JP2564386Y2 - 遮断弁装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、例えば、ガスメータ
に組み込まれ、地震発生時あるいはガス漏れ時、その他
の緊急時にガスの流通を遮断する遮断弁装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】地震を感知する感震器やガス漏れを感知
するガス漏れ警報器が知られている。また、これらの感
震器やガス漏れ警報器と遮断弁装置とを組合わせ、感震
時やガス漏れ発生時に遮断弁装置を作動させてガスの流
通を遮断するようにした安全装置も実用化されている。

【０００３】図１０は従来の遮断弁装置を示すもので、
１はガスメータのケースであり、２はガス流入口体であ
る。ケース１の内部には１次側３と２次側４とを区画す
るケーシング５が設けられ、このケーシング５の上部の
仕切り壁６には弁座７を有する連通口８が設けられてい
る。ケーシング５の下部仕切り壁９には取付けプレート
１０を介して自己保持形ソレノイド１１が設けられてい
る。

【０００４】自己保持形ソレノイド１１は、プランジャ
１２をパイプ１３ａを介して包囲するコイル１３と、こ
のコイル１３の外周に設けたヨーク１４およびこのヨー
ク１４の底部に設けたコアピース１５ａを有するマグネ
ット１５とから構成されている。

【０００５】前記プランジャ１２の先端部には前記連通
口８に対向する弁体１６が取付けられ、この弁体１６は
スプリング１７によって前記弁座７方向に付勢されてい
る。そして、自己保持形ソレノイド１１のコイル１３に
無通電状態ではプランジャ１２がスプリング１７に打ち
勝ってコアピース１５ａに吸着し、弁体１６は弁座７か
ら離間して開弁状態にあるが、コイル１３に瞬間的に通
電して逆磁場を与えると、スプリング１７の復元力によ
って弁体１６を弁座７に圧接して閉弁状態を保持するよ
うになっている。

【０００６】また、前記ケーシング５の上部仕切り壁６
には２次側４側に突出するボス１８、１８が設けられ、
このボス１８、１８間には支持プレート１９が設けられ
ている。そして、この支持プレート１９にはスプリング
２０によって上方に付勢された復帰軸２０ａが上下動自
在に設けられ、この復帰軸２０ａの下端面は前記プラン
ジャ１２の先端面に、上端面は前記ケース１に設けた復
帰操作ボタン２０ｂに対向している。

【０００７】したがって、感震器やガス漏れ警報器等の
異常検出器が異常を感知して自己保持形ソレノイド１１
に逆磁場を与えることによって、ガスメータの連通口８
を弁体１６によって閉弁し、ガスの流通を遮断すること
ができる。

【０００８】また、前記弁体１６を弁座７から離間させ
て開弁状態に復帰させるには復帰操作ボタン２０ｂを押
し込み、復帰軸２０ａをスプリング２０の復元力に抗し
て押し下げ、復帰軸２０ａによりプランジャ１２をスプ
リング１７の復元力に抗して押し下げてプランジャ１２
の下端面をコアピース１５ａに吸着させることにより、
弁体１６を開弁状態に保持する。

【０００９】

【考案が解決しようとする課題】ところが、前述したよ
うに構成された遮断弁装置は、閉弁から開弁状態に復帰
させる際に、復帰操作ボタン２０ｂを押し込み、復帰軸
２０ａによりプランジャ１２を直接押し下げて弁体１６
を弁座７から離間させ、プランジャ１２の下端面をコア
ピース１５ａに吸着させている。

【００１０】したがって、弁体１６が弁座７から離間す
ると同時に連通口８を介して１次側３のガスが２次側４
に流れる。つまり、弁体１６の復帰動作中にガスが流れ
てしまうため、復帰軸２０ａによって復帰途中で止める
ことを想定すると自損行為防止にならないという問題が
ある。

