JP2582316B2 - 真空精錬炉を用いた低炭素鋼の溶製法 - Google Patents

真空精錬炉を用いた低炭素鋼の溶製法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は取鍋内溶鋼の真空精錬に
よる低炭素鋼の溶製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、極低炭素鋼を溶製するためには、
転炉等で炭素濃度をある程度まで脱炭させた溶鋼を取鍋
等の容器に受鋼した後RH法やDH法といった真空脱ガ
ス装置等の排気装置を有するプロセスを用い、溶鋼の一
部分を減圧雰囲気中に配置し、気体側の圧力を低下させ
ることで溶鋼中の炭素を低下させる方法が用いられてい
る。しかし、炭素濃度をより低下させる場合には、脱炭
速度が停滞し、長時間の処理を要するという問題があっ
た。これを解決するために、通常、RHにおける環流用
ガス流量の増加や浸漬管径の増大、あるいはDH法にお
ける槽昇降速度の増加等による溶鋼環流速度の増大とい
った方法がとられている。しかしながら、環流量の増大
は設備上限界があり、槽昇降速度の増加も溶鋼の追従性
からの限界がある。これらの問題に対して、脱炭速度を
高めるために真空槽内へのO2吹き込み法が提案され、
特開昭51−151212号公報のように、真空槽側壁
部の溶鋼に浸される浴面下近傍に酸化性ガス吹き込み用
多重管羽口を設け、減圧下の循環溶鋼内に直接酸化性ガ
スを吹き込むRH脱ガス装置により脱炭を有効に行うと
するものや、特開昭60−184619号公報のよう
に、転炉にて溶製した炭素濃度0.1%以上の溶鋼に減
圧下で気体酸素を上吹きして、これを脱炭せしめこのと
き生ずる脱窒を促進させることにより低窒素鋼を製造す
る方法、また、特開平1−52016号公報のように、
高クロム鋼を真空取鍋精錬炉で取鍋底部から不活性ガス
を吹き込んで強撹拌しつゝ上吹ランスから酸素ガスを取
鍋内鋼浴表面に吹き付けて脱炭する真空取鍋精錬におい
て上吹ランスから酸素ガスにアルゴンガス或いは窒素ガ
スを混合して上吹混合ガス流量を酸素ガス限界流量以上
とするものが開示されている。更には特開昭61−37
912号公報には、浸漬管の内径と取鍋の内径との比を
特定範囲の値とすると共に、該浸漬管の投影面下の取鍋
内の下位から吹き込み管を介して特定の深さの吹き込み
位置から不活性ガスを吹き込み、かつ真空槽内の溶鋼表
面に上吹ランスを介して酸化性ガスを吹き付けることに
より、高速度真空脱炭をするというものが示されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た特開昭51−151212号公報による方法ではRH
のために真空度を300Torr以下の強い真空度にし
ないと環流が開始せず、この状態で急激に脱炭反応が開
始するので激しいスプラッシュが発生し、高炭素からの
処理は出来ない。また、特開昭60−184619号公
報のRH真空槽内への酸素上吹きによる脱窒素にあって
は酸化鉄の生成が激しく極めて低い送酸速度に抑制する
必要がある。また、RHを前提とする限りは、ある程度
真空度が上がらない限り環流が開始しないため、この状
態で急激に脱炭反応が開始するため、スプラッシュが激
しいという問題と撹拌、環流が弱いため送酸速度を上げ
られないという問題がある。次に、特開平1−5201
6号公報であるVODでの酸素とアルゴン上吹きによる
ステンレス鋼の製造方法にあっては、取鍋脱ガスの場合
には、気泡活性面が小さいため表面の撹拌が小さく、更
に転炉スラグが常に表面に存在するため酸素ガスが溶鋼
と接触する面積が小さく脱炭効果が極めて悪いという問
題がある。更に特開昭61−37912号公報の浸漬管
の投影面下の取鍋内に下位から吹き込み管を介して不活
性ガスを吹き込む方法であるが、確かに取鍋内の溶鋼深
さと不活性ガスの吹き込み位置を溶鋼表面からの深さと
して不活性ガス吹き込み位置を定めていることは、溶鋼
環流速度の増大並びに不活性ガスの滞留時間の増加に伴
う脱炭反応の促進という発想であっても、気泡活性面積
という新しい知見は何ら開示されていない。この方法は
溶鋼の環流改善を積極的に図るものであり、この方法で
は安定して極低炭素域まで脱炭することが出来ない上
