JP2554538C - - Google Patents

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JP2554538C
JP2554538C JP2554538C JP 2554538 C JP2554538 C JP 2554538C JP 2554538 C JP2554538 C JP 2554538C
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、ポリプロピレンの製造方法に関し、更に詳しくは、特定の予備活性
化触媒を用いて、高結晶性で透明性の良好なポリプロピレンを製造する方法に関
する。 [従来の技術とその課題] ポリプロピレンは他のプラスチックと比較して、軽量性、成形性、機械的強度
、化学的安定性等に優れ、また経済性においても優位なことから、フィルム、シ
ートをはじめとする各種成形品の製造に広く用いられている。 しかしながら、ポリプロピレンは半透明であり、用途分野においては商品価値
を損なう場合があり、透明性の向上が望まれていた。 この為、ポリプロピレンの透明性を改良する試みがなされており、たとえば、
芳香族カルボン酸のアルミニウム塩(特公昭40−1652号公報等)や、ベン
ジリデンソルビトール誘導体(特開昭51−22740号公報等)等の造核剤を
ポリプロピレンに添加する方法があるが、芳香族カルボン酸のアルミニウム塩を
使用した場合には、分散性が不良なうえに、透明性の改良効果が不十分であり、
また、ベンジリデンソルビトール誘導体を使用した場合には、透明性においては
一定の改良が見られるものの、加工時に臭気が強いことや、添加物のブリード現
象(浮き出し)が生じる等の課題を有していた。 上述の造核剤添加時の課題を改良するものとして、ビニルシクロヘキサン、p
−t−ブチルスチレン、アリルトリメチルシランや4,4−ジメチルペンテン−
1等を少量重合させて予備活性化処理した触媒を用いてプロピレンの重合を行う
方法(特開昭60−139710号公報、特開昭63−15803号公報、特開
昭63−15804号公報、特開昭63−218709号公報等)が提案されて
いるが、本発明者等が該提案の方法に従ってポリプロピレンの製造を行ったとこ
ろ、いずれの方法においてもプロピレンの重合活性が低下するのみならず、塊状
ポリマーの生成や、重合器壁へのスケール付着、重合反応のコントロール性不良
といった運転上の課題が生じるので、工業的な長期間の連続重合法は採用できな
い方法であった。 更に、得られたポリプロピレンをフィルムに加工した場合には透明性において
一定の改良が見られたものの、該フィルムにはボイドが多数発生しており、商品
価値を損なうものであった。 また該方法の改良技術として、ビニルシクロヘキサン等の少量重合後にプロピ
レンを更に少量重合させて得られる、2段予備活性化処理した触媒を用いてプロ
ピレンを重合する方法(特開昭63−37105号広報)が提案されているが、
該提案の方法においても運転性の改善は不十分であり、特にプロピレンを気相で
反応させる気相重合法においては長期間の連続運転が不可能であるばかりでなく
、既述の1段予備活性化技術と同様なフィルムのボイド発生という課題を有して
いた。 本発明者等は、以上の従来技術が抱えている諸課題を解決する、ボイドが少な く透明性の改良されたポリプロピレンを安定して長期間製造する方法について鋭
意研究した。その結果、直鎖オレフィンを少量重合させた後、更に非直鎖オレフ
ィンを少量重合させて得られる、2段予備活性化処理した触媒を使用してポリプ
ロピレンを製造する場合には、既述した従来技術の製造上および品質上の課題を
解決することを見いだし、本発明に至った。 以上の説明から明らかなように本発明の目的はボイドの発生が極めて少ない、
透明性の著しく優れた、ポリプロピレンを運転上の問題を生じることなく安定し
て製造する方法を提供することにある。他の目的はボイドの発生が極めて少ない
、透明性の著しく優れたポリプロピレンを提供することにある。 [課題を解決するための手段] 本発明は以下の構成を有する。 (1)三塩化チタン組成物もしくは、チタン、マグネシウム、ハロゲンおよび
電子供与体(B2)を必須成分とする四塩化チタン含有担持型固体触媒成分と、
チタン含有個体触媒成分と、 有機アルミニウム化合物(A1)、および必要に応じて、 電子供与体(B1) とを組み合わせ、このものに、 直鎖オレフィンを該チタン含有固体触媒成分1g当り、0.01g〜100g
重合反応させた後、更に、 非直鎖オレフィン(3−メチル−ブテン−1を除く)を該チタン含有固体触媒
成分1g当り、0.001g〜100g重合反応させてなる予備活性化した触媒
を用いてプロピレン、若しくはプロピレンとプロピレン以外のオレフィンを重合
させることを特徴とするポリプロピレンの製造方法。 (2)有機アルミニウム化合物(A1)として、一般式がA1R1 pR2 p'3-(p+p')
式中R1,R2はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基等の炭化水素基または
アルコキシ基を、Xはハロゲンを表わし、またp,p’は0<p+p’≦3の任意の
数を表わす。)で表わされる有機アルミニウム化合物を用いる前記第(1)項に
記載の製造方法。 (3)非直鎖オレフィンとして、ケイ素を含んでいてもよい炭化水素の飽和環状 構造およびC=C結合を有する、ケイ素を含んでいてもよい炭素数5から20ま
での含飽和環炭化水素単量体を用いる前記第(1)項に記載の製造方法。 (4)非直鎖オレフィンとして、次式、 (式中、R3はケイ素を含んでいてもよい炭素数1から3までの鎖状炭化水素基
、またはケイ素を表わし、R4,R5,R6はケイ素を含んでいてもよい炭素数1から
6までの鎖状炭化水素基を表わすが、R4,R5,R6のいずれか1個は水素であって
もよい。)で示される枝鎖オレフィン類(3−メチル−ブテン−1を除く)を用
いる前記第(1)項に記載の製造方法。 (5)非直鎖オレフィンとして、次式、(式中、nは0,1、mは1,2のいずれかであり、R7はケイ素を含んでいても
よい炭素数1から6までの鎖状炭化水素基を表わし、R8はケイ素を含んでいても
よい炭素数1から12までの炭化水素基、水素、またはハロゲンを表わし、mが
2の時、各R8は同一でも異なってもよい。)で示される芳香族系単量体を用いる
前記第(1)項に記載の製造方法。 本発明に用いるチタン含有固体触媒成分は、立体規則性ポリプロピレン製造用
チタン含有固体触媒成分であれば公知のどの様なものでも使用可能であるが、工
業生産上、好適には、特公昭59−28573号公報、特開昭58−17104
号公報等に記載の方法で得られる三塩化チタン組成物を主成分とするチタン含有
固体触媒成分や、特開昭62−104810号公報、特開昭62−104811
号公報、特開昭62−104812号公報等に記載のマグネシウム化合物に四塩
化チタンを担持した、チタン、マグネシウム、ハロゲン、および電子供与体を必
須成分とするチタン含有担持型触媒成分が用いられる。 また、有機アルミニウム化合物(A1)としては、一般式がA1R1 p2 p'3-(p+
p')(式中R1,R2はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基等の炭化水素基
またはアルコキシ基を、Xはハロゲンを表わし、またp,p’は0<p+p’≦3の
任意の数を表わす。)で表わされる有機アルミニウム化合物が用いられる。 具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn
−プロピルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリi−ブチルアルミ
ニウム、トリn−ヘキシルアルミニウム、トリi−ヘキシルアルミニウム、トリ
2−メチルペンチルアルミニウム、トリn−オクチルアルミニウム、トリn−デ
シルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム類、ジエチルアルミニウムモノ
クロライド、ジn−プロピルアルミニウムモノクロライド、ジi−ブチルアルミ
ニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムモノフルオライド、ジエチルアル
ミニウムモノブロマイド、ジエチルアルミニウムモノアイオダイド等のジアルキ
