JP2525446B2 - 磁気記録媒体用ポリエステルフィルム - Google Patents

磁気記録媒体用ポリエステルフィルム

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JP2525446B2
JP2525446B2 JP6233288A JP6233288A JP2525446B2 JP 2525446 B2 JP2525446 B2 JP 2525446B2 JP 6233288 A JP6233288 A JP 6233288A JP 6233288 A JP6233288 A JP 6233288A JP 2525446 B2 JP2525446 B2 JP 2525446B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は磁気記録媒体用ポリエステルフィルムに関す
るものである。
[従来の技術] 磁気記録媒体用ポリエステルフィルムとしては、ポリ
エステルに不活性無機粒子を含有せしめたフィルムが知
られている(たとえば、特開昭62−164733号公報)。
[発明が解決しようとする課題] しかし、上記従来の磁気記録媒体用ポリエステルフィ
ルムは、磁性層塗布、カレンダー工程、あるいは、でき
たビデオテープなどをダビング(記録の複写)してビデ
オソフト(制作された映像作品をパッケージ媒体に記録
固定、複製・増製したもの)を製造する工程の工程速度
の増大に伴い、接触するロールとフイルムの間の摩擦、
摩耗が激しくなりフイルムに傷がつくという欠点が問題
となってきている。また最近では、ビデオテープは、上
記のビデオソフト用として最初から映像作品を録画して
使うケースが多くなってきている。この場合、上記従来
のビデオテープでは、「映像作品を録画する工程」でマ
スターテープから高速でダビング(記録複写)する時の
S/N(ジクナル/ノイズ比、画質のパラメータ)の低下
が大きく画質が悪くなるという問題点も出てきている。
一方、高級な磁気記録媒体、特にテープでは、ベースフ
ィルムの摩擦係数を小さくして走行性を付与するためバ
ックコートしているものもある。しかし、最近、テープ
のコストダウンをはかるためバックコートをしない方向
が検討されている。しかし、上記従来の磁気記録媒体用
ポリエステルフィルムはダビング時の画質低下を小さく
しようとベースフイルムの表面を平滑にすると、摩擦係
数が大きくなり、走行性が不良となる欠点があった。
本発明はかかる問題点を改善し、高速走行時のフイル
ムの傷つきにくさ(以下耐スクラッチ性という)に優
れ、しかもダビング時の画質低下が少なく(以下耐ダビ
ング性に優れるという)、かつテープとした時の走行性
(以下走行性という)に優れるフイルムを提供すること
を課題とする。
[課題を解決するための手段] 本発明は、ポリエステルと不活性無機粒子からなる組
成物を主たる成分とするフィルムであって、該フィルム
の少なくとも片面のRpとRaの比、Rp/Ra(単位はともにn
m)が4〜25、90℃における長手方向の熱収縮応力S
(単位はkg/mm2)と少なくとも片面の10点平均表面粗さ
Rz(単位はnm)の積Rz・Sが0.5〜21.5の範囲であり、
かつ60℃おける長手方向の熱収縮応力が0.09kg/mm2以下
であることを特徴とする磁気記録媒体用ポリエステルフ
ィルムに関するものである。
本発明におけるポリエステルは、エチレンテレフタレ
ート、エチレンα,β−ビス(2−クロルフェノキシ)
エタン−4,4′−ジカルボキシレート、エチレン2,6−ナ
フタレート単位から選ばれた少なくとも一種の構造単位
を主要構成成分とする。ただし、本発明を阻害しない範
囲内、好ましくは15モル%以内であれば他成分が共重合
されていてもよい。
本発明における不活性無機粒子の種類は特に限定され
ないが、コロイダルシリカに起因するシリカ、合成炭酸