に、処理中のスプラッシュの発生も安定して抑制でき
ず、また、高清浄度鋼の安定した溶製も難しいという問
題がある。そこで、これら問題を解消し、酸化鉄生成の
少ない鉄の歩留の高い、しかもスプラッシュの発生の少
ない状態で効率的な低炭素鋼の溶製が可能な方法を目的
とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これら従
来の真空下での浸漬管内にO上吹き並びに取鍋内に下
部から吹込管を介して不活性ガスを吹き込む方法につい
ての試験を実施したが安定した極低炭素領域までの脱炭
を行うことができなかった。そこで、更に研究を続けた
ところ、減圧下での脱炭を促進するための基本的な要因
は、従来提唱されていた溶鋼の還流速度や吹き込まれた
不活性ガスの滞留時間ではなく、気泡活性面積であると
いう新しい知見を得た。本発明はこの知見に基づいてな
されたものである。その要旨とするところは、転炉にて
炭素濃度を0.1〜1.0%に精錬した取鍋内の溶鋼に
単一の直胴形状の浸漬管を浸漬し、該浸漬管内の真空度
を復圧することなく連続的に100Torr以上の低真
空度とすると共に、該浸漬管内に不活性ガスを供給して
吹き込まれたガス気泡が表面に浮上する領域(気泡活性
面)の形成とガスリフトによる溶鋼還流を併用し、前記
気泡活性面積を浸漬管内の真空表面の15〜95%と
し、一方、浸漬管内の真空度(P)と浸漬管上部から吹
き込む酸素ガス(O)と不活性ガス(N)の総流量に対
する不活性ガスの比率(R)の関係を下記式で表わした
時、常数aが一定の範囲900〜2500となるよう
に、刻々と変化する浸漬管内の真空度(P)に応じて、
上部から吹込む酸素ガス(O)と不活性ガス(N)の混
合比(R)を変化させることを特徴とする真空精錬炉を
用いた低炭素鋼の溶製法。
【0005】
【作用】以下本発明について図面に従って詳細に説明す
る。図1は本発明に係る真空精錬装置の断面図であり、
溶鋼4は取鍋1に収容され、また、浸漬管2は取鍋1内
の溶鋼4に浸漬静止される。浸漬管2は排気管と連通
し、浸漬管2内の真空度に応じて、浸漬管2内に溶鋼4
が吸い上げられる。そして浸漬管2の下部断面が垂直下
方に当る取鍋1の底部に配設されたポ−ラスプラグ3よ
り不活性ガス5が溶鋼中に吹き込まれ、溶鋼4が撹拌混
合される。一方、浸漬管2の上方からは酸素上吹きラン
ス6を設け、この酸素上吹きランスからO2及び不活性
ガスを混合されたガスが浸漬管真空槽表面に吹き込まれ
る。この場合に取鍋内溶鋼の深い位置からのガス撹拌下
での流動状況について、水モデルや水銀モデルによる実
験を重ねて詳細に検討した結果、溶鋼ヘッドが高いと気
泡の浮力による溶鋼循環力が極めて大きく、また表面の
気泡浮上領域で最も強い上向きの流れとなる。これに対
して気泡浮上領域以外の表面では表面に水平方向の炉壁
へ向かう流れになり、この流れが炉壁へ衝突して下向き
の流れへと変化している。これらの流動の内、水平方向
の炉壁へ向かう流れの速さは本発明者らによる研究の結
果、いわゆる撹拌エネルギ−や環流速度と対応すること
が明らかになった。
【0006】しかも、真空下での脱炭反応に対しては、
水平方向の炉壁へ向かう流れの速さよりも、吹き込まれ
たガスが浮上する領域での大きな上向きの流れが圧倒的
に重要であることが明らかになり、さらに、種々の実験
結果により、この脱炭特性を支配する要因は、次のよう
な定義による気泡活性面積であることが明らかになっ
た。すなわち、この気泡活性面積とは、吹き込まれたガ
ス気泡が表面に浮上する領域であると定義される。この
気泡活性面積については、水モデルや水銀モデル、ある
いは実機での観察結果により、垂直方向に吹き込まれた
ガスに対する気泡活性面積(An)は(1)式で、水平
方向に吹き込まれたガスに対する気泡活性面積(Au)
は(2)式で与えられる。 An=3.14×(0.212×H)2 ‥‥‥‥(1) Au=3.14×(7×Q0672/2 ‥‥‥‥(2) ここで、Hは吹き込み位置から溶鋼面までの距離(m)
であり、Qはノズル1個当りのガス吹き込み量(Nm3
/s)である。
【0007】そして、この(1)式で定義される気泡活
性面積が脱炭速度を支配する主要な因子である。その理
