JP2591800Y2 - ヘッドアップディスプレイ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 A.考案の目的 （１）産業上の利用分野 本考案は、操縦者の前方視野内にコンバイナが配設さ
れ、その操縦者が外界の景色と情報投光装置から投光さ
れた情報表示光とを、それらが重なり合った状態で視認
できるようにしたヘッドアップディスプレイに関し、特
に陸上乗物で使用するのに適したヘッドアップディスプ
レイに関する。

前記ヘッドアップディスプレイは、航空機または自動
車等の乗物の操縦者が前方外界の景色を見ながら操縦す
る際に、その操縦者が見ている前方の景色に種々の情報
を重ねて表示する際等に使用される。このようなヘッド
アップディスプレイを用いれば、操縦者は一々外界から
視線をそらせて計器類を見る必要がなくなるので、外界
から視線をそらせている間に生じる不慮の事故を防ぐこ
とができる。

（２）従来の技術 前記従来のヘッドアップディスプレイは、普通、操縦
者の視野前方にハーフミラー等のコンバイナを配置し、
そのコンバイナは外界の景色から出射した光線を操縦者
の方向に透過させるとともに操縦室内側から前記コンバ
イナに入射した情報表示光を操縦者の方向に回折させる
ように構成されている。そして、前記情報表示光をコン
バイナに入射させる情報投光装置は、CRT、プラズマデ
ィスプレイまたは発光ダイオードディスプレイ等の光学
的情報表示手段とこの光学的情報表示手段から出射した
光を前記コンバイナに入射させる光学系とを備えてい
る。そして、前記光学系は、普通リレーレンズ系および
反射鏡等から構成されており、前記情報表示光を操縦者
が正面の視野の中に視認できるように構成されている。

（３）考案が解決しようとする問題点 前述の従来のヘッドアップディスプレイでは、操縦者
が正面の視野の中に視認する光学的情報の中でどの表示
項をどの位置に表示するかについては明確な基準が無か
った。したがって、種々の情報を操縦者の視野の中の適
当な位置に表示していた。しかしながら、陸上乗物で
は、操縦者の視野は乗物が高速になるに従って狭い範囲
に絞られてくるので、その狭い視野内に多くの情報を表
示しようとする表示情報が小さくなって視認し難くな
り、また、広い視野内に多くの情報を表示すると、陸上
乗物が高速になったときに視野中心部から離れた位置の
表示情報を容易に視認することができなくなるという問
題点があった。

本考案は、陸上乗物の低速的にも高速時にも操縦者
が、必要な情報を容易に視認することができるようにす
ることを課題とする。

B.考案の構成 （１）課題を解決するための手段 前記課題を解決するために、本考案のヘッドアップデ
ィスプレイは、光学的情報表示手段とこの光学的情報表
示手段から出射した情報表示光を所定の方向に投光する
光学部材とを備えた情報投光装置と、 操縦者の前方に傾斜して設けられ、前方の外界の景色
を操縦者が視認できるように前記外界からの光線を前方
から後方に透過させるとともに、前記情報投光装置から
投光された情報表示光を操縦者が視認できる方向に回折
するコンバイナと、 を備えた陸上乗物用のヘッドアップディスプレイにお
いて、 前記陸上乗物の低速走行中の速度情報および停車時の
操作に必要な情報は、前記コンバイナ内の視認の中心部
から離れた位置に表示し、高速走行中の速度情報はコン
バイナ内の視野の中心部に表示し、且つ前記各情報の表
示位置がコンバイナ内に固定されたことを特徴とする。

（２）作用 前述の構成を備えた本考案のヘッドアップディスプレ
イにおいては、陸上乗物が停止または低速走行中は、操
縦者は正面を向いた姿勢で広い視野範囲を視認すること
ができるので、視認の中心部から離れた位置に表示され
た情報をも視認することができる。また、陸上乗物が高
速走行中は、操縦者は視野の中心部に表示された情報
（すなわち、高速走行時に必要な情報）を視認すること
ができる。また、情報の表示位置が固定されているの
で、必要な情報を常に同じ位置で確認することができ
る。