カルシウム、α−アルミナ、ルチル型の二酸化チタン、
サーマルタイプのカーボンブラック、窒化チタンの場合
に耐スクラッチ性、耐ダビング性、走行性がより一層良
好となるので特に望ましい。コロイダルシリカの場合は
製造法として、イオン交換法、アルコキシド法などが知
られているが、アルコキシド法の場合に耐スクラッチ
性、耐ダビング性、走行性がより一層良好となるので特
に望ましい。
本発明における不活性無機粒子の形状は特に限定され
ないが、実質的に球形である場合に耐スクラッチ性、耐
ダビング性、走行性がより一層良好となるので特に望ま
しい。本発明フイルムは内部析出粒子を併用しても良
い。本発明における内部析出粒子とは、ポリエステル重
合時に添加したカルシウム化合物、マグネシウム化合
物、リチウム化合物の少なくとも一種の化合物とポリエ
ステル構成成分とが結合して生成する粒子である。な
お、本発明の内部析出粒子には、本発明の目的を阻害し
ない範囲内で、リン元素および微量の他の金属成分、た
とえば、亜鉛、コバルト、アンチモン、ゲルマニウム、
チタンなどが含まれていてもよい。
不活性無機粒子の平均粒径、含有量は特に限定されな
いが、内部粒子を併用しない場合は0.2〜0.6μmの無機
粒子を0.3〜1.0重量%、特に0.4〜0.7重量%、内部粒子
を併用する場合は0.5〜1.0μmの無機粒子を0.01〜0.15
重量%の範囲の場合に耐スクラッチ性、耐ダビング性、
走行性がより一層良好となるので特に望ましい。
本発明フイルムは上記組成物を主要成分とするが、本
発明の目的を阻害しない範囲内で、他種ポリマをブレン
ドしてもよいし、また酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫
外線吸収剤、核生成剤などの無機または有機添加剤が通
常添加される程度添加されていてもよい。
本発明フィルムは上記組成物を二軸配向せしめたフィ
ルムである。無配向あるいは、一軸配向フィルムでは、
耐スクラッチ性、耐ダビング性、走行性が不良となるの
で好ましくない。その配向の程度を示す厚さ方向屈折率
比は特に限定されないが、0.935〜0.975、好ましくは、
0.940〜0.970の範囲である場合に耐スクラッチ性、耐ダ
ビング性、走行性がより一層良好となるので特に望まし
い。
本発明フイルムは、少なくとも片面のRp/Ra比(単位
はともにnm)が4〜25、好ましくは6〜20、さらに好ま
しくは9〜15であることが必要である。フイルムの両面
とも、Rp/Ra比(単位はともにnm)が上記範囲より大き
いと耐ダビング性が不良となり、逆に小さいと走行性、
耐スクラッチ性が不良となるので好ましくない。また、
両面とものRp/Ra比が上記の範囲である場合に耐ダビン
グ性がより一層良好となるので特に望ましい。
本発明フイルムは、90℃における長手方向の熱収縮応
力S(単位はkg/mm2)と少なくとも片面の10点平均表面
粗さRz(単位はnm)の積、Rz・S、が0.5〜21.5、好ま
しくは1.0〜17.5、さらに好ましくは2.5〜13.0の範囲で
あることが必要である。上記のRz・Sが上記の範囲より
小さいと走行性、耐スクラッチ性が不良となり、逆に大
きいと耐ダビング性が不良となるので好ましくない。両
面とものRzと90℃における長手方向の熱収縮応力Sが上
記の範囲である場合に耐ダビング性がより一層良好とな
るので特に望ましい。
本発明フイルムは、60℃における長手方向の熱収縮応
力が0.09kg/mm2、好ましくは0.06kg/mm2以下であること
が必要である。60℃における長手方向の熱収縮応力が上
記の範囲より大きいと耐ダビング性が不良となるので好
ましくない。60℃における長手方向の熱収縮応力の下限
は特に限定されないが、通常、0kg/mm2程度が製造上の
限界である。
本発明フイルムは、両面とものRpが60〜190nm、好ま
