JP2523072B2 - ファイリング用袋状シ―トの製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、事務書類或いは写真等
を整理保管するためのファイリング用袋状シートの製造
方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種のファイリング用袋状シートとし
ては各種が提案されており、例えば、透明フィルムによ
り上部開口の袋と成し、該袋に台紙を挿入したものが一
般的である。この従来例では、前記袋の一側縁に複数の
孔が開設され、これを周知のバインダーに綴じることに
より使用される。

【０００３】ところが、前記従来例では、袋中で台紙が
遊動する不便があり、また、製造に際して製袋の後に該
袋に台紙を挿入する２工程を要する不便がある。

【０００４】そこで、本発明者は、袋状フィルムと内部
に挿入された心材を一体化したファイリング用袋状シー
トを提供するため、既に、特公平１−３６７９８号（特
願昭５８−５８５３５号）として、その製造方法を提案
したところである。

【０００５】そして、前記製造方法によれば、連続して
繰出されるチューブ状のフィルムを直径に沿って切断
し、この切断により断面Ｕ形に半折状とされた一対の帯
状フィルムを相互に所定間隔を有するように引き離し、
その後、前記フィルム切断縁の拡開された空間より連続
する長尺のシート状心材を一対のフィルム間に挿入し、
このようにしてセットされた心材と該心材を被覆した一
対のフィルムを溶断溶着することにより、所望のファイ
リング用袋状シートを提供することができる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】前述したファイリング
用袋状シートの製造方法においては、素材としてチュー
ブ状のフィルムを用いる関係上、素材のコストが高く、
その結果、製造された製品のコスト減に限界がある。

【０００７】また、前述の通り、チューブ状のフィルム
を切断した後に得られる一対の断面Ｕ形フィルムを引き
離し、拡開された空間からシート状心材を挿入しなけれ
ばならないため、薄いフィルムが引き離し時に伸長して
皺を生じる虞れあり、また、損傷し易いという問題があ
る。

【０００８】

【課題を解決するための手段】 本発明は、前記課題を
解決し、一般に汎用されている低コストの帯状フィルム
を素材とし、しかも、製造ラインにおいてフィルムの伸
長や損傷その他の製造エラー等を可及的防止できるよう
にしたファイリング用袋状シートの製造方法を提供する
ものであり、その手段として構成したところは、シート
状心材を左右対称状に被覆するフィルムにより該心材の
表裏両面に左右に対を成し且つ対向して開口する袋部を
形成したファイリング用袋状シートを製造する方法にお
いて：連続する長尺の帯状フィルムを平行する２列に繰
出す繰出工程と；前記２列の帯状フィルムを相互に間隔
Ｓを有して載置せしめるガイド装置の幅広の平板部上
で、該平板部と該帯状フィルムの間に向けて且つ該２列
の帯状フィルムに跨がって長尺のシート状心材を繰出
し、該シート状心材の両側縁を各帯状フィルムの幅中央
線の近傍に配置せしめる心材重合工程と；ガイド装置の
前記平板部に続いて徐々に幅を減少するガイド部から該
ガイド部に続いてシート状心材と概ね同幅になる折曲案
内部に沿わしめることにより、各帯状フィルムを前記間
隔Ｓを変更しないで前記心材の側縁を抱持するように断
面ほぼＵ形に折曲げ、半折状とされた一対のフィルムに
より心材を被覆する折曲工程と；心材と該心材を被覆し
た一対のフィルムとを長手方向に所定間隔をおいて幅方
向に溶断溶着する分離工程と；から成る点にある。

【０００９】

【実施例】以下図面に基づいて本発明の実施例を詳述す
る。

【００１０】（第１実施例）本発明の第１実施例を図１
ないし図３に示している。

【００１１】図１及び２において、ロール１は、帯状合
成樹脂フィルムの巻回体であり、該ロール１より連続し
て繰出される長尺の帯状フィルム２は、透明又は半透明
である。