ルアルミニウムモノハライド類、ジエチルアルミニウムハイドライド等のジアル
キルアルミニウムハイドライド類、メチルアルミニウムセスキクロライド、エチ
ルアルミニウムセスキクロライド等のアルキルアルミニウムセスキハライド類、
エチルアルミニウムジクロライド、i−ブチルアルミニウムジクロライド等のモ
ノアルキルアルミニウムジハライド類などがあげられ、他にモノエトキシジエチ
ルアルミニウム、ジエトキシモノエチルアルミニウム等のアルコキシアルキルア
ルミニウム類を用いることもできる。これらの有機アルミニウム化合物は2種類
以上を混合して用いることもできる。 更に必要に応じて用いる電子供与体(B1)としては、通常のプロピレン重合の
際に、立体規則性向上の目的で使用される公知の電子供与体が用いられる。 電子供与体として用いられるものは、酸素、窒素、硫黄、燐のいずれかの原子
を有する有機化合物、すなわち、エーテル類、アルコール類、エステル類、アル
デヒド類、脂肪酸類、ケトン類、ニトリル類、アミン類、アミド類、尿素または
、チオ尿素類、イソシアネート類、アゾ化合物、ホスフィン類、ホスファイト類
、ホスフィナイト類、硫化水素又はチオエーテル類、チオアルコール類、シラノ
ール類やSi−O−C結合を有する有機ケイ素化合物などである。 具体例としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエ ーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−i−アミルエーテル、ジ−n−ペンチル
エーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、ジ−i−ヘキシルエーテル、ジ−n−オ
クチルエーテル、ジ−i−オクチルエーテル、ジ−n−ドデシルエーテル、ジフ
ェニルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコー
ルジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、メタノール、エタノ
ール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール
、2−エチルヘキサノール、アリルアルコール、ベンジルアルコール、エチレン
グリコール、グリセリン等のアルコール類、フェノール、クレゾール、キシレノ
ール、エチルフェノール、ナフトール等のフェノール類、メタクリル酸メチル、
ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸n−プロ
ピル、酢酸i−プロピル、ギ酸ブチル、酢酸アミル、酢酸n−ブチル、酢酸オク
チル、酢酸フェニル、プロピオン酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、
安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸2−エチルヘ
キシル、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、アニス酸メチル、アニス酸エチ
ル、アニス酸プロピル、アニス酸フェニル、ケイ皮酸エチル、ナフトエ酸メチル
、ナフトエ酸エチル、ナフトエ酸プロピル、ナフトエ酸ブチル、ナフトエ酸2−
エチルヘキシル、フェニル酢酸エチル等のモノカルボン酸エステル類、コハク酸
ジエチル、メチルマロン酸ジエチル、ブチルマロン酸ジエチル、マイレン酸ジブ
チル、ブチルマイレン酸ジエチル等の脂肪族多価カルボン酸エステル類、フタル
酸モノメチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−プロピ
ル、フタル酸モノ−n−ブチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−i−ブ
チル、フタル酸ジ−n−ヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸
ジ−n−オクチル、イソフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジプロピル、イソフタ
ル酸ジブチル、イソフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、テレフタル酸ジエチル、
テレフタル酸ジプロピル、テレフタル酸ジブチル、ナフタレンジカルボン酸ジ−
i−ブチル等の芳香族多価カルボン酸エステル類、アセトアルデヒド、プロピオ
ンアルデヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸
、酪酸、修酸、コハク酸、アクリル酸、マイレン酸、吉草酸、安息香酸等のカル
ボン酸類、無水安息香酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸等の酸無水 物、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ベンゾフェノン
等のケトン類、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、メチルアミン
、ジエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、β(N,N−ジメ
チルアミノ)エタノール、ピリジン、キノリン、α−ピコリン、2,4,6−トリ
メチルピリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2,4,5,5−テトラメ
チルピロリジン、N,N,N’,N’,−テトラメチルエチレンジアミン、アニリン、
ジメチルアニリン等のアミン類、ホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド
、N,N,N’,N’,N"−ペンタメチル−N’−β−ジメチルアミノメチルリン酸ト
リアミド、オクタメチルピロホスホルアミド等のアミド類、N,N,N’,N’−テト
ラメチル尿素等の尿素類、フェニルイソシアネート、トルイルイソシアネート等
のイソシアネート類、アゾベンゼン等のアゾ化合物、エチルホスフィン、トリエ
チルホスフィン、トリn−オクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ
フェニルホスフィンオキシド等のホスフィン類、ジメチルホスファイト、ジn−
オクチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリn−ブチルホスファイト
、トリフェニルホスファイト等のホスファイト類、エチルジエチルホスフィナイ
ト、エチルジブチルホスフィナイト、フェニルジフェニルホスフィナイト等のホ
スフィナイト類、ジエチルチオエーテル、ジフェニルチオエーテル、メチルフェ
ニルチオエーテル等のチオエーテル類、エチルチオアルコール、n−プロピルチ
オアルコール、チオフェノール等のチオアルコール類やチオフェノール類、トリ
メチルシラノール、トリエチルシラノール、トリフェニルシラノール等のシラノ
ール類、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニ
ルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン
、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、トリメチルエトキ
シシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルト
リエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ブ
チルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、エチルトリi−プロポ
キシシラン、ビニルアセトキシシラン等のSi−O−C結合を有する有機ケイ素化
合物等があげられる。 上述した、チタン含有固体触媒成分と、有機アルミニウム化合物(A1)、 および必要に応じて電子供与体(B1)とを組み合わせ、このものに、4直鎖オ
レフィンを該チタン含有固体触媒成分1g当り0.01g〜100g重合反応さ
せた後、更に、非直鎖オレフィンを該チタン含有固体触媒成分1g当り、0.
