JP2581887B2 - 冷間加工性に優れた高強度冷延鋼板およびその製造方法 - Google Patents
冷間加工性に優れた高強度冷延鋼板およびその製造方法Info
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- JP2581887B2 JP2581887B2 JP2307293A JP2307293A JP2581887B2 JP 2581887 B2 JP2581887 B2 JP 2581887B2 JP 2307293 A JP2307293 A JP 2307293A JP 2307293 A JP2307293 A JP 2307293A JP 2581887 B2 JP2581887 B2 JP 2581887B2
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- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P10/00—Technologies related to metal processing
- Y02P10/20—Recycling
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- Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、近年とみに増加しつつ
ある自動車スクラップなどから発生するくず鉄の再利用
をはかるため、電気炉によるくず鉄の再溶解材を対象
に、混入した種々の元素を調整し必要な元素を添加し
た、とりわけ高い〔N〕を含有しながらも冷間成形性に
優れ、かつ高強度を有する高強度冷延鋼板に関する。
ある自動車スクラップなどから発生するくず鉄の再利用
をはかるため、電気炉によるくず鉄の再溶解材を対象
に、混入した種々の元素を調整し必要な元素を添加し
た、とりわけ高い〔N〕を含有しながらも冷間成形性に
優れ、かつ高強度を有する高強度冷延鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車用冷延鋼板の品質および製
造技術が著しく進展し、特に冷間での深絞り加工性を表
わすr値(ランクフォード値)は2.0以上にも達する
ようになった。このような高性能を得る技術として、た
とえば特公昭44−18066号公報にはC量を0.0
01〜0.020%、O量を0.015%まで低減した
上で、Tiを0.02〜0.5%添加して〔C〕を固定
安定化する技術手法を開示している。また特公平3−5
4186号公報にはC量,N量を共に0.0050%以
下に低減し、かつTi,Nbを添加してC,Nを固定す
る方法、その他特公昭53−12889号公報、特公平
3−56301号公報にもCおよびNを極力低減しそれ
らの固定にTi,NbのほかBを添加する技術などが開
示されている。これらのほかも含めて従来技術はいずれ
もC,Nを可能な限り低減することを共通の技術思想と
して、非時効性かつ冷間プレス加工性に優れた冷延鋼板
を製造する方法を提示している。
造技術が著しく進展し、特に冷間での深絞り加工性を表
わすr値(ランクフォード値)は2.0以上にも達する
ようになった。このような高性能を得る技術として、た
とえば特公昭44−18066号公報にはC量を0.0
01〜0.020%、O量を0.015%まで低減した
上で、Tiを0.02〜0.5%添加して〔C〕を固定
安定化する技術手法を開示している。また特公平3−5
4186号公報にはC量,N量を共に0.0050%以
下に低減し、かつTi,Nbを添加してC,Nを固定す
る方法、その他特公昭53−12889号公報、特公平
3−56301号公報にもCおよびNを極力低減しそれ
らの固定にTi,NbのほかBを添加する技術などが開
示されている。これらのほかも含めて従来技術はいずれ
もC,Nを可能な限り低減することを共通の技術思想と
して、非時効性かつ冷間プレス加工性に優れた冷延鋼板
を製造する方法を提示している。
【0003】ところで、今日、市中に堆積しつつある鉄
のスクラップの再利用が時代の重要課題となっている
が、転炉ではスクラップの大量利用に限界があり、この
ためにスクラップを電気炉でアーク溶解する方法を採用
すると鋼中のNは0.005%以上の高いレベルになっ
てしまい、これを低減するには真空脱ガスなどの方法を
用いねばならず、採算上から上記の従来技術手法の原材
料には適用できず、電気炉鋼から、すなわち市中スクラ
ップを多量に再利用した鋼から加工性の優れた冷延鋼板
が製造されていないのが現状である。
のスクラップの再利用が時代の重要課題となっている
が、転炉ではスクラップの大量利用に限界があり、この
ためにスクラップを電気炉でアーク溶解する方法を採用
すると鋼中のNは0.005%以上の高いレベルになっ
てしまい、これを低減するには真空脱ガスなどの方法を
用いねばならず、採算上から上記の従来技術手法の原材
料には適用できず、電気炉鋼から、すなわち市中スクラ
ップを多量に再利用した鋼から加工性の優れた冷延鋼板