由は以下のように考えられる。 1)脱炭反応の起こる自由表面は、スラグが存在しない
ためにメタルの流動に対する抵抗が殆どない。そのた
め、スラグとメタルの間の反応に比較してメタル相表面
の流動は極めて容易である。従って、表面流速に大きく
影響される物質移動速度は、少量のガスにより撹拌する
のみで充分に大きく出来、これを更に大きくしても反応
速度に対する影響は小さい。このことが、撹拌エネルギ
−や環流速度といった水平方向の炉壁へ向かう流れの速
さで決定される指標と脱炭反応速度が関係しない理由で
ある。 2)脱炭反応の速度を増大させるためには、物質移動速
度の増加ではなく、反応表面積の増加が最も重要な要因
となる。ところで、気泡が浮上し表面で破泡するという
一連の過程を考えると、気泡が溶鋼との密着差により浮
上した後、表面で破裂し、次いで、周囲の溶鋼表面が波
立つという過程をとる。このうち、気泡が表面で破裂し
た瞬間が最も大きな表面積を形成し、その後周囲に生成
される波では表面積は殆ど増加されない。一方、気泡が
浮上することにより形成される最表面での上向きの流れ
の速度はガス吹き込み速度や撹拌エネルギ−に影響され
るが、それは液滴を高くまで飛散させる運動エネルギ−
を与えるものであり、個々の気泡が表面で破裂した瞬間
の自由表面の形態には大きくは影響しない。従って、個
々の気泡が表面で破裂する時に形成する自由表面はほぼ
一定であり、反応容器全体の表面積を有効に増大させる
ためには、表面で破裂する気泡の数を多くすることが重
要となる。このためには、気泡の合体を可能な限り抑制
出きるように広い面積にわたって気泡を浮上させること
が必要となり、よって気泡活性面の大きさが重要とな
る。
【0008】図2は種々の断面積を有する浸漬管を用い
て脱炭速度定数を気泡活性面積が真空表面積に占める割
合で整理したものである。この図より気泡活性面が真空
表面積の95%を超えると脱炭速度が低下することがわ
かる。これは真空下表面の全体に気泡が浮上した場合に
は、下降流の生成が阻害されるため還流が極めて悪化し
真空下表面で脱炭された溶鋼と取鍋内部の溶鋼との入れ
替わりが不充分となることに起因する。また、気泡活性
面が真空表面の15%未満の場合についても、脱炭速度
の低下が見られるが、これは気泡活性面積が小さくなり
有効な反応表面積が確保出来ないためである。
【0009】更に、気泡活性面積を真空表面の15〜9
5%とする条件に加えて、転炉にて炭素濃度を0.1〜
1.0%に精錬された溶鋼を用いる必要がある。この理
由は転炉での吹き止め炭素濃度が1.0%超える場合に
は2次精錬炉での精錬時間が長くなり連々鋳が不可能に
なり生産性を低下させるという問題があり、仮に精錬時
間を短縮するために上吹き酸素ガスの供給速度を増加さ
せると、スプラッシュの発生や酸化鉄の生成という問題
が生じる。また、転炉での吹き止め炭素濃度が0.1%
未満の場合には転炉での酸化鉄生成が激しくなるため、
鉄歩留の低下、急速な温度上昇による耐火物溶損及び窒
素吸収の増加といった問題が生じる。
【0010】次に、本発明に係る浸漬管上部より酸素ガ
ス及び不活性ガスの混合気体の吹き込みとしたことは、
酸素ガスを単独で上吹きした場合には、酸化鉄の生成は
避け難く、さらに、窒素の低下挙動も不充分であり、酸
素ガスと不活性ガスの混合気体を吹き付けることによ
り、この問題は解決されるからである。この理由は次の
ように考えられる。 1)同一の真空度であっても、酸素ガス上吹きの場合に
は発生したCOガスとリ−ク空気量とのバランスで決ま
っている値のため浸漬管槽内雰囲気の窒素分圧は高い。
これに対して、不活性ガスとの混合ガスを吹き付けた場
合には、多量の不活性ガスが界面に吹き付けられるため
雰囲気の窒素分圧が低く抑えられ、脱窒素が促進され
る。 2)同一流量の酸素ガスを吹き付けた場合でも、不活性
ガスと混合させることにより、上吹きノズルから出る全
ガス流量が増加するため、溶鋼面でのガスの動圧が強く
なるため火点の温度が上がり酸化鉄の生成が抑制され、
脱炭反応が促進される。一方、酸素の供給が必要となる
ような高い炭素濃度域では、高真空雰囲気は必要とせ
ず、脱炭反応が酸化鉄の生成反応に優先するための平衡
関係から決定される必要最低限の真空度であればよい。
