JP2564993B2 - エンジンの点火時期制御装置 - Google Patents

エンジンの点火時期制御装置

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JP2564993B2
JP2564993B2 JP3513983A JP51398391A JP2564993B2 JP 2564993 B2 JP2564993 B2 JP 2564993B2 JP 3513983 A JP3513983 A JP 3513983A JP 51398391 A JP51398391 A JP 51398391A JP 2564993 B2 JP2564993 B2 JP 2564993B2
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ignition timing
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throttle opening
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光彦 大沼
栄 斎藤
均 加村
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Mitsubishi Motors Corp
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 この発明は、ガソリンエンジン等の火花点火式のエン
ジン(内燃機関)における点火時期制御装置に関し、特
に、エンジンの加速時に過渡ノッキングを回避するため
の手段をそなえた点火時期制御装置に関する。
背景技術 従来より、ガソリンエンジンの点火時期制御は例えば
次のようにして行なわれている。
すなわち、エンジンの吸入空気量を検出する流量セン
サおよびエンジン回転数を検出するエンジン回転数セン
サからエンジンの運転状態を検出し、これらのセンサか
らの検出結果に基づいて吸入空気量Aをエンジン回転数
Neで割って得られる値A/Neとして得られる体積効率Ev
(実体積効率Evr)とエンジン回転数Neとで決まる進角
値(点火時期情報)をもった2次元マップ(点火時期マ
ップ)から基本点火時期情報を求め、この基本点火時期
情報に適宜の補正を行ない、このようにして得られた点
火時期情報に基づき点火手段(点火プラグや点火コイル
等)を作動させることにより、エンジンの点火時期を制
御している。
ところで、一般に、エンジンの加速時には、エンジン
の吸入空気量Aのサンプリングが後れるので、このサン
プリングした吸入空気量Aに基づく実体積効率Ev(以
下、適宜Evrという)に基づいて点火時期マップから点
火時期をルックアップすると、実際の吸入空気量に基づ
く点火時期よりもパーシャル側の点火時期をルックアッ
プすることになって、進角気味となり、過渡ノッキング
が発生する。
そこで、この過渡ノッキングを回避するために、点火
時期マップから点火時期をルックアップするための体積
効率(点火時期マップルックアップ用体積効率)Ev(以
下、適宜Evmという)を遅れのない値となるように補正
して、これにより、点火時期を間接的にリタードされる
ことが考えられる。
例えば、加速状態の指標としてスロットル開度の変化
量(偏差)Δθに着目して、スロットル開度変化量(ス
ロットル開度偏差)Δθに応じて点火時期マップルック
アップ用体積効率Evmを補正することができる。
FIG.7(a)〜(c)はこのような点火時期マップル
ックアップ用体積効率Evmの補正を説明するためのタイ
ムチャートであり、FIG.7(a)は加速時のスロットル
開度変化量Δθを示し、FIG.7(b)はこれに対応した
点火時期マップルックアップ用体積効率Evmを示し、FI
G.7(c)はこれに対応した点火時期の制御状態を示し
ている。
なお、ここでは4気筒エンジンを例に説明する。
FIG.7(a)に示すように、加速が判定された時点か
らスロットル開度変化量Δθが増大していくと、このス
ロットル開度変化量Δθの大きさに応じて、体積効率Ev
rをFIG.7(b)に破線で示すように斜線分だけ増加する
ように補正する。
この補正は、以下の式(1)にしたがって行なう。
Evm=Evr+(Δθ×GTH/4)×KEVNE …(1) ただし、GTH:点火時期加速補正ゲイン KEVNE:点火時期加速補正回転数係数 なお、点火時期加速補正回転数係数KEVNEは、FIG.9に
示すように、エンジン回転数Neに対応した係数である。
ただし、スロットル開度変化量Δθがピーク値をとる
と、この後4行程間(4点火時期間)だけ、スロットル
開度変化量Δθのサンプル値としてこのピーク値をホー
ルドする。したがって、この期間は、補正した体積効率
Evmもこのピーク値のものにホールドされる。
このようにスロットル開度変化量Δθのサンプル値を
ホールドするのは、吸入空気量が全開となった直後の体
積効率のオーバシュートを補正するためのものである。
また、点火時期マップルックアップ用体積効率Evmと
点火時期との関係は、エンジン回転数Neを一定とすると
FIG.8に示すようになり、一般的な加速時には体積効率
が増加し、点火時期は遅角側の値となる。ここで、実体
積効率Evrのサンプリングの遅れを考慮して、このEvrに
対してFIG.7(b)に示されるようにΔθに応じた補正
を加えると、補正後のEvmは補正なしの場合に比べて、
斜線で示される分だけ増大される。
この結果、点火時期は、FIG.7(c)に破線で示すよ
うになり斜線分だけ遅角側へ補正されるようになり、過
渡ノッキングが回避されるのである。
ところで、上述のような基本点火時期を決定するため
の点火時期マップルックアップ用体積効率の補正を行な
うと、特殊な加速パターン(つまり、特殊なスロットル
開度変化パターンアの時にリタードが発生して、加速不
良を招く畏れがある。
例えば、FIG.10(a)〜(f)はこのような特殊な加
速パターンにおける体積効率補正状況を示すタイムチャ
ートであり、FIG.10(a)は加速時のスロットル開度θ
を示し、FIG.10(b)はこれに対応した実体積効率(実
Ev)Evrを示し、FIG.10(c)は対応したスロットル開
度変化量Δθのサンプル値を示し、FIG.10(d)は対応
した点火時期マップルックアップ用体積効率Evmを示
し、FIG.10(e)は対応した点火時期の制御状態(リタ
ード補正量)を示し、FIG.10(f)は対応したエンジン
の行程を示している。
FIG.10(a)に示すようにスロットル開度Δθが変化
すると、スロットル開度変化量ΔθはFIG.10(c)に示
されるように僅かな時間差でh1,h2と2つのピーク値を
とることになる。そして、スロットル開度θが第1回目
のピーク値をとったところで、実体積効率(実Ev)Evr
が飽和状態に達していて、この後、スロットル開度θが
変化しても実体積効率Evrはその値が変化しないものと
する。
一方、スロットル開度変化量Δθのサンプル値は、ス
ロットル開度θがP1で示すように増加してはじめのピー
ク値h1をとったところでホールドされ[FIG.10(c)参
照]、これに対応して、体積効率の補正量[FIG.10
(d)の中の斜線部参照]の値がホールドされる。そし
て、この補正量が実体積効率Evrに、例えば加算されて
点火時期マップルックアップ用体積効率Evmが決定され
る[FIG.10(d)中の符号H1部参照]。スロットル開度
変化量Δθのサンプル値の1回目のホールド後に、再び
スロットル開度θがP2で示すように増加するような変化
が起こることにより、一旦0に戻されたスロットル開度
変化量Δθのサンプル値が、再び適当な大きさの値にホ
ールドされて[FIG.10(c)の中の符号h2部参照]、体
積効率の補正量の値も再びホールドされる[FIG.10
(d)中の符号H2部参照]。
この結果、FIG.10(e)に示すように、加速時の過渡
ノッキングを回避した(符号R1参照)後に、リタード補
正(符号R2参照)が不必要に繰り返されることになり、
このリタード量分だけ、エンジンの出力が低下し、目的
とするエンジンの加速がそれだけ遅れてしまうという問
題点がある。
本発明は、このような問題点を解決しようとするもの
で、エンジンの速やかな加速をできるだけ妨げないよう
にしながら、加速時のノッキングを確実に防止できるよ
うにした、エンジンの点火時期制御装置を提供すること
を目的とする。
発明の開示 この発明の請求の範囲第1項にかかるエンジンの点火
時期制御装置は、エンジンのスロットル開度をサンプリ
ングし得られた値に基づきスロットル開度変化量を演算
するスロットル開度変化量サンプリング手段と、実吸入
空気量及び実エンジン回転数に基づいて実体積効率を算
出する実体積効率算出手段81および上記スロットル開度
変化量に係る情報に基づいて上記実体積効率を補正する
体積効率補正手段を有し有効体積効率を算出する体積効
率算出手段と、上記有効体積効率とエンジン回転数とに
応じて点火時期を設定する点火時期設定手段と、上記点
火時期設定手段により設定された点火時期に基づき点火
時期制御信号を出力する制御手段と、上記点火時期制御
信号を受けて作動する点火手段と、加速時に上記実体積
効率(Evr)が上記スロットルの全開値近傍に対応する
所定の閾値を越えた場合上記スロットル開度変化量サン
プリング手段に対しサンプリング動作を禁止するサンプ
リング禁止手段とを備えていることを特徴としている。
この請求の範囲第1項にかかるエンジンの点火時期制
御装置において、上記スロットル開度変化量サンプリン
グ手段が上記スロットル開度変化量を所定周期毎に更新
し記憶するように構成するとともに、上記体積効率補正
手段が上記スロットル開度変化量に係る情報として上記
スロットル開度変化量の記憶値を使用するように構成す
ることが好ましい。
この場合、さらに、上記スロットル開度変化量サンプ
リング手段が、サンプリング禁止手段によりサンプリン
グが禁止された時点の上記記憶値を所定期間だけ保持す
るように構成することも好ましい。
さらに好ましくは、上記スロットル開度変化量サンプ
リング手段が上記記憶値の増加傾向が終了した時点から
上記記憶値の状態変化の無い期間が所定の記憶値保持期
間以上のときに上記記憶値保持期間だけ上記記憶値を保
持上記記記憶値保持期間未満のときに上記経過時間だけ
上記記憶値を保持するように構成する。
さらに好ましくは、サンプリングが禁止された時点か
らの記憶値保持に係る上記所定期間を上記記憶値保持期
間に設定する。
さらに好ましくは、上記スロットル開度変化量サンプ
リング手段が上記記憶値保持期間満了後に上記記憶をク
リヤするように構成する。
さらに好ましくは、上記サンプリング禁止手段の閾値
を上記スロットルの全開値に対応する体積効率のほぼ95
%に設定する。
一方、上述の請求の範囲第1項にかかるエンジン点火
時期制御装置において、上記スロットル開度変化量サン
プリング手段が上記スロットル開度変化量を所定周期毎
に更新し記憶するように構成するとともに、上記体積効
率補正手段がスロットル開度変化量に係る情報として上
記スロットル開度変化量の記憶値を使用するように構成
して、上記スロットル開度変化量サンプリング手段を、
サンプリング禁止手段によりサンプリングが禁止された
時点で上記記憶値をクリヤするように構成することも好
ましい。
この場合、好ましくは、上記スロットル開度変化量サ
ンプリング手段が上記記憶値の増加傾向が終了した時点
から上記記憶値の状態の変化の無い期間が所定の記憶保
持期間以上のときに上記記憶値保持期間だけ上記記憶値
を保持し上記記憶値保持期間未満のときに上記経過時間
だけ上記記憶値を保持するように構成する。
さらに好ましくは、上記スロットル開度変化量サンプ
リング手段が上記記憶値保持期間満了後に上記記憶をク
リヤするように構成する。
さらに好ましくは、上記サンプリング禁止手段の閾値
を上記スロットルの全開値に対応する体積効率のほぼ95
%に設定する。
また、上述の請求の範囲第1項にかかるエンジンノ点
火時期制御装置において、上記スロットル開度変化量サ
ンプリング手段が上記スロットル開度変化量を所定周期
毎に更新し記憶するとともに、上記体積効率補正手段が
スロットル開度変化量に係る情報として上記スロットル
開度変化量の記憶値を使用するように構成した上で、エ
ンジンの冷却水温に応じて点火時期を制御するように構
成することも好ましい。
この場合、好ましくは、上記冷却水温が高いほど上記
点火時期の進角値を小さく設定するように構成する。
また、上述の請求の範囲第1項にかかるエンジンの点
火時期制御装置において、上記スロットル開度変化量サ
ンプリング手段が上記スロットル開度変化量を所定周期
毎に更新し記憶するとともに、上記体積効率補正手段が
スロットル開度変化量に係る情報として上記スロットル
開度変化量の記憶値を使用するように構成した上で、エ
