JP2545595Y2 - トランスミッションの変速制御装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、クラッチペダルを備
え、シフトタワーからの信号に基ずき、機械式クラッチ
およびシフト装置を電子制御により自動変速するトラン
スミッションの変速制御装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】機械式トランスミッションを電気信号に
より電気的に変速操作する変速装置において、クラッチ
ペダルを有し、発進時にマニュアルでクラッチを操作
し、走行中は自動クラッチとなるよう構成したセミオー
トマチックトランスミッションでは、走行中のクラッチ
ペダル操作を制御装置で抑制したり、自動クラッチ用ア
クチュエータを機械的にキャンセルするよう構成してい
る。

【０００３】また、クラッチペダルの無い完全自動の変
速装置もある。

【０００４】前記のセミオートマチックトランスミッシ
ョンについて、出願人は実開昭６０−６９８５５号公報
にその技術を開示している。この技術は有効であるが、
自動で変速中に少しクラッチを滑らせたい状態が生じた
場合等、微妙なクラッチ操作ができないという問題があ
る。すなわち、この技術ではクラッチを操作するクラッ
チブースタへの給排気を三方向電磁弁１個で切換えてお
り、クラッチ自動制御中にクラッチペダルを踏んでマニ
ュアル操作に切換えようとしても、エアの排出に時間を
要して即対応することができず、操作性が悪いという欠
点を有している。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】したがって、本考案
は、走行時、自動変速中においても、必要時、容易にク
ラッチ操作ができる操作性の優れたトランスミッション
の変速制御装置を提供することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案によれば、クラッ
チペダルを備え、シフトタワーからの信号に基づき機械
式クラッチおよびシフト装置を電子制御する制御装置を
備えたトランスミッション変速制御装置において、前記
クラッチを作動するクラッチブースタにはダブルチェッ
クバルブが連通され、そのダブルチェックバルブの一方
の接続口にはクラッチペダルを踏んだときに信号エアー
を供給するラインが接続され、他方の接続口にはＯＮ時
排気されるクラッチ接ぎマグネチックバルブと、ＯＮ時
エアリザーバから給気されるクラッチ切りマグネチック
バルブとが接続され、前記クラッチ切りマグネッチック
バルブとダブルチェックバルブとの間には排気口に絞り
を有するクラッチ減速マグネチックバルブが介装され、
クラッチペダルを踏込むとＯＮするクラッチスイッチが
設けられ、前記制御装置は前記クラッチスイッチがＯＮ
したときにクラッチを自動制御しているか否か判断し、
自動制御していないときはその状態で保持し、自動制御
しているときは前記クラッチ接ぎマグネチックバルブを
ＯＮにしクラッチ切りマグネチックバルブをＯＦＦにし
てクラッチをマニュアル操作に切換えるように制御する
機能を有する。

【０００７】

【作用】上記のように構成されたトランスミッションの
制御装置において、クラッチペダルを踏んでない場合
は、クラッチペダルスイッチはＯＦＦで、クラッチは自
動制御される。すなわち、シフトタワ−からの信号によ
りクラッチ接ぎマグネチックバルブのＯＦＦ／ＯＮ、ク
ラッチ切りマグネチックバルブのＯＮ／ＯＦＦによりダ
ブルチェックバルブを介してクラッチブースタに給気／
排気され、クラッチは断／接される。また、排気をクラ
ッチ接ぎマグネチックバルブからクラッチ減速マグネチ
ックバルブに切換えれば、絞りを介して排出され、クラ
ッチをゆっくり接ぐことができる。なお、急速に切換え
るには、クラッチ接ぎマグネチックバルブおよびクラッ
チ減速マグネチックバルブの両方から排出するようにす
るのが好ましい。

【０００８】クラッチペダルを踏むとクラッチペダルス
イッチはＯＮされ、制御装置が自動制御中か否か判断
し、自動制御していないときはその状態で保持されるの
で、クラッチペダルの信号エアーラインからの信号エア
によってダブルチェックバルブを介してクラッチブース
タが作動し、クラッチはマニュアル操作される。自動制
御中であれば、クラッチ接ぎマグネチックバルブがＯ
Ｎ、クラッチ切りマグネチックバルブがＯＦＦにされ、
クラッチ接ぎマグネチックバルブからエアが急速に排出
され、クラッチはマニュアル操作に切換えられる。

