伸度=930%)を使用した。次に、
第2層(符号2)は、樹脂としてポリプロピレン(商品
名:出光ポリプロ E−100G、メルトインデックス
=0.6g/10分、出光石油化学株式会社製)25重
量部と高密度ポリエチレン(商品名:出光ポリエチレン
210J、密度=0.968g/cm3 、出光石油化
学株式会社製)23重量部との混合物を用い、さらにタ
ルク(勝光山研究所社製、平均粒子径=9μm、平均ア
スペクト比=1.9)50重量部と酸化防止剤としてチ
バガイギー社製のイルガノックス1010を2重量部の
割合で加えた樹脂組成物を配合混練したマスターバッチ
を用いた。また、第3層は第1層と同じ樹脂を使用し
た。さらに、第4層は第2層と同じマスターバッチを使
用した。
【0037】共押出したシートの層比率は、第1層が1
0%(厚み50μm)、第2層が40%(厚み200μ
m)、第3層が10%(厚み50μm)、第4層が40
%(厚み200μm)とした。
【0038】以上の仕様のシートにバッチプレス法によ
り、溝深さ(A)150μm、溝幅(B)300μmの
罫線を施し、罫線部に沿って角度90度に折り曲げた。
その結果、折り曲げ加工後の折り曲げ角度は、ほぼ90
度に維持され、折り曲げ部の第1層は薄肉化されてはい
たが、破断は認められなかった。また、折り曲げ部にお
いて、50回の繰り返し屈曲試験を実施したが、折り曲
げ部を構成しているシート各層に全く破断は認められな
かった。さらに、100回の繰り返し屈曲試験を実施し
たところ、第2層に僅かなクラックが入ったが、第1
層、第3層及び第4層の破断は認められなかった。
【0039】実施例2 シート全厚みを150μm及び1500μmとしたこと
以外は、実施例1と全て同じ仕様の罫線入りシートを作
製し、実施例1と同じ罫線処理方法により図3に示す如
き形状を有するゲーブルトップ型カートン用ブランク
(折り曲げ加工により容量1.8リットルの容器となる
ものであり、縦382mm、横359mmの大きさのも
の)を作製した。なお、図中、符号6は罫線である。但
し、このときの罫線溝の深さは、シート全厚みが150
μmのものでは15μmであり、シート全厚みが150
0μmのものでは600μmであった。また、罫線溝の
幅は、シート全厚みが150μmのものでは30μmで
あり、シート全厚みが1500μmのものでは1200
μmであった。
【0040】このようにして作製したゲーブルトップ型
カートン用ブランクから、折り曲げ加工によりゲーブル
トップ型カートンを組み立てた。その結果、シート全厚
みが150μmのものから作製されたカートンは、スナ
ック菓子等の軽量物品の収納においては形状がやや変形
するものの、充分に内容物の形状を保持する機能を有し
ていた。清涼飲料水等の重量物品を充填した場合に形状
を充分に維持することができた。
【0041】また、シート全厚みが1500μmのもの
から作製されたカートンは、折り曲げ時点において折り
曲げ部の第1層、第3層及び第4層には異常は見られな
かった。第2層において50回の繰り返し折り曲げを行
なったところ、クラックが入らなかった。
【0042】実施例3 シート全厚みを50μm及び2000μmとしたこと以
外は、実施例1と全て同じ仕様の罫線入りシートを作製
し、実施例1と同じ罫線処理方法により図3に示す如き
形状を有するゲーブルトップ型カートン用ブランク(折
り曲げ加工により容量1.8リットルの容器となるもの
であり、縦382mm、横359mmの大きさのもの)
を作製した。なお、図中、符号6は罫線である。但し、
このときの罫線溝の深さは、シート全厚みが50μmの
ものでは15μmであり、シート全厚みが2000μm
のものでは600μmであった。また、罫線溝の幅は、
シート全厚みが50μmのものでは30μmであり、シ
ート全厚みが2000μmのものでは1200μmであ
った。
【0043】このようにして作製したゲーブルトップ型
カートン用ブランクから、折り曲げ加工によりゲーブル
トップ型カートンを組み立てた。その結果、シート全厚