この値は炭素濃度域にもよるが最低でも100Torr
であり、これよりも高真空にした場合には、COガス発
生時の体積膨張が大きくなるため、スプラッシュの発生
が激しく、かつ、発生したガスの浸漬管槽上昇流速が速
いため、発生したスプラッシュが高い位置まで上がると
いう問題が生じる。これらのことから浸漬管上部より酸
素ガス及び不活性ガスの混合気体を吹き込むこと並びに
浸漬管上槽内の真空度を100Torr以上の低真空度
と定めた。
【0011】更に、圧力(P)と酸素ガス(O)と不活
性ガス(N)の総流量に対する不活性ガス(N)の比率
(R)の関係について、P=760−a×Rとする。た
だしaは900〜2500となるように、不活性ガスの
混合比を変化させることが望ましい。ここで、この比率
よりも不活性ガスが少ない場合には酸化鉄の生成が生じ
鉄歩留の低下を招く上に表面に酸化鉄からなるスラグが
生成するため、以後の酸素ガスと溶鋼の接触が阻害され
脱炭速度も低くなる。逆にこの比率よりも不活性ガスが
多い場合には酸素供給不足となり脱炭が進行しないこと
になる。すなわち、溶鋼への酸化性ガス吹き付け時の脱
炭反応機構としては、周知のように、以下の(1)、
(2)式の連鎖によって成り立っている。 Fe+1/2O → FeO …… (1) FeO+C → Fe+CO …… (2) このとき、平衡炭素濃度([%C]´)は、(3)式で
表される。 [%C]´=Pco/K …… (3) (Kは平衡定数であり、温度によって一義的に決定され
る定数)さらに、脱炭反応速度式は以下の(4)式で表
される。 −d[C]/dt=(A・k・/V)・([%C]−[%C]´)… (4) (Aは有効反応界面積、kは物質係数、Vは溶鋼体積)
従って、脱炭反応を促進させる(脱炭速度を高位に保
つ)ためには、有効反応界面積を大きくすること、
物質移動係数を大きくすること、および、反応の駆動
力項である([%C]−[%C] ´)の値を大きく保
つことが重要である。 ここで、、の有効反応界面積
及び物質移動係数を大きく保つためには、上記(2)式
の反応サイトを気泡活性面上として置くことが非常に有
効である。これは、上述の通り、気泡が破裂することに
よって有効反応界面積の増大が著しく増大することによ
り、(4)式で表される脱炭速度が、高速で進行するこ
とになる。さらに、の駆動力項に関しては、反応の進
行とともに、炭素濃度そのものが低下するため、脱炭反
応の進行に伴って低下することになる。従って、反応速
度そのものを高位に保つことのみを考えた場合、平衡炭
素濃度([%C]´)は 常に低位に保つ。すなわち、P
coを低位に保つことが重要である。このPcoを低位
に保つ有効な手段の一つとしては、真空度を極力高位に
保つことが考えられる。しかしながら、前述に記載の通
り、特に処理開始〜処理中期の比較的炭素濃度の高い領
域では、100Torr以上の高真空下においては、ス
プラッシュの発生が激しく、著しく操業を阻害してしま
うなどの問題を生じる。従って、スプラッシュの発生を
抑制しつつ、脱炭を促進させるには、「ある真空度以上
の条件で、その時点での真空度及び炭素濃度に応じた適
正なPcoに制御する」ことが重要である。これは、実
際の駆動力項([%C]−[%C]´)における炭素濃
度([%C])とその時点での平衡炭素濃度([%C]
´) の比率([%C]/[%C]´)をある一定範囲
に制御することにより、スプラッシュの過剰発生の抑制
と脱炭速度の高位維持を両立させるものである。 このた
めの有効な手段が、(4)式の反応サイトに吹き付ける
酸化性ガス中に不活性ガスを混合させる(酸化性ガスを
希釈する)ことにより、反応界面でのPcoを低下させ
る方法である。しかしながら、実際には、Pcoは真空
度の影響を大きく受ける因子であるため、具体的な制御
手段としては、酸素ガスと不活性ガスの混合比を前述の
ように変化させることが必要となる。 さらに、この混合
比の範囲に関して、記述の比率よりも不活性ガスが少な
いときには、酸化鉄(FeO)の生成が生じ鉄歩留の低
下を招く上に表面に酸化鉄からなるスラグが生成するた
め、以後の酸素ガスと溶鋼の接触が阻害され、脱炭速度
の低下を招く。逆にこの比率よりも不活性ガスが多い場
合には、酸素供給不足となり脱炭が進行しないことにな
