JP2566855Y2 - ロープレスエレベータの制動装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、リニアモータ等によっ
て駆動され、主ロープや釣り合い重りを用いることなく
かごを昇降させるロープレスエレベータに設けられるか
ごの制動装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図３は、例えば特開平４−２０１９６４
号に記載された従来のロープレスエレベータを示す図で
ある。図において、昇降路の側壁１には、多数の一次コ
イル２が上下方向に配置されるとともに、一対のガイド
レール３が設けられている。昇降路内を昇降するかご４
には、一次コイル２に対向するように複数の二次導体５
が配置されており、この一次コイル２と二次導体５でリ
ニアモータが構成されている。

【０００３】かご４の上下左右には、ガイドレール３に
沿って転動するローラガイド７が設置され、また下部に
は、かご４の停止時に作動してかご４の停止状態を保持
する制動装置８が設けられている。この制動装置８は図
４に示すように、ガイドレール３を両側面から掴持する
制動シュー９が、各レバー１０の一端部に固着され、各
レバー１０はピン１１を軸に回動自在に取り付けられて
いる。

【０００４】各レバー１０の他端部間には圧縮ばね１２
が設けられており、このばね１２の押圧力によって、各
制動シュー９はガイドレール３に押し付けられるように
なっている。１３は各レバー１０の他端に連結されたロ
ッド、１４は電磁石であり、この電磁石１４が励磁され
ると、ロッド１３が吸引され、両レバー１０がばね１２
を圧縮して回動し、各制動シュー９はガイドレール３か
ら離れるようになっている。

【０００５】次に、この制動装置８の動作について説明
する。かご４の起動指令が発せられると、制動装置８は
非作動状態になる。即ち、電磁石１４が励磁し、ロッド
１３が吸引されて、制動シュー９がガイドレール３から
離れる。そして、かご４が上昇又は下降運転を行い目的
の階床に停止すると、制動装置８は作動状態になる。即
ち、電磁石１４が非励磁になり、各制動シュー９はガイ
ドレール３を掴み、かご４の停止状態を保持する。この
ように、制動装置８は、かご４が目的階に停止する度に
かご４の停止状態を保持するように動作する。

【０００６】しかしながら、上記制動装置８の場合、か
ご４が上昇中に停電や異常発生によって制動装置８が作
動すると、かご４が急停止してかご４内の乗客が浮き上
がり、最悪の場合、乗客がかご４の天井に衝突してしま
う虞れがあった。

【０００７】このため従来は、かご４の走行方向を検出
し、かご４の上昇中に制動指令が発せられた場合には、
かご４が停止するまで制動装置８を作動させないように
し、かご４の上昇中での制動装置８の作動を防止してい
た。また、停電により電磁石１４が非励磁になって制動
装置８が作動することを防止するための対策として、バ
ッテリーを使用することが考えられていた。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】しかし、上記の方法で
は、かご４の走行方向に応じて制動装置８の作動を制御
するための特別な制御装置が必要であり、またバッテリ
ーも必要であるという問題があった。本考案は上記の問
題点を解決することを目的としたものであり、特別な制
御装置やバッテリ−を使用することなく、かごの上昇中
における急停止を防止するものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本考案は、制動装置を、
ガイドレールに対向する側の上部がガイドレール方向に
傾斜した傾斜面を備えたガイド部と、上記ガイド部のガ
イドレール側に配置した容易に上下動可能に構成された
制動シューとを備え、上記ガイド部で上記制動シューを
ガイドレールに押圧する構成としたものである。

【００１０】

【作用】本考案の制動装置は、ガイド部のガイドレール
に対向する側の上部がガイドレール側に傾斜し、かつ制
動シューが容易に上下動可能であるため、ガイド部が制
動シューをガイドレールに押圧したとき、かごの下降に
対しては制動効果があるが、かごの上昇に対しては制動
効果はほとんどない。したがって、かごの下降を阻止で
きるとともに、かごの上昇中における急停止を防止する
ことができる。

【００１１】

【実施例】本考案の一実施例を図により説明する。図１
は本実施例の制動装置を示す図であり、図４に相当する
図、図２は図１のＡ−Ａ断面図である。図において、図
４と同一符号は同一のものを示しており、レバー１０の
ガイドレール３側は上部がガイドレール３側へ接近する
ように傾斜したガイド部２０を構成している。

【００１２】２１はガイド部２０に固定されたガイドプ
レート、２２は三角形状の制動シューであり、ローラ２
３を介してガイド部２０の傾斜面に対向し、ガイドプレ
ート２１に係合した溝２４に案内されて上下動可能にな
っている。２５は制動シュー２２の上端に固定され、ガ
イド部２０を貫通した支持棒であり、弱い圧縮ばね２６
によって容易に上下動できるように制動シュー２２を支
持している。尚、本制動装置が非作動状態、即ち、ガイ
ド部２０がガイドレール３から離れている状態では、か
ご４の運転中の振動等によっては、制動シュー２２はガ
イドレール３に接触しないように設定されている。

【００１３】本実施例の動作について説明する。かご４
の起動指令が発せられると、電磁石１４がロッド１３を
吸引し、ばね１２を圧縮して、ガイド部２０がガイドレ
ール３から離れる方向に動き、これにより、制動シュー
２２はガイドレール３から離れる。そして、かご４が上
昇又は下降運転を行い目的の階床に停止すると、電磁石
１４は非励磁になり、はね１２により、ガイド部２０は
ガイドレール３を掴む方向に動く。このため、ガイド部
２０に押されて制動シュー２２はガイドレール３を掴
み、かご４の停止状態を保持する。

【００１４】次に、かご４の昇降中に、停電等の原因に
より、制動装置が作動した場合について説明する。ま
ず、かご４が下降中に制動装置が作動すると、ガイド部
２０がガイドレール３を掴む方向へ動く。これにより、
制動シュー２２はガイドレール３に押し付けられる。更
にかご４が下降すれば、かご４に取り付けられているガ
イド部２０も下降するため、制動シュー２２はガイド部
２０の傾斜部とガイドレール３との間に食い込み、かご
４の下降を阻止する。

【００１５】逆に、かご４が上昇中に制動装置が作動す
ると、上記と同様に、ガイド部２０がガイドレール３を
掴む方向へ動き、制動シュー２２はガイドレール３に押
し付けられる。しかしながら、かご４が上昇すると、ガ
イド部２０も上昇する。このため、容易に上下動できる
ように構成されている制動シュー２２は相対的に下降す
ることになって、ガイド部２０によるガイドレール３へ
の制動シュー２２の押し付け力はなくなるため、かご４
は急停止することはない。

【００１６】この場合、停電等によって駆動力がなくな
ったかご４は、重力による自然減速により、やがて上昇
速度が零になる。その後、かご４が下降方向に移動しよ
うとしたとき、制動シュー２２がガイド部２０とガイド
レール３との間に食い込み、かご４の下降は阻止され
る。

【００１７】上記のように、本実施例によれば、特別な
制御装置やバッテリ−を使用することなく、かごの上昇
中における急停止を防止することができる。また、上記
実施例においては、電磁石１４を使用しているが、これ
に限ることはなく、油圧式等他の方法のものを使用して
も良い。

【００１８】

【考案の効果】以上説明したように、本考案によれば、
特別な制御装置やバッテリ−を使用することなく、かご
の上昇中における急停止を防止することができるため、
かご内乗客が浮き上がり、かご天井に衝突する事態を回
避することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の制動装置を示す図である。

【図２】図１のＡ−Ａ断面図である。

【図３】従来のロープレスエレベータを示す図である。

【図４】従来の制動装置を示す図である。

【符号の説明】

１ 昇降路の側壁 ２ リニアモータの一次コイル ３ ガイドレール ４ かご ５ リニアモータの二次導体 ８ 制動装置 ９，２２ 制動シュー １０ レバー ２０ ガイド部

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 リニアモータ等によって駆動され、主ロ
   ープや釣り合い重りを用いることなく、ガイドレールに
   沿ってかごを昇降させるロープレスエレベータにおい
   て、 ガイドレールを掴むことによってかごの停止状態を保持
   する制動装置を上記かごに設置し、上記 制動装置は、ガイドレールに対向する側の上部がガ
   イドレール方向に傾斜した傾斜面を備えたガイド部と、
   上記ガイド部のガイドレール側に配置され容易に上下動
   可能に構成された制動シューとを備え、上記 ガイド部が
   上記制動シューをガイドレール方向に押圧することによ
   って 上記制動シューが上記ガイド部とガイドレールとの
   間に挟持される構成であることを特徴とするロ−プレス
   エレベータの制動装置。