JP2583994B2 - 薄膜エレクトロルミネセンス装置 - Google Patents

薄膜エレクトロルミネセンス装置

Info

Publication number
JP2583994B2
JP2583994B2 JP63196554A JP19655488A JP2583994B2 JP 2583994 B2 JP2583994 B2 JP 2583994B2 JP 63196554 A JP63196554 A JP 63196554A JP 19655488 A JP19655488 A JP 19655488A JP 2583994 B2 JP2583994 B2 JP 2583994B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
phosphor layer
reflecting mirror
film
emission wavelength
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP63196554A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0246695A (ja
Inventor
純 桑田
惇 阿部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP63196554A priority Critical patent/JP2583994B2/ja
Publication of JPH0246695A publication Critical patent/JPH0246695A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2583994B2 publication Critical patent/JP2583994B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、薄膜エレクトロルミネセンス装置に関し、
特に、OA機器の情報端末に用いられる薄型平板ディスプ
レイへの利用等に適している。
従来の技術 薄膜エレクトロルミネセンス(以下薄膜ELと略す)装
置を用いたディスプレイとして以下に示すような構成が
提案されている。第2図は、発光体層5の両側に誘電体
層4、6を設け、さらにそれを透明電極2と背面電極7
で挟み込んだ構造をしている。発光体層5として緑色発
光するZnS:Tb,F、黄橙色発光するZnS:Mnを用いた薄膜EL
ディスプレイがある。いづれも、発光の取出は、透明電
極が設けられた側のガラスの面より行なっており、発光
中心より放出される光強度の約10%以下しか取り出せて
いない。
これは、フレネルの法則に従っており、蛍光体層内の
発光中心より放出される光が発光体層と誘電体層あるい
は透明電極層の界面で反射してしまう量が90%以上ある
ことを表している。言い換えれば、発光波長に対する全
反射角が約25度と大変狭いためである。
一方、幅広い発光波長を持つ光源の波長選択を行なう
ためにファブリー・ペロー型干渉計を用いることが知ら
れている。このファブリー・ペロー型干渉計は、第3図
に示すように2枚の反射鏡8を平行に配置し、この面間
隔をLとし、反射鏡内の波数をqとするときの光の干渉
条件である L・q=K・π(πは円周率) という条件を満足する光だけがこの干渉計を透過する。
但し、Kは、正の整数である。実際には反射鏡の反射率
Rが大きくなると第4図のように光のスペクトルは半値
幅は、狭くなることがわかっている。これに関しては霜
田光一著レーザー物理入門(1983年4月22日、岩波書店
発行)の51頁から56頁に記載されている。
またさらに、この干渉計の中にレーザー媒体を挿入す
るとレーザー共振器となることも知られている。
発明が解決しようとする課題 第2図に示した薄膜EL装置では、製法が容易である利
点を有し、輝度−電圧特性が急に立ち上がる性質を利用
してマトリックス型の電極構造を持つ薄膜ELディスプレ
イが実用化されている。一方、この薄膜EL装置の発光色
は、蛍光体層にZnS:Mnを用いた黄橙色とZnS:Tbを用いた
緑色しか実用化されていない。3原色を持つ薄膜EL表示
装置を製造しようとするには、赤色と青色の発光色を持
ち発光効率の高い蛍光体層用材料が必要であるが実用化
できるまでには至っていないのが現状である。発光効率