【００１１】この考案は、前記事情に着目してなされた
もので、その目的とするところは、閉弁から開弁状態に
復帰させる復帰動作中に１次側から２次側にガスが流れ
ることなく、開弁状態に復帰してからガスを流通させる
ことができる遮断弁装置を提供することにある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】この考案は、前述した目
的を達成するために、請求項１は、弁座に対して接離自
在な弁体、この弁体を閉弁方向に付勢する第１のスプリ
ング、前記弁体に連結するプランジャを有し第１のスプ
リングの復元力に抗して弁体を開弁状態に保持する自己
保持形ソレノイドからなり、この自己保持形ソレノイド
全体をそのプランジャの軸方向に沿って移動自在に支持
する支持部と、前記自己保持形ソレノイド全体を弁体が
弁座から離間する方向に付勢する第２のスプリングと、
前記自己保持形ソレノイドに対向して設けられ閉弁状態
の弁体を開弁状態に復帰させる際に前記第２のスプリン
グの復元力に抗して自己保持形ソレノイド全体を前進さ
せ、前記自己保持形ソレノイドのコアピースにプランジ
ャを吸着させて弁体を第１のスプリングに抗して弁座か
ら離間させる復帰操作部とから構成したことにある。

【００１３】

【作用】請求項１は、復帰操作部によって自己保持形ソ
レノイドを第２のスプリングの復元力に抗して前進させ
ると、閉弁状態にある弁体のプランジャに自己保持形ソ
レノイドのコアピースが吸着し、復帰操作部の復帰操作
を解除すると第２のスプリングの復元力によって自己保
持形ソレノイドがプランジャとともに後退し、弁体を弁
座から離間させて開弁状態に保持する。

【００１４】

【実施例】以下、この考案の実施例を図面に基づいて説
明するが、従来と同一構成部分は同一番号を付して説明
を省略する。図１〜図５は第１の実施例を示すもので、
図５はフルイディック流量計の全体を示すもので、２１
はケースである。このケース２１は矩形箱状のケース本
体２２と、このケース本体２２の開口部を閉塞する蓋体
（図示しない）とから構成されている。

【００１５】ケース本体２２の下部にはガス流入口体２
４とガス流出口体２５が並設され、上部には表示窓（図
示しない）が設けられている。ケース２１の内部におけ
る下部にはフルイディック素子２７および後述する遮断
弁２８が設置されている。

【００１６】前記フルイディック素子２７について説明
すると、３３はダイキャスト等によって形成された流路
本体であり、流路３４が構成されている。この流路３４
は隔壁３４ａによって区画され、上流側流路３５は前記
ガス流入口体２４に連通し、下流側流路３６は前記ガス
流出口体２５に連通している。

【００１７】上流側流路３５の途中に位置する流路本体
３３には連通口３４ａを有する弁座３７が設けられ、こ
の弁座３７には前記遮断弁２８の弁体３８が対向してい
る。すなわち、前記圧力スイッチ、感震器（図示しな
い）が異常を感知したとき、遮断弁２８によって流路３
４を遮断することができるように構成されている。

【００１８】前記遮断弁２８について図１に基づいて説
明すると、前記弁座３７に対向する取付けプレート１０
の一部には円筒状の支持部２９が一体に設けられてい
る。支持部２９には自己保持形ソレノイド１１のフラン
ジ３０が嵌入され、自己保持形ソレノイド１１はそのプ
ランジャ１２の軸方向に沿って移動自在に支持されてい
る。

【００１９】フランジ３０の外周面には環状溝３０ａが
形成され、この環状溝３０ａには前記支持部２９の内周
面との間をシールする第１のＯリング３０ｂが装着され
ている。フランジ３０の中央部には自己保持形ソレノイ
ド１１のパイプ１３ａが挿入される貫通穴３１が穿設さ
れ、この内周面には環状溝３１ａが形成されている。

【００２０】そして、この環状溝３１ａには前記ベース
３０とパイプ１３ａとの間をシールする第２のＯリング
３１ｂが装着されている。さらに、ベース３０には取付
けボス３１ｃ、３１ｃが設けられ、これら取付けボス３
１ｃ、３１ｃには自己保持形ソレノイド１１のヨーク１
４、１４の一部を切起して形成した取付け片３２，３２
がボルト３２ａ，３２ａによって固定されている。つま
り、自己保持形ソレノイド１１はベース３０に一体的に
固定され、支持部２９に対してプランジャ１２の軸方向
に移動自在である。

