JP2539503B2

JP2539503B2 - 合成樹脂製ダストブ―ツおよびその製造方法

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Publication number: JP2539503B2
Application number: JP63332023A
Authority: JP
Inventors: 忠義白井; 正二山守
Original assignee: SOMITSUKU ISHIKAWA KK; Mitsubishi Chemical Corp
Current assignee: SOMITSUKU ISHIKAWA KK; Mitsubishi Chemical Corp
Priority date: 1988-12-28
Filing date: 1988-12-28
Publication date: 1996-10-02
Anticipated expiration: 2011-10-02
Also published as: DE3942701A1; US5002719A; JPH02176272A; DE3942701C2

Description

【発明の詳細な説明】〔発明の目的〕（産業上の利用分野）本発明は、熱可塑性合成樹脂で吹込成形されたダスト
ブーツであって、両端部に装着リング部を備え、これら
両装着リング部の間が蛇腹形状あるいは釣り鐘状に成形
されている合成樹脂製ダストブーツおよびその製造方法
に関するものである。

ここでいうダストブーツとしては、自動車産業分野、
機械産業分野で用いられるボールジョイント用のダスト
ブーツ、ステアリングラックブーツ、等速ジョイントブ
ーツ等がある。

（従来の技術）第10図に示すような自動車のステアリング装置の一型
式であるラックピニオン方式のステアリング装置に使用
されている伸縮自在な蛇腹形状に成形されたラックブー
ツを例に採り、従来のダストブーツおよびその製造方法
について説明する。

この種のダストブーツは、従来、クロロプレン系ゴム
等のゴム製のものがほとんどであった。しかし、主とし
て加工成形性や耐熱、耐寒、耐飛石衝撃性等の向上の見
地から、熱可塑性合成樹脂、例えばポリオレフィン系、
ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリ塩化ビニル系、
ポリアミド系等の熱可塑性エラストマー樹脂（以下、こ
れらを総称して単に樹脂という。）により成形すること
が行なわれるようになった。この樹脂製ダストブーツの
成形方法としては、樹脂を押出成形シリンダで押出成形
した筒状パリソンを吹込成形用キャビティ金型で包み、
すなわち型閉じしてから圧縮空気を吹き込むことにより
パリソンを膨張させてキャビティ内面に押し付け成形品
を得る押出吹込成形法、あるいは、樹脂を射出成形シリ
ンダからパリソン成形用キャビティ金型とコア金型との
間に射出してパリソンを射出成形し、このパリソンをコ
ア金型とともに吹込成形用キャビティ金型に移動させ、
型閉じしてから圧縮空気を吹き込むことによりパリソン
を膨張させてキャビティ内面に押し付け成形品を得る射
出吹込成形法がある。

ところで、第10図に示すように、ダストブーツ１の両
端部の装着リング部とくに小径側の装着リング部２の内
周は、被装着軸３の被装着溝（係合溝）４部に装着され
て密接することによりダスト、泥水等の侵入を防げるよ
うに、すなわち、シール性を得るために、係合溝４部に
おける被装着軸３の径よりも若干小さくし、すなわちこ
の被装着軸３との間に締め代を形成するとともに、さら
にシール性を高めるために、装着リング部２の内周面に
凸状のリップを形成することが一般的である。上記装着
リング部２の成形は、押出式吹込成形法では、装着リン
グ部２の内周成形用のコア金型と吹込成形用キャビティ
金型との間でパリソンを挟み込む圧縮成形であり、これ
により内径寸法を規制されて装着リング部２が成形され
る。一方、射出吹込成形法では、パリソンを成形する
際、パリソン成形用キャビティ金型とパリソン成形用の
コア金型との間で射出成形により装着リング部２を型成
形し、吹込成形時には、吹込成形用キャビティ金型とコ
ア金型との間に装着リング部２を隙間なく位置させてこ
の装着リング部２の内径寸法を規制しつつダストブーツ
１の蛇腹形状部５を成形する。