の向上が非常に大きな問題点である。
課題を解決するための手段 そこで本発明の薄膜エレクトロルミネセンス装置は、
第1に、蛍光体層と、蛍光体層の一方の面に隣接して形
成された反射鏡層と、反射鏡層の蛍光体層の存在する側
と逆の面に形成された第1の誘電体層と、蛍光体層の他
方の面に形成された第2の誘電体層と、第1の誘電体層
の外側に形成された第1の電極と、第2の誘電体層の外
側に形成された反射鏡層を兼ねた第2の電極とを有し、
反射鏡層及び反射鏡層を兼ねた第2の電極が蛍光体層よ
り放射される発光波長λに対して0.7以上1未満の反射
率を有し、かつ、蛍光体層と第2の誘電体層の積層体の
発光波長λに対する屈折率nとの膜厚dとの間に、 d=K・n- λ/2 (Kは、1以上の正の整数) なる関係を満足するように構成し、さらに、蛍光体層に
Tb、SmまたはCeを添加することを特徴とする構成となっ
ている。
また、第2に、蛍光体層と、蛍光体層の両面に隣接し
て形成された第1及び第2の反射鏡層と、第1及び第2
の反射鏡層の蛍光体層の存在する側と逆の面に形成され
た第1及び第2の誘電体層と、第1及び第2の誘電体層
の外側に形成された第1及び第2のの電極とを有し、第
1及び第2の反射鏡層が蛍光体層より放射される発光波
長λに対して0.7以上1未満の反射率を有し、かつ、蛍
光体層の発光波長λに対する屈折率nとの膜厚dとの間
に、 d=K・n- λ/2 (Kは、1以上の正の整数) なる関係を満足するように構成し、さらに、蛍光体層に
Tb、SmまたはCeを添加することを特徴とする構成となっ
ている。
上記の式は前述のL・q=K・πから導出できる。面
間隔Lは膜厚d、屈折率nの媒体における波数qはq=
2π/λ・nで表わされることは衆知である。
したがってL・q=d・2π/λ・n=Kπとなり、
この式を整理すると d=K・1/n・λ/2 となる。
作 用 上記構成によれば、薄膜EL装置内にファブリー・プロ
ー光干渉計と同様の作用をする手段を設けたことにな
り、蛍光体層より自然放出される光がこの干渉計により
方向が薄膜層面に対して垂直方向に揃えられて取り出せ
る。従って、蛍光体層内の発光中心から放出される所望
の発光波長の光を効率良く表示面から取り出せるので、
発光効率が10倍以上の赤・青・緑の3原色が得られる。
また、蛍光体層が直接反射鏡層に接しているため、所望
の発光波長を得ることが容易になる。
参考例1 本発明の一参考例を図に基づいて説明する。
第1図は、本発明の一参考例の薄膜エレクトロルミネ
センス装置の基本構成断面図である。
ガラス基板1の上にITO透明電極2を成膜し、その上
に反射鏡層3を成膜し、さらに誘電率ε1、膜厚d1の第
1誘電体層4を成膜する。次に、この上に膜厚d3の蛍光
体層5を成膜し、誘電率ε2、膜厚d2の第2誘電体層6
を順に積層し、その上に反射鏡層と電極層を兼ねた背面
電極7を形成する。ここで第1誘電体層と蛍光体層と第
2誘電体層の積層体の蛍光体層の発光波長に対する屈接
率nは、エリプソメータによって測定した。
この積層体の総膜厚dは、 d=d1+d2+d3 ・・・・(1) で表されるが、このときに蛍光体層の発光波長λと屈接
率nと総膜厚dとの間に次に示すような関係が成立する
ようにそれぞれ決定する。
d=K・n-・λ/2 ・・・・(2) ここでKは、1以上の正の整数である。
この第1図に示した本参考例の薄膜EL装置の電圧−輝
度特性は、第5図のようになり、蛍光体層からの輝度を
発光面より効率的に取り出せることができることが確か
められた。
さらに発光体層に用いる発光体材料としては主な発光
波長が580nmで黄橙色に発光するZnS:Mnのほかに、主な
発光波長が544nmから緑色発光するZnS:Tb,FあるいはZn
S:Tb,P、主な発光波長が650nm近傍で赤色発光するCaS:E
u、あるいはZnS:Sm、480nm近傍で青色発光するSrS:Ce、
あるいはZnS:Tmを用いた。また、各第1、2誘電体層と
しては、酸化イットリウム膜、酸化タンタル膜、酸化ア
ルミニウム膜、酸化けい素膜、窒化けい素膜や、チタン
酸ストロンチウム膜で代表されるペロブスカイト形酸化
物誘電体膜を用いた。第1表に本参考例に用いた誘電体
膜の特性を示した。
また、実施した本参考例の誘電体層と蛍光体層の組合
せと、積層構造体の総膜厚dの決定は、発光波長λと、
エリプソメータにより決定された誘電体層と蛍光体層の
