JP2524057B2 - キャリッジ移送装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はコンピュータやワードプ
ロセッサ等のデータ記憶装置として用いられるフロッピ
ーディスク装置に関し、特に磁気ヘッドを目的の位置に
移送するためのキャリッジ移送装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、持ち運びが容易なパーソナルコン
ピュータや、ワードプロセッサへのフロッピーディスク
装置の搭載が行なわれ、フロッピーディスク装置の小
型，軽量，低消費電力化の要求が増々強くなりつつあ
る。このため、キャリッジ移送装置に関しても、より小
型で低消費電力なものが要求されている。

【０００３】図４〜図８は、従来のフロッピーディスク
装置のキャリッジ移送装置の一般例を示すものである。

【０００４】１はフレキシブルな磁気ディスク，いわゆ
るフロッピーディスクであり、図示しない装着手段によ
り回転駆動軸２に装着され、モータ３により回転駆動さ
れる。４はフロッピーディスク１に対して情報の記録，
再生を行なう磁気ヘッドであり、ヘッドキャリッジ５の
上部に搭載されている。６はヘッドパッドであり、パッ
ドアーム７の先端部に上記磁気ヘッド４と対向して設け
られており、パッドアーム７の後端はヘッドキャリッジ
５の後端付近に回動自在に支持されている。動作時には
パッドアームばねの弾性力により上記ヘッドパッド６が
磁気ヘッド４の方向へ付勢され、フロッピーディスク１
を挟持した状態となる。９はステッピングモータであ
り、その回転軸は所定のリードが切られたリードスクリ
ュウ１０になっている。上記リードスクリュウ１０は、
ヘッドキャリッジ５に固定されたニードル１１と、板ば
ね１２に挟持され、リードスクリュウ１０の溝部１０ａ
に上記ニードル１１が係合している。

【０００５】図６と図７は、リードスクリュウ１０とニ
ードル１１の係合状態を示す図である。

【０００６】ヘッドキャリッジ５の突起部５ａには、Ｖ
形の断面形状の溝５ｂ及び５ｃがあり、ニードル１１は
両端部を上記溝５ｂ及び５ｃで支持されつつ位置決めさ
れ、押さえ板１４により固定される。押さえ板１４は、
カラー１６を介し、止めねじ１５により板ばね１２と共
じめされている。上記板ばね１２は、リードスクリュウ
１０と接する点に於て上記リードスクリュウ１０をニー
ドル１１側へ押しやる方向に弾性付勢力を発生してい
る。結果的にこの弾性付勢力によってヘッドキャリッジ
５の突起部５ａは矢印Ｈの方向へ付勢され、ニードル１
１はリードスクリュウ１０の溝部１０ａにガタツキ無く
常に係合している。

【０００７】１３は上記リードスクリュウ１０と略平行
に配置され、両端部を基体１７に固定されたガイドロッ
ドである。ガイドロッド１３は、ヘッドキャリッジ５を
貫通しつつヘッドキャリッジ５に設けられたスリーブ１
８，１９によって支持されている。図８に於て、上記ス
リーブ１８，１９はヘッドキャリッジ５を長手方向に貫
通する孔５ｄの両端部に配置され、一般に焼結含油メタ
ルや摺動性の良い樹脂製のものが圧入もしくは接着で固
定される。ヘッドキャリッジ５は、上記ガイドロッド１
３に案内されて上記フロッピーディスク１の半径方向に
往復摺動が可能である。

