JP2598791Y2 - ウォークインシートスライド装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、シートスライド装置に
関し、特にウォークイン機構を有するシートスライド装
置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】この種のウォークインシートスライド装
置は主に２ドア車の前部座席に用いられ、後部座席の乗
員が乗降する際に座席のシートバックを前傾させると、
該動作に連動してシートスライド装置のロックを解除し
て座席全体を最前方に移動させ乗員の乗降を容易にして
いる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】ところで、最近は各部
品のコストの低減が要求され、新製品を開発する場合に
おいても出来る限り従来から使用している部品を共用す
ることが望まれている。従って、従来は通常のストロー
ク幅用とウォークイン用のシートスライド装置を別々に
生産していたが、これを通常のスライドストローク幅用
のシートスライド装置にロック解除機構を取り付けられ
ればウォークイン用のシートスライド装置を新たに開発
する必要がなくなる。ところが、通常のスライドストロ
ーク幅のシートスライド装置にはロアレールに対しアッ
パーレールをロックするための複数の爪とアッパーレー
ルの移動範囲を規制するストッパーが一体になった補強
プレートがロアレールの底部に取り付けられているもの
が一般的であり、このため、ウォークイン時にロックを
解除し座席を最前方に移動させるとロックプレートのロ
ックオフ角度がマニュアル操作時、ウォークイン時共に
同じであるため、ロックプレートが移動途中で補強プレ
ートのストッパーに当接しウォークイン機能を完全に作
動させることが出来なくなる問題が起きて来る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本考案は、上記の問題を
一掃するために、車体の床側に固定されるロアレール
と、該ロアレールに嵌合されて前後に摺動可能なアッパ
ーレールを各々有し、該ロアレールに対してアッパーレ
ールの相対位置を固定するロック機構を有する左右のシ
ートトラックが設けられ、一方のシートトラックには複
数のブラケットにより回転可能に保持され、前部にフッ
クを有する操作軸が設けられると共に、他方のシートト
ラックには、ロアレールの底面に立ち上げ部を有する補
強プレートが固着され、また、アッパーレールには、該
アッパーレールに配設されるリクライニング装置に連動
するロック解除機構が設られたウォークインシートスラ
イド装置において、前記フックの上部とロックプレート
を、更に、前記フックの下部とリンク片を各々連結部材
で連結したことを特徴とするウォークインシートスライ
ド装置を提供する。

【０００５】

【作用】操作軸のフックの上部とロックプレートを、ま
た、フック下部とリンク片を各々ワイヤーで連結させ
て、マニュアル操作時に比べウォークイン時のロックプ
レートのロックオフ角度を大きくし、ロックプレートが
ストッパーに当接する事なく座席を最前方の位置にスラ
イドさせる。

【０００６】

【実施例】次に、本考案の実施例を図面に基づき説明す
る。図１は、従来のシートトラックにロック解除機構を
取り付けた本考案を示す図で、一方のシートトラック１
Ｒは、車体の床側に固定される断面Ｃ字形のロアレール
２と、該ロアレール２と係合し前後に摺動する断面逆Ｔ
字状のアッパーレール３から成り、アッパーレール３に
はブラケット４、５により操作軸６が回動可能に保持さ
れている。また、該操作軸６の後端部には操作軸６を時
計方向に付勢するコイルスプリング７が配設されてい
る。また、操作軸６の前部にはフック８が、後部にはロ
ック歯９が固着されている。このロック歯９は操作軸６
の回動に伴いロアレール２に設けられた複数のロック孔
２ａと、アッパーレール３の底部に設けられた補助ロッ
ク歯３ａと係離するものである。また、上記のフック８
の上側と下側には、連結穴１０ａ、１０ｂが設けられて
いる。

【０００７】他方のシートトラック１Ｌは、車体の床側
に固定されるロアレール１１と、該ロアレール１１と係
合し摺動可能なアッパーレール１２から成っている。ま
た、ロアレール１１の底面には、長手方向に設けられる
複数の爪１３ａとシートトラック１Ｌの内側側面に沿っ
て起立する立ち上げ部１３ｂから成る補強プレート１３
が固着されている。この補強プレート１３の立ち上げ部
１３ｂの後端はストッパー部１３ｃと成っている。

【０００８】また、アッパーレール１２の側部には、ブ
ラケット１８が取付けられており、このブラケット１８
には、回動可能に軸１９が保持されている。また、この
軸１９には前記補強プレート１３の爪１３ａと係離する
ロックプレート２１が固着され、軸１９の後端に配接さ
れるコイルスプリング２２の付勢により爪１３ａと係合
している。

【０００９】また、アッパーレール１２には、ロック解
除機構１４が設けられている。このロック解除機構１４
は、アッパーレール１２に設けられるブラケット１５
と、該ブラケット１５に設けられる駆軸１６により回動
可能に設けられるリンク片１７と、前記軸１９に固着さ
れているカム片２０からなり、リンク片１７の後端と図
示されないリクライニング装置をワイヤー２３で連結し
リクライニング装置の傾動に連動させている。また、リ
ンク片１７とブラケット１５の一端はスプリング２９が
配設されている。

【００１０】更に、ロアレール１１の前部にはブラケッ
ト２６が、また、アッパーレール１２にはブラケット２
７が取り付けられており、両ブラケット２６、２７には
補助スプリング２８が配設されている。

【００１１】次に、本考案の動作を説明する。図４は、
座席を任意の位置でロックした状態で、通常の座席の移
動はシートトラック１Ｒ側の操作軸６を反時計方向に回
動させると操作軸６に固着されているロック歯９も反時
計方向に回動してアッパーレール３の底部に固着されて
いる補助ロック歯３ａとロアレール２の側壁に設けられ
る複数のロック孔２ａから離脱しロックが解除される。
これと同時にシートトラック１Ｌのロックプレート２１
は、操作軸６に固着されたフック８の回動にともない図
５に示すようにワイヤー２５を介してロックプレート２
１をロアレール１１の底部に固着されている補強プレー
ト１３の爪１３ａから離脱させる。このロック解除状態
で座席に着座している乗員が自力で座席の位置を調整す
る。この後操作軸６から手を放すとコイルスプリング７
と２２の付勢により座席をロックする。なお、座席の前
方への移動は補強プレート１３のストッパー部１３ｃで
規制されている。

【００１２】次にウォークイン機構使用時の動作を説明
する。図示されないリクライニング装置の前傾に伴いワ
イヤー２３を介してリンク片１７を反時計方向に回動さ
せカム片２０を時計方向に回動させる。このカム片２０
の回動に伴い軸１９に固着されたロックプレート２１を
補強プレート１３の爪１３ａから離脱させる。この時、
ロックプレート２１のロックオフ角度は図６に示すよう
に補強プレート１３のストッパー部１３ｃに当接しない
よう通常の座席調整時のロックオフ角度より大きく設定
されている。

【００１３】これと同時にロック歯９は、リンク片１７
の回動に伴いワイヤー２４を介して操作軸６に固着され
ているフック８を反時計方向に回動させロック歯９のロ
ックを解除している。このように、両シートトラックの
ロックが解除されると補助スプリング２８により座席は
最前の位置に移動する。

【００１４】

【考案の効果】以上のことから明らかなように、本考案
は車体の床側に固定されるロアレールと、該ロアレール
に嵌合されて前後に摺動可能なアッパーレールを各々有
し、該ロアレールに対してアッパーレールの相対位置を
固定するロック機構を有する左右のシートトラックが設
けられ、一方のシートトラックには複数のブラケットに
より回転可能に保持され、前部にフックを有する操作軸
が設けられると共に、他方のシートトラックには、ロア
レールの底面に立ち上げ部を有する補強プレートが固着
され、また、アッパーレールには、該アッパーレールに
配設されるリクライニング装置に連動するロック解除機
構が設られたウォークインシートスライド装置におい
て、前記フックの上部とロックプレートを、更に、前記
フックの下部とリンク片を各々連結部材で連結したこと
を特徴とするウォークインシートスライド装置で、従来
のシートスライド装置に数点の部品を組み付けるだけで
簡単にウォークインシートスライド装置を生産すること
ができ、部品の大半を共用することが出来た。

【００１５】

【図面の簡単な説明】

図１ 本考案のシートトラックを示す斜視図 図２ 本考案の１Ｌ側シートトラックを示す平面図 図３ 本考案の１Ｒ側シートトラックの断面図 図４ 本考案の１Ｌ側シートトラックロック時の断面図 図５ 本考案の１Ｌ側シートトラックマニュアル操作ロ
ックオフ時の断面図 図６ 本考案の１Ｌ側シートトラックウォークインロッ
クオフ時の断面図

【符号の説明】

１Ｒ、Ｌ シートトラック ２、１１ ロアレール ３、１２ アッパーレール ２ａ ロック孔 ３ａ 補助ロック歯 ４、５ ブラケット ６ 操作軸 ７ コイルスプリング ８ フック ９ ロック歯 １０ａ、１０ｂ 連結穴 １１ ロアレール １３ 補強プレート １３ａ 爪 １３ｂ 立ち上げ部 １３ｃ ストッパー部 １４ ロック解除機構 １５ フラケット １６ 駆軸 １７ リンク片 １８ ブケット １９ 軸 ２０ カム片 ２１ ロックプレート ２２ コイルスプリング ２３ ワイヤー ２４、２５ ワイヤー ２６、２７ ブラケット ２８ 補助スプリング ２９ スプリング

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 車体の床側に固定されるロアレールと当
   該ロアレールに摺嵌されて前後に摺動可能なアッパーレ
   ールと、ロアレールに対してアッパーレールの相対位置
   を調整及び固定するためのロック機構とから成る左右１
   対のシートトラックを備えたウオークインシートスライ
   ド装置において、 一方のシートトラックには前記ロック機構の固定解除を
   行う操作軸がブラケット等によって回転可能に支持され
   ており、また、当該操作軸には他方のシートトラック側
   ロック機構部のロックプレートとウオークイン動作に連
   動するリンク片とに各々連結される連結部材の端部を係
   止するためのフックが固着されており、 他方のシートトラックにはアッパーレールを固定するた
   めの複数の爪とアッパーレールの移動範囲を規制するス
   トッパーが一体となった補強プレートがロアレール側に
   固定され、ロック機構の作動に伴って通常のスライドス
   トローク幅にのみ調整、固定されるよう設定されてお
   り、 また、前記他方のシートトラックにはウオークイン動作
   時に回転するリンク片と当該リンク片の回転に伴ってロ
   ック機構のロックプレートを前記ストッパーと干渉しな
   い位置まで変位させるカム片とが設けられており、 前記操作軸の操作によって一方のシートトラックのロッ
   ク機構と連結部材を介して連結された他方のシートトラ
   ックのロック機構とが同時に解除され、他方のシートト
   ラックのストッパーによって規制されるストローク範囲
   内で位置調整が可能となっており、 また、ウオークイン動作時には他方のシートトラックの
   ロック機構に設けられたロック機構のロックプレートが
   ストッパーと干渉しない位置まで変位し、かつ、リンク
   片と連結部材を介して一方のシートトラックの操作軸
   が、回転操作されてロック機構が解除され、両シートト
   ラックが通常のストローク幅を超えてウオークイン位置
   まで移動可能に構成されたことを特徴とする、ウオーク
   インシートスライド装置。