積層構造体における発光波長に対する屈折率nの値か
ら、第2式に従って行われた。
第6図、第7図、第8図に、それぞれ蛍光体層にZnS:
Tb,F、ZnS:Sm、SrS:Ceを用いて製造した薄膜EL装置の発
光スペクトルを示した。本参考例によれば、反射鏡層を
持たない従来の薄膜EL装置に較べて5ないし15倍の発光
効率の増加とともに所望の発光色選択でき緑・赤・青の
3原色に発光する薄膜EL装置が得られることが明らかに
なった。
また、反射鏡層の反射率は0.7以上のときに発光効率
の増加が顕著に現われた。さらに、ふたつの反射鏡層の
反射率は発光を取り出す側の方を低く設定した。なお、
発光の取り出し面は、ガラス基板面側と背面電極側の2
面があるが、ガラス基板面側は、蛍光体層から放出され
た光は反射鏡を透過した後に透明電極とガラス基板を透
過するために、ガラス基板と外の空気の層との屈折率の
違いから、ガラス基板から空気層に出ていかない光と吸
収される光が一部ある。一方、背面電極側は空気層に直
接放出されるのでこの方が発光輝度は大きくなる。
実施例1 本発明の一実施例を図に基づいて説明する。
第9図は、本発明の一実施例の薄膜エレクトロルミネ
センス装置の基本構成断面図である。
ガラス基板11の上にITO透明電極12を成膜し、その上
に、誘電率ε1、膜厚d1の第1誘電体層13を成膜し、さ
らに反射鏡層14を成膜する。次に、この上に膜厚d3の蛍
光体層15を成膜し、誘電率ε2、膜厚d2の第2誘電体層
16を順に積層し、その上に反射鏡層と電極層を兼ねた背
面電極17を形成する。ここで蛍光体層と第2誘電体層の
積層体の蛍光体層の発光波長に対する屈折率nは、エリ
プソメータによって測定した。
この積層体の総膜厚dは d=d2+d3 ・・・・(3) で表されるが、このときに蛍光体層の発光波長λと屈折
率nと総膜厚dとの間に次に示すような関係が成立する
ようにそれぞれ決定する。
d=K・n-1・λ/2 ・・・・(4) ここでKは、1以上の正の整数である。
この第9図に示した本実施例の薄膜EL装置の電圧−輝
度特性は、第10図のようになり、蛍光体層からの輝度を
発光面より効率的に取り出せることができることが確か
められた。
さらに蛍光体層に用いる蛍光体材料としては主な発光
波長が580nmで黄橙色に発光するZnS:Mnのほかに、主な
発光波長が544nmで緑色発光するZnS:Tb,FあるいはZnS:T
b,P、主な発光波長が650nm近傍で赤色発光するCaS:Eu、
あるいはZnS:Sm、480nm近傍で青色発光するSrS:Ce、あ
るいはZnS:Tmを用いた。また、各第1、2誘電体層とし
ては、酸化イットリウム膜、酸化タンタル膜、酸化アル
ミニウム膜、酸化けい素膜、窒化けい素膜や、チタン酸
ストロンチウム膜で代表されるペロブスカイト形酸化物
誘電体膜を用いた。第1表に本実施例に用いた誘電体膜
の特性を示した。
また、本実施例の誘電体層と蛍光体層の組合せと総膜
厚dの決定は、発光波長λとエリプソメータにより決定
された誘電体層と蛍光体層の積層体における発光波長に
対する屈折率nの値から、第4式に従って行われた。
本実施例により所望の発光波長をもつ高発光効率の薄
膜EL装置が製造できることを確認した。第11図、第12
図、第13図にそれぞれ蛍光体層にZnS:Tb,F、ZnS:Sm、Sr
S:Ceを用いて製造した薄膜EL装置の発光スペクトルを示
した。本実施例によれば、反射鏡層を持たない従来の薄
膜EL装置に較べて5ないし15倍の発光効率の増加ととも
に所望の発光色選択でき緑・赤・青の3原色に発光する
薄膜EL装置が得られることが明らかになった。また、反
射鏡層の反射率は0.7以上のときに発光効率の増加が顕
著に現われた。さらに、ふたつの反射鏡層の反射率は発
光を取り出す側の方を低く設定した。なお、この実施例
の構成では、背面電極側から光を取り出した方が輝度が
高かった。
本実施例によれば、第9図からも明らかなように、蛍
光体層15の一方の面に直接反射鏡層14が接している構成
となっているため、反射鏡層14と反射鏡層を兼ねた背面
電極17との間には蛍光体層15と第2誘電体層16の2層し
か存在していない。従って、蛍光体層15で発生した光は
2つの層(蛍光体層15と第2誘電体層)中を通過するこ
とになり、1つの界面した通過しないため、第1図に示
した2つの界面を光が通過する参考例のと比較すると、
光の屈折の設計などが容易になる。
参考例2 本発明の他の参考例を図に基づいて説明する。