（発明が解決しようとする課題）上記従来の装着リング部２の成形においては、パリソ
ンを吹込成形用キャビティ金型内で吹込成形してダスト
ブーツ１の蛇腹形状部５を成形する際、装着リング部２
の蛇腹形状部５の連接部が蛇腹形状部５側へ引張られ、
通常４〜7Kg/cm²の圧力を有する吹込成形用の圧縮空気
が装着リング部２の内周側まで入り込む。これが、装着
リング部２の内周の寸法精度を悪化させ、この装着リン
グ部２の内端部６から径方向外方へ屈曲した立壁部７を
軸方向に対してほぼ直立に成形すること、したがって上
記内端部６を鋭い形状に成形することを困難にしてい
る。そして、装着リング部２の内端部６が鋭い形状にす
なわちシャープに成形されていないと、この装着リング
部２を被装着軸３係合溝４に装着したとき、上記内端部
６が係合すべき係合溝４の一端の係止面4aに対する係止
作用が小さくなり、抜けやすくなる。また、装着リング
部２の内周の寸法精度が悪いと、良好なシール性が得難
いとともに、装着リング部２の幅と係合溝４の幅との間
に遊びを生じ、ダストブーツ１の伸縮作動時に被装着軸
３の軸方向に滑りを生じ、装着リング部２の内周面が摩
耗してさらにシール性が低下することになる。

本発明は、従来の技術におけるこれらの問題点に着目
してなされたもので、被装着軸の係合溝に装着リング部
が確実に係止されるとともに良好なシール性が得られる
合成樹脂製ダストブーツを提供することを目的とするも
のである。また、そのために、吹込成形用の圧縮空気の
装着リング部の内周側への入りこみを防止でき、容易に
装着リング部の内端部を変形させることなくシャープに
精度よく成形できる合成樹脂製ダストブーツの成形方法
を提供することを目的とするものである。

〔発明の構成〕

（課題を解決するための手段）本発明は、上記目的を達成しようとするものであり、
本発明の合成樹脂製ダストブーツ11は、熱可塑性合成樹
脂で吹込成形され、蛇腹形状あるいは釣り鐘形状に形成
された腹部12の両端部に、被装着軸16,18の係合溝17,19
に装着される装着リング部を13,14を備え、さらに、こ
の装着リング部13,14の内端部21,31から径方向外方へ屈
曲した立壁部22,32の内面ないしこの立壁部22,32から上
記腹部12に連接するスリーブ部23,33の内周面に周方向
に沿う環状の凸条24,26,35が１条または複数条形成され
ており、上記装着リング部13,14の内端部21,31が軸方向
に対してほぼ直立にかつ鋭い形状に成形されているもの
である。

また、本発明の合成樹脂製ダストブーツの製造方法
は、上述の合成樹脂製ダストブーツ11を熱可塑性合成樹
脂で吹込成形により製造するに際して、上記装着リング
13,14を成形するコア金型43に、上記装着リング部13,14
の内端部21,31の立壁部22,32の内面ないしこの立壁部2
2,32から上記腹部12に連接するスリーブ部23,33の内周
面に周方向に沿う凸条24,26,35を成形するための凹条溝
52,59を形成し、パリソン成形時または吹込成形の型閉
じ時に予め、上記装着リング部13,14とともに上記凸条2
4,26,35を１条またぱ複数条に型成形し、ついで、上記
装着リング部13,14およびスリーブ部23,33を型部材48,4
9,50,51間に挾持した状態で上記腹部12の吹込成形を行
なうものである。

（作用）本発明の合成樹脂製ダストブーツ11は、蛇腹形状ある
いは釣り鐘形状の腹部12の両端部にある装着リング部1
3,14が被装着軸16,18の係合溝17,19にそれぞれ装着され
る。そのとき、軸方向に対してほぼ直立にかつ鋭い形状
に形成されている装着リング部13,14の内端部21,31は、
係合溝17,19の一端面17a,19aに確実に係止され、この係
合溝17,19に対して装着リング部13,14が確実に抜け止め
されるとともに、被装着軸17,19と装着リング部13,14と
の間のシール性が良好に保持される。また、上記装着リ
ング13,14の内端部21,31の係合溝17,19の一端面17a,19a
に対する係止により、装着に伴って節度感が得られ、係
合溝17,19への装着リング部13,14の装着を確認できる。
なお、装着リング部13,14の内端部21,31の立壁部22,32
の内面ないしこの立壁部22,32から腹部12に連接するス
リーブ部23,33の内周面に形成された周方向に沿う凸条2
4,26,35を被装着軸16,18の周面16a,18aに当接させれ
ば、シール性がさらに向上する。

