JP2551634B2 - 空調構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明は、空調用熱源装置で生成した冷暖房用等の調
和空気を家屋の居室にダクトで供給循環させるための空
調構造に関するものである。

＜従来の技術＞ 家屋内での生活の快適性を向上させる手段の一つに空
調がある。そのための空調システムとしては、いわゆる
セントラルヒーティングシステムを採用したものが近年
普及してきている。これは、例えば屋外に設けた圧縮
機、モータ等の駆動機器及び凝縮用熱交換器、蒸発用熱
交換器等からなる熱源機器と、蒸気両熱交換器と熱交換
する熱媒循環回路とからなっている。こうした空調シス
テムにより、居室を冷暖房するにあたっては、熱媒循環
回路の放熱器から温風、冷風等の所要の調和空気をファ
ン装置で居室に吹出し、また吸込んで循環させるように
している。このようなケースでは、天井裏等に設置した
熱媒循環回路の放熱器からダクトを引き出し、この引き
出したダクトを壁体内に通して居室側の空調用室内ユニ
ットに接続するなどの手段が提供されている。

＜発明が解決しようとする課題＞ しかしながら、従来の如く壁体内にダクトを通して居
室側の空調用室内ユニットを機能させる構造では、その
施工が非常に煩雑になってコストアップを招くと共に、
既存の家屋には実質的に対処できないという問題があっ
た。また、壁体を構築した後に別途、居室空間に空調用
室内ユニットを設置する必要があるため、室内ユニット
の張出しによって居室空間が狭められるという不都合も
あった。

本発明は上記問題点を解決するためになされたもの
で、その目的とするところは、省スペースにてかつ合理
的な空調構造を提供することにある。

＜課題を解決するための手段＞ 本発明は上記目的を達成すべく、空調用熱源装置で生
成した調和空気をダクトにより居室に供給循環させるた
めの空調構造において、上階床を支持しかつ該上階床の
下方に天井板が取り付けられる壁体の上部内に、吹出チ
ャンバと吸込みチャンバとに仕切られた空調用の区画ス
ペースを形成するとともに、上記区画スペースに連通す
る状態で、上階床と天井板との間に前記ダクトの接続口
を開口しかつ前記天井板より下方に通気口を開口してな
るものである。

＜作用＞ 本発明の空調構造においては、居室の天井と上階床と
の間に開口したダクトの接続口に対し、天井裏の空間を
利用して給排気用のダクトを接続するだけで、壁体の上
部内に形成した空調用の区画スペースが空調用室内ユニ
ットとして機能する。すなわち、空調用熱源装置で生成
された調和空気は、給気用のダクトを通して区画スペー
スの吹出チャンバ側に送り込まれ、吹出側の通気口から
居室に供給される。一方、居室内の空気は、吸込み側の
通気口から区画スペースの吸込みチャンバ側に吸込ま
れ、排気用のダクトを通して空調用熱源装置に戻され
る。こうした空調構造では、壁体の上部内に区画スペー
スが形成されていることから、居室空間を少しも狭める
ことがなく、しかも壁体の上部が空調機能をも併せもつ
ことになるため、上階床を支持する構造体スペースがよ
り有効に利用される。

＜実施例＞ 以下、本発明の好適な実施例について図面を参照しつ
つ詳細に説明する。

第１図は本発明に係る空調構造の一実施例を示す分解
斜視図であり、第２図はその要部斜視図、第３図はその
要部縦断面図である。

図において、１は壁体であり、これば家屋内を適当な
大きさの居室２及び廊下等の非居室３に区画するもので
ある。壁体１は、適宣の間隔で配置した縦フレーム４お
よび横フレーム５からなる壁体フレーム６と、この壁体
フレーム６の両面に張付けられる表面材7,7（第３図参
照）とから構成されている。5aは横桟であり、一部の縦
フレーム4,4間に横フレーム５と共に所要のスペースを
形成するように架け渡され、これによって壁体１の上部
内に空調用の区画スペース８が形成されている。また、
区画スペース８の内部には、これを二分する仕切板（図
例では縦桟）8aが取り付けられ、これによって区画スペ
ース８が吹出チャンバ17と吸込みチャンバ18とに仕切ら
れている。さらに、区画スペース８の内部には、結露防
止、通気音防止等の処理が施されている。なお、上述し
た横桟5aは、所要の区画スペース８を形成する以外に
も、壁体フレーム６の一構成部材としての補強機能も奏
している。9a,9bは、上記区画スペース８に連通したか
たちで一方（図例では非居室３に面する側）の表面材７
にあけられたダクトの接続口であり、これらの接続口9
a,9bは空調用熱源装置から引き出されたダクトを接続す
るために開けられている。ここでダクトの接続口9a,9b
は、第３図に示すように、壁体１によって支持される上
階床（24,25）とその下方に取り付けられる天井板22と
の間に位置するように開口している。これに対し、他方
（居室２に面する側）の表面材７には、壁対１に取り付
けられる天井板22よりも下方に位置して、上記区画スペ
ース８に連通する通気口9cが形成されている。さらに通
気口9cには、空気の吹出方向および吸込み方向を調整す
るためのルーバ21が取り付けられている。

なお、ダクトの接続口9a,9bや通気口9cについては、
壁フレーム６の両面に表面材７を張付けた後で別途、孔
開け加工により形成してもよいが、より好適には、区画
スペース８の形成箇所に対応して、個々の表面材７の製
作段階で形成しておき、これを施工現場で壁体フレーム
６に張付けるようにすれば、壁体１を構築するにあたっ
て施工現場での手間を省くことができる。

また、壁体１の上部内に空調用の区画スペース８を形
成する手段としても、例えば筐体構造をなす中空パネル
10を予め工場等で組み立てておき、壁体フレーム６のい
ずれか一方に表面材７を張付けた時点で中空パネル10を
壁体１上部に収納するようにしてもよい。その際、中空
パネル10の内部には、吹出チャンバ17と吸込みチャンバ
18とを形成すべく仕切板16を取り付け且つ結露防止、通
気音防止等の内装処理を施しておく。また、中空パネル
10の片面には、一方を吹出口14a、他方を吸込口14bとし
た通気口14を形成し、その反対側の面にはダクト接続口
15を形成しておく、そして、壁体１に中空パネル10を収
納する場合は、その通気口14側を居室２側に向けて配置
する。このとき、居室２側に向けた通気口14は、表面材
７に形成した通気口9cと同じ位置で開口させ、非居室３
側に向けたダクトの接続口15はもう一方の表面材７に形
成したダクトの接続口9a,9bと同じ位置で開口させる。

このようにして家屋内に壁体１を構築した状態では、
第３図に示すように、壁体１に開けられたダクトの接続
口9aが、上階床板24と根太25等からなる上階床とその下
方の天井板22との間に配置されるとともに、その天井板
22よりも下方に通気口9cが配置される。また、後述する
空調用熱源装置から引き出されたダクト19,20は天井裏2
3の空間を利用して上記接続口9aに接続される。さら
に、上述した上階床（24,25）は下階の壁体１によって
支持され、その支持構造部分に上記中空パネル10が組み
込まれて空調用の区画スペース８が確保される。

第４図は、上述のごとく構築した壁体１の区画スペー
ス８を空調用室内ユニットとして機能させるべく、壁体
１の上部内に組み込んだ中空パネル10と、空調用熱源装
置からの端末の放熱器30とをダクト19,20にて接続した
状態を説明する空調システムの要部平面図である。

放熱器30は、空調用熱源装置の冷凍サイクルを構成す
る熱交換器又はこの熱交換器と熱交換する熱媒循環回路
の熱交換器等の既知の放熱器である。31は、放熱器30の
熱媒接続管であり、32はドレン排出管である。また、33
はファンモータ、34は通気切換弁である。図例の場合、
居室２を二室として一台の放熱器30で切り替えて空調す
るようにしている。

本実施例では、放熱器30を廊下等の非居室３の天井裏
23に設置し、中空パネル10に連通するダクトの接続口9
a,9bに放熱器30から引き出したダクト19,20で接続する
だけで、空調システムとしての設備が完了する。したが
って、家屋の建築にあたって、上述のごとく壁体１と一
体に区画スペース８を形成しておけば、既存の家屋があ
ってもきわめて簡易な施工で空調システムを完備するこ
とが可能となる。

ここで実際に居室２の空調を行う場合は、通気切替弁
34を切り替えて、空調用熱源装置及びファンモータ33を
動作させる。そうすると、放熱器30にて生成された調和
空気は、ダクト19を通って中空パネル10の吹出チャンバ
17（第２図参照）に送り込まれ、吹出口14aから居室２
側に供給される。一方、居室２内の空気は、中空パネル
10の吸込口14bから吸込みチャンバ18（第２図参照）に
吸込まれ、ダクト20を通して放熱器30に戻される。以後
この循環を繰り返す。循環空気は、上記放熱器30を通過
するときに冷気又は温気に変換されるので、居室２はこ
れにより冷房又は暖房されることになる。

なお、ここでは中空パネル10を利用して空調用の区画
スペース８を形成した場合の、空調システムの動作につ
いて説明したが、中空パネル10を利用しない場合につい
ても同様のシステム動作によって居室２の空調が行われ
る。

また、本発明の他の実施例として、例えば第５図に示
すように、表面材7,7の間に傾斜板8bを架け渡して区画
スペース８を吹出チャンバ17と吸込チャンバ18とに仕切
り、空気の吹出口17aと吸込口18aとを上下に配置した構
成を採用すれば、居室２の空気循環の、いわゆるショー
トサーキット現象を効果的に抑制することができる。

＜発明の効果＞ 以上説明したように、本発明に係る空調構造によれ
ば、上階床と天井板との間に開口したダクトの接続口に
対し、天井裏の空間を利用して給排気用のダクトを接続
するだけで、空調用の区画スペースがいわゆる空調用室
内ユニットとして機能するようになる。これにより、壁
体内にダクトを通すといった面倒な施工が不要になると
ともに、居室空間が空調用室内ユニットによって挟めら
れることもなくなる。さらに、上階床を支持する壁体上
部が空調機能をも併せもつことになるため、上階床を支
持する構造体スペースもより有効に利用される。その結
果、きわめて省スペースでかつ合理的な空調構造が提供
される。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明に係る空調構造の一実施例を示す分解
斜視図、 第２図は、本発明の一実施例を示す要部斜視図、 第３図は、本発明の一実施例を示す要部縦断面図、 第４図は、本発明の一実施例に係る空調システムの要部
平面図、 第５図は、本発明の変形例を示す一部断面図である。 １……壁体,2……居室， ３……非居室,4……縦フレーム， ５……横フレーム,6……壁体フレーム， ７……表面材,8……区画スペース， 9a,9b……接続口,9c……通気口， 19,20……ダクト,21……ルーバ。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】空調用熱源装置で生成した調和空気をダク
   トにより居室に供給循環させるための空調構造におい
   て、 上階床を支持しかつ該上階床の下方に天井板が取り付け
   られる壁体の上部内に、吹出チャンバと吸込みチャンバ
   とに仕切られた空調用の区画スペースを形成するととも
   に、 前記区画スペースに連通する状態で、前記上階床と前記
   天井板との間に前記ダクトの接続口を開口しかつ前記天
   井板より下方に通気口を開口してなる ことを特徴とする空調構造。