JP2589179B2 - 鉛系セラミックス粉末の製造方法 - Google Patents

鉛系セラミックス粉末の製造方法

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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は鉛系セラミックス粉末の製造方法に関するも
のであり,特にはペロブスカイト型鉛酸化物粉末を得る
技術に関する。
[従来技術] PZT,PLZT,PMN等に代表されるプロブスカイト型鉛系セ
ラミックスは,エレクトロニクスの分野で多くの用途が
期待されている。これらセラミックスの原料粉末の製造
方法には酸化物混合法,中和共沈法,アルコキシド法な
どがある。酸化物混合法は,主な処理設備が粉砕混合機
のみであり,もっとも安価で大量生産向きである。また
制御条件が少ないため比較的安定して一定の特性の粉体
が得られるが,最終的に得られる原料粉末が出発原料の
酸化物の粒径に依存するため,粒径が粗大化し,易焼結
性となりにくく,また組成の均一性が悪い。中和共沈法
は組成の均一な微細粉末が得られるが,大きな設備を必
要とするため酸化物混合法に比べコスト高となり,また
湿式のため一定の特性の粉末を安定的に得るには,かな
り多くの条件を制御しなくてはならない。アルコキシド
法は中和共沈法同様,組成の均一な微細粉末が得られる
が,制御する条件が多く,また原料のアルコキシドの価
格が高価なためこれら3つの方法の中で最も経済性にお
いて劣る。更に,原料のアルコキシドは空気中の水分で
加水分解するため,取り扱いが困難である。
このように各合成法には,それぞれ特徴があるが,現
在までのところペロブスカイト型鉛酸化物粉末を工業的
な規模で製造するにあたっては,酸化物混合法と中和共
沈法が主として採用されている。
[発明が解決しようとする問題点] 鉛系セラミックス原料粉末を酸化物混合法で得る際の
鉛源としては,PbO,PbO2,Pb2O3,等が用いられる。鉛系セ
ラミックス粉末を得るための仮焼は,高温で鉛が蒸発す
るため組成安定性の面から800℃以下に抑える必要があ
る。しかしながら酸化物混合法では,800℃以下の温度域
での仮焼で,単一結晶相からなる原料粉末が得られにく
い。これは組成の均一化が粉体同士の固相反応によって
進行するからであり,このような粉末を用いて成形,焼
結を行なうと,焼結過程で成形体内部に局部的な焼結速
度の不均一が生じ,気孔の少ない緻密な焼結体が得られ
にくい。一方,仮焼温度が800℃以上になると組成の均
一化は進行するが,単一結晶相からなる粉体を得るには
900℃より高い温度での仮焼を必要とする場合が多く,
これらの温度では鉛の蒸発が顕著になるため毎回の生産
における組成の安定性が悪くなる。また高温での仮焼は
粒成長を促進し,易焼結性の原料粉末は得られにくい。
以上の様な理由により,従来は酸化物混合法で単一結
晶相からなる,易焼結性を有する,組成均一性の良好な
鉛系セラミックス原料粉末が得られていなかった。本発
明は,酸化物混合法における上記の欠点を解決するため
になされたもので,800℃以下の温度での仮焼で単一結晶
相からなる鉛系セラミックス原料粉末を得ることを可能
にし,易焼結性を有する,組成均一性の良好な鉛系セラ
ミックス原料粉末を安価に工業的な規模で製造すること
ができる方法を提供することを目的とする。
[発明の構成] 即ち本発明は上記の問題点を解決するものであって,
酸化鉛を出発原料の1つとし,前記原料と他の酸化物や
無機塩を粉砕,混合後,焼成することによりセラミック
ス用原料粉末を製造する工程において,硝酸イオン、ま
たは有機酸イオンが存在するPH7〜11の水溶液中で出発
原料すべてを粉砕,混合し,酸化鉛を塩基性鉛組成物に
変質させた後,500℃〜900℃の範囲で仮焼することを特
