JP3466298B2 - 加工性に優れた冷延鋼板の製造方法 - Google Patents

加工性に優れた冷延鋼板の製造方法

Info

Publication number
JP3466298B2
JP3466298B2 JP28099494A JP28099494A JP3466298B2 JP 3466298 B2 JP3466298 B2 JP 3466298B2 JP 28099494 A JP28099494 A JP 28099494A JP 28099494 A JP28099494 A JP 28099494A JP 3466298 B2 JP3466298 B2 JP 3466298B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
temperature
hot
cold
less
rolling
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP28099494A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08143969A (ja
Inventor
直樹 吉永
夏子 橋本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP28099494A priority Critical patent/JP3466298B2/ja
Publication of JPH08143969A publication Critical patent/JPH08143969A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3466298B2 publication Critical patent/JP3466298B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Steel (AREA)
  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加工性に優れた冷延鋼
板を低コストで安定製造する方法に関わり、その用途
は、自動車、家電、建材、容器等である。
【0002】
【従来の技術】自動車用鋼板に代表される冷延鋼板は、
用途によって厳しい加工を受けるため、優れたプレス成
形性が要求される。極低炭素化のための製造コストの上
昇を伴わない低炭素アルミキルド鋼を用いた連続焼鈍に
よる加工性に優れた冷延鋼板の製造方法については、こ
れまでに多くの検討がなされてきた。従来の連続焼鈍を
前提とした技術において、加工性に優れた低炭素アルミ
キルド冷延鋼板の製造方法の根幹をなす技術は、熱間圧
延後に高温で巻取ることにある。すなわち、高温巻取り
により熱延板の炭化物が凝集粗大化されることによっ
て、冷延・焼鈍後の材質特性が改善されるものである。
【0003】しかしながら、高温巻取りは表面酸化物の
生成を促し、酸洗性を劣化させたり、表面疵の原因とな
る。さらに、コイル長手方向あるいは幅方向における端
部は巻取り後の冷却速度が速いため、中央部に比較して
材質が大きく劣化するという問題点を有している。従っ
て、連続焼鈍を前提とする低炭素アルミキルド冷延鋼板
を低温巻取りで製造する技術が切望されている。
【0004】低温巻取りに関する技術としては、特公昭
56−8891号公報、特公昭55−49137号公
報、特公平6−39622号公報、特開昭58−117
834号公報等に記載のものがある。特公昭56−88
91号公報には、スラブ低温加熱と熱延後の低温巻取り
の組合せによる軟質冷延鋼板の製造方法が開示されてい
る。しかしながら、特公昭56−8891号公報におけ
る巻取温度は、550〜700℃、さらに好ましい範囲
としては600〜700℃となっており、充分な低温巻
取りとはなっておらず、端部材質劣化の問題や生産性の
向上の観点からは、さらなる巻取温度の低下が望まれて
いる。
【0005】また、特公昭55−49137号公報にお
いては、550〜700℃の巻取温度と連続焼鈍におけ
る焼鈍温度を850〜900℃とする高温焼鈍との組合
せによって、優れた深絞り性と張出し性を有する冷延鋼
板の製造方法が開示されている。しかしながら、このよ
うな高温での連続焼鈍は、通板性の劣化や製造コストの
上昇を招くという問題点を有する。
【0006】さらに、特公平6−39622号公報にお
いては、Al量を増加させることで、低温巻取りにより
優れた材質の鋼板を製造する方法が開示されている。し
かしながら、多量のAlの添加は介在物の増加を招くた
め、延性の低下や表面疵を誘発することがある。また、
巻取温度の適正範囲は550〜670℃であり、従来の
高温巻取りに付随する問題を抜本的に解決するには至っ
ていない。