また、本発明の合成樹脂製ダストブーツの製造方法で
は、パリソン成形時または吹込成形の型閉じ時に予め、
装着リング部13,14の成形用のコア金型43の凹条溝52,59
により、装着リング部13,14とともに凸条24,26,35を型
成形した後、装着リング部13,14およびスリーブ部23,33
を型部材48,49,50,51間に挾持した状態で腹部12の吹込
成形を行なうが、このとき、装着リング部13,14の内端
部21,31の立壁部22,32の内面ないしこの立壁部22,32か
ら腹部12に連接するスリーブ部23,33の内周面にある周
方向に沿う凸条24,26,35とコア金型43の凹条溝52,59と
の係合により、パリソン57とコア金型43との間に吹き込
まれた圧縮空気が装着リング部13,14の内周側まで流入
することが防止される。したがって、装着リング部13,1
4の内端部21,31が変形することなく軸方向に対してほぼ
直立にかつ鋭い形状に保持されるとともに、装着リング
部13,14の内周の寸法精度の悪化が防止される。

（実施例）以下、本発明の実施例を第１図ないし第９図に基づい
て詳細に説明する。

この実施例の合成樹脂製ダストブーツ11は、第８図に
示すような自動車におけるラックピニオン方式のステア
リング装置に使用されるラックブーツである。まず、こ
のダストブーツ11の構成の概略を説明する。

伸縮自在な腹部としての蛇腹形状部12の一端部に径小
な小径側装着リング部13が形成されているとともに、同
じ蛇腹形状部12の他端部にはより径大な大径装着リング
部14が形成されている。そして、上記小径側装着リング
部13は、ボールジョイト15から延びる被装着軸としての
ジョイント軸16の係合溝17に装着されるものである。一
方、上記大径側装着リング部14は、被装着軸としてのラ
ックハウジング18の係合溝19に装着されるものである。

つぎに、上記小径側装着リング部13部分の第１実施例
を第１図に基づいて詳しく説明する。

この装着リング部13の内周は、従来と同様に、ジョイ
ント軸16の係合溝17の周面に密着するよう、この係合溝
17におけるジョイント軸16の軸径と同径または若干径小
になっている。また、上記装着リング部13の幅は、この
装着リング部13がジョイント軸16の係合溝17に当接でき
るよう、この係合溝17の幅より若干小さくなっている。
なお、上記装着リング部13の内周面は凹凸状に成形され
ている。

また、上記装着リング部13の内端部21から径方向外方
へ屈曲させて円環状の立壁部22が形成されている。さら
に、この立壁部22から蛇腹形状部12に連接させてスリー
ブ部23が形成されている。そして、上記装着リング部13
の内端部21は、軸方向に対して直立にかつ鋭い形状にす
なわちシャープに形成されている。また、上記立壁部22
の内面には、周方向に沿う円環状の凸条24が１条形成さ
れている。なお、この凸条24は複数条形成してもよい。
また、上記凸条24の断面形状は、先細りの三角形状とな
っているが、基部の幅は１〜2mm、高さは１〜2mm程度が
適当である。なお、凸条24の断面形状は、台形状、半円
形状などにしてもよい。

さらに、上記装着リング部13の外端部には径方向外方
へ屈曲したフランジ状部25が形成されている。

第２図は、小径側装着リング部13部分の第２実施例を
示すものである。この第２実施例の構成は先の第１実施
例と同様であるが、円環状の凸条24が、ジョイント軸16
における係合溝17に連接する周面16aに当接する位置に
形成されている。

第３図は、小径側装着リング部13部分の第３実施例を
示すものである。この第３実施例では、円環状の凸条26
が、装着リング部13の内端部21の立壁部22から蛇腹形状
部12に連接するスリーブ部23の内周面に周方向に沿って
形成されている。そして、上記凸条26の先端が、ジョイ
ント軸16における係合溝17に連接する周面16aに当接す
るようになっている。

第４図は、上記大径側装着リング部14部分の一実施例
を示すものである。この大径側装着リング部14も、小径
側装着リング部13と同様に、内端31に立壁部32を有し、
この立壁部32から蛇腹形状部12に連接するスリーブ部33
を有しているとともに、外端部にフランジ状部34を有し
ている。そして、上記スリーブ部33の内周面に、周方向
に沿う円環状の凸条35が形成されており、この凸条35の
先端がラックハウジング18における係合溝19に連接する
周面18aに当接するようになっている。