【０００８】上記の構成のキャリッジ移送装置に於て、
図示しない駆動回路からステッピングモータ９へ所定の
駆動電流が間欠的に供給されると、これに対応してリー
ドスクリュウ１０が所定の回転角度ずつ間欠的に回転す
る。このリードスクリュウ１０の回転に伴い、溝部１０
ａに係合しているニードル１１は上記リードスクリュウ
１０の軸方向に送られ、したがってヘッドキャリッジ５
はガイドロッド１３に案内されてフロッピーディスク１
の半径方向に間欠的に移動する（以上、たとえば特開昭
５７−３６４７３号公報）。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかしながらこのよう
な構成に於ては、ガイドロッド１３とスリーブ１８，１
９との間に必ずすきまが存在する。このため、ヘッドキ
ャリッジ５の駆動点すなわち従来例に於けるリードスク
リュウ１０とニードル１１の係合部分からガイドロッド
１３までの距離に、上記リードスクリュウ１０がニード
ル１１に与える推力を乗じた大きさのモーメントが生じ
ると、上記すきま分だけ上記モーメントの作用方向へヘ
ッドキャリッジ５が傾く。この結果、磁気ヘッド４もフ
ロッピーディスク１の半径方向に移動し、所定の位置に
対してずれを生じる。さらに上記ずれはヘッドキャリッ
ジ５の移動する方向により拡大される。すなわち、ヘッ
ドキャリッジ５がフロッピーディスク１の内周方向に移
動する際に生じたずれに対し、外周方向に移動する際に
は上記ヘッドキャリッジ５に逆方向のモーメントが加わ
るためにずれの方向は反対になる。したがって同じ位置
に対して位置決めされる場合でも内周方向へ移動した時
と外周方向へ移動した時とでは、上記２つのずれが合計
されることになる。

【００１０】また、上記モーメントの作用によりガイド
ロッド１３とスリーブ１８，１９との間にこじが生じる
ことがあり、これを避けるためにスリーブ１８とスリー
ブ１９との距離は大きくする必要がある。このため、ヘ
ッドキャリッジ５は移動方向に長くなり、装置全体の構
成も制限を受けるものとなっていた。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記の問題点
に着目して成されたものであり、ヘッドキャリッジの移
動方向における一方の端部に、リードスクリュウに係合
する係合部材を設けるとともに、この係合部材が係合す
る方向と略直角方向から上記リードスクリュウの外周部
に摺動可能に当接する第１の支持部を設け、上記ヘッド
キャリッジの移動方向における他方の端部に、上記係合
部材および上記第１の支持部と略同方向から上記リード
スクリュウの外周部に摺動可能に当接する、互いに略直
角をなす第２および第３の支持部を設け、さらに、上記
係合部材が上記リードスクリュウに係合し、かつ上記第
１、第２、第３の支持部が上記リードスクリュウの外周
部にそれぞれ当接するように、上記ヘッドキャリッジを
弾性付勢する弾性付勢手段を設け、上記ヘッドキャリッ
ジが上記リードスクリュウから与えられる推進力によ
り、上記リードスクリュウを案内としつつそれによって
決定される方向へ移動するように構成したことを特徴と
している。

【００１２】

【作用】上記の手段により以下の作用を得る。

【００１３】リードスクリュウは、２つ以上の壁面に当
接しガタツキが生じないように弾性付勢される。すなわ
ちヘッドキャリッジは、リードスクリュウを２つ以上の
壁面によって挟持しつつ、リードスクリュウによってガ
タ無く支持される。また、リードスクリュウ自身を案内
として移送されるため、ヘッドキャリッジにはモーメン
トが発生しない。したがってヘッドキャリッジの移動に
際して、ヘッドキャリッジは傾かず、磁気ヘッドは所定
の位置に位置決めされる。また、ヘッドキャリッジにモ
ーメントが発生しないため、こじも生じない。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面にもとづき説
明する。

【００１５】図１に於て、２０は基体２１に固定された
スピンドルモータであり、その回転は伝達ベルト２２を
介してスピンドル２３の一端に固定されたスピンドルプ
ーリ２４に伝えられる。２５は磁気ヘッドであり、ヘッ
ドキャリッジ２６の上部（図１では、ヘッドキャリッジ
２６の裏側になる）に搭載されている。２７はステッピ
ングモータであり、その回転軸は所定のリードが切られ
たリードスクリュウ２８になっている。

【００１６】上記ヘッドキャリッジ２６は、その一方の
端部がＬ字状に屈折した形状になっている。その曲折部
２６ａの長手方向の両端部付近には、その他の部分より
いく分突出した支持部２９，３０が形成されている。

【００１７】支持部２９は、曲折部２６ａの内側面にの
み形成されている。一方、支持部３０は、曲折部２６ａ
の内側面に形成された部分３０ｂと、ヘッドキャリッジ
２６の裏面に形成され、上記支持部３０ｂと略直角を成
す部分３０ａとから成る（図３）。支持部２９と支持部
３０ｂの各表面は同一平面内に含まれるような位置関係
に配置されている。また、各支持部の表面は平滑であ
り、摩擦の少ない状態になっている。