【００１２】一方、ロール３は、前記フィルムよりも若
干厚手の合成樹脂シートの巻回体であり、該ロール３よ
り連続して繰出される長尺のシートは、後述するシート
状心材４として供されるもので、好ましくは黄色等に着
色されている。

【００１３】前記フィルム２と心材４は、相互に同系の
合成樹脂素材のものとされ、熱により相互に好適に溶着
可能である。

【００１４】前記ロール１から繰出されたフィルム２
は、スリッター等の切断装置５により幅方向に概ね二分
され、左右に平行する２列の袋形成用フィルム２ａ、２
ｂとして繰出され搬送され（繰出工程）、ガイド装置６
の平板部７上に導かれる。この際、切断装置５により切
断され分離された２列の袋形成用フィルム２ａ、２ｂは
相互に間隔Ｓを有しており、このため切断装置５を構成
するスリッターは、断面Ｖ形の刃を有することが好まし
い。

【００１５】前記ロール３から繰出されたシート状心材
４は、前記フィルム２の概ね半分程度の幅寸法に形成さ
れており、前記２列の袋形成用フィルム２ａ、２ｂに跨
がり且つ該フィルム２ａ、２ｂとガイド装置６との間に
介装されるよう導かれ、該シート状心材４の両側縁を各
フィルム２ａ、２ｂの幅中央線の近傍に配置せしめられ
る（心材重合工程）。

【００１６】前記ガイド装置６は、前記平板部７に続い
て幅を徐々に減少するガイド部８を有し、該ガイド部８
に続いて前記シート状心材４と概ね同幅になる折曲案内
部９を有する。

【００１７】 このため、図３（Ａ）に示すように、前
記心材重合工程において、２列の袋形成用フィルム２
ａ、２ｂが相互に間隔Ｓを有して幅広の平板部７に載置
されると共に、該平板部７と両フィルム２ａ、２ｂの間
に向けてシート状心材４が繰出され、該シート状心材４
の両側縁を各フィルム２ａ、２ｂの幅中央線に概ね沿っ
て配置せしめられる。この際、図２及び図３（Ａ）に示
すように、フィルム２ａ、２ｂの外側縁を平板部７の両
側縁に概ね沿わしめるように構成しておけば間隔Ｓが自
動的に定まることになる。これに対して、シート状心材
４は、折曲案内部９とほぼ同幅であるから、自ずから平
板部７上での位置が定まる。このようにして、ガイド装
置６の平板部７上において、２列のフィルム２ａ、２ｂ
の間隔Ｓの設定と、フィルム２ａ、２ｂと心材４の位置
決めが行われるので、以後は、このような間隔設定と位
置決めを変更しないで作業を機械的に行わしめれば良
い。 そして、図３（Ｂ）に示すように、引き続いて、前
記２列の袋形成用フィルム２ａ、２ｂは、前記ガイド部
８を経て折曲案内部９に至る過程において、シート状心
材４の側縁を抱持するように断面ほぼＵ形に折曲げら
れ、半折状とされた一対のフィルム２ａ、２ｂによりシ
ート状心材４を被覆する（折曲工程）。この間の作業
は、前記フィルムの間隔Ｓを変更しないで行われるの
で、シート状心材４を挟んで両面に対称状の袋部が正確
に形成される。

【００１８】従って、図３（Ｃ）に示すように、ガイド
装置６を通過せしめられた状態において、中央にシート
状心材４が位置し、該シート状心材４の表裏両面に左右
に対を成して断面ほぼＵ形の袋形成用フィルム２ａ、２
ｂが配置されている。即ち、シート状心材４は、左右に
おいて袋形成用フィルム２ａ、２ｂに被覆され、しか
も、シート状心材４の幅方向中央部の上下に位置して、
袋形成用フィルム２ａ、２ｂは相互に間隔Ｓを有してい
る。