001g〜100g重合反応させて2段階に予備活性化し、本発明に使用する予
備活性化触媒とする。 直鎖オレフィンによる1段目の予備活性化は、チタン含有固体触媒成分1gに
対し、有機アルミニウム化合物(A1)0.005g〜500g、電子供与体(B1)0
〜500g、溶媒0〜50l、水素0〜1,000ml、および直鎖オレフィン
0.01g〜5,000gを用いる。 直鎖オレフィンによる1段目の予備活性化は0℃〜100℃の温度下、大気圧
〜50kg/cm2Gの圧下で、1分〜10時間かけてチタン含有固体触媒成分
1g当り、0.01gから100gの直鎖オレフィンを重合させる。チタン含有
固体触媒成分1g当りの重合反応が0.01g未満では、運転性の改善及びボイ
ド抑制の効果が不十分であり、また100gを越えても該効果の向上が顕著でな
くなり、操作上の不利となる。 1段目の予備活性化反応が終了した後は、該反応混合物をそのまま次の第2段
目の予備活性化反応に用いることができる。また、共存する溶媒、未反応の直鎖
オレフィン、および有機アルミニウム化合物 (A1)等を濾別もしくはデカンテー
ションして除き、粉粒体若しくは該粉粒体に溶媒を加えて懸濁した状態とし、こ
のものに追加の有機アルミニウム化合物 (A1)、および必要に応じて電子供与体
(B1)を添加して2段目の非直鎖オレフィンによる予備活性化に用いてもよい。 非直鎖オレフィンによる2段目の予備活性化は、1段目の予備活性化と同様な
反応条件下において直鎖オレフィンに代えてチタン含有固体触媒成分1g当り、
0.01g〜5,000gの非直鎖オレフィンを用いてチタン含有固体触媒成分
1g当り、0.001g〜100g、好ましくは0.01g〜100g重合させ
る事が望ましい。重合反応量が0.001g未満では透明性の向上効果が不十分
であり、100gを越えると効果の向上が顕著でなくなり、経済的に不利となる
。 以上の1段目および2段目の予備活性化処理は上記の方法に従って、まず直鎖 オレフィンによる予備活性化処理を行い、次に非直鎖オレフィンによる予備活性
化処理を行う事が必須条件であって、予備活性化処理の順序が逆であると本発明
の効果が得られない。 なお、2段目の予備活性化処理終了後に、付加的に直鎖オレフィンによる3段
目の予備活性化処理をチタン含有固体触媒成分1g当り100g以下の反応量で
行うことも可能である。 予備活性化はn−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン等の炭化
水素溶媒中で行うこともでき、予備活性化の際に水素に共存させても良い。 予備活性化反応が終了した後は、該予備活性化触媒をそのままプロピレン、若
しくはプロピレンとプロピレン以外のオレフィンの重合に用いることもできるし
、また、共存する溶媒、未反応の非直鎖オレフィン、および有機アルミニウム化
合物 (A1)等を濾別若しくはデカンテーションして除き、粉粒体若しくは該粉粒
体に溶媒を加えて懸濁した状態とし、このものに追加の有機アルミニウム化合物
(A2)、および必要に応じて電子供与体(B2)とを組合せて触媒とし、プロピレン
、若しくはプロピレンとプロピレン以外のオレフィンの重合に洪する方法や、共
存する溶媒、および未反応の非直鎖オレフィンを減圧蒸留、または不活性ガス流
等により、蒸発させて除き、粉粒体若しくは該粉粒体に溶媒を加えて懸濁した状
態とし、このものに必要に応じて有機アルミニウム化合物(A3)を追加し、更に
必要に応じて電子供与体(B3)とを組み合せて触媒とし、プロピレン、若しくは
プロピレンとプロピレン以外のオレフィンの重合に用いることも可能である。 本発明の1段目の予備活性化に用いる直鎖オレフィンとしては、エチレン、プ
ロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキサン−1等の直鎖オレフィンが用い
られ、特にエチレン、プロピレンが好ましく用いられる。これらの直鎖オレフィ
ンは1種以上が用いられる。 本発明の2段目の予備活性化に用いる非直鎖オレフィンは、ケイ素を含んで
いてもよい炭化水素の飽和環状構造およびC=C結合を有する、ケイ素を含んで
いてもよい炭素数5から20までの含飽和環炭化水素単量体、 次式、 (式中、R3はケイ素を含んでいてもよい炭素数1から3までの鎖状炭化水素基
、またはケイ素を表わし、R4,R5,R6はケイ素を含んでいてもよい炭素数1から
6までの鎖状炭化水素基を表わすが、R4,R5,R6のいずれか1個は水素であって
もよい。)で示される枝鎖オレフィン類(3−メチルブテン−1を除く)や、 次式、 (式中、nは0,1、mは1,2のいずれかであり、R7はケイ素を含んでいてもよい炭
素数1から6までの鎖状炭化水素基を表わし、R8はケイ素を含んでいてもよい炭
素数1から12までの炭化水素基、水素、またはハロゲンを表わし、mが2の時
、各R8は同一でも異なってもよい。)で示される芳香族系単量体である。 具体的に示すと、の含飽和環炭化水素単量体の例としては、ビニルシクロプ
ロパン、ビニルシクロブタン、ビニルシクロペンタン、3−メチルビニルシクロ
ペンタン、ビニルシクロヘキサン、2−メチルビニルシクロヘキサン、3−メチ
ルビニルシクロヘキサン、4−メチルビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘプ
タン等のビニルシクロアルカン類、アリルシクロペンタン、アリルシクロヘキサ
ン等のアリルシクロアルカン類などのほか、シクロトリメチレンビニルシラン、
シクロトリメチレンメチルビニルシラン、シクロテトラメチレンビニルシラン、
シクロテトラメチレンメチルビニルシラン、シクロペンタメチレンビニルシラン
、シクロペンタメチレンメチルビニルシラン、シクロペンタメチレンエチルビニ