が製造されていないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、電気炉溶解
でのこのような問題を解決し、スクラップの再利用対象
を拡大しようとするものである。すなわち、今日、市中
に堆積しつつある鉄のスクラップを再利用し、高N鋼で
あっても非時効性かつ冷間プレス加工性に優れた冷延鋼
板を製造する方法を提供することを目的とする。
でのこのような問題を解決し、スクラップの再利用対象
を拡大しようとするものである。すなわち、今日、市中
に堆積しつつある鉄のスクラップを再利用し、高N鋼で
あっても非時効性かつ冷間プレス加工性に優れた冷延鋼
板を製造する方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】冷間プレス加工性を表す
特性として深絞り性と張り出し性をとり、それぞれr値
およびエリクセン(Er)値で示すと、それらは引張り
試験における全伸び値と相関があり、特にr値は一様伸
びと強い相関を持つことが知られている。本発明者ら
は、上記の目的を達成すべく、鋼の化学成分、結晶組織
と得られる機械的性質、材質との関係などを詳細に調査
研究するうち、〔N〕含有量の高い鋼に適量のTiを添
加した鋼の一様伸び/全伸びの比は、低N鋼のそれより
も大きく、しかも同じ強度であれば全伸びも大きいこと
を知見した。
特性として深絞り性と張り出し性をとり、それぞれr値
およびエリクセン(Er)値で示すと、それらは引張り
試験における全伸び値と相関があり、特にr値は一様伸
びと強い相関を持つことが知られている。本発明者ら
は、上記の目的を達成すべく、鋼の化学成分、結晶組織
と得られる機械的性質、材質との関係などを詳細に調査
研究するうち、〔N〕含有量の高い鋼に適量のTiを添
加した鋼の一様伸び/全伸びの比は、低N鋼のそれより
も大きく、しかも同じ強度であれば全伸びも大きいこと
を知見した。
【0006】本発明はこれらの知見に基づくものであっ
て、従来r値に有害とされるNを多量に含有することを
前提に、鋼成分と製造工程とを特定することにより構成
したものである。すなわち、電気炉で溶製した高N鋼で
あって、重量比で、 C :0.005〜0.10%、 Si≦0.5%、 Mn≦1.0%、 P ≦0.15%、 S ≦0.035%、 酸可溶Al:0.005〜0.10%、 Ti:0.003〜0.0513%未満、 B :0.0001〜0.0050%、 N :0.0055〜0.0150%、かつ Ti<3.42Nを基本成分とし、 あるいは必要に応じてこれに加えて、 Nb≦0.1%、 V ≦0.2%、 Zr≦0.15%、 Cu≦0.3%、 Ni≦0.7%、 Cr≦0.2%、 Mo≦0.1%、 Ca≦0.007%、 REM≦0.05%、のいずれか1種または2種以上を
含み残部Feおよび不可避的元素よりなることを特徴と
する冷間加工性に優れた高強度冷延鋼板であり、また、
上記各成分を含有する鋼板を得るために、電気炉で溶製
して製造した鋼片を、連続熱間圧延して500℃以上の
温度で巻取り、冷間圧延して冷延鋼板とし、次いでこの
冷延鋼板を箱型焼鈍あるいは連続焼鈍方式により再結晶
焼鈍および必要に応じて過時効処理することによって製
造することを特徴とする冷間加工性に優れた高強度冷延
鋼板である。
て、従来r値に有害とされるNを多量に含有することを
前提に、鋼成分と製造工程とを特定することにより構成
したものである。すなわち、電気炉で溶製した高N鋼で
あって、重量比で、 C :0.005〜0.10%、 Si≦0.5%、 Mn≦1.0%、 P ≦0.15%、 S ≦0.035%、 酸可溶Al:0.005〜0.10%、 Ti:0.003〜0.0513%未満、 B :0.0001〜0.0050%、 N :0.0055〜0.0150%、かつ Ti<3.42Nを基本成分とし、 あるいは必要に応じてこれに加えて、 Nb≦0.1%、 V ≦0.2%、 Zr≦0.15%、 Cu≦0.3%、 Ni≦0.7%、 Cr≦0.2%、 Mo≦0.1%、 Ca≦0.007%、 REM≦0.05%、のいずれか1種または2種以上を
含み残部Feおよび不可避的元素よりなることを特徴と
する冷間加工性に優れた高強度冷延鋼板であり、また、
上記各成分を含有する鋼板を得るために、電気炉で溶製
して製造した鋼片を、連続熱間圧延して500℃以上の
温度で巻取り、冷間圧延して冷延鋼板とし、次いでこの
冷延鋼板を箱型焼鈍あるいは連続焼鈍方式により再結晶
焼鈍および必要に応じて過時効処理することによって製
造することを特徴とする冷間加工性に優れた高強度冷延
鋼板である。
【0007】
【作用】以下、本発明について詳細に説明する。本発明
においては先ず、鋼成分の限定理由について述べる。C
は、鋼の強度を上昇させ、r値を低下させ、冷間加工性
を低下させるのでその上限を0.10%とする。また、
精錬によってCを減少させると溶鋼中のOが増大しやは
り冷間加工性を低下させるので好ましくなく、強度確保
の上からも下限を0.005%とする。さらに、35kg
f/mm2 以上の引張強度を有効に付与するためには、0.