つぎに、上記ダストブーツ11の製造方法の一実施例を
第５図、第６図および第９図に基づいて説明する。この
実施例の方法は、射出吹込成形法によるものである。

まず、成形装置の構成を第９図に基づいて説明する。

この成形装置は、パリソン成形用キャビティ金型41
と、吹込成形用キャビティ金型42と、これら両キャビテ
ィ金型41,42間を回動して移動する一対のコア金型43
と、このコア金型43を回動させるコア回動装置に連結さ
れた回動するコア支持台44とからなっている。そして、
上記パリソン成形用キャビティ金型41は、開閉自在の一
対の型部材すなわちパリソン成形用可動側キャビティ部
材46と、パリソン成形用固定側キャビティ部材47とから
なっている。また、上記吹込成形用キャビティ金型42
は、開閉自在の一対の型部材すなわち吹込成形用可動側
キャビティ部材48と吹込成形用固定側キャビディ部材49
とからなっている。さらに、上記コア金型43は、上記コ
ア支持台44に結合された型部材であるシャフト状のコア
50と、このコア50の上部に被嵌された型部材である外筒
51となどからなっている。なお、たとえば上記コア金型
43には、図示していないが、空気吹出口が設けられてい
る。

そして、第５図に示すように、上記ダストブーツ11の
小径側装着リング部13を成形するコア金型43のコア50の
先端部には、上記凸条24を成形するための円環状の凹条
溝52が周方向に沿って形成されている。また、上記大径
側装着リング部14を成形するコア金型43の外筒51の先端
部には、図示していないが、上記凸条35を成形するため
の凹条溝が形成されている。

そうして、まずパリソン成形工程において、コア金型
43をパリソン成形用キャビティ金型41により包含して、
このキャビティ金型41を型閉じし、コア金型43とパリソ
ン成形用キャビティ金型41との間に形成されたキャビテ
ィ空間56に溶融した熱可塑性合成樹脂を射出注入して、
パリソン57を射出成形する。このとき、パリソン成形用
キャビティ金型41とコア50の先端部との間で、小径側装
着リング部13と立壁部22とスリーブ部23とが型成形され
る。そして、装着リング部13の内端部21が軸方向に対し
てほぼ直立に成形されるとともに、コア50の凹条溝52に
より、装着リング部13の内端部21の立壁部22の内面に円
環状の凸条24が周方向に成形される。また、パリソン成
形用キャビティ金型41と外筒51との間で、大径側装着リ
ング部14と立壁部32とスリーブ部33とが成形されるとと
もに、このスリーブ部33に凸条35が成形される。

ついで、吹込成形工程に移行するため、型開きしたパ
リソン成形用キャビティ金型41からパリソン57が付着し
たままのコア金型43を吹込成形用の一対のキャビティ部
材48,49間に移動させる。そして、パリソン57の付着し
たコア金型43を内蔵させて吹込成形用キャビティ金型42
を型閉じする。この状態で、第５図に示すように、小径
側装着リング部13と立壁部22とスリーブ部23とは、コア
50と吹込成形用のキャビティ部材48,49との間に隙間な
く挾持される。また、大径側装着リング部14と立壁部32
とスリーブ部33とは、コア金型43の外筒51とキャビティ
部材48,49との間に隙間なく挾持される。そして、コア
金型43の空気吹出口から、コア金型43とパリソン57との
間に圧縮空気を吹き込む。この圧縮空気の吹き込みによ
り、パリソン57の両端部以外の位置が膨んでキャビティ
部材48,49の内面のキャビティ面48a,49aに押し付けら
れ、蛇腹形状部12が吹込成形される。

このとき、第６図に示すように、吹き込まれた圧縮空
気の圧力により、スリーブ部23およびこのスリーブ部23
に連接する蛇腹形状部12の斜面部12aは、引張り作用が
働いて肉厚が縮小し、スリーブ部23の内周側に圧縮空気
が入り込む。ところが、装着リング部13の内端部21の立
壁部22の内面の凸条24がコア50の凹条溝52に係合してい
ることにより、装着リング部13の内周側への圧縮空気の
流入は防止される。すなわち、第６図に矢指で示す方向
に流入する圧縮空気により、先細りの凸条24がコア50の
凹条溝52の図示下面に押し付けられて、この凸条24より
外側への圧縮空気の流入が阻止される。このことによ
り、装着リング部13の内周は、確実に型形状に保持され
たまま成形され、寸法精度が悪化することはない。そし
て、装着リング部13の内端部21も、軸方向に対してほぼ
直立した状態を保持したままシャープに成形され、変形
することはない。