る。
【0012】
【実施例】
実施例1 酸素上吹き転炉にて炭素濃度0.1〜1.0%に精錬し
た溶鋼を175トン取鍋を用いて、図1に示す真空精錬
炉において実施した。そのときの条件について表1に示
す。Rは酸素ガス供給速度(O)と不活性ガス供給速度
(N)とにおいてN/(O+N)で表わし、O+Nを3
〜9Nm3/(Hr・ton)で吹き込んだ。また、表
中のBは(気泡活性面積)/(真空表面積)×100を
表わす。この場合に本発明の条件を満しているものに対
して、気泡活性面積比Bを満たしていない比較例8、9
はいずれも、脱炭速度定数が低く脱炭効率の悪いことを
示している。また、R値が0または1.0である比較例
6、7すなわち酸素ガス吹き込みのみ及び不活性ガス吹
き込みのみの場合も同様、脱炭速度定数が低くこれも脱
炭効率の悪いことを示している。
【0013】
【表1】
【0014】実施例2 実施例1と同様に、酸素上吹き転炉にて炭素濃度0.1
〜1.0%に精錬した溶鋼を175トン取鍋を用いて、
図1に示す真空精錬炉において実施した。そのときの条
件について表2に示す。表2の真空パタ−ンについて
は、図3に示す。本図は真空度P(Torr)と酸素ガ
ス(O)と不活性ガス(N)の総流量に対する不活性ガ
ス(N)の比率(R)との関係図であり、真空度100
Torr以上を前提として、斜線領域Aは本発明の範囲
を示している。直線BはR値が低い場合の真空度との関
係であり、表2の比較例7に該当する。また、直線Cは
R値の高い不活性ガスが極めて多い吹き込みの場合を示
すもので比較例8に該当する。これらは、いずれも、脱
炭速度定数が低く脱炭効率の悪いことを意味している。
なお、実施例を示すA領域の内で直線A1は実施例1、
3、4、5、6に該当し、直線A2は実施例2に該当す
る。これらはいずれも速度定数が高いことがわかる。こ
れは極めて脱炭効率の良いことを意味している。
【0015】
【表2】
【0016】
【発明の効果】以上述べたように、本発明を実施するこ
とによって、激しいスプラッシュの発生や酸化鉄の生成
による操業上の問題は全く生ずることなく、極めて効率
的に高純度鋼の精錬が可能となり工業上極めて優れた効
果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る真空精錬装置の断面図、
【図2】本発明に係る脱炭速度定数に対する気泡活性面
積と真空下表面積の比を示した図、
【図3】真空度と酸素ガスと不活性ガスの総流量に対す
る不活性ガスの比率との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 取鍋、 2 浸漬管、 3 ポ−ラスプラグ、 4 溶鋼、 5 不活性ガス、 6 酸素及び不活性ガス吹込みランス。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭52−52110(JP,A) 特開 平2−194116(JP,A) 特公 昭59−19967(JP,B2)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 転炉にて炭素濃度を0.1〜1.0%に
    精錬した取鍋内の溶鋼に単一の直胴形状の浸漬管を浸漬
    し、該浸漬管内の真空度を復圧することなく連続的に1
    00Torr以上の低真空度とすると共に、該浸漬管内
    に不活性ガスを供給して吹き込まれたガス気泡が表面に
    浮上する領域(気泡活性面)の形成とガスリフトによる
    溶鋼還流を併用し、前記気泡活性面積を浸漬管内の真空
    表面の15〜95%とし、一方、浸漬管内の真空度
    (P)と浸漬管上部から吹き込む酸素ガス(O)と不活
    性ガス(N)の総流量に対する不活性ガスの比率(R)
    の関係を下記式で表わした時、常数aが一定の範囲90
    0〜2500となるように、刻々と変化する浸漬管内の
    真空度(P)に応じて、上部から吹込む酸素ガス(O)
    と不活性ガス(N)の混合比(R)を変化させることを
    特徴とする真空精錬炉を用いた低炭素鋼の溶製法。
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