【００２１】自己保持形ソレノイド１１のプランジャ１
２の先端部には弁体３８が装着され、この弁体３８の背
面とベース３０との間には弁体３８を閉弁方向に付勢す
る第１のスプリング４０が介在されている。

【００２２】さらに、前記ベース３０の外周縁と流路本
体３３との間には自己保持形ソレノイド１１を後退方
向、つまり弁体３８が弁座３７から離間する方向に付勢
する第２のスプリング４１が設けられている。そして、
この自己保持形ソレノイド１１の後退方向への移動量は
支持部３９の内周面に設けたリング状のストッパ４２に
よって規制されている。

【００２３】また、自己保持形ソレノイド１１のヨーク
１４の端面に対向するケース２１には取付け穴４５が穿
設され、この取付け穴４５には復帰操作部４６が設けら
れている。すなわち、４７は操作ケースであり、これは
取付け穴４５にねじ込み固定されている。操作ケース４
７の内部には操作ボタン４８が進退自在に軸支され、こ
れは復帰スプリング４９によって後退方向に付勢されて
いる。

【００２４】そして、操作ボタン４８を手指等によって
押し込むことにより、自己保持形ソレノイド１１の全体
を第２のスプリング４１に抗して前進できるようになっ
ており、操作ボタン４８は通常は操作ケース４７にねじ
込み固定されるキャップ５０によって覆われている。

【００２５】このように構成された遮断弁装置は、図１
に示すように、自己保持形ソレノイド１１のコイル１３
に無通電状態ではプランジャ１２が第１のスプリング４
０に打ち勝ってマグネット１５の吸引力によって吸着
し、プランジャ１２が後退して弁体３８は弁座３７から
離れて開弁状態に保持されている。

【００２６】しかし、コイル１３に瞬間的に通電して逆
磁場を与えると、図２に示すように、第１のスプリング
４０の復元力によってプランジャ１２が前進して弁体３
８が弁座３７に接触して閉弁し、この状態を保持するよ
うになっている。

【００２７】弁体３８を開弁状態に復帰させるために
は、図３に示すように、復帰操作部４６の操作ボタン４
８によって自己保持形ソレノイド１１のヨーク１４を押
すと、自己保持形ソレノイド１１の全体は前進する。

【００２８】つまり、第２のスプリング４１を圧縮させ
ながら自己保持形ソレノイド１１全体を前進させると、
プランジャ１２の端面にコアピース１５ａが接触する。
したがって、プランジャ１２はマグネット１５の吸着力
によってコアピース１５ａに吸着されるとともに、自己
保持形ソレノイド１１の全体が前進することによって、
弁体３８を弁座３７に対して押し付けている。したがっ
て、復帰操作時に弁座３７と弁体３８との間からガスが
リークすることはない。

【００２９】次に、復帰操作部４６の操作ボタン４８か
ら手指を放すと、操作ボタン４８は復帰スプリング４９
によって復帰するとともに、自己保持形ソレノイド１１
全体は第２のスプリング４１の復元力によって後退す
る。

【００３０】このとき、プランジャ１２はコアピース１
５ａに磁気吸着されているため、弁体３８は自己保持形
ソレノイド１１とともに後退し、弁座３７から離間して
開弁状態に保持される。

【００３１】また、図４に示すように、復帰ボタン４８
を手指によって押し、その復帰途中で復帰ボタン４８を
固定する自損行為を想定した場合、自己保持形ソレノイ
ド１１のヨーク１４→コアピース１５ａ→プランジャ１
２と磁気回路が構成されているため、コイル１４に遮断
信号と同様の逆磁場を与えるとマグネット１５とプラン
ジャ１２とが切り離されて弁体３８が弁座３７に対して
押し付けられる。したがって、自損行為を防止できる。

