JP2584615B2 - 成形加工用硬質アルミニウム合金圧延板の製造方法 - Google Patents

成形加工用硬質アルミニウム合金圧延板の製造方法

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JP2584615B2 JP61025252A JP2525286A JP2584615B2 JP 2584615 B2 JP2584615 B2 JP 2584615B2 JP 61025252 A JP61025252 A JP 61025252A JP 2525286 A JP2525286 A JP 2525286A JP 2584615 B2 JP2584615 B2 JP 2584615B2
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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は強度が要求される成形加工品に使用される
硬質アルミニウム合金圧延板の製造方法に関し、特にア
ルミニウム2ピースD/I缶缶胴材や缶蓋材、あるいは王
冠、キャップ缶、そのほか深絞り加工や再絞り加工によ
り成形される食缶用アルミニウム合金材等に適した、成
形加工時における耳率の低い硬質アルミニウム合金圧延
板の製造方法に関するものである。
従来の技術 従来一般にアルミニウム2ピースD/I缶缶胴材にはJIS
規格3004合金のH19材あるいはH39材、また缶蓋材には50
52合金、5086合金、5182合金等のH18材もしくはH38材、
王冠材やキャップ材には3003合金のH26材や3105合金のH
18材もしくはH26材、あるいは5052合金のH38材、深絞り
缶やDRD(絞り−再絞り)食缶用材には5052合金のH18材
もしくはH38材あるいは5042合金のH38材が多く用いられ
ている。これらのアルミニウム合金の形成用硬質材の製
造過程においては、再結晶によって圧延性、成形性、強
度を調整するために中間板厚で熱処理(中間焼鈍)を行
なうのが通常であるが、このような調質を目的とした焼
鈍の具体的方法としては、従来は一般に箱焼鈍炉を用い
たバッチ式焼鈍を採用している。このバッチ焼鈍では、
昇温速度が20〜50℃/hrと極めて遅いのが通常である。
ところで前述のような用途においては、成形加工時に
おける耳の発生が少ないことが必要であり、耳率が高け
れば材料歩留りが低下して材料コスト増大を招くばかり
でなく、成形加工装置におけるツーリング上のトラブル
も発生する。そこでこれらの用途のアルミニウム合金圧
延板の製造過程においても成形加工に供せられる最終板
の方向性を少なくして形成加工時の耳率を少なくするた
めの対応策が種々とられているが、いずれにしても前述
のような昇温速度が極めて遅い徐速焼鈍を前提とした対
策であった。
発明が解決すべき問題点 近年に至り、生産性向上やコストダウン、品質向上等
の観点から、バッチ焼鈍に代わり連続焼鈍が採用される
ようになっている。連続焼鈍は、連続的にコイルを巻戻
しながら加熱・冷却を行なうものであり、従来の一般的
なバッチ焼鈍と比較して昇温速度が速いこと、また比較
的高温に到達させ易いこと、さらに冷却速度が速いこと
が特徴である。このような連続焼鈍を適用した場合、合
金組成によっては、従来のバッチ式焼鈍を前提とした耳
率低減策では、成形加工に供せられる最終板の耳率が従
来と比較して極端に高くなり、材料歩留りの低下や成形
加工上のトラブルを招くことがある。
すなわち、純アルミ系の1050合金や1100合金のように
Fe、Siの量が不純物量程度である場合には、Feの固容量
が比較的高くかつ中間焼鈍前の冷間圧延率が高い場合の
み耳率が高い問題が生じるから、その問題が生じなによ
うに製造することは比較的容易であり、また5052合金等
のように添加遷移金属であるCrの拡散係数が極めて遅い
場合でかつその添加量も少ない場合にも問題が少ない。
これに対し、Fe、Si、Mnが同時に添加されている合金、
例えば3003合金、3004合金、5042合金、5086合金、5182
合金等の場合には、Mnが主体の不溶性化合物が鋳造およ
び鋳塊熱処理時に必ずアルミマトリックス鋳に析出分散