しくは70〜160nm、さらに好ましくは80〜150nmである場
合に耐ダビング性、耐スクラッチ性、走行性がより一層
良好となるので特に望ましい。
本発明フイルムは、両面ともの表面突起の平均間隔が
20μm以下、好ましくは15μm以下、さらに好ましくは
12μm以下である場合に耐ダビング性、耐スクラッチ
性、走行性がより一層良好となるので特に望ましい。
本発明フイルムの不活性無機粒子は、その結晶化促進
係数dΔTcgが3〜20℃、特に5〜15℃の範囲の場合に
耐スクラッチ性、走行性がより一層良好となるので特に
望ましい。
本発明フイルムは、両面ともの表面突起の有効空間体
積が、1×103〜5×105、好ましくは、5×103〜3×1
05の範囲である場合に走行性、耐ダビング性、耐スクラ
ッチ性がより一層良好となるので望ましく、また、ビデ
オテープとした時の巻姿が良好となるので特に望まし
い。
本発明フイルムは、幅方向の屈折率が1.655〜1.700、
特に、1.675〜1.700の範囲の場合に、耐スクラッチ性が
より一層良好となるので望ましい。
本発明フイルムは、両面ともの表面突起について、突
起高さ分布の標準偏差が40〜150nm、特に50〜120nm、さ
らに60〜110nmの場合に走行性、耐スクラッチ性、耐ダ
ビング性がより一層良好となるので望ましい。
本発明フイルムの厚さは特に限定されないが、6.5〜2
5μm、特に、8〜20μmの範囲の場合に走行性、耐ス
クラッチ性、耐ダビング性がより一層良好となるので望
ましい。
次に本発明フィルムの製造方法について説明する。
まず、所定のポリエステルに不活性無機粒子を含有せ
しめる方法としては、重合前、重合中、重合後のいずれ
に添加してもよいが、ポリエステルのジオール成分であ
るエチレングリコールに、スラリーの形で混合、分散せ
しめて添加する方法が本発明のRz・S、Rp/Ra比、望ま
しい範囲のRp、突起高さ分布の標準偏差を満足させるの
に有効である。また、このスラリーを150〜190℃で0.5
〜3時間熱処理してから用いる方法、あるいは、粒子量
に対し0.5〜20重量%のリン酸アンモニウム塩および/
またはポリビニルピロリドンを添加する方法は本発明の
望ましい範囲の結晶化促進係数を得るのに有効である。
また、スラリーをガラスビーズなどのメディアを用いて
十分撹拌して無機粒子を分散させ、高精度濾過、好まし
くはコールターカウンター法による絶対濾過精度が0.5
〜3μmのフイルターを用いて濾過して、不活性無機粒
子の粒径分布の標準偏差σ(μm)と平均粒径d(μ
m)の比、σ/dを0.6以下、好ましくは0.4以下にしてお
くことは、本発明のRz・S、Rp/Ra比、望ましい範囲のR
p、突起高さ分布の標準偏差を得るのに有効である。無
機粒子の含有量を調節する方法としては、高濃度のマス
ターペレット、好ましくは1〜5重量%の粒子濃度のマ
スターペレットを製膜時に稀釈する方法が本発明範囲の
Rz・S、Rp/Ra比を得るのに有効である。また、このマ
スターペレットの固有粘度、共重合成分を調整して、ガ
ラス転移点Tgと冷結晶化温度Tccとの差(Tcc−Tg)、Δ
Tcg、を55〜85℃、時に60〜80℃にしておき、かつ、こ
れを希釈する実質的に無機粒子を含有しないポリエステ
ルのΔTcgよりも大きくしておくことが、本発明のRz・
S、Rp/Ra比、望ましい範囲のRp、突起高さ分布の標準
偏差を得るのにきわめて有効である。この場合の共重合
成分としてはイソフタル酸成分、シクロヘキサンジメタ
ノール成分が好適である。
内部析出粒子を併用する場合の内部析出粒子の生成方
法は次の方法が有効である。すなわち、(1)所定のジ
カルボン酸とエチレングリコールとの直接エステル化を
経て重縮合する過程、あるいは、(2)所定のジカルボ
ン酸のジメチルエステルとエチレングリコールとのエス
テル交換反応を経て重縮合を行なう過程において、グリ
コールに可溶性のカルシウム化合物、マグネシウム化合