大径側装着リング部14部分についても、同様である。

ついで、吹込成形用キャビティ金型42の型開き後、成
形品58は成形品取り出し装置（図示しない）によりコア
金型43から離型される。そして、第５図に１点鎖線Ｃで
示す位置で切断して、ダストブーツ11を得る。

なお、第５図および第６図は、上記小径側装着リング
部13部分の第１あるいは第２実施例の成形を示すもので
ある。一方、第７図は、上記小径側装着リング部13部分
の第３実施例の成形を示すものであるが、この場合も、
スリーブ部23の凸条26とコア50に形成された凹条溝59と
の係合により、吹込成形用の圧縮空気に抗して、装着リ
ング部13の変形を防止できる。

また、上記実施例の方法は射出吹込成形法であった
が、上記ダストブーツ11は、押出式吹込成形法によって
も成形することができる。この場合は、吹込成形の型閉
じ時に、コア金型と吹込成形用キャビティ金型とにより
パリソンを挟み込んで、すなわち、圧縮成形により、装
着リング部13,14と立壁部22,32とスリーブ部23,33と凸
条24,26,35とを型成形する。

つぎに、こうして得られた上記ダストブーツ11の使用
態様について説明する。

第８図に示すように、ダストブーツ11の小径側装着リ
ング部13をジョイント軸16の係合溝17に嵌着し、クリッ
プリング61で固定する。また、大径側装着リング部14を
ラックハウジング18の係合溝19に嵌着して、クリップバ
ンド62で固定する。

このとき、第１図ないし第４図に示すように、装着リ
ング部13,14の内端部21,31は係合溝17,19の一端の係止
面17a,19aに当接され、装着リング部13,14の外端部は係
合溝17,19の他端の係止面17b,19bに当接される。そし
て、装着リング部13,14の内端部21,31は、ほぼ直立にシ
ャープに形成されているので、係合溝17,19の係止面17
a,19aに確実に係止される。したがって、装着リング部1
3,14の内周の寸法精度がよいことと相まって、係合溝1
7,19から装着リング部13,14が抜け難いとともに、この
装着リング部13,14とジョイント軸16あるいはラックハ
ウジング18との間のシール性も良好なものとなる。さら
に、ダストブーツ11の伸縮作動時に、装着リング部13,1
4がジョイント軸16あるいはラックハウジング18に対し
て軸方向に滑ることがなく、装着リング部13,14の内周
面の摩耗も防止できる。

なお、第２図ないし第４図に示すように、装着リング
部13,14の近傍の凸条24,26,35をジョイント軸16あるい
はラックハウジング18の周面16a,18aに当接させれば、
装着リング部13,14の内周側でのシール性がよりいっそ
う高まり、強固なものとなる。

また、装着リング部13,14の内端部21の係合溝17,19の
係止面17a,19aへの確実な係止により、装着リング部13,
14の装着時に節度感が得られるので、係合溝17,19への
装着リング部13,14の装着完了の確認が容易となる。

さらに、上述のように、装着リング部13,14の係合溝1
7,19に対する係止作用が大きいことにより、クリップリ
ング61などを省くこともでき、ダストブーツ11の取り付
け工数を低減できる。

なお、上記実施例では、ダストブーツ11として、ステ
アリング装置用のラックブーツを例に採ったが、本発明
が適用できるダストブーツはラックブーツに限るもので
はない。また、ダストブーツの腹部の形状も、蛇腹形状
に限るものではなく、釣り鐘形状であってもよい。

〔発明の効果〕

本発明は、下記のような効果を奏する。

本発明の合成樹脂製ダストブーツでは、装着リング部
の内端部の立壁部の内面ないしこの立壁部から腹部に連
接するスリーブ部の内周面に周方向に沿う環状の凸条が
形成されており、装着リング部の内端部が軸方向に対し
てほぼ直立にかつ鋭い形状に形成されているので、被装
着軸の係合溝に対して装着リング部が確実に係止されて
抜け止めされるとともに、良好なシール性が得られる。
また、装着リング部の装着に伴って節度感が得られるの
で、係合溝への装着リング部の装着の確認が容易にな
る。さらに、上述のように係合溝に対する装着リング部
の係止作用が大きいことにより、被装着軸の係合溝に抜
け止め用のつば部などを設ける必要がなく、ダストブー
ツの取り付け工数を低減できる。なお、上記凸条を被装
着軸の周面に当接させることにより、シール性をよりい
っそう高めることができる。

