JP2564235Y2 - パンチプレスの金型 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、パンチプレスの金型
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、パンチプレスにおいては、ダイと
協働するパンチでワークに打抜き加工が施されている。
ワークに打抜き加工を施した際、打抜き音の低騒音化の
ために、シャー角付金型が使用されているのが一般的で
あり、シャー角はパンチ側に付けている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来のパンチプレスにおける金型は、パンチにシャー角を
付けた構成は、刃先に応力集中が生じチッピングとか磨
耗が生じ易い。このため、通常の金型に比べ刃先の再研
磨の回数が多くなる。

【０００４】ところが、パンチはパンチガイドの内部に
内蔵されているため、再研磨時は分解しないと研磨がで
きず、非常に面倒であり多くの工数と時間を必要とする
という問題があった。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前述のごとき従来の問題
に鑑みて、請求項１に係る考案は、ワークの打抜き加工
を行うパンチとダイとからなるパンチプレスの金型にお
いて、上記ダイの上面を傾斜して設け、上記ダイの上方
位置に配置されるパンチにおけるパンチガイドの下面で
ある材料衝突面を前記ダイの上面とほぼ等しい傾斜面に
形成して設け、前記パンチガイド内に上下動可能に設け
られたパンチ本体の下面を水平面に形成してなり、前記
ダイの上面と上記材料衝突面とによってワークの打抜き
加工部を傾斜した状態に保持した状態において前記パン
チ本体の水平な下面でもってワークの打抜き加工を行う
構成としてなるものである。

【０００６】請求項２に係る考案は、ワークの打抜き加
工を行うパンチとダイとからなるパンチプレスの金型に
おいて、上記ダイの上面を水平に対して傾斜して設け、
上記ダイの上方に配置されるパンチにおけるパンチガイ
ドの下面に、前記ワークの打抜き加工部を前記ダイの上
面へ押圧するための弾性体を設け、前記パンチガイド内
に上下動可能に設けられたパンチ本体の下面を水平に形
成してなり、前記パンチガイドの下面に設けた弾性体に
よってワークの打抜き加工部をダイの上面へ押圧して傾
斜した状態において前記パンチ本体の水平な下面でもっ
てワークの打抜き加工を行う構成としてなるものであ
る。

【０００７】

【実施例】以下、この考案の実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。

【０００８】図１を参照するに、パンチプレス１（一部
図示省略）における回転自在な支持部材としての上部タ
レット３と下部タレット５が互いに同期して図示省略の
フレームに支承されている。

【０００９】上部タレット３にはパンチ７を構成する一
部材としての中空円筒状からなるパンチガイド９が装着
されている。そのパンチガイド９内にはパンチ本体１１
が装着されている。パンチ本体１１の先端（図１におい
て下端）は水平面１３に形成され、パンチ本体１１の上
端には頭部１５が例えばねじなどで一体的に固定されて
いる。

【００１０】前記パンチガイド９の上部フランジ９Ａと
上部タレット３の上部との間に形成された凹部３Ａには
パンチガイド９をワークＷから浮かすために上方へ付勢
したリフトスプリング１７が介装されている。また、パ
ンチガイド９の下端面である材料衝突面１９はある一定
の傾斜角θである傾斜面に形成されている。

【００１１】更に、前記パンチ本体１１の頭部１５とパ
ンチガイドの上部フランジ９Ａとの間における外周部に
はワークＷに打抜き加工を施した後、パンチ本体１１を
ワークＷから抜き取るための上方へ付勢したストリップ
スプリング２１が介設されている。

【００１２】前記下部タレット５にはパンチ７に対応す
るダイ２３が軸心を一致させて装着されている。このダ
イ２３の裏逃げ部２５は例えば打抜かれたブランク片が
引掛からないように種々な形状を呈している。また、ダ
イ２３の上面２７は、上述したパンチガイド９の材料衝
突面１９に形成した傾斜角θと平行してほぼ同一傾斜の
傾斜面に設けられている。なお、符号２９はストライカ
を示す。

【００１３】上記構成により、その作用としては図４を
併せて参照するに、ダイ２３上にワークＷを載置し、ス
トライカ２９を下降させると、パンチ本体１１がストリ
ップスプリング２１の付勢力に抗して下降すると共に、
パンチガイド９もソフトスプリング１７の付勢力に抗し
て下降する。