物、マンガン化合物、リチウム化合物の少なくとも一種
と、好ましくは、リンの酸および/またはエステル化合
物を添加することによって生成される。ここで使用しう
るカルシウム、マグネシウム、マンガン、リチウムの化
合物としては、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩などの無
機酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、安息香酸塩などの有機酸
塩、水素化物および酸化物などのグリコール可溶性の化
合物がもっとも好ましく使用されるが、二種以上併用し
てもよい。また、リン化合物としてはリン酸塩、亜リン
酸、ホスホン酸およびこれらのエステル類、部分エステ
ル類の一種以上が用いられる。
かくして、不活性無機粒子を含有するペレットを十分
乾燥したのち、公知の溶融押出機に供給し、270〜330℃
でスリット状のダイからシート状に押出し、キャスティ
ングロール上で冷却固化せしめて未延伸フィルムを作
る。この場合、未延伸フイルムに押出し成形する時の、
口金スリット間隙/未延伸フイルム厚さの比を5〜30、
好ましくは8〜20の範囲にすることが、本発明範囲のRz
・S、Rp/Ra比、60℃における熱収縮応力を得るのに有
効である。さらに、押出時のポリマ流路に95%カットオ
フ粒径で表わされる濾過精度が1〜5μm、好ましくは
1〜3μmのフイルターを設置することが本発明範囲の
Rz・S、Rp/Ra比、望ましい範囲のRp、突起高さ分布の
標準偏差を得るのにきわめて有効である。
次にこの未延伸フィルムを二軸延伸し、二軸配向せし
める。延伸方法としては、逐次二軸延伸法または同時二
軸延伸法を用いることができる。ただし、最初に長手方
向、次に幅方向の延伸を行なう逐次二軸延伸法を用い、
長手方向の延伸を3段階以上に分けて、総延伸倍率を3.
5〜4.5倍で行なう方法は本発明範囲のRz・S、Rp/Ra
比、60℃における熱収縮応力、望ましい範囲のRp、突起
高さ分布の標準偏差を得るのに有効である。長手方向延
伸温度は、その1段目を(ポリマのガラス転移点−10
℃)〜(ポリマのガラス転移点+10℃)の範囲で、2段
目以降はそれより高くすることが本発明範囲のRz・S、
Rp/Ra比、60℃における熱収縮応力、望ましい範囲のR
p、突起高さ分布の標準偏差を得るのに有効である。長
手方向延伸速度は5000〜50000%/分の範囲が好適であ
る。幅方向の延伸方法としてはステンタを用いる方法が
一般的である。延伸倍率は、3.0〜5.0倍の範囲が適当で
ある。幅方向の延伸速度は、1000〜20000%/分の範囲
が好適である。次にこの延伸フィルムを熱処理する。こ
の場合の熱処理温度は170〜200℃、特に170〜190℃、時
間は0.5〜60秒の範囲が本発明範囲のRz・S、60℃にお
ける熱収縮応力を得るのに有効である。さらに、熱処理
時に幅方向に1.05〜1.3倍、特に1.05〜1.2倍の延伸を行
なうのが、本発明範囲のRp/Ra比、Rz・S、60℃におけ
る熱収縮応力、望ましい範囲の突起間隔、有効空間体積
を得るのに有効である。また、フイルムを熱処理した後
の冷却を、徐冷、好ましくは2℃/秒以下の冷却速度で
行なうことは、本発明範囲のRz・S、60℃における熱収
縮応力を得るのに有効である。また、フイルムを巻取る
時の巻取張力を8kg/m以下、好ましくは5kg/m以下、さら
に好ましくは3kg/mとすることが本発明範囲のRz・S、6
0℃における熱収縮応力を得るのに有効である。
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法] 本発明の特性値の測定方法並びに効果の評価方法は次
の通りである。
(1)中心線平均表面粗さRa、中心線深さRp、10点平均