ンジンの吸気温度に応じて点火時期を制御するように構
成することも好ましい。
この場合、好ましくは、上記吸気温度が低い領域と高
い領域とでは点火時期を遅角させ、それ以外の領域では
進角および遅角を行なわないように設定する。
また、上述の請求の範囲第1項にかかるエンジンの点
火時期制御装置において、上記スロットル開度変化量サ
ンプリング手段が上記スロットル開度変化量を所定周期
毎に更新し記憶するとともに、上記体積効率補正手段が
スロットル開度変化量に係る情報として上記スロットル
開度変化量の記憶値を使用するように構成した上で、エ
ンジンのアイドル運転時にエンジン回転速度に係る情報
に基づき点火時期を制御するように構成することも好ま
しい。
この場合、好ましくは、上記エンジン回転速度に係る
情報がエンジン回転速度そのものであり該エンジン回転
速度がアイドル運転状態情報に応じて設定された目標回
転速度を越えた場合に点火時期を遅角させ上記エンジン
回転速度が上記目標回転速度を下回った場合に点火時期
を進角させるように構成構成する。
さらに、好ましくは、上記エンジン回転速度に係る情
報をエンジン回転速度の変化量として、該エンジン回転
速度が上昇傾向にある場合に点火時期を遅角させ上記エ
ンジン回転速度が下降傾向にある場合に点火時期を進角
させるように構成する。
そして、この発明のエンジン点火時期制御装置(請求
の範囲第1項 記載の装置)では、スロットル開度変化量サンプリング
手段で、エンジンのスロットル開度をサンプリング手段
し得られた値に基づきスロットル開度変化量を演算し
て、体積効率算出手段において、実体積効率算出手段
で、実吸入空気量及び実エンジン回転数に基づいて実体
積効率を算出し、体積効率補正手段で、上記スロットル
開度変化量に係る情報に基づいて上記実体積効率を補正
することで、有効体積効率を算出する。そして、点火時
期設定手段で、上記有効体積効率とエンジン回転数とに
応じて点火時期を設定して、制御手段が、上記点火時期
設定手段により設定された点火時期に基づき点火時期制
御信号を出力し、この点火時期制御信号を受けて点火手
段が作動する。特に、加速時に上記実体積効率が上記ス
ロットルの全開値近傍に対応する所定の閾値を越えた場
合には、サンプリング禁止手段が、上記スロットル開度
変化量サンプリング手段に対しサンプリング動作を禁止
する。
図面の簡単な説明 FIG.1〜FIG.6は本発明の一実施例としてのエンジンの
点火時期制御装置を示すもので、FIG.1はその制御ブロ
ック図、FIG.2は本装置を有するエンジンシステムを示
す全体構成図、FIG.3は上記エンジンシステムの制御ブ
ロック図、FIG.4(a)〜FIG.4(c)はそれぞれこの装
置による制御の内容を示すフローチャート、FIG.4
(d)は上記FIG.4(a)の基本点火時期の設定制御の
変形例に係る制御のフローチャート、FIG.5はスロット
ル開度変化量のサンプリング禁止の体積効率領域を決定
するサンプリング禁止領域判定マップ、FIG.6は体積効
率補正時のスロットル開度θ,実体積効率Evr,スロット
ル開度変化量Δθ,点火時期マップルックアップ用体積
効率Evm,点火時期のリタード補正量及びエンジンの行程
を示すタイムチャートであり、FIG.7〜FIG.10は本装置
の案出の過程で考えたエンジンの点火時期制御装置につ
いて示すもので、FIG.7はその点火時期マップルックア
ップ用体積効率vEvmの補正を説明するためのタイムチャ
ート、FIG.8はその点火時期マップルックアップ用体積
効率Evmと点火時期との関係を示す図、FIG.9は点火時期
加速補正回転数係数の特性を示す図、FIG.10はその問題
点の生じる加速パターンでの補正を示すタイムチャート
である。
発明を実施するための最良の形態 以下、図面により本発明の一実施例としてのエンジン
の点火時期制御装置について説明する。
さて、本装置は自動車に搭載されるガソリンエンジン
システムを制御するもので、かかる車載用ガソリンエン
ジンシステムは、FIG.2のように構成される。
つまり、FIG.2に示すように、ガソリンエンジンE
(以下、単にエンジンEという)はその燃焼室1に通じ
る吸気通路2および排気通路3を有しており、吸気通路
2と燃焼室1とは吸気弁4によって連通状態を制御され
るとともに、排気通路3と燃焼室1とは排気弁5によっ
て連通状態を制御されるようになっている。
また、吸気通路2には、上流側から順にエアクリーナ
6,スロットル弁7およびエンジンの動作に影響を与える
第1のエンジン調整要素を構成する電磁式可燃噴射弁
(インジェクタ)8が設けられており、排気通路3に
は、その上流側から順に排ガス浄化用の触媒コンバータ
(三元触媒)9および図示しないマフラ(消音器)が設
けられている。
なお、インジェクタ8は吸気マニホルド部分に気筒数
だけ設けられて、いわゆるマルチポイントインジェクシ
ョン(MPI)を構成している。したがって、本実施例の
エンジンEが例えば直列4気筒エンジンであるとする
と、インジェクタ8は4個設けられていることになる。
また、スロットル弁7はワイヤケーブルを介してアク
セルペダルに連結されており、これによりアクセルペダ
ルの踏込み量に応じて開度が変わるようになっている
が、更にアイドルスピードコントロール用モーター(IS
Cモーター)10によっても開閉駆動されるようになって
おり、これによりアイドリング時にアクセルペダルを踏
まなくても、スロットル弁7の開度を変えることができ
るようになっている。
さらに、各気筒には、その燃焼室1へ向けて点火手段
としての点火プラグ18(FIG.2においては本来は燃焼室
1の近傍に点火プラグ18を描くべきであるが、紙面の都
合で、点火プラグ18は別の位置に描かれている)が設け
られており、各点火プラグ18はディストリビュータ50に
接続されていて、このディストリビュータ50は点火コイ
ル51に接続されている。そして、点火コイル51付きのパ
ワートランジスタ52のオフ動作によって点火コイル51に
高い電圧が発生して、ディストリビュータ50につながっ
ている4本の点火プラグ18のいずれかがスパーク(点
火)するようになっている。なお、パワートランジスタ
52のオン動作によって点火コイル51は充電を開始する。
そして、これらの点火プラグ18,ディストリビュータ50,
点火コイル51,パワートランジスタ52で、点火手段を構
成する。
このような構成により、スロットル弁7の開度に応じ
エアクリーナ6を通じて吸入された空気が吸気マニホル
ド部分でインジェクタ8からの燃料と適宜の空燃比とな
るように混合され、燃焼室1内で点火プラグ18を適宜の
タイミングで点火させることにより、燃焼せしめられ
て、エンジントルクを発生させたのち、混合気は、排ガ
スとして排気通路3へ排出され、触媒コンバータ9で排
ガス中のCO,HC,NOXの3つの有害成分を浄化されてか
ら、マフラで消音されて大気側へ放出されるようになっ
ている。
さらに、このエンジンEを制御するために、種々のセ
ンサが設けられている。まず吸気通路2側には、そのエ
アクリーナ配設部分に、吸入空気量をカルマン渦情報か
ら検出する体積流量計としてのエアフローセンサ11,吸
入空気温度を検出する吸気温センサ12および大気圧を検
出する大気圧センサ13が設けられており、そのスロット
ル弁配設部分に、スロットル弁7の開度を検出するポテ
ンショメータ式のスロットルセンサ14,アイドリング状
態を検出するアイドルスイッチ15およびISCモータ10の
位置を検出するモータポジションセンサ16が設けられて
いる。
また、排気通路3側には、触媒コンバータ9の上流側
で燃焼室1に近い部分に、排ガス中の酸素濃度(O2
度)を検出する酸素濃度センサ(O2センサ)17が設けら
れている。ここで、O2センサ17は固体電解質の酸素濃淡
電池の原理を応用したもので、その出力電圧は理論空燃
比付近で急激に変化する特性を持ち、理論空燃比よりも
リーン側の電圧が低く、理論空燃比よりもリッチ側の電
圧が高い。
さらに、その他のセンサとして、エンジン冷却水温を
検出する水温センサ19が設けられるほか、クランク角度
を検出するクランク角センサ21(このクランク角センサ
21はエンジン回転数Nを検出するエンジン回転数センサ
も兼ねているので、以下、必要に応じ、このクランク角
センサ21をエンジン回転数センサと称することがある)
および第1気筒(基準気筒)の上死点を検出するTDCセ
ンサ22がそれぞれディストリビュータ50に設けられてい
る。
ところで、上記のセンサ11〜17,19,21,22からの検出
信号は、電子制御ユニット(EUC)23へ入力されるよう
になっている。
なお、ECU23へは、バッテリ24(FIG.3参照)の電圧を
検出するバッテリセンサ25からの電圧信号やイグニッシ
ョンスイッチ(キースイッチ)26からの信号も入力され
ている。
また、ECU23のハードウエア構成はFIG.3のようになる
が、このECU23はその主要部としてCPU27をそなえてお
り、このCPU27へは、吸気温センサ12,大気圧センサ13,
スロットルセンサ14,O2センサ17,水温センサ19およびバ
ッテリセンサ25からの検出信号が入力インタフェイス28
およびA/Dコンバータ30を介して入力され、アイドルセ
ンサ15およびイグニッションスイッチ26からの検出信号
が入力インタフェイス29を介して入力され、エアフロー
センサ11,クランク角センサ21およびTDCセンサ22からの
検出信号が直接に入力ポートへ入力されるようになって
いる。
さらに、CPU27は、バスラインを介して、プログラム
データや固定値データを記憶するROM31,更新して順次書
き替えられるRAM32およびバッテリ24によってバッテリ2
4が接続されている間はその記憶内容が保持されること
によってバックアップされたバッテリバックアップRAM
(BURAM)33との間でデータの授受を行なうようになっ
ている。
なお、RAM32内データはイグニッションスイッチ26を
オフすると消えてリセットされるようになっている。
また、CPU27からは点火時期制御信号が点火ドライバ5
3を介してパワートランジスタ52へ出力され、更には点
火コイル51からディストリビュータ50を介して例えば4
つの点火プラグ18を順次スパークさせてゆくようになっ
ている。
ところで、点火時期制御のためのブロック図を更に詳
細に示すと、FIG.1に示すようになる。すなわち、この
点火時期制御装置は、FIG.1に示すごとく、2次元の基
本点火時期データ(進角データ)Θを記憶する点火時
期マップMP3をもった基本点火時期設定手段(点火時期
設定手段)58のほかに、水温補正マップMP5をもった水
温補正手段59,吸気温補正マップMP7をもった吸気温補正
手段61,アイドル安定化補正マップMP8をもったアイドル
安定化補正手段62をそなえて構成されている。なお、こ
こでの基本点火時期は請求の範囲に記載した点火時期に
相当する。
基本点火時期設定手段58では、点火時期マップMP3
で、A/N(吸入空気量/エンジン回転数)したがって体
積効率Evと、エンジン回転数Neとがわかれば、マップ値
から基本点火時期Θが決まる(ルックアップできる)
ようになっている。
この体積効率Evの値は、体積効率算出手段(Ev算出手
段)80で算出されるがこの体積効率算出手段80は、実体
積効率算出手段81と体積効率補正手段83とから構成され
ている。
実体積効率算出手段81は、エアフローセンサ11で検出
された実吸入空気量Aとエンジン回転数センサ21で検出
された実エンジン回転数Neとから実体積効率Evrを算出
する。
また、体積効率補正手段83は、エンジンの加速時に過
渡ノッキングを回避すべく行なう補正であり、この体積
効率補正を通じて点火時期を間接的にリタード補正する
ためのものである。具体的には、加速判定手段72でエン
ジンが加速状態にあることが判定され、この際、体積効
率補正手段38ではエンジンのスロットル開度変化量(増
加量)Δθのサンプリングデータが送られると、このΔ
θの大きさに応じて体積効率Evが大きくなるように補正
が行なわれる。また、加速状態にあると判定されない場
合には、上記補正を行なわずに、実体積効率算出手段81
で算出された実体積効率Evrを後述する基本点火時期マ
ップルックアップ用体積効率(有効体積効率)Evmとし
て出力する。
なお、加速判定手段72による加速判定は、例えば10ms
ec(0.01秒)ごとにスロットル開度θを取り込んで、メ
モリに記憶された前回の開度Mθと現在の開度θとから
算出されるスロットル開度変化量Δθ(=θ−Mθ)が
正にあれば加速状態にあると判定される。また、スロッ
トル開度変化量Δθはメモリ内にMΔθとして記憶され
るが、この記憶値MΔθによって加速判定をすることも
できる。
ところで、上述の体積効率補正は、スロットル開度変
化量Δθのサンプリングの禁止時を除いて、前述のFIG.