してくる。この析出物は、焼鈍時にも残存し、特に連続
焼鈍のように比較的高温に短時間で到達させる焼鈍の場
合には、その析出物が、多数発生した再結晶核の成長を
抑制する作用を果たし、結果的に焼鈍後の再結晶組織が
45゜方位の残存の強い組織となってしまい、所要の硬さ
を得るための焼鈍後の冷間圧延においてさらに45゜方位
が強く発達し、成形加工時における耳率の高い材料にな
ってしまう問題を招く。しかるに従来はこのようなMnを
主体とする不溶性化合物が析出する系の合金について連
続焼鈍を適用した場合に、耳率を小さくするための具体
的方法は確立されていなかったのが実情である。なお、
連続焼鈍を適用しながらも、耳率の小さい材料を得るた
めの一つの方策としては、析出物の生成に寄与するFe、
Si、Mnの含有量を厳密に規制すること、例えば特開昭58
−126967号に示されているようにFe+Mn/Siの比が14以
上となるようにFe量、Mn量、Si量の相互の関係を厳密に
調整することも考えられる。しかしながらその場合に
は、溶解原料としてスクラップの使用が制約されたり、
他の性能を損なったりする問題がある。
この発明は以上の事情を背景としてなされたもので、
Mn、Fe、Siの含有量を厳密に規制せずに、Mn、Fe、Siを
同時に添加した成分系のアルミニウム合金において、連
続焼鈍を適用した場合に従来のバッチ式焼鈍を適用した
圧延板と同程度もしくはそれより低い耳率を有し、かつ
成形性も劣らないアルミニウム合金圧延板を製造する方
法を提供することを目的とするものである。
問題点を解決するための手段 本願の第1発明の成形加工用硬質アルミニウム合金圧
延板製造方法は、重量%でSi0.05〜0.60%、Mn0.20〜1.
3%、Fe0.20〜1.3%を含有し、残部がAlおよび不可避的
不純物よりなるアルミニウム合金を素材とし、そのアル
ミニウム合金鋳塊中の無析出物帯の領域が鋳塊断面の平
均面積率で60%以上を占めるように、600〜640℃の温度
での15時間以上の高温長時間加熱を施して鋳塊組織を調
整した後、所要の板厚となるまで圧延し、続いて0.5℃/
sec以上の昇温速度で450℃以上の温度域まで加熱して、
直ちにもしくは60秒以内の時間保持してから急速冷却
し、さらに圧延率20%以上の冷間圧延を施すことを特徴
とするものである。
また本願の第2発明の成形加工用硬質アルミニウム合
金圧延板製造方法は、重量%でSi0.05〜0.60%、Mn0.20
〜1.3%、Fe0.20〜1.3%を含有し、さらにCu0.10〜1.0
%、Mg0.30〜5.0%のうちの1種または2種を含有する
アルミニウム合金を素材とし、そのアルミニウム合金鋳
塊中の無析出物帯の領域が鋳塊断面の平均面積率で60%
以上を占めるように、560〜630℃の温度での15時間以上
の高温長時間加熱を施して鋳塊組織を調整した後、所要
の板厚となるまで圧延し、続いて0.5℃/sec以上の冷却
速度で450〜580℃の温度域まで加熱して、直ちにもしく
は60秒以内の時間保持してから急速冷却し、さらに圧延
率20%以上の冷間圧延を施すことを特徴とするものであ
る。
作用 本願の第1発明の製造方法においては、前述のように
Mn、Fe、Siを添加したアルミニウム合金について鋳塊段
階で無析出物帯の領域面積を調整し、中間板厚での急速
加熱、急速冷却を組合せることによって、連続焼鈍にお
いても安定して低い耳率を得ることが可能となり、その
後の冷間圧延を圧延率20%以上の範囲で施して調質する
ことにより、キャップ材等に適した耳率の低い成形加工
用硬質アルミニウム合金圧延板を得ることができる。
また第2発明の製造方法では、さらに高強度を有する
硬質アルミニウム合金圧延板を整造する場合の強化策と
して、Cuおよび/またはMgを添加した場合において、前
記同様にして耳率が低くしかもより高い強度を有するキ
ャップ材、あるいは缶胴材、食缶材、缶蓋材等に適した
成形加工用アルミニウム合金圧延板を得ることができ
る。
以下にさらに各発明の方法における作用を、成分限定
理由および各工程のプロセス条件限定理由とともに詳細
に説明する。
先ず本願各発明における成分限定理由を説明する。
この発明の主眼は、既に述べたように、従来適用して