ルシラン、シクロヘキサメチレンビニルシラン、シクロヘキサメチレンメチルビ
ニルシラン、シクロヘキサメチレンエチルビニルシラン、シクロテトラメチレン
アリルシラン、シクロテトラメチレンメチルアリルシラン、シクロペンタメチレ ンアリルシラン、シクロペンタメチレンメチルアリルシラン、シクロペンタメチ
レンエチルアリルシラン等の飽和環状構造内にケイ素原子を有する含飽和環炭化
水素単量体や、シクロブチルジメチルビニルシラン、シクロペンチルジメチルビ
ニルシラン、シクロペンチルエチルメチルビニルシラン、シクロペンチルジエチ
ルビニルシラン、シクロヘキシルビニルシラン、シクロヘキシルジメチルビニル
シラン、シクロヘキシルエチルメチルビニルシラン、シクロブチルジメチルアリ
ルシラン、シクロペンチルジメチルアリルシラン、シクロヘキシルメチルアリル
シラン、シクロヘキシルジメチルアリルシラン、シクロヘキシルエチルメチルア
リルシラン、シクロヘキシルジエチルアリルシラン、4−トリメチルシリルビニ
ルシクロヘキサン、4−トリメチルシリルアリルシクロヘキサン等の飽和環状構
造外にケイ素原子を含んだ含飽和環炭化水素単量体などがあげられる。 の枝鎖オレフィンの例としては、3−メチルペンテン−1、3−エチルペン
テン−1等の3位枝鎖オレフィン、4−エチルヘキセン−1、4,4−ジメチル
ペンテン−1、4,4−ジメチルヘキセン−1等の4位枝鎖オレフィン、ビニル
トリメチルシラン、ビニルトリエチルシラン、ビニルトリn−ブチルシラン、ア
リルトリメチルシラン、アリルエチルジメチルシラン、アリルジエチルメチルシ
ラン、アリルトリエチルシラン、アリルトリn−プロピルシラン、3−ブテニル
トリメチルシラン、3−ブテニルトリエチルシラン等のアルケニルシラン類や、
ジメチルジアリルシラン、エチルメチルジアリルシラン、ジエチルジアリルシラ
ン等のジアリルシラン類等があげられる。 また、の芳香族系単量体としては、スチレン、およびその誘導体であるo−
メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等のアルキルスチレン類、2,4−ジメ
チルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチ
ルスチレン等のジアルキルスチレン類、2−メチル−4−フルオロスチレン、2
−エチル−4−クロロスチレン、o−フルオロスチレン、p−フルオロスチレン
等のハロゲン置換スチレン類、p−トリメチルシリルスチレン、m−トリエチル
シリルスチレン、p−エチルジメチルシリルスチレン等のトリアルキルシリルス
チレン類、o−アリルトルエン、p−アリルトルエン等のアリルトルエン類、2
−アリル−p−キシレン、4−アリル−o−キシレン、5−アリル−m−キシ レン等のアリルキシレン類、、ビニルジメチルフェニルシラン、ビニルエチルメ
チルフェニルシラン、ビニルジエチルフェニルシラン、アリルジメチルフェニル
シラン、アリルエチルメチルフェニルシラン等のアルケニルフェニルシラン類、
また、4−(o−トリル)−ブテン−1や1−ビニルナフタレン等があげられ、
これらの非直鎖オレフィンは1種以上が使用される。 また、プロピレンの重合若しくは共重合の際に、必要に応じて使用される有機
アルミニウム化合物 (A2)および (A3)と電子供与体 (B2)および (B3)は、そ
れぞれ予備活性化反応の際に用いた有機アルミニウム化合物 (A1)、電子供与体
(B1)と同様なものが例示でき、同種または異種のものが1種類以上用いられる
。また使用量も予備活性化反応の際と同様の範囲である。かくして得られた予備
活性化触媒は、プロピレンの単独重合若しくはプロピレンとプロピレン以外のオ
レフィンとの共重合に用いるが、溶媒を加えて、スラリー状態で重合に用いるこ
とも可能である。 本発明の方法においてプロピレン、若しくはプロピレンとプロピレン以外のオ
レフィンを重合させる重合形式としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−
ヘプタン、n−オクタン、ベンゼン若しくはトルエン等の炭化水素溶媒中で行う
スラリー重合、液化プロピレン中で行うバルク重合、プロピレン、若しくは
プロピレンとプロピレン以外のオレフィンを気相で重合させる気相重合若しくは
、以上の〜の二以上を段階的に組み合せる方法がある。いずれの場合も重
合温度は室温(20℃)〜200℃、重合圧力は大気圧(0Kg/cm2G)〜50K
g/cm2Gで、通常5分〜20時間程度実施される。 重合の際、分子量制御のための適量の水素を添加するなどは従来の重合方法と
同じである。 本発明の方法に於て、プロピレンと共に重合に供せられるオレフィンは、エチ
レン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1のような直鎖モノオレフィン類
、4−メチルペンテン−1、2−メチルペンテン−1などの枝鎖モノオレフィン
類、ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジオレフィン類などであり、
本発明の方法ではプロピレン等の単独重合のみならず、プロピレンと他のオレフ
ィンと組み合せて、例えばプロピレンとエチレン、プロピレンとブテン−1の如 く組み合せるかプロピレン、エチレン、ブテン−1のように三成分を組み合せて
共重合を行うことも出来、また、多段重合でプロピレン重合の前段、若しくは後
段において他のオレフィンを重合させるブロック共重合を行うこともできる。 [作用] 非直鎖オレフィンのみによる予備活性化処理、または非直鎖オレフィンの後に
プロピレンで2段目の予備活性化処理を行う従来の方法では、チタン含有固体触