表面粗さRz、突起の平均間隔Sm 小坂研究所製の高精度薄膜段差測定器ET−10を用いて
測定した。条件は下記のとおりであり、20回の測定の平
均値をもって値とした。
・触針先端半径:0.5μm ・触針荷重 :5mg ・測定長 :1mm ・カットオフ値:0.08mm なお、中心線平均表面粗さRa、中心線深さRp、10点平
均表面粗さRz、突起の平均間隔Smの定義は、たとえば、
奈良治郎著「表面粗さの測定、評価法」(総合技術セン
ター、1983)に示されているものである。
(2)無機粒子の平均粒径 無機粒子をエタノールに分散させ、遠心沈降法(堀場
製作所、CAPA500使用)で測定した体積平均径である。
(3)粒径分布の標準偏差 上記の方法で得られた粒径分布を正規分布に最小2乗
法で近似して計算した。
(4)無機粒子の含有量 ポリエステル0.9gに0−クロルフェノール1.0リット
ルを加え120℃で3時間加熱した後、日立工機(株)製
超遠心機55P−72を用い、30,000rpmで40分間遠心分離を
行ない、得られた粒子を100℃で真空乾燥する。微粒子
を走査型差動熱量計にて測定した時、ポリマに相当する
溶解ピークが認められる場合には微粒子に0−クロロフ
ェノールを加え、加熱冷却後再び遠心分離操作を行な
う。溶解ピークが認められなくなった時、微粒子を粒子
とする。通常遠心分離操作は2回で足りる。かくして分
離された粒子の全体重量に対する比率(重量%)をもっ
て無機粒子の含有量とする。
(5)ガラス転移点Tg、冷結晶化温度Tcc パーキンエルマー社製のDSC(示差走査熱量計)II型
を用いて測定した。DSCの測定条件は次の通りである。
すなわち、試料10mgをDSC装置にセットし、300℃の温度
で5分間溶解した後、液体窒素中に急冷する。この急冷
試料を10℃/分で昇温し、ガラス転移点Tgを検知する。
さらに昇温を続け、ガラス状態からの結晶化発熱ピーク
温度をもって冷結晶化温度Tccとした。ここでTccとTgの
差(Tcc−Tg)をΔTcgと定義する。
(6)結晶化促進係数(単位は℃) 上記方法で不活性粒子を1重量%含有するポリエステ
ルのΔTcg(I)、およびこれから不活性粒子を除去し
た同粘度のポリエステルのΔTcg(II)を測定し、ΔTcg
(II)とΔTcg(I)の差[ΔTcg(II)−ΔTcg
(I)]をもって、結晶化促進係数とした。
(7)屈折率 ナトリウムD線(589nm)を光源として、アッベ屈折
率計を用いて測定した。マウント液にはヨウ化メチレン
を用い、25℃、65%RHにて測定した。
(8)厚さ方向屈折率比 上記の方法で、二軸配向フィルムの厚さ方向の屈折率
(Aとする)および溶融プレス後10℃の水中へ急冷して
作った無配向(アモルファス)フィルムの厚さ方向の屈
折率(Bとする)を測定し、A/Bをもって厚さ方向屈折
率比とした。
(9)表面突起の高さ分布の標準偏差 2検出器方式の走査型電子顕微鏡[ESM−3200、エリ
オニクス(株)製]と断面測定装置[PMS−1、エリオ
ニクス(株)製]においてフィルム表面の平坦面の高さ
を0として走査した時の突起の高さ測定値を画像処理装
置[IBAS2000、カールツァイス(株)製]に送り、画像
処理装置上にフイルム表面突起画像を再構築する。次
に、この表面突起画像で突起部分を2値化して得られた
個々の突起の面積から円相当径を求めこれをその突起の
平均径とする。また、この2値化された個々の突起部分
の中で最も高い値をその突起の高さとし、これを個々の
突起について求める。この測定を場所をかえて500回繰
返し、測定された突起についてその高さ分布を正規分布
(高さ0の点を中心とする正規分布)とみなして最小2
乗法で近似して高さ分布の標準偏差を求めた。また走査
型電子顕微鏡の倍率は、1000〜8000倍の間の値を選択す
る。
(10)熱収縮応力 フイルムを幅10mm、長さ100mmのテープ状にし、この
テープを加熱炉中にて、昇温速度10℃/分で昇温する。
