JP2546344B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

Info

Publication number
JP2546344B2
JP2546344B2 JP63168066A JP16806688A JP2546344B2 JP 2546344 B2 JP2546344 B2 JP 2546344B2 JP 63168066 A JP63168066 A JP 63168066A JP 16806688 A JP16806688 A JP 16806688A JP 2546344 B2 JP2546344 B2 JP 2546344B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
component
composition
styrene
impact resistance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP63168066A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0218439A (ja
Inventor
山本  和彦
義信 鈴木
俊裕 島村
慎一 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Synthetic Rubber Co Ltd filed Critical Japan Synthetic Rubber Co Ltd
Priority to JP63168066A priority Critical patent/JP2546344B2/ja
Publication of JPH0218439A publication Critical patent/JPH0218439A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2546344B2 publication Critical patent/JP2546344B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 a.産業上の利用分野 本発明は耐衝撃性、成形加工性、耐薬品性、ウェルド
強度に優れ、良好な外観を有する熱可塑性樹脂組成物に
関する。
b.従来の技術 ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−12、ナイロ
ン−46などのポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル
樹脂は種々の優れた特性を持っており、これらの特性を
生かしてプラスチック製品、フィルムなどの多くの分野
に利用されている。しかし、ポリアミド樹脂、ポリエス
テル樹脂は耐衝撃性があまり優れず、とくに切欠き(ノ
ッチ)を付けた場合の耐衝撃性が低いという欠点があ
る。
こうした欠点のため、上記の材料は、さらに広範囲な
用途展開をするためには必ずしも満足すべき材料ではな
かった。
そこで、耐衝撃性を向上させるために、ゴムやゴム強
化樹脂などをブレンドする方法が数多く報告されている
が、これらの方法によってはポリアミド樹脂、ポリエス
テル樹脂の耐衝撃性を十分に向上させることができず、
ウェルド強度、成形外観においても十分ではない。
c.発明が解決しようとする課題 このように、従来の方法によっては、ポリアミド樹
脂、ポリエステル樹脂の耐衝撃性、ウェルド強度および
成形外観を、十分に改良することができなかった。
本発明者らは、上記欠点を解決するべく鋭意検討した
結果、(A)カルボキシル基含有不飽和化合物を共重合
したスチレン系共重合体、(B)スチレン系重合体、
(C)ポリアミド樹脂および/またはポリエステル樹
脂、ならびに(D)有機亜リン酸化合物からなる組成物
が、耐衝撃性、成形加工性、耐薬品性、ウェルド強度、
および成形外観において優れていることを見出し、本発
明に到達した。
d.課題を解決するための手段 本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(A)カルボキシル
基含有不飽和化合物が共重合されているスチレン系共重
合体5〜80重量%、(B)スチレン系重合体5〜85重量
%、ならびに(C)ポリアミド系重合体および/または
ポリエステル系重合体10〜90重量%からなる混合物100
重量部に、(D)有機亜リン酸化合物0.1〜10重量部を
含有した組成物であって、(イ)全組成物中でのカルボ
キシル基含有不飽和化合物の含有率が0.02〜4重量%で
あり、(ロ)全組成物中のゴム成分の含有率が5〜40重
量%であり、(ハ)(A)および(B)成分中のマトリ
ックス成分の極限粘度(30℃、メチルエチルケトン)が
0.35dl/g以上、であることを特徴とするものである。
上記カルボキシル基含有不飽和化合物が共重合されて