008%以上とすることが好ましい。
においては先ず、鋼成分の限定理由について述べる。C
は、鋼の強度を上昇させ、r値を低下させ、冷間加工性
を低下させるのでその上限を0.10%とする。また、
精錬によってCを減少させると溶鋼中のOが増大しやは
り冷間加工性を低下させるので好ましくなく、強度確保
の上からも下限を0.005%とする。さらに、35kg
f/mm2 以上の引張強度を有効に付与するためには、0.
008%以上とすることが好ましい。
【0008】Si,Mnは、冷間加工性をそれほど低下
させずに強度を上昇させるので有用であるが、過度の添
加は硬化を招きr値を低下させるので、上限をそれぞれ
0.5%、1.0%とする。Pは、高強度化、r値の向
上に有用であるが、含有量が0.15%を超えると溶接
性の低下を招くので0.15%の範囲に限定する。S
は、鋼中含有量が増すと熱間圧延時に赤熱脆性を生じ、
割れを発生させる恐れがあるので0.035%以下の範
囲に限定する。
させずに強度を上昇させるので有用であるが、過度の添
加は硬化を招きr値を低下させるので、上限をそれぞれ
0.5%、1.0%とする。Pは、高強度化、r値の向
上に有用であるが、含有量が0.15%を超えると溶接
性の低下を招くので0.15%の範囲に限定する。S
は、鋼中含有量が増すと熱間圧延時に赤熱脆性を生じ、
割れを発生させる恐れがあるので0.035%以下の範
囲に限定する。
【0009】Nは、一般にCと同様時効性を増し、r値
や延性を低下させ冷間加工性の劣化を招く元素であり、
従って冷延鋼板の冷間加工性の向上を目的とする総ての
先行技術ができる限りNを低減することを基本思想とし
ている。しかしながら鉄のスクラップの再利用をはか
り、さらには電気炉での精錬を生産効率よく、かつ経済
効果に見合うよう行うためにはN含有量の極端な低減は
不利である。そのために本発明においては0.0055
%以上含有させる。操業上有利にするためには0.00
80%以上とするのが好ましい。しかし、あまり多量に
含有させると前記特性の劣化が生じるので0.0150
%以下とする。
や延性を低下させ冷間加工性の劣化を招く元素であり、
従って冷延鋼板の冷間加工性の向上を目的とする総ての
先行技術ができる限りNを低減することを基本思想とし
ている。しかしながら鉄のスクラップの再利用をはか
り、さらには電気炉での精錬を生産効率よく、かつ経済
効果に見合うよう行うためにはN含有量の極端な低減は
不利である。そのために本発明においては0.0055
%以上含有させる。操業上有利にするためには0.00
80%以上とするのが好ましい。しかし、あまり多量に
含有させると前記特性の劣化が生じるので0.0150
%以下とする。
【0010】Tiは、溶鋼中でNと結合しTiNを形
成、固溶Nを低減し、r値を向上させる。しかしなが
ら、本発明が対象とする高N鋼となる溶鋼の場合には、
含有N当量のTiを添加すると鋼中に介在物として残存
するTiNの個数が著しく増すほか、TiNそのものも
粗大化し、固溶Nは低減してもかえってr値を低下させ
てしまう。この問題を解決する手段として詳細な研究の
結果、溶解凝固過程で鋼中Nの全部を固定するのではな
く、溶解凝固過程、熱間圧延〜巻取り過程、焼鈍過程の
3過程に分けて鋼中Nを固定する方法が最適であること
を見いだした。すなわち溶解凝固過程では主としてT
i、圧延過程では主としてB、焼鈍過程では主としてA
lにより鋼中Nを固定する方法である。そのための各元
素の最適量は、Tiは0.003〜0.0513%未満
で、N当量以下、すなわちTi<3.42×N%とし、
Bは0.0001〜0.0050%、酸可溶Alは0.
