JP2559083Y2 - ユニットハウスにおける壁パネルのジョイント構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、仮設事務所または倉庫
等に使用される組立式の簡易なユニットハウスにおける
壁パネルのジョイント構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の壁パネルのジョイント構造にあっ
ては、専らジョイント部分より侵入する雨風を防ぐこと
を目的としており、そのために、壁パネルと壁パネルと
の連結部に複雑な形状の中柱を仲介させ、かつ、壁パネ
ルの四方を多数のボルトによって締着する構造となって
いた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかし、上記のような
構造では、組立が簡易であるはずのユニットハウスが、
壁パネルのジョイントの点において逆に煩雑となって、
本来の目的を達成し得なくなり、多数のボルトによって
締着させる時間も膨大とならざるを得ないものであっ
た。

【０００４】さらに、ボルト等によって壁パネルをユニ
ットハウス本体に締着するということは、その締着すべ
き位置を予め決定し、ユニットハウス本体および壁パネ
ルの当該位置にボルト貫通孔を穿設するとともに、当該
位置がユニットハウス本体のものと壁パネルのものとが
一致する必要があり、設計上および加工上の誤差が許容
されないものであった。

【０００５】しかも、仮に加工上で誤差が生じた場合に
は、壁パネルのジョイントは不可能となり、そのために
精密な加工が要求されることとなって、加工費用の低下
が阻害される原因となっていた。

【０００６】本考案は、上記諸点にかんがみ、ユニット
ハウスの組立時間を短縮することができ、加工時等にお
ける誤差が許容されるジョイント構造を実現することを
目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本考案は、上記の目的を
達成するために、内側の左右両側縁のうち上下端を除く
部分を凹状に構成した縦溝を設け、かつ、内側の上縁か
らさらに上方へ突出する天井側突出片を設けるととも
に、内側の下縁からさらに下方へ突出する床側突出片を
設けてなる壁パネルを一体的に構成し、一方、ユニット
ハウスの桁と天井パネルとの間に間隙を設けて天井側係
止溝を構成するとともに、根太および床パネルと土台と
の間に間隙を設けて床側係止溝を構成して、上記壁パネ
ルの天井側突出片をユニットハウスの天井側係止溝内
に、床側突出片を床側係入溝内にそれぞれ挿入して壁パ
ネルを係止できるようにし、さらに、複数の係止された
壁パネルを連続させたとき当接する壁パネルの左右の側
縁の縦溝によってできるジョイント溝に嵌入でき、か
つ、上端からさらに上方へ突出する摺動可能なパネル止
めプレートを備えるジョイント柱を構成し、ジョイント
溝内にジョイント柱を嵌入した後、パネル止めプレート
を壁パネルの天井側突出片の内側を該突出片よりも上方
へ摺動させて、母屋に押し当てることができるようにし
てなる構成とした。

【０００８】

【作用】上記のような構成にすれば、まず、壁パネル
は、その上下縁に設けた突出片をユニットハウスの天井
側係止溝および床側係止溝に挿入することにより、係止
されることとなり、この状態にするためには何らボルト
による締着を必要とするものではない。

【０００９】さらに、壁パネルの左右の側縁には縦溝を
構成してあることから、係止された状態にある壁パネル
を連続させたときには、当接する壁パネルの内側の左右
側縁において縦溝によるジョイント溝が構成されること
となり、しかも、該縦溝の上下端は閉塞された状態であ
るので、当然にジョイント溝の下端は閉塞された状態と
なる。

【００１０】そして、該ジョイント溝に嵌入できる程度
の幅と奥行を有するジョイント柱を該ジョイント溝内へ
嵌入することにより、該ジョイント柱の下端は該ジョイ
ント溝の下方閉塞部分に当接することができ、この状態
で、壁パネルの天井側突出部よりも内側において、パネ
ル止めプレートを上方へ摺動させることにより、天井側
係止溝内にパネル止めプレートを挿入することができ、
かつ、該パネル止めプレートを天井パネルの上部に設け
る母屋に到達させ、該パネル止めプレートを母屋に押し
付けた状態で停止することにより、ジョイント柱の下端
がジョイント溝の下方閉塞部分を押し付けることとな
り、この押し付け力により壁パネルを強固にジョイント
できることとなる。