いたバッチ式焼鈍を連続焼鈍に切替えたことによって生
じる耳率制御技術上の問題点を、従来から使用されてい
る成分組成域の合金でも解消できることである。そこで
この発明においても、基本的には連続焼鈍法を適用した
場合に耳率の点で問題があったMn、Fe、Siを添加した系
の合金を対象とし、次のようにFe、Si、Mnを必須成分と
している。
Si: SiはFe、Mnの析出を促進し、再結晶粒の方向性を制御
するために欠くことのできない元素であるが、0.60%を
越えて添加した場合、熱間圧延の段階でも新たな析出を
捉してしまい、初期の鋳塊段階で無析出物帯を調整した
効果が薄らぐ。一方Siが0.05%未満では析出を促進する
効果自体が小さくなり、かえって鋳塊での無析出物帯の
調整が困難となる。したがってSiは0.05〜0.60%の範囲
内とした。
Mn: Mnは強度向上に寄与するとともに成形性向上に有効な
元素である。また蓋材やキャップ材に用いられた場合に
は蓋のスコアー部やキャップのミシン目における引きち
ぎりが容易であることが望ましいが、Mnはこの引きちぎ
り性向上に有効である。さらに、SiやFe等の影響で促進
されるMn系不溶性化合物の析出物は、再結晶粒の微細化
や方向性の制御に極めて重要である。但し1.3%を越え
てMnを添加した場合には、SiやFeの添加量を制御しなけ
れば鋳造速度が遅い場合に巨大金属間化合物の初晶が生
成し、成形性が低下してしまう。一方Mnが0.20%未満で
はMnの添加効果自体が小さくなってしまう。したがって
Mnは0.20〜1.3%の範囲内とした。
Fe: FeはSi、Mnとともに方向性の改善と再結晶粒微細化に
有効である。すなわちFeはMnの晶出および析出を促進さ
せる作用を有し、均熱処理と組合せることによって再結
晶粒を微細化しかつ方向性を安定化するのに有効であ
る。但しこの発明の場合Mnを必須成分としている関係
上、Feが1.3%を越えれば巨大金属間化合物の生成域を
外して方向性の安定化を図ることが困難となる。一方Fe
が0.20%未満では方向性改善および再結晶粒微細化効果
が充分ではなく、したがってFeは0.20〜1.3%の範囲内
に限定した。
以上の各成分の残存は、第1発明の場合は、Alおよび
付可避的不純物とすれば良い。
一方第2発明の場合は、より高強度が必要となる用途
向けの材料、例えば缶の胴材、食缶材、缶蓋材などに適
したアルミニウム合金圧延板を提供するため、前述のS
i、Fe、Mnのほか、Cuおよび/またはMgを含有させる。
これらの成分の限定理由を次に説明する。
Cu: Cuは強度を向上させるとともに、塗装焼付け後の伸び
を向上させて形成性を良好にするに有効な元素である。
但し、1.0%を越えてCuを添加した場合には、強度は向
上するものの、成形性がかえって低下してしまう。一方
Cuが0.1%未満では大幅な強度向上が望めないところか
ら、Cuは0.1〜1.0%の範囲内とした。
Mg: MgはCuと同様に強度向上と塗装焼付け後の伸び向上に
有効な元素である。但しMgが0.30%未満では用途に応じ
た強度を期待することができず、一方5.0%を越えれば
成形性が極端に低下することから、0.30〜5.0%の範囲
内に限定した。
なお通常のアルミニウム合金においては、鋳塊結晶粒
微細化のために、TiあるいはTiおよびBを微量添加する
ことが多く、第1発明および第2発明のアルミニウム合
金圧延板においても微量のTi、あるいはTiおよびBを含
有する場合を除外するものではない。但しTiを添加する
場合、0.01%未満では鋳塊結晶粒微細化効果が得られ
ず、一方0.15%を越えれば初晶Ti3Alが晶出して成形性
を害するから、Tiは0.01〜0.15%の範囲内とすることが
好ましい。またTiとともにBを添加する場合、Bが1ppm
未満ではその効果がなく、一方500ppmを越えればTiB2
粗大粒子が混入して成形性を害するから、Bは1〜500p
pmの範囲内とすることが好ましい。
次にこの発明における製造プロセス条件について説明
する。
先ず前述のような成分組成を有するアルミニウム合金
鋳塊を常法にしたがって連続鋳造法、半連続鋳造法、あ
るいばDC鋳造法により作成する。
次いでその鋳塊に対して、均質化処理としての加熱を