005〜0.10%とする。なお、凝固速度が小さいと
TiNが粗大化してr値を低下させるので鋼片厚みが2
50mm以下の連続鋳造を採用するのが好ましい。
成、固溶Nを低減し、r値を向上させる。しかしなが
ら、本発明が対象とする高N鋼となる溶鋼の場合には、
含有N当量のTiを添加すると鋼中に介在物として残存
するTiNの個数が著しく増すほか、TiNそのものも
粗大化し、固溶Nは低減してもかえってr値を低下させ
てしまう。この問題を解決する手段として詳細な研究の
結果、溶解凝固過程で鋼中Nの全部を固定するのではな
く、溶解凝固過程、熱間圧延〜巻取り過程、焼鈍過程の
3過程に分けて鋼中Nを固定する方法が最適であること
を見いだした。すなわち溶解凝固過程では主としてT
i、圧延過程では主としてB、焼鈍過程では主としてA
lにより鋼中Nを固定する方法である。そのための各元
素の最適量は、Tiは0.003〜0.0513%未満
で、N当量以下、すなわちTi<3.42×N%とし、
Bは0.0001〜0.0050%、酸可溶Alは0.
005〜0.10%とする。なお、凝固速度が小さいと
TiNが粗大化してr値を低下させるので鋼片厚みが2
50mm以下の連続鋳造を採用するのが好ましい。
【0011】以上の元素のほかに、必要に応じてさらに
以下の諸元素を添加することができる。Zrは、Tiの
一部として置換が可能でその場合、0.15%を上限と
して添加する。Nb,Vは、Alの一部として置換が可
能でその場合、それぞれ0.1%,0.2%を上限とし
て添加する。Cu,Niはr値を低下させない範囲で耐
食性を考慮する場合、それぞれ0.3%,0.7%を上
限として添加する。Cr,Moはr値を低下させない範
囲で強度の向上を考慮する場合、それぞれ0.2%,
0.1%を上限として添加する。Ca,REMは、焼付
硬化(BH)性に不利といわれる遊離Sを固定するため
に、必要に応じてそれぞれ0.007%,0.05%を
上限として添加する。
以下の諸元素を添加することができる。Zrは、Tiの
一部として置換が可能でその場合、0.15%を上限と
して添加する。Nb,Vは、Alの一部として置換が可
能でその場合、それぞれ0.1%,0.2%を上限とし
て添加する。Cu,Niはr値を低下させない範囲で耐
食性を考慮する場合、それぞれ0.3%,0.7%を上
限として添加する。Cr,Moはr値を低下させない範
囲で強度の向上を考慮する場合、それぞれ0.2%,
0.1%を上限として添加する。Ca,REMは、焼付
硬化(BH)性に不利といわれる遊離Sを固定するため
に、必要に応じてそれぞれ0.007%,0.05%を
上限として添加する。
【0012】このような成分を含む本発明の冷延鋼板は
以下の方法で製造する。すなわち、電気炉スクラップを
主たる鉄原材料として溶製し、上記のような成分範囲に
調整した高N鋼を、造塊・分塊あるいは連続鋳造して鋼
片とした後、熱片直送して、あるいは温片または冷片を
1000〜1300℃に再加熱して熱間圧延し、Ar3
変態点以上の温度で圧延を終了し、巻取り温度500℃
以上で巻取り空冷する。巻取り温度を500℃以上とし
たのはBによるNの固定を考慮してのことであり、さら
に効果的にBによるNを固定には650℃以上の温度で
の高温巻取りが好ましい。熱延コイルは酸洗後、30%
以上の冷間圧延を施され、続いて箱型焼鈍あるいは連続
焼鈍によって再結晶温度以上Ac3 変態点の間で再結晶
焼鈍され、必要に応じて過時効処理され、調質圧延され
て製品となる。再結晶焼鈍時にはAlによるNの固定を
行うため、焼鈍温度を700〜900℃の間に設定する
ことが好ましい。過時効処理は200〜500℃で行
う。
以下の方法で製造する。すなわち、電気炉スクラップを
主たる鉄原材料として溶製し、上記のような成分範囲に
調整した高N鋼を、造塊・分塊あるいは連続鋳造して鋼
片とした後、熱片直送して、あるいは温片または冷片を
1000〜1300℃に再加熱して熱間圧延し、Ar3
変態点以上の温度で圧延を終了し、巻取り温度500℃
以上で巻取り空冷する。巻取り温度を500℃以上とし
たのはBによるNの固定を考慮してのことであり、さら
に効果的にBによるNを固定には650℃以上の温度で
の高温巻取りが好ましい。熱延コイルは酸洗後、30%
以上の冷間圧延を施され、続いて箱型焼鈍あるいは連続
焼鈍によって再結晶温度以上Ac3 変態点の間で再結晶
焼鈍され、必要に応じて過時効処理され、調質圧延され
て製品となる。再結晶焼鈍時にはAlによるNの固定を
行うため、焼鈍温度を700〜900℃の間に設定する
ことが好ましい。過時効処理は200〜500℃で行
う。
【0013】
【実施例】次に本発明の実施例を説明する。表1に示す
本発明化学成分組成の鋼を電気炉で溶製して得た鋼片
を、1100℃に再加熱し板厚2.5mmに熱延し、68
0℃で巻取ったコイルを酸洗後、板厚を0.8mmに冷間
圧延し、710℃×16時間の箱型焼鈍を行った。ほぼ
同じ工程で製造された従来鋼と併せて鋼板の機械的性質
を表2に示す。ただし、本発明鋼#D−1鋼のみは、7
60℃で2分保定後冷却する再結晶焼鈍と、続いて35
0℃で5分保定する過時効処理を連続焼鈍方式で行っ
た。また、図1,2および3中●は本発明鋼の、また○
は従来鋼の強度と伸びとの関係、伸びと一様伸びとの関
係、一様伸びと塑性歪み比(r値)との関係をそれぞれ
比較して示す。
本発明化学成分組成の鋼を電気炉で溶製して得た鋼片
を、1100℃に再加熱し板厚2.5mmに熱延し、68
0℃で巻取ったコイルを酸洗後、板厚を0.8mmに冷間
圧延し、710℃×16時間の箱型焼鈍を行った。ほぼ
同じ工程で製造された従来鋼と併せて鋼板の機械的性質
を表2に示す。ただし、本発明鋼#D−1鋼のみは、7
60℃で2分保定後冷却する再結晶焼鈍と、続いて35
0℃で5分保定する過時効処理を連続焼鈍方式で行っ
た。また、図1,2および3中●は本発明鋼の、また○
は従来鋼の強度と伸びとの関係、伸びと一様伸びとの関
係、一様伸びと塑性歪み比(r値)との関係をそれぞれ
比較して示す。
【0014】これらの結果から本発明鋼は従来鋼と比べ
て、強度が高いにもかかわらず伸び特性、特に大きな一
様伸び特性を保持しており、その結果、塑性歪み比の優
れた高強度冷延鋼板が得られることがよく理解される。
て、強度が高いにもかかわらず伸び特性、特に大きな一
様伸び特性を保持しており、その結果、塑性歪み比の優
れた高強度冷延鋼板が得られることがよく理解される。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
【表3】
【0018】
【発明の効果】以上のように、本発明は、市中のスクラ
ップを再利用して冷間プレス加工性に関して中級程度以
上の、しかも高強度な冷延鋼板を提供するもので、高度
の資源有効利用技術として極めて有用である。
ップを再利用して冷間プレス加工性に関して中級程度以
上の、しかも高強度な冷延鋼板を提供するもので、高度
の資源有効利用技術として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明鋼(●)と従来鋼(○)について強度と
伸びの関係を比較して示した図である。
伸びの関係を比較して示した図である。
【図2】本発明鋼(●)と従来鋼(○)について伸びと
一様伸びとの関係を比較して示した図である。
一様伸びとの関係を比較して示した図である。
【図3】本発明鋼(●)と従来鋼(○)について一様伸
びと塑性歪み比との関係を比較して示した図である。