いるスチレン系共重合体(A)は、ゴム質重合体の不存
在下あるいは存在下にカルボキシル基含有不飽和化合
物、芳香族ビニル化合物および必要に応じてこれらと共
重合可能な他の単量体を重合してなる共重合体である。
耐熱性の点からは、重合はゴム質重合体の不存在下に行
なうことが好ましい。
(A)成分中のカルボキシル基含有不飽和化合物として
は、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂
皮酸、イタコン酸、マレイン酸などがあり、好ましくは
アクリル酸、メタクリル酸である。これらは、1種また
は2種以上で使用される。
(A)成分の芳香族ビニル化合物としては、スチレン、
α−メチルスチレン、メチルスチレン、ビニルキシレ
ン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、モノブロ
ムスチレン、ジブロムスチレン、n−tert−ブチルスチ
レン、エチルスチレン、ビニルナフタレン、o−メチル
スチレン、p−メチルスチレン、ジメチルスチレンなど
であり、これらは1種または2種以上を併せて用いるこ
とができる。これらのうち好ましい芳香族ビニル化合物
はスチレンであり、2種以上の芳香族ビニル化合物を併
用する場合はスチレンを50重量%以上の割合で用いるこ
とが好ましい。
カルボキシル基含有不飽和化合物および芳香族ビニル
化合物と共重合可能な単量体の例としては、マレイミド
系化合物、ビニルシアン化合物および他のビニル化合物
が挙げられる。
マレイミド系化合物としては、例えばマレイミド、N
−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−フェ
ニルマレイミド、N−o−クロルフェニルマレイミド、
N−シクロヘキシルマレイミドなどが挙げられるが、と
くに好ましくはN−フェニルマレイミド、N−o−クロ
ルフェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド
などであり、これらは1種または2種以上を併用するこ
とができる。
ビニルシアン化合物としては、アクリロニトリル、メ
タクリロニトリルなどがあり、これらのうちでアクリロ
ニトリルが好ましい。
他の共重合可能なビニル化合物としては、メチルアク
リレート、エチルアクリレート、プロピレンアクリレー
トなどのアクリル酸のアルキルエステル;メチルメタア
クリレート、エチルメタアクリレート、プロピレンメタ
アクリレートなどのメタアクリル酸アルキルエステルが
挙げられ、これらは1種または2種以上を併せて用いる
ことができる。
また、ゴム質重合体は必ずしも必要ではないが、使用
する場合は、以下のゴム質重合体が好ましい。
エチレン−プロピレンのランダム共重合体およびブロ
ック共重合体、エチレン−ブテンのランダム共重合体お
よびブロック共重合体などのエチレンとα−オレフィン
との共重合体;エチレン−メタクリレート、エチレン−
ブチルアクリレートなどのエチレンと不飽和カルボン酸
エステルとの共重合体;エチレン−酢酸ビニルなどのエ
チレンと脂肪酸ビニルとの共重合体;エチレン−プロピ
レン−エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン−プ
ロピレン−ヘキサジエン共重合体などのエチレン−プロ
ピレン−非共役ジエンターポリマー;ポリブタジエン、
イソプレン、スチレン−ブタジエンのランダム共重合体
およびブロック共重合体、さらに該ブロック共重合体の
水添物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ブタ
ジエン−イソプレン共重合体などのジエン系ゴム;ブチ
レン−イソプレン共重合体などがあり、これらは1種ま
たは2種以上を併せて用いることができる。
これらのうち、耐衝撃性などの点で好ましいゴム質重
合体はジエン系ゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチ
レン−プロピレン−非共役ジエンターポリマーである。
さらに好ましくはポリブタジエンおよびスチレン−ブタ
ジエン共重合体であり、このスチレン−ブタジエン共重
合体中のスチレン含有率は50重量%以下であることが耐
衝撃性の点で好ましい。
(A)成分を具体的に例示すると、次のタイプのものが
ある。
1) カルボキシル基含有不飽和化合物と芳香族ビニル
とを必須とする共重合体、 2) ゴム質重合体の存在下に芳香族ビニルとカルボキ
シル基含有不飽和化合物とを必須成分とする単量体を共
重合して得られたグラフト共重合体、 3) 1)と2)の混合物。
上記1)〜3)において、芳香族ビニルとしてはスチ
レンが好ましく、また芳香族ビニルと共重合する単量体
としては、アクリロニトリルが好ましい。
カルボキシル基含有不飽和化合物は(A)成分中0.1
〜8重量%が好ましく、更に好ましくは0.2〜7重量
