JP2557346Y2 - 大型プレス加工装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本案は、順次直列状に設けられた
複数の大型プレス機械を有するプレス加工装置に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】複数の大型プレス機械を順次直列状に配
置して、複数のプレス加工を順次行うプレス加工装置で
は、各プレス機械間に材料を受渡しする材料搬送機構が
設けられている。この様なプレス加工装置は、先行工程
側のプレス機械（以下先行プレス機械）と後続工程側の
プレス機械（以下後続プレス機械）とを空間を介して順
次工程順に配置すると共に各プレス機械には夫々相互に
対向する様に搬送腕機構を設け、更に此等対向する１対
の搬送腕機構の中間には中間台を設けた構成であり、上
記先行プレス機械の搬送腕機構で、先行プレス機械で加
工された材料（以下半加工材料）を、該プレス機械から
取出すと共に、これを上記中間台に移送載置する様、又
上記中間台に載置されている半加工材料を上記後続プレ
ス機械の搬送腕機構によつて後続プレス機械に供給する
様作られている。而してこのために、上記搬送腕機構
は、１端をプレス機械の側枠に枢支された回動腕と、こ
の回動腕をプレス機械の金型位置と上記中間台との間に
おいて回動せしめると共に回動腕先端を金型位置と中間
台位置とにおいて昇降せしめる駆動手段とを有してい
る。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】この様な従来の装置で
は、搬送腕機構の半加工材料移送距離が回動腕の長さに
よつて決定されると共に回動腕の長さを長くする事は困
難であるから、半加工材料移送距離を長く採る事が困難
である。このためにプレス機械間の空間が広い場合に
は、上記中間台を移動型に作り、先行プレス機械から半
加工材料を受取る時は先行プレス機械側に接近し、又後
続プレス機械側に半加工材料を供給する時は後続プレス
機械側に接近する様に構成しているが、この様に搬送機
構を構成すると、プレス加工装置全体の構造が複雑にな
つて価格を高騰させると云う問題がある他、維持管理も
面倒になると云う問題がある。そして又この様なプレス
加工装置では、使用するプレス機械が大型であるため、
金型の取替えや保守点検等の作業をプレス機械の側方か
ら行う事が一般であるから、作業時においては、隣接す
るプレス機械間の空間に作業者が位置する必要がある。
従ってプレス機械間の空間が、回動腕の長さで限定され
て狭い場合には作業がやり難くなって作業効率が悪くな
ると共に、作業中においては回動腕が作業の邪魔になる
と云う問題もある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本案装置では、工程順に
順次配置された複数のプレス機械１０，１０′間の空間
に夫々無端条帯型移送装置を用いた搬送機構３０が配置
されている。この搬送機構３０は、隣接する２つのプレ
ス機械１０，１０′間に配設されると共に、両端を夫々
先行プレス機械１０と後続プレス機械１０′とに各別に
対向せしめた構成のブリッジ枠３２と、上記１対のプレ
ス機械１０，１０′間の中央に配置された中間台３７
と、上記ブリッジ枠３２に設けられて上記プレス機械１
０，１０′間を往復走行する無端条帯３３と、この無端
条帯３３に、上記中間台３７と上記各プレス機械１０，
１０′との中間に位置する様に設けられた１対の吸着部
３５，３５′と、此等吸着部３５，３５′を上記プレス
機械１０，１０′の金型１１，１１′の位置と、上記中
間台３７との位置で昇降せしめるべくブリッジ枠３２に
設けられた昇降駆動手段、例えばリンク機構３６と、上
記ブリッジ枠３２を、所望時においてプレス機械１０，
１０′間の空間から除去するべく、ブリッジ枠３２を半
加工材料４０の搬送方向と直交する方向に移動せしめる
ための移行手段３１とを備えている。上記無端条帯３３
は、上記吸着部３５，３５′の一方が上記プレス機械１
０，１０′の金型１１，１１′の一方に接近した時に、
他方の吸着部が中間台３７に接近する様に往復動作せし
められ、又上記１対の吸着部３５，３５′は金型１１，
１１′の位置と中間台３７の位置において同時に昇降動
作せしめられると共に先行プレス機械１０側の吸着部３
５は先行プレス機械１０の金型１１の半加工材料４０を
吸着して中間台３７で解放する様、又後続プレス機械１
０′側の吸着部３５′は中間台３７上の半加工材料４０
を吸着して後続プレス機械１０′の金型１１′で解放す
る様に動作設定されている。