（３）実施例 以下、図面により本考案の一実施例を説明する。

第１図において、電車１の前端部には運転室２が設置
されている。この運転室２の前方には電車１の車体下部
３と天井４との間にコンバイナとしてのフロントガラス
５が配設されている。このフロントガラス５は前方に行
くに従って下方に傾斜するように配置されている。ま
た、運転室２には、操縦者Ｍ用の座席６の前方に計器盤
７が配設されている。

この運転室２の天井４の前端部には発光ダイオード表
示パネル、プラズマディスプレイ等のフラットな光学的
情報表示手段10がその表示面を下向きにして設置されて
いる。この光学的情報表示手段10は、車両の速度、ブレ
ーキ用空気圧力、または各種警告燈等に関する情報を表
示するように構成されている。

また、前記計器盤７の前部上面には光学部材としての
平面鏡11が設置されており、この平面鏡11は前記光学的
情報表示手段10から出射した情報表示光を前記フロント
ガラス５に向けて反射させるように配置されている。前
記光学的情報表示手段10および平面鏡11から情報投光装
置12が構成されている。

前記フロントガラス５は前記平面鏡11から入射した情
報表示光の一部を透過させるとともに残部を前記操縦者
Ｍに向けて反射させるように配置されており、また外部
の景色から出射した光りの一部を反射するとともに残部
を前記操縦者Ｍに向けて透過させるように配置されてい
る。すなわち、フロントガラス５はコンバイナの機能を
備えている。

そして、前記情報投光装置12およびコンバイナとして
のフロントガラス５によってヘッドアップディスプレイ
Ｈが構成されている。

次に、前述の構成を備えた本考案による実施例の作用
について説明する。

第１図中左側に在る外界からフロントガラス５に向っ
て進んで来た光線Ｘは、一部はフロントガラス５で外界
に反射し、残部はそのままフロントガラス５を透過して
直進し、操縦者Ｍの眼に至る。これにより操縦者Ｍは外
界の景色をそのまま視認することができる。一方、情報
投光装置12の光学的情報表示手段10から出射した情報表
示光Ｄは平面鏡11で反射してフロントガラス５に入射す
る。そして、フロントガラス５に入射した情報表示光Ｄ
は、一部はフロントガラス５を透過して外界に出射され
るが、残部は反射して操縦者Ｍの眼に至る。これにより
操縦者Ｍは情報表示光Ｄを視認することができる。

電車１の場合には操縦者Ｍとフロントガラス５との間
の距離および天井４と計器盤７との間の距離が比較的長
いので、天井４に設置された光学的情報表示手段10から
操縦者Ｍの眼にいたる情報表示光の光路長を3m程度以上
にすることができる。したがって、操縦者Ｍは、外界の
景色を見ながら、情報表示光を3m程前方に視認すること
ができる。この3mの距離は陸上乗物においては充分実用
的な範囲である。

第２図は表示情報の一例と操縦者Ｍの視認範囲との関
係の説明図である。

第２図において、停止または低速走行時の視野範囲S1
は広く、高速走行時の視認範囲S2は狭い。

そして、電車１のドアが閉じているか開いているかと
いう情報は停止または低速走行時の視野範囲の中央部か
ら離れた位置に「戸閉」または「戸開」と表示される。
また、前記中央部から離れた位置にブレーキ用空気圧力
が「○○kg/cm²」と表示される。これらの情報は主とし
て電車１が発車する直前の停止中に操縦者Ｍによって視
認される情報であるので、前述の視野範囲中央部から離
れた位置に表示される。

