JP2526856Y2 - ドアミラーの回転部構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、車両用ドアミラーの回転部の構造に関する
ものである。

［従来の技術］ 自動車のドアミラーは、フェンダーミラーに比べて車
体から側方に大きく突出して装着されているため、狭い
場所等へ進入中、障害物に接触または衝突したときに、
ミラー自体のみならず、相手に対する損害を最小限する
ため、あるいは、狭い駐車場や船積み輸送の際に、車幅
を縮小させる必要から、例えば実開昭61−203854号、実
開昭62−139738号公報によって開示されたように、ドア
ミラーを前または後に倒伏させたままとすることのでき
る、いわゆる可倒式ドアミラーが使用されている。

このようなドアミラーは、ベースの張出部にシャフト
を立て、このシャフトにフレームのソケット部を挿合し
たのち、フレームにミラーハウジングを固着したもの
で、シャフト根元部周囲の平坦面とソケット部下面とに
凹部を設けて数個のスチールボールを介置して前記根元
部の上面とソケット部下面との間に隙間を形成させる一
方、ソケット部の周囲にコイルスプリングを配置すると
共にシャフト上端にスプリングのワッシャ及びＵプレー
トを固着する。フレームはコイルスプリングの弾力によ
って取付けられているため、各ボール部材はシャフト根
元部とフレーム下面とに形成された凹部に嵌合し、その
結果、ミラーハウジングは位置決めされた状態で保持さ
れている。

［考案が解決しようとする問題点］ 上記のような従来のドアミラーは、狭い場所への車両
進入時、または衝撃回避時などのようにミラーボデーを
通常使用位置から倒伏方向に回動させると、ボール部材
がフレーム下面またはシャフト根元部上面の何れかの凹
部より乗越して転動するため、フレームに固定されたミ
ラーハウジングが上昇し、再び元の通常使用位置に戻す
とミラーハウジングが下降することになるので、上下動
に伴うボール部材の乗越し音が生じる原因となってい
た。

またベースのシャフト根元部の平坦面とフレームのソ
ケット部下面との隙間にほこりが付着し易いという欠点
もある。ほこりが隙間やボールに付着するとベースとフ
レームの相対回転に伴いほこりにより凹部のエッジを磨
耗させてしまうので、自動車の走行時に鏡面が振動し、
後方の視認性を低下させることがある。

本考案は、ミラーハウジング回動時にフレームの上下
動や鏡面の振動を生じることのない可倒ミラーを提供す
ることを目的としている。

更に本考案は、従来要望されている下記課題も併せて
改善することを目的としている。すなわち従来のものは
フレームのソケット部の周囲にコイルスプリングを配設
するために固定軸のスラスト方向に大きなセットスペー
スを必要とする。

さらに電動可倒ミラーにおいてはクラッチギヤが必要
であり、これが上下動するスペースもまた必要である。
このように固定軸のスラスト方向に大きい組み付けスペ
ースを必要とするのでハウジングの小型化のため、これ
を構造を簡素にして組付けスペース削減したいという要
望があったものである。

［課題を解決する手段］ 上記目的を達成するため、本考案はミラーハウジング
が起立・倒伏回動するときに、ミラーハウジング取付用
のフレームがベース上面に対し上下動せずに面接触を保
持させたドアミラーであって、ベース張出部に立てたフ
レーム回動支持用の固定軸の周囲にスプリングで付勢さ
れたボールノッチ式位置決め手段を有する円筒部材を設
けるようにしてなるものである。