【００１８】３１はリードスクリュウ２８と係合するた
めのニードルであり、その両端部は支持部２９とこれに
対向して形成された突起部３２とにより支持され、固定
されている。

【００１９】ヘッドキャリッジ２６は、上記のすべての
支持部がリードスクリュウ２８の外周部に当接し、かつ
ニードル３１がリードスクリュウ２８と係合する状態で
支持される。すなわち支持部２９と支持部３０ｂの各表
面はリードスクリュウ２８の外周部に同じ方向から当接
し、支持部３０ａとニードル３１は、これと略直角方向
から当接する。さらに詳細に言うならば、支持部２９と
支持部３０ｂの各表面は同一平面内に含まれる位置関係
であるため、リードスクリュウ２８には、リードスクリ
ュウ２８の外周面の母線のうちの同一な一本を接線とし
て支持部２９と支持部３０ｂの各表面が線接触してい
る。また、ニードル３１は、矢印Ｉの方向より見た図２
に於て、支持部２９の表面と略直角な姿勢に固定されて
いるため、支持部３０ａが当接する方向と同方向からリ
ードスクリュウ２８に係合することになる。

【００２０】弾性付勢手段の一例として板ばねを採用す
るものとすると、３３は中央部で曲折した形状の板ばね
であり、曲折した一方の面はヘッドキャリッジ２６の表
面に止めねじ３４，３５で固定されている。板ばね３３
の自由な面の端部はコ字形を成しており、その間にロー
ラ３７が配置される。ローラ３７は、その中心をピン３
６によって回動可能に貫通され、ピン３６は、両端部が
板ばね３３のコ字形部で支持されている。

【００２１】上記板ばね３３は、上記ローラ３７が支持
部２９と支持部３０のほぼ中央部に位置しつつ、各支持
部表面と略４５゜を成す方向からリードスクリュウ２８
に当接し、上記ローラ３７を介して上記リードスクリュ
ウ２８に所定の弾性付勢力が加わるようになっている。
リードスクリュウ２８に加えられた上記弾性付勢力は、
リードスクリュウ２８を支持部２９と支持部３０ｂに押
圧する分力と、支持部３０ａとニードル３１に押圧する
分力とに分かれる。これにより各支持部はリードスクリ
ュウ外周部とガタの無い接触状態を保ち、又、ニードル
３１も常にリードスクリュウ２８との係合が確実に行な
われるものとなる。

【００２２】ヘッドキャリッジ２６の、曲折部２６ａと
反対側の端部の裏面には、長溝３８が設けられている。
長溝３８は、ヘッドキャリッジ２６の移動方向に長細く
なっており、均一な深さの溝部には鋼球３９が移動自在
に配置されている。上記鋼球３９は、長溝３８の底面３
８ａと、基体２１の一部であって上記長溝３８に対向す
る摺動面２１ａとに挟持されつつヘッドキャリッジ２６
を支持している。また、ヘッドキャリッジ２６の上記長
溝３８と反対側の表面と対向して、基体２１から突起２
１ｂが突出している。ヘッドキャリッジ２６と上記突起
２１ｂとの間の距離は、十分に小さくなっており、ヘッ
ドキャリッジ２６がガタついても上記鋼球３９は上記長
溝３８から脱落しないようになっている。

【００２３】上記の説明から明らかなように、ヘッドキ
ャリッジ２６はリードスクリュウ２８によってその姿勢
が決定され、支持される。また、板ばね３３は、ニード
ル３１とリードスクリュウ２８との係合を確実に行なう
ためのみならず、ヘッドキャリッジ２６を所定の姿勢に
保持するためにある。

【００２４】以上述べた構成のキャリッジ移送装置に於
て、図示しない駆動回路からステッピングモータ２７へ
所定の駆動電流が間欠的に供給されると、これに対応し
てリードスクリュウ２８は所定の回転角度ずつ間欠的に
回転する。このリードスクリュウ２８の回転に伴い、こ
れに係合しているニードル３１は上記リードスクリュウ
２８の軸方向に送られ、ヘッドキャリッジ２６は、リー
ドスクリュウ２８に案内されて間欠的に移動する。