また、本発明の合成樹脂製ダストブーツの製造方法
は、コア金型に設けられた凹条溝により、パリソン成形
時または吹込成形の型閉じ時に、装着リング部とともに
凸条を成形し、装着リング部およびスリーブ部を型部材
間に挾持した状態で腹部の吹込成形を行なうので、この
吹込成形時、装着リング部の内端部の立壁部の内面ない
しこの立壁部から腹部に連接するスリーブ部の内周面に
ある周方向に沿う凸条とコア金型の凹条溝との係合によ
り、吹込成形用の圧縮空気が装着リング部の内周側へ入
り込むことを防止でき、したがって、容易に、装着リン
グ部を変形させることなく精度よく成形でき、装着リン
グ部の内端部も直立にかつ鋭い形状に成形することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の合成樹脂製ダストブーツの小径側装着
リング部部分の第１実施例を示す要部半断面図、第２図
は本発明の合成樹脂製ダストブーツの小径側装着リング
部部分の第２実施例を示す要部半断面図、第３図は本発
明の合成樹脂製ダストブーツの小径側装着リング部部分
の第３実施例を示す要部半断面図、第４図は本発明の合
成樹脂製ダストブーツの大径側装着リング部部分の一実
施例を示す要部半断面図、第５図は上記第１実施例の小
径側装着リング部部分の吹込成形を示す要部断面図、第
６図は第５図の凸条部分の拡大断面図、第７図は上記第
３実施例の小径側装着リング部部分の吹込成形を示す要
部断面図、第８図は上記合成樹脂製ダストブーツの装着
態様を示す全体側面図、第９図は本発明の合成樹脂製ダ
ストブーツの製造方法の概要工程を示す成形装置の側面
図、第10図は従来のダストブーツの小径側装着リング部
部分の一例を示す要部半断面図である。 11……合成樹脂製ダストブーツ、12……腹部としての蛇
腹形状部、13……小径側装着リング部、14……大径側装
着リング部、16……被装着軸としてのジョイント軸、17
……係合溝、18……被装着軸としてのラックハウジン
グ、19……係合溝、21……小径側装着リング部の内端
部、22……立壁部、23……スリーブ部、24……凸条、26
……凸条、31……大径側装着リング部の内端部、32……
立壁部、33……スリーブ部、35……凸条、43……コア金
型、48……型部材である吹込成形用可動側キャビティ部
材、49……型部材である吹込成形用固定側キャビティ部
材、50……型部材であるコア、51……型部材である外
筒、52……凹条溝、57……パリソン、59……凹条溝。

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】熱可塑性合成樹脂で吹込成形され、蛇腹形
状あるいは釣り鐘形状に形成された腹部の両端部に、被
装着軸の係合溝に装着される装着リング部を備えた合成
樹脂製ダストブーツにおいて、上記装着リング部の内端部から径方向外方へ屈曲した立
壁部の内面ないしこの立壁部から上記腹部に連接するス
リーブ部の内周面に周方向に沿う環状の凸条が形成され
ており、上記装着リング部の内端部が軸方向に対してほ
ぼ直立にかつ鋭い形状に形成されていることを特徴とす
る合成樹脂製ダストブーツ。
【請求項２】蛇腹形状あるいは釣り鐘形状に形成された
腹部の両端部に、被装着軸の係合溝に装着される装着リ
ング部を備え、この装着リング部の内端部から径方向外
方へ屈曲した立壁部の内面ないしこの立壁部から上記腹
部に連接するスリーブ部の内周面に周方向に沿う環状の
凸条が形成されており、上記装着リング部の内端部が軸
方向に対してほぼ直立にかつ鋭い形状に形成されている
合成樹脂製ダストブーツを熱可塑性合成樹脂で吹込成形
により製造するに際して、上記装着リング部を成形するコア金型に設けられた凹条
溝により、パリソン成形時または吹込成形の型閉じ時に
予め、上記装着リング部とともにこの装着リング部の内
端部の立壁部の内面ないしこの立壁部から上記腹部に連
接するスリーブ部の内周面に周方向に沿う上記凸条を型
成形し、上記装着リング部およびスリーブ部を型部材間
に挾持した状態で上記腹部の吹込成形を行なうことを特
徴とする合成樹脂製ダストブーツの製造方法。