【０００９】すなわち、クラッチの自動制御中でも、例
えば、半クラッチ等の操作が必要になった場合に、クラ
ッチペダルを踏むとクラッチは自動制御から直ちにマニ
ュアルに切換わり、操作性に優れている。

【００１０】

【実施例】以下、図面を参照して、本考案の実施例を説
明する。

【００１１】説明に際し、まず従来技術に関する部分の
構成から説明する。

【００１２】図１において、エンジン３１にはクラッチ
ハウジング３２を介してトランスミッション２６が取付
けられ、そのクラッチハウジング３２にはギヤのシフト
位置を検出するポジションセンサ３３が設けられてい
る。

【００１３】また、トランスミッション２６にはトラン
スミッションコントロールユニット（Ｔ／Ｍコントロー
ルユニット）２５からの電気信号によるギヤシフトを検
出するＴ／Ｍアクチュエータセンサ３４、車速センサ３
５、アクチュエータ３６とアクチュエータ３７とギヤ回
転センサ３８とが取付けれらている。

【００１４】そして、クラッチペダル４３にはクラッチ
ペダルを踏むとＯＮするクラッチスイッチ４２とクラッ
チペダルを踏むとＯＦＦするクラッチスイッチ４１とが
設けられている。

【００１５】また、エンジン回転センサ２５とクラッチ
ストロークセンサ２６とがクラッチハウジング３２に取
付けられ、シフトタワー３０、ポジションセンサ３３、
ギヤセットユニット３４ギヤ、ギヤ回転センサ３８、ク
ラッチスイッチ４１、４２、表示モニタ４０、マグネチ
ックバルブ３９等と共にＴ／Ｍコントロールユニット２
５に電気回路で接続されている。

【００１６】また、スロットルアクチュエータ２８とア
クセルセンサ２７とはエンジンコントロールユニット２
９に電気回路で接続されている。

【００１７】図２において、クラッチブースタ１０ａを
有するハイドロリックシリンダ１０のリンク１１は、図
示しないクラッチのアウタレバー１２に接続され、その
アウタレバー１２にはクラッチストロークセンサ２６が
リンク１３で接続されている。

【００１８】また、マスタシリンダ１４は油圧回路１５
でクラッチブースタ１０ａに連結され、エアリザーバ１
６はエア回路で給気弁であるクラッチ切りマグネチック
バルブ（Ｍ／Ｖ）２０、クラッチ減速Ｍ／Ｖ１９を介し
てダブルチェックバルブ１７に連結されている。

【００１９】さらに、クラッチ減速Ｍ／Ｖ１９の排気側
は絞り１８を介して排気弁であるクラッチ接ぎＭ／Ｖ２
１と排気口に接続され、そのクラッチ接ぎＭ／Ｖ２１は
前記Ｍ／Ｖ１９と共にダブルチェックバルブ１７に連結
されている。そして、そのダブルチェックバルブ１７の
センタはクラッチブースタ１０ａに、その他の接続口は
クラッチブースタのコントロール部に連結されている。

【００２０】以下、作用に付いて説明する。

【００２１】図３において、まず、変速起動中か否かを
判定する（ステップＳ１）。ＮＯの場合は戻り、ＹＥＳ
だったら、クラッチペダルスイッチ４２がＯＮか否かを
判断する（ステップＳ２）。ＮＯの場合、すなわちクラ
ッチペダルを踏んでいない場合は、クラッチを自動制御
する（ステップＳ３）。図４をも参照して、まず、クラ
ッチＭ／Ｖ１９、２０をＯＮして、Ｂ（制御）側のエア
をダブルチェックバルブ１７に送り、制御側のエアがブ
ースタを作動し、クラッチ断となる。クラッチ断となっ
たらクラッチＭ／Ｖ２０をＯＦＦし、給気を停止する。
この時クラッチペダル側は非連通状態となり、クラッチ
はペダルで作動しない状態となる。次にギアセットが完
了したら、クラッチＭ／Ｖ１９及び２１により、ブース
タ内のエアを排気し、クラッチをつなぐ。ＹＥＳの場
合、クラッチ制御中か否かを判定し（ステップＳ４）、
ＮＯの場合は戻り、ＹＥＳだったら、クラッチＭ／Ｖ２
１がＯＮか否かを判定する（ステップＳ５）。ＮＯだっ
たら、クラッチＭ／Ｖ２１をＯＮ、１９、２０をＯＦＦ
して（ステップＳ６）、ステップＳ７へ移行する。ＹＥ
Ｓだったら、一定時間待って（ステップＳ７）、クラッ
チＭ／Ｖ２１をＯＦＦ（ステップＳ８）、クラッチ制御
を中止（ステップＳ９）して戻る。

【００２２】すなわち、図５をも参照して、Ｂ（制御）
側のエアはＭ／Ｖ２１で排気され、ダブルチェックバル
ブ１７はＡ（マニュアル）側に切換り、マニュアル側か
らエアが入って行くので、クラッチはマニュアル（ペダ
ル）で操作される様になる。また、マニュアル側に切換
った後で、ギアセット完了前に、クラッチペダルＳＷ４
２がＯＦＦ、すなわちギアセット完了前にペダルが戻さ
れた場合は再びクラッチ制御に切換わる様になっている
ことは言うまでもない。

【００２３】したがって、走行中に変速操作した場合、
クラッチペダルが踏まれていないときは、自動クラッチ
制御され、自動クラッチ制御中にクラッチペダルが踏ま
れると、クラッチはマニュアルに切換えられる。

【００２４】そして、クラッチを踏んでシフトレバーを
操作すればクラッチは自動制御されない。

【００２５】

【考案の効果】本考案は、以上説明したように構成され
ているので、下記の効果を奏する。 （ａ） クラッチペダルを踏めば、自動制御中であって
も、自動制御側エア回路のエアは急速に排出されてマニ
ュアル操作に切換わり、操作性が優れている。 （ｂ） したがって、ドライバは自動制御で走行中で
も、必要があればクラッチ操作のタイミングや可否につ
いて考慮することなくクラッチをマニュアル操作でき
る。 （ｃ） クラッチ接ぎ制御は、エアの排出を緩急切換え
ることができ、操作性に優れている。

【００２６】

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す変速制御装置の全体構
成図。

【図２】図１のクラッチ制御の構成を示す図。

【図３】図１の制御のフローチャート図。

【図４】図２のクラッチの自動制御中の作動を示す図。

【図５】図２のクラッチの自動→マニュアルの切換時の
作動を示す図。

【符号の説明】

１０…ハイドロリッシリンダ １０ａ…クラッチブースタ １６…エアリザーバ １７…ダブルチェックバルブ １９…クラッチ減速マグネチッルバルブ ２０…クラッチ切りマグネチッルバルブ ２１…クラッチ繋ぎマグネチックバルブ ２６…クラッチストロークセンサ

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 クラッチペダル（４３）を備え、シフト
   タワー（３０）からの信号に基づき機械式クラッチおよ
   びシフト装置を電子制御する制御装置（２５）を備えた
   トランスミッション変速制御装置において、前記クラッ
   チを作動するクラッチブースタ（１０ａ）にはダブルチ
   ェックバルブ（１７）が連通され、そのダブルチェック
   バルブ（１７）の一方の接続口にはクラッチペダル（４
   ３）を踏んだときに信号エアーを供給するラインが接続
   され、他方の接続口にはＯＮ時排気されるクラッチ接ぎ
   マグネチックバルブ（２１）とＯＮ時エアリザーバ（１
   ６）から給気されるクラッチ切りマグネチックバルブ
   （２０）とが接続され、前記クラッチ切りマグネッチッ
   クバルブ（２０）とダブルチェックバルブ（１７）との
   間には排気口に絞り（１８）を有するクラッチ減速マグ
   ネチックバルブ（１９）が介装され、クラッチペダルを
   踏込むとＯＮするクラッチスイッチ（４２）が設けら
   れ、前記制御装置（２５）は前記クラッチスイッチ（４
   ２）がＯＮしたときにクラッチを自動制御しているか否
   か判断し、自動制御していないときはその状態で保持
   し、自動制御しているときは前記クラッチ接ぎマグネチ
   ックバルブ（２１）をＯＮしてクラッチ切りマグネチッ
   クバルブ（２０）をＯＦＦにしてクラッチをマニュアル
   操作に切換えるように制御する機能を有することを特徴
   とするトランスミッション変速制御装置。