第14図は、本発明の他の参考例の薄膜エレクトロルミ
ネセンス装置の基本構成断面図である。
ガラス基板21の上に反射鏡層と電極層を兼ねた金属電
極22を成膜し、その上に、誘電率ε1、膜厚d1の第1誘
電体層23を成膜する。次に、この上に膜厚d3の蛍光体層
24を成膜し、誘電率ε2、膜厚d2の第2誘電体層25を順
に積層し、その上に反射鏡層と電極層を兼ねた背面電極
26を形成する。ここで第1誘電体層と蛍光体層と第2誘
電体層の積層体の蛍光体層の発光波長に対する屈折率n
は、エリプソメータによって測定した。
この積層体の総膜厚dは d=d1+d2+d3 ・・・・(5) で表されるが、このときに蛍光体層の発光波長λと屈折
率nと総膜厚dとの間に次に示すような関係が成立する
ようにそれぞれ決定する。
d=K・n-1・λ/2 ・・・・(6) ここでKは、1以上の正の整数である。
この第14図に示した本参考例の薄膜EL装置の電圧−輝
度特性は、第15図のようになり、蛍光体層からの輝度を
発光面より効率的に取り出せることができることが確か
められた。
さらに蛍光体層に用いる蛍光体材料としては主な発光
波長が580nmで黄橙色に発光するZnS:Mnのほかに、主な
発光波長が544nmで緑色発光するZnS:Tb,FあるいはZnS:T
b,P、主な発光波長が650nm近傍で赤色発光するCaS:Eu、
あるいはZnS:Sm、480nm近傍で青色発光するSrS:Ce、あ
るいはZnS:Tmを用いた。また、各第1、2誘電体層とし
ては、酸化イットリウム膜、酸化タンタル膜、酸化アル
ミニウム膜、酸化けい素膜、窒化けい素膜や、チタン酸
ストロンチウム膜で代表されるペロブスカイト形酸化物
誘電体膜を用いた。第2表に本参考例に用いた誘電体膜
の特性を示した。
また、本参考例の誘電体層と蛍光体層の組合せと積層
構造体の総膜厚dの決定は発光波長λとエリプソメータ
により決定された誘電体層と蛍光体層の積層構造体にお
ける発光波長に対する屈折率nの値から第6式に従って
行われた。
第16図、第17図、第18図にそれぞれ蛍光体層にZnS:T
b,F、ZnS:Sm、SrS:Ceを用いて製造した薄膜EL装置の発
光スペクトルを示した。本参考例によれば、反射鏡層を
持たない従来の薄膜EL装置に較べて5ないし15倍の発光
効率の増加とともに所望の発光色選択でき緑・赤・青の
3原色に発光する薄膜EL装置が得られることが明らかに
なった。また、反射鏡層の反射率は0.7以上のときに発
光効率の増加が顕著に現われた。さらに、ふたつの反射
鏡層の反射率は発光を取り出す側の方を低く設定した。
なお、この参考例の構成では、背面電極側から光を取り
出した方が輝度が高かった。
実施例2 本発明の他の実施例を図に基づいて説明する。
第19図は、本発明の他の実施例の薄膜エレクトロルミ
ネセンス装置の基本構成断面図である。
ガラス基板31の上にITO透明電極32を成膜し、その上
に、誘電率ε1、膜厚d1の第1誘電体層33を成膜し、さ
らに反射鏡層34を成膜する。次に、この上に膜厚d3の蛍
光体層35を成膜し、その上に、反射鏡層36、誘電率ε
2、膜厚d2の第2誘電体層37を順に積層し、その上に背
面電極38を形成する。ここで反射鏡に挟まれた蛍光体層
における蛍光体層の発光波長に対する屈折率nは、エリ
プソメータによって測定した。
このときに蛍光体層の発光波長λと屈折率nと膜厚d3
との間に次に示すような関係が成立するようにそれぞれ
決定する。
d3=K・n-1・λ/2 ・・・・(7) ここでKは、1以上の正の整数である。
この第19図に示した本実施例の薄膜EL装置の電圧−輝
度特性は、第20図のようになり、蛍光体層からの輝度を
発光面より効率的に取り出せることができることが確か
められた。
さらに蛍光体層に用いる蛍光体材料としては主な発光
波長が580nmで黄橙色に発光するZnS:Mnのほかに、主な
発光波長が544nmで緑色発光するZnS:Tb,FあるいはZnS:T
b,P、主な発光波長が650nm近傍で赤色発光するCaS:Eu、
あるいはZnS:Sm、480nm近傍で青色発光するSrS:Ce、あ
るいはZuS:Tmを用いた。また、各第1、2誘電体層とし
ては、酸化イットリウム膜、酸化タンタル膜、酸化アル
ミニウム膜、酸化けい素膜、窒化けい素膜や、チタン酸
ストロンチウム膜で代表されるペロブスカイト形酸化物
誘電体膜を用いた。第3表に本実施例に用いた誘電体膜