媒成分が非直鎖オレフィンの重合反応時に超微粉化、若しくは膨潤化されてしま
い、引き続いてプロピレンによる予備活性化処理をしてもチタン含有固体触媒成
分の悪化した形状の回復はなされない。従って、該予備活性化触媒成分を乾燥し
てからプロピレンの重合に使用する場合には、乾燥時に塊状に固化してしまう結
果、塊状のポリプロピレンを生成してしまったり、また該予備活性化触媒成分を
スラリー状態のままでプロピレンの重合に使用する場合には、重合反応の暴走や
反応器壁へのスケール付着等の運転上の問題を引き起こす。その結果、得られた
ポリプロピレンにも品質上の問題を生じ、フィルムにした場合には多数のボイド
発生の原因となってしまっていた。 以上の従来技術に対して本発明に係る2段予備活性化処理は、1段目の直鎖オ
レフィンによる予備活性化によって、形状が良好でより解砕されにくい、しっか
りとしたチタン含有固体触媒成分を形成することにより2段目の非直鎖オレフィ
ンによる予備活性化処理時においてもその良好な形状を維持している。従って、
該予備活性化触媒をプロピレン、若しくはプロピレンとプロピレン以外のオレフ
ィンの重合に使用した場合には安定して継続的な重合運転が可能となる。 また、安定した重合運転の結果、得られるポリプロピレンの品質も安定するこ
と、更に2段の予備活性化処理によって生成した直鎖オレフィン−非直鎖オレフ
ィンブロック共重合体は、非直鎖オレフィン単独重合対に比してその直鎖オレフ
ィンブロック部分がポリプロピレンと相溶性を持つことによって、得られるポリ
プロピレンから製造したフィルムにはボイドの発生がきわめて少ない。また、上
記ブロック共重合体の高度な分散性により、非直鎖オレフィンブロックの持つ造
核作用が著しく発揮され、透明性および結晶性においても優れたものとなってい
る。 [実施例] 以下、実施例によって本発明を説明する。実施例、比較例において用いられて
いる用語の定義、および測定方法は次の通りである。 MFR:メルトフローインデックス ASTM D−1238(L)による。 (単位:g/10分) 内部ヘーズ:表面の影響を除いたフィルム内部のヘーズであり、プレス機を用
いて温度200℃、圧力200kg/cm2G の条件下でポリプロピレンを厚さ150
μのフィルムとし、フィルムの両面に流動パラフィンを塗った後、 JIS K 7105に準拠してヘーズを測定した。 (単位:%) 結晶化温度:示差走査熱量計を用いて、10℃/分の降温速度で測定した。 (単位:℃) 曲げ弾性率:ポリプロピレン100重量部に対して、テトラキス[メチレン−
3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]メタン0.1重量部、およびステアリン酸カルシウム0.1重量部を混合し
、該混合物をスクリュー口径40mmの押出造粒機を用いて造粒した。ついで該
造粒物を射出成形機で溶融樹脂温度230℃、金型温度50℃でJIS形のテス
トピースを作成し、該テストピースについて湿度50%、室温23℃の室内で7
2時間放置した後、JIS K 7203に準拠しで曲げ弾性率を測定した。 (単位:kgf/cm2) ボイド:前項と同様にしてポリオレフィンの造粒を行い、得られた造粒物をT
−ダイ式製膜機を用い、溶融樹脂温度250℃で押出し、20℃の冷却ロールで
厚さ1mmのシートを作成した。該シートを150℃の熱風で70秒間加熱し、二
軸延伸機を用いて、縦横両方向に7倍づつ延伸し、厚さ20μの二軸延伸フィル
ムを得た。該フィルムを光学顕微鏡にて観察し、直径が10μ以上のボイドの数
を測定し、1cm2当り30個未満を○、30個以上を×で示した。 実施例1 (1)チタン含有固体触媒成分の製造 n−ヘキサン6l、ジエチルアルミニウムモノクロライド(DEAC)5.0
モル、ジイソアミルエーテル12.0モルを25℃で1分間混合し、5分間同温
度で反応させて反応生成液(I)(ジイソアミルエーテル/DEACのモル比2
.4)を得た。窒素置換された反応器に四塩化チタン40モルを入れ、35℃に
加熱し、これに上記反応生成液(I)の全量を30分間で滴下した後、同温度に
30分間保ち、75℃に昇温して更に1時間反応させ、室温迄冷却し上澄液を除
き、n−ヘキサン20lを加えてデカンテーションで上澄液を除く操作を4回繰
り返して固体生成物(II)を得た。 この(II)の全量をn−ヘキサン30l中に懸濁させ、ジエチルアルミニウム
モノクロライド200gを加え、30℃でプロピレン1.0kgを加え1時間反
応させ、重合処理を施した固体生成物(II−A)を得た(プロピレン反応量60
0g)。反応後、上澄液を除いた後、n−ヘキサン300mlを加えてデカンテ
ーションで除く操作を2回繰り返し、上記の重合処理を施した固体生成物(II−
A)2.5kgをn−ヘキサン6l中に懸濁させて、四塩化チタン3.5kgを
室温にて約10分間で加え、80℃にて30分間反応させた後、更に、ジイソア
ミルエーテル1.6kgを加え、80℃で1時間反応させた。反応終了後、上澄
液をデカンテーションで除いた後、40lのn−ヘキサンを加え、10分間撹拌
し、静置して上澄液を除く操作を5回繰り返した後、減圧で乾燥させ、三塩化チ
タン組成物を得た。 (2)予備活性化触媒成分の調製 内容積80lの傾斜羽根付きステンレス製反応器を窒素ガスで置換した後、n
−ヘキサン40l、ジエチルアルミニウムモノクロライド200g、チタン含有
固体触媒成分として(1)で得た三塩化チタン組成物450gを室温で加えた後
、反応器内の温度を40℃にし、プロピレン600gを加え、40℃で1時間、
1段目の予備活性化処理を行った(三塩化チタン組成物1g当り、プロピレン1
.0g反応)。 反応時間経過後、上澄液をデカンテーションで除いた後、40lのn−ヘキサ ンで2回固体を洗浄した。引き続いて、n−ヘキサン40l、ジエチルアルミニ