【0007】また、特開昭58−117834号公報に
おいては、巻取温度を580℃以下とする技術が開示さ
れている。しかしながら、これはC≦0.0040%と
することによって低温巻取り化を実現したものであり、
製鋼コストの上昇を招く。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】加工性向上の観点か
ら、従来法において必須の条件とされてきた熱延板の高
温巻取技術は、次の3つの問題を有する。第一に、鋼板
表面の酸化スケールが厚くなり、かつ組成的にもFe2
3 が主となるため酸洗性が劣化する。その結果、生産
性が低下し、かつ酸洗コストも上昇する。第二には、コ
イル内における材質のばらつきが大きいことである。す
なわち、高温巻取りの場合には、熱延コイルの内周部と
外周部さらに幅方向端部においては、長手方向、幅方向
の中央部と比較して冷却速度が著しく速く、これらの部
分では高温巻取りの冶金的役割が果たせず、材質が劣化
し、切断除去が必須となって歩留りが低下する。第3に
は、高温で巻取られたコイルは熱収縮が大きく、コイル
内で板がこすれ合って表面疵を誘発することである。
【0009】本発明は、これらの問題点を解決するため
に、従来にはない方法で低温巻取り化を計り、加工性に
優れた冷延鋼板を安定して製造する技術を提案すること
を目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明者らは、種々のC量を含有する鋼を用い
て、熱延後の冷却速度と巻取温度を変化させて、冷延焼
鈍後の材質特定に及ぼす熱延板の炭化物分布の影響につ
いて検討した。その結果、冷却速度が速く、かつ巻取温
度が低い場合、すなわち熱延板における結晶粒内に微細
炭化物を析出させた場合、従来法のように熱延板の結晶
粒界における炭化物を高温巻取りによって凝集粗大化さ
せたものに比較して、同等以上の材質が得られることを
知見した。すなわち、1.5以上のr値を有する冷延鋼
板を製造することが可能である。また、n値についても
高温巻取り材と同等以上の値が得られるという知見を得
た。本発明における巻取温度は、200〜550℃未満
と従来法と比較して著しく低いため、高温巻取りに伴う
上述の問題点を一掃することができる。
【0011】熱延板において、炭化物を粒内に微細に析
出させることによって優れた材質が確保される機構につ
いて説明する。従来のように高温巻取りにより炭化物を
凝集粗大化させることで優れた材質が得られるのは、次
のように考えられている。すなわち、炭化物は非常に硬
質な相であるため、冷間圧延によっても変形せず、その
結果、炭化物周辺では複雑な変形を余儀なくされ、焼鈍
を行うと炭化物周辺から比較的ランダムな方位を有する
結晶粒が形成され、深絞り性に好ましい方位である板面
方位(ND)//〈111〉方位の集積が低下する。従
って、炭化物の全表面積はできるだけ小さいことが好ま
しく、高温巻取りによって炭化物を凝集粗大化させるこ
とが必須となっていた。また、従来の方法によって形成
される熱延板の炭化物はほとんどが粒界に存在するた
め、冷間圧延時の複雑な変形を助長しているものと考え
られる。これに対して、本発明においては炭化物が結晶
粒内に極めて微細に存在するため、これを冷間圧延して
も炭化物周辺での複雑な変形をほとんど伴わず、焼鈍後
に良好な結晶方位が発達するものと考えられる。
【0012】本発明の要旨とするところは、下記のとお
りである。 (1)重量%でC:0.01〜0.05%、Mn:0.
05〜0.5%、P:0.12%以下、Si:0.8%
以下、S:0.02%以下、Al:0.01〜0.15
%、N:0.007%以下を含有し、残部Feおよび不
可避的不純物からなるスラブを加熱温度1000〜13
00℃、仕上温度(Ar3 −100)℃以上にて熱間圧
延した後、600℃以上の温度から30℃/s以上の平
均冷却速度にて200℃以上550℃以下の温度範囲ま
で冷却し、200℃以上550℃未満で巻取った後酸洗
し、圧下率60%以上の冷間圧延を施し、700℃以上
の温度で連続焼鈍することを特徴とする加工性に優れた
冷延鋼板の製造方法。
【0013】(2)Ti:0.003〜0.05%、N
b:0.003〜0.05%のうち1種以上を含有する
前記(1)記載の加工性に優れた冷延鋼板の製造方法。 (3)B:0.0001〜0.005%を含有する前記
(2)記載の加工性に優れた冷延鋼板の製造方法。
【0014】
【作用】以下に本発明についてさらに詳しく説明する。
化学成分を限定する理由は次のとおりである。Cは0.
01〜0.05%でなければならない。C量が0.05
%超となると炭化物の量が増加し過ぎて連続焼鈍板の延
性が劣化する。また、パーライトの析出量が増加し、結
晶粒内に析出する炭化物が粗大化するため、深絞り性に