この時、一方の端に取り付けたUゲージにより、テープ
の各温度での熱収縮力を測定し、テープの断面積で割り
返し、熱収縮応力とした。
尚、昇温開始の温度は30℃とし、この時の初期応力は
0.12kg/mm2とした。
(11)濾過精度(95%カットオフ粒径) コールターカウンターを用いて測定したカット率が95
%となる粒子サイズをもって、95%濾過精度(単位μ
m)とした。
(12)表面突起の有効空間体積 小坂研究所高精度薄膜段差測定機ET−10を用い、触針
先端半径0.5μm、カットオフ0.08mm、測定長1.0mm、縦
倍率20万倍、横倍率2000倍で、フィルムの表面粗さ曲線
を測定する。この粗さ曲線の平均線(中心線)の上側で
平行に0.005μmごとにピークカウントレベルを設け、
平均線を曲線が交又する2点間において、上記のピーク
カウントレベルを1回以上交又する点が存在するとき、
これを1ピークとし、このピーク数を測定長さ間におい
て求める。各ピークカウントレベルについて、このピー
ク数を求め平均線からn番目のピークカウントレベルに
ついて求めたピーク数をPC(n)と定義する。測定長さ
間でピーク数が始めてゼロになるピークカウントレベル
が平均線からm番目としたとき、有効空間体積Φは、 で表わされ、場所を変えて50回測定した平均値を用い
る。
(13)固有粘度[η](単位はdl/g) オルソクロルフェノール中、25℃で測定した溶液粘度
ら下記式から計算される値を用いる。
すなわち、 ηSP/C=[η]+K[η]・C ここでηSP=(溶液粘度/溶媒粘度)−1、Cは溶媒
0.9mlあたりの溶解ポリマ重量(g/100ml、通常1.2)、
Kはハギンス定数(0.343とする)。また、溶液粘度、
溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。
(14)耐スクラッチ性(高速走行時) フイルム(幅1/2インチ)を高速型テープ走行性試験
機を使用して金属ガイド上を繰返し走行させる(走行速
度1000m/分、走行回数50パス)。この時、フイルムに入
った傷を顕微鏡で観察し、ほとんど傷がない場合は耐ス
クラッチ性良好、傷が、フイルム幅あたり5本以上入っ
た場合は耐スクラッチ性不良と判定した。ここで、金属
ガイド径は6mmφ、材質はSUS(表面粗度0.2S)、巻付け
角は180゜である。
(15)耐ダビング性 フイルムに下記組成の磁性塗料をグラビアロールによ
り塗布し、磁気配向させ、乾燥させる。さらに、小型テ
ストカレンダー装置(スチールロール/ナイロンロー
ル、5段)で、温度:70℃、線圧:200kg/cmでカレンダー
処理した後、70℃、48時間キュアリングする。上記テー
プ原反を1/2インチにスリットし、パンケーキを作成し
た。
(磁性塗料の組成) ・Co含有酸化鉄(BET値50m2/g) :100 重量部 ・エスレックA(積水化学製塩化ビニル/酢酸ビニル 共重合体 :10 重量部 ・ニッポラン2304(日本ポリウレタン製 ポリウレタンエラストマ) :10 重量部 ・コロネートL(日本ポリウレタン製ポリイソシアネー
ト) :5 重量部 ・レシチン :1 重量部 ・メチルエチルケトン :75 重量部 ・メチルイソブチルケトン :75 重量部 ・トルエン :75 重量部 ・カーボンブラック :2 重量部 ・ラウリン酸 :1.5重量部 このパンケーキ(I)から長さ250mをVHSのカセット
ハーフに組み込みカセットテープを作り、このテープに
家庭用VTRを用いてシバソク製のテレビ試験波形発生器
(TG7/U706)により100%クロマ信号を記録し、その再
生信号からシバソク製カラービデオノイズ測定器(925D
/1)でクロマS/Nを測定しAとした。また上記と同じ信
号を記録したマスタテープから磁界転写方式のビデオソ
フト高速プリントシステム(たとえばソニーマグネスケ
ール(株)製のスプリンタ)を用いてパンケーキ(I)