施した後熱間圧延前の予備加熱を施すか、または均質化
を兼ねた熱間圧延予備加熱を施す。このような均質化処
理もしくは熱間圧延前の予備加熱においては、鋳塊中に
析出するMn系の不溶性化合物の析出帯を鋳塊断面での平
均面積率で40%未満となるよう、換言すればMn系の不溶
性化合物が実質的に析出していない無析出帯の領域の平
均面積率が60%以上となるように調整する。
すなわち、鋳塊に対する均質化処理または熱間圧延前
の予備加熱の昇温過程においては、Mn系の不溶性化合物
が分散析出するが、その加熱を高温で長時間行なうこと
によりその析出物は次第にマトリックス中に溶け込み、
第1図に模式的に示すように、析出物が群状に残ってい
る領域、すなわち析出物帯1と、析出物がAlマトリック
ス中に溶け込んで実質的に析出物が存在しなくなった無
析出物帯2とに分かれて行く。なお無析出物帯2では
(Mn,Fe)Al6等の晶出物3が晶出してるのが通常であ
る。このような無析出物帯の鋳塊断面における平均面積
率が60%以上となるように予備加熱または均質化処理に
おける加熱条件を制御するのである。このように鋳塊段
階での無析出物帯の平均面積率が60%以上であれば、連
続焼鈍炉を用いた急速昇温急速冷却焼鈍を施した場合で
も、従来の徐速焼鈍であるバッチ焼鈍で得られる成形加
工用硬質アルミニウム合金圧延板と同等かまたはそれ以
上の安定した方向性を有ししかも結晶粒が微細で成形性
および強度ともに満足し得る圧延板を得ることができ
る。一方無析出物帯の面積率が60%未満では、結晶粒度
が微細であるが方向性の点で従来のバッチ焼鈍により得
られた圧延板より耳率の高いものしか得られない。
ここで、鋳塊断面の無析出物帯が占有する面積率は、
透過電子顕微鏡を用いて直接観察を行ない、10〜20視野
の無析出物帯を含む領域における無析出物帯の占有率を
直接調べる方法もあるが、次の方法が簡便でかつ測定に
おけ個人差を排除することができる。すなわち、測定す
べき鋳塊の断面をダイヤモンドペースト研磨あるいはマ
ゴメット仕上研磨等によりミクロ研磨し、ケラー氏液を
約40倍の純水で薄めたエッチング液を用いて室温にて約
60〜80秒浸漬エッチングし、水洗・乾燥後、光学顕微鏡
による断面組織像を画像解析装置を用いて処理して、晶
出物の部分を消すとともに無析出物帯と析出物帯を2値
化し、無析出物帯の占有率を面積率で求める。このよう
に光学顕微鏡による断面組織像を画像処理装置で2値化
処理した例を第2図に示す。第2図は第1図に示される
断面組織像を処理した場合の例を示すものであり、白地
の部分が無析出物帯2、網目を施した部分が析出物帯1
をそれぞれ示し、断面組織が2値化されていることが判
る。
なお均質化処理もしくは熱間圧延前の予備加熱におい
て無析出物帯の平均面積率が60%となるように調整する
ためには、それ均質化処理等の加熱温度を従来の一般的
な加熱温度より高目とし、また加熱時間も長時間とすれ
ば良い。具体的な加熱温度および時間は成分組成によっ
て異なるが、第1発明の合金組成の場合は、600〜640℃
で15時間以上とすれば良く、また第2発明の合金組成の
場合は560〜630℃で15時間以上とすれば良い。
上述のように鋳塊に対する均質化処理あるいは熱間圧
延前の予備加熱において無析出物帯の面積率を調整した
後、常法にしたがって圧延し、所要の中間板厚とする。
この圧延は熱間圧延のみによって行なっても良く、ある
いは熱間圧延と冷間圧延を組合せて行なっても良い。
圧延後の中間板厚の板に対しては、第1発明の場合は
450℃以上の範囲内の温度、また第2発明の場合は450〜
580℃の範囲内の温度に0.5℃/sec以上の昇温速度で急速
加熱し、その温度から直ちに急冷、あるいはその温度に
60秒以内の時間保持して急冷する中間熱処理(中間焼
鈍)を施す。この中間熱処理は再結晶による圧延性、成
形性、強度の調整のために行なうものであり、既に述べ
たところから明らかなように連続焼鈍炉を用いて行う。
ここで連続焼鈍炉の特性として昇温速度、冷却速度は生
産効率の面から0.5℃/sec未満とすることはまれであ
り、また鋳造段階での無析出物帯の面積率を60%以上と
した効果も昇温速度が速ければ速い程大きくなり、0.5