好ましい結晶方位が発達せず、深絞り性の指標であるラ
ンクフォード値が低下する。Cが0.01%未満では、
熱延板における炭化物を粒内に充分に析出させることは
できない。また、連続焼鈍における過時効時の炭化物の
析出が十分に進行せず、常温非時効でなくなる。さら
に、Cを0.01%未満とするには製鋼コストの上昇を
伴う。従って、Cは0.01〜0.05%とする。熱延
板におけるパーライトの析出を極力抑制し、結晶粒内に
微細な炭化物を適正に分布させるという観点からは、よ
り好ましくはCを0.013〜0.022%とする。
【0015】Mnは0.05〜0.5%とする。Mn量
が0.5%超では深絞り性や常温非時効性が劣化する。
Mnは固溶Cと引力の相互作用があり、これが深絞り性
に好ましい集合組織の発達を妨げたり、Cの拡散、析出
を遅らせて焼鈍板の固溶Cを増加させたりするためであ
る。一方、Mn量が0.05%未満では、製鋼コストが
上昇するだけでなく、熱間圧延時に割れが発生すること
があるので、0.05%を下限とする。製造コスト、熱
間脆性、加工性、常温非時効性の観点からは、0.1〜
0.2%がMnの好ましい範囲である。
【0016】Pは強度を高くするのに有効な元素である
ので、強度を高くする必要のある場合には積極的に添加
する。ただし、偏析の激しい元素であるため、0.12
%超では熱間割れ、冷間割れの原因となり、2次加工性
も著しく阻害される。以上の観点から、Pは0.12%
以下とするが、好ましい範囲は0.08%以下である。
【0017】Siはその量の増加に伴って降伏強度が上
昇し、伸びが低下するので0.8%以下とする。なお、
Siを強化元素として利用する場合には0.1%以上の
添加が望ましい。Sは0.02%以下とする。S量が
0.02%超では、熱間割れが生じ易くなり、またSを
MnSとして無害化するために必要なMn量も増加する
ので、0.02%を上限とする。
【0018】Alは脱酸剤として少なくとも0.01%
を添加することが必要である。また、Nを固定するため
にも0.01%以上の添加が必須である。本発明におい
ては低温巻取りが前提であるので、0.04%以上添加
することが好ましい。しかし、0.15%を超えるとコ
ストアップとなるばかりか介在物の増加を招き、加工性
を劣化させるので、上限を0.15%とする。0.04
〜0.08%がAlの好ましい範囲である。
【0019】Nはその増加とともにAl等の窒化物形成
元素を増量せねばならずコスト高となるので少ないほど
望ましい。従って、Nは0.007%以下とする。好ま
しくは0.0025%以下がよい。BはNを固定して常
温非時効性を向上させ、さらには2次加工性を改善する
効果を有するので、0.0001〜0.005%の範囲
で添加してもよい。ただし、Bを0.005%超添加し
ても大きな効果は得られず、また加工性の劣化を招くの
で、0.005%を上限とする。また、0.0001%
未満の添加では顕著な効果が得られないので、0.00
01%を添加する場合の下限とする。
【0020】Ti、Nbはそれぞれ0.003〜0.0
5%の範囲で1種以上を添加してもよい。Ti、Nbは
Nを固定して無害化する効果を有する。ただし、Ti、
Nbを0.05%超添加しても大きな効果は得られず、
加工性の劣化を招き、合金コストの上昇を招くので、そ
れぞれ0.05%を上限とする。また、0.003%未
満の添加では顕著な効果が得られないので、それぞれ
0.003%を添加する場合の下限とする。
【0021】上記成分を得るための原料は特に限定しな
いが、鉄鉱石を原料として、高炉、転炉により成分を調
製する方法以外にスクラップを原料としてもよいし、こ
れを電炉で溶製してもよい。スクラップを原料の全部ま
たは一部として使用する際には、Cu、Cr、Ni、S
n、Sb、Zn、Pb、Mo等の元素を含有してもよ
い。
【0022】次に製造プロセスに関する限定理由を述べ
る。熱間圧延に供するスラブは、特に限定するものでは
ない。すなわち、連続鋳造スラブや薄スラブキャスター
で製造したものなどであればよい。また、鋳造後に直ち
に熱間圧延を行う、連続鋳造−直接圧延(CC−DR)
のようなプロセスにも適合する。
【0023】熱間圧延における加熱温度は、1000〜
1300℃の範囲とする。加熱温度を1300℃超とす
ると、表面スケールが厚くなって表面疵の原因となり、
また加熱のためのコストも著しく上昇するので、130
0℃を上限とする。また、加熱温度が1000℃未満と
なると仕上温度の確保が困難となるので、1000℃を
下限値とする。焼鈍板の加工性、常温非時効性、製造コ
ストの観点から、加熱温度の好ましい範囲は1050〜
1250℃である。
【0024】熱間圧延は、粗圧延終了後にバー接合して
連続的に仕上熱延を行っても構わない。また、それに伴
って仕上圧延前にコイルボックスに装入し、熱処理を施