【００１９】この目的のため、ガイド装置６の下部に
は、前記フィルム２ａ、２ｂを折曲状態に保持するため
のガイドローラ１０が設けられている。また、ガイド装
置６の後続位置には、搬送駆動ローラ１１、１１が設け
られ、前記フィルム２ａ、２ｂにより被覆されたシート
状心材４を連続的に搬送せしめ、間欠送りを可能とする
ための段差ローラ１２を経てシーリング装置１３へと搬
送せしめる。

【００２０】前記シーリング装置１３においては、前記
フィルム２ａ、２ｂ及び心材４の長尺物は間欠送り、間
欠的停止時に溶断刃１４によって長手方向に所定間隔を
おいて幅方向に溶断溶着され、これにより形成されたフ
ァイリング用袋状シート１５が順次載置台１６の上に積
層される。

【００２１】このようにして製造されたファイリング用
袋状シート１５は、図３（Ｄ）に示すように、心材４の
中央線の左右両部を半折状のフィルム２ａ、２ｂによっ
て被覆され、該フィルムは心材４に対して袋状シート１
５の溶断された上下両縁１７、１７において溶着されて
いる。従って、このフィルムにより、心材４の表裏両面
には、左右に対を成し且つ対向して開口する袋部１８、
１８が形成され、開口縁１９、１９は、上記間隔Ｓに相
当する間隔をおいて配置される。尚、本発明において、
前記袋部１８、１８には、区画シール２０、２０を設け
ることが自由であり、この場合は、図１に示すように溶
断刃１４の前に区画シール用の溶着刃２１を設けておけ
ば良い。このような区画シール２０、２０を設けておけ
ば、袋部１８に上下に分割された複数の小袋部を構成す
ることができる。

【００２２】上記のようにして製造されたファイリング
用袋状シート１５は、多数枚が積層された状態で中央線
に沿い超音波シール等のシール手段により綴じ込み溶着
２２され、表紙２３により装丁を施されて図３（Ｄ）の
ようなファイルブック２４の商品とされる。

【００２３】（第２実施例）図４は本発明の第２実施例
を示している。

【００２４】この第２実施例において、平行な２列の袋
形成用フィルム２ａ、２ｂは、それぞれ独立したロール
１ａ、１ｂから繰出され、両ロール１ａ、１ｂ間及び両
フィルム２ａ、２ｂ間に間隔Ｓを設けている。従って、
上記第１実施例において説明したような切断装置５は不
要である。その他の構成は、上記第１実施例と同様であ
る。

【００２５】ところで、このように各別のロール１ａ、
１ｂを設けた構成によれば、フィルム２ａ、２ｂをロー
ル１ａ、１ｂと搬送駆動ローラ１１との間において繰出
し搬送するに際し、両フィルム２ａ、２ｂのテンション
を均等に保つことが困難になる。蓋し、各ロールは、そ
れが巻回体として形成されたときの条件により巻取り張
力に差を有しているため、これが繰出し時において相互
にテンションを異ならしめてしまう。また、巻取り量
（ロールの直径）が相互に異なるロール１ａ、１ｂを使
用する場合、繰出し部における周速が異なるため、テン
ションは相互に当然に相違するものとなる。そして、こ
のように一対のフィルム２ａ、２ｂが相互にテンション
を相違する場合、ファイリング用袋状シート１５の製造
完了時に、左右の袋部１８、１８に均整が取れず、仕上
がり不良を招来する虞れがある。

【００２６】このため、本発明の第２実施例において
は、一対のロール１ａ、１ｂから繰出される一対のフィ
ルム２ａ、２ｂのテンションを均等ならしめる目的のた
め、テンション制御ローラ２５を設けている。即ち、図
示省略しているが、一対のフィルム２ａ、２ｂのテンシ
ョンを検知するセンサーと、該センサーにより検知され
た二つのテンション信号を比較回路等により比較し、テ
ンションが相違する場合にそれを判定し制御信号を発す
るマイクロコンピュータと、その後の二つのテンション
信号が均等になるように前記制御信号により前記テンシ
ョン制御ローラ２５をコントロールするアクチュエータ
とから成る自動テンションコントローラ手段が設けられ
ている。従って、テンション制御ローラ２５を増速又は
減速せしめることにより、一対のフィルム２ａ、２ｂの
テンションを均等ならしめるように構成されている。