また、電車１の速度情報は、目盛り付き直線Ｌに沿っ
て配置された時速を表すkm単位の数値列Ｎと指針Ｐとに
より表示されており、数値列Ｎの低速時の数値は視野範
囲の中央部から離れた位置に表示され、高速時の数値は
中央寄りの範囲すなわち高速走行時の視野範囲内に表示
されている。そして、前記各情報は常に同じ位置に表示
される（すなわち、表示位置が固定されている）ので、
必要な情報を常に同じ位置で確認することができる。

したがって、操縦者Ｍは、電車１の停止中または低速
走行中に必要な情報である「戸閉」または低速走行時の
時速等をその視野範囲内に容易に視認することができ
る。また、高速走行時にはそのときに必要な高速走行時
の時速を容易に視認することができる。

第３図は前記第２図の速度情報の表示の仕方の他の例
の説明図である。

第３図において、電車１の速度情報は、目盛り付き曲
線Ｌ′に沿って配置された時速を表すkm単位の数値列
Ｎ′と指針Ｐ′とにより表示されている。そして、数値
列Ｎ′の低速時の数値は視野範囲の中央部から離れた位
置に表示され、高速時の数値は中央寄りの範囲すなわち
高速走行時の視野範囲内に表示されている点は、前記第
２図に示した例と同じである。

以上、本考案の実施例を詳述したが、本考案は、前記
実施例に限定されるものではなく、実用新案登録請求の
範囲に記載された本考案を逸脱することなく、種々の設
計変更を行うことが可能である。

たとえば、電車のフロントガラス自体をコンバイナと
して使用する代わりに、フロントガラスの内面に別途ハ
ーフミラーを張り付けることも可能である。また、電車
に使用する光学部材として平面鏡の代わりに凹面鏡を使
用することも可能である。また、電車以外の陸上乗物た
とえば、自動車等のヘッドアップディスプレイにも本考
案を適用することができる。

また、エンジンの回転その他の各種の情報を表示する
ことも可能であり、その表示の形態も種々のものを採用
することが可能である。

C.考案の効果 本考案のヘッドアップディスプレイは、陸上乗物が停
止または低速走行中に必要な情報は視野の中心部から離
れた位置に表示し、高速走行中に必要な情報は視野の中
心部に表示するようにしている。したがって、陸上乗物
が停止または低速走行中は、操縦者は正面を向いた姿勢
で広い視野範囲を視認することができるので、視野の中
心部から離れた位置に表示された情報（すなわち停止ま
たは低速走行中に必要な情報）を視認することができ
る。また、陸上乗物が高速走行中は、操縦者は視野の中
心部に表示された情報（すなわち、高速走行時に必要な
情報）を視認することができる。すなわち、本考案は、
陸上乗物が低速時にも高速時にも操縦者が、必要が情報
を容易に視認することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のヘッドアップディスプレイの一実施例
の説明図、第２図は表示情報の一例と操縦者Ｍの視野範
囲との関係の説明図、第３図は第２図における表示情報
の他の例の説明図、である。 Ｄ…情報表示光、Ｈ…ヘッドアップディスプレイ、Ｍ…
操縦者、４…天井、５…コンバイナ、10…光学的情報表
示手段、11…光学部材、12…情報投光装置、

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B60K 35/00

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】光学的情報表示手段とこの光学的情報表示
   手段から出射した情報表示光を所定の方向に投光する光
   学部材とを備えた情報投光装置と、 操縦者の前方に傾斜して設けられ、前方の外界の景色を
   操縦者が視認できるように前記外界からの光線を前方か
   ら後方に透過させるとともに、前記情報投光装置から投
   光された情報表示光を操縦者が視認できる方向に回折す
   るコンバイナと、を備えた陸上乗物用のヘッドアップデ
   ィスプレイにおいて、 前記陸上乗物の低速走行中の速度情報および停車時の操
   作に必要な情報は、前記コンバイナ内の視野の中心部か
   ら離れた位置に表示し、高速走行中の速度情報はコンバ
   イナ内の視野の中心部に表示し、且つ前記各情報の表示
   位置がコンバイナ内に固定されたヘッドアップディスプ
   レイ。