【００１４】而して、パンチガイド９の材料衝突面１９
がワークＷを押し付け、ダイ２３の上面２７に設けた傾
斜角θとにより図４の図中に示されているように、ワー
クＷの打抜き加工部に変形が付与される。このとき、ワ
ークＷの表面とパンチ本体１１の水平面１３との間には
傾斜角θとほぼ同一の傾斜が相対的に形成される。そし
て、パンチ本体１１が更に下降して水平面１３によって
ワークＷの傾斜した打抜き加工部に打抜き加工が施され
る。

【００１５】ワークＷに打抜き加工が施された後、パン
チ本体１１、パンチガイド９が上昇し元の位置に戻され
ると共に、打抜かれた例えばブランク片はダイ２３の裏
逃げ部２５から落下されることとなる。

【００１６】上述したごとく、パンチガイド９の材料衝
突面１９とダイ２３の上面２７にある一定の傾斜角θを
形成したので、打抜き加工時にワークＷの打抜き加工部
に変形を付与して傾斜させ、パンチ本体１１の水平面１
３にて打抜き加工を施すので、パンチ本体１１の先端に
傾斜角θのシャー角を付けたものと同じ効果を奏するこ
とになり、打抜き荷重が減少し、打抜き時の衝撃が減少
すると共に、打抜き騒音の低減を図ることができる。

【００１７】また、パンチ刃先にシャー角を付けると寿
命が短かくなり再研磨を頻繁に行なう必要があり、パン
チ刃先にシャー角が付いているとフラットに比べ研磨し
ずらいが、本実施例のごとく、パンチガイド９の材料衝
突面１９とダイ２３の上面２７に傾斜角θを設けている
ので、いずれも外部に出ているので再研磨が楽にでき、
再研磨に要する時間と工数を大巾に低減することができ
る。

【００１８】図２に示されている第２例においては、パ
ンチ本体１１をガイドするパンチガイド３１の下部にス
トリッパプレート３３が設けられていて、このストリッ
パプレート３３の材料衝突面１９に傾斜角θを形成した
もので、その作用および効果は第１の実施例と同一であ
る。

【００１９】また、図３に示されているパンチは、ワー
クＷの板厚が薄く曲がり易い材料、例えば疵や曲がりが
残る恐れがあるアルミの薄板等にパンチ加工を施す際に
適用されるものである。すなわち、パンチ本体１１をガ
イドするパンチガイド３１の下部に弾性体３５（例えば
ウレタンゴム等）を設けてパンチ７を構成した。このた
め、パンチ加工時には弾性体３５はダイ２３の上面２７
に設けた傾斜角θに合せて変形するので、その作用およ
び効果は第１の実施例と同一となり、ワークＷに対して
疵や曲がりを残すことがない。

【００２０】なお、この考案は前述した各実施例に限定
されることなく、適宜の変更を行なうことにより、その
他の態様で実施し得るものである。

【００２１】

【考案の効果】以上のごとき実施例の説明より理解され
るように、要するに、請求項１に係る考案は、ワーク
（Ｗ）の打抜き加工を行うパンチ（７）とダイ（２３）
とからなるパンチプレスの金型において、上記ダイ（２
３）の上面（２７）を傾斜して設け、上記ダイ（２３）
の上方位置に配置されるパンチ（７）におけるパンチガ
イド（９）の下面である材料衝突面（１９）を前記ダイ
（２３）の上面（２７）とほぼ等しい傾斜面に形成して
設け、前記パンチガイド（９）内に上下動可能に設けら
れたパンチ本体（１１）の下面を水平面（１３）に形成
してなり、前記ダイ（２３）の上面（２７）と上記材料
衝突面（１９）とによってワーク（Ｗ）の打抜き加工部
を傾斜した状態に保持した状態において前記パンチ本体
（１１）の水平な下面でもってワーク（Ｗ）の打抜き加
工を行う構成としてなるものである。請求項２に係る考
案は、ワーク（Ｗ）の打抜き加工を行うパンチ（７）と
ダイ（２３）とからなるパンチプレスの金型において、
上記ダイ（２３）の上面（２７）を水平に対して傾斜し
て設け、上記ダイ（２３）の上方に配置されるパンチ
（７）におけるパンチガイド（９）の下面に、前記ワー
ク（Ｗ）の打抜き加工部を前記ダイ（２３）の上面へ押
圧するための弾性体（３５）を設け、前記パンチガイド
（９）内に上下動可能に設けられたパンチ本体（１１）
の下面を水平に形成してなり、前記パンチガイド（９）
の下面に設けた弾性体（３５）によってワーク（Ｗ）の
打抜き加工部をダイ（２３）の上面（２７）へ押圧して
傾斜した状態において前記パンチ本体（１１）の水平な
下面でもってワーク（Ｗ）の打抜き加工を行う構成とし
てなるものである。