しても差し支えない。熱間圧延における仕上温度は(A
3 −100)℃以上とする。仕上温度が(Ar3 −1
00)℃未満となると焼鈍板の深絞り性が著しく劣化す
る。上限は特に限定するものではないが、熱延板の結晶
粒径を微細化し、焼鈍板の深絞り性を向上させる目的
で、970℃以下とすることが望ましい。
【0025】仕上熱延後の冷却条件は、本発明において
は特に重要である。すなわち、600℃以上の温度から
30℃/sの平均冷却速度で200℃以上550℃以下
の温度範囲まで冷却し、200℃以上550℃未満の温
度で巻取る。これによって熱延板の結晶粒内に微細な炭
化物を析出させる。このような結晶粒内に微細に析出し
た炭化物が冷延焼鈍後の材質を劣化させないことは前述
のとおりである。
【0026】熱間圧延後の急冷の開始温度は600℃以
上としなければならない。この温度が600℃未満で
は、炭化物を結晶粒内に微細に析出させるための炭素の
過飽和度が不十分となる。その結果、炭化物が結晶粒界
に多く析出したり、固溶Cが存在したりして、焼鈍板の
加工性が劣悪となる。C量が0.022%以下の場合の
急冷開始温度T(℃)は、T≧〔6100/{2.27
−ln(C%)}−273〕とすることが好ましい。す
なわち、α単相となる温度以上から急冷する。〔610
0/{2.27−ln(C%)}−273〕≦T≦Ar
1 点、すなわちα単相域からの急冷がさらに好ましい範
囲である。C量が0.022%超の場合の急冷開始温度
は、650℃以上さらには700℃以上とすることが望
ましい。また、C量に関わらず、熱延仕上温度からAr
1 点までは15℃/s以下の冷却速度とすることが好ま
しい。
【0027】急冷開始温度から巻取温度までは平均冷却
速度を30℃/s以上とする。この間の平均冷却速度が
30℃/s未満では熱延板に固溶Cが残存したり、炭化
物が結晶粒界に多く析出し、焼鈍板の加工性が劣悪とな
る。炭化物を結晶粒内に析出させるためには、平均冷却
速度50℃/s以上がさらに好ましい条件である。冷却
終点温度は200℃以上550℃以下とする。この温度
が200℃未満であると、炭化物を結晶粒内に析出させ
るために必要な巻取温度を確保できなくなる。また、5
50℃超では炭化物を結晶粒内に析出させるための炭素
の過飽和度が十分でなくなり、熱延板に固溶Cが残存し
たり、結晶粒界に炭化物が析出したりして、焼鈍板の加
工性が劣悪となる。好ましくは、300℃以上450℃
以下である。
【0028】巻取温度は200℃以上550℃未満とす
る。巻取温度が200℃未満では、炭化物の析出が十分
に進行しない。一方、550℃以上では、結晶粒内に析
出する炭化物の量が減少し、結晶粒界への析出量が増加
するため、550℃を上限とする。炭化物を結晶粒内に
適正な大きさ、分布で析出させるためのより適当な範囲
は、250〜400℃である。
【0029】ところで、一般に焼鈍前に微細な析出物が
存在すると、再結晶温度を上昇させたり、再結晶後の粒
成長性を妨げたりして、焼鈍板の加工性を劣化させるこ
とが知られている。しかしながら、本発明において熱延
板に存在する炭化物はセメンタイトもしくはε炭化物な
どであり、焼鈍の加熱途中に溶解してしまうので、焼鈍
板の加工性を劣化させることはない。
【0030】なお、巻取り後には酸洗もしくは相当の脱
スケールを行う。次いで冷間圧延、連続焼鈍、調質圧延
を行う。冷間圧延の圧下率は、焼鈍板の加工性を向上さ
せる観点から、60%以上とする。好ましくは、75%
以上とする。連続焼鈍における焼鈍温度は700℃以上
とする。この温度が700℃未満では再結晶が完了せ
ず、加工性が劣化したり、再結晶を完了させるのに著し
く長い時間を要し、生産性を低下させてしまう。好まし
くは750℃以上とする。焼鈍後には250〜450℃
の範囲で10分以内の過時効熱処理を行い、固溶C量を
低減させ、常温非時効性を確保することが望ましい。ま
た、本発明における連続焼鈍は、冷延鋼板のみならず亜
鉛メッキ、錫メッキ等の種々の製品を製造するプロセス
も含む。
【0031】連続焼鈍後の調質圧延は特に限定するもの
ではないが、板形状を矯正したり、常温非時効性を確保
する目的で、圧下率0.3〜3%の範囲で行えばよい。
【0032】
【実施例】以下に本発明を実施例をもって詳細に述べ
る。 (実施例1)重量%で0.016%C−0.01%Si
−0.15%Mn−0.008%P−0.008%S−
0.06%Al−0.0024%Nの成分を有する鋼を
真空溶解にて溶製し、加熱温度1180℃、仕上温度9
30℃の熱間圧延を施し、厚さ4.0mmとした。その
後の冷却は、800℃まで冷却速度15℃/s、800
℃〜(巻取り温度+50)℃までの平均冷却速度を10
〜80℃/sとし、巻取相当熱処理を100〜750℃
にて1時間保持して炉冷することにより行った。次いで
この熱延板を酸洗し、圧下率80%の冷間圧延に供して
厚さ0.8mmとした。その後、800℃にて60秒保
持し、80℃/sで400℃まで急冷し、400℃にて
3分保持する連続焼鈍相当の熱処理を施し、圧下率1.
2%の調質圧延を行い、引張試験によるr値(平均ラン
クフォード値)の測定に供した。引張試験は、JIS5
号試験片にて行った。なお、r値は次式に従った。ここ
で、r0°、r45°、r90°は、それぞれ圧延方
向、圧延方向に対して45°方向、圧延方向と直角方向
のランクフォード値である。また、AIは、10%引張
り後に100℃にて1時間の熱処理を施したときの0.
2%耐力から熱処理前の10%引張り時の応力を差し引
いた値である。AIは30MPa以下であることが常温
非時効のための条件である。
【0033】 r=(r0°+2r45°+r90°)/4 図1に試験結果を示す。図1から明らかなように、本発
明の冷却速度および巻取温度の範囲で良好な材質が得ら
れることが分かる。これは、本発明の条件によって製造
された熱延板には固溶Cがほとんど存在せず、かつ結晶
粒内に微細な炭化物が存在するためである。一方、本発
明の範囲から逸脱するものは、熱延板に固溶Cが残存し
たり、結晶粒界に炭化物が存在するため、r値が低下す
るものが多かった。ただし、700℃以上の巻取温度の
ものでは、良好なr値が得られたが、これは炭化物が結
晶粒界において十分に凝集粗大化したためで、従来から
確認されているものであり、実機にて製造した場合には
コイル長手方向および幅方向端部において材質が著しく
劣化する。
【0034】(実施例2)表1に示す化学成分を有する
種々の鋼を真空溶解にて溶製し、加熱温度1150℃、
仕上温度940℃の熱間圧延を施して厚さ3.8mmと
した。その後の冷却は、720℃まで冷却速度15℃/
s、720〜380℃までの平均冷却速度を70℃/s
とし、巻取相当熱処理を350℃にて1時間保持し炉冷
することにより行った。次いでこの熱延板を酸洗し、圧
下率80%の冷間圧延に供して厚さ0.76mmとし
た。その後、800℃にて60秒保持し、70℃/sで
350℃まで急冷し、350℃にて3分保持する連続焼
鈍相当の熱処理を施し、圧下率1.0%の調質圧延を行
い、引張試験に供した。引張試験は、JIS5号試験片
にて行った。r値およびAIの定義は実施例1と同様で
ある。表2に試験結果を示す。
【0035】表2より明らかなとおり、本発明範囲の化
学成分を有する鋼は、熱延後の急冷、低温巻取りによ
り、熱延板の結晶粒内に微細な炭化物を析出させること
によって良好な材質を得ることができる。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】(実施例3)表3に示す化学成分を有する
鋼を実機にて出鋼した。さらに、これを以下の条件で実
機にて熱間圧延を施した。すなわち、加熱温度1170
℃、仕上温度910℃で熱間圧延後、60℃/sで急冷
し、表3中の巻取温度で巻取った。これをコイル長手方
向の各部位から切り出して実験室にて酸洗後、82%の
圧下率にて冷間圧延し、図2の条件で連続焼鈍を行い、
圧下率0.8%の調質圧延を施し、引張特性をJIS5
号試験片を用いて評価した。r値の定義は実施例1と同
様である。結果を表4に示す。
【0039】表4より明らかなとおり、本発明によって
製造したものはコイルの端部も良好な材質特性を有する
のに対して、本発明の範囲を逸脱するものは端部の特性
が劣化した。
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
【発明の効果】以上のように本発明に従い、所定の量の
Cを含有する低炭素アルミキルド鋼を熱間圧延後急冷
し、200〜550℃未満の温度範囲で巻取ることによ
り、結晶粒内に微細な炭化物を析出させ、これを冷間圧
延、連続焼鈍することによって加工性に優れた冷延鋼板
を低コストで安定して製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】焼鈍板のr値に及ぼす熱延後の冷却速度と巻取
温度の影響を示す図である。
【図2】実施例3における連続焼鈍条件を表す図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−134553(JP,A) 特開 平6−172869(JP,A) 特開 昭63−72828(JP,A) 特開 昭62−37323(JP,A) 特開 昭61−130422(JP,A) 特開 昭60−258429(JP,A) 特開 昭59−67321(JP,A) 特開 昭55−82731(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 9/46 - 9/48 C21D 8/00 - 8/04 C22C 38/00 - 38/60