【００３２】図６〜図９はこの考案の第２の実施例を示
すもので、第１の実施例と同一構成部分は同一番号を付
して説明を省略する。前記弁座３７に対向する取付けプ
レート１０の一部には開口部５１が設けられている。こ
の開口部５１はベース５２によって閉塞されており、こ
のベース５２と取付けプレート１０とは第１のＯリング
５３ａによってシールされている。

【００３３】ベース５２には支持部としての取付けボス
５３，５３が突設され、この取付けボス５３，５３には
支持柱５４，５４が螺合されている。また、ベース５２
の中央部には自己保持形ソレノイド１１のパイプ１３ａ
が挿入される貫通穴５５が穿設され、この内周面には環
状溝５５ａが形成されている。そして、この環状溝５５
ａには前記ベース５２とパイプ１３ａとの間をシールす
る第２のＯリング５６が装着されている。

【００３４】さらに、前記支持柱５４，５４には自己保
持形ソレノイド１１のヨーク１４、１４の一部を切起し
て形成した取付け片５７，５７の嵌合穴５８，５８が軸
方向移動自在に嵌合されている。つまり、自己保持形ソ
レノイド１１はベース５２に対してプランジャ１２の軸
方向に移動自在である。

【００３５】自己保持形ソレノイド１１のプランジャ１
２の先端部には弁体３８が装着され、この弁体３８の背
面とベース５２との間には弁体３８を閉弁方向に付勢す
る第１のスプリング５９が介在されている。

【００３６】さらに、前記ベース５２と取付け片５７，
５７との間には取付けボス５３および支持柱５４に嵌合
し、自己保持形ソレノイド１１を後退方向、つまり弁体
３８が弁座３７から離間する方向に付勢する第２のスプ
リング６０，６０が設けられている。

【００３７】そして、この自己保持形ソレノイド１１の
後退方向への移動量は支持柱５４，５４の頭部に固定し
たワッシャからなるストッパ６１によって規制され、ベ
ース５２の上面とヨーク１４の下面との間に弁体３８の
開閉ストロークより若干大きい間隔ｇを形成している。

【００３８】このように構成された遮断弁装置は、第１
の実施例と同様に、図６に示すように、自己保持形ソレ
ノイド１１のコイル１３に無通電状態ではプランジャ１
２が第１のスプリング５９に打ち勝ってマグネット１５
の吸引力によってコアピース１５ａに吸着し、プランジ
ャ１２が後退して弁体３８は弁座３７から離れて開弁状
態に保持されている。

【００３９】しかし、コイル１３に瞬間的に通電して逆
磁場を与えると、図７に示すように、第１のスプリング
５９の復元力によってプランジャ１２が前進して弁体３
８が弁座３７に接触して閉弁し、この状態を保持するよ
うになっている。

【００４０】弁体３８を開弁状態に復帰させるために
は、図８に示すように、復帰操作部４６の操作ボタン４
８によって自己保持形ソレノイド１１のヨーク１４を押
すと、自己保持形ソレノイド１１の全体は前進する。

【００４１】つまり、第２のスプリング６０，６０を圧
縮させながら自己保持形ソレノイド１１全体を前進させ
ると、プランジャ１２の端面にコアピース１５ａが接触
する。

【００４２】したがって、プランジャ１２はマグネット
１５の吸着力によってコアピース１５ａに吸着されると
ともに、自己保持形ソレノイド１１の全体が前進するこ
とによって、弁体３８を弁座３７に対して押し付けてい
る。したがって、復帰操作時に弁座３７と弁体３８との
間からガスがリークすることはない。

【００４３】次に、復帰操作部４６の操作ボタン４８か
ら手指を放すと、操作ボタン４８は復帰スプリング４９
によって復帰するとともに、自己保持形ソレノイド１１
全体は第２のスプリング６０，６０の復元力によって後
退する。