ウムモノクロライド200gを加えた後、反応器内の温度を40℃にし、ビニル
シクロヘキサン0.7kgを加え、40℃で2時間、2段目の予備活性化処理を
行った(三塩化チタン組成物1g当り、ビニルシクロヘキサン1.0g反応)。
反応終了後、n−ヘキサンで洗浄してから、濾過、乾燥して予備活性化触媒成分
を得た。 (3)プロピレンの重合 窒素置換をした内容積150lの撹拌機を備えたL/D=4の横型重合器にM
FR2.0のポリプロピレンパウダー30kgを投入後、上記(2)で得た予備
活性化触媒成分にn−ヘキサンを添加し、4.0重量%のn−ヘキサン懸濁液と
した後、該懸濁液をチタン原子換算で5.0ミリグラム原子/hr、ジエチルア
ルミニウムモノクロライドの30重量%ヘキサン溶液をジエチルアルミニウムモ
ノクロライドとして4.2g/hrで連続的に供給した。 また、重合器の気相中の濃度が1.0容積%を保つように水素を、全圧が23
kg/cm2Gを保つようにプロピレンをそれぞれ供給して、プロピレンの気相
重合を70℃において、160時間連続して行った。該重合中は、重合器内の重
合体の保有レベルが45容積%となるように重合体を連続的に13.5kg/h
rで抜き出した。抜き出された重合体を続いてプロピレンオキサイドを0.2容
積%含む窒素ガスを用いで95℃にて30分間接触処理し、ポリプロピレンを得
た。 比較例1 実施例1の(2)において、1段目と2段目の予備活性化処理を逆の順にして
、ビニルシクロヘキサンの反応後にプロピレンを反応させて予備活性化触媒成分
を得て、該予備活性化触媒成分を用いること以外は実施例1の(3)と同様にし
てプロピレンの重合を行ったところ、生成した塊状重合体が抜き出し配管を閉塞
してしまった為、重合開始後、6時間でプロピレンの重合を停止しなければなら
なかった。 比較例2 実施例1の(2)において、1段目のプロピレンによる予備活性化処理を省略
し、ビニルシクロヘキサンのみを反応させて予備活性化触媒成分を得て、該予備
活性化触媒成分を用いること以外は実施例1の(3)と同様にしてプロピレンの
重合を行ったところ、比較例1と同様に生成した塊状重合体が抜き出し配管を閉
塞してしまった為、重合開始後、4時間でプロピレンの重合を停止しなければな
らなかった。 比較例3 実施例1の(2)において、2段目のビニルシクロヘキサンによる予備活性化
処理を省略し、プロピレンのみを反応させて予備活性化触媒成分を得て、該予備
活性化触媒成分を用いること以外は実施例1の(3)と同様にしてプロピレンの
重合を行った。 比較例4 実施例1の(3)において、予備活性化触媒成分の代わりに、実施例1の(1
)で得た三塩化チタン組成物を用いること以外は同様にしてプロピレンの重合を
行った。 比較例5および実施例2,3 実施例1の(2)において、予備活性化に用いたプロピレンおよびビニルシク
ロヘキサンの使用量を変化させて、反応量がそれぞれ表のような予備活性化触媒
成分を得た。以後は実施例1の(3)と同様にしてポリプロピレンを得た。 実施例4 (1)チタン含有固体触媒成分の調製 攪拌機付きステンレス製反応器中において、デカン3l、無水塩化マグネシウ
ム480g、オルトチタン酸n−ブチル1.7kgおよび2−エチル−1−ヘキ
サノール1.95kgを混合し、撹拌しながら130℃に1時間加熱して溶解さ せ均一な溶液とした。該均一溶液を70℃とし、撹拌しながらフタル酸ジイソブ
チル180gを加え1時間経過後四塩化ケイ素5.2kgを2.5時間かけて滴
下し固体を析出させ、更に70℃に1時間加熱した。固体を溶液から分離し、ヘ
キサンで洗浄して固体生成物(III)を得た。 該固体生成物(III)全量を1,2−ジクロルエタン15lに溶かした四塩化
チタン15lと混合し、続いて、フタル酸ジイソブチル360g加え、撹拌しな
がら100℃に2時間反応させた後、同温度においてデカンテーションにより液
相部を除き、再び、1,2−ジクロルエタン15lおよび四塩化チタン15lを
加え、100℃に2時間撹拌し、ヘキサンで洗浄し乾燥してチタン含有担持型触
媒成分を得た。 (2)予備活性化触媒成分の調製 内容積30lの傾斜羽根付きステンレス製反応器を窒素ガスで置換した後、n
−ヘプタン20l、ジエチルアルミニウムモノクロライド400g、トリエチル
アルミニウム90g、ジフェニルジメトキシシラン55g、および上記(1)で
得たチタン含有担持型触媒成分100gを加えた後、プロピレン200gを供給
し、30℃で2時間、1段目の予備活性化処理を行った(チタン含有担持型触媒
成分1g当り、プロピレン1.8g反応)。次いでn−ヘプタンで洗浄後、濾過
し固体を得た。 引き続いて、n−ヘプタン20l、ジエチルアルミニウムモノクロライド40
0g、トリエチルアルミニウム90g、ジフェニルジメトキシシラン120g、
アリルトリメチルシラン0.5kgを加え、45℃で2時間、2段目の予備活性
化処理を行い(チタン含有担持型触媒成分1g当り、アリルトリメチルシラン2
.0g反応)、予備活性化触媒成分をスラリー状態で得た。 (3)プロピレンの重合 窒素置換をした内容積80lの撹拌機を備えたL/D=3の重合器にMFR
2.0のポリプロピレンパウダー20kgを投入後、上記(2)で得た予備活性
化触媒成分スラリーをチタン原子換算で0.302ミリグラム原子/hrで、更
にトリエチルアルミニウムを2.7g/hr、およびジフェニルジメトキシシラ
ンを0.50g/hrでそれぞれ別の供給口から連続的に供給した。 また、重合器の気相中の濃度が0.15容積%を保つように水素を、全圧が2
3kg/cm2Gを保つようにプロピレンをそれぞれ供給して、プロピレンの気
相重合を70℃において、120時間連続して行った。該重合中は、重合器内の