℃/sec未満の昇温速度では従来のバッチ焼鈍材よりむし
ろ耳率は高くなってしまうから、昇温速度は0.5℃/sec
以上とした。冷却速度については特に規制は不要である
が、生産効率の面からは0.5℃/sec以上の急速冷却が好
ましく、また強度の面から溶体化効果を期待する場合も
0.5℃/sec以上の急速冷却が好ましい。中間熱処理の処
理温度は、長時間保持を行なわなくとも完全な再結晶組
織が得られるように450℃を下限とした。450℃未満では
60秒以内の短時間保持では充分な再結晶組織が得られな
い。また450℃以上の温度域まで加熱昇温すれば、その
温度域に到達後保持は行なわなくても再結晶は完了する
が、溶体化効果による強度向上を期待する場合は60秒以
内の保持を行なっても良いとした。またこの中間熱処理
における処理温度の上限は、第1発明の場合は特に定め
ないが、通常は620℃程度以下とする。一方Mgおよび/
またはCuを添加した第2発明の合金組成の場合は、580
℃以上では共晶融解を招くおそれがあるから、上限を58
0℃とした。
このようにして中間熱処理を行なった後には、成形性
と強度を調整するために最終冷間圧延を行なう。この最
終冷間圧延ににおける圧延率が20%未満では、用途に応
じた必要強度を有する板が得られなくなるから、20%以
上の圧延率で最終冷間圧延するととした。
以上のようにして得られた成形加工用硬質アルミニウ
ム合金圧延板は、従来のバッチ焼鈍方式により得られた
圧延板と比較して、この組成域の特徴である結晶粒が微
細であることに加え、成形加工の際の耳率の点において
も従来と同等以上のものが得られる。
実 施 例 [実施例1] 第1表に示すようなほぼ同一の成分組成を有する合金
符号A〜Hの合金を常法にしたがってDC鋳造し、得られ
た鋳塊に対し、熱間圧延前の加熱における加熱温度、時
間を調整することによって無析出物帯の面積率を調整し
た。その加熱温度、時間および無析出物帯面積率を第2
表に示す。引続いて3.0mmの板厚まで熱間圧延し、さら
に0.85mmまで第1次冷間圧延を施した。その後連続焼鈍
もしくはバッチ焼鈍による中間熱処理を施した。その条
件も第2表に示す。なお連続焼鈍における急熱急冷は、
昇温速度約25℃/sec、冷却速度約22℃/secとし、保持は
行なわなかった。さらに中間焼鈍の後、最終冷間圧延を
施して0.36mmの圧延板とした。
以上のようにして得られた各板に対し、方向性、再絞
り性、しごき加工性、およびフローラインを調べた結果
を第3表に示す。なお第3表において再絞り性、しごき
加工性、およびフローラインの評価は、合金C(従来プ
ロセス材)を基準とし、それを良(○印)として、やや
良を△印、不良を×印、従来プロセス材よりも優れてい
るものを◎印とした。また方向性は深絞り後の耳率(イ
ヤリング率)で示した。なおまた、鋳塊の加熱処理後の
無析出物帯の面積率は、既に述べたようにミクロ研磨し
た後エッチングし、光学顕微鏡で得られた組織像を画像
解析装置で処理して、2値化して求めた。
第3表から、この発明の条件に従って製造したアルミ
ニウム合金圧延板(本発明例)では、従来例もしくな比
較例により得られた圧延板と比較して、方向性は従来例
による圧延板と同等以上であり、かつ再絞り性やフロー
ラインの点でも優れた素材となっていることが明らかで
ある。
なお鋳塊段階で無析出物帯の面積率を調整しかつその
面積率を測定しておいた多数の鋳塊に対し、前記の実施
例と同様に熱間圧延→第1次冷間圧延→中間焼鈍(連続
焼鈍)→最終冷間圧延を行ない、その最終冷間圧延後の
最終板について圧延方向と平行な断面をミクロ研磨し
て、前述の方法でエッチングし、さらに光学顕微鏡と画
像処理装置を用い、直接析出物の占有面積率を測定し
た。その結果を鋳塊段階での無析出物帯面積率と対応し
て第3図に示す。第3図から明らかなように熱間圧延前
の鋳塊段階での測定結果と最終板における測定結果とは
直線的な相関関係が得られている。
[実施例2] 第4表に示すような種々の成分組成を有する合金符号
I〜Nの合金を常法にしたがってDC鋳造し、得られた各
鋳塊に対して熱間圧延前の加熱温度・時間を調整して第
5表中に示すように無析出物帯の面積率を調整した。続
いて2.5〜4.2mm厚まで熱間圧延し、さらに一部のものを