【００４４】このとき、プランジャ１２はコアピース１
５ａに磁気吸着されているため、弁体３８は自己保持形
ソレノイド１１とともに後退し、弁座３７から離間して
開弁状態に保持される。

【００４５】また、図９に示すように、復帰ボタン４８
を手指によって押し、その復帰途中で復帰ボタン４８を
固定する自損行為を想定した場合、自己保持形ソレノイ
ド１１のヨーク１４→コアピース１５ａ→プランジャ１
２と磁気回路が構成されているため、コイル１４に遮断
信号と同様の逆磁場を与えるとマグネット１５とプラン
ジャ１２とが切り離されて弁体３８が弁座３７に対して
押し付けられる。したがって、自損行為を防止できる。

【００４６】

【考案の効果】以上説明したように、この考案の請求項
１によれば、自己保持形ソレノイド全体をそのプランジ
ャの軸方向に沿って移動自在に支持する支持部を設ける
とともに、自己保持形ソレノイド全体を弁体が弁座から
離間する方向に付勢する第２のスプリングを設け、自己
保持形ソレノイドに対向して設けられ閉弁状態の弁体を
開弁状態に復帰させる際に前記第２のスプリングの復元
力に抗して自己保持形ソレノイド全体を前進させ、前記
自己保持形ソレノイドのコアピースにプランジャを吸着
させて弁体を第１のスプリングに抗して弁座から離間さ
せるように構成したことにある。

【００４７】したがって、閉弁から開弁状態に復帰させ
る復帰動作中に１次側から２次側にガスが流れることな
く、開弁状態に復帰してからガスを流通させることがで
きるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の第１の実施例の開弁状態にある遮断
弁装置の縦断側面図。

【図２】同実施例の閉弁状態にある遮断弁装置の縦断側
面図。

【図３】同実施例の復帰操作時の遮断弁装置の縦断側面
図。

【図４】同実施例の復帰操作途中で固定した時の遮断弁
装置の縦断側面図。

【図５】同実施例の遮断弁を組み込んだガスメータの一
部切欠した正面図。

【図６】この考案の第２の実施例の開弁状態にある遮断
弁装置の縦断側面図。

【図７】同実施例の閉弁状態にある遮断弁装置の縦断側
面図。

【図８】同実施例の復帰操作時の遮断弁装置の縦断側面
図。

【図９】同実施例の復帰操作途中で固定した時の遮断弁
装置の縦断側面図。

【図１０】従来の遮断弁装置の縦断側面図。

【符号の説明】

３…１次側、４…２次側、１１…自己保持形ソレノイ
ド、１２…プランジャ、１５…マグネット、１５ａ…コ
アピース、３７…弁座、３８…弁体、４０…第１のスプ
リング、４１…第２のスプリング、４６…復帰操作部。

フロントページの続き (72)考案者 小林 成広 東京都板橋区志村１丁目２番３号 株式 会社金門製作所内 (56)参考文献 特開 昭62−237186（ＪＰ，Ａ) 実開 昭61−79081（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 １次側と２次側とを連通する連通口に設
   けた弁座と、この弁座に対して接離自在な弁体と、この
   弁体を閉弁方向に付勢する第１のスプリングと、前記弁
   体に連結するプランジャを有し第１のスプリングの復元
   力に抗して弁体を開弁状態に保持する自己保持形ソレノ
   イドとからなる遮断弁装置において、前記自己保持形ソ
   レノイド全体をそのプランジャの軸方向に沿って移動自
   在に支持する支持部と、前記自己保持形ソレノイド全体
   を弁体が弁座から離間する方向に付勢する第２のスプリ
   ングと、前記自己保持形ソレノイドに対向して設けられ
   閉弁状態の弁体を開弁状態に復帰させる際に前記第２の
   スプリングの復元力に抗して自己保持形ソレノイド全体
   を前進させ、前記自己保持形ソレノイドのコアピースに
   プランジャを吸着させて弁体を第１のスプリングに抗し
   て弁座から離間させる復帰操作部とを具備したことを特
   徴とする遮断弁装置。