重合体の保有レベルが60容積%となるように重合体を連続的に10.0kg/
hrで抜き出した。抜き出された重合体を続いてプロピレンオキサイドを0.2
容積%含む窒素ガスを用いて95℃にて30分間接触処理し、ポリプロピレンを
得た。 比較例6 (1)実施例4の(1)と同様にしてチタン含有担持型触媒成分を得た。 (2)実施例4の(2)において、1段目と2段目の予備活性化処理の順序を逆
にして、アリルトリメチルシランの反応後にプロピレンを反応させること以外は
同様にして、予備活性化触媒成分を得た。 (3)実施例4の(3)において、予備活性化触媒成分として上記(2)で得た
予備活性化触媒成分を用いること以外は実施例4の(3)と同様にしてプロピレ
ンの重合を行ったところ、生成した塊状重合体が抜き出し配管を閉塞してしまっ
た為、重合開始後、15時間でプロピレンの重合を停止しなければならなかった
。 比較例7 実施例4の(2)において、1段目のプロピレンによる予備活性化処理を省略
し、アリルトリメチルシランのみを反応させて予備活性化触媒成分を得て、該予
備活性化触媒成分を用いること以外は実施例4の(3)と同様にしてプロピレン
の重合を行ったところ、比較例6と同様に生成した塊状重合体が抜き出し配管を
閉塞してしまった為、重合開始後、12時間でプロピレンの重合を停止しなけれ
ばならなかった。 比較例8 実施例4の(2)において、2段目のアリルトリメチルシランによる予備活性 化処理を省略し、プロピレンのみを反応させて予備活性化触媒成分を得て、該予
備活性化触媒成分を用いること以外は実施例4の(3)と同様にしてプロピレン
の重合を行った。 比較例9 実施例4の(3)において、予備活性化触媒成分の代わりに、実施例4の(1
)で得られたチタン含有担持型触媒成分を用いること以外は同様にしてプロピレ
ンの重合を行った。 実施例5 (1)チタン含有固体触媒成分の調製 n−ヘプタン4l、ジエチルアルミニウムモノクロライド5.0モル、ジイソ
アミルエーテル9.0モル、ジn−ブチルエーテル5.0モルを18℃で30分
間反応させて得た反応液を、四塩化チタン27.5モル中に40℃で300分間
かかって滴下した後、65℃に昇温し、1時間反応させ、上澄液を除き、n−ヘ
キサン20lを加えデカンテーションで除く操作を6回繰り返し、得られた固体
生成物(II)1.8kgをn−ヘキサン7l中に懸濁させ、四塩化チタン1.8
kg、n−ブチルエーテル1.8kgを加え、60℃で3時間反応させた。反応
終了後、上澄液をデカンテーションで除いた後、20lのn−ヘキサンを加えて
5分間撹拌し、静置して上澄液を除く操作を3回繰り返した後、減圧で乾燥させ
三塩化チタン組成物を得た。 (2)予備活性化触媒成分の調製 実施例1の(2)において、チタン含有固体触媒成分として上記(1)で得ら
れた三塩化チタン組成物450g、プロピレンの使用量を300gとし、またビ
ニルシクロヘキサンに代えて、4,4−ジメチルペンテン−1を1.5kg使用
すること以外は同様にして予備活性化触媒成分を得た。 (3)プロピレンの重合 実施例1の(3)において、予備活性化触媒成分として上記(2)で得られた
予備活性化触媒成分を使用し、全圧が23kg/cm2Gを保つように該触媒成 分を重合器に供給すること以外は同様にしてプロピレンの気相重合を行った。 実施例6 (1)三塩化チタン組成物の調製 n−ヘキサン12lに、四塩化チタン27.0モルを加え、1℃に冷却した後
、更にジエチルアルミニウムモノクロライド27.0モルを含むn−ヘキサン1
2.5lを1℃にて4時間かけて滴下した。滴下終了後15分間同温度に保ち反
応させた後、1時間かけて65℃に昇温し、更に同温度にて1時間反応させた。
次に上澄液を除き、n−ヘキサン10lを加え、デカンテーションで除く操作を
5回繰り返し、得られた固体生成物(II)5.7kgのうち、1.8kgをn−
ヘキサン11l中に懸濁し、これにジイソアミルエーテル1.2lおよび安息香
酸エチル0.4lを添加した。この懸濁液を35℃で1時間撹拌後、n−ヘキサ
ン3lで5回洗浄し処理固体を得た。得られた処理固体を四塩化チタン40容積
%および四塩化ケイ素10容積%のn−ヘキサン溶液6l中に懸濁した。 この懸濁液を65℃に昇温し、同温度で2時間反応させた。反応終了後、1回
にn−ヘキサン20lを使用し、3回得られた固体を洗浄した後、減圧で乾燥さ
せて三塩化チタン組成物を得た。 (2)予備活性化触媒成分の調製 実施例1の(2)において、チタン含有固体触媒成分として上記(1)で得ら
れた三塩化チタン組成物を450g、プロピレンの使用量を370g、またビニ
ルシクロヘキサンに代えて、p−トリメチルシリルスチレンを2.0kg使用す
ること以外は同様にして予備活性化触媒成分を得た。 (3)プロピレンの重合 実施例1の(3)において、予備活性化触媒成分として上記(2)で得られた
予備活性化触媒成分を使用し、全圧が23kg/cm2Gを保つように該予備活
性化触媒成分を重合器に供給すること以外は同様にしてプロピレンの気相重合を
行った。 実施例7 実施例5の(2)において、プロピレンの使用量を150g、また4,4−ジ
メチルペンテン−1に代えて、2−メチル−4−フルオロスチレンを2.7kg
使用すること以外は同様にして予備活性化触媒成分を得た。続いて、該予備活性
化触媒成分を用いること以外は実施例5の(3)と同様にしてプロピレンの重合
を行った。 実施例8 実施例1の(2)においてプロピレンに代えてエチレンを450Nl、またビ
ニルシクロヘキサンに代えてジメチルジアリルシランを3.2kg使用すること
以外は同様にして予備活性化触媒成分を得た。続いて、該予備活性化触媒成分を