%、特に好ましくは0.3〜7重量%である。0.1重量%未
満では耐衝撃性およびウェルド強度が低く、8重量%を
越えると耐衝撃性、成形加工性、ウェルド強度および成
形外観が悪い。また、全組成物中のカルボキシル基含有
不飽和化合物の含有率は0.02〜4重量%であり、好まし
くは0.05〜3.5重量%、さらに好ましくは0.1〜3重量%
である。0.02重量%未満では耐衝撃性およびウェルド強
度が低く、4重量%を越えると耐衝撃性、成形加工性、
ウェルド強度および成形外観が悪くなる。
本発明の組成物中、カルボキシル基含有不飽和化合物
を共重合したスチレン系共重合体(A)の配合割合は、
5〜80重量%であり、好ましくは5〜70重量%であり、
さらに好ましくは5〜65重量%である。5重量%未満で
は耐衝撃性が悪く、80重量%を越えると成形加工性およ
び外観が悪くなる。
スチレン系重合体(B)は、ゴム質重合体の存在下ま
たは不存在下に、芳香族ビニル化合物を必須成分とし、
必要に応じてマレイミド系化合物、ビニルシアン化合物
および共重合可能な他のビニル単量体から選ばれた少な
くとも一種の単量体からなる樹脂成分を重合してなる重
合体である。
ここでのゴム質重合体、芳香族ビニル化合物、マレイ
ミド系化合物、これらと共重合可能な他のビニル単量体
は、(A)成分で示したものと同一のものである。
スチレン系重合体(B)は、ゴム質重合体の存在下に
樹脂成分の単量体を重合させてなる重合体と、ゴム質重
合体の不存在下に樹脂成分の単量体を重合させた樹脂と
の組成物であってもよい。
上記スチレン系重合体(B)の具体例としては、アク
リロニトリル−ブタジエンゴム−スチレン樹脂(ABS樹
脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−ス
チレン樹脂(AES樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエ
ンゴム−メタクリル酸メチル−スチレン樹脂(ABSM樹
脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹
脂)、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹
脂)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、アクリロ
ニトリル−n−ブチルアクリレートゴム−スチレン樹脂
(AAS樹脂)などを挙げることができる。
上記スチレン系重合体(B)の組成物中での配合割合
は5〜85重量%、好ましくは7〜80重量%、更に好まし
くは10〜75重量%である。(B)成分が85重量%を越え
る場合、ウェルド強度が悪くなる。5重量%未満では耐
衝撃性が悪い。(C)成分として、ポリアミドを選んだ
場合の(B)成分の好ましい配合割合は10〜80重量%で
あり、これによって優れた耐衝撃性と成形外観を有する
熱可塑性樹脂組成物が得られる。
全組成物中のゴム成分の含有量は5〜40重量%であ
り、好ましくは6〜38重量%、更に好ましくは7〜35重
量%である。5重量%未満では耐衝撃性が低く、40重量
%以上では流動性、光沢度が悪くなる。
本発明の全組成物中のゴム成分へのモノマーの平均グ
ラフト率は、30重量%以上が好ましく、更に好ましくは
40重量%以上、特に好ましくは50〜150重量%である。3
0重量%未満では、成形品の成形外観が成形温度に影響
を受け、光沢が低下する。
ここでグラフト率の測定は下記の方法によった。
材料1gを精秤採取し、これにアセトン20ccを加え、10
時間振とうさせ、そののち、回転数20,000rpmの遠心分
離機を用いて可溶分と不溶分に分離し、不溶分を真空乾
燥機で乾燥し、不溶分(C)を得た。一方、重合組成と
重合転化率から不溶分(C)中のゴム量(R)を算出
し、次式よりグラフト率を求めた。
また、(A)および(B)成分中のマトリックス成分
とは、(A)および(B)成分中のアセトン可溶分であ
る。該マトリックスの極限粘度(30℃で溶媒メチルエチ
ルケトン)は0.35dl/g以上であり、好ましくは0.4dl/g
〜1dl/gである。0.35dl/g未満の場合、耐衝撃性および
ウェルド強度が低くなる。
本発明のポリアミド系重合体(C)はとくに限定され
るものではないが、エチレンジアミン、テトラメチレン
ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジア
ミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4および2,4,4−ト
リメチルヘキサメチレンジアミン、1,3および1,4−ビス
(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシ
クロヘキシル)メタン、m−キシリレンジアミン、p−