へダビングした後、長さ250mをVHSのカセットハーフに
組み込みカセットテープを作り、このテープのクロマS/
Nを上記と同様にして測定し、Bとした。このダビング
工程を介することによるクロマS/Nの低下(A−B)が
4.0dB未満の場合は耐ダビング性良好、4.0dB以上の場合
は耐ダビング性不良と判定した。
(16)走行性 テープ走行性試験機TBT−300型((株)横浜システム
研究所製)を使用し、20℃、60%RH雰囲気で上記テープ
を走行させ、初期の摩擦係数μKを下記の式より求めた
(フイルム幅は1/2インチとした)。
μK=0.733log(T2/T1) ここでT1は入側張力、T2は出側張力である。ガイド径
は6mmφであり、ガイド材質はSUS27(表面粗度0.2S)、
巻き付け角は180゜、走行速度は3.3cm/秒である。
上記μKが0.20以下の場合を走行性:良好、0.20を越
える場合は走行性:不良と判定した。このμk値の0.20
は、ビデオテープとした時に十分な走行特性が得られる
か否かのの臨界点である。
[実施例] 本発明を実施例に基づいて説明する。
実施例1〜4、比較例1〜5 平均粒径、粒径分布の標準偏差と平均粒径の比の異な
るいくつかの種類の無機粒子を含有するエチレングリコ
ールスラリーを調製した。これらのエチレングリコール
スラリーを熱処理条件を変えて処理した後、テレフタル
酸ジメチルとエステル交換反応後、重縮合し、粒子を1
重量%含有するポリエチレンテレフタレートの粒子マス
ターペレットを作った。この時、これらのマスターペレ
ットの重合度、共重合成分の比率を調節し、第1表に示
したとおりの粒子マスターペレットを作った。これらの
粒子マスターペレットを実質的に無機粒子を含有しな
い、第1表のΔTcgのポリエチレンテレフタレートのペ
レットと混合し所定の濃度に調整した。これらの混合ペ
レットを180℃で3時間減圧乾燥(3Torr)した後、押出
機に供給し、300℃で溶融押出し、口金スリット間隙/
未延伸フイルム厚さの比を種々変更して、静電印加キャ
スト法を用いて表面温度30℃のキャスティング・ドラム
に巻きつけて冷却固化し未延伸フィルムを作った。この
時、濾過精度が異なるフイルターを押出機と口金の間に
入れていくつかのフイルムを作った。
この未延伸フィルムを長手方向に4.0倍延伸した。こ
の時、延伸の段数および第1段目の温度を種々変更して
延伸した。なおこの延伸はロールの周速差で行ない、延
伸速度の平均は20000%/分であった。この一軸延伸フ
イルムをステンタを用いて幅方向に4.0倍延伸した。こ
の時の温度は、100℃、速度は5000%/分であった。さ
らに、幅方向に0.95〜1.05倍延伸しながら(0.95〜1.00
倍は弛緩熱処理)180℃にて5秒間熱処理し、冷却速度
を変更して各種の二軸配向フィルムを得た。フイルム厚
さは全て15μmとなるように押出の吐出量を調節した。
これらのフィルムの耐スクラッチ性、走行性、耐ダビン
グ性は第2表に示したとおりであり、フイルム特性が本
発明範囲内の場合は耐スクラッチ性、走行性、耐ダビン
グ性ともに優れたものであったが、そうでない場合は走
行性、耐ダビング性を両立するフイルムは得られなかっ
た。なお、第2表における実験例では、フイルムの表、
裏で表面パラメータは同じであった。
実施例5 平均粒径0.6μm、粒径分布の標準偏差σと平均粒径
dの比(σ/d)が0.58のコロイダルシリカのエチレング
リコールスラリーを調製した。これらのエチレングリコ
ールスラリーを190℃で1.5時間熱処理した後、テレフタ
ル酸ジメチルとエステル交換反応後、重縮合し、コロイ
ダルシリカに起因するシリカ粒子を1重量%含有するポ
リエチレンテレフタレートの粒子マスターペレットを作
った。この時、マスターペレットの重合度を調節し、Δ
Tcgを65℃とした。