用い、またプロピレンの気相重合時に重合器の気相中の濃度が0.2容積%を保
つようにエチレンを更に供給すること以外は実施例1の(3)と同様にしでプロ
ピレン−エチレン共重合を行った。 比較例10 実施例8において、(2)の予備活性化反応をせずに(3)のプロピレン−エ
チレン共重合時には、(1)で得た三塩化チタン組成物を予備活性化触媒成分の
代わりに使用すること以外は同様にしてプロピレン−エチレン共重合を行った。 実施例9 実施例1の(2)においてプロピレンに代えてエチレンを450Nl用いるこ
と以外は同様にして予備活性化触媒成分を得た。続いて該予備活性化触媒成分を
用いて実施例1の(3)と同様にしてプロピレンの重合を行いポリプロピレンを
得た。 実施例10 実施例4の(2)においてプロピレンに代えてエチレンを160Nl用いるこ
と以外は同様にして予備活性化触媒成分を得た。続いて該予備活性化触媒成分を
用いて実施例4の(3)と同様にしてポリプロピレンを得た。 実施例11 実施例5の(2)においてプロピレンに代えてエチレンを230Nl用いるこ
と以外は同様にして予備活性化触媒成分を得た。続いて該予備活性化触媒成分を
用いて実施例5の(3)と同様にしてポリプロピレンを得た。 実施例12 実施例6の(2)においてプロピレンに代えてエチレンを230Nl用いるこ
と以外は同様にして予備活性化触媒成分を得た。続いて該予備活性化触媒成分を
用いて実施例6の(3)と同様にしてポリプロピレンを得た。 実施例13 実施例7において、予備活性化時に、プロピレンに代えでエチレン140Nl
を用いること以外は同様にしてポリプロピレンを得た。 以上の実施例および比較例の予備活性化条件および重合結果を表に示す。 [発明の効果] 本発明の主要な効果は、フィルムにした際にもボイドの発生が少ない、透明性
と結晶性に著しく優れたポリプロピレンが、製造上の問題を何等生じることなく
安定して得られることである。 前述した実施例で明らかなように、本発明の方法によれば製造上の問題もなく
、長期間の安定生産が可能である。また得られたポリプロピレンを用いて製造し
たフィルムの内部ヘーズも1.8%〜4.2%であり、非直鎖オレフィンによる
予備活性化をしない通常のポリプロピレンを用いて製造したフィルムの約9%〜
約12%に比べて著しく高い透明性を有する。結晶化温度についても約9℃〜約
11℃上昇しており、著しく結晶性が向上した結果、曲げ弾性率も向上している
。(実施例1〜9、比較例3、4、8、9、10参照) 一方、非直鎖オレフィンの予備活性化処理を行っても、本発明の順序に従った
2段予備活性化処理をしない従来技術の方法によると、運転上の問題が発生し、
長期間の連続運転は不可能である。また得られたポリプロピレンも、フィルムと
した場合にはボイドの発生が多く、透明性と結晶性の向上も分散性に劣るため不
十分である。(比較例1、2、6、7参照)
【図面の簡単な説明】 第1図は、本発明の方法を説明するための製造工程図(フローシート)である

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 三塩化チタン組成物もしくは、チタン、マグネシウム、ハ
    ロゲンおよび電子供与体(B2)を必須成分とする四塩化チタン含有担持型固体
    触媒成分と、 有機アルミニウム化合物(A1)、および必要に応じて、 電子供与体(B1) とを組み合わせ、このものに、 直鎖オレフィンを該チタン含有固体触媒成分1g当り、0.01g〜100g
    重合反応させた後、更に、 非直鎖オレフィン(3−メチル−ブテン−1を除く)を該チタン含有固体触媒
    成分1g当り、0.001g〜100g重合反応させでなる予備活性化した触媒
    を用いてプロピレン、若しくはプロピレンとプロピレン以外のオレフィンを重合
    させることを特徴とするポリプロピレンの製造方法。 【請求項2】 有機アルミニウム化合物(A1)として、一般式がA1R1 pR2 p'
    X3-(p+p')(式中R1,R2はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基等の炭化
    水素基またはアルコキシ基を、Xはハロゲンを表わし、またp,p’は0<p+
    p’≦3の任意の数を表わす。)で表わされる有機アルミニウム化合物を用いる
    特許請求の範囲第1項に記載の製造方法。 【請求項3】 非直鎖オレフィンとして、ケイ素を含んでいてもよい炭化水
    素の飽和環状構造およびC=C結合を有する、ケイ素を含んでいでもよい炭素数
    5から20までの含飽和環炭化水素単量体を用いる特許請求の範囲第1項に記載
    の製造方法。 【請求項4】 非直鎖オレフィンとして、次式、 (式中、R3はケイ素を含んでいてもよい炭素数1から3までの鎖状炭化水素基
    、またはケイ素を表わし、R4,R5,R6はケイ素を含んでいてもよい炭素数1から
    6までの鎖状炭化水素基を表わすが、R4,R5,R6のいずれか1個は水素であって
    もよい。)で示される枝鎖オレフィン類(3−メチル−ブテン−1を除く)を用
    いる特許請求の範囲第1項に記載の製造方法。 【請求項5】 非直鎖オレフィンとして、次式、 (式中、nは0,1、mは1,2のいずれかであり、R7はケイ素を含んでいて
    もよい炭素数1から6までの鎖状炭化水素基を表わし、R8はケイ素を含んでい
    てもよい炭素数1から12までの炭化水素基、水素、またはハロゲンを表わし、
    mが2の時、各R8は同一でも異なってもよい。)で示される芳香族系単量体を
    用いる特許請求の範囲第1項に記載の製造方法。

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