キシリレンジアミンなどの脂肪族、脂環族、芳香族ジア
ミンとアジピン酸、スペリン酸、セバシン酸、シクロヘ
キサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸など
の脂肪族、脂環族、芳香族ジカルボン酸とから導かれる
ポリアミド;ε−カプロラクタム、ω−ドデカラクタム
などのラクタム類の開環重合によって得られるポリアミ
ド;6−アミノカプロン酸、1,1−アミノウンデカン酸、
1,2−アミノドデカン酸などから導かれるポリアミドお
よびこれらの共重合ポリアミド、混合ポリアミドであ
り、工業的に安価、かつ多量に製造されているナイロン
−6(ポリカプロアミド)、ナイロン−66(ポリヘキサ
メチレンアジパミド)、ナイロン−12(ポリドデカアミ
ド)、ナイロン−610(ポリヘキサメチレンセバカミ
ド)、ナイロン−46およびこれらの共重合体および混合
体が有用である。
また、ここで用いるポリアミド系重合体(C)の重合
度はとくに制限はなく、通常相対粘度(ポリマー1gを98
%H2SO4100mlに溶解し、25℃で測定)が1.8〜6.0の範囲
内にあるポリアミド樹脂を任意に用いることができる
が、2〜5の範囲のものを使用すると、耐衝撃性と成形
加工性のバランスの優れたものが得られる。ポリアミド
の分子構造についても制限はなく、線状ポリアミド、分
岐ポリアミドのどちらでもよい。
本発明で用いるポリエステル系重合体(C)はとくに
限定されないが、ジカルボン酸またはジカルボン酸のア
ルキルエステルのような誘導体とジオールの重縮合物に
よって得られたものである。ポリエステルの構成成分の
うちジカルボン酸によって構成される部分の70〜100モ
ル%はテレフタル酸によって導入されたものであり、30
〜0モル%はイソフタル酸、テレフタレンジカルボン
酸、アジピン酸、セバシン酸などによって導入されたも
のである。グリコールによって構成される部分はエタン
ジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタ
ンジオール、ヘキサンジオールによって導入されたもの
であり、これらの2種類以上から構成されていてもよ
い。またオキシ安息香酸、ビスフェノールAにより導入
された部分があってもよく、さらに、これらのポリエス
テルの1種類以上を混合した混合ポリエステルも本発明
の範疇に含まれる。このようなポリエステルにはポリエ
チレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレン
テレフタレートおよびこれらの共重合体および混合物が
含まれる。
組成物中の(C)成分がポリアミド系重合体の場合、
その配合割合は10〜90重量%であり、好ましくは10〜80
重量%である。10重量%未満では成形加工性および耐薬
品性が悪く、90重量%を越えるときは耐衝撃性、ウェル
ド強度および成形外観が悪い。(C)成分がポリエステ
ル系重合体単独、またはポリエステル系重合体とポリア
ミド系重合体との混合物の場合、その配合割合は10〜90
重量%であり、好ましくは10〜80重量%である。10重量
%未満の場合、成形加工性および耐薬品性が悪く、90重
量%を越えると耐衝撃性、ウェルド強度および成形外観
が悪くなる。
なお、ポリアミド系重合体とポリエステル系重合体と
の混合割合には特に制限はなく任意の割合で混合使用す
ることができる。
有機リン酸化合物および/または有機亜リン酸化合物
(D)としては、種々のものが使用できるが、有機基の
リン酸エステルもしくは亜リン酸エステルで、その有機
基としては脂肪族基、芳香族基など種々のものが使用で
きる。なかでも最も好ましい有機リン酸化合物(D)
は、一般式(I)で表わされるものである。
具体的にはR1およびR2がC18H37であるジステアリルペ
ンタエリトリトールジホスファイト、 であるジ(2,4−ジターシャリーブチルフェニルペンタ
エリトリトールジホスフィト、あるいは であるビス(2,6ジターシャリーブチル−4−メチルフ
ェニル)ペンタエリトリトールジホスフィトが好ましい
ものとして挙げられる。
本発明の組成物中での有機亜リン酸化合物(D)の配
合割合は、(A)+(B)+(C)=100の樹脂混合物1
00重量部に対して0.1〜10重量部であり、好ましくは0.1
〜8重量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。
0.1重量部未満の場合は耐衝撃性が期待できない。また1
0重量部以上の場合は耐熱性が極端に低下する。
(D)成分の添加によって耐衝撃性の改良に効果があ
り、とくに低温下での耐衝撃性を著しく改良される。こ
れは従来の技術から予想できない効果である。
本発明組成物の(A)〜(D)成分の混合には通常の
方法が用いられる。例えばミキサーで各成分を混合した
のち、押圧機にて200〜320℃で溶融混練して造粒すれば
よい。さらに簡単には各成分を直接成形機内で溶融混練
