JP2571836B2 - 複合繊維の製造方法 - Google Patents

複合繊維の製造方法

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JP2571836B2
JP2571836B2 JP63252748A JP25274888A JP2571836B2 JP 2571836 B2 JP2571836 B2 JP 2571836B2 JP 63252748 A JP63252748 A JP 63252748A JP 25274888 A JP25274888 A JP 25274888A JP 2571836 B2 JP2571836 B2 JP 2571836B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、ソフトで嵩高感に優れ、かつ親水性を有
し、今迄の合成繊維には見られない良好な風合が付与さ
れた合成繊維を製造する方法に関するものである。さら
に詳しくは、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物
(以下EVALと略記する)と結晶性ポリマーの分割剥離型
複合繊維を製造する方法に関するものである。
(従来の技術) 従来、合成繊維、例えばポリエステル、ポリアミドの
フライメントからなる織物、編物、不織布等の繊維構造
物は、その構成フイラメントの単糸デニールや断面形状
が単調であるために綿、麻等の天然繊維に比較して、風
合、光沢が単調で冷たく、繊維構造物としての品位は低
いものであつた。
近年、これらの欠点を改良するために、繊維横断面の
異形化、巻縮加工、複合繊維等が種々試みられている
が、いまだに十分には目的を達成していないのが現状で
ある。例えば、特開昭56−165015号、特開昭57−5921
号、特開昭58−98425号、特開昭61−239010号などに示
されているような易溶解性ポリマーとポリエステルの複
合繊維を形成し、その後、後加工によりドライタツチで
キシミ感のある風合や独得の光沢を織編物に付与させた
り、あるいは特公昭51−7207号、特開昭58−70711号、
特開昭62−133118号などに示されているように繊維長さ
方向に斑を付与させて風合を改良させる方法、あるいは
特公昭53−35633号、特公昭56−16231号などに示されて
いるように合成繊維をフイブリル化させて風合を改良さ
せる方法、特公昭45−18072号で提案されているごとく
仮撚、融着糸を作成し、麻様のシヤリ感を付与させる方
法、あるいは特開昭63−6123号のように混繊融着加工糸
を作成する方法、あるいは特開昭63−6161号のようにフ
イブリル化させる方法など種々のものが提案されてい
る。しかしながら合成繊維へ天然繊維に似た風合を付与
させるという点においては十分と言えず、特に天然麻繊
維や天然木綿繊維に似た風合を付与させるということで
は不十分であつた。しかも、ポリエステルなどの合成繊
維は親水性が不十分であるため、着心地という点からも
木綿に劣るのが実情であつた。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明は、合成繊維に対して、水酸基(OH基)を有す
るポリマーとの複合化により親水性を付与し、ソフトで
嵩高感に優れ、より天然繊維に似た合成繊維を得んとす
るもので、そのためのポリマー設計並びに繊維化工程性
のトラブルがない製造条件を究明したものである。
(発明の構成) 本発明は上述した問題点を解決するために、融点が15
0℃以上の結晶性熱可塑性ポリマーからなる第1成分
(A)とエチレン−酢酸ビニル共重合のケン化物からな
る第2成分(B)の分割剥離型複合繊維をつくり、この
複合繊維を、後の工程、例えば布帛にした後に、A,B両
成分からなる極細繊維に、全体的にあるいは部分的に分
割されたフイブリル化繊維構造物とし、これによつてソ
フトで嵩高感に優れ、しかも親水性を有するといつた特
徴を発揮し得る複合繊維とするものであるが、その複合
繊維を製造する際の第1成分と第2成分が、特定溶融粘
度の関係を満し、かつ溶解度パラメーター値も所定の条
件を満たしていることが必要であることを見い出したも
のである。
酢酸ビニル重合体ケン化物より製造されるポリビニル
アルコール(以下PVAと略記する)繊維は形態安定性や
含水状態での耐久性などの点で満足できるものではな
い。これは木綿やレイヨンと同様に親水性繊維が持つ本
質的な欠点である。ポリオレフインやポリエステルのよ
うな疎水性繊維はこの点で優れているが、親水性やプラ
スチツク風合という点で、親水性繊維に較べて品位は劣
る。周知の如く上記従来繊維の長短所を補いあつたよう
な理想的な繊維を提供せんとして先人等によつてポリマ
ーの変性、共重合などによる方法が行なわれてきたが、
単独では両特性を満足できるものは得られていない。又
複合形態にするためには、疎水性繊維は溶融紡糸、親水
性繊維は湿式あるいは乾式紡糸であるために両者の複合
紡糸は当業界の常識では困難とされている。
本発明者等は、これらの問題点を解決し、ソフトで嵩
高感に優れ、かつ親水性を有し、プラスチツク風合を脱
した合成繊維の製造法確立したものである。
即ち上記目的を達成するために、本発明は融点が150
℃以上の結晶性熱可塑性ポリマーからなる第1成分
(A)とエチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物からなる
第2成分(B)の分割剥離型複合繊維を製造せんとする
ものであるが、その繊維化する上での重要な要件の一つ
は、A成分ポリマーとB成分ポリマーの290℃における
ゼロ剪断応力下の溶融粘度が下記式の関係を満たす必要
があることである。
η≦30×η ……(1) ηA;第1成分(A)の290℃におけるゼロ剪断応力下の
溶溶融粘度 ηB;第2成分(B)の290℃におけるゼロ剪断応力下の
溶溶融粘度 また、B成分ポリマーの290℃におけるゼロ剪断応力
下の溶融粘度(以下ηと略す)が400ポイズ以上である
ことが必要である。
更に、繊維化する上で重要なもう一つの要件は、A成
分ポリマーとB成分ポリマーの溶解度パラメーター値
(以下SPと略記する)が下記(2)、(3)式を満足す
る必要があることである。
10>ψ−ψ≧2.8 (2) 19.5≧ψ≧15.0 (3) ψA;第1成分(A)の溶解度パラメーター値 ψB;第2成分(B)の溶解度パラメーター値 その上、B成分ポリマーの重量比率が複合繊維に対し
て5〜80重量%であることが必要であることである。
ここで述べているゼロ剪断応力下での溶融粘度η(ポ
イズ)の測定は、東洋精器(株)キヤピログラフを用い
て行なつた。290℃に加熱されたセル中のポリマーに対
してずり速度を変化させた時のずり応力を求め、これに
より見かけの溶融粘度を求め、ずり速度と見かけの溶融
粘度の関係からゼロ剪断応力下の溶融粘度を外挿した。
ゼロ剪断応力下での溶融粘度の外挿法としては種々の方
法があるが、ここでは見かけの溶融粘度(η)の逆数
(1/η)とずり速度()の関係をグラフにプロツ
トし、得られた直線関係から→0の所の1/η値と
1/ηと仮定してゼロ剪断応力下のηを値出した。また測
定操作上の容易さから、ポリマーはペレツト状のものを
測定サンプルに用いた関係上、繊維化時の実際紡糸時の
溶融粘度は、繊維化後の該繊維の[η]を測定し、同じ
[η]のポリマーペレツトによるηの測定データーを参
考に判断した。
Bポリマーのηが400ポイズ以上になると紡糸性が
極端に低下し好ましくない。これはBポリマーの曳糸性
に起因する基本的なポリマー物質に基づくと考えられ
る。290℃下でのηが400ポイズ以上となるように、B
ポリマーの重合度を設定する必要がある。数平均分子量
でおよそ重合度が200以上であることが好ましい。
また、Aポリマーのηがηの30倍以下であること
が必要である。ηが30倍を越えると複合紡糸時のη
とηの溶融粘度差が大きくなりすぎバランスがくずれ
易くなり、紡糸時と斜向、ビス等に起因する単糸切れ、
断糸が多くなり好ましくない。ηがηの30倍以下、
より好ましくは20倍以下の組合せにすることにより紡糸
性が良好になることがわかつた。該条件を満たすように
Aポリマーについても重合度を適切なものに、設定する
必要があることは言うまでもない。
次に本発明で述べているSP値とは、一般的な凝集エネ
ルギー密度の平方根を言うが、高分子の場合の簡便法と
して置換基の引力恒数の総和から計算して求めた。
本発明において用いるBポリマーは、これ単独の繊維
では、タフネス耐久性及び曳引糸に劣るため本発明の目
的を達成することは困難である。本発明者はOH基を有す
るポリマーとしてこのBポリマーに着目し、ポリエステ
ルやポリアミド等結晶性熱可塑性ポリマーの複合化によ
り両成分の長短所を補うことを意図して検討した結果、
結晶性熱可塑性ポリマー(A)のSP値とのBポリマーの
SP値の関係が上記(2)、(3)式を満足することによ
つて、目的を達成できるという結論に達した。以下この
理由を説明する。
ψが15.0より小さいポリマー成分では、ビニルアル
コール成分含量(以下VAと略記する)が低く、水酸基の
減少のために親水性などの特性が失なわれてくるし、又
ポリエステルやポリアミド等のAポリマーとのSP値が接
近し、SP値の差が小さくなるので複合繊維化した後、加
工工程で2成分が分割しにくくなり、本発明の目的のソ
フトで嵩高感に優れた繊維構造物が得られなくなり好ま
しくない。ψが20.0より大きいポリマー成分ではVA成
分が高くなり耐熱性に劣るため、融点の高いポリエチレ
ンテレフタレートなどをAポリマーとして用いる場合複
合溶融紡糸は困難であることが解つた。従つて、ψ
20.0≧ψ≧15.0の範囲になるポリマー成分のBのポリ
マーが結晶性熱可塑性ポリマーとの複合に適していると
いえる。
ψ−ψの値、即ちBポリマーのSP値とAポリマー
のSP値の差は2.8〜10が好ましい。ψ−ψが2.8より
小の組み合わせとなるとSP値が接近し、後工程で分割が
しにくくなり、目的とする良好な風合のものが得られに
くくなる。ψ−ψが10以上の組み合わせはEVAL自身
の耐熱性が劣り、Aポリマーとの複合溶融紡糸が困難と
なる。
上記条件を満足するBポリマーの共重合組成として
は、エチレン含量が約30モル%から約60モル%の共重合
組成のエチレン−酢酸ビニル共重合体を95%以上ケン化
したエチレンビニルアルコール共重合ポリマーが好まし
いと言える。またBポリマーは、エチレンと酢酸ビニル
の共重合を苛性ソーダーによりケン化して製造される
が、この時のケン化度が95%以上にすることが好まし
い。ケン化度が低くなると、ポリマーの結晶性が低下し
強度等の繊維物性が低下してくるのみならず、Bポリマ
ーが軟化しやすくなり加工工程でトラブルが発生してく
るとともに得られた繊維構造物の風合も悪くなり好まし
くない。
本発明で言う融点150℃以上のAポリマーとしては、
融点150℃以上の繊維形成性良好なポリマーであればど
れでもよい。好ましくは、ポリエチレンテレフタレート
又はポリエチレンテレフタレートを主成分とするポリエ
ステルか、ナイロン6又はナイロン66を主成分とするポ
リアミドであることが望ましい。
ポリエステルとしては、例えばテレフタール酸、イソ
フタール酸、ナフタリン2,6−ジカルボン酸、フタール
酸、α,β−(4−カルボキシフエノキシ)エタン、4,
4−ジカルボキシジフエニール、5ナトリウムスルホイ
ソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸もしくはアジピン
酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸又はこれらの
エステル類と、エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、1,4ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、
シクロヘキサン1,4−ジメタノール、ポリエチレングリ
コール、ポリテトラメチレングリコールなどのジオール
化合物とから合成される繊維形成性ポリエステルであ
り、構成単位の80モル%以上が、特には90モル%以上が
ポリエチレンテレフタレート単位又はポリブチレンテレ
フタレート単位であるポリエステルが好ましい。又、ポ
リエステル中には、少量の添加剤、螢光増白剤、安定剤
あるいは紫外線吸収剤などを含んでいても良い。
またポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン66、
ナイロン12を主成分とするポリアミドであり、少量の第
3成分を含むポリアミドでもよい。これらに少量の添加
剤、螢光増白剤、安定剤等を含んでいても良い。
Aポリマーとして、いずれのポリマーを選択する場合
でも溶解度パラメータψとψの関係は、前記
(2)、(3)式を満足する必要があることは言うまで
もない。
本発明の分割型複合繊維中にBポリマー含有量は5〜
80重量%が好ましい。Bポリマー含有量が5重量%より
小の分割型複合繊維は、当然水酸基の減少のため繊維の
1つの特徴である親水性等の特性が失なわれてくる。又
Bポリマー含有量が80重量%より大の場合には、曳糸性
に劣るBポリマーがリツチとなり、紡糸、延伸等の工程
性が不良となる。又、風合も単繊維間の膠着程度が激し
くなり硬くなつて好ましくない。
又、本発明における分割剥離型複合繊維とは、上述し
た結晶性ポリマー及びEVALが単一フイラメントの横断面
において一方の成分が他方の成分を完全に包回しない形
状で、単一フイラメントの長手方向に沿つて接合されて
いる繊維をいい、具体的には複合形態のモデル図を一例
として第1図〜第12図に示す。
第1図〜第4図は多層型複合繊維でAポリマー成分、
Bポリマー成分いずれも分割して極細化していくタイプ
であり、第5図〜第8図は繊維断面の中心方向へ分割す
るタイプでありAポリマー成分のみが分割して極細化し
ていくタイプである。第9図は中空断面繊維の例であ
り、円環状にAポリマー成分、Bポリマー成分がそれぞ
れに分割していくタイプである。第10図、第11図は異形
断面繊維に分割するタイプの例である。第12図は繊維断
面中心方向へ、Aポリマー成分、Bポリマー成分がそれ
ぞれに分割していく例である。
本発明で得られる繊維は、長繊維のみならず短繊維で
も同様の効果が期待できることは言うまでもない。
またさらに本発明で得られる繊維は、仮撚捲縮加工等
の高次加工により、5角、6角に類似した形状になつた
り、紡糸時の異形断面ノズルにより3葉形、T形、4葉
形、6葉形、8葉形等多葉形や各種の断面形状となつて
も要は、今迄説明してきた要件を満たした繊維であれ
ば、本発明の良好な風合と良好な親水性を保持した繊維
構造物を得ることができる。
本発明で得られる分割型複合繊維からソフトで嵩高な
風合を有するフイブリル繊維構造物を得る方法としては
種々の手段がある。例えば本発明の分割型複合繊維を布
帛に編織後、衝撃を与えつつ熱処理する方法などがある
が、一番好ましい方法は、Aポリマーがポリエステルを
用いた場合苛性ソーダ溶液による布帛のアルカリ減量処
理を施す手段である。
(実施例) 次に実施例を用いてさらに本発明の分割型複合繊維を
得る製造法について説明するが、これによつて本発明は
なんら限定されるものではない。
実施例中の親水性評価は、織物上に水滴を滴下し、そ
の広がり状態を相対的に比較するウイツキング性評価で
行なつた。またポリマー固有粘度の測定は、ポリエステ
ルはフエノールとテトラクロルエタンの等量混合溶媒を
用い30℃恒温槽中でウーベローデ型粘度計を用いて測定
した。ポリアミドはオルソクロルフエノールを用い30℃
下で測定した。エチレン酢酸ビニル共重合体のケン化物
は85%含水フエノールを用い30℃下で測定した。
実施例1 Aポリマーとして紡糸時の固有粘度が[η]0.60dl/g
でかつ290℃でのゼロ剪断応力下での溶融粘度が約2500
ポイズのポリエチレンテレフタレートを用い、Bポリマ
ーとしてケン化度が99%でエチレン含量が48モル%のエ
チレン酢酸ビニル共重合体のケン化物で、固有粘度が
[η]7.04dl/g、290℃でのゼロ剪断応力下での溶融粘
度が約560ポイズの重合度のものを用い、Aポリマー:B
ポリマーの重量比を70:30の割合で口金温度295℃で溶融
複合紡糸し、1200m/minで捲きとつて第4図とほぼ同様
の横断面を有する紡糸原糸を得た。
得られた紡糸原糸を通常のローラープレート方式の延
伸機により、ホツトローラー75℃、ホツトプレート120
℃、延伸倍率3.2倍の条件で延伸し、75d−24fのマルチ
フイラメントを得た。紡糸性、延伸性は良好で問題なか
つた。
得られた複合繊維を経糸及び緯糸として使い経糸密度
85本/in、緯糸密度81本/inの平組織の織物を得た。この
織物を約20%アルカリ減量処理を行なつた。次いで常法
により乾燥プレセツトした後次の条件で染色した。その
後常法により乾燥仕上げセツトした。
得られた平織物は、ソフト感と嵩高性を有しかつシヤ
リ感がある天然木綿繊維に似たっ良好な風合を有する織
物が得られた。また、親水性も良好な織物であつた。