すなわち本考案は、ベース部21に立設した固定部23に
サポーティングフレーム24の軸受部25を回動自在に支承
し、前記フレーム24に固着したミラーハウジングを通常
使用位置及び倒伏位置に回動保持できるようにしたドア
ミラーであって、 前記ベース部21の上面に形成される回転支持面22と前
記フレーム下面に形成される回転すべり面26とを面接触
するよう配置させるとともに、前記フレームの軸受部25
周りに円筒部材27を取り付け、かつ前記円筒部材27の上
面に前記固定軸周りに回り止めされた固定プレート33を
取り付け、また前記円筒部材27または固定プレート33の
少なくとも一方を相対的に軸方向に移動可能に保持し、 さらに前記円筒部材27のボス部27bの同一円周上に、
軸方向に貫通した数個のスプリングホール29を設けて、
上下の各スプリングエンドにスプリングの弾力に抗して
前記ホール内に上下動可能にボール部材31、32を配置し
てなる圧縮スプリング30をそれぞれ収容し、前記圧縮ス
プリング30によって、前記ミラーハウジングを固着した
フレーム24を前記ベース部21の上面に形成される支持面
22に向け圧接するとともに、固定プレート33及び前記フ
レーム24が前記円筒部材27と対向している面に前記ボー
ル31、32が嵌合する凹部36、37をそれぞれ設けたことを
特徴とする。

また本考案は、ベース部21に立設した固定軸23にサポ
ーティングフレーム24の軸受部25を回動自在に支承し、
前記フレーム24に固着したミラーハウジングを通常使用
位置及び倒伏位置に回動保持できるようにしたドアミラ
ーであって、 前記ベース部21の上面に形成される回転支持面22と前
記フレーム下面に形成される回転すべり面26とを面接触
するよう配置させるとともに、前記フレームの軸受部25
周りにクラッチギヤ27を取り付け、また前記クラッチギ
ヤ27の上面に前記固定軸周りに回り止めされた固定プレ
ート33を取り付け、また前記フレームに電動機及び減速
機を含む駆動手段を設ける一方、前記クラッチギヤと前
記駆動手段の末端歯車とを噛み合わせたドアミラーにお
いて、 前記クラッチギヤ27または固定プレート33の少なくと
も一方を相対的に軸方向に移動可能に保持し、 さらに前記クラッチギヤ27のボス部27bの同一円周上
に、軸方向に貫通した数個のスプリングホール29を設け
て、上下の各スプリングエンドにスプリングの弾力に抗
して前記ホール内に上下動可能にボール部材31、32を配
置してなる圧縮スプリング30をそれぞれ収容し、前記圧
縮スプリング30によって、前記フレーム24を前記ベース
部21の上面に形成される回転支持面22に向け圧接すると
ともに、固定プレート及び前記フレームが前記クラッチ
ギヤ27と対向している面に前記ボール31、32が嵌合する
凹部36、37をそれぞれ設けたことを特徴とするものであ
る。

［実施例］ 以下、本考案の一実施例を図面を参照して説明する。

第１図は本考案における固定軸部分の要部拡大断面
図、第２図は同上分解図、第３図は固定軸に挿合する円
筒部材の斜視図である。第１図において、符号21は車体
に固定されるベース部、22は前記ベース部上面に形成し
たサポーティングフレームの支持面、23はその支持面に
立設した固定軸、24はミラーハウジングを固定したサポ
ーテイングフレーム、25は前記サポーテイングフレーム
の端部に形成した軸受部である。

第１図に示すように、前記固定軸23に軸受部25を挿合
してベース部21の上面に形成したサポーティングフレー
ムの回転支持面22と前記フレーム24の下面に形成した回
転すべり面26とを直かに面接触させて、すきまがないよ
うに構成する。

また前記固定軸23に挿合した軸受部25の外側に円筒部
材27を挿合する。図示実施例の円筒部材はその周面にギ
ヤ27aが形成され、かつ軸受部25に対して回転可能に挿
合されている。なお前記ギヤ27aはミラーハウジングに
固定されるサポーテイングフレームに設ける減速機つき
DCモータの如き電動駆動手段の歯車列における末端の歯
車28と噛み合っている。円筒部材27のボス部27bには第
２〜３図に示すように上下に貫通したスプリングホール
29が固定軸23を中心とする周一円周上の等間隔の位置に
複数個設けられている。これらスプリングホール29には
第１〜２図のように圧縮コイルスプリング30を収容す
る。なお、このスプリング30の両端に位置するスプリン
グエンドには後記のように位置決め手段の一部分を構成
する複数のボール部材31、32を配設し、該ボールの球面
の一部が前記スプリング30によって、前記ボス27bの端
面より上方又は下方に突出するように付勢する。