して成形することができる。
しかし、耐衝撃性をさらに向上させるためには、
(A)成分と(C)成分とを最初に200〜320℃にて溶融
混練したのち、(B)成分と(D)成分を添加して再度
混練することにより達成できる。このときの混練り温度
は200〜320℃であり、混練時間は30分以上であればよ
く、特に制限はない。
本発明の組成物には、酸化防止剤例えば2,6−ジ−t
−ブチル−4−メチルフェノール、2−(1−メチルシ
クロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,2−メチ
レン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノー
ル)、トリス(ジ−ノニルフェニル)ホスファイト;紫
外線吸収剤、例えばp−t−ブチルフェニルサリシレー
ト、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノ
ン、2−(2′−ヒドロキシ−4′−m−オクトキシフ
ェニル)ベンゾトリアゾール;滑剤例えばパラフィンワ
ックス、ステアリン酸、硬化油、ステアロアミド、メチ
レンビスステアロアミド、n−ブチルステアレート、ケ
トンワックス、オクチルアルコール、ヒドロキシステア
リン酸トリグリセリド;難燃剤例えば酸化アンチモン、
水酸化アルミニウム、ほう酸亜鉛、トリクレジルホスフ
ェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、塩
素化パラフィン、テトラブロモブタン、ヘキサブロモベ
ンゼン、テトラブロモビスフェノールA;帯電防止剤例え
ばステアロアミドプロピルジメチル−β−ヒドロキシエ
チル、アンモニウムトレート;着色剤例えば酸化チタ
ン、カーボンブラック;充填剤例えば炭酸カルシウム、
クレー、シリカ、ガラス繊維、ガラス球、カーボン繊
維;顔料などを必要に応じて添加することができる。こ
れらの添加物はどの時点で組成物に添加してもよい。
e.実施例 次に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。
(A)成分であるカルボキシル基含有不飽和化合物を共
重合したスチレン系共重合体樹脂を、次のようにして製
造した。
(1) カルボキシル基含有不飽和化合物が共重合した
スチレン系共重合体の製造(A−1〜A−3、A−5〜
A−8): 攪拌機つき7ガラス製フラスコにイオン交換水300
部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.0部およ
びt−ドデシルメルカプタン0.3部を加え、表−1に示
す割合で各種単量体からなるバッチ重合成分を加え、攪
拌しながら昇温した。温度が40℃に達したときに過硫酸
カリウム0.1部を添加し、2時間反応を続けた。この結
果得られた樹脂ラテックスを塩化カリウム2重量部を用
いて生成物を凝固させ脱水、水洗、乾燥を行なって、粉
末状の樹脂を回収した。
(2) カルボキシル基含有不飽和化合物が共重合した
スチレン系共重合体の製造(A−4): 攪拌機を備えた7ガラス製フラスコにイオン交換水
100部、トデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、
水酸化カリウム0.01部、t−ドデシルメルカプタン0.1
部および表−1に示すA−4の各種単量体からなるバッ
チ重合成分を加え、攪拌しながら昇温した。温度が45℃
に達した時点で、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩
0.1部、硫酸第1鉄0.003部、ホルムアルデヒドナトリウ
ムスルホキシラート・二水塩0.2部、およびイオン交換
水15部よりなる活性剤水溶液、およびジイソプロピルベ
ンゼンヒドロパーオキシ0.1部を添加し、1時間反応を
続けた。
次いで、イオン交換水50部、ドデシルベンゼンスルホ
ン酸ナトリウム1部、水酸化カリウム0.02部、t−ドデ
シルメルカプタン0.1部、ジイソプロピルベンゼンヒド
ロパーオキシド0.2部および表−2に示す割合の各種単
量体よりなるインクレメント重合成分の混合物を3時間
にわたって連続的に添加し、反応を続けた。添加終了
後、さらに攪拌しながら1時間反応を続けたのち、2,2
−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェ
ノール)0.2重量部を添加し、反応生成物をフラスコよ
り取り出した。塩化カリウム2重量部を用いて生成物を
凝固させ、脱水、水洗、乾燥を行なって、粉末状のグラ
フト樹脂を回収した。
表−1にモノマー重合転化率並びに先に述べた方法で
測定したグラフト率、極限粘度〔η〕を記す。
表−1中に示すA−4のゴム質重合体は、以下のよう
にして重合したものである。
4段パドル翼を備えた内容積100のステンレス製重