徴とする鉛系セラミックス粉末の製造方法,及び,酸化
鉛を出発原料の1つとし,前記原料と他の酸化物や無機
塩を粉砕,混合後,焼成することによりセラミックス用
原料粉末を製造する工程において,硝酸イオン,または
有機酸イオンが存在するPH7〜11の水溶液中で,あらか
じめ酸化鉛を粉砕して,塩基性鉛組成物に変質させ,こ
れを濾過後または濾過,乾燥後,あるいはそのまま他の
出発原料を添加し,粉砕,混合処理を行ない,500℃〜90
0℃の範囲で仮焼することを特徴とする鉛系セラミック
ス粉末の製造方法に関する。
[発明の具体的説明] 本発明に用いられる鉛源としては,PbO,PbO2,Pb2O3,等
がある。本発明者らは前記課題を解決するために,これ
らの酸化鉛を硝酸イオンが存在するPH7〜11の水溶液中
において粉砕を行なった。その結果,これらの酸化鉛が
本来の色から白色に変化することがわかった。この現象
について鋭意究明したところ,この反応はPH7〜11の範
囲の硝酸イオンが存在する水溶液中で起こり,且つ機械
的な力が共存すると急速に反応が進行することがわかっ
た。そして白色化したものを乾燥した。これは,塩基性
硝酸鉛組成物であり,乾燥温度により粒径が著しく変化
する熱的に不安定な物質であることが明らかになった。
第1図にPbOのX線回折図形(b)とSEM写真(a)を,
第2図にこれから得られた塩基性硝酸鉛組成物のX線回
折図形(b)とSEM写真(a)を示す。
X線回折図形は横軸がCuのKα線に対する回折角度,
縦軸がX線強度(cps)である。JCPDSカードから第1図
は,マシコットと呼ばれる斜方晶PbOの反射で各回折ピ
ークの指数つけができ,第2図は,Pb2(NO3)(OH)
の反射で指数つけができる。このことからPbOが変質し
ていることが明らかである。この反応と同様の反応は酢
酸などの有機酸においても認められた。そして酸化鉛を
粉砕,混合の初め,あるいは途中でこの様な塩基性鉛組
成物の形にしておくと,500℃〜900℃好ましくは700℃〜
800℃の温度での仮焼で組成均一性の良好な鉛系セラミ
ックス粉末が製造できることがわかった。本発明におい
ては,酸化鉛と他の出発原料を初めから一緒に,硝酸イ
オン,または有機酸イオンが存在するPH7〜11の水溶液
中で粉砕,混合を行なっても,またあらかじめ鉛酸化物
のみを硝酸イオン,または有機酸イオンが存在するPH7
〜11の水溶液中で粉砕,混合を行なって塩基性鉛組成物
の形にしておき,それに他の出発原料を添加して更に適
当な条件で粉砕,混合を行なっても良い。他の出発原料
は金属酸化物でも無機塩でも良い。硝酸イオンが存在す
るPH7〜11の水溶液は,硝酸とアンモニア水を混合する
か,PH調整したNH4NO3水溶液を用いるのが望ましい。有
機酸イオンが存在するPH7〜11の水溶液についても同様
の作製方法が望ましい。粉砕,混合の装置には,一般に
ボールミル,擂かい機,振動ミル,ビーズミル等が用い
られる。また本発明に使用される有機酸は主として酢
酸,アクリル酸等の有機カルボン酸である。本発明にお
ける重要な点は,鉛酸化物の変質を充分に行なうことで
あり,硝酸イオン,または有機酸イオンの濃度と水溶液
のPH,あるいは粉砕混合の各条件はこのことを前提に決
定される。本発明により500℃〜900℃の仮焼温度で,従
来得られなかった単一結晶相からなる易焼結性の鉛系セ
ラミックス粉末が酸化物混合法により得られる理由とし
ては,硝酸塩または有機酸塩の分解時にHedvall効果が
起こり,反応時の粉末の組成均一性を高めたためと考え
ている。以下この発明の実施例について詳述する。
[実施例] PbO62.81g,La2O34.53g,ZrO224.21g,TiO28.45gをとり,
PH8.3のNH4NO3水溶液(濃度100g/l)とともにボールミ
ル中で15時間粉砕混合した。これをアンモニア水で洗浄
