JP2532663Y2 - ラインボーリングバの自動交換装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、工作機械の主軸との間でラインボーリング
バを自動交換する装置に係り、特にスイングアーム等を
使用しないで迅速な自動交換の行うようにしたラインボ
ーリングバの自動交換装置に関する。

［従来の技術］ ラインボーリングバは刃具を固定する細長なロッド
と、主軸のテーパ孔に嵌着し得るテーパ部を有するツー
ルホルダとから形成されるものである。ワークの形状に
対応し、複数種類のラインボーリングバを垂直にして装
置内に並設せしめ、工作機械側に設けられたスイングア
ームによりラインボーリングバのツールホルダの把持部
を把持し、ラインボーリングバを90°回動し横向きの状
態にして主軸内に挿着するような構造のものが従来もっ
ぱら採用されていた。

［考案が解決しようとする課題］ 従来の自動交換装置では、前記したようにラインボー
リングバが垂直方向に沿ってラインボーリングバ保持手
段内に保持されているため、主軸に挿着するには前記ラ
インボーリングバ保持手段からラインボーリングバを引
き出した後、それを90°回動して主軸の軸線方向に一致
させることが必要となる。また、構造上、直接ラインボ
ーリングバを主軸に挿入することが出来ないため、スイ
ングアーム等により、ラインボーリングバを装置内から
引き出し、前記したように横向きにし、前記スイングア
ームを介してラインボーリングバを主軸内に挿入しなけ
ればならず、装置構造が複雑となり、かつ交換時間も長
くなる問題点があった。

本考案は、以上の問題点を解決するもので、スイング
アーム等の交換手段を使用しない簡単な構造のものから
なり、直接ラインボーリングバを主軸に自動交換出来る
と共に、多数本のラインボーリングバを収納し得るライ
ンボーリングバの自動交換装置を提供することを目的と
する。

［課題を解決するための手段］ 本考案は、以上の目的を達成するために、Ｙ軸（上下
方向）およびＺ軸（前後）方向に移動可能に機械の本体
側に支持され内部にラインボーリンクバのテーパ部が嵌
まり込むテーパ穴を水平方向に沿って配置する主軸に、
前記ラインボーリングバを着脱自在に挿着するための自
動交換装置であって、該装置は、複数本のラインボーリ
ングバを水平方向に沿って着脱可能に支持するラインボ
ーリングバ保持手段と、該保持手段を水平面に沿って回
動可能に支持する回転台と、該回転台を載置すると共に
前記機械の本体上にＸ軸方向（左右方向）に沿って移動
可能に支持されるベース台とを備えるものからなり、前
記ラインボーリングバは、前記主軸のテーパ穴に嵌まり
込むテーパ部と、軸線方向に沿って適宜間隔で並設され
る２箇所のクランプ部と、軸長の長いロッド部とからな
り、前記ラインボーリングバ保持手段には前記ラインボ
ーリングバの前記クランプ部に着脱可能に係合して該ク
ランプ部を把持するクランププレートが設けられてなる
ラインボーリングバの自動交換装置を構成するものであ
る。

［作用］ 横向きに並べられたラインボーリングバをＹ軸方向に
移動すると共に、主軸をY,Z軸方向に移動して、ライン
ボーリングバのツールホルダを主軸内に挿入する。自動
交換装置をＸ軸方向に沿い主軸から離隔する方向に移動
することにより該装置側からラインボーリングバが取り
外され、主軸内に装着される。自動交換装置は回動可能
に形成されるため、ラインボーリングバを少なくとも18
0°だけずらして２群配置することが出来、多数本のラ
インボーリングバを１つの自動交換装置に収納すること
が出来る。主軸内に把持されているラインボーリングバ
を引き出すには、自動交換装置をＸ軸方向に沿って主軸
側に近接させ、主軸をY,Z軸方向に移動させることによ
り自動交換装置側にラインボーリングバを簡単に戻入す
ることが出来る。

［実施例］ 以下、本考案の一実施例を図面に基づき説明する。

第１図は、ラインボーリングバの自動交換装置１をベ
ッド８上に設けた工作機械２を示す。

主軸４を枢支する主軸台５はコラム６にＹ軸方向に沿
って移動可能に支持される。主軸４内にはラインボーリ
ングバ３の挿着されるテーパ穴７が形成される。コラム
６はベッド８上にＺ軸方向に沿って移動可能に支持され
る。勿論、コラム６をＺ軸のみならずＸ軸（紙面直角方
向）に移動可能に支持するように構成されるものであっ
てもよい。主軸４と対峙するベッド８上には、主軸４内
に挿着されたライボーリングバ３の他端側を保持する受
け台９が載置される。

