JP2539245Y2 - デッキプレート用天井吊り金具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、コンクリートスラブに
添装される天井デッキプレート、特に下面側に断面三角
形の突条部が一体突設されたデッキプレート（一般にハ
イデッキ、Ｆデッキ等と称される）の前記突条部に取付
けて、吊りボルトによりダクトや電気配線等を吊るすの
に使用されるデッキプレート用天井吊り金具に関するも
のである。

【０００２】

【従来技術及びその課題】従来、上記のような突条部付
きのデッキプレートに簡単容易に取付けでき、しかも位
置調整可能に仮止めを行えるような天井吊り金具は提供
されていない。したがって、この種のデッキプレートに
吊りボルトを垂設する場合は、吊りボルトを支持する適
当な金具をデッキプレートの突条部に溶接によって取付
け固定していたが、溶接作業に非常に手間がかかる上、
一旦溶接すると取付け位置の調整、変更が極めて困難と
なる等の問題があった。

【０００３】本考案は、上記の課題に鑑み、デッキプレ
ートへの仮止めが可能で、しかもその仮止めをワンタッ
チで行うことができ、取付け作業が非常に簡単容易な天
井吊り金具を提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成しうる
本考案のデッキプレート用天井吊り金具は、金具本体
に、デッキプレートの断面三角形突条部を挟持する左右
一対の挟持片を、水平横方向に間隔を隔てた２本の支軸
によりそれぞれ開閉自在に軸支すると共に、両挟持片を
閉動方向に付勢するスプリングを併設し、前記金具本体
の前記支軸間中央部に貫通させた回転不能のボルトの頭
部を前記両挟持片の内端部上に位置させ、前記金具本体
下に突出する前記ボルトに螺嵌させた吊りボルト結合用
締結体の締め付けにより、前記両挟持片を閉動固定する
ように構成し、前記両挟持片の上端内側には前記デッキ
プレートの突条部を両挟持片間に誘導するための傾斜部
を形成してなることを特徴とする。

【０００５】

【実施例】本考案の実施例について図面を参照して説明
すると、図１及び図２は、デッキプレート用天井吊り金
具１を示したもので、この天井吊り金具１は、断面上向
きコ字形の金具本体２に、左右一対の挟持片３，３を、
水平横方向に間隔を隔てた２本の支軸４，４によりそれ
ぞれ開閉自在に軸支すると共に、この一対の挟持片３，
３を閉動方向に付勢するスプリング５を両挟持片３，３
と前記金具本体２との間に介装し、前記金具本体２にお
ける前記両支軸４，４間の中央部に縦に貫通させた挟持
片ロック用のボルト６の頭部６ａを前記両挟持片３，３
の内端部上に位置させ、前記金具本体２の下方に突出す
る前記ボルト６のネジ部６ｂに、吊りボルト結合用締結
体７を螺嵌させてなるものである。

【０００６】上記の構造について更に詳細に説明すれ
ば、金具本体２は、図３にも示すように両側壁２ａ，２
ａと底壁２ｂとで断面上向きコ字状に形成されたもの
で、底壁２ｂの中央部にボルト挿通孔２ｃが設けられ、
また各側壁２ａの両端部には図外支軸挿通孔が設けてあ
る。前記各挟持片３は、図１〜図４を参照して明らかな
ようにＬ字形の両側壁３ａ，３ａと底壁３ｂとからな
り、各側壁３ａの内方端部に支軸挿通孔８が、また底壁
３ｂの内端には前記ボルト６のネジ部６ｂ側周面に係合
しうる円弧状の係合凹部９が形成してある。前記スプリ
ング５は、図５に示すように両端部側が上方に湾曲した
板ばねよりなり、その中央部に前記ボルト６が挿通する
ボルト挿通孔１０が設けてある。また、前記ボルト結合
用締結体７は、長尺状のナットよりなるもので、図２に
示すように上端部側に前記ボルト６が螺入され、下端部
側には、天井吊り金具１の取付後に吊りボルト１２の上
端部が螺入されて結合されるようになっている。