7に示すタイムチャートの如く行なわれる。
つまり、体積効率補正は、実体積効率Evrに対し加速
開始からスロットル開度変化量Δθが増加している間
(スロットル開度変化量Δθがピークに達するまでの
間)だけサンプリング毎のスロットル開度変化量Δθに
応じて行なわれ、スロットル開度変化量Δθがピークに
達した後は、所定の期間このピーク値Δθをホールド
してこのホールドしたピーク値Δθに応じて行なわれ
るようになっている。ここで、このホールドは各気筒が
それぞれ1回点火を行なう間だけ行なうようにする。例
えば4気筒エンジンの場合は4行程間(4点火間)だけ
ホールドする。
このスロットル開度変化量Δθがピークにあるかどう
かの判定は、例えば現在のスロットル開度変化量Δθと
スロットル開度変化量の記憶値MΔθとの差(Δθ−M
Δθ)を算出し、この差が正から負に変わったところ
で、前回のスロットル開度変化量の記憶値MΔθがピー
ク値であったと判定する。
そして、スロットル開度変化量Δθは、スロットル開
度変化量サンプリング手段84で、スロットルセンサ14か
らの検出情報に基づいて算出されて、データとして出力
される。
このスロットル開度変化量サンプリング手段84には、
サンプリング禁止手段(図1中では禁止手段と示す)85
が付設されている。
このサンプリング禁止手段85は、実体積効率Evrがス
ロットル全開値に対応した値に達する以前の該全開値の
近傍の所定の段階でスロットル開度変化量のサンプリン
グを禁止するサンプリング禁止信号を出力するもので、
ここでは、実体積効率Evrが該全開値の95%以上の領域
をサンプリング禁止領域としており、禁止領域判定手段
(図1中では禁止判定と示す)82によって、FIG.5に示
すようなサンプリング禁止領域判定マップに基づいて、
実体積効率Evrからサンプリング禁止領域(サンプリン
グ禁止マップ値よりも大きい領域)であうかどうかが判
定され、この禁止領域判定手段82でサンプリング禁止領
域であることが判定されると、サンプリング禁止手段85
を通じてサンプリング禁止信号がスロットル開度変化量
サンプリング手段84へ出力されるようになっている。
そして、サンプリング禁止手段85によりサンプリング
が禁止されると、スロットル開度変化量サンプリング手
段84は、このサンプリングが禁止された時点で記憶され
た記憶値MΔθを所定期間だけ保持するように構成され
ている。
例えば、記憶値MΔθが増加してからほぼ一定の変化
の無い状態が続くと、スロットル開度変化量サンプリン
グ手段84は、記憶値MΔθがほぼ一定の状態が所定の期
間以上であれば、この所定の期間(記憶値保持期間)だ
け記憶値MΔθを保持し、記憶値MΔθがほぼ一定の状
態が記憶保持期間未満のときにはこの経過時間だけ記憶
値MΔθを保持して、いずれも、この後は記憶値MΔθ
をクリヤするように構成されている。上述のサンプリン
グが禁止された時点からの記憶値MΔθの保持期間を、
記憶値保持期間とできる。
したがって、実体積効率Evrが全開値の95%以上の領
域に達したら、スロットル開度変化量Δθのデータは実
質的に体積効率補正手段83へ送られなくなり、体積効率
補正手段83では体積効率Evの補正が停止されるようにな
っている。
このようにして、体積効率補正手段83で実体積効率Ev
rに対し適宜加速時補正が施されて得られた基本点火時
期マップルックアップ用体積効率Evmと、エンジン回転
数センサ21で検出された実エンジン回転数Neとに基づい
て、点火時期マップMP3から基本点火時期をルックアッ
プすることができる。
水温補正マップMP5は、冷却水温WTと進角量ΘWTとの
関係を記憶しており、その関係は水温が高いほど、進角
値ΘWTが小さくなるようになっている。
吸気温補正マップMP7は、吸気温ATと遅角、進角量Θ
ATとの関係を記憶しており、その関係は、吸気温ATが低
いところと高いところとで遅角させ、吸気温ATが中くら
いのところでは0となっている。
アイドル安定化補正マップMP8としては、例えば比例
制御(P制御)用と微分制御(D制御)用とがあるが、
P制御用は、エンジン回転数Neと点火時期情報ΘIDP
の関係を記憶しており、その関係は、エンジン回転数Ne
がISC(アイドルスピードコントロール)目標エンジン
回転数設定手段73で設定されるISC目標エンジン回転数N
e0よりも高いと、遅角させ、エンジン回転数NeがISC目
標エンジン回転数Ne0よりも低いと、進角させるように
なっている。また、D制御用は、エンジン回転数変化Δ
Neと点火時期情報ΘIDDとの関係を記憶していて、その
関係は、エンジン回転が上がっている状態で、遅角さ
せ、エンジン回転が下がっている状態で、進角させるよ
うになっている。なお、いずれもハンチング防止のた
め、不感帯が設けられている。
また、基本点火時期設定手段58からの基本点火時期デ
ータΘと水温補正手段59からの水温補正データΘWT
加算手段63で加算され、吸気温補正手段61からの吸気温
データΘATは、運転状態補正手段69によって、エンジン
運転状態によって適宜の補正を施され、この運転状態補
正手段69からのデータは、加算手段65によって、加算手
段63からのデータ(Θ+ΘWT)に加算されるようにな
っている。
この加算手段65からのデータは、加算手段66にて、更
にアイドル安定化補正手段62からのアイドル安定変デー
タΘIDPIDDと足し合わせられて、タイミング制御部
(制御手段)68へ送られるようになっている。
なお、アイドル安定化補正手段62と加算手段66との間
には、スイッチ67が介装されており、このスイッチ67
は、アイドルスイッチ15がエンジンアイドル時にオンに
なると閉じ、それ以外で開いている。
また、タイミング制御部68は、上記の基本点火時期デ
ータΘに種々の補正データ(ΘWTATIDP,
ΘIDD)を加味したデータから点火時期を決定して、点
火時期制御信号を出力するものである。
また、FIG.3に示すごとく、CPU27からは燃料噴射用制