固定軸23の上部には固定プレート33を固定軸に対して
回転不能で、かつ、上下動自在に取付ける。この固定プ
レートは固定軸23の上端に固定部材34を介して固着した
皿バネ35により下方に付勢するように構成すると共に、
固定プレート33の下面に前記ボール31が嵌入できる複数
の位置決め用凹部36を形成する。また円筒部材27と対向
するサポーテイングフレーム24の端面にも前記ボール31
が嵌入する複数の位置決め用凹部37を形成する。そして
前記の円筒部材27とサポーテイングフレーム24を前記固
定プレート33によって取付けベース部21側に押し付ける
ように組み立てることにより、固定プレート36と前記円
筒部材27と両者の対向面間に配置した複数のボール部材
32によって第１の位置決め手段を構成し、また円筒部材
27とサポーテイングフレーム24とこれらの対向面間に配
置した複数のボール31によって第２の位置決め手段を構
成している。

なお下方の第２の位置決め手段は上方の第１の位置決
め手段に比べ、ボール部材の凹部37に対する食込みを浅
くするとか、或いは食込みを同じくした時は上方の第１
位置決め手段よりもボール球径を大きくするとかの手法
によって、ボールと凹部の噛合いを弱いものとする。

次に上記のように構成された本考案の作用効果を説明
する。

第１図のものはミラーハウジングが通常使用位置、す
なわち中立位置に静止している状態を示している。この
状態では、圧縮コイルスプリング30の弾性によって対向
する上下のボールと凹部は節度よくは噛合っている。こ
の状態からミラーハウジングを倒伏位置に回動する時
は、例えば車室内のスイッチを操作して電動駆動手段を
駆動すると、その回転力は末端の歯車28を介して円筒部
材27に伝達される。円筒部材27は第１の位置決め手段を
介して固定プレート33に強く噛合って固定されているた
め、末端歯車28は円筒部材周面のギヤ27aと噛合い自転
しながら固定軸23の周りを公転することとなる。このと
き、ボール部材31は接線方向に凹部37の外れトルクより
も大きな外力を受けるので、噛合いの弱い円筒部材26と
サポーテイングフレーム24との間の第２の位置決め手段
が外れ、サポーティングフレーム24が固定軸23を中心と
して支持面22と面接触を保ちながら回動する。任意の可
倒位置で回転を止めれば、コイルスプリング30の圧縮力
によりその位置で倒伏状態を保持する。

倒伏位置より通常使用位置に復帰させるときは、前記
電動手段を逆方向に回転させ、サポーテイングフレーム
24をその位置より逆方向に動かすと、サポーテイングフ
レーム24は前記と同様に固定軸23を中心として支持面22
上を回転して元の位置に復帰できる。その結果、凹部37
にボール31が節度よく嵌入して位置決め保持される。

なお手動によりミラーハウジングを強制的に倒伏させ
たときは、上下のボール部材31、32は、いずれも接線方
向に凹部36、37の外れトルクよりも大きな外力を受ける
ため、ボールと凹部との間の一方又は双方のかみ合いは
外れるので固定軸23を中心にサポーティングフレームを
任意の倒伏位置に倒すことができる。一方、ミラーハウ
ジングが障害物等との衝突により不意の衝撃を受けたと
き上下のボール部材31、32は、瞬間的にボールの接線方
向に凹部36、37の外れトルクよりも大きな外力を受ける
ため、ボールと凹部との間の一方又は双方のかみ合いは
外れて、ミラーハウジングは強制的に回動される。

なお、上記の実施例では固定プレート33を固定軸のス
ラスト方向に移動可能に取付けられているが、第４図の
ように円筒部材27とサポーテイングフレーム24との間に
ウエーブワッシャまたはＯリング40を介装し、固定プレ
ート33とサポーテイングフレーム24との間に設ける円筒
部材27を軸スラスト方向に若干の動きを許容するように
移動可能に取り付けるときは、位置決めプレート自体は
動かないように取り付けることも可能である。

［考案の効果］ 本考案の構成よると次のような作用効果を発揮する。

ミラーハウジングの回動時、サポーティングフレーム
は上下動をおこすことなく、したがってミラー（鏡面）
の振動を生じることはない。

本考案は円筒部材にスプリングホールを形成し、その
中にコイルスプリング配設した上でそのスプリングエン
ドにボール部材を配設するだけであるから従来型に比べ
組み付けが楽で作業性が格段に向上する。

従来型のようにフレームのソケット部の周囲にコイル
スプリングを配設するための大きなセットスペースを必
要としない。そのため組み付けスペースを削減でき、ミ
ラーハウジングを小型化できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案における固定軸部の要部拡大断面図、第
２図は同上分解図、第３図は固定軸に挿合する円筒部材
の斜視図、第４図は本考案における他の実施例を示す固
定軸部の要部拡大断面図である。 21:ベース部、22:回転支持面、23:固定軸、24:サポーテ
イングフレーム、25:軸受部、26:回転すべり面、27:円
筒部材、27a:ギヤ、27b:ボス部、28:スプリングホー
ル、30:圧縮スプリング、31、32:ボール部材、33:固定
プレート、35:皿バネ、36、37:位置決め用凹部

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ベース部21に立設した固定軸23にサポーテ
   ィングフレーム24の軸受部25を回動自在に支承し、前記
   フレーム24に固着したミラーハウジングを通常使用位置
   及び倒伏位置に回動保持できるようにしたドアミラーで
   あって、 前記ベース部21の上面に形成される回転支持面22と前記
   フレーム下面に形成される回転すべり面26とを面接触す
   るよう配置させるとともに、前記フレームの軸受部25周
   りに円筒部材27を取り付け、かつ前記円筒部材27の上面
   に前記固定軸周りに回り止めされた固定プレート33を取
   り付け、また前記円筒部材27または固定プレート33の少
   なくとも一方を相対的に軸方向に移動可能に保持し、 さらに前記円筒部材27のボス部27bの同一円周上に、軸
   方向に貫通した数個のスプリングホール29を設けて、上
   下の各スプリングエンドにスプリングの弾力に抗して前
   記ホール内に上下動可能にボール部材31、32を配置して
   なる圧縮スプリング30をそれぞれ収容し、前記圧縮スプ
   リング30によって、前記ミラーハウジングを固着したフ
   レーム24を前記ベース部21の上面に形成される支持面22
   に向け付勢し圧接するとともに、固定プレート33及び前
   記フレーム24が前記円筒部材27と対向している面に前記
   ボール31、32が嵌合する凹部36、37をそれぞれ設けたこ
   とを特徴とするドアミラーの回転部構造。
2. 【請求項２】ベース部21に立設した固定軸23にサポーテ
   ィングフレーム24の軸受部25を回動自在に支承し、前記
   フレーム24に固着したミラーハウジングを通常使用位置
   及び倒伏位置に回動保持できるようにしたドアミラーで
   あって、 前記ベース部21の上面に形成される回転支持面22と前記
   フレーム下面に形成される回転すべり面26とを面接触さ
   せるよう配置させるとともに、前記フレームの軸受部25
   周りにクラッチギヤ27を取り付け、また前記クラッチギ
   ヤ27の上面に前記固定軸周りに回り止めされた固定プレ
   ート33を取り付け、また前記フレームに電動機及び減速
   機を含む駆動手段を設ける一方、前記クラッチギヤと前
   記駆動手段の末端歯車とを噛み合わせたドアミラーにお
   いて、 前記クラッチギヤ27または固定プレート33の少なくとも
   一方を相対的に軸方向に移動可能に保持し、 さらに前記クラッチギヤ27のボス部27bの同一円周上
   に、軸方向に貫通した数個のスプリングホール29を設け
   て、上下の各スプリングエンドにスプリングの弾力に抗
   して前記ホール内に上下動可能にボール部材31、32を配
   置してなる圧縮スプリング30をそれぞれ収容し、前記圧
   縮スプリング30によって、前記フレーム24を前記ベース
   部21の上面に形成される回転支持面22に向け圧接すると
   ともに、固定プレート及び前記フレームが前記クラッチ
   ギヤ27と対向している面に前記ボール31、32が嵌合する
   凹部36、37をそれぞれ設けたことを特徴とするドアミラ
   ーの回転部構造。