合反応器を用いて、表−2に示した処方と条件にて重合
反応を実施した。パドル翼の回転数90rpmの攪拌下に昇
温し、温度が50℃に達した時点で過硫酸カリウムを添加
し、以後反応温度を50℃で一定に保つように制御しなが
ら重合反応を行ない、重合率が90%に達した時点でジエ
チルヒドロキシアミン0.1重量部を添加して反応を停止
させ、水蒸気蒸留により未反応モノマーを実質的に留去
し、ゴム状物質のラテックスを得た。
表−2 〔R−1の処方および条件〕 1,3−ブタジエン(重量部) 100 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 1.5 塩化カリウム 1.0 水酸化カリウム 0.12 過硫酸カリウム 0.25 イオン交換水 100 重合温度(℃) 50 重合時間(hrs) 50 重量率(%) 88 平均粒子径(Å)(*) 1500 (*)ナノサイザー(日本化学機械株式会社製)を用い
て測定した。
(B)成分(B−1〜B−5)を表−3に示す。
(C)成分として次のものを用いた。
C−1: ナイロン6:東レ製アラミンCM1017 C−2: PBT(ポリブチレンテレフタレート):ポリプラスチッ
ク製ジュラネックスXD499 実施例1〜12、比較例1〜7 表−4の(A)成分と(C)成分を40m/m押出機で温
度250℃で溶融混練りしてペレットを作製した。このペ
レットと(B)成分および(D)成分を再度40m/m押出
機で温度250℃で溶融混練りしてペレットを作製した。
実施例13、比較例8 表−4の(A)〜(D)成分を40m/m押出機で温度250
℃で溶融混練りしてペレットを作製した。
上記の如く作製したペレットおよび比較例9のペレッ
トをおのおの50Z射出成形機(東芝IS・80A)を用い成形
温度260℃で成形して試験片を作製した。
得られた試験片の物性を以下の方法で評価した。
結果を表−4に示す。
流動性 JISK7210に準拠してメルトフローインデックス(MFR:
測定条件260℃、10kg)を測定した。
耐衝撃性 アイゾット衝撃強度(ASTM D256 14″ノッチ付23゜)
(以下、Izod Impという。)を測定した。
成形品外観 試験片の光沢度(ASTM D523 23℃,45゜)を測定し
た。
耐薬品性 試験片(1/8″×1/2″×5″)に歪み率1%の定歪を
加え、たわみ部分にジオクチルフタレート(以下、DOP
という。)およびブレーキフルードを塗布し、23℃で放
置して破断に至るまでの時間を測定した。
(○は100時間以上破断やクラックが生じない場合を
表わす。) ウェルド強度保持率 ASTM 1号ダンベルの中央にウェルドラインが出る金型
を用いて成形し、引張強度(Tw)を測定する。次にウェ
ルドラインのない金型による試験片を引張り(To)を測
定した。
(Tw/To)×100%でウェルド強度保持率を求めた。
耐熱性 試験片(1/2″×1/2″×5″)を4.6kg/cm2荷重下で
昇温して熱ひずみ温度(HDT)を求めた(ASTM D648)。
表−4に示す結果から明らかなように、実施例1〜13
によると本発明の目的とする熱可塑性樹脂組成物が得ら
れている。一方、比較例1〜9では本発明の目的とする
組成物を得ることができない。
すなわち比較例1および2の組成物は(D)成分の配
合割合が本発明の範囲外であり、比較例1では耐衝撃性
(Imp)が低い。比較例2では耐熱性が低い。比較例3
の組成物は、(A)成分がカルボキシル基含有不飽和を
含んでいない成分であり、耐衝撃性が低い。比較例4の
組成物は、(A)成分および(B)成分中にゴム質体が
含まれていないため、耐衝撃性が低い。比較例5の組成
物は、カルボキシル基含有不飽和化合物の配合割合が多
いため、耐衝撃性、ウエルド強度保持率、MFRと光沢度
が低い。
比較例6の組成物は、(A)成分中のマトリックス成
分の極限粘度〔η〕、および(B)成分のグラフト率が
低いため耐衝撃性、光沢度およびウェルド強度の保持率
が低い。
比較例7の組成物は(A)成分および(B)成分中の
マトリックスの〔η〕が低いため、耐衝撃性、光沢度お
よびウェルド強度保持率が低い。
比較例8の組成物は、(C)成分(ナイロン6)が含
まれていないため、耐衝撃性、MFR、耐薬品性、光沢度
および耐熱性が低い。
比較例9の組成物は、ナイロン−6を単独で用いた例
であり、耐衝撃性が低い。
f.発明の効果 現在、熱可塑性樹脂を用いる成形加工業界では成形品
用途の多様化に伴ない、成形品に求められる特性が複雑
化する傾向にある。このような成形品を得るためには、
従来に比べ耐衝撃性、成形加工性、耐薬品性およびウェ
ルド強度が一段と優れたものが要求される。
しかし、従来のポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂お
よびこれらの組成物ではこの要求に対して十分に応える
ことはできなかった。