【００２２】上記構成より明らかなように、請求項１，
２に係る本考案においては、水平なワークＷの打抜き加
工を行うとき、パンチガイド９によってワークＷの打抜
き加工部をダイ２３の傾斜した上面２７へ押圧して、上
記打抜き加工部を水平に対して傾斜せしめるものであ
る。そして、ワークＷの打抜き加工部がダイ２３の上面
に沿って傾斜した状態に変形してあるときに、パンチ本
体１１の水平な下面でもって打抜き加工を行う構成であ
る。

【００２３】したがって本考案によれば、ワークＷが水
平であり、かつパンチ本体１１の下面が水平であるにも
拘らず、パンチ本体１１の下面にシャー角を形成した場
合と同様の打抜き加工を行うことができ、打抜き加工部
を全周に亘って同時に打抜く場合に比較して駆動力を小
さくすることができると共に発生する騒音を抑制するこ
とができるものである。

【００２４】また、パンチガイドの材料衝突面並びにダ
イの上面とに形成した傾斜角が磨耗し再研磨する場合
は、いずれも外部にでているので再研磨が楽にでき、再
研磨に要する時間と工数を低減することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の主要部を示し、上，下部のタレット
に装着されたパンチとダイの断面図である。

【図２】この考案の第２の実施例を示し、パンチとダイ
の断面図である。

【図３】この考案の第３の実施例を示し、パンチとダイ
の断面図である。

【図４】この考案の作用説明図である。

【符号の説明】

１ パンチプレス ７ パンチ ９ パンチガイド １１ パンチ本体 １３ 水平面 １９ 材料衝突面 ２３ ダイ ２７ 上面 ３１ パンチガイド ３３ ストリッパプレート ３５ 弾性体 θ 傾斜角

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ワーク（Ｗ）の打抜き加工を行うパンチ
   （７）とダイ（２３）とからなるパンチプレスの金型に
   おいて、上記ダイ（２３）の上面（２７）を傾斜して設
   け、上記ダイ（２３）の上方位置に配置されるパンチ
   （７）におけるパンチガイド（９）の下面である材料衝
   突面（１９）を前記ダイ（２３）の上面（２７）とほぼ
   等しい傾斜面に形成して設け、前記パンチガイド（９）
   内に上下動可能に設けられたパンチ本体（１１）の下面
   を水平面（１３）に形成してなり、前記ダイ（２３）の
   上面（２７）と上記材料衝突面（１９）とによってワー
   ク（Ｗ）の打抜き加工部を傾斜した状態に保持した状態
   において前記パンチ本体（１１）の水平な下面でもって
   ワーク（Ｗ）の打抜き加工を行う構成としてなることを
   特徴とするパンチプレスの金型。
2. 【請求項２】 ワーク（Ｗ）の打抜き加工を行うパンチ
   （７）とダイ（２３）とからなるパンチプレスの金型に
   おいて、上記ダイ（２３）の上面（２７）を水平に対し
   て傾斜して設け、上記ダイ（２３）の上方に配置される
   パンチ（７）におけるパンチガイド（９）の下面に、前
   記ワーク（Ｗ）の打抜き加工部を前記ダイ（２３）の上
   面へ押圧するための弾性体（３５）を設け、前記パンチ
   ガイド（９）内に上下動可能に設けられたパンチ本体
   （１１）の下面を水平に形成してなり、前記パンチガイ
   ド（９）の下面に設けた弾性体（３５）によってワーク
   （Ｗ）の打抜き加工部をダイ（２３）の上面（２７）へ
   押圧して傾斜した状態において前記パンチ本体（１１）
   の水平な下面でもってワーク（Ｗ）の打抜き加工を行う
   構成としてなることを特徴とするパンチプレスの金型。