一方、テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレング
リコール62重量部に酢酸カルシウム0.06重量部を触媒と
して常法によりエステル交換反応を行ない、その生成物
に三酸化アンチモン0.04重量部、酢酸リチウム0.07重量
部および酢酸カルシウム0.04重量部を添加し、続いて、
亜リン酸0.02重量部、リン酸トリメチル0.1重量部を添
加した後、重縮合を行ない、内部析出粒子量0.35重量部
(ポリエステル100重量部に対し)を含むポリエステル
を得た(ΔTcgは50℃であった)。この粒子マスターペ
レットと内部析出粒子を含有するポリエステルを混合し
シリカ含有量が0.03重量%となるように調整した。これ
らの混合ペレットを180℃で3時間減圧乾燥(3Torr)し
た後、押出機に供給し、300℃で溶融押出し、口金スリ
ット間隙/未延伸フイルム厚さの比を10として、静電印
加キャスト法を用いて表面温度30℃のキャスティング・
ドラムに巻きつけて冷却固化し、未延伸フィルムを作っ
た。この時、濾過精度が2.5μmのフイルターを押出機
と口金の間に入れてフイルムを作った。
この未延伸フィルムを長手方向に4.5倍延伸した。こ
の時、延伸段数は3、第1段目の温度は80℃、2〜3段
目は90℃で延伸した。なおこの延伸はロールの周速差で
行ない、延伸速度の平均は20000%/分であった。この
一軸延伸フイルムをステンタを用いて幅方向に4.0倍延
伸した。この時の温度は、100℃、速度は5000%/分で
あった。さらに、幅方向に1.05倍延伸しながら180℃に
て5秒間熱処理し、冷却速度2℃/秒で冷却し、厚さ15
μmの二軸配向フィルムを得た。このフィルムの耐スク
ラッチ性、走行性、耐ダビング性は第2表に示したとお
りであり、耐スクラッチ性、走行性、耐ダビング性とも
に優れたものであった。、そうでない場合は走行性、耐
ダビング性を両立するフイルムは得られなかったお、フ
イルムの表、裏で表面パラメータは同じであった。
[発明の効果] 本発明は、フイルムの表面粗さパラメータ、熱収縮応
力、および、それらの関係を原料面、製膜方法の両面を
工夫し、組み合わせることにより特定範囲としたので、
高速走行時にも傷がつかず、磁気テープなどとした時の
走行性とダビングしても画質が悪化しにくいテープを作
り得る耐ダビング性を兼備したフイルムが得られたもの
であり、高速で走行してもフイルムに傷がつきにくいた
め、各用途でのフイルム加工速度の増大に対応できるも
のである。本発明フイルムの磁気記録媒体としての用途
は特に限定されないが、ビデオテープ、特に、加工工程
が特に高速であり、また、ダビングして制作されるビデ
オソフト用ビデオテープ用として特に有用である。ま
た、本発明フイルムのうちフイルムの片面のみの表面パ
ラメータが本発明範囲のものは本発明範囲の表面パラメ
ータを有する面が走行面(非磁性面)として用いること
が必要である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 7:00 B29L 7:00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステルと不活性無機粒子からなる組
    成物を主たる成分とするフィルムであって、該フィルム
    の少なくとも片面のRpとRaの比、Rp/Ra(単位はともにn
    m)が4〜25、90℃における長手方向の熱収縮応力S
    (単位はkg/mm2)と少なくとも片面の10点平均表面粗さ
    Rz(単位はnm)の積Rz・Sが0.5〜21.5の範囲であり、
    かつ60℃における長手方向の熱収縮応力が0.09kg/mm2
    下であることを特徴とする磁気記録媒体用ポリエステル
    フィルム。
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