御信号がインジェクタドライバ34を介して出力され、例
えば4つのインジェクタ8を順次駆動されてゆくように
なっている。
本発明の一実施例としてのエンジンの点火時期制御装
置は上述のように構成されており、以下に、点火時期の
設定過程を、FIG.4(a)〜(c)の各フローチャート
に従って説明する。
FIG.4(a)は点火時期の設定のメインルーチンであ
り、FIG.4(b)はクランクパルスに応じて各気筒の下
死点90゜毎に(1行程毎即ちクランク角180゜毎)に行
なわれるクランク割込ルーチンであり、FIG.4(c)は
加速状態検出ルーチンであって、例えば10ミリ秒(ms)
毎のタイマ割込で行なわれるタイマ割込ルーチンであ
る。
まず、クランク割込ルーチンを説明すると、FIG.4
(b)に示すように、各気筒の点火前(下死点から90゜
の時点)毎に、設定された最新点火時期SAoutを点火ド
ライバ53にセットし(ステップb1)、点火ドライバ53を
トリガする(ステップb2)。
そして、エアフローセンサ11及びエンジン回転数セン
サからの検出情報A,Neに基づいて実体積効率算出手段81
でA/N(吸入空気量/エンジン回転数)を算出する(ス
テップb3)とともに、エンジン回転数センサからの検出
情報(エンジン回転数)Neを取り込む(ステップb4)。
そして、ステップb5では、スロットル開度変化量Δθ
がピークに達した時点、もしくは実体積効率Evrがサン
プリング禁止判定の為に設定された閾値Evsを超えた時
点でセットされるフラグFLGが1にセットされているか
否かが判定され、YESの判定でステップb6に進みカウン
ト値COUNTがインクリメントされステップb7に進む。こ
こでは、カウント値COUNTがN(ここでは、N=5)に
なっているかどうかを判定し、カウント値COUNTがNに
なっていなければ、そのままリターンし、カウント値CO
UNTがNに達していればステップb8へ進む。ステップb8
ではフラグFLGをクリヤし、次のステップb9でスロット
ル変化量の記憶値MΔθがクリヤされてその後リターン
する。
一方、ステップb5で、NOと判定されると直ちにリター
ンする。
また、例えば10ミリ秒毎に行なわれる割込ルーチンで
ある加速状態検出ルーチンを説明すると、FIG.4(c)
に示すように、スロットルセンサ14で検出されたスロッ
トル開度θを読み込み(ステップc1)、このスロットル
開度θとメモリに記憶されている前回のスロットル開度
Mθとから、スロットル開度変化量Δθ(=θ−Δθ)
を算出する(ステップc2)。
さらに、スロットル開度変化量Δθが0近傍の加速不
感帯(0〜ΔθS)よりも大きいか(つまり、Δθ>Δ
θS)により、加速状態にあるかどうかを判定する。加
速状態にあれば、ステッパc4に進んで、現在のスロット
ル開度変化量Δθがメモリに記憶されている前回のスロ
ットル開度変化量Δθよりも大きいかどうかを判定し、
ΔθがMΔθよりも大きければ、スロットル開度変化量
Δθはまだ増加中でありピークではないものとして、ス
テップc5に進んで、フラグFLGが1セットされているか
否かが判定されYESならステップc10に進み、NOなら次の
ステップ6に進んで、今回のスロットル開度変化量Δθ
を記憶値MΔθとして記憶し、ステップc7でカウント値
COUNTを0とする。
また、ステップc10に進んで今回のスロットル開度θ
を記憶値Mθとして記憶して、リターンする。なお、ス
テップc3で加速状態にない場合には直ちにリターンす
る。またステップc4でスロットル開度変化量Δθが増加
状態にない場合には、ステップc8へ進んでカウント値CO
UNTが0か否かが判定され、ここでYESであれば、すなわ
ち直前までΔθが増加傾向にあったならばステップc9へ
進みフラグFLGを1にセットし、その後リターンする。
ステップc8でNOであればすぐにリターンする。
このような各サブルーチンが周期的に行なわれる中
で、FIG.4(a)のように、基本点火時期の設定のメイ
ンルーチンが実行されるが、このルーチンでは、まず、
実体積効率算出手段81でA/N(吸入空気量/エンジン回
転数)から実体積効率Evrを設定し(ステップa1)、次
に、ステップa2でフラグFLGがセットされているか否
か、すなわちΔθのホールド期間か否かが判定される。
ここで、YESならステップa6へ進む。
一方、NOの判定ならばステップa3へ進んで、実体積効
率Evがサンプリング禁止用閾値Evsを超えたか否かが判
定され、YESなら前述のようにフラグFLGをセットし(ス
テップa4)、NOならステップa5へ進む。このステップa3
での判定は、FIG.5に示すようなサンプリング禁止領域
判定マップによって実体積効率Evrとエンジン回転数Ne
とから行なうことができる。
ステップa5では、エンジン回転数Neに応じて点火時期
加速補正回転数係数KEVENを設定する。Neの値とKEVEN
値との間にはFIG.9に示すような関係があり、KEVENの設
定を、このFIG.9に示すようなマップによって行なって
もよい。
つぎに、ステップa6で、前述の式(1)、つまり、Ev
m=Evr+(MΔθ×G)×KEVENにしたがって、実体積
効率Evrを補正し点火時期マップルックアップ用体積効
率Evmを得る。ただし、上式において、G=GTH/4であ
る。
そして、ステップa7で、このようにして得た体積効率
Evmとエンジン回転数Neに関するマップ(点火時期マッ
プMP3)から基本点火時期データSA0を設定し、次のステ
ップa8で、他の運転パラメータ(例えば、ΘWTAT
IDPID)に基づいて点火時期補正データSA1を設定す
る。
続くステップa9で、これらの基本点火時期データSA0
と点火時期補正データSA1とから、点火時期SAout=SA0
+SA1を算出する。その後、再びステップa1に戻る。
このようにして設定された点火時期SAoutが、クラン
ク割込ルーチン[FIG.4(b)]で実行される点火ドラ
イバのセットに用いられる。