【０００５】

【作 用】本案装置はこの様なものであるから、１対の
吸着部３５，３５′は同時に金型１１，１１′と中間台
３７との間を往復動し、一方の吸着部３５は先行プレス
機械１０から半加工材料４０を取出して中間台３７へ運
び他方の吸着部３５′は中間台３７上の半加工材料４０
を取上げて後続プレス機械１０′へ供給する事になる。
而してこの吸着部３５，３５′の往復行程は無端条帯３
３の長さと往復行程とにより定められる。搬送機構３０
は、そのブリッジ枠３２を移行手段３１によつて移行さ
す事で半加工材料４０の搬送路から除却する事が出来る
から、この様にしてプレス機械１０，１０′間空間を開
放してプレス機械１０，１０′の金型交換や保守点検を
行なう事が出来る。

【０００６】

【実 施 例】図１は本案プレス加工装置の略解図で、
多数のプレス機械１０が、多段階加工工程の順に従つ
て、即ち先行工程側プレス機械に後続工程側プレス機械
が隣接する様に順次直列状に配置されている。上記各プ
レス機械１０の間には空間２０が形成されると共に、こ
の空間には夫々搬送機構３０が設けられており、この搬
送機構３０で半加工材料４０が加工順序に沿つて送られ
る。図２、図３は、上記プレス加工装置中から隣接する
２箇のプレス機械を取出して示したものであり、先行プ
レス機械１０は図示しない先行工程側のプレス機械に対
しては後続工程側のプレス機械として位置づけられ、又
後続プレス機械１０′は図示しない後続工程側のプレス
機械に対しては先行工程側のプレス機械として位置づけ
られている。

【０００７】上記搬送機構３０は、図２、図３に示す如
く、上記１対のプレス機械１０，１０′間の空間２０に
設けられた基枠３０′と、この基枠３０′に設けられる
と共に空間２０の両側に位置する１対の移行手段３１，
３１′と、この移行手段３１，３１′によつて、随時半
加工材料４０の搬送方向と直交する方向例えば上方に向
けて移動せしめられ得ると共に常時プレス機械１０，１
０′に定置されるブリッジ枠３２と、該ブリッジ枠３２
に取付けられると共にガイドプーリー３３１により案内
される無端条帯３３と、この無端条帯３３を１対のプレ
ス機械１０，１０′間において往復走行せしめる駆動手
段、例えば駆動モータ３４と、上記無端条帯３３に取付
けられて、その走行動作によつて往復走行せしめられる
１対の吸着部３５，３５′と、この吸着部３５，３５′
を昇降せしめる駆動手段、例えばリンク機構３６と、更
に上記１対のプレス機械１０，１０′の中間に設けられ
た中間台３７とを有している。

【０００８】上記移行手段３１は、ブリッジ枠３２を水
平方向又は垂直方向へ移行せしめ得るものであれば良
い。而してブリッジ枠３２を水平方向へ移行せしめる場
合にはブリッジ枠３２の両端を支承するガイド枠や水平
移動のための駆動装置が用いられるが、実施例では、こ
の移行手段３１として、プレス機械１０，１０′に付設
された基枠３０′に雌螺子筒３０１を固設すると共に、
この雌螺子筒３０１に螺条杆３１１，３１１′を螺合挿
通し、更に又この螺条杆３１１，３１１′をブレーキ付
可逆転駆動モータ３１２で回転させる構成の昇降装置が
使用されている。而して上記螺条杆３１１，３１１′を
回転せしめるために螺条杆３１１，３１１′の下端には
回転ギャー３１３，３１３′が固設され、この回転ギャ
ー３１３，３１３′が、上記駆動モータ３１２と連結さ
れた変速機３１４，３１４′内で回転せしめられる様に
構成されている。上記変速機３１４，３１４′は同期回
転する様に１本の回転軸３１５により連結されていて、
これにより上記１対の螺条杆３１１，３１１′は同期回
転する。この実施例では、駆動モータ３１２でブリッジ
枠３２の両側にある回転ギャー３１３，３１３′を正方
向に回転させると螺条杆３１１，３１１′が雌螺子筒３
０１内を上昇するから、これによってブリッジ枠３２が
上昇せしめられ、又反対に駆動モータ３１２を逆転させ
ると螺条杆３１１，３１１′が雌螺子筒３０１内を降下
するから、これによってブリッジ枠３２が降下せしめら
れる。

【０００９】上記無端条帯３３は上記ブリッジ枠３２に
直接設けても良いが、実施例ではブリッジ枠３２を支持
体とした昇降枠３２１に設けてある。この昇降枠３２１
は、ブリッジ枠３２に設けた左右１対のリンク機構３
６，３６′によって昇降動作せしめられる様に構成され
ており、此等リンク機構３６，３６′は駆動モータ３６
１により所定の時間的間隔で駆動される。上記昇降枠３
２１には、吸着部３５，３５′が上記中間台３７と上記
プレス機械１０，１０′との中間に位置する様に取付け
られており、この各吸着部３５，３５′には、４箇の吸
盤３５１，３５２・・・，３５１′３５２′・・が夫々
正方形の各隅に位置する様に配置してある。上記吸着部
３５，３５′は上記昇降枠３２１の下方に設けられた１
本の摺動枠３２２の両端に設けてあり、この摺動枠３２
２は上記無端条帯３３に連結板３３２を介して連結さ
れ、無端条帯３３の往復走行によってプレス機械１０，
１０′と中間台３７との間を往復する。このために、上
記昇降枠３２１には横長のガイド孔３２３，３２３が透
設されており、このガイド孔３２３を通して連結板３３
２が無端条帯３３に連結されている。而してこの様に無
端条帯３３を用いた搬送機構３０としては、特公昭６３
−２２８９６号公報、特公昭６３−２１５７３号公報、
特公昭６３−７８６１号公報、実公昭６３−４４１９７
号公報に開示された搬送装置を適宜使用する事も出来
る。

【００１０】図４は上記吸着部３５，３５′の動作を説
明するもので、此等吸着部はその先行プレス機械１０側
にある第１吸着部３５が先行プレス機械１０の金型１１
の位置で降下して半加工材料４０を吸着すると同時に、
後続プレス機械１０′側にある第２吸着部３５′が中間
台３７に降下して台上にある半加工材料４０を吸着し、
次いで両吸着部３５，３５′は上昇すると共に図４の矢
印ａ方向へ移動して半加工材料４０を所定距離搬送し、
第１吸着部３５は中間台３７の位置で、又第２吸着部３
５′は後続プレス機械１０′の金型１１′の位置で同時
に降下すると共に、夫々が吸着している半加工材料４０
を解放し、その後矢印ｂの方向へ移動して、所定の原位
置、例えば中間第３７と各プレス機械１０，１０′との
間に復帰して待機する。従つてこの段階では、両プレス
機械１０，１０′はプレス加工動作を再開出来ると共に
中間台３７には半加工材料４０が装置されている。

【００１１】

【考案の効果】本案装置は、この様に無端条帯３３の往
復動作によつて吸着部３５，３５′を移行せしめ、この
吸着部３５，３５′によつて半加工材料４０を搬送する
ものであるから、移送距離を長くする事が出来、従つて
プレス機械１０，１０′間の空間２０を広くしても容易
に半加工材料４０を移送出来る効果がある。そして又本
案装置では、上記搬送機構３０を、随時、半加工材料４
０の搬送方向と直交する方向に移動せしめて空間２０か
ら撒去出来るから、プレス機械の金型取替えや保守点検
等も支障なく行なう事が出来ると云う効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本案装置の構成を示す略解平面図である。

【図２】同上装置の正面図である。

【図３】第２図の１部の拡大図である。

【図４】本案装置の搬送機構の動作説明図である。

【符号の説明】

１０ プレス機械 ２０ 空間 ３０ 搬送機構 ３１ 移行手段 ３２ ブリッジ枠 ３３ 無端条帯 ３４ 駆動手段としてのモータ ３５ 吸着部 ３６ 昇降駆動手段としてのリンク機構 ３７ 中間台 ４０ 半加工材料

フロントページの続き (73)実用新案権者 597096987 伊達 文康 埼玉県大宮市東大成町１丁目102番地の ２ (73)実用新案権者 597096998 伊達 文子 埼玉県大宮市東大成町１丁目102番地の ２ (72)考案者 伊達 正樹 埼玉県大宮市東大成町１の102の２ (56)参考文献 特開 昭63−80933（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−261458（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−45435（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−277593（ＪＰ，Ａ) 実開 昭57−44641（ＪＰ，Ｕ) 特公 昭63−7861（ＪＰ，Ｂ２) 特公 昭63−22896（ＪＰ，Ｂ２) 特公 昭63−21573（ＪＰ，Ｂ２) 実公 昭63−44197（ＪＰ，Ｙ２)

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数のプレス機械をプレス加工の工程順
   に順次直列状に配置し、上記プレス機械間に形成される
   空間には搬送機構を設け、この搬送機構は、両端を隣接
   する２箇のプレス機械に対向する様配置されたブリッジ
   枠と、上記２箇のプレス機械の中間点に配置された中間
   台と、上記ブリッジ枠に設けられると共に、上記２箇の
   プレス機械間を所定行程往復走行する無端条帯と、この
   無端条帯に上記中間台を介して対向する様に設けられる
   と共に上記無端条帯の走行動作によって上記プレス機械
   の金型と上記中間台との間を夫々走行する１対の吸着部
   と、該吸着部をプレス機械の金型位置と上記中間台位置
   において昇降せしめるべく上記ブリッジ枠に設けられた
   昇降駆動手段と、上記ブリッジ枠を所望時において半加
   工材料の搬送方向と直交する方向に移動撒去せしめるた
   めの移行手段とを有する大型プレス加工装置。