の特性を示した。
また、本実施例の蛍光体層の膜厚d3の決定は発光波長
λとエリプソメータにより決定された誘電体層と蛍光体
層の積層構造体における発光波長に対する屈折率nの値
から第7式に従って行われた。
第21図、第22図、第23図にそれぞれ蛍光体層にZnS:T
b,F、ZnS:Sm、SrS:Ceを用いて製造した薄膜EL装置の発
光スペクトルを示した。本実施例によれば、反射鏡層を
持たない従来の薄膜EL装置に較べて5ないし15倍の発光
効率の増加とともに所望の発光色選択でき緑・赤・青の
3原色に発光する薄膜EL装置が得られることが明らかに
なった。また、反射鏡層の反射率は0.7以上のときに発
光効率の増加が顕著に現われた。さらに、ふたつの反射
鏡層の反射率は発光を取り出す側の方を低く設定した。
なお、この実施例の構成では、背面電極側から光を取り
出した方が輝度が高かった。
本実施例によれば、第19図からも明らかなように、蛍
光体層35の両方の面に直接反射鏡層34及び36が接してい
る構成となっているため、反射鏡層34と36との間には蛍
光体層35した存在していない。従って、蛍光体層35で発
生した光は1つの層(蛍光体層35)中を通過することに
なり、第9図に示した実施例2の場合よるも更に光の屈
折の設計などが容易になる。
参考例3 本発明の更に他の参考例を図に基づいて説明する。
第24図は、本発明の更に他の参考例の薄膜エレクトロ
ルミネセンス装置の基本構成断面図である。
ガラス基板41の上に電極と兼ねた反射鏡層22を成膜す
る。次に、この上に膜厚d3の蛍光体層43を成膜し、その
上に、反射鏡層44を兼ねた背面電極45を形成する。ここ
で反射鏡に挟まれた蛍光体層における蛍光体層の発光波
長に対する屈折率nは、エリプソメータによって測定し
た。
このときに蛍光体層の発光波長λと屈折率nと膜厚d3
との間に次に示すような関係が成立するようにそれぞれ
決定する。
d3=K・n-1・λ/2 ・・・・(7) ここでKは、1以上の正の整数である。
この第24図に示した本参考例の薄膜EL装置の電圧−輝
度特性は、第25図のようになり、蛍光体層からの輝度を
発光面より効率的に取り出せることができることが確か
められた。
さらに蛍光体層に用いる蛍光体材料としては主な発光
波長が580nmで黄橙色に発光するZnS:Mnのほかに、主な
発光波長が544nmで緑色発光するZnS:Tb,FあるいはZnS:T
b,P、主な発光波長が650nm近傍で赤色発光するCaS:Eu、
あるいはZnS:Sm、480nm近傍で青色発光するSrS:Ce、あ
るいはZnS:Tmを用いた。また、分散型粉末EL装置も用い
た。
また、本参考例の蛍光体層の膜厚d3の決定は発光波長
λとエリプソメータにより決定された発光波長に対する
屈折率nの値から第7式に従って行われた。
また、反射鏡層の反射率は0.7以上のときに発光効率
の増加が顕著に現われた。さらに、ふたつの反射鏡層の
反射率は発光を取り出す側の方を低く設定した。なお、
この参考例の構成では、背面電極側から光を取り出した
方が輝度が高かった。
発明の効果 本発明によれば、単に蛍光体層の両側に反射鏡層を形
成するのではなく、反射鏡層の間には、蛍光体層のみ、
または蛍光体層と1つの誘電体層しか存在していないた
め、発生した光の干渉の制御が容易に行え、高効率で所
望の発光波長を得ることができ、OA機器用端末、テレビ
ジョン用画像表示装置としてのフルカラーフラットディ
スプレイが実現できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一参考例の薄膜エレクトロルミネセン
ス装置の基本構成断面図、第2図は、従来例である薄膜
EL素子の断面構造図、第3図は、ファブリー・ペロー型
干渉計を示す図、第4図は、ファブリー・ペロー型干渉
計の動作原理を示す図、第5図は、本発明の一参考例の
薄膜EL装置の輝度一電圧特性を示す図、第6図は、本発
明の一参考例の薄膜エレクトロルミネセンス装置の発光
スペクトルを示す図、第7図は、本発明の一参考例の薄
膜エレクトロルミネセンス装置の発光スペクトルを示す
図、第8図は、本発明の一参考例の薄膜エレクトロルミ
ネセンス装置の発光スペクトルを示す図、第9図は、本
発明の一実施例の薄膜エレクトロルミネセンス装置の基
本構成断面図、第10図は、本発明の一実施例の薄膜EL装
置の輝度−電圧特性を示す図、第11図は、本発明の一実