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%でC:0.01〜0.05%、M
    n:0.05〜0.5%、P:0.12%以下、Si:
    0.8%以下、S:0.02%以下、Al:0.01〜
    0.15%、N:0.007%以下を含有し、残部Fe
    および不可避的不純物からなるスラブを、加熱温度10
    00〜1300℃、仕上温度(Ar3−100)℃以上
    にて熱間圧延した後、600℃以上の温度から30℃/
    s以上の平均冷却速度にて200℃以上550℃以下の
    温度範囲まで冷却し、200℃以上550℃未満で巻取
    った後酸洗し、圧下率60%以上の冷間圧延を施し、7
    00℃以上の温度で連続焼鈍することを特徴とする加工
    性に優れた冷延鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 Ti:0.003〜0.05%、Nb:
    0.003〜0.05%のうち1種以上を含有する請求
    項1記載の加工性に優れた冷延鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 B:0.0001〜0.005%を含有
    する請求項2記載の加工性に優れた冷延鋼板の製造方
    法。
JP28099494A 1994-11-15 1994-11-15 加工性に優れた冷延鋼板の製造方法 Expired - Fee Related JP3466298B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28099494A JP3466298B2 (ja) 1994-11-15 1994-11-15 加工性に優れた冷延鋼板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28099494A JP3466298B2 (ja) 1994-11-15 1994-11-15 加工性に優れた冷延鋼板の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08143969A JPH08143969A (ja) 1996-06-04
JP3466298B2 true JP3466298B2 (ja) 2003-11-10