従って、この加速時の補正時に、スロットル開度変化
量Δθがピークに達すると、加速状態検出ルーチンでカ
ウント値COUNTが0にリセットされなくなって、もしく
は、実体積効率Evrが閾値Evsが超えると、いずれもフラ
グFLGがセットされ、クランク割込ルーチンでのカウン
トが続行されるようになる。そして、スロットル開度変
化量Δθがピークに達してから、もしくは実体積効率Ev
rが閾値Evsを超えてから、カウント値COUNTが5になる
までの4行程間(COUNTが1から4までの間)は、スロ
ットル開度変化量Δθがピークに達した時もしくは実体
積効率Evrが閾値Evsを超えた時点にホールドされたΔθ
に基づくEvmに応じて設定された点火時期SAoutが、クラ
ンク割込ルーチンで実行される点火ドライバのセットに
用いられる。
そして、カウント値COUNTが5になるとクランク割り
込みルーチンのステップb9でスロットル開度変化量の記
憶値MΔθの値として、0を設定する。
そして、この後は、再びスロットル開度変化量Δθに
ピークが発生して、加速状態検出ルーチンのステップc4
で加速が判定されても、実体積効率Evrが全開値付近の
幅でもった領域(全開値の95%以上の領域)にある所定
時間は、フラグFLGがセットされており、MΔθの更新
は行なわれず、従ってMΔθ=0の状態でメインルーチ
ンにおいてステップa2からステップa6へ進むので、体積
効率Evの補正は行なわれず、点火時期マップルックアッ
プ用体積効率Evmとしてステップa1で設定された実体積
効率Evrが採用される。
上述までの特殊な加速パターンは、FIG.6(a)に示
されるスロットル操作に対応する。この場合の体積効率
補正状況を説明すると、FIG.6(a)〜(f)のタイム
チャート[FIG.6(a)〜(f)はそれぞれFIG.10
(a)〜(f)に対応する]に示すようになる。
つまり、FIG.6(a)に示すようにスロットル開度θ
が変化すると、スロットル開度変化量Δθは僅かな時間
差でh1,h2と2つのピーク値をとることになり、スロッ
トル開度θが第1回目のピーク値をとったところで、実
体積効率Evrがピーク値付近に達するとして、この後、
スロットル開度θがP1からP2に変化しても実体積効率Ev
rはピーク値付近の値にホールドされているものとす
る。
一方、スロットル開度変化量Δθのサンプル値は、は
じめのピーク値h1をとったところで点火の4行程の間そ
の値がホールドされ[FIG.6(c)参照]、これに対応
して、点火時期マップルックアップ用体積効率Evmの為
の補正量の値がホールドされる[FIG.6(d)中の斜線
部参照]が、この時点で、実体積効率Evrが、Δθサン
プリング禁止Ev(Ne)すなわち、前述の閾値Evsよりも
大きいサンプリング禁止領域に入るので、スロットル開
度変化量Δθのサンプリングが禁止されそのサンプル値
の更新が行なわれなくなる。
このため、スロットル開度θの1回目のピークを経過
後に再びスロットル開度θがピーク値P2をとっても、ス
ロットル開度変化量Δθのサンプル値が再び適当な大き
さの値にホールドされるようなこと[FIG.6(c)中の
符号h2部参照]が回避され、点火時期マップルックアッ
プ用体積効率Evmの補正量の値のホールド[FIG.6(d)
中の符号H2部参照]も回避されるようになる。
この結果、このような特殊な加速パターンであって
も、加速時の過渡ノッキングを回避した(符号R1参照)
後には、リタード補正が不必要に繰り返されないように
なり、加速度の過渡ノッキングを回避した後に、速やか
にエンジンの出力増加が行なえるようになり、目的とす
るエンジンの加速が全ての加速パターンで確実に行なえ
るようになるのである。
また、FIG.4(d)はFIG.4(a)の一部を変更したも
ので、このFIG.4(d)に示される制御フローのごと
く、実体積効率Evrが閾値Evsを超えたとき(つまり、サ
ンプリングが禁止されたとき)には、スロットル変化量
の記憶値MΔθをクリヤ(ステップa4′)するようにス
ロットル開度変化量サンプリング手段84を構成していも
良い。この場合も、これにかかる制御は上述の実施例の
もの[FIG.4(b),FIG.4(c)参照]を適用できる。
なお、実体積効率Evrのサンプリング禁止領域は上述
の実施例のようなものに限られず、全開値に近い適用な
領域を設定しうるものである。
また、ピーク値のホールド期間は、エンジンの気筒数
にあわせて、各気筒が1回ずつ点火を行なう期間を設定
するもので、本実施例のものに限られない。
産業上の利用可能性 このエンジン点火時期制御装置によれば、種々の加速
パターンで、適切な点火時期を設定でき、エンジンの速
やかな加速をできるだけ妨げないようにしながら、加速
時のノッキングを防止し、滑らかな加速を実現できるよ
うになるので、特に自動車に搭載するエンジンの点火時
期制御に用いるのに適している。

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンのスロットル開度(θ)をサンプ
    リングし得られた値に基づきスロットル開度変化量(Δ
    θ)を演算するスロットル開度変化量サンプリング手段
    (84)と、 実吸入空気量(A)及び実エンジン回転数(Ne)に基づ
    いて実体積効率(Evr)を算出する実体積効率算出手段8
    1および上記スロットル開度変化量(Δθ)に係る情報
    に基づいて上記実体積効率(Evr)を補正する体積効率
    補正手段(83)を有し有効体積効率(Evm)を算出する
    体積効率算出手段(82)と、 上記有効体積効率(Evm)とエンジン回転数(Ne)とに
    応じて点火時期を設定する点火時期設定手段(58)と、 上記点火時期設定手段(58)により設定された点火時期
    に基づき点火時期制御信号を出力する制御手段(68)
    と、 上記点火時期制御手段を受けて作動する点火手段(18)
    と、 加速時に上記実体積効率(Evr)が上記スロットルの全