施例の薄膜エレクトロルミネセンス装置の発光スペクト
ルを示す図、第12図は、本発明の一実施例の薄膜エレク
トロルミネセンス装置の発光スペクトルを示す図、第13
図は、本発明の一実施例の薄膜エレクトロルミネセンス
装置の発光スペクトルを示す図、第14図は、本発明の一
参考例の薄膜エレクトロルミネセンス装置の基本構成断
面図、第15図は、本発明の一参考例の薄膜EL装置の輝度
−電圧特性を示す図、第16図は、本発明の一参考例の薄
膜エレクトロルミネセンス装置の発光スペクトルを示す
図、第17図は、本発明の一参考例の薄膜エレクトロルミ
ネセンス装置の発光スペクトルを示す図、第18図は、本
発明の一参考例の薄膜エレクトロルミネセンス装置の発
光スペクトルを示す図、第19図は、本発明の一実施例の
薄膜エレクトロルミネセンス装置の基本構成断面図、第
20図は、本発明の一実施例の薄膜EL装置の輝度−電圧特
性を示す図、第21図は、本発明の一実施例の薄膜エレク
トロルミネセンス装置の発光スペクトルを示す図、第22
図は、本発明の一実施例の薄膜エレクトロルミネセンス
装置の発光スペクトルを示す図、第23図は、本発明の一
実施例の薄膜エレクトロルミネセンス装置の発光スペク
トルを示す図、第24図は、本発明の一参考例のエレクト
ロルミネセンス装置の基本構成断面図、第25図は、本発
明の一参考例のEL装置の輝度−電圧特性を示す図であ
る。 1……ガラス基板、2……透明電極、3……反射鏡層、
4……第1誘電体層、5……蛍光体層、6……第2誘電
体層、7……反射鏡層を兼ねた背面電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−66896(JP,A) 特開 昭63−32894(JP,A) 特開 昭62−177895(JP,A) 特開 昭63−24588(JP,A) 特開 昭62−176091(JP,A) 実開 昭61−49999(JP,U) 特公 昭55−14517(JP,B2)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】蛍光体層と、前記蛍光体層の一方の面に隣
    接して形成された反射鏡層と、前記反射鏡層の前記蛍光
    体層の存在する側と逆の面に形成された第1の誘電体層
    と、前記蛍光体層の他方の面に形成された第2の誘電体
    層と、前記第1の誘電体層の外側に形成された第1の電
    極と、前記第2の誘電体層の外側に形成された反射鏡層
    を兼ねた第2の電極とを有する薄膜エレクトロルミネセ
    ンス装置であって、前記反射鏡層及び前記反射鏡層を兼
    ねた第2の電極が前記蛍光体層より放射される発光波長
    λに対して0.7以上1未満の反射率を有し、かつ、前記
    蛍光体層と前記第2の誘電体層の積層体の前記発光波長
    λに対する屈折率nとの膜厚dとの間に、 d=K・n-1 λ/2 (Kは、1以上の正の整数) なる関係を満足するように構成し、さらに、前記蛍光体
    層にTb、SmまたはCeを添加することを特徴とする薄膜エ
    レクトロルミネセンス装置。
  2. 【請求項2】蛍光体層と、前記蛍光体層の両面に隣接し
    て形成された第1及び第2の反射鏡層と、前記第1及び
    第2の反射鏡層の前記蛍光体層の存在する側と逆の面に
    形成された第1及び第2の誘電体層と、前記第1及び第
    2の誘電体層の外側に形成された第1及び第2のの電極
    とを有する薄膜エレクトロルミネセンス装置であって、
    前記第1及び第2の反射鏡層が前記蛍光体層より放射さ
    れる発光波長λに対して0.7以上1未満の反射率を有
    し、かつ、前記蛍光体層の前記発光波長λに対する屈折
    率nとの膜厚dとの間に、 d=K・n-1 λ/2 (Kは、1以上の正の整数) なる関係を満足するように構成し、さらに、前記蛍光体
    層にTb、SmまたはCeを添加することを特徴とする薄膜エ
    レクトロルミネセンス装置。
