JP2529251B2 - エンジンのシリンダブロツク補強構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はハーフスカートタイプのエンジンにおけるシ
リンダブロック補強対策に関する。

（従来の技術） 従来、ハーフスカートタイプのエンジンのシリンダブ
ロック補強構造として、例えば特公昭55−40360号公報
に開示されるように、シリンダブロックとオイルパンと
の間にプレート部材を配設したものが知られている。こ
のプレート部材は、シリンダブロックのスカート部とオ
イルパンのレール部とに挾持される枠部材と、該枠部材
内に一体に形成されメインベアリングキャップにボルト
で締結される複数の横部材と、該横部材同士を連結する
よう一体に形成された縦部材とからなり、シリンダブロ
ックのスカート部及びメインベアリング周りの剛性を高
めるものである。

（発明が解決しようとする問題点） ところが、上記従来のものでは、プレート部材はその
構造上鋳造によって製造することになるので、寸法が大
きく重量が重いものになり、エンジンをコンパクトにか
つ軽量にできないとともに取付作業性に問題を有してい
る。

本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その
目的とするところは、プレート部材を板金製とし、その
中央部を湾曲させ且つ補強メンバで補強することによ
り、シリンダブロックの補強強度を確保しつつ軽量コン
パクト化及び取付作業性の向上を図ることにある。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するため、本発明の解決手段は、ハー
フスカートタイプのエンジンにおけるシリンダブロック
スカート部とオイルパンレール部との間にシリンダブロ
ックを補強するための板金製プレート部材を配したエン
ジンのシリンダブロック補強構造を対象とし、上記プレ
ート部材はその中央部がクランク軌跡に干渉しないよう
にオイルパン側に湾曲した湾曲部に形成し、該湾曲部に
おける内方のメインベアリングキャップに対峙する部位
に断面略ハット形状の補強メンバがクランク軸直交方向
に固着するとともに端部のメインベアリングキャップに
対峙する部分は該端部メインベアリングキャップに当接
するように折曲げて取付部に形成し、プレート部材を上
記補強メンバを貫通するボルトと上記取付部を貫通する
ボルトとにより上記各メインベアリングキャップに締結
する構成としたものである。

（作用） 上記の構成により、本発明では、プレート部材の中央
部が湾曲部に形成されているとともに該湾曲部に補強メ
ンバが固着されているので、プレート部材の剛性を確保
することができる。そして、このプレート部材がシリン
ダブロックスカート部とオイルパンレール部との間に配
され、補強メンバ及び取付部がメインベアリングキャッ
プにボルトで締結されるので、シリンダブロックのスカ
ート部及びメインベアリング周りの剛性が高められる。

また、上記プレート部材は板金製であるので、軽量化
及びコンパクト化が図れ、取付作業性が向上する。

さらに、湾曲部における端部メインベアリングキャッ
プに対峙する部分には補強メンバが固着されていないの
で、オイルパンの浅皿部の深さを可及的に浅くすること
ができ、オイルパンがコンパクトになる。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図及び第２図は本発明の実施例に係るシリコンブ
ロック補強構造を有するハーフスカートタイプの直列４
気筒エンジンを示す。１はシリンダブロック、２は該シ
リンダブロック１上に配設されたシリンダヘッド、3a〜
3dは該シリンダブロック１とシリンダヘッド２との間に
形成された第１〜第４シリンダであって、該各シリンダ
3a〜3dの上部には該シリンダ3a〜3d内に摺動自在に嵌挿
したピストンにより容積可変の燃焼室が形成されてい
る。

上記シリンダブロック１は、その上部を構成するデッ
キ部1aと、該デッキ部1aから下方に向って拡がるスカー
ト部1bとからなる。該シリンダブロック１の下部にはク
ランク軸４がシリンダ列方向に配されている。該クラン
ク軸４は、上記各シリンダ3a〜3d間及び前後端において
シリンダブロック１に形成されたメインベアリング５と
該各メインベアリング５に対してキャップボルト7a〜7e
により締結されたメインベアリングキャップ６とにより
回転自在に枢支されている。そして、該クランク軸４に
は上記各シリンダ3a〜3dのピストンがコネクティングロ
ッド８を介してそれぞれ連結されている。