後,80℃で乾燥し,800℃で2時間の仮焼を行なった。こ
れをボールミルを用いてアルコール中で再度粉砕し,乾
燥後700℃2時間の仮焼を行ない,解砕してPLZT原料粉
末を得た。第3図にこの粉末のX線回折図形を示す。
X線回折図形の縦軸,横軸は,第1図,第2図同様で
ある。各回折ピークはほぼ立方晶PLZTで指数つけができ
る。同粉は,800℃以下の仮焼にもかかわらず,PLZT単相
になっていることがわかる。これにより鉛の蒸発が少な
い条件で好ましい処理が可能である。この粉末のBET法
による比表面積は,5m2/gであり,後述する比較例の酸化
物混合法によるPLZT粉末の比表面積と比べ,倍近い値と
なり粉の焼結性も向上していることがわかった。
[比較例] PbO62.81g,La2O34.53g,ZrO224.21g,TiO28.45gをとり,
PH7の水とともにボールミル中で15時間粉砕混合した。
これを80℃で乾燥し,900℃で2時間の仮焼を行なった。
これをボールミルを用いてアルコール中で再度粉砕し,
乾燥後700℃2時間の仮焼を行ない,解離してPLZT原料
粉末を得た。第4図にこの粉末のX線回折図形を示す。
X線回折図形の縦軸,横軸は,第1図,第2図,第3
図と同様である。図中,矢印で示したところに明瞭なPb
TiO3のピークがみられる。同粉は実施例より100℃高温
で仮焼したにもかかわらずPLZTとPbTiO3の混合物になっ
ている。またこの粉体のBET法による比表面積は3m2/gで
あった。
[発明の効果] 以上説明した様に,本発明により500℃〜900℃の仮焼
により酸化物混合法で単一焼結相を鉛系セラミックス原
料粉末が得られる。仮焼温度が下げられることにより,
得られる粉末の比表面積は従来の酸化物混合法により得
られる粉末に比べ大きくなり易焼結性となる。これはペ
ロブスカイト型鉛系セラミックスの電気的,光学的用途
の拡大に対し,酸化物混合法が好適に実施可能になり,
原料粉体の量産化,低コスト化へ寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)は,出発物質の1つであるPbOの粒子構造
の写真であり,第1図(b)は,X線回折図形である。 第2図(a)は,塩基性硝酸鉛組成物の粒子構造の写真
であり,第2図(b)は,X線回折図形である。 第3図は,実施例により得られたPLZTの原料粉末のX線
回折図形 第4図は,比較例により得られたPLZTの原料粉末のX線
回折図形

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化鉛を出発原料の1つとし,前記原料と
    他の酸化物や無機塩を粉砕,混合後,焼成することによ
    りセラミックス用原料粉末を製造する工程において,硝
    酸イオン,または有機酸イオンが存在するPH7〜11の水
    溶液中で出発原料すべてを粉砕,混合し,酸化鉛を塩基
    性鉛組成物に変質させた後,500℃〜900℃の範囲で仮焼
    することを特徴とする鉛系セラミックス粉末の製造方
    法。
  2. 【請求項2】酸化鉛を出発原料の1つとし,前記原料と
    他の酸化物や無機塩を粉砕,混合後,焼成することによ
    りセラミックス用原料粉末を製造する工程において,硝
    酸イオン,または有機酸イオンが存在するPH7〜11の水
    溶液中で,あらかじめ酸化鉛を粉砕して,塩基性鉛組成
    物に変質させ,これを濾過後または濾過,乾燥後,ある
    いはそのまま他の出発原料を添加し,粉砕,混合処理を
    行ない,500℃〜900℃の範囲で仮焼することを特徴とす
    る鉛系セラミックス粉末の製造方法。
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