Family

ID=17632787

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28099494A Expired - Fee Related JP3466298B2 (ja) 1994-11-15 1994-11-15 加工性に優れた冷延鋼板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3466298B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20000068896A (ko) * 1997-09-04 2000-11-25 에모토 간지 드럼통용 강판, 그의 제조방법 및 드럼통
CN1286999C (zh) 2000-06-20 2006-11-29 杰富意钢铁株式会社 薄钢板及其制造方法
JP5549232B2 (ja) * 2010-01-15 2014-07-16 Jfeスチール株式会社 冷延鋼板およびその製造方法
JP6119928B1 (ja) * 2015-07-10 2017-04-26 Jfeスチール株式会社 冷延鋼板およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08143969A (ja) 1996-06-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7959747B2 (en) Method of making cold rolled dual phase steel sheet
JP3610883B2 (ja) 曲げ性に優れる高張力鋼板の製造方法
JP2576894B2 (ja) プレス成形性に優れた溶融亜鉛めっき高張力冷延鋼板およびその製造方法
JP3466298B2 (ja) 加工性に優れた冷延鋼板の製造方法
JPH08176735A (ja) 缶用鋼板とその製造方法
JP2621744B2 (ja) 超高張力冷延鋼板およびその製造方法
JPH06179922A (ja) 深絞り用高張力薄鋼板の製造法
JP3282887B2 (ja) 深絞り性、溶接性に優れた薄鋼板およびその製造方法
JP3293424B2 (ja) 非if鋼系非時効性極低炭素冷延鋼板の製造法
JP2002249849A (ja) 高張力冷延鋼板およびその製造方法
JPH07126758A (ja) 曲げ加工性に優れるフェライト系ステンレス鋼板の製造方法
JPH0559491A (ja) プレス加工用の高張力薄鋼板とその製造法
JP3911075B2 (ja) 焼付硬化性に優れる超深絞り用鋼板の製造方法
JP3194120B2 (ja) 連続焼鈍によるコイル内材質均一性に優れた非時効深絞り用冷延鋼板の製造方法
JPH0931534A (ja) 加工性と疲労特性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法
JPH01184227A (ja) 絞り用合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP2971192B2 (ja) 深絞り用冷延鋼板の製造方法
JP2504219B2 (ja) 絞り用合金化亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP3023014B2 (ja) 超深絞り用冷延極軟鋼板
JP3471407B2 (ja) 加工性に優れた熱延鋼板の製造方法
JP3593728B2 (ja) 成形性の優れた極低炭素冷延鋼板の製造方法
JP3425296B2 (ja) 加工性に優れた薄手熱延鋼板の製造方法
JPH06256901A (ja) 深絞り用高張力冷延鋼板とその製造法
JPH0559490A (ja) プレス加工用の高張力薄鋼板とその製造法
JP2003013176A (ja) プレス成形性と歪時効硬化特性に優れた高延性冷延鋼板およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20030729

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080829

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090829

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090829

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100829

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100829

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110829

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120829

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130829

Year of fee payment: 10

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130829

Year of fee payment: 10

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130829

Year of fee payment: 10

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130829

Year of fee payment: 10

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees