JPWO2002053485A1 - エレベータの非常ブレーキ装置 - Google Patents

Abstract

エレベータの非常ブレーキ装置においては、予め設定された速度以上でかご（７）が上昇したとき、ガイド体（１１）と綱車（４ａ）との間にコロ（１２）が食い込むことにより、綱車（４ａ）の回転が制動される。コロ（１２）は、制動位置と解除位置との間でガイド体（１１）に沿って往復動される。また、コロ（１２）は、付勢手段（１５）により制動位置へ向けて付勢されている。通常は、保持手段（１４）により、付勢手段（１５）に逆らってコロ（１２）が解除位置に保持されている。

Description

技術分野
この発明は、かごが異常速度で上昇したときにかごの上昇を停止させるエレベータの非常ブレーキ装置に関するものである。
背景技術
エレベータにおいて、例えばかごよりも釣合重りの重量が大きい状態で巻上機のブレーキ装置に故障が発生した場合、かごは、釣合重りとの重量差に応じた加速度で上昇され、定格速度を超えた異常速度に達する可能性がある。
従来、かごが異常速度で上昇した場合の対策として、釣合重り側に調速機及び非常止め装置を設置したり、主索を直接掴むロープブレーキを設置したりする方法が知られている。しかし、これらの方法では、装置を設置するための十分なスペースを確保する必要があり、またガイドレールや主索を損傷する恐れがあり、さらに装置の構造が複雑でコストが高くなってしまうなどの問題点があった。
また、例えば特開平５−１９３８６０号公報には、綱車とその周辺部材との間に楔状の制動部材を押し込むことにより、綱車と制動部材との間に主索を把持するブレーキ装置が示されている。しかし、この構造では、動作を開始してから制動力を発生するまでにタイムラグがあるため、その分だけかごの上昇速度が増してしまう。
発明の開示
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、かごが異常速度で上昇した場合に、簡単かつコンパクトな構造で即座に制動力を発生することができ、かごを安全に停止させることができるエレベータの非常ブレーキ装置を得ることを目的とする。
この発明によるエレベータの非常ブレーキ装置は、昇降路の上部に設けられている回転可能な綱車、綱車に巻き掛けられている主索、及び主索に吊り下げられているかご及び釣合重りを備えているエレベータに設けられ、予め設定された速度以上でかごが上昇したときにかごを停止させるものであって、綱車の外周面に対向するガイド体、ガイド体と綱車との間に食い込む制動位置と綱車から開離した解除位置との間でガイド体に沿って往復動可能なコロ、コロを制動位置へ向けて付勢する付勢手段、及び付勢手段に逆らってコロを解除位置に保持するとともに、予め設定された速度以上でかごが上昇したときにコロの保持を解除する保持手段を備えたものである。
また、この発明によるエレベータの非常ブレーキ装置は、昇降路の上部に設けられている回転可能な綱車、綱車に巻き掛けられている主索、及び主索に吊り下げられているかご及び釣合重りを備えているエレベータに設けられ、予め設定された速度以上でかごが上昇したときにかごを停止させるものであって、綱車と同軸に配置されているとともに、綱車に摩擦接触しており、綱車とともに回転されるディスク、ディスクの外周面に対向するガイド体、ガイド体とディスクとの間に食い込む制動位置とディスクから開離した解除位置との間でガイド体に沿って往復動可能なコロ、コロを制動位置へ向けて付勢する付勢手段、及び付勢手段に逆らってコロを解除位置に保持するとともに、予め設定された速度以上でかごが上昇したときにコロの保持を解除する保持手段を備えたものである。
発明を実施するための最良の形態
以下、この発明の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態１．
図１はこの発明の実施の形態１による非常ブレーキ装置を有するエレベータを示す構成図、図２は図１の要部を拡大して示す構成図、図３は図２のＩＩＩ−ＩＩＩ線に沿う断面図、図４は図３のＩＶ−ＩＶ線に沿う断面図である。
図において、昇降路１の上部には、機械室２が設けられている。機械室２には、機械台３が設置されている。機械台３には、巻上機４及びそらせ車５が搭載されている。巻上機４の駆動綱車４ａとそらせ車５とには、主索６が巻き掛けられている。主索６の一端部には、かご７が吊り下げられている。主索６の他端部には、釣合重り８が吊り下げられている。
機械台３上には、予め設定された速度以上でかご７が上昇したときに駆動綱車４ａを制動してかご７を停止させる非常ブレーキ装置９が設置されている。非常ブレーキ装置９は、駆動綱車４ａの外周面に対向するガイド体１１、ガイド体１１に沿って往復動可能なコロ１２、コロ１２に接続されているプランジャ１３、プランジャ１３を囲繞する保持手段としてのソレノイドコイル１４、及びプランジャ１３とソレノイドコイル１４との間に配置されている付勢手段としてのばね１５を有している。
コロ１２は、ガイド体１１と駆動綱車４ａとの間に食い込む制動位置（図４の２点鎖線）と駆動綱車４ａから開離した解除位置（図４の実線）との間で往復動される。ばね１５は、コロ１２を制動位置へ向けて付勢する。
ソレノイドコイル１４は、励磁されることにより、ばね１５に逆らってコロ１２を解除位置に保持するようにプランジャ１３を吸引する。また、予め設定された速度以上でかご７が上昇したとき、ソレノイドコイル１４への通電が遮断され、プランジャ１３に対する吸引が解除される。
図５は図２のコロを示す正面図、図６は図５のコロを示す側面図である。コロ１２の外周面には、粗面化加工が施され、摩擦係数が高められている。これにより、駆動綱車４ａに対する十分な制動力が確保されている。
次に、動作について説明する。かご７の走行速度は、例えば巻上機４に設けられたエンコーダ（図示せず）等により常時検出されている。かご７の走行速度が正常であれば、ソレノイドコイル１４の電磁力によりコロ１２は解除位置に保持されている。
しかし、何等かの原因により、かご７の上昇速度が定格速度を超え、予め設定された速度に達すると、ソレノイドコイル１４への通電が遮断され、ばね１５の押圧力によりコロ１２は制動位置へ移動される。このとき、かご７は上昇しており、駆動綱車４ａは図４の時計方向へ回転しているため、コロ１２はガイド体１１と駆動綱車４ａとの間に食い込まれる。これにより、駆動綱車４ａの回転が即座に停止される。
このような非常ブレーキ装置９によれば、かご７が異常速度で上昇した場合に、簡単かつコンパクトな構造で即座に制動力を発生することができ、かご７を安全に停止させることができる。
ここで、上昇時の異常速度は、落下時とは異なり、かご７と釣合重り８との重量差等により緩やかに加速される。このため、設定速度を低めに設定すれば、高速に達する前にかご７を停止させることができるため、早ぎき式の非常ブレーキ装置９を使用することが可能であり、構造を簡単かつコンパクトにすることができる。
また、かご７が着床して停止しているときに非常ブレーキ装置９を動作させることもでき、これによりかご７の着床中に巻上機４のブレーキ装置（図示せず）の故障等によりかご７が上昇するのも防止することができる。
さらに、巻上機４のブレーキ装置と非常ブレーキ装置９とで二重ブレーキとなるので、かご７よりも釣合重り８の方が重量が大きい状態（通常、かご７内が無負荷のときは釣合重り８の方が重い）で、非常ブレーキ装置９を動作させ、巻上機４のブレーキ装置を分解して保守作業を行うことができ、保守作業の作業性を向上させることができる。
実施の形態２．
次に、図７はこの発明の実施の形態２による非常ブレーキ装置の断面図、図８は図７のＶＩＩＩ−ＶＩＩＩ線に沿う断面図である。図において、駆動綱車４ａの端面には、リング状のディスク１６が摩擦接触している。ディスク１６は、駆動綱車４ａと同軸に配置され、駆動綱車４ａとともに回転される。また、ディスク１６は、リング状の押さえ板１７と駆動綱車４ａとの間に挟持されている。
駆動綱車４ａの端面には、押さえ板１７を貫通する複数本のボルト１８が螺着されている。各ボルト１８の頭部と押さえ板１７との間には、押さえ板１７を介してディスク１６を駆動綱車４ａに押し付けるばね１９が配置されている。ディスク１６と駆動綱車４ａとの間の摩擦力は、ボルト１８の締め込み量により調整される。
実施の形態２における非常ブレーキ装置２０は、ガイド体１１、コロ１２、プランジャ１３、ソレノイドコイル１４、ばね１５、ディスク１６、押さえ板１７、ボルト１８及びばね１９を有している。他の構成は、実施の形態１と同様である。
このような非常ブレーキ装置２０では、動作時にコロ１２がディスク１６とガイド体１１との間に食い込まれ、ディスク１６の回転が即座に停止される。しかし、ディスク１６と駆動綱車４ａとは摩擦接触しているため、駆動綱車４ａは即座に停止されず、摩擦力に応じた制動力を受け、減速され停止に到る。
従って、即座に停止させてもよい許容速度を超えてかご７の上昇速度が高速になっている場合でも、一定の制動力でかご７を安全に停止させることができる。
なお、実施の形態１，２では、かご７が上昇しているときの方向への駆動綱車４ａの回転を停止させるようにコロ１２を配置したが、これに加えて、かご７が下降しているときの方向への駆動綱車４ａの回転を停止させるようなコロを持つブレーキ装置を追加してもよい。
これにより、かご７の着床中に巻上機４のブレーキ装置の故障等によりかご７が下降するのも防止することができる。また、かご７と釣合重り８との重量バランスに拘わらず、駆動綱車４ａの両方向への回転を規制し、巻上機４のブレーキ装置を分解して保守作業を行うことができ、保守作業の作業性を向上させることができる。
また、実施の形態１，２では綱車である駆動綱車４ａの回転を制動する装置を示したが、綱車であるそらせ車５と主索６との間の摩擦力が十分に高く、そらせ車５を制動することによりかご７の上昇を停止させることができれば、そらせ車５に対して非常ブレーキ装置を適用することも可能である。
さらに、実施の形態１，２では保持手段としてソレノイドコイル１４を示したが、例えばコロ１２の解除位置への保持・解除を機械的に行う保持機構を用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
図１はこの発明の実施の形態１による非常ブレーキ装置を有するエレベータを示す構成図、
図２は図１の要部を拡大して示す構成図、
図３は図２のＩＩＩ−ＩＩＩ線に沿う断面図、
図４は図３のＩＶ−ＩＶ線に沿う断面図、
図５は図２のコロを示す正面図、
図６は図５のコロを示す側面図、
図７はこの発明の実施の形態２による非常ブレーキ装置の断面図、
図８は図７のＶＩＩＩ−ＶＩＩＩ線に沿う断面図である。

Claims (5)

1. 昇降路の上部に設けられている回転可能な綱車、上記綱車に巻き掛けられている主索、及び上記主索に吊り下げられているかご及び釣合重りを備えているエレベータに設けられ、予め設定された速度以上で上記かごが上昇したときに上記かごを停止させるエレベータの非常ブレーキ装置であって、
   上記綱車の外周面に対向するガイド体、
   上記ガイド体と上記綱車との間に食い込む制動位置と上記綱車から開離した解除位置との間で上記ガイド体に沿って往復動可能なコロ、
   上記コロを上記制動位置へ向けて付勢する付勢手段、及び
   上記付勢手段に逆らって上記コロを上記解除位置に保持するとともに、予め設定された速度以上で上記かごが上昇したときに上記コロの保持を解除する保持手段
   を備えているエレベータの非常ブレーキ装置。
2. 昇降路の上部に設けられている回転可能な綱車、上記綱車に巻き掛けられている主索、及び上記主索に吊り下げられているかご及び釣合重りを備えているエレベータに設けられ、予め設定された速度以上で上記かごが上昇したときに上記かごを停止させるエレベータの非常ブレーキ装置であって、
   上記綱車と同軸に配置されているとともに、上記綱車に摩擦接触しており、上記綱車とともに回転されるディスク、
   上記ディスクの外周面に対向するガイド体、
   上記ガイド体と上記ディスクとの間に食い込む制動位置と上記ディスクから開離した解除位置との間で上記ガイド体に沿って往復動可能なコロ、
   上記コロを上記制動位置へ向けて付勢する付勢手段、及び
   上記付勢手段に逆らって上記コロを上記解除位置に保持するとともに、予め設定された速度以上で上記かごが上昇したときに上記コロの保持を解除する保持手段
   を備えているエレベータの非常ブレーキ装置。
3. 上記綱車に螺着されているボルトと、上記綱車と上記ボルトとの間に設けられ上記ディスクを上記綱車に押し付けるばねとをさらに備え、上記ボルトの上記綱車への締め込み量により上記ディスクと上記綱車との間の摩擦力が調整される請求項２記載のエレベータの非常ブレーキ装置。
4. 上記コロにはプランジャが接続されており、上記保持手段は、上記プランジャを吸引するソレノイドコイルであり、上記付勢手段は、上記プランジャと上記ソレノイドコイルとの間に配置されているばねである請求項１ないし請求項３のいずれかに記載のエレベータの非常ブレーキ装置。
5. 上記綱車は、上記かご及び上記釣合重りを昇降させる巻上機に設けられている駆動綱車である請求項１ないし請求項４のいずれかに記載のエレベータの非常ブレーキ装置。

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