びと塑性歪み比との関係を比較して示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 池田 元 福岡県北九州市戸畑区大字中原先の浜46 −59 日本鋳鍛鋼株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−267321(JP,A)
Claims (5)
- 【請求項1】 重量で C :0.005〜0.10%、 Si≦0.5%、 Mn≦1.0%、 P ≦0.15%、 S ≦0.035%、 酸可溶Al:0.005〜0.10%、 Ti:0.003〜0.0513%未満、 B :0.0001〜0.0050%、 N :0.0055〜0.0150%、かつ Ti<3.42N を基本成分として、残部Feおよび不可避的元素よりな
ることを特徴とし、電気炉で溶製した高N鋼より製造し
た冷間加工性に優れた高強度冷延鋼板。 - 【請求項2】 重量で C :0.005〜0.10%、 Si≦0.5%、 Mn≦1.0%、 P ≦0.15%、 S ≦0.035%、 酸可溶Al:0.005〜0.10%、 Ti:0.003〜0.0513%未満、 B :0.0001〜0.0050%、 N :0.0055〜0.0150%、かつ Ti<3.42N を基本成分とし、これに加えて、 Nb≦0.1%、 V ≦0.2%、 Zr≦0.15%、 Cu≦0.3%、 Ni≦0.7%、 Cr≦0.2%、 Mo≦0.1%、 Ca≦0.007%、 REM≦0.05%、のいずれか1種または2種以上を
含み残部Feおよび不可避的元素よりなることを特徴と
し、電気炉で溶製した高N鋼より製造した冷間加工性に
優れた高強度冷延鋼板。 - 【請求項3】 電気炉で溶製して製造した鋼片を、連続
熱間圧延して500℃以上の温度で巻取り、冷間圧延し
て冷延鋼板とし、次いでこの冷延鋼板を箱型焼鈍あるい
は連続焼鈍方式により再結晶焼鈍処理した鋼板であり、
重量で C :0.005〜0.10%、 Si≦0.5%、 Mn≦1.0%、 P ≦0.15%、 S ≦0.035%、 酸可溶Al:0.005〜0.10%、 Ti:0.003〜0.0513%未満、 B :0.0001〜0.0050%、 N :0.0055〜0.0150%、かつ Ti<3.42N を基本成分とし、残部Feおよび不可避的元素よりなる
ことを特徴とする冷間加工性に優れた高強度冷延鋼板の
製造方法。 - 【請求項4】 電気炉で溶製して製造した鋼片を連続熱
間圧延して500℃以上の温度で巻取り、冷間圧延して
冷延鋼板とし、次いでこの冷延鋼板を箱型焼鈍あるいは
連続焼鈍方式により再結晶焼鈍処理した鋼板であり、重
量で C :0.005〜0.10%、 Si≦0.5%、 Mn≦1.0%、 P ≦0.15%、 S ≦0.035%、 酸可溶Al:0.005〜0.10%、 Ti:0.003〜0.0513%未満、 B :0.0001〜0.0050%、 N :0.0055〜0.0150%、かつ Ti<3.42N を基本成分とし、これに加えて、 Nb≦0.1%、 V ≦0.2%、 Zr≦0.15%、 Cu≦0.3%、 Ni≦0.7%、 Cr≦0.2%、 Mo≦0.1%、 Ca≦0.007%、 REM≦0.05%、のいずれか1種または2種以上を
含み残部Feおよび不可避的元素よりなることによって
製造することを特徴とする冷間加工性に優れた高強度冷
延鋼板の製造方法。 - 【請求項5】 再結晶焼鈍後過時効処理を行う請求項3
あるいは4記載の冷間加工性に優れた高強度冷延鋼板の
製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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