次に、第２図および第３図により自動交換装置１の構
造を説明する。

まず、ラインボーリングバ３は刃具（図略）を把持す
る細長なロッド部10と、後記するクランププレートの係
合するクランプ部11と、主軸４のテーパ穴７に嵌合する
テーパ部12を有するツールホルダ部13等とから構成され
る。なお、クランプ部11は軸線方向に沿って適宜間隔を
隔て２箇所形成される。複数本のラインボーリングバ３
は、それぞれクランプ部11およびツールホルダ部13を同
一形状のものから形成されるが、ロッド部10は同一又は
相異する形状のものが適宜使用される。

基台14はベッド８上に固定され、基台14にはＸ軸方向
に沿ってガイドレール15,16が、固定される。一方、ベ
ース台17の下面側には、ガイドレール15,16に嵌合する
ガイドブロック18,19がＸ軸方向に適宜間隔を隔て固定
される。また、ベース台17の下面側にはブラケット20が
固定され、ブラケット20には基台14側に固持されるシリ
ンダ21のピストンロッド22が連結される。以上の構造に
より、シリンダ21を動作することによりベース台17はガ
イドレール15（16）に案内され、Ｘ軸方向に沿って往復
動されることになる。

回転台23は図略の支持構造によりベース台17上に回転
可能に支持され、その回転は、中心軸24に固定されるピ
ニオンギャ25と、それに噛合するラック26と、ラック26
を往復動させるシリンダ27によって行われる。

次に、ラインボーリング保持手段28について説明す
る。

回転台23上にはハンドル30を有する支持台29が固定さ
れる。支持台29のＸ軸方向に沿う両側には支持ブロック
31が突出して一体的に形成される。支持ブロック31の横
巾寸法はラインボーリングバ３の２箇所のクランプ部1
1,11間の内側間隔巾にほぼ等しい寸法のものから形成さ
れる。支持ブロック31,31には２箇所のクランプ部11,11
に係合するクランププレート32がボルト33により固定さ
れる。

本実施例は１つの支持ブロック31に４セットのクラン
ププレート32が固定され、他の１つの支持ブロック31に
同じく４セットのクランププレート32が固定される場合
を示しているが、勿論、それに限定されるものでない。

クランププレート32はラインボーリングバ３を着脱可
能に把持するためのもので、その詳細構造を第４図およ
び第５図に示す。

クランププレート32は平板状部材からなり、その一端
側にはラインボーリングバ３のクランプ部11に丁度嵌ま
り込む半円弧部35が形成される。また、半円弧部35の反
対側にはガイド穴36が穿設され、ガイド穴36内には押圧
ピン37が摺動可能に支持されると共に、スプリング38が
収納され、押圧ピン37を図の下向側に押圧するように付
勢している。なお、スプリングバ38をガイド穴36内に収
納するために、プラグ39がクランププレート32に螺着さ
れている。取付孔40はクランププレート32を支持ブロッ
ク31側にボルト33により固定するためのものである。ク
ランププレート32の図の下方側には、揺動レバ41が支持
ピン42を中心に揺動自在に支持される。揺動レバ41の一
端部には押圧ピン37の先端が当接係合し、他端側にはラ
インボーリングバ３のクランプ部11に嵌まり込む係合部
43が形成される。以上の構造により、ラインボーリング
バ３を横向きにし、そのクランプ部11をクランププレー
ト32の半円弧部35と揺動レバ41の係合部43間に押し入れ
ることによりスプリング38および押圧ピン37により押圧
される揺動レバ41の係合部43がクランプ部11に押圧嵌合
し、ラインボーリングバ３を把持するように作用するこ
とになる。

次に、本実施例の作用を更に詳細に説明する。

第２図および第３図に示すように、自動交換装置１に
は片側４本づつ計８本のラインボーリングバ３が横向き
に並べられている。その内の所望のものＡ（第２図に示
す）を主軸４内に装着する場合について説明する。

シリンダ21を作動し、ベース台17をＸ軸方向に前進さ
せ、Ａで示すラインボーリングバ３を主軸４側に近接さ
せる。一方、主軸台５およびコラム６をＹ軸およびＺ軸
方向に移動し、主軸４のテーパ穴７とＡで示すラインボ
ーリングバ３のテーパ部12とを対峙する位置に位置決め
する。次に、コラム６を更に、Ｚ軸方向に前進させ、Ａ
で示すラインボーリングバ３のテーパ部12を主軸４のテ
ーパ穴７内に挿着し、Ａで示すラインボーリングバ３を
主軸４内に固定する。次に、シリンダ21を逆方向に動作
し、ベース台17と後退させると、Ａで示すラインボーリ
ングバ３のクランプ部11がクランププレート32および揺
動レバー41から外れる。それにより、Ａで示すラインボ
ーリングバ３は主軸４側に装着されることになる。