本発明の組成物は耐衝撃性、成形加工性、耐薬品性お
よびウェルド強度が高度にバランスしたものであり、上
記の要求に十分に応えることができる。
また本発明の組成物は、従来のポリアミド樹脂、ポリ
エステル樹脂などの欠点を改良し、成形加工業界の要求
を満足させる成形材料であり、その工業的価値は大き
い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 77/00 LQS C08L 77/00 LQS (72)発明者 木村 慎一 東京都中央区築地2丁目11番24号 日本 合成ゴム株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−179957(JP,A) 特開 平1−141940(JP,A) 特開 昭54−25951(JP,A) 特開 昭61−165397(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)カルボキシル基含有不飽和化合物が
    共重合されているスチレン系共重合体 5〜80重量% (B)スチレン系重合体 5〜85重量% (C)ポリアミド系重合体および/またはポリエステル
    系重合体 10〜90重量% からなる混合物100重量部に、 (D)有機リン酸化合物および/または有機亜リン酸化
    合物 0.1〜10重量部 を含有した組成物であって、 (イ)(A)全組成物中でのカルボキシル基含有不飽和
    化合物の含有率が0.02〜4重量%であり、 (ロ)全組成物中のゴム成分の含有率が5〜40重量%で
    あり、 (ハ)(A)および(B)成分中のマトリックス成分の
    極限粘度(30℃、メチルエチルケトン)が0.35dl/g以
    上、 であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】(A)成分中のカルボキシル基含有不飽和
    化合物の含有率が0.1〜8重量%であり、全組成物中の
    ゴム成分への平均グラフト率が30重量%以上であること
    を特徴とする特許請求項(1)記載の熱可塑性樹脂組成
    物。
JP63168066A 1988-07-06 1988-07-06 熱可塑性樹脂組成物 Expired - Fee Related JP2546344B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63168066A JP2546344B2 (ja) 1988-07-06 1988-07-06 熱可塑性樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63168066A JP2546344B2 (ja) 1988-07-06 1988-07-06 熱可塑性樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0218439A JPH0218439A (ja) 1990-01-22
JP2546344B2 true JP2546344B2 (ja) 1996-10-23

Family

ID=15861201

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP63168066A Expired - Fee Related JP2546344B2 (ja) 1988-07-06 1988-07-06 熱可塑性樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2546344B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2745545B2 (ja) * 1988-07-13 1998-04-28 東レ株式会社 熱可塑性樹脂組成物
JP2577971B2 (ja) * 1988-09-22 1997-02-05 住化エイビーエス・ラテックス株式会社 熱可塑性樹脂組成物
JPH0288671A (ja) * 1988-09-27 1990-03-28 Tonen Sekiyukagaku Kk 繊維強化ポリマー組成物及びその製造方法
JPH0288672A (ja) * 1988-09-27 1990-03-28 Tonen Sekiyukagaku Kk ポリマー組成物及びその製造方法
JP2519091B2 (ja) * 1988-10-20 1996-07-31 住化エイビーエス・ラテックス株式会社 熱可塑性樹脂組成物
JPH08225695A (ja) * 1995-09-21 1996-09-03 Sumika A B S Ratetsukusu Kk 熱可塑性樹脂組成物
JP5154765B2 (ja) * 2006-04-17 2013-02-27 ユーエムジー・エービーエス株式会社 熱可塑性樹脂組成物及びその成形品
JP6608124B2 (ja) * 2012-12-04 2019-11-20 日本エイアンドエル株式会社 消臭性能を有する熱可塑性樹脂組成物及び成形体

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5425951A (en) * 1977-07-29 1979-02-27 Adeka Argus Chem Co Ltd Synthetic resin composition
JPS5832656A (ja) * 1980-11-03 1983-02-25 モンサント・カンパニ− 熱可塑性組成物
EP0186628B1 (de) * 1984-12-24 1989-12-13 Ciba-Geigy Ag Pentaerythritdiphosphite, Verfahren zu deren Herstellung und deren Verwendung als Stabilisatoren
US4713415A (en) * 1985-05-10 1987-12-15 Monsanto Company Rubber modified nylon composition
JPS62256855A (ja) * 1986-04-30 1987-11-09 Japan Synthetic Rubber Co Ltd 熱可塑性樹脂組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0218439A (ja) 1990-01-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0278500A2 (en) Thermoplastic resin composition
JP2546344B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH0745612B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP4166331B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH0798886B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH08208972A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP3086493B2 (ja) 耐衝撃性に優れたポリアミド樹脂組成物
JP2745625B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2546344C (ja)
JPH1180497A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH11279370A (ja) 摺動性熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品
JP2996765B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2517635B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP4432357B2 (ja) 難燃性熱可塑性樹脂組成物及びその成形品
JPS6333456A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2605771B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2784508B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2670353B2 (ja) 耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物
JPH0214232A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2671487B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法
JP2827167B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPS62256855A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH0326745A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPS6021621B2 (ja) 耐衝撃性ポリアミド組成物
JP2671492B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees