JP2870700B2 - カチオン可染性繊維 - Google Patents

カチオン可染性繊維

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JP2870700B2 JP2064577A JP6457790A JP2870700B2 JP 2870700 B2 JP2870700 B2 JP 2870700B2 JP 2064577 A JP2064577 A JP 2064577A JP 6457790 A JP6457790 A JP 6457790A JP 2870700 B2 JP2870700 B2 JP 2870700B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、風合良好でかつカチオン染料に可染性を有
するエチレン−ビニルアルコールコポリマー系繊維に関
するものである。更に詳しくは、エチレン−酢酸ビニル
共重合体ケン化ポリマーからなる繊維へ陰イオン性を有
する化合物を反応させることにより従来の合成繊維では
見られないような色彩のあざやかな発色性及び集光性が
発現されるカチオン染料可染性を付与することを可能と
した技術に関する。
(従来の技術) 従来、合成繊維、例えばポリエステル、ポリアミドの
フイラメントからなる織物、編物、不織布等の繊維構造
物は、その構成フイラメントの単糸デニールや断面形状
が単調であるために綿、麻等の天然繊維に比較して、風
合、光沢が単調で冷たく、繊維構造物としての品位は低
いものであつた。
また、溶融紡糸による合成繊維は特有の鏡面光沢があ
り、染色した場合も羊毛、絹などの天然繊維に比し色の
鮮やかさ、色の深みが得られにくいなどの欠点があつ
た。
(発明が解決しようとする課題) 近年これらの欠点を改良するために、繊維横断面の異
形化、巻縮加工、複合繊維等が種々試みられているが、
いまだに十分には目的を達成していないのが現状であ
る。例えば、特開昭56−165015号公報、特開昭57−5921
号公報、特開昭58−98425号公報、特開昭61−239010号
公報などに示されているような易溶解性ポリマーとポリ
エステルの複合繊維を形成し、その後、後加工によりド
ライタツチでキシミ感のある風合や独得の光沢を織編物
に付与させたり、あるいは特公昭51−7207号公報、特開
昭58−70711号公報、特開昭62−133118号公報などに示
されているように繊維長さ方向に斑を付与させて風合を
改良される方法、あるいは特公昭53−35633号公報や特
公昭56−16231号公報などに示されているように合成繊
維をフイブリル化させて風合を改良させる方法、また特
公昭45−18072号公報で提案されているごとく仮撚、融
着糸を作製し、麻様のシヤリ感を付与させる方法、ある
いは特開昭63−6123号公報に示されているように混織融
着加工糸を作製する方法、あるいは特開昭63−6161号公
報に示されているようにフイブリル化させる方法、さら
に特公昭59−24233号公報に示されているように繊維表
面へ超微細な凹凸を付与させて鏡面光沢を押えて色の深
みを与える方法など種々のものが提案されている。しか
しながら合成繊維へ天然繊維に似た風合及び発色性を付
与させるという点においては十分と言えず、特に天然麻
繊維や天然木綿繊維に似た風合及び発色性を付与させる
ということでは不十分であつた。しかも、ポリエステル
などの合成繊維は親水性が不十分であるため、着心地と
いう点からも木綿に劣るのが実情であつた。
本発明は、合成繊維に対して、水酸基(OH基)を有す
るポリマーとの複合化により親水性を付与し、ソフトで
嵩高感に優れ、より天然繊維に似た合成繊維を得、しか
も染色後の発色性が優れ、かつ鮮やかさにも優れ、更に
集光性が発現可能な合成繊維を得んとするもので、その
ためのポリマー設計並びに繊維化工程性のトラブルがな
い製造条件及び後加工条件を究明したものである。
上記目的を達することのできるポリマーとしてエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体のケン化物を用い繊維化した後
陰イオン性基を化学結合させカチオン染料可染性を付与
させることにより上記目的を達成することが可能となつ
たが、目的を達成するために、いかなる物を用い、いか
なる構成条件としたらよいかという点を究明したもので
ある。
(課題を解決するための手段) すなわち本発明は、基本骨格がエチレン−ビニルアル
コール系共重合体であり、その側鎖に、水中で陰イオン
に電解可能な基を有する原子団が結合しており、かつ基
本骨格中に占めるエチレン単位の量が30〜70モル%で、
さらに該水中で陰イオンに電解可能な基の量が基本骨格
を構成するエチレン単位とビニルアルコール系単位の合
計モル数に対して0.1〜30モル%である変性エチレン−
ビニルアルコール系共重合体と、熱可塑性ポリエステル
とからなり、表面の10%以上が該変性エチレン−ビニル
アルコール系共重合体である複合繊維である。
まず上記エチレン−ビニルアルコール系共重合体、す
なわちエチレン−酢酸ビニル系共重合体のケン可物(以
下Aポリマーと称することがある)について詳細に説明
するとケン化度は95%以上の高ケン化度で、エチレン含
有量は30〜70モル%のもの、即ち、ビニルアルコール成
分が30〜70モル%のものが最適である。Aポリマー中の
ビニルアルコール成分含量が低くなれば、当然、に水酸
基(OH)の減少のために親水性などの特性が低下し、後
で詳細に述べるが、目的とする良好な親水性を有する天
然繊維ライクの風合が得られなくなり好ましくない。し
かしながらビニルアルコール成分含量が多くなりすぎる
と、溶融成型性が低下するとともに、繊維化する際に曳
糸性が不良となり、紡糸又は延伸時単糸切れ、断糸が多
くなり好ましくない。また、後で詳しく述べるが、Aポ
リマーと他の溶融成形可能なポリエステル(以下、Bポ
リマーと称することもある)と複合紡糸する際、特に、
ポリエチレンテレフタレートなどの高融点ポリマーを用
いると紡糸温度が250℃以上となり、ビニルアルコール
成分が多くなりすぎると250℃以上での耐熱性も不十分
となることからも適当でない。従つて高ケン化度でビニ
ルアルコール成分含量が30〜70モル%のものが本目的の
繊維を得るためには適しているといえる。
Aポリマーを長時間連続して安定に紡糸するために
は、Aポリマーの耐熱性が十分であることが必要があ
る。特にポリエステルとの複合繊維を長時間安定に連続
して紡糸してつくるためには、Aポリマーの溶融成形時
の耐熱性を更に向上させる手段として、ビニルアルコー
ル成分含量を適切な範囲に設定することと、更にAポリ
マー中の金属イオン含有量を所定含有量以下にすること
も効果があることがわかつた。Aポリマーの熱分解機構
としては大きく分けてポリマー主鎖間での橋かけ反応が
起こりケン化物が発生して行く場合と、主鎖切断、側鎖
脱離などの分解が進んで行く機構が混在して発生してく
ると考えられている。詳細については省略するが、Aポ
リマー中の金属イオンを除去することにより、溶融紡糸
時の熱安定性が飛躍的に向上することを見い出した。特
にNa+,K+イオンなどの第I族のアルカリ金属イオンと、
Ca2+,Mg2+イオンなどの第II族のアルカリ土類金属イオ
ンをそれぞれ100ppm以下とすることにより、顕著な効果
があることがわかつた。特に、長時間連続して高温条件
で溶融紡糸をしている際、A成分ポリマー中にゲル化物
が発生してくると、紡糸フイルター上に徐々に詰つて推
積し、その結果紡糸パツク圧力が急上昇してノズル寿命
が短かくなつてしまうと共に紡糸時の単糸切れ、断糸が
頻発してくることになる。ゲル化物の推積が更に進行す
るとポリマー配管が詰まりトラブル発生の原因となり好
ましくない。Aポリマー中の第I族アルカリ金属、第II
族アルカリ土類金属を除去することにより高温での溶融
紡糸、特に250℃以上での溶融紡糸時に長時間連続運転
しても大量のゲル化発生によるトラブルが起こりにくい
ことがわかつた。より好ましくは、それぞれ50ppm以
下、特に好ましくはそれぞれ10ppm以下である。
Aポリマーの製造方法としては、一例として説明する
と、メタノールなどの重合溶媒中でエチレンと酢酸ビニ
ルとをラジカル重合触媒下でラジカル重合させ、ついで
未反応モノマーを追出し、ついで苛性ソーダによりケン
化反応を起こさせエチレン−ビニルアルコールコポリマ
ーとした後、水中でペレツト化し、そして水洗して乾燥
する。工程上どうしてもアルカリ金属やアルカリ土類金
属がポリマー中に介在されやすいわけであるが通常は数
百ppm以上のアルカリ金属、アルカリ土類金属が混入し
てくる。アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオ
ン含有量をできるだけ除去する方法としては、ポリマー
製造工程中ケン化処理後ペレツト化した後、湿潤状態の
ペレツトを酢酸を含む純水溶液で大量にペレツトを洗浄
した後、更に大過剰の純水のみで大量にペレツトを洗浄
することによつて得られる。
またAポリマーは、エチレンと酢酸ビニルの共重合体
を苛性ソーダーによりケン化して製造されるか、この時
のケン化度を95%以上にすることが好ましい。ケン化度
が低くなると、ポリマーの結晶性が低下し強度等の繊維
物性が低下してくるのみならず、Aポリマーが軟化しや
すくなり加工工程でトラブルが発生してくるとともに得
られた繊維構造物の風合も悪くなり好ましくない。
ポリエステルとしては、耐熱性、寸法安定性の綿から
融点150℃以上のポリエステルを用いるのが好適であ
る。融点150℃以上のポリエステルとしては、ポリエチ
レンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレート
を主成分とするポリエステルが挙げられ、例えば、テレ
フタレール酸、イソフタール酸、ナフタリン−2,6−ジ
カルボン酸、フタール酸、α,β−(4−カルボキシフ
エノキシ)エタン、4,4−ジカルボキシジフエニール、
5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカル
ボン酸もしくはアジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジ
カルボン酸又はこれらのエステル類と、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シ
クロヘキサン−1,4−ジメタノール、ポリエチレングリ
コール、ポリテトラメチレングリコールなどのジオール
化合物とから合成される繊維形成性ポリエステルであ
り、構成単位の80モル%以上が、特には90モル%以上が
エチレンテレフタレート単位又はブチレンテレフタレー
ト単位であるポリエステルが好ましい。またポリエステ
ル中には、少量の添加剤、螢光増白剤、安定剤あるいは
紫外線吸収剤などを含んでいても良い。
また、AポリマーとBポリマーの複合比率は、Aポリ
マーの比率で10〜90重量%が好ましい。この範囲外にな
ると複合比率がアンバランスとなり紡糸性不良となり好
ましくない。
次に、複合形状の例を示す。具体的な複合形態のモデ
ル図を一例として第1図〜第17図に示す。第1図、第2
図は芯鞘型断面である。第3図、第4図は貼り合せ型複
合断面である。第5〜第7図は多層型複合断面で、Aポ
リマーとBポリマーの選択条件により、分割して極細化
させることも可能である。第8図〜第11図は繊維断面の
中心方向へ分割するタイプでありAポリマー成分のみが
分割あるいはBポリマー成分のみが分割するタイプであ
る。第12図は中空断面繊維の例であり、円環状にAポリ
マー成分、Bポリマー成分がそれぞれに分割していくタ
イプである。第13図は繊維断面中心方向へ、Aポリマー
成分、Bポリマー成分がそれぞれに分割していくタイプ
の例である。第14図および第15図は、異形断面繊維の複
合形状の例である。第16図は、AポリマーとBポリマー
の不均一混合複合形状の例である。これは紡糸ノズルよ
り吐出する直前にAポリマーとBポリマーを4〜8エレ
メントスタチツクミキサーで適当に層状分割した後、ノ
ズル孔より吐出させることにより得られる。第17図は芯
成分がBポリマー、鞘成分がAポリマーとBポリマーの
ポリマーブレンド成分である芯鞘複合形状の例である。
このような複合繊維の場合、Aポリマーの有する親水性
および風合改良性を発揮させるためには複合繊維の表面
の10%以上がAポリマーで覆われていることが必要であ
る。
本発明でもう一つ重要なことは、Aポリマー分子へ水
中で陰イオンに電離可能な基(以下陰イオン性基と記
す)を有する原子団を結合させることである。イオン性
基としては、硫酸エステル、スルホン酸基、スルフイン
酸基、ホスホン酸基、ホスフイン酸基、およびそれらの
塩、フエノール性水酸基およびそれ等の塩、サルフエー
ト、フオスフエートなどのエステル、およびその塩など
があるが、本発明で述べているような効果をもたらすた
めには、特に硫酸エステル、スルホン酸、またはそれ等
の塩であることが望ましい。Aポリマー分子へ上記陰イ
オン性基を結合させたものへカチオン染料で染色処理を
すると、Aポリマーの染色性とBポリマーの染色性が相
俟って従来の合成繊維では得られなかつたような色の深
みと鮮やかさ及び集光性等が発現した発色性を有する繊
維が得られることを見い出した。
上記で述べているようなすばらしい発色性が発現する
理由は、明確に断言することは現時点では言えないが、
一つは本来の染料の分子吸光係数(ε)(繊維と工
業、'69,2,No.6)は、分散染料のアゾ系が約2.8×104
分散染料のアントラキノン系が約1.3×104に対して、カ
チオン染料は約4.7×104と大きく、カチオン染料の方が
光の吸収が大きく反射が少ないため、分散染料より色の
深みが発現しやすいことである。このことについてはポ
リエステルへ5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩を共
重合したポリエステル系繊維をカチオン染料で染色した
ものは、従来のポリエステル繊維を分散染料で染色した
ものより色の深みが大きいことで知られているが、この
ような繊維の場合には色の鮮やかさの点では満足すべき
レベルまでは至つていない。本発明の繊維が従来のカチ
オン可染ポリエステル繊維などより更に発色性が向上す
る理由は、ポリマーの屈折率との関係があるためと思わ
れる。ポリエステル繊維の屈折率は1.73、絹は1.59に対
して、Aポリマーによる繊維は、エチレン含量により若
干変動するが約1.5前後であり、他のものより屈折率が
低い。屈折率が低いことは、繊維製品の後加工剤などで
良く知られているように、繊維表面へ低屈折率のものを
塗布した場合に、一般に言われている水に濡らした時の
ような濡れ羽色が発現し、染色物の鮮やかさが一段と向
上する効果をもたらす。Aポリマーは屈折率が低いため
に、カチオン染料による分子吸光係数が大きいことと相
まつて更に相乗効果的なものが発現し、すばらしい色の
深みと鮮やかさを有した発色性が発現してくると考え
る。また更にカチオン可染として賦与された屈折率の低
い透明性を有するAポリマーに於いては螢光色を呈する
カチオン染料で着色された場合にはまわりからの直射
光、分散光を吸収し該ポリマー中で有効に螢光として放
射され、強い光の輝きを持つ螢光色を呈する事となり、
驚くべきことに繊維の断面方向から観た場合に集光性を
帯びた鮮やかな色調となることも見い出されたものであ
る。これらのことは、本発明者らが鋭意検討している中
で初めて見出されたものであり、従来知られていなかっ
た事である。このような変性エチレン−ビニルアルコー
ル系共重合体のカチオン染料に対する染色挙動と、熱可
塑性ポリエステルの染色挙動との相乗効果により、本発
明の複合繊維は発色性が優れ、色の鮮やかさ、集光性が
発現されるのである。Aポリマーへの陰イオン性基を付
与する方法としては、陰イオン性基を含むビニルモノマ
ーあるいはオリゴマーを用いて繊維を形成する重合体中
に導入する事ができる。あるいは重合後、繊維化後さら
には縫帛化後に導入しても良い。好ましくは繊維化後あ
るいは布帛化後である。また、陰イオン性基の導入には
光反応や放射線を利用しても良いし、アセタール化、エ
ステル化、スルホン化、酸化、グラフト等公知の反応を
用いても良い。具体的な一例として具体例を示すと、A
ポリマーによる繊維からなる布帛を形成後、例えばO−
ベンズアルデヒドスルホン酸ナトリウム塩を用い、アセ
タール化反応処理をする。アセタール化反応触媒として
硫酸等の強酸を用い実施すると良い。アセタール化反応
を利用して陰イオン性基を導入する場合の化合物として
は硫酸エステル基、スルホン酸またはそれ等の塩である
基を有するモノアルデヒドあるいはジアルデヒド化合物
が好ましい。
重合体中における陰イオン性基の含有量は0.1モル%
〜30モル%、好ましくは1〜10モル%である。ここでい
う陰イオン性基の含有量は繊維を形成するAポリマーの
基本骨格単位モノマー(すなわちエチレン単位およびビ
ニルアルコール単位)数に対する陰イオン性基のモル数
の比率である。陰イオン性基の含有量が0.1モル%未満
ではカチオン染料の染着座席が不十分なため、十分な濃
色の発色性が得られず好ましくない。一方、30モル%を
越えると繊維の水中での膨潤が大きくなりすぎ寸法安定
性が悪くなると共に、単繊維間の膠着が発生し布帛が硬
くなり風合が悪化してくるため好ましくない。
また、Aポリマーは融点が150〜180℃付近のポリマー
であり、なおかつ熱水中では実際的に融点降下の現象が
発生し、150℃以下でも軟化しやすくなる。従つて、加
工条件次第では軟化現象を発生させ、単繊維間での膠着
現象を導びき出すことになる。膠着現象による風合の硬
さをある程度調節したい場合には、Aポリマーへ分子架
橋処理をして耐熱性、耐熱水性を向上させることが可能
である。架橋反応には、公知の一般的方法を用いる事が
できるが、例えば、ジビニル化合物、ホルムアルデヒ
ド、ジアルデヒド、ジイソシアナート等の有機系架橋剤
や、硼素化合物等の無機架橋剤による架橋や、γ線、電
子線などの放射線や光による架橋反応が挙げられる。架
橋構造は予め架橋構造を有する重合体との共重合によつ
て導入する事ができる。また重合時、繊維化後に架橋反
応を行なう事もできる。好適な例としては、Aポリマー
による繊維からなる布帛を形成後、アセタール化反応を
実施するのが好都合である。
本発明繊維をアセタール化処理する場合の具体的条件
の一例を示すと、アセタール化反応触媒として硫酸、ギ
酸、塩酸等の強酸を用い、強酸の使用濃度としては0.05
規定以上、5規定以下に設定する。ついでOHC−CnH2n−
CHO(n=0〜10)で表わされるジアルデド化合物で代
表されるアルデヒドを0.2g/以上500g/以下の濃度溶
液として、反応温度15℃以上、135℃以下で繊維を処理
するとよい。用いるアルデヒドとしてジアルデヒドを使
用する場合、ジアルデヒドによるアセタール化は架橋型
の反応の他に非架橋型のフリーのアルデヒドが残存する
場合があり、このアルデヒドが染色物の退色を加熱時に
発生したりする場合がある。これを防止するためには、
フリーのアルデヒドを酸化剤により酸化処理しカルボン
酸またはカルボン酸塩とすることが良い。もちろん前述
したように、このアセタール化に用いるアルデヒドとし
て、水中で陰イオンに電解可能な基を有するアルデヒド
化合物、たとえばベンズアルデヒドスルホン酸ナトリウ
ム等を用いるのが最も好ましい。
更に、高温高圧染色を実施する場合、高温熱水下の条
件において、Aポリマー成分部分に基く好ましくない布
帛の収縮が発生する場合は、染色時に染色液中に強酸強
塩基の塩あるいは硼酸のそれぞれ単独もしくは両者混合
物を存在させると染色時の好ましくない収縮を防ぐこと
ができる。
なお本発明において、基本骨格がエチレン−ビニルア
ルコール系共重合体であると称している理由は、前述し
たように該共重合体はエチレン−酢酸ビニル共重合体を
ケン化することにより得られるのであるが、ケン化度に
よつては少量の酢酸ビニル単位が共重合体に残つている
ことがあること、また他の共重合体が存在していてもよ
いこと、また側鎖に水中で陰イオンに電解可能な基を有
する原子団が結合していることより、そのため該ビニル
アルコールの水酸基の水素原子が該原子団により置換さ
れている場合や、水中で陰イオンに電解可能な基を有す
る原子団を側鎖とするモノマーがエチレン−ビニルアル
コール共重合体に共重合されている場合等があることを
全て考慮した結果であり、これらを全て含む目的で上記
表現を用いている。
本発明で得られた繊維の主な用途としては、短繊維で
は衣料用ステープル、乾式不織布及び湿式不織布等があ
る。もちろん本発明繊維を100%用いても良いし、本発
明繊維を一部用いて他の繊維へ混綿し、不織布等を作製
しても本発明繊維の効果が得られる。しかしながらある
程度の比率以上本発明繊維を混合させなければ本発明で
述べている効果が十分に得られないことは言うまでもな
いことがある。また、本発明繊維は長繊維でも良好な発
色性と良好な風合のものが得られ、織物又は編物にして
外衣等には最適である。
またさらに本発明で得られる繊維は、仮撚捲縮加工等
の高次加工により、5角、6角に類似した形状になつた
り、紡糸時の異形断面ノズルにより3葉形、T形、4葉
形、6葉形、8葉形等多葉形や各種の断面形状となつて
も要は、今迄説明してきた要件を満たした繊維であれ
ば、本発明の良好な風合と良好な発色性を保持した繊維
構造物を得ることができる。
以下に実施例によつて本発明を詳述するが、これによ
つて本発明はなんら限定されるものではない。
参考例1〜5 重合溶媒としてメタノールを用い、60℃下でエチレン
と酢酸ビニルをラジカル重合させ、エチレン含量が44モ
ル%のランダム重合体を作製し、ついて苛性ソーダによ
りケン化処理を行ないケン化度99%以上のエチレン酢酸
ビニル共重合体ケン化物とした後、湿潤状態のポリマー
を大過剰の酢酸が少量添加されている純水で洗浄を繰り
返えした後、更に大過剰の純水で洗浄を繰り返し、ポリ
マー中のK,Naのアルカリ金属イオン及びMg,Caのアルカ
リ土類金属イオン含有量をそれぞれ約10ppm以下とし、
その後、脱水機によりポリマーから水を分離した後、更
に100℃以下で真空乾燥を十分に実施した固有粘度
〔η〕=1.05dl/g(85%含水フエノールを溶剤とし30℃
下で測定)ものをAポリマーとした。
Aポリマーを押出機により押出し、口金温度が260℃
の条件でノズルより吐出し紡糸速度1000mm/分で捲取つ
た。その後常法により延伸し75デニールの24フイラメン
トのマルチフイラメントを得た。繊維化工程性は良好で
問題なかつた。得られた75デニールの24フイラメントの
マルチフイラメントを経糸及び緯糸として使い1/1の平
織物を得た。この生機平織物の水酸化ナトリウム1g/
とアクチノールR−100 0.5g/とを含む混合液で80℃3
0分間糊抜した後にO−ベンズアルデヒドスルホン酸20g
/を含有する20規定の硫酸溶液中で浴比50:1で第1表
に示される処理時間を変化して次いで炭酸ナトリウム5g
/の溶液中で80℃30分間処理してスルホン酸をナトリ
ウム塩に置換してO−ベンズアルデヒドスルホン酸ナト
リウムの結合量(アセタール化度)を変化させた織物を
得た。これらの織物について以下の条件でカチオン染料
による染色を行なつた。
<染色条件> 得られた平織物の日立307型カラーアナライザー(自
記分光光度計)を用いての分光反射率より求めたKubel
Ka−MunKの式よりのK/S値、及び彩度ハンドリングによ
る風合評価を行つた。
参考例1〜3は水中で陰イオンに電離可能な基を前述
した本発明で規定する範囲内で含む重合体としたもので
ある。参考例4は該陰イオンに電離可能な基を含まない
例、参考例5は該陰イオンに電離可能な基の含有量の条
件が外れた例である。
これ等の条件並びに結果を第1表に示す。本参考例1
〜3に於いては前記の規定する該陰イオンに電離可能な
基の含有量を満足する範囲でカチオン可染性を有するも
のとなり、K/S値、彩度が大きく鮮やかな色調となり風
合は良好で加工工程での問題点もないものとなつた。
参考例6〜9 A側ポリマーとしてケン化度が99%で第2表に示すエ
チレン含量を変化させたエチレン酢酸ビニル共重合体ケ
ン化物のチツプを用い、それぞれのAポリマーを押出機
により押出し、口金温度が260℃の条件でノズルより吐
出し紡糸速度1000m/分で75dr/24fを目標にしてマルチフ
イラメントの製糸を試みた。マルチフイラメントとして
製糸し得た該フイラメントについては経糸及び緯糸とし
て使いタフタを製織した。この生機タフタを参考例1の
場合と同じ条件にて糊抜及びO−ベンズアルデヒドスル
ホン酸ナトリウムによるアセタール化及び参考例1の場
合と同じ評価を行つた。
参考例6〜7はA側ポリマーのエチレン共重合量が前
述した本発明で規定する範囲内でなし得たカチオン染料
可染化の例である。
参考例8〜9はエチレン含有量が外れた例、これらの
結果を第2表に示す。
参考例においてはO−ベンズアルデヒドスルホン酸ナ
トリウムによるアセタール化後のカチオン染料に対する
染着性及び染色濃度(K/S値)、風合等が満足すべき繊
維となつた。
実施例1〜5および比較例1〜4 複合繊維の実施例を示す。実施例1〜5はAポリマー
として参考例1で用いたものと同様のものを用い、Aポ
リマーとBポリマーの複合比率が前述した本発明で規定
する範囲内で実施した例であり、実施例4〜5はAポリ
マーとして用いているエチレン−酢酸ビニル共重合体ケ
ン化ポリマーのエチレン共重合が前述した本発明で規定
する範囲内で実施したカチオン染料可染化複合繊維の例
である。Bポリマーとしては〔η〕が0.62dl/(溶媒
としてフエノールとテトラクロルエタンの等量混合溶媒
を用い30℃恒温槽中でウーベローデ型粘度計を用いて測
定した)のポリエチレンテレフタレートを用いて実施し
た。
AポリマーとBポリマーを別々の押出機により溶融押
出し、それぞれ別々にギアポンプにて計量し、断面形状
は第1図に示す真円状で第3表に示す複合比率の条件で
実施し、延伸後のデニールをそれぞれ75dr/25fとなるよ
う紡糸延伸を実施した。その後該延伸糸を経糸及び緯糸
として使い平織物とした。その後参考例2と同様の方法
によりO−ベンズアルデヒドスルホン酸ナトリウムを用
いてのアセタール化及びカチオン染料による染色を実施
した。いずれの実施例とも鮮明性染色濃度(K/S)がす
ばらしく、かつ良好な風合の織物が得られた。
【図面の簡単な説明】
第1〜17図は本発明の複合繊維の代表的な断面図であ
り、図中AがAポリマー側、BがBポリマー側を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−275467(JP,A) 特公 昭56−16204(JP,B2) 特公 昭37−12725(JP,B1) 特公 昭43−6134(JP,B1)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基本骨格がエチレン−ビニルアルコール系
    共重合体であり、その側鎖に、水中で陰イオンに電解可
    能な基を有する原子団が結合しており、かつ基本骨格中
    に占めるエチレン単位の量が30〜70モル%で、さらに該
    水中で陰イオンに電解可能な基の量が基本骨格を構成す
    るエチレン単位とビニルアルコール系単位の合計モル数
    に対して0.1〜30モル%である変性エチレン−ビニルア
    ルコール系共重合体と、熱可塑性ポリエステルとからな
    り、表面の10%以上が該変性エチレン−ビニルアルコー
    ル系共重合体である複合繊維。
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JPS61275467A (ja) * 1985-05-24 1986-12-05 財団法人 覚誉会 カチオン染料易染性ポリビニルアルコ−ル系合成繊維の製造方法

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