JP63196554A 1988-08-05 1988-08-05 薄膜エレクトロルミネセンス装置 Expired - Lifetime JP2583994B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63196554A JP2583994B2 (ja) 1988-08-05 1988-08-05 薄膜エレクトロルミネセンス装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63196554A JP2583994B2 (ja) 1988-08-05 1988-08-05 薄膜エレクトロルミネセンス装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0246695A JPH0246695A (ja) 1990-02-16
JP2583994B2 true JP2583994B2 (ja) 1997-02-19

Family

ID=16359667

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP63196554A Expired - Lifetime JP2583994B2 (ja) 1988-08-05 1988-08-05 薄膜エレクトロルミネセンス装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2583994B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3274527B2 (ja) * 1992-09-22 2002-04-15 株式会社日立製作所 有機発光素子とその基板
JP3577821B2 (ja) * 1996-02-13 2004-10-20 株式会社デンソー El表示装置
JP4754876B2 (ja) * 2004-06-25 2011-08-24 株式会社半導体エネルギー研究所 表示装置及びその作製方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5514517A (en) * 1978-07-15 1980-02-01 Sony Corp Drop-in point setting mechanism for full automatic player

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0246695A (ja) 1990-02-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2553696B2 (ja) 多色発光薄膜エレクトロルミネセンス装置
KR100690568B1 (ko) 다중 파장 발광 디바이스 및 전자 장치
CN1685770B (zh) 改进了光耦合输出的电致发光显示器
US20100277887A1 (en) Polarized white light emitting diode
JPH06275381A (ja) 多色発光素子とその基板
EP2560217A2 (en) Phosphor-converted single-color led including a long-wavelength pass filter
JP4769068B2 (ja) 有機発光素子及びその製造方法
JPH01220394A (ja) 高輝度el素子
JP2010040976A (ja) 発光素子及びこれを用いた照明装置並びに表示装置
KR20050024243A (ko) 발광 장치
JP2583994B2 (ja) 薄膜エレクトロルミネセンス装置
JP2689661B2 (ja) 光干渉フィルタを含む薄膜エレクトロルミネセンス装置
KR101003472B1 (ko) 백색 led 소자
JPS63148597A (ja) 薄膜el素子
JPH0428197A (ja) 端面発光型電界発光素子およびその駆動方法
JP3533710B2 (ja) エレクトロルミネッセンス素子および多色発光エレクトロルミネッセンス素子
JP3442918B2 (ja) 薄膜エレクトロルミネッセンスパネル
KR20110035460A (ko) 휘도가 강화된 백색광원
JP2000208257A (ja) 発光素子及び画像表示装置
JP2000195678A (ja) 発光素子及び画像表示装置
JPH0778689A (ja) 薄膜エレクトロルミネセンス素子
JPH0733433Y2 (ja) 薄膜el素子
JPH0773971A (ja) El素子
JPH04294094A (ja) El素子
JP2023543025A (ja) 複数の光波長を放出するバンドエッジ発光強化有機発光ダイオードベースのデバイス