また、上記シリンダブロック１の下側にはオイルパン
10が配設されている。該オイルパン10はシリンダブロッ
クスカート部1bにボルトにより取付けられたレール部10
aと、エンジン前部において該レール部10aから下方に膨
出しオイルを溜める深皿部10bと、エンジン後部におい
てレール部10aから上記深皿部10bよりも浅く膨出しオイ
ルを深皿部に導く深皿部10cとからなる。そして、上記
深皿部10bにはオイルを濾過するストレーナ11が配置さ
れ、該ストレーナ11はオイルパイプ12を介してオイルポ
ンプ13に連通されている。

さらに、上記シリンダブロックスカート部1bとオイル
パンレール部10aとの間にはシリンダブロック１を補強
するための板金製プレート部材15が配設されている。該
プレート部材15は、第１図〜第５図に示すように、側端
部がシリンダブロックスカート部1bとオイルパンレール
部10aとに挾持される挾持部15a,15aに形成されていると
ともに、中央部がクランク軌跡に干渉しないようにオイ
ルパン10側に湾曲した湾曲部15bに形成されている。該
湾曲部15bはクランク軸４のバランスウェイト部4aの回
転軌跡に干渉しないように形成されているとともに各シ
リンダ3a〜3d間の中央部はコネクティングロッド８の回
転軌跡に干渉しないようにさらにオイルパン側に湾曲し
たビード部15cに形成されており、該ビード部15cは上記
各挾持部15aまで連続して形成されている。該プレート
部材15はプレス加工により成形され、このプレス成形後
に上記挾持部15a上面と湾曲部15b上面との間隔が所定寸
法になるよう機械加工によって仕上げるようになされて
いる。

また、上記プレート部材15の湾曲部15bにおけるシリ
ンダ間メインベアリングキャップ6,6…に対峙する部位
には板金製の断面ハット形状の補強メンバ16,16…がク
ランク軸直交方向に固着されている。該各補強メンバ16
は下端両側のフランジ部にてプレート部材15に対して溶
接されている。

さらに、上記プレート部材湾曲部15bのクランク軸方
向端部においてシリンダブロック１の前端メインベアリ
ングキャップ６及び後端メインベアリングキャップ６に
対峙する部分は上方に立上げられメインベアリングキャ
ップ６の下面に当接するように折曲げられて取付部15d
に形成されている。

そして、上記シリンダ間メインベアリングキャップ６
のキャップボルト7b〜7dのボルトヘッド部には、それぞ
れ対峙する補強メンバ16を貫通してプレート部材湾曲部
15bの内壁部にまで達するスペーサが設けられている。
さらに、該各スペーサには上記湾曲部15bを貫通するボ
ルトが設けられ、該各ボルトに対してオイルパン側から
ナット18が締込まれてプレート部材15を各メインベアリ
ングキャップ６に締結している。また、前端メインベア
リングキャップ６及び後端メインベアリングキャップ６
のキャップボルト7a,7eのボルトヘッド部には、プレー
ト部材15の各取付部15dを貫通するボルトが設けられ、
該各ボルトに対してオイルパン側からナット18が締込ま
れてプレート部材15を各メインベアリングキャップ６に
締結している。

また、第２図に示すように、シリンダブロックスカー
ト部1bとオイルパンレール部10aとの間において上記プ
レート部材15の挾持部15aが配置されない部位には、液
状パッキングフィルムよりなるシーリング材19が配置さ
れている。第６図（ａ）及び第７図（ａ）に示すよう
に、該シーリング部材19のプレート部材挾持部15aに対
向する部分には台形状の凸部19aが設けられ、一方、プ
レート部材挾持部15aにはこの凸部19aに合うように凹部
15eが設けられている。これら凸部19a及び凹部15eは、
組付時には同図に示すように所定の間隔をおいて配置さ
れるが、オイルパンレール部10aの取付けボルトを締付
けると第６図（ｂ）及び第７図（ｂ）に示すように隙間
がなくなり密着してオイルシール性が確保される。

したがって、上記実施例においては、プレート部材15
の中央部が湾曲部15bに形成されているとともに該湾曲
部15bに補強メンバ16が固着されているので、プレート
部材15の剛性を確保することができる。また、該プレー
ト部材15にコネクティングロッド８の回転軌跡に干渉し
ないようにビード部15cを形成したので、一層剛性を向
上させることができる。

そして、このプレート部材15をシリンダブロックスカ
ート部1bとオイルパンレール部10aとの間に配し、補強
メンバ16及び取付部15dをメインベアリングキャップ６
にボルト締結したので、シリンダブロック１のスカート
部1b及びメインベアリング５周りの剛性が高められる。

また、上記プレート部材15及び補強メンバ16は共に板
金製であるので、軽量化及びコンパクト化が図れ、取付
作業性が向上する。

さらに、湾曲部15aにおける後端メインベアリングキ
ャップ６に対峙する部分には補強メンバ16が固着され
ず、取付部15dを形成して直接メインベアリングキャッ
プ６にキャップボルト7eにより締結しているので、オイ
ルパン10の浅皿部10cの深さを可及的に浅くすることが
でき、オイルパン10がコンパクトになる。しかも、湾曲
部15bにビート部15c形成したので、その分シリンダ間メ
インベアリンクキャップ６のキャップボルト7b〜7dの突
出量が少なくなり、オイルパン10を一層コンパクト化す
ることができる。

また、シーリング材19及び挾持部15aにそれぞれ凸部1
9a及び凹部15eを設けたので、シーリング材19と挾持部1
5aとが確実に密着してオイルシール性を確保することが
できるとともに、シーリング材19がオイルパンレール部
10aから側方にはみ出すのを防止することができる。

尚、第８図はシーリング材19と挾持部15aとの間のシ
ール構造の変形例を示し、凸部19′ａ及び凹部15′ｅの
形状を円弧状にしたものであり、上記実施例と同様の作
用、効果を奏する。

（発明の効果） 以上説明したように、本発明のエンジンのシリンダブ
ロック補強構造によれば、ハーフスカートタイプのエン
ジンにおけるシリンダブロックスカート部とオイルパン
レール部との間に板金製プレート部材を配し、該プレー
ト部材の中央をクランク軌跡に干渉しないようにオイル
パン側に湾曲させ、その内方メインベアリングキャップ
に対峙する部位に補強メンバをクランク軸直交方向に固
着するとともに端部メインベアリングキャップに対峙す
る部分を該端部メインベアリングキャップに当接するよ
う折曲げて取付部に形成し、プレート部材を上記補強メ
ンバを貫通するボルトと上記取付部を貫通するボルトと
により上記各メインベアリングキャップに締結するよう
にしたので、プレート部材の補強強度を確保してシリン
ダブロックを確実に補強しながら軽量コンパクト化を図
り、かつ取付作業性を向上させることができるとともに
オイルパンをコンパクト化することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示し、第１図はエンジンの縦断
側面図、第２図は同横断面図、第３図はプレート部材及
びオイルパンの斜視図、第４図はプレート部材の平面
図、第５図は同縦断側面図、第６図（ａ），（ｂ）はシ
ーリング材とプレート部材との間のシール構造を説明す
る平面図、第７図（ａ），（ｂ）は同縦断側面図、第８
図は変形例を示す第６図（ａ）相当図である。 １……シリンダブロック、1b……スカート部、４……ク
ランク軸、６……メインベアリングキャップ、7a〜7e…
…キャップボルト、10……オイルパン、10a……レール
部、15……プレート部材、15b……湾曲部、15d……取付
部、16……補強メンバ。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ハーフスカートタイプのエンジンにおける
   シリンダブロックスカート部とオイルパンレール部との
   間にシリンダブロックを補強するための板金製プレート
   部材を配したエンジンのシリンダブロック補強構造であ
   って、上記プレート部材はその中央部がクランク軌跡に
   干渉しないようにオイルパン側に湾曲した湾曲部に形成
   され、該湾曲部における内方のメインベアリングキャッ
   プに対峙する部位に断面略ハット形状の補強メンバがク
   ランク軸直交方向に固着されているとともに端部のメイ
   ンベアリングキャップに対峙する部分は該端部メインベ
   アリングキャップに当接するように折曲げられて取付部
   に形成されており、プレート部材は上記補強メンバを貫
   通するボルトと上記取付部を貫通するボルトとにより上
   記各メインベアリングキャップに締結されていることを
   特徴とするエンジンのシリンダブロック補強構造。