次に、用済みとなったＡで示すラインボーリングバ３
を自動交換装置１側に戻入し、Ａで示すラインボーリン
グバ３と対峙する反対側によるＢで示すラインボーリン
グバ３を主軸４に装着する場合について説明する。

Ａで示すラインボーリング３を主軸４から取り外すに
は、シリンダ21を前進方向に動作し、ベース台17を主軸
４側に近接させ、Ａで示すラインボーリングバ３が収納
されていたクランププレート32および揺動レバ41をクラ
ンプ部11と対峙する位置に位置決めし、クランプ部11を
把持する。この状態でコラム６をＺ軸方向に後退するこ
とにより、Ａで示すラインボーリングバ３は主軸４から
引き出され、自動交換装置１側に把持されることにな
る。次に、シリンダ27を動作し、回転台23を180°だけ
回動すると、Ｂで示すラインボーリングバ３がもとのＡ
で示すラインボーリング３の位置に回動位置決めされる
ことになる。それにより、前記したと同様の方法により
Ｂで示すラインボーリングバ３を主軸４内に装着するこ
とが出来る。

以上のように、自動交換装置１および工作機械２の主
軸４をX,Y,Z軸方向に順次移動させるだけで、ラインボ
ーリングバの自動交換が簡単に行われることになる。ラ
インボーリングバ３は横向きのため、姿勢換えをするこ
となく、そのままの形で主軸４内に装着されることが出
来る。

本実施例において、ラインボーリングバ３を８本のみ
並べた場合について説明したが、前記したようにそれに
限定するものでなく、また、ラインボーリングバ３を把
持するクランププレート32まわりの構造も本実施例で説
明した構造のものに限定されるものではない。

［考案の効果］ 本考案によれば、次のような効果が上げられる。

１） ラインボーリングバは横向きに並べられ、また、
使用時には横向きの状態で主軸内に装着されるため、従
来技術のように姿勢換えをする必要なく、その分だけ交
換時間が短縮され、かつ装置構造も簡単なものとなる。

２） 自動交換装置は回転式に形成されるため、多数本
のラインボーリングバ１つの装置内に収納することが出
来る。

３） 自動交換装置および主軸側をX,Y,Z軸方向に移動
させることにより自動交換が行われ、従来技術における
スイングアームのような複雑な機構を必要としない。

４） 各部を工作機械のNC装置に連結することにより、
迅速な工具交換が可能となる。

５）本発明のラインボーリングバが２箇所のクランプ部
を形成するためその軸長が長くても把持が確実に行われ
る。

【図面の簡単な説明】 第１図は本考案の一実施例を装着した工作機械の概要構
造を示す側面図、第２図は実施例に係る自動交換装置の
正面図、第３図は第２図の側面図、第４図は実施例にお
けるラインボーリングバのクランプ構造を説明するため
の拡大正面図、第５図は第４図のＶ−Ｖ線断面図であ
る。 １……自動交換装置、２……工作機械、３……ラインボ
ーリングバ、４……主軸、５……主軸台、６……コラ
ム、７……テーパ穴、８……ベッド、９……受け台、10
……ロッド部、11……クランプ部、12……テーパ部、13
……ツールホルダ、14……基台、15,16……ガイドレー
ル、17……ベース台、18,19……ガイドブロック、20…
…ブラケット、21……シリンダ、22……ピストンロッ
ド、23……回転台、24……中心軸、25……ピニオンギ
ャ、26……ラック、29……支持台、30……ハンドル、31
……支持ブロック、32……クランププレート、33……ボ
ルト、35……半円弧部、36……ガイド穴、37……押圧ピ
ン、38……スプリング、39……プラグ、40……取付孔、
41……揺動レバ、42……支持ピン、43……係合部。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】Ｙ軸（上下方向）およびＺ軸（前後方向）
   に移動可能に機械の本体側に支持され内部にラインボー
   リンクバのテーパ部が嵌まり込むテーパ穴を水平方向に
   沿って配置する主軸に、前記ラインボーリングバを着脱
   自在に挿着するための自動交換装置であって、該装置
   は、複数本のラインボーリングバを水平方向に沿って着
   脱可能に支持するラインボーリングバ保持手段と、該保
   持手段を水平面に沿って回動可能に支持する回転台と、
   該回転台を載置すると共に前記機械の本体上にＸ軸方向
   （左右方向）に沿って移動可能に支持されるベース台と
   を備えるものからなり、前記ラインボーリングバは、前
   記主軸のテーパ穴に嵌まり込むテーパ部と、軸線方向に
   沿って適宜間隔で並設される２箇所のクランプ部と、軸
   長の長いロッド部とからなり、前記ラインボーリングバ
   保持手段には前記ラインボーリングバの前記クランプ部
   に着脱可能に係合して該クランプ部を把持するクランプ
   プレートが設けられることを特徴とするラインボーリン
   グバの自動交換装置。