【０００７】この天井吊り金具１を組み立てるには、金
具本体２の底壁２ｂ上に前記ばね板よりなるスプリング
５を載置して、金具本体２のボルト挿通孔２ｃとスプリ
ング５のボルト挿通孔１０に合致させた状態で、互いに
左右対称状に配した両挟持片３，３の内方端部を、金具
本体２内にその両側から嵌合させ、金具本体２の支軸挿
通孔から各挟持片３の支軸挿通孔８に支軸４を挿通し
て、左右両挟持片３，３を金具本体２に開閉自在に枢着
する。この状態において、両挟持片３，３はスプリング
５によって当該両挟持片の上端部が互いに接近する閉動
方向に付勢されている。その後、左右両挟持片３，３の
内端部間より前記挟持片ロック用ボルト６を前記スプリ
ング５及び金具本体の２のボルト挿通孔１０，２ｃに挿
通させ、金具本体２の下方に突出するそのボルト６に前
記ボルト結合用締結体７を螺嵌させ、この締結体７は緩
ませておき、図２に示すような組立状態とする。

【０００８】図２に示すように、ボルト結合用締結体７
を緩ませた状態において、左右両挟持片３，３は、スプ
リング５の付勢力によって実線図示のような閉鎖姿勢に
保持されていると共に、前記ボルト６の頭部６ａ下面と
左右各挟持片３の内端部との間に隙間があるため両挟持
片３，３の上端部にスプリング５の付勢力を上回る下向
きの荷重をかけることによって支軸４，４を中心に上端
部が互いに離れる方向に揺動、つまり開動して、仮想線
図示のような開放姿勢となり、その荷重を取り去ると、
スプリング５の付勢力で元の閉鎖姿勢に戻ることにな
る。

【０００９】また、図２に示される状態から、前記ボル
ト結合用締結体７を締め付けると、両挟持片３，３の底
壁２ｃ，２ｃ内端部が、スプリング５及び金具本体２と
共に当該締結体７の上端面と前記ボルト６の頭部６ａ下
面との間に挟着固定され、それによって左右両挟持片
３，３は閉鎖姿勢にロックされる。

【００１０】尚、前記左右一対の挟持片３，３間には、
図２の仮想線で示されるような一般にＦデッキと称され
るデッキプレート１３の断面三角形状突条部１４に対応
する蟻溝形状の嵌合部１５が形成され、そしてこの蟻溝
形嵌合部１５の入口部、即ち両挟持片３，３のそれぞれ
上端内側にはデッキプレート１３の突条部１４を前記嵌
合部１５内に誘導するための傾斜部１６、１６が形成さ
れている。

【００１１】以上説明したような構成を有する天井吊り
金具１をデッキプレート１３に取付けるには、ボルト結
合用締結体７を予め緩めておいて、この締結体７を手で
持って、図６に示すように、天井コンクリートスラブＳ
の下面に添装されたデッキプレート１３の突条部１４に
対し左右両挟持片３，３を接近させ、両挟持部３，３の
上端傾斜部１６，１６を突条部１４の底辺両角部に押し
付けると、その押し付けに伴って両挟持片３，３の傾斜
部１６，１６に作用する下向きの荷重により両挟持片
３，３が開動し、デッキプレート１３の突条部１４は前
記傾斜部１６，１６に誘導案内されて両挟持片３，３間
の嵌合部１５に突入嵌合し、図７に示す状態となる。こ
の状態において、両挟持片３，３にはスプリング５によ
る閉動方向に付勢力が働いているため、天井吊り金具１
は落下することがない。即ち、天井吊り金具１は突条部
１４に仮止め状態に保持されることになる。この仮止め
状態では突条部１３に対して天井吊り金具１を長さ方向
に沿って自由に移動させることができる。

【００１２】上記のように、両挟持部３，３の上端部を
デッキプレート突条部１３下面に押し付けるだけのワン
タッチ操作で、デッキプレート突条部１３への仮止めを
行うことができる。こうして仮止めを行い、且つ突条部
１３の長さ方向に沿ってスライドさせて適宜に位置調整
を行った後、図７のように吊りボルト結合用締結体７を
回転させて締結する。この締結体７の締結操作により、
両挟持片３，３の内端部が前記ボルト６の頭６ａと前記
締結体７の上端との間で前記金具本体２と共に一体的に
締結固定され、それにより両挟持片３，３はデッキプレ
ート突条部１３に外嵌された閉鎖状態に固定される。こ
れによって、天井吊り金具１のデッキプレート１３への
取付けが終わる。その後、吊りボルト結合用締結体７に
はその下端部に吊りボルト１２の上端部が螺入結合され
る。

【００１３】尚、前記デッキプレート１３は、通常、コ
ンクリートスラブＳを形成するにあたってその型枠とし
て使用され、コンクリート打設後はそのまま残されて、
コンクリートスラブＳ下面に一体装着された状態とな
る。しかして、本考案に係る前記天井吊り金具１はコン
クリートの打設の前後に関係なくデッキプレート１３に
取付けることができる。この実施例では、デッキプレー
トとして、いわゆるＦデッキのみを例示したが、これ以
外に、いわゆるハイデッキやＮデッキにも本考案の適用
が可能である。

【００１４】

【考案の作用及び効果】本考案のデッキプレート用天井
吊り金具によれば、デッキプレートへの取付けにあた
り、ボルト結合用締結体を緩めておき、この締結体を手
で持って、両挟持片の上端傾斜部をデッキプレートの突
条部の底辺両角部に押し付けると、その押し付けに伴っ
て両挟持片の傾斜部に作用する下向きの荷重により両挟
持片が開動し、デッキプレートの突条部は前記傾斜部に
誘導案内されて両挟持片間に突入嵌合し、仮止め状態と
なる。この状態において、両挟持片にはスプリングによ
り閉動方向に付勢力が働いているため、天井吊り金具は
落下することがなく、またこの仮止め状態で天井吊り金
具を突条部に対しその長さ方向に沿って自由に移動させ
ることができる。こうして仮止めを行った後、吊りボル
ト結合用締結体を回転させて締結することにより、両挟
持片の内端部が前記挟持片ロック用のボルトの頭と前記
締結体の上端との間で前記金具本体と共に一体的に締結
固定され、それにより両挟持片はデッキプレート突条部
に外嵌された閉鎖状態に固定される。

【００１５】上記のように、本考案によれば、両挟持部
の上端部をデッキプレートの突条部下面に押し付けるだ
けのワンタッチ操作で、デッキプレート突条部への仮止
めを行うことができ、工程の短縮化を計ることができ
る。そして仮止め後は吊りボルト結合用締結体を回転さ
せるだけでよいから、デッキプレートへの取付け作業を
非常に簡単容易に行うことができる。また、吊り金具の
取付け位置を簡単に移動でき、追加の取付けも可能とな
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す天井吊り金具の斜視図で
ある。

【図２】図１の天井吊り金具の縦断正面図である。

【図３】図２のＸ−Ｘ線断面図である。

【図４】天井吊り金具の挟持片を示す斜視図である。

【図５】天井吊り金具のスプリングを示す斜視図であ
る。

【図６】天井吊り金具の取付け手順を示すもので、仮止
めを行っている状態を説明する説明図である。

【図７】仮止め後の取付け状態を示す説明図である。

【符号の説明】

１ 天井吊り金具 ２ 金具本体 ３ 挟持片 ４ 支軸 ５ スプリング ６ 挟持片ロック用のボルト ７ 吊りボルト結合用締結体 １２ 吊りボルト １３ デッキプレート １４ デッキプレートの突条部 １６ 挟持片の傾斜部

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 金具本体に、デッキプレートの断面三角
   形突条部を挟持する左右一対の挟持片を、水平横方向に
   間隔を隔てた２本の支軸によりそれぞれ開閉自在に軸支
   すると共に、両挟持片を閉動方向に付勢するスプリング
   を併設し、前記金具本体の前記支軸間中央部に貫通させ
   た回転不能のボルトの頭部を前記両挟持片の内端部上に
   位置させ、前記金具本体下に突出する前記ボルトに螺嵌
   させた吊りボルト結合用締結体の締め付けにより、前記
   両挟持片を閉動固定するように構成し、前記両挟持片の
   上端内側には前記デッキプレートの突条部を両挟持片間
   に誘導するための傾斜部を形成してなるデッキプレート
   用天井吊り金具。