    開値近傍に対応する所定の閾値を越えた場合上記スロッ
    トル開度変化量サンプリング手段(84)に対しサンプリ
    ング動作を禁止するサンプリング禁止手段(85)とを備
    えていることを特徴とする、エンジンの点火時期制御装
    置。
  2. 【請求項2】上記スロットル開度変化量サンプリング手
    段(84)が、上記スロットル開度変化量(Δθ)を所定
    周期毎に更新し記憶するとともに、 上記体積効率補正手段(83)が、スロットル開度変化量
    (Δθ)に係る情報として上記スロットル開度変化量
    (Δθ)の記憶値(MΔθ)を使用するように構成され
    ていることを特徴とする、請求項1に記載のエンジンの
    点火時期制御装置。
  3. 【請求項3】上記スロットル開度変化量サンプリング手
    段(84)が、サンプリング禁止手段(85)によりサンプ
    リングが禁止された時点の上記記憶値(MΔθ)を所定
    期間だけ保持するように構成されていることを特徴とす
    る、請求項2に記載のエンジンの点火時制御装置。
  4. 【請求項4】上記スロットル開度変化量サンプリング手
    段(84)が、上記記憶値(MΔθ)の増加傾向が終了し
    た時点から上記記憶値(MΔθ)の状態変化の無い期間
    が所定の記憶値保持期間以上のときに上記記憶値保持期
    間だけ上記記憶値を保持し上記記憶値保持期間未満のと
    きに上記経過時間だけ上記記憶値(MΔθ)を保持する
    ように構成されていることを特徴とする、請求項3に記
    載のエンジンの点火時期制御装置。
  5. 【請求項5】サンプリングが禁止された時点からの記憶
    値保持に係る上記所定期間が、上記記憶値保持期間に設
    定されていることを特徴とする、請求項4に記載のエン
    ジンの点火時期制御装置。
  6. 【請求項6】上記スロットル開度変化量サンプリング手
    段(84)が、上記記憶値保持期間満了後に上記記憶をク
    リヤするように構成されていることを特徴とする、請求
    項5に記載のエンジンの点火時期制御装置。
  7. 【請求項7】上記サンプリング禁止手段(85)の閾値
    が、上記スロットルの全開値に対応する体積効率のほぼ
    95%に設定されていることを特徴とする、請求項6に記
    載のエンジンの点火時期制御装置。
  8. 【請求項8】上記スロットル開度変化量サンプリング手
    段(84)が、サンプリング禁止手段(85)によりサンプ
    リングが禁止された時点で上記記憶値(MΔθ)をクリ
    ヤするように構成されていることを特徴とする、請求項
    2に記載のエンジンの点火時期制御装置。
  9. 【請求項9】上記スロットル開度変化量サンプリング手
    段(84)が、上記記憶値(MΔθ)の増加傾向が終了し
    た時点から上記記憶値(MΔθ)の状態変化の無い期間
    が所定の記憶保持期間以上のときに上記記憶値保持期間
    だけ上記記憶値(MΔθ)を保持し上記記憶値保持期間
    未満のときに上記経過時間だけ上記記憶値(MΔθ)を
    保持するように構成さていることを特徴とする、請求項
    8に記載のエンジンの点火時期制御装置。
  10. 【請求項10】上記スロットル開度変化量サンプリング
    手段(84)が、上記記憶値保持期間満了後に上記記憶を
    クリヤするように構成されていることを特徴とする、請
    求項9に記載のエンジンの点火時期制御装置。
  11. 【請求項11】上記サンプリング禁止手段(85)の閾値
    が、上記スロットルの全開値に対応する体積効率のほぼ
    95%に設定されていることを特徴とする、請求項10に記
    載のエンジンの点火時期制御装置。
  12. 【請求項12】エンジンの冷却水温に応じて点火時期を
    制御するように構成されていることを特徴とする、請求
    項2に記載のエンジンの点火時期制御装置。
  13. 【請求項13】上記冷却水温が高いほど上記点火時期の
    進角値を小さく設定するように構成されていることを特
    徴とする、請求項12に記載のエンジンの点火時期制御装
    置。
  14. 【請求項14】エンジンの吸気温度に応じて点火時期を
    制御するように構成されていることを特徴とする、請求
    項2に記載のエンジンの点火時期制御装置。
  15. 【請求項15】上記吸気温度が低い領域と高い領域とで
    は点火時期を遅角させ、それ以外の領域では進角および
    遅角を行なわないように設定されていることを特徴とす
    る、請求項14に記載のエンジンの点火時期制御装置。
  16. 【請求項16】エンジンのアイドル運転時にエンジン回
    転速度に係る情報に基づき点火時期を制御するように構
    成されていることを特徴とする、請求項2に記載のエン
    ジンの点火時期制御装置。
  17. 【請求項17】上記エンジン回転速度に係る情報がエン
    ジン回転速度そのものであり該エンジン回転速度がアイ
    ドル運転状態情報に応じて設定された目標回転速度を越
    えた場合に点火時期を遅角させ上記エンジン回転速度が
    上記目標回転速度を下回った場合に点火時期を進角させ
    るように構成されていることを特徴とする、請求項16に
    記載のエンジンの点火時期制御装置。
  18. 【請求項18】上記エンジン回転速度に係る情報がエン
    ジン回転速度の変化量であり該エンジン回転速度が上昇
    傾向にある場合に点火時期を遅角させ上記エンジン回転
    速度が下降傾向にある場合に点火時期を進角させるよう
    に構成されていることを特徴とする、請求項16に記載の
    エンジンの点火時期制御装置。
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