【００２５】上記ヘッドキャリッジ２６の移動に際し、
ヘッドキャリッジ２６に設けられている各支持部は常に
リードスクリュウ２８の外周部に接触状態を保っている
か、あるいは移動中に離れることがあるとしてもヘッド
キャリッジ２６が所定の位置に静止すると、再び接触状
態に戻る。ニードル３１は、常にリードスクリュウ２８
との係合状態が保たれており、ヘッドキャリッジ２６が
移動中といえども上記係合が外れることはない。したが
ってヘッドキャリッジ２６，すなわち磁気ヘッド２５は
所定の位置にずれることなく位置決めされる。

【００２６】また、板ばね３３によりリードスクリュウ
２８の外周に押圧されているローラ３７は、リードスク
リュウ２８が回転することによりその回転力が伝達さ
れ、身らも回転する。ローラ３７の直径はその回転軸で
あるピン３６の直径に比較して十分に大きいため、ロー
ラ３７とピン３６との間に発生する摩擦力は無視しうる
ものとなる。さらに、ローラ３７とリードスクリュウ２
８との間に発生する摩擦力はころがり摩擦であり、その
摩擦係数は極めて小さい。したがって、ヘッドキャリッ
ジ２６を所定の姿勢に保持するため、また、ニードル３
１とリードスクリュウ２８との係合を確実にするため
に、板ばね３３の弾性付勢力を大きくしても上記ローラ
３７からリードスクリュウ２８に加わる摩擦力による負
荷モーメントは、あまり大きくならない。

【００２７】

【発明の効果】以上のように、本発明によればヘッドキ
ャリッジをガタ無く支持することができ、またヘッドキ
ャリッジに不要なモーメントが生じないため、磁気ヘッ
ドは、精度良く所定の位置に位置決めされる。また、ヘ
ッドキャリッジの支持手段の間隔、すなわち従来のスリ
ーブ間の距離は、こじの心配が無いため従来に比べて小
さくすることができ、ヘッドキャリッジの大きさも小さ
くできる。さらに、従来のガイドロッド、スリーブ等の
部品が不要となり、簡単で安価なキャリッジ移送装置が
実現されるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示すものであり、フロッピ
ーディスク装置の基体に組込まれたキャリッジ移送装置
を、上記基体の裏側から見た一部切欠平面図

【図２】本発明の一実施例を示すものであり、そのＩ側
面図

【図３】本発明の一実施例を示すものであり、同Ｊ矢視
図

【図４】従来のキャリッジ移送装置を示すものであり、
その平面図

【図５】従来のキャリッジ移送装置を示すものであり、
同側面図

【図６】従来のキャリッジ移送装置を示すものであり、
従来のキャリッジ移送装置の要部断面図

【図７】従来のキャリッジ移送装置を示すものであり、
その側面図

【図８】従来のキャリッジ移送装置を示すものであり、
従来のキャリッジの一部切欠平面図

【符号の説明】

２０ スピンドルモータ ２１ 基体 ２２ 伝達ベルト ２３ スピンドル ２４ スピンドルプーリ ２５ 磁気ヘッド ２６ ヘッドキャリッジ ２７ ステッピングモータ ２８ リードスクリュウ ２９，３０ 支持部 ３１ ニードル ３３ 板ばね ３７ ローラ

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】リードスクリュウと、これを回転駆動させ
   るための原動機と、情報の記録、再生手段を搭載しつつ
   移動可能なヘッドキャリッジとを備え、上記ヘッドキャ
   リッジには、上記ヘッドキャリッジの移動方向における
   一方の端部に、上記リードスクリュウに係合する係合部
   材が設けられるとともに、この係合部材が係合する方向
   と略直角方向から上記リードスクリュウの外周部に摺動
   可能に当接する第１の支持部が設けられ、上記ヘッドキ
   ャリッジの移動方向における他方の端部に、上記係合部
   材および上記第１の支持部と略同方向から上記リードス
   クリュウの外周部に摺動可能に当接する、互いに略直角
   をなす第２および第３の支持部が設けられ、さらに、 上記係合部材が上記リードスクリュウに係合し、かつ上
   記第１、第２、第３の支持部が上記リードスクリュウの
   外周部にそれぞれ当接するように、上記ヘッドキャリッ
   ジを弾性付勢する弾性付勢手段が設けられ、 上記ヘッドキャリッジ は上記リードスクリュウから与え
   られる推進力により、上記リードスクリュウを案内とし
   つつそれによって決定される方向へ移動することを特徴
   とするキャリッジ移送装置。