該織物を構成している繊維について断面の顕微鏡観察
したところ、A成分ポリマーとB成分ポリマー部分がそ
れぞれ界面で分割剥離し、極細化していることが認めら
れた。
実施例2〜7 第1表に示す条件で実施例1と同様の方法により繊維
化を実施し、実施例1と同様にして平織物を作成した。
いずれも工程性良好でかつ、良好な風合と良好な親水性
のある織物が得られた。
実施例2,3,4はAポリマーとBポリマーの複合比率を
それぞれ90対10、50対50、30対70に変更したものであ
る。
実施例5は、Bポリマーの溶融粘度が1100ポイズのも
のを用いたものである。
実施例6,7は、Aポリマーの溶融粘度がそれぞれ1000
ポイズ、5000ポイズのものを用いた例である。
実施例8,9 Bポリマーとして用いているエチレン−酢酸ビニル共
重合体ケン化物のエチレン共重合量を変更したものを用
い、他は実施例1と同様の方法により繊維化を実施し
た。実施例8はエチレン含量が44モル%の、実施例9は
エチレン含量が38モル%のものを用い実施した。いずれ
も工程性良好でかつ、良好な風合と良好な親水性のある
織物が得られた。
実施例10〜14 第1表に示す如く、複合断面形状を種々変更し、その
他の条件は実施例1と同様の条件により繊維化を実施
し、実施例1と同様にして平織物を作成した。いずれも
工程性良好でかつ、良好な風合と良好な親水性のある織
物が得られた。
実施例15 Aポリマーとして固有粘度[η]1.17dl/gのナイロン
6を用い、Bポリマーとしてケン化度99%でエチレン含
量が48モル%のエチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物を
用い、実施例1と同じ複合比と複合断面で繊維化を行な
つた。
得られた75d−24fのマルチフイラメント延伸糸を、経
糸及び緯糸使いとして平組織の織物を得た。ついで該織
物を“サーキユラーCUT−T−5R"(日阪製作所製)を用
い、60℃、30分間分割処理を行つた。
得られた平織物は、ソフト感と嵩高性を有した良好な
風合を有する織物が得られた。また、親水性も良好な織
物であつた。
実施例16 Aポリマーとして紡糸時の固有粘度が[η]0.80dl/g
ポリブチレンテレフタレートを用い、Bポリマーとして
ケン化度99%でエチレン含量が48モル%のエチレン酢酸
ビニル共重合体ケン化物を用い、実施例1と同じ複合比
と複合断面で繊維化を行なつた。得られた75d−24fのマ
ルチフイラメント延伸糸をけ経糸及び緯糸使いとして平
組織の織物を得た。ついで該織物をワツシヤー(宮下鉄
工所製)を用い、70℃、30分間分割処理した。
得られた平織物は、ソフト感と嵩高性を有した良好な
風合を有する織物が得られた。また、親水性も良好な織
物であつた。
比較例1,2 実施例1と全く同様のAポリマーとBポリマーを用
い、それぞれAポリマーとBポリマーの混合比率を97対
3、15対85重量%として、その他の条件は実施例1と全
く同一で繊維化を実施した。
比較例1は、紡糸性がやや不良でノズル吐出状態のバ
ランスが悪く斜向が発生しやすく単糸切れが多かつた。
また得られた織物の風合があまり特徴がなく、好ましい
ものが得られなかつた。ウイツキング性による親水性評
価も実施例1と比較したら不十分であつた。
比較例2は、紡糸時の単糸切れが多く発生し、しかも
延伸時の毛羽、断糸が多発し十分な織物評価をできるよ
うな糸が得られにくかつた。
比較例3 Bポリマーとして用いているエチレン−酢酸ビニル共
重合体ケン化物の溶融粘度が約350ポイズの重量度のも
ので他の条件は実施例1と同じでテストを実施した。紡
糸時に斜向が発生して単糸切れが多いとともに、短時間
でノズル孔周囲に汚れが堆積して吐出糸条がビスになり
安定な紡糸ができなかつた。
比較例4 Aポリマーのポリエチレンテレフタレートの溶融粘度
が約17000ポイズである固相重合したポリマーを用い、
他の条件は実施例1と同じでテストを実施した。紡糸時
にビス落ちが発生し、安定な紡糸ができなかつた。
比較例5,6 Bポリマーのエチレン共重合量を変更したものを用
い、他の条件は実施例1と同様にして実施した。比較例
は5、Bポリマーの曳糸性が不良のため紡糸性が非常に
低下した。また、長時間紡糸を連続していると、Bポリ
マーのゲル化物が紡糸フイルターに詰まつてくると同時
に、繊維中にも多量のゲル化物が混入し紡糸性が更に悪
化してきた。延伸性も非常に悪く、風合を評価できるよ
うな織物が得られなかつた。
比較例6はBポリマーにエチレン共重合を65モル%の
ものを用いたが、繊維化工程性は良好であつたが得られ
た織物は風合としてはもう一つ特徴がなく不十分である
とともに親水性も不十分なレベルであつた。
比較例7 Aポリマーとして溶融粘度が約1000ポイズの高密度ポ
リエチレンを用い、Bポリマーとしてケン化度99%以上
エチレン共重合量が44モル%のエチレン酢酸ビニル共重
合体ケン化物を用い、他の条件を実施例1と同様にして
実施した。AポリマーのBポリマーのSP値が離れすぎて
いるため、Aポリマー成分とBポリマー成分の接合界面
が剥離しやすく、紡糸延伸後工程中でフイブル化が発生
しすぎトラブルが多発した。
比較例8,9 Bポリマーとして用いているエチレン−酢酸ビニル共
重合体ケン化物のケン化度を変更したものを用いテスト
した。比較例8はケン化度約90%、比較例9はケン化度
約80%のものを使用した。いずれも延伸工程での単糸間
粘着のトラブルが発生したり、織物加工工程での激しい
膠着等の現象が発生し、風合評価にいたるような織物が
得られなかつた。
比較例10 Aポリマーとして溶融粘度が1900のナイロン6を用
い、Bポリマーとしてケン化度95%、エチレン含有量が
50モル%のエチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物を用
い、実施例15と同様にして繊維化を行い、分割剥離処理
を行なったが、複合繊維の接合面の接合強度が高く、分
割剥離処理を施しても分割剥離せず、風合評価にいたる
織物は得られなかった。
(発明の効果) 以上、本発明は、特定のエチレン−酢酸ビニル共重合
体ケン化物を用い、融点150℃以上の結晶性熱可塑性樹
脂と所定の条件を満足する範囲で複合紡糸して繊維化で
きるようになしたもので、それによつて得られる繊維を
所定の後処理方法を付加させることにより、従来の合成
繊維ではなしとげられなかつた良好な、親水性を有した
ソフトで嵩高感に優れた天然木綿繊維に似た風合を保持
した合成繊維が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第12図は、本発明の対象とする複合繊維の複合
形態のモデル図である。(イ)はAポリマー、(ロ)は
Bポリマーである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06M 11/38 D06M 9/04 (72)発明者 山口 新司 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社ク ラレ内 審査官 松縄 正登 (56)参考文献 特公 昭55−1372(JP,B2) 特公 昭62−15655(JP,B2)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】融点が150℃以上の結晶性熱可塑性ポリマ
    ーからなる第1成分(A)と、ケン化度が95%以上で、
    かつ、290℃に於けるゼロ剪断応力下の溶融粘度が400ポ
    イズ以上であるエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化
    物からなる第2成分(B)とを複合紡糸し、分割剥離型
    複合繊維を製造するに際して、A成分、B成分の溶融粘
    度が下記(1)式を満たしかつA成分、B成分ポリマー
    の溶解度パラメーター値が下記(2)、(3)式を満足
    し、さらに第二成分(B)の比率が該複合繊維に対して
    5〜80重量%であることを特徴とする複合繊維の製造方
    法。 η≦30×η ……(1) ηA;第1成分(A)の290℃におけるゼロ剪断応力下の
    溶融粘度 ηB;第2成分(B)の290℃におけるゼロ剪断応力下の
    溶融粘度 10>ψ−ψ≧2.8 (2) 20.0≧ψ≧15.0 (3) ψA;第1成分(A)の溶解度パラメーター値 ψB;第2成分(B)の溶解度パラメーター値
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