みが50μmのものから作製されたカートンは、スナッ
ク菓子等の軽量物品の収納においては形状がやや変形す
るものの、充分に内容物の形状を保持する機能を有して
いた。しかし、清涼飲料水等の重量物品を充填した場合
には、形状を維持できず、側面が膨れた。すなわち、シ
ート全厚みが50μmのシートから得られたカートンに
は、充填しうる物品の種類に多少の制限があることが分
かった。シート全厚みが50μm未満のシートから得ら
れたカートンには、充填しうる物品の種類に著しい制限
があることが予測される。
【0044】また、シート全厚みが2000μmのもの
から作製されたカートンは、折り曲げ時点において折り
曲げ部の第1層、第3層及び第4層には異常は見られな
かったが、第2層において5回の繰り返し折り曲げを行
なったところ、クラックが入った。すなわち、シート全
厚みが2000μmのシートを用いると、折り曲げ当初
よりクラックが入る危険性があるため、使用に多少の制
限があることが分かった。シート全厚みが2000μm
を超えるシートを用いると、当初からクラックが発生
し、使用が困難になる可能性があると思われた。
【0045】実施例4 第2層を構成する樹脂組成物として、下記の第1表に示
す如き組成のものを用いた(使用した樹脂等は実施例1
で使用したものと同じものである。)こと以外は、実施
例1と同様にしてマスターバッチを得、シートを作製
し、折り曲げ加工を施した。
【0046】
【表1】
【0047】その結果、90度折り曲げ加工後の折り曲
げ角度は、無機質充填剤20重量%配合品では100度
まで戻り、デッドホールド性の点で限界と考えられた。
一方、無機質充填剤70重量%配合品は、初期において
は第2層のクラックは認められなかったが、5回の繰り
返し折り曲げによりクラックが入り、強度の点で多少の
問題が予測された。
【0048】比較例1 シート全厚みを40μm及び2200μmとしたこと以
外は、実施例1と全て同じ仕様の罫線入りシートを作製
し、実施例1と同じ罫線処理方法により図3に示す如き
形状を有するゲーブルトップ型カートン用ブランク(折
り曲げ加工により容量1.8リットルの容器となるもの
であり、縦382mm、横359mmの大きさのもの)
を作製した。但し、このときの罫線溝の深さは、シート
全厚みが40μmのものでは15μmであり、シート全
厚みが2200μmのものでは600μmであった。ま
た、罫線溝の幅は、シート全厚みが40μmのものでは
30μmであり、シート全厚みが2200μmのもので
は1200μmであった。
【0049】このようにして作製したゲーブルトップ型
カートン用ブランクから、折り曲げ加工によりゲーブル
トップ型カートンを組み立てた。その結果、シート全厚
みが40μmのものから作製されたカートンは、スナッ
ク菓子等の軽量物品の収納において、腰が不足するた
め、形状保持機能がなく、自立性を失った。
【0050】比較例2 実施例4において、第2層を構成する樹脂組成物とし
て、下記の第2表に示す如き組成のものを用いた(使用
した樹脂等は実施例1,2で使用したものと同じもので
ある。)こと以外は、実施例4と同様にしてマスターバ
ッチを得、シートを作製し、折り曲げ加工を施し、デッ
ドホールド性と繰り返し折り曲げ強度の評価を行なっ
た。
【0051】
【表2】
【0052】その結果、90度折り曲げ加工後の折り曲
げ角度は、無機質充填剤15重量%配合品では130度
まで戻り、デッドホールド性が得られなかった。また、
無機質充填剤75重量%配合品では折り曲げ時に第2層
(無機質充填剤含有樹脂組成物からなる層)が破断し、
強度に問題があることが認められた。
【0053】実施例5 実施例1において、第1層と第3層に用いる樹脂とし
て、下記の第3表に示す如き組成のもの(仕様Aと仕様
Bの2種類)を用いたこと以外は、実施例1と同様にし
てマスターバッチを得、シートを作製し、折り曲げ加工
を施し、デッドホールド性と繰り返し折り曲げ強度の評
価を行なった。
【0054】
【表3】
【0055】罫線加工後、仕様Aの多層シートを罫線部
において折り曲げ加工したところ、初期に破断は認めら
れなかったが、5回の繰り返し折り曲げにおいて第1層
が破断し、50回の繰り返し折り曲げにおいて第3層も
破断した。次に、仕様Bの多層シートは、罫線加工後の
ブランク打抜き時にヒゲが発生し、外観不良を生じた。
【0056】比較例3 実施例5において、第1層と第3層に用いる樹脂とし
て、下記の第4表に示す如き組成のもの(仕様Cと仕様
Dの2種類)を用いたこと以外は、実施例5と同様にし
てマスターバッチを得、シートを作製し、折り曲げ加工
を施し、デッドホールド性と繰り返し折り曲げ強度の評
価を行なった。
【0057】
【表4】
【0058】罫線加工後、仕様Cの多層シートは罫線部
の第1層が破断し、さらに折り曲げ加工において第3層
が破断した。したがって、実施例5の結果と併せると、
強度的に破断点伸度が500%のものが下限と認められ
る。次に、仕様Dの多層シートについて、罫線加工後、
ブランク打抜き時をトムソン刃で行なったところ、第1
層及び第2層の樹脂層が切れず、打抜きできなかった。
したがって、実施例5の結果と併せると、破断点伸度の
上限は1200%であると認められる。
【0059】実施例6 以下のようにして、シート全厚みが300μmの3層共
押出シートを作製した。まず第1層は、容器外側面とな
る最外層をなし、樹脂としてポリプロピレン(商品名:
出光ポリプロF−200S、出光石油化学株式会社製、
JIS K6760による破断点伸度=550%)を使
用した。次に、第2層は、樹脂としてポリプロピレン
(商品名:出光ポリプロ E−100G、出光石油化学
株式会社製)25重量部と高密度ポリエチレン(商品
名:出光ポリエチレン 210J、出光石油化学株式会
社製)23重量部との混合物を用い、さらに酸化防止剤
としてチバガイギー社製のイルガノックス1010を2
重量部の割合で加えると共に、下記の第5表に示す無機
質充填剤を50重量の割合で配合混練した3種のマスタ
ーバッチ(仕様E,F,G)を用いた。また、第3層は
第1層と同じ樹脂を使用した。なお、共押出したシート
の層比率は、第1層が10%(厚み30μm)、第2層
が80%(厚み240μm)、第3層が10%(厚み3
0μm)とした。
【0060】
【表5】
【0061】以上の3種の仕様のシートの片面に、実施
例1と同様な罫線加工及び折り曲げ処理を施した。その
結果、90度折り曲げ加工後の折り曲げ角度は、仕様E
のシートではほぼ90度に維持されていたが、仕様Fと
仕様Gのシートでは、90度折り曲げ加工後の折り曲げ
角度は95度程度であった。したがって、無機質充填剤
としては、タルクを用いたものが、沈降炭酸カルシウム
やクレーを用いたものよりも、折り曲げ容器のデッドホ
ールド性において好ましいことが認められた。
【0062】実施例7 実施例1で作製した500μmの4層共押出シートに対
して、罫線溝の深さAが25μm(シート全厚みの5
%)であり、罫線溝の幅Bが200μmとなるようにプ
レス刃を調整して、ブランクを作製した(仕様H)。一
方、同様にプレス刃を調整して、罫線溝の深さAが25
0μm(シート全厚みの50%)であり、罫線溝の幅B
が200μmの罫線加工をしたブランクを作製した(仕
様I)。
【0063】その結果、仕様Hのブランクは90度折り
曲げ加工において、角度が100度程度まで戻った。し
たがって、罫線溝の深さAがシート全厚みの5%である
ものがデッドホールド性の限界と認められる。また、仕
様Iのブランクは折り曲げ回数5回で罫線加工側の表層
が破断した。したがって、罫線溝の深さAがシート全厚
みの50%であるものは、強度面で限界と認められる。
【0064】比較例4 実施例7において、罫線溝の深さAを15μm(シート
全厚みの3%)とした(仕様J)こと、或いは罫線溝の
深さAを300μm(シート全厚みの60%)とした
(仕様K)こと以外は、実施例7と同様にしてブランク
を作製した。
【0065】その結果、仕様Jのブランクは90度折り
曲げ加工において、加工後に角度が130度程度まで戻
った。したがって、罫線溝の深さAがシート全厚みの5
%未満であるものはデッドホールド性において不良と認
められる。また、仕様Kのブランクは罫線加工側の表層
が破断していた。したがって、罫線溝の深さAがシート
全厚みの50%を超えるものは、折り箱として強度面で
使用することができないことが分かった。
【0066】実施例8 実施例1で作製した500μmの4層共押出シートに対
して、罫線溝の深さAが150μmであり、罫線溝の幅
Bが10μm(シート全厚みの2%)となるようにプレ
ス刃を調整して、ブランクを作製した(仕様L)。一
方、同様にプレス刃を調整して、罫線溝の深さAが15
0μmであり、罫線溝の幅Bが1000μm(シート全
厚みの200%)の罫線加工をしたブランクを作製した
(仕様M)。
【0067】その結果、仕様Lのブランクは折り曲げ回
数5回で罫線加工側の表層が破断した。したがって、罫
線溝の幅Bがシート全厚みの2%であるものは、強度面
で限界と認められる。また、仕様Mのブランクは90度
折り曲げ加工において、加工後に角度が100度程度ま
で戻った。したがって、罫線溝の幅Bがシート全厚みの
200%であるものがデッドホールド性の限界と認めら
れる。
【0068】比較例5 実施例8において、罫線溝の幅Bを5μm(シート全厚
みの1%)とした(仕様O)こと、或いは罫線溝の幅B
を1200μm(シート全厚みの240%)とした(仕
様P)こと以外は、実施例8と同様にしてブランクを作
製した。
【0069】その結果、仕様Oのブランクは罫線加工側
の表層が破断していた。したがって、罫線溝の幅Bがシ
ート全厚みの2%未満のものは、折り箱として強度面で
使用することができないことが分かった。また、仕様P
のブランクは90度折り曲げ加工において、加工後に角
度が130度程度まで戻った。したがって、罫線溝の幅
Bがシート全厚みの200%を超えるものはデッドホー
ルド性において不良と認められる。
【0070】実施例9 以下のようにして、シート全厚みが500μmの3層共
押出シートを2種作製した。まず第1層は、容器外側面
となる最外層をなし、樹脂として直鎖状低密度ポリエチ
レン(商品名:出光ポリエチレン−L0234、出光石
油化学株式会社製、JIS K6760による破断点伸
度=930%)を使用した。次に、第2層は、樹脂とし
てポリプロピレン(商品名:出光ポリプロ E−100
G、出光石油化学株式会社製)25重量部と高密度ポリ
エチレン(商品名:出光ポリエチレン 210J、出光
石油化学株式会社製)23重量部との混合物を用い、さ
らにタルク(勝光山研究所社製、平均粒子径=9μm、
平均アスペクト比=1.9)50重量部及び酸化防止剤
としてチバガイギー社製のイルガノックス1010を2
重量部の割合で加えて配合混練したマスターバッチを用
いた。また、第3層は第1層と同じ樹脂を使用した。
【0071】なお、共押出したシートの層比率は、第1
層が3%(厚み15μm)、第2層が80%(厚み40
0μm)、第3層が17%(厚み85μm)であるもの
(仕様Q)と、第1層が30%(厚み150μm)、第
2層が53%(厚み265μm)、第3層が17%(厚
み85μm)であるもの(仕様R)の2種とした。
【0072】以上の2種の仕様のシートの片面に、バッ
チプレス法により、罫線溝の深さAが150μmであ
り、幅Bが300μmの罫線を施し、罫線部に沿って角
度90度に折り曲げた。その結果、仕様Qのシートにつ
いて、折り曲げ部の第1層は破断しておらず、折り箱形
状としての製函は可能であった。しかし、5回の繰り返
し折り曲げにおいては第1層の破断はなかったが、10
回の繰り返し折り曲げにおいて破断が生じた。したがっ
て、第1層のシート全厚みに対する比率が3%のもので
は、軽度の使用は可能であるが、あまり強度面で適切で
はないと認められる。また、仕様Rのシートについて
は、折り曲げ加工後、折り曲げ角度が100度程度まで
戻り、デッドホールド性において限界と認められる。
【0073】比較例6 実施例9において、共押出したシートの層比率を、第1
層が2%(厚み10μm)、第2層が80%(厚み40
0μm)、第3層が18%(厚み90μm)としたもの
(仕様S)と、第1層が35%(厚み175μm)、第
2層が53%(厚み265μm)、第3層が12%(厚
み60μm)としたもの(仕様T)の2種としたこと以
外は、実施例9と同様にしてバッチプレス法により罫線
を施し、罫線部に沿って角度90度に折り曲げた。
【0074】その結果、仕様Sの多層シートは罫線部の
第1層が破断しており、折り箱成形ができなかった。し
たがって、実施例9の結果と併せると、第1層のシート
全厚みに対する比率は3%が下限と認められる。次に、
仕様Tの多層シートについては、折り曲げ部が130度
まで戻り、折り箱成形ができなかった。したがって、実
施例9の結果と併せると、第1層のシート全厚みに対す
る比率は30%が上限と認められる。
【0075】実施例10 次の如くして、シート全厚みが500μmの7層共押出
シートを作製した。まず第1層は、容器外側面となる最
外層をなし、樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン(商
品名:出光ポリエチレン−L0234、出光石油化学株
式会社製、JIS K6760による破断点伸度=93
0%)を使用した。次に、第2層は、樹脂としてポリプ
ロピレン(商品名:出光ポリプロ E−100G、出光
石油化学株式会社製)25重量部と高密度ポリエチレン
(商品名:出光ポリエチレン 210J、出光石油化学
株式会社製)23重量部との混合物を用い、さらにタル
ク(勝光山研究所社製、平均粒子径=9μm、平均アス
ペクト比=1.9)50重量部と酸化防止剤としてチバ
ガイギー社製のイルガノックス1010を2重量部の割
合で加えた樹脂組成物(JIS K6760による破断
点伸度=30%)を配合混練したマスターバッチを用い
た。また、第3層として、第2層と第4層との接着のた
めに、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(商品名:出
光ポリタックE−100、出光石油化学株式会社製、J
IS K6760による破断点伸度=700%)を用い
た。さらに、第4層には、ガスバリヤー性層として、エ
チレン−ビニルアルコール共重合体(商品名:エバール
EP−F101、エチレン含有率=32モル%、株式会
社クラレ製)を用いた。また、第5層として、第4層と
第6層との接着のために、無水マレイン酸変性ポリプロ
ピレン(商品名:出光ポリタックE−100、出光石油
化学株式会社製、JIS K6760による破断点伸度
=700%)を用いた。次に、第6層は、第2層と同じ
マスターバッチを使用した。また、第7層は、第1層と
同じ樹脂を使用した。
【0076】共押出したシートの層比率は、第1層が1
0%(厚み50μm)、第2層が32.5%(厚み16
2.5μm)、第3層が5%(厚み25μm)、第4層
が5%(厚み25μm)、第5層が5%(厚み25μ
m)、第6層が32.5%(厚み162.5μm)、第
7層が10%(厚み50μm)とした。
【0077】以上の仕様の7層共押出シートにバッチプ
レス法により、溝深さ(A)150μm、溝幅(B)3
00μmの罫線を施し、以下、比較例1と同様にしてカ
ートンブランクを作製した。カートンブランクは折り曲
げ加工後、ブランソン社製超音波ウエルダー(Model 88
00 Welder)により、圧力60kg/cm2 (ホーン接触
部)、時間0.2秒で20000Hzの超音波シールを
行ない、製函した。次に、製函した折り箱に、2kgの
トマトピューレを80℃でホット充填し、製函と同様の
超音波シールにより、密閉後、落下試験及び内容物の品
質保持テストを行なった。
【0078】落下試験では、1mの高さからコンクリー
ト上へ10回落下させたが、罫線部等の破断はなく、充
分な強度があることが認められた。また、内容物の品質
保持試験では、30℃、75%RHの条件で3ヶ月間保
存した後においても、内容物の色素の褐変度の指標とし
て用いた測色色差計による初期との色差ΔEは3以下で
あり、内容物に対する良好な酸化防止効果が得られた。
また、第1層と第7層とを同一の樹脂とすることによ
り、折り箱底部のシート表裏の超音波シールが良好とな
り、その結果、ホットメルト接着剤等による後付け加工
の手間が省けた。
【0079】
【発明の効果】本発明の折り曲げ加工用罫線入りポリオ
レフィン系樹脂多層シートは、罫線加工が容易であると
共に、罫線加工時や折り曲げ時に破断がなく、しかも折
り曲げ加工後の耐衝撃性に優れたものである。次に、本
発明の折り曲げ加工用罫線入りポリオレフィン系樹脂多
層シートは、デッドホールド性に優れたものである。ま
た、本発明の折り曲げ加工用罫線入りポリオレフィン系
樹脂多層シートは、シール密封部の強度が高く、内容物
密封性に優れたものである。さらに、本発明の折り曲げ
加工用罫線入りポリオレフィン系樹脂多層シートは、質
感が良好であり、しかもカートンブランクは熱成形のよ
うにシートに無駄が無く、省資源である。また、本発明
の折り曲げ加工用罫線入りポリオレフィン系樹脂多層シ
ートにより得られる折り箱は、紙カートンに比べて、充
填食品のボイル,レトルト処理が可能である。
【0080】しかも本発明の折り曲げ加工用罫線入りポ
リオレフィン系樹脂多層シートより得られる折り箱は、
紙/アルミ箔/紙複合紙に対して、素材が全て樹脂で構
成されているため、焼却処理やリサイクルが容易であ
り、かつ、良好なガスバリヤー性を付与することが可能
である。さらに、本発明の折り曲げ加工用罫線入りポリ
オレフィン系樹脂多層シートより得られる折り箱は、従
来のプラスチックボトルよりも省スペースである。ま
た、本発明の折り曲げ加工用罫線入りポリオレフィン系
樹脂多層シートは、ボトルの内面コートに対して、シー
ト製造段階でコートすることが可能であるので、容易に
耐薬品容器や香り成分の低吸着容器を製造することがで
きる。従って、本発明は、各種の食品,飲料等の充填密
封に好適に用いることができる。
【0081】(1).折り箱用に罫線加工が施された、
全厚みが50μm以上、かつ、2000μm以下である
少なくとも3層構造の多層シートであって、容器外側面
となる最外層より内側へ向かって数えて2番目の第2層
が無機質充填剤を20〜70重量%含むポリオレフィン
系樹脂よりなると共に、最外層となる第1層と、第3層
目以降の少なくとも1層とが、破断点伸度500%以
上、かつ、1200%以下のポリオレフィン系樹脂から
なるものであることを特徴とする折り曲げ加工用罫線入
りポリオレフィン系樹脂多層シート。
【0082】(2).無機質充填剤が、タルクを主成分
とするものである、前記(1)記載のシート。
【0083】(3).折り曲げ加工用罫線の深さが、シ
ート全厚みの5〜50%であり、かつ、その幅が、シー
ト全厚みの2〜400%である、前記(1)記載のシー
ト。
【0084】(4).容器外側面となる最外層の層比率
が、シート全厚みの3〜30%である、前記(1)記載
のシート。
【0085】(5).7層構造の多層シートであって、
かつ、容器外側面となる最外層より内側へ向かって数え
て3番目の第3層と、同じく5番目の第5層が、破断点
伸度500%以上、1200%以下の不飽和カルボン酸
変性ポリプロピレン又はエチレン−酢酸ビニル共重合体
からなり、同じく4番目の第4層がエチレン−ビニルア
ルコール共重合体であり、同じく6番目と7番目の第6
層と第7層とが、それぞれ無機質充填剤を20〜70重
量%含むポリオレフィン系樹脂と破断点伸度500%以
上、1200%以下のポリオレフィン系樹脂よりなる、
前記(1)記載のシート。
【0086】(6).最外層と最内層となる2層を構成
する主成分樹脂が同種のものである、前記(1)記載の
シート。
【0087】(7).前記(1)記載のシートにおける
第1層と第2層との間に、ポリオレフィン系樹脂からな
る層を少なくとも1層配置してなる、折り曲げ加工用罫
線入りポリオレフィン系樹脂多層シート。
【0088】(8).前記(1)記載のシートにおい
て、容器内側面となる最内層に、エチレン−ビニルアル
コール共重合体,ポリアクリロニトリル,ポリ塩化ビニ
リデン及びポリエチレンテレフタレート又はその変性体
よりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂をコーテ
ィング処理或いは押出ラミネートしてなる、折り曲げ加
工用罫線入りポリオレフィン系樹脂多層シート。
【0089】(9).前記(1)〜(8)記載のいずれ
かのシートより成形された折り箱。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の多層シートの1態様(4層構
造のもの)を示す説明図である。
【図2】図2は、本発明の多層シートの1態様(4層構
造のもの)について、折り曲げ加工したときの状態を示
す説明図である。
【図3】図3は、比較例1で作製したゲーブルトップ型
カートン用ブランクの形状を示す平面図である。
【符号の説明】
1 最外層(第1層) 2 第2層 3 第3層 4 第4層 5 罫線加工部 6 罫線

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 折り箱用に罫線加工が施された、全厚み
    が50μm以上、かつ、2000μm以下である少なく
    とも3層構造の多層シートであって、容器外側面となる
    最外層より内側へ向かって数えて2番目の第2層が無機
    質充填剤を20〜70重量%含むポリオレフィン系樹脂
    よりなると共に、最外層となる第1層と、第3層目以降
    の少なくとも1層とが、破断点伸度500%以上、か
    つ、1200%以下のポリオレフィン系樹脂からなるも
    のであることを特徴とする折り曲げ加工用罫線入りポリ
    オレフィン系樹脂多層シート。
  2. 【請求項2】 折り曲げ加工用罫線の深さが、シート全
    厚みの5〜50%であり、かつ、その幅が、シート全厚
    みの2〜400%である請求項1記載のシート。
  3. 【請求項3】 7層構造の多層シートであって、かつ、
    容器外側面となる最外層より内側へ向かって数えて3番
    目の第3層と、同じく5番目の第5層が、破断点伸度5
    00%以上、1200%以下の不飽和カルボン酸変性ポ
    リプロピレン又はエチレン−酢酸ビニル共重合体からな
    り、同じく4番目の第4層がエチレン−ビニルアルコー
    ル共重合体であり、同じく6番目と7番目の第6層と第
    7層とが、それぞれ無機質充填剤を20〜70重量%含
    むポリオレフィン系樹脂と破断点伸度500%以上、1
    200%以下のポリオレフィン系樹脂よりなる請求項1
    記載のシート。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のシートにおける第1層と
    第2層との間に、ポリオレフィン系樹脂からなる層を少
    なくとも1層配置してなる、折り曲げ加工用罫線入りポ
    リオレフィン系樹脂多層シート。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のシートにおいて、容器内
    側面となる最内層に、エチレン−ビニルアルコール共重
    合体,ポリアクリロニトリル,ポリ塩化ビニリデン及び
    ポリエチレンテレフタレート又はその変性体よりなる群
    から選ばれた少なくとも1種の樹脂をコーティング処理
    或いは押出ラミネートしてなる、折り曲げ加工用罫線入
    りポリオレフィン系樹脂多層シート。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5記載のいずれかのシートよ
    り成形された折り箱。
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