【００１１】従って、ボルト等による締着は、せいぜい
パネル止めプレートを停止させるために使用する個所の
みとなり、壁パネルのジョイントが簡単となると同時
に、取り付け時間を短縮できることとなる。

【００１２】なお、係止される壁パネルを連続させたと
き、該壁パネルの左右側縁の当接部には若干の間隙が存
在し、この部分から雨風が侵入し得ないではないが、こ
こはジョイント柱がジョイント溝に嵌入されることで塞
がれることとなる。

【００１３】

【実施例】以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明
する。本考案は、図１および図２に示すように、壁パネ
ル１の内側の左側縁ａ右側縁ｂのうち上下端を除く部分
に縦溝２、３を設け、かつ、壁パネル１の内側の上縁か
らさらに上方へ突出する天井側突出片４を設けるととも
に、壁パネル１の内側の下縁からさらに下方へ突出する
床側突出片５を設け、壁パネル１を連続させたとき当接
する左側縁ａの縦溝２と右側縁ｂの縦溝３とによってで
きるジョイント溝１８（図４参照）に嵌入できるジョイ
ント柱６を設け、かつ、ジョイント柱６の上端にはボル
ト７により締着されるパネル止めプレート８を設け、こ
のジョイント柱６にはパネル止めプレート８を、摺動さ
せるべき方向に必要程度の規制溝９を設けておき、ボル
ト７による締着力を若干緩めた状態でパネル止めプレー
ト８を摺動可能にし、一方、ユニットハウスの桁１０と
天井パネル１１との間に天井側係止溝１２を設け、根太
１３および床パネル１４と土台１５との間に床側係止溝
１６を設けたものである。

【００１４】従って、図３に示すように、壁パネル１を
持ち上げて、壁パネル１の天井側突出片４をユニットハ
ウスの天井側係止溝１２内に挿入した後、壁パネル１を
降ろしながら床側突出片５を床側係入溝１６内に挿入す
ることにより、壁パネル１を容易に係止させることがで
き、図４に示すように、係止された状態の壁パネル１を
連続させて、壁パネル１の左側縁ａと他の壁パネル１の
右側縁ｂとを当接させることにより、縦溝２、３による
ジョイント溝５を構成することができ、図２に示すよう
に、ジョイント溝５内にジョイント柱６を嵌入した後、
壁パネル１の天井側突出片４よりも内側において、パネ
ル止めプレート８を上方へ摺動させることにより、天井
側係止溝１２内にパネル止めプレート８を挿入すること
ができ、かつ、パネル止めプレート８を天井パネル１１
の上部に設ける母屋１７に到達させ、パネル止めプレー
ト８を母屋１７に押し付けた状態でボルト７により締着
させることにより、ジョイント柱６の下端ｃがジョイン
ト溝５の下方閉塞部分ｄを押し付けることとなり、この
押し付け力により壁パネル１を強固にジョイントできる
こととなる。

【００１５】天井側突出片４および床側突出片５は、壁
パネル１と一体的に構成するものであるが、図５に示す
ように、壁パネル１を本体部１９と突出部２０、２１と
を分離し、本体部１９は左右の側縁に縦溝２、３を設け
た構成にし、突出部２０、２１は、Ｌ型鋼またはＬ型に
成形した金属材を用い、本体部１９の上端面２２に突出
部２０の一方の面２３を付設し、同様に、本体部１９の
下端面２４に突出部２１の一方の面２５を付設して、縦
溝２、３の上下端部分を閉塞するとともに、突出部２０
の他方の面２６を天井側突出片４と、突出部２１の他方
の面２６を床側突出片５とすることで、壁パネル１の構
造を簡易にすることができる。

【００１６】また、壁パネル１の左右の側縁ａ、ｂに設
ける縦溝２、３を、図６に示すように、狭幅にしたとし
ても、ジョイント柱６を横断面形状略コの字形にすれ
ば、当該縦溝２、３内に挿入できることとなり、同様の
効果を有することができるものである。

【００１７】なお、実施例を示す図面は、ジョイント柱
６の形状を全て横断面形状略コの字形にしているが、こ
れを一般的な柱状にしたとしても、また、中空四角柱状
にしたとしても、本考案の構成を左右するものではない
ことは、明らかである。

【００１８】また、天井側突出片４と床側突出片５の突
出長さを同一に構成すれば、壁パネル１の上下の定めが
なくなり、組み立て時に壁パネルの上下を確認せずに作
業できることとなり、非常に便利となる。

【００１９】

【考案の効果】以上のように、本考案は、壁パネルを係
止するためにボルト等による締着を不要とし、せいぜい
パネル止めプレートの固定のために用いる程度であるか
ら、ユニットハウスの組立時間を短縮することができ、
しかも、壁パネルのジョイント位置を確認することな
く、かつ、天井側および床側の突出部の突出長さを同一
にすることにより、壁パネルの上下をも確認することな
く組み立てることができるので、さらに時間を短縮でき
るものである。

【００２０】また、ボルト等によって締着させる構造で
ないことから、加工時においても高精度を要求されず、
ジョイント溝とジョイント柱とにおいても精度を要求す
るものではないことから、加工時等における誤差が許容
されるジョイント構造を実現し得るものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】主要部の構造を示す説明図

【図２】ジョイント構造を示す説明図

【図３】壁パネルの係止方法を示す説明図

【図４】壁パネルを連続させたときの説明図

【図５】他の実施例を示す説明図

【図６】他の実施例を示す説明図

【符号の説明】

１ 壁パネル ２、３ 縦溝 ４ 天井側突出片 ５ 床側突出片 ６ ジョイント柱 ７ ボルト ８ パネル止めフレーム ９ 規制溝 １０ 桁 １１ 天井パネル １２ 天井側係止溝 １３ 土台 １４ 床パネル １５ 根太 １６ 床側係止溝 １７ 母屋 １８ ジョイント溝 １９ 壁パネルの本体部 ２０、２１ 壁パネルの突出部 ２２ 本体部上端 ２３、２５ 突出部の一方の面 ２４ 本体部下端 ２６、２７ 突出部の他方の面 ａ、ｂ 壁パネル側縁

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 内側の左右両側縁のうち上下端を除く部
   分を凹状に構成した縦溝を設け、かつ、内側の上縁から
   さらに上方へ突出する天井側突出片を設けるとともに、
   内側の下縁からさらに下方へ突出する床側突出片を設け
   てなる壁パネルを一体的に構成し、一方、ユニットハウ
   スの桁と天井パネルとの間に間隙を設けて天井側係止溝
   を構成するとともに、根太および床パネルと土台との間
   に間隙を設けて床側係止溝を構成して、上記壁パネルの
   天井側突出片をユニットハウスの天井側係止溝内に、床
   側突出片を床側係入溝内にそれぞれ挿入して壁パネルを
   係止できるようにし、さらに、複数の係止された壁パネ
   ルを連続させたときに当接する壁パネルの左右の側縁の
   縦溝によってできるジョイント溝に嵌入でき、かつ、上
   端からさらに上方へ突出する摺動可能なパネル止めプレ
   ートを備えるジョイント柱を構成し、ジョイント溝内に
   ジョイント柱を嵌入したとき、パネル止めプレートを壁
   パネルの天井側突出片の内側を該突出片よりも上方へ摺
   動させて、母屋に押し当てることができるようにしてな
   ることを特徴とするユニットハウスにおける壁パネルの
   ジョイント構造。
2. 【請求項２】 前記壁パネルに設けた縦溝を、該壁パネ
   ルの左右側縁より若干離れた位置に狭幅に設けるととも
   に、ジョイント柱を横断面形状略コの字形に構成して、
   係止された複数の壁パネルを連続させた後、該ジョイン
   ト柱のコの字形先端部分が該縦溝内に嵌入できるように
   した請求項１記載のユニットハウスにおける壁パネルの
   ジョイント構造。
3. 【請求項３】 前記壁パネルの左右側縁を該側縁全体に
   わたって縦溝を構成するとともに、該壁パネルの上下の
   端面に沿ってＬ型鋼を付設して、該縦溝の上下端部分を
   該Ｌ型鋼の一方の面により閉塞するとともに、該Ｌ型鋼
   の他方の面を該壁パネルの天井側突出片および床側突出
   片とする請求項１記載のユニットハウスにおける壁パネ
   ルのジョイント構造。