【００２７】

【発明の効果】 本発明によれば、本発明者が先に提案
したファイリング用袋状シートの製造方法のようにチュ
ーブ状フィルムを用いることなく、一般に汎用されてい
る低コストの帯状フィルムを素材とすることができるの
で、製品の製造コストを可及的低減することが可能にな
る。しかも、製造ラインにおいて、フィルムの引き離し
等を必要としないので、フィルムの好ましくない伸長や
損傷を可及的防止することができ、仕上がりの優れたフ
ァイリング用袋状シートを提供できるという効果があ
る。特に、本発明によれば、チューブ状フィルムでない
帯状フィルムを素材としてファイリング用袋状シートを
製造するに際し、２列の帯状フィルムとシート状心材を
ガイド装置の幅広の平板部に載置するものであるから、
該平板部上で、２列のフィルムの間隔Ｓの設定と、シー
ト状心材の位置決めを行うことができる。即ち、フィル
ムは帯状のまま平板部に載置するので間隔Ｓを容易に設
定できる。また、ガイド装置の折曲案内部がシート状心
材と概ね同幅であるから、シート状心材を平板部上の所
定位置に容易に設置できる。そして、このように平板部
の上で設定した間隔Ｓ及び位置決め状態をその後も変更
しないで、引き続き、ガイド部及び折曲案内部によりフ
ィルムの半折作業を行うものであるから、シート状心材
を挟んで両面に対称状の袋部を正確に形成することがで
きるという優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例に係る方法の工程全体を示
す概略説明図である。

【図２】本発明の第１実施例に係る方法の要部を示す斜
視図である。

【図３】本発明の第１実施例における各工程を示し、
（Ａ）は重合工程を示す断面図、（Ｂ）は折曲工程を示
す断面図、（Ｃ）は折曲工程完了後のフィルム及び心材
を示す断面図、（Ｄ）は製造後のファイリング用袋状シ
ート及びこれを用いたファイルブックを示す斜視図であ
る。

【図４】本発明の第２実施例に係る方法の要部を示す斜
視図である。

【符号の説明】

１ ロール １ａ ロール １ｂ ロール ２ フィルム ２ａ 袋形成用フィルム ２ｂ 袋形成用フィルム ３ ロール ４ 心材 ６ ガイド装置 ７ 平板部 ８ ガイド部 ９ 折曲案内部 １１ 搬送駆動ローラ １３ シーリング装置 １４ 溶断刃 １５ ファイリング用袋状シート １８ 袋部 １９ 開口縁

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シート状心材を左右対称状に被覆するフ
   ィルムにより該心材の表裏両面に左右に対を成し且つ対
   向して開口する袋部を形成したファイリング用袋状シー
   トを製造する方法において：連続する長尺の帯状フィル
   ムを平行する２列に繰出す繰出工程と；前記２列の帯状
   フィルムを相互に間隔Ｓを有して載置せしめるガイド装
   置の幅広の平板部上で、該平板部と該帯状フィルムの間
   に向けて且つ該２列の帯状フィルムに跨がって長尺のシ
   ート状心材を繰出し、該シート状心材の両側縁を各帯状
   フィルムの幅中央線の近傍に配置せしめる心材重合工程
   と；ガイド装置の前記平板部に続いて徐々に幅を減少す
   るガイド部から該ガイド部に続いてシート状心材と概ね
   同幅になる折曲案内部に沿わしめることにより、各帯状
   フィルムを前記間隔Ｓを変更しないで前記心材の側縁を
   抱持するように断面ほぼＵ形に折曲げ、半折状とされた
   一対のフィルムにより心材を被覆する折曲工程と；心材
   と該心材を被覆した一対のフィルムとを長手方向に所定
   間隔をおいて幅方向に溶断溶着する分離工程と；から成
   ることを特徴とするファイリング用袋状シートの製造方
   法。