除いて1.0〜2.0mm厚まで第1次冷間圧延を施した。その
後第5表中に示すような種々の条件で中間熱処理(但
し、第5表中の「急熱急冷」は、連続焼鈍にて昇温速度
25℃/sec程度冷却速度22℃/sec程度、保持なしで行なっ
たもの)を施してから最終の2次冷間圧延を施して0.20
〜0.30mm厚の最終圧延板とした。さらにその圧延板に必
要に応じて第5表中に示すように安定化焼鈍もしくはベ
ーキングを行なった。なお第5表中において合金符号J
のものは、熱間圧延上りで第1次の中間熱処理を行な
い、次いで、0.33mmまで冷間圧延してから第2次の中間
熱処理を行ない、さらに最終の2次冷間圧延を行なった
ものである。
以上の各材料について方向性、LDR(限界絞り比)、
エリクセン値を調べた結果を第6表に示す。
Mn、Fe、Siが含有される合金の特徴として、急熱焼鈍
によりいずれも結晶粒が微細化され、フローラインは良
好となるが、それに加えて第6表から明らかなように、
本発明例によるものは、従来例のものと比較して方向性
が同等以上に低く安定化され、かつ副次的にLDR、エリ
クセン値も従来例の場合より良好となっている。
発明の効果 以上の実施例からも明らかなように、この発明の方法
によれば、Si、Fe、Mnを添加した系の成形加工用用硬質
アルミニウム合金圧延板を連続焼鈍を適用して製造する
にあたって、Si、Mn、Feの含有量を厳密に規制すること
なく、高温長時間の鋳塊加熱を施して鋳塊段階での無析
出物帯の面積率を調整することにより、成形加工時の耳
率が従来のバッチ焼鈍を適用した場合と同程度以上に低
く、しかも成形加工性も優れた材料を得ることが可能と
なった。
【図面の簡単な説明】
第1図は鋳塊段階において無析出物帯の面積率を調整し
た状態の鋳塊断面組織を模式的に示す模式図、第2図は
第1図の断面組織について画像処理により2値化した状
態を示す模式図、第3図は鋳塊段階での無析出物帯の面
積率と最終圧延板での析出物面積率との関係を示す相関
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 梶山 毅 東京都中央区日本橋室町4丁目1番地 スカイアルミニウム株式会社内 (56)参考文献 特開 昭58−126967(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%でSi0.05〜0.60%、Mn0.20〜1.3
    %、Fe0.20〜1.3%を含有し、残部がAlおよび不可避的
    不純物よりなるアルミニウム合金を素材とし、そのアル
    ミニウム合金鋳塊中の無析出物帯の領域が鋳塊断面の平
    均面積率で60%以上を占めるように、その鋳塊に600〜6
    40℃の温度での15時間以上の高温長時間加熱を施して鋳
    塊組織を調整した後、所要の板厚となるまで圧延し、続
    いて0.5℃/sec以上の昇温速度で450℃以上の温度域まで
    加熱して、直ちにもしくは60秒以内の時間保持してから
    急速冷却し、さらに圧延率20%以上の冷間圧延を施すこ
    とを特徴とする成形加工用硬質アルミニウム合金圧延板
    の製造方法。
  2. 【請求項2】重量%でSi0.05〜0.60%、Mn0.20〜1.3
    %、Fe0.20〜1.3%を含有し、さらにCu0.10〜1.0%、Mg
    0.30〜5.0%のうちの1種または2種を含有するアルミ
    ニウム合金を素材とし、そのアルミニウム合金鋳塊中の
    無析出物帯の領域が鋳塊断面の平均面積率で60%以上を
    占めるように、その鋳塊に560〜630℃の温度での15時間
    以上の高温長時間加熱を施して鋳塊組織を調整した後、
    所要の板厚となるまで圧延し、続いて0.5℃/sec以上の
    昇温速度で450〜580℃の温度域まで加熱して、直ちにも
    しくは60秒以内の時間保持してから急速冷却し、さらに
    圧延率20%以上の冷間圧延を施すことを特徴とする成形
    加